【2010年1月18日〜1月24日】


■国連、テロリストから何人かのタリバンを除外予定[100124 New York Times]

国連がアフガン政府関係者を呼び、国連のテロリストのリストから何人かのタリバン幹部指導者を除外するよう要求した。抵抗勢力組織と直接交渉するための、最初のステップといえる。

国連のカイ・エイダは、一連の動きでアフガン政府関係者とタリバン指導者との間の話し合いを実現させるために役立つだろうと述べた。

カイ・エイダはインタビューで、米軍が収容している約750人の囚人の再調査を早く行なうよう指導した。バグラム基地の収容所にタリバンを拘束しているアメリカは、最近まで拘束者の身元を明らかにすることを拒否している。

これらの2つのステップを取ることで、アフガン政府とタリバン指導者との直接の話し合いが実現することを望んでいるという(中略)。

米国人、アフガン人、NATO指導者たちも、タリバンの正規戦闘員たちに教育や仕事と引き換えに、投降することを呼びかけようとしている。数百万ドルかかると見られるこの計画は、今週ロンドンで話し合われる予定である(後略)。

hoonU.N. Seeks to Drop Some Taliban From Terror List
DEXTER FILKINS、KABUL

■国連事務所攻撃容疑で、準軍隊兵士逮捕[100124 Dawn]

土曜日にレーマン・マリーク内相が、10月5日に発生した国連の世界食料計画事務所に対する自爆攻撃に関与したとして、準軍隊兵士1人を逮捕したと発表した。

TTPが、「ムスリムの利益にならない」という理由から国連事務所を攻撃したと、声明を発表している。

内相は男の身元を明らかにしなかったが、12月2日にイスラマバードのパキスタン海軍本部の外で発生した自爆攻撃にも関与していたという。また内相は、パキスタンでブラックウォーター社が活動していることを否定した。「国内にブラックウォーターがいないと、もう一度責任を持って強調する。嘘が広がっている」という(後略)。

hoonParamilitary man held for WFP suicide bombing
ISLAMABAD

■米のためにスパイしたとしてパキスタン人6人殺害される[100124 AP]

日曜日に、アメリカのためにスパイ行為をしたとして過激派に殺害されたパキスタン人6人の遺体が、国境付近で発見された(中略)。

男性の遺体が北ワジリスタンで発見された。そのうちの1人は斬首されていた(中略)。

日曜日に発見された6人遺体には、アメリカのスパイだとするメモが残されていた。5人は射殺されてミランシャーの郊外で発見された。6人目は斬首され、ミールアリの近くで発見された(後略)。

hoonMilitants kill 6 Pakistanis for alleged US spying
RASOOL DAWAR、PESHAWAR

■ゲイツ、パキスタンとの関係改善めざす[100123 New York Times]

オバマ政権内の人間で、国防長官のロバート・ゲイツほどパキスタンと深くつきあっている人間はいない。そこでパキスタン訪問の際には、パキスタンとかかわった25年間の集大成として、なんとか両国の関係の改善を計ろうとしている。

ペンタゴン関係者によると、パキスタンの国立防衛大学である軍幹部に、「あなたは私たちの味方か敵か」と尋ねられたという。ブッシュ元大統領の発言を受けて尋ねられていることに気づいたはずだが、彼は「もちろん、あなたの味方だ」と簡単に答えた。

(中略)1980年代のレーガン大統領時代にCIAのナンバー2として、ゲイツはパキスタンのISIを通じて、アフガニスタンでロシアと戦うイスラーム原理主義者たちに武器を調達した。これらの原理主義者たちの多数がタリバンとして再結成してアルカイダを匿い、今となってはパキスタンの大きな脅威となっている。

木曜日の会議でパキスタンの指導者たちは、12機の小さな非武装無人偵察機だけではなく、抵抗勢力を攻撃できるような武装無人偵察機を提供してほしいとゲイツに繰り返し要求した。これはパキスタンをなだめ、協力を仰ぐためのゲイツの贈り物だった。

パキスタン人ジャーナリストはゲイツに、アメリカはパキスタンの核兵器を取りあげようとしているのかと尋ねた。ゲイツはこれに対して否と答えた。またアメリカは無人偵察機による攻撃をバローチスタンでも実施しようとしているのかという質問に対しては、答えなかった。

同時に軍報道官のアサール・アッバス准将は、アルカイダがパキスタンの国境付近にいる過激派組織と関係しているという、アメリカの主張を否定した。なぜアメリカはそのような見解を持っているのかと尋ねられると、「アメリカに聞いてくれ」と、ぶっきらぼうに答えた。

ゲイツがイスラマバードに到着して数時間後にアッバスはこのようなコメントをしているが、これは去年パキスタンに30億ドルもの援助を与えたアメリカに対しては、失礼な発言だった。しかし米関係者は彼の発言を受け流し、軍隊が直面する現実であり、パキスタン軍はスワートと南ワジリスタンの抵抗勢力に対処するのでせいいっぱいで、軍が不足しているのだろうと述べた。

「今すぐに北ワジリスタンに行く能力がないのだ」と、パキスタンにいる米軍関係者が述べた。「今度はその能力を高めることができるかもしれない。特定の場所でなんらかの危険を冒し、軍を移動できるかもしれない。しかしそうすればどこかに穴を作ることになり、タリバンが再び攻撃してくる」。

(中略)しかし、ゲイツはすぐにアッバス証言に反論しはじめた。米政府関係者によると、パキスタン人が過激派内の組織を区別するのは、アメリカがアフガニスタンから撤退後、アフガニスタンにおけるインドの力に対戦しようとしているからだ。「過激派を分割しようとしているあなたの方法は、我々が直面している問題を考えると、過ちだというのが私の見解だ」とゲイツが語った。

「アフガニスタンにいるアルカイダとタリバン、パキスタンにいるTTP、ラシュカレ・トイバ、ハッカーニ組織は、協力し合うテロリストのシンジケート」だ」。「1つが成功すれば、全部が恩恵を被る。全員が同じ考えを持ち、計画を共有している。全員が一緒に活動しているのではない。しかし密接に関係し合っている。互いに啓発し合っている。考えを共有している」。

ゲイツはパキスタン人に、パキスタン人がアメリカを信頼していないことを残念に思い、アフガニスタンからロシア人が去ったあとパキスタン人を見捨てたことは、アメリカの誤りだったと繰り返した。そして軍関係者には、アメリカは今後もっとうまくやっていくと約束した(後略)。

hoonGates Sees Fallout From Troubled Ties With Pakistan
ELISABETH BUMILLER、ISLAMABAD

■北ワジリスタンの急襲で、抵抗勢力15人死亡[1001123 News]

これまで北ワジリスタンで攻撃を行なっていなかった治安部隊が、金曜日に突然強攻策にでた。

軍関係者によるとミランシャーのマチス訓練所に対して実施された軍事作戦で、テロリスト15人が殺害され、抵抗勢力の拠点が爆破されたという。

軍報道官が語ったところによると、軍の車列を簡易爆弾で攻撃していたテロリストに対して、対処したという。軍の車列が何度も攻撃され、大きな被害がでていた。

軍は、いまだに北ワジリスタンで大きな軍事作戦を実施する意図はないという。しかし治安部隊が今後も攻撃されれば、軍事作戦を実施することを躊躇しないと語った。

攻撃が実施される前にミランシャーとその周辺の村に、外出禁止令が出た。金曜日早朝にモスクが、ラウドスピーカーで村人たちに家の中に留まるように呼びかけた。

政府筋によると、木曜日の夜に部隊の出動が命じられ、ミランシャーのマッチ工場だったマチス訓練所を包囲した。軍の車列を簡易爆弾で攻撃していたテロリストたちが、このキャンプに隠れていると疑われていた。

(中略)陸軍の戦闘ヘリコプターが町の上空を旋回し、その後、部隊が村にいる抵抗勢力と対戦するように命じられた。ヘリコプターが8回、抵抗勢力の拠点を攻撃し、抵抗勢力が使用していた建物2軒が爆破された。

(中略)情報源によると、治安部隊が村で家宅捜索を行ない、50人を逮捕したという。逮捕者には、アフガン人やパンジャーブ人過激派、マフスード部族民がいるという。南ワジリスタンに対する軍事作戦で、ミランシャーに避難してきた人々だという。

今回の軍事作戦により、ハーフィズ・グル・バハドゥールとその一派や、和平委員会が緊張している。和平委員会のある幹部が語ったところによると、政府は軍事作戦を突然行ない、事前の通報は全くなかったという。和平協定によると、政府はこの地域で軍事作戦を行なう際には、必ず事前に通達することになっていた。

hoon15 militants killed during Army's surprise action in NWA
Mushtaq Yusufzai & Malik Mumtaz、PESHAWAR/MIRAMSHAH

■ヘリコプターが、パキスタン人抵抗勢力の隠れ家を攻撃[100122 AFP]

金曜日にパキスタンの戦闘ヘリコプターが、タリバンやアルカイダ戦闘員が隠れているといわれる部族地帯の拠点を攻撃した。

ロバート・ゲイツ米国防長官がイスラマバードに、現在実施されているタリバン掃討作戦をアフガニスタンとの国境付近に拡大するように要求した翌日のことである。

「戦闘ヘリコプター2機が、抵抗勢力の拠点を攻撃した」と、北ワジリスタンの治安関係者が述べた。攻撃はミランシャーの攻撃で行なわれた。「家宅捜索で、抵抗勢力6人が逮捕された。地元の部族民だ」と、ある治安関係者が述べた。外出禁止令を破ったために隊が発砲し、一般市民1人が負傷し、2人が負傷したという。

地方政府が、犠牲者が出たことと攻撃があったことを確認し、地元のモスクが、金曜日の明け方から外出禁止令が出たと公示している。

軍が早朝に抵抗勢力の拠点を包囲し、戦闘ヘリコプター2機が隠れ家を攻撃し、建物を破壊した。住民が、金曜日は店舗やマーケットは閉まっていたと述べた(後略)。

hoonHelicopters pound Pakistan militant hideout: officials
MIRANSHAH

■抵抗勢力15人、ミサイル攻撃で死亡[100122 AFP]

イスラーム過激主義のウェブサイトを監視するアメリカの組織によると、過激派組織が、アフガニスタンにおけるアメリカのミサイル攻撃で、仲間15人が死亡したと報告しているという。

SITE諜報グループによると、金曜日にトゥルキスタンイスラーム集団のウェブサイトに、報告が掲載された。組織によると、火曜日にアフガニスタンで、ウイグル人13人とトルコ人2人がアメリカの無人偵察機が発射したミサイルで死亡したという。正確な場所はわからない。

パキスタン人関係者によると、国境沿いで、ミサイル2発による攻撃があったという。

hoonMilitants report 15 dead in missile strike
KABUL

■パキスタンに対するミサイル攻撃で、フィリピン人過激派死亡[100121 AFP]

アメリカから指名手配になっていたフィリピン人過激派が、今年アフガニスタンとの国境近くで殺害されたと、パキスタン人諜報関係者が木曜日に述べた。確認されれば、アブドゥル・バシット・ウスマンの殺害は、パキスタン国内に対するアメリカの極秘ミサイル計画の大きな勝利となる。

パキスタン北西部の軍諜報関係者2人が、ウスマンが1月14日に南ワジリスタンと北ワジリスタンの境界で殺害されたと述べた。この攻撃で、この他に14人が死亡している。政府は当初、パキスタン人タリバンのハキームッラー・マフスードが標的だったと述べていた。

ウスマンがパキスタンに潜伏していたという情報は、これまでなかった。パキスタンで彼が死亡したということが事実であれば、アルカイダと東南アジアのテロ組織との間の関係が、これまで考えられていた以上に強いことを示す。

米国防省の指名手配テロリストでは、ウスマンは爆弾製造の専門家で、フィリピンを拠点とする過激派組織のアブ・サヤーフと東南アジアのジャマー・イスラミヤ組織と関係があるという。彼の居場所の情報提供者には、100万ドルの賞金が懸けられていた。フィリピン南部で15人が殺害された、2006年と2007年に起きた爆弾事件の指導者とされる。

ワジリスタンには、アラブ人と中央アジア出身者を中心に、世界各地の過激派が集まっている。1980と90年代には、ソ連と戦うために数百人のフィリピン人やその他の東南アジアの過激派がアフガニスタンとパキスタンを目指し、アルカイダが運営する訓練所に参加した。しかし今では、ほとんどいないと思われていた。

ウスマンがワジリスタンにいたとすると、パキスタンにいるアルカイダと東南アジアの過激派との関係が注目される(中略)。パキスタン人関係者は、過激派の中の情報源がウスマンの死について語ったという。そのうちの1人は、ウスマンは、1年前にアフガニスタンからワジリスタンにやってきたと述べた。フィリピンの諜報関係者2人が、ウスマンの死に関する情報は聞いていないと述べた。またフィリピン南部を拠点とする米軍関係者も、このような情報は受け取っていないという(後略)。

hoonIntel: Missile kills Filipino militant in Pakistan
ISHTIAQ MAHSHUD、DERA ISMAIL KHAN

■米、パキスタンに無人偵察機を提供[100121 New York Times]

アメリカはパキスタンに、非武装無人偵察機12機を提供し、アフガニスタン側におけるイスラーム過激派との戦いに協力させることにしたと、米国防関係者が述べた。しかしパキスタンの軍事指導者たちはアメリカからの圧力を拒絶し、今後6ヵ月は新たな軍事作戦は実施しないと述べた。

このシャドー偵察機は武装したブレデター偵察機よりも小さいが、パキスタンの偵察能力と監視能力を向上させ、地上や上空からの攻撃が可能になるようなビデオ映像を提供する。

パキスタンに2日間滞在予定の国防省長官のロバート・ゲーツは、偵察機に関する計画をパキスタン人テレビレポーターとのインタビューで木曜日に明らかにした。

アメリカはパキスタン軍に偵察機を提供することを計画しているかと尋ねられると、ゲーツは、「戦術上の無人偵察機を考えている」と述べた。国防省の他の関係者も、アメリカがこのような申し出をしていることを裏付けた。

ゲーツの発言の直前にパキスタン陸軍報道官が、陸軍は向こう6〜12ヵ月間は北ワジリスタンにいる抵抗勢力を攻撃する予定はないと発表し、アフガン国境にいる過激派を一掃してほしいというアメリカの要求を退けた。

アサール・アッバス軍報道官がアメリカの記者たちとラワルピンディにある陸軍本部で会見し、パキスタンは去年タリバン掃討作戦を開始したが、その結果各地に散らばったタリバンたちに対処しなければならないと述べた。「さらなる軍事作戦を実施する能力はない」という。

パキスタンはすでに限定的ではあるが偵察能力があるが、これまでアメリカに無人偵察機のテクノロジーを与えてほしいと要求していた。パキスタンを定期的に無人偵察機で攻撃してくるCIAと同じように、国内にいる抵抗勢力を監視して殺害する手段が欲しいという。

米関係者たちは、パキスタンに武装した偵察機を与えることを拒否してきた。シャドー偵察機の提供でパキスタンはさらに戦いに誘い込まれることになるいっぽうで、パキスタン政府にとっては無人偵察機による攻撃が続くことによって、アメリカの意図を疑う反米感情を持つ民衆に言い訳ができることになる。「政治に肯定的な影響力を持つだろう」と、イスラマバードでタラート・マスード元将軍が語った。「政治的指導者たちの恥辱をぬぐい去る」。

米国防関係者は、偵察機はパキスタンの部族地帯で使用され、攻撃的な用途よりも、防衛的に使用されると述べた。米軍が最も憂慮していることは、インドに対して使用されるのではないかということである。

シャドーは、イラクとアフガニスタンの米陸軍と海軍が使用してきた。翼幅が14フィート、全長12フィートで、地上のトレイラーから発射され、70マイル飛行できる。

ゲイツ国防長官は3年ぶりにパキスタンを訪れ、木曜日にキヤニ陸軍参謀長とパシャISI長官と会った。またザルダリとの晩餐会にも出席した。

米関係者によると、ゲイツはパキスタン人たちに、抵抗勢力たちに対処するように促した。また『ニューズ』紙の社説にも寄稿した。この社説で、アフガンタリバン指導者たちからなるクエッタ・シューラを排除するように要求した。クエッタ・シューラは、部族地帯に属さない、バローチスタン州に存在する(後略)。

hoonU.S. Offers Pakistan Drones to Urge Cooperation
ELISABETH BUMILLER、ISLAMABAD

■マフスード族のジルガ、ハキームッラーの引き渡しに同意[100121 News]

水曜日にマフスード族のジルガが、TTP責任者のハキームッラー・マフスードを含む指名手配者378人の引き渡しに同意し、平和の維持と再建計画のために、政府に全面協力することを約束した。

ジルガは政府が提示した7つの条件すべてを受け入れ、南ワジリスタンの平和と協調に協力することに同意した。政府は1月20日を最終期限として、マフスード族に7つの条件を飲むように申し出ていた。

南ワジリスタンのタンクで開催されたジルガにマフスード族の長老300人が出席して、声明が発表された。

政府の条件には、378人の指名手配者の引き渡し、武器を人目につく場所に置くこと、辺境犯罪条例に基づき集団責任を受け入れること、外国人戦闘員を匿われないことなどが含まれる。ジルガは、これらすべての条件を受け入れることを約束した(後略)。

hoonMehsud Jirga agrees to hand over Hakimullah
PESHAWAR

■NATO、カブールに新たな職務を計画[100121 Wall Street Journal]

NATOがカブールに新たな文民責任者を置いて、米軍主導同盟軍責任者と協力させることを計画している。この件に詳しい関係者によると、アフガニスタンの英国大使がこの職務につく可能性が高いという。

1月28日にロンドンで予定されているアフガニスタンについての国際会議で、これが公表される予定である

新たに任命された者は、米軍主導同盟軍の活動における文民の指導者となり、資金の流れや援助活動を管轄し、場合によっては汚職まみれのアフガン組織を飛び越して指導するという。また抵抗勢力を寝返らせて社会に引き込むという、重要な役目を果たすことにある。

(中略)カルザイが拒否したために、新たなポストは、ボスニア・ヘルツィゴヴィナやコソヴォの文民アドバイザーのような影響力を発するものではない。しかし、現在のカブールの文民代表のイタリアのフェルナンド・ジェンティリーニよりは、大きな権限を持つことになるようだ。ジェンティリーニは、ロンドン会議のあと、カブールを去る予定である。

当初NATO諸国は、この職務を米大使のカリ・エイケンベリーにしようとしていた。しかしEUとカナダがこれに反対した(後略)。

hoonNATO Plans New Top Job in Kabul
YAROSLAV TROFIMOV、KABUL

■タリバン、仲間を勝ち取るために、イメージ一新[100120 New York Times]

タリバンは現代的な道具と以前かちの古めかしい道具を使用して、洗練された情報戦争を開始して、地元アフガン人たち味方につけようとしている。アフガン人の心と気持ちを勝ち取ろうとしている、米国人の新たなキャンペーンに対抗するためである。

オマール師は去年の春、タリバンのための新たな規定書を発表した。一般市民に対する自爆攻撃、学校への放火、耳、唇、舌を切り落とすことなどが禁じられた。

この規則は一部で取り入れられたが、かならずしも抵抗運動を緩めるものではない。月曜日の攻撃でも、タリバンは一般市民に立ち退くように最初に警告したが、去年の一般市民の犠牲者のうち、4分の3はタリバンに責任があると国連が発表している。

タリバンはこれまで以上にアフガニスタンでその存在感を示しているが、今、民衆の支持を必要としているために、自分たちの行動はアルカイダとは離れた、政府や外国軍からの解放運動であるということをアピールしようとしている(中略)。

村人やNATO関係者によると、この規則のおかげでタリバン中堅指導者たちの間に変化が現れたという。残虐な司令官数人が、オマール師に排除された。

またタリバンの広報戦略も非常に有効で、NATO軍よりも、メッセージがすばやく行き届くという。「アフガン人たちが抵抗運動に慣れてきているために、彼らは非常に危険になってきた」と、あるNATO軍諜報関係者が述べた。「彼らの最終目的は2001年と変わっていないが、我々が新たな対抵抗運動戦略を持ってくると、彼らも自身の戦略で対戦してきた」(中略)。

アメリカやアフガンのアナリストは、タリバンはあらゆる道具を使用して、イニシャチブを取ろうとしているという。以前は非イスラーム的だと非難していたインターネット・テクノロジーさえ、駆使している。今では直接口でしゃべること、携帯電話へのメッセージ、インターネットのビデオで、自分たちのメッセージを発している(中略)。

タリバンはNATOの広報部が声明を発表する前に、攻撃に関する解説を発表することさえできる。NATOのプレス・マシンと異なり、タリバンは微に入り細に入り攻撃の様子を発表し、時には誇張されたり誤りがあったりするものの、真実の要素を含んでいるために完全に無視することはできない。

オバマ政権のアフガニスタンとパキスタンの戦略を率いるブルース・リデルは、情報戦争は非常に大事だと説明する。「プロパガンダ戦争に、迅速に反応しなければならない。『コメントする前に調べている』などという声明を発表することはできない」。

新たな広報キャンペーンと、以前よりは比較的残虐ではない行動により、民衆が抵抗運動に対して持っていた怒りを軽減させる結果になったようだ。

しかし彼らの力が拡大していることの最大の要因は、無力な中央政府と、アフガン人が持つ外国軍に対する嫌悪感である。軍の諜報関係者たちは、今や2万5000人〜3万人のタリバン戦闘員がおり、資金の供給があったり欧米の同盟軍に攻撃されていると感じた場合には、さらに50万人が戦いに参加すると見ている。

タリバンのイメージを変えようとする努力は、去年の5月、オマール師が新たな規定書を発表して以来顕著になった。『ニューヨーク・タイムズ』は、タリバン報道官を通じてこの書類のコピーを入手した。去年の夏、NATOの諜報部門が家宅捜索でこの規定書のコピーを入手し、人的諜報情報を使用して内容を検討した結果、本物であることが証明されている。

『タイムズ』に送られた規定書は、69ヵ条からなる書類で、地元の人間をどう扱うかという規定に始まり、囚人扱い方、敵の備品を押収した場合の対処の仕方、捕虜の処刑方法に至る。規定書の大半はタリバンの指令系統や、野戦司令官の権限の制約に集中している。また抵抗勢力たちに、地元の人間と共に生活し、仕事をすることを勧めている。

囚人の写真を撮ることを禁止するジュネーブ協定を踏襲して「もし誰かに死刑を宣告した場合、その者は銃で処刑されるべきで、処刑の様子を写真に撮ることは禁じる」とある。

行動の規定書を作ることと、それを実行することは別のことだ。タリバンがいまだに存続しているのは、それがいくつかの運動体の集合であることで、山中や砂漠の中で活動する個々の地元司令官たちに、数百マイル離れたパキスタンにいる首脳陣の支持に従うように説得することは難しい。

さらにタリバンがアルカイダと距離を置いているという主張も、疑わしい。2つの組織の指導者たちはともにパキスタンに住み、アルカイダはアフガン運動の資金や訓練を与えていることは今までと変わらない。「ドキュメントと実際の行動を比べれば、オマール師の権力はごく一部にしか及んでいないことが明らかだ」と、NATOのコミュニケーション責任者のグレゴリー・スミス提督が語る。抵抗勢力は以前よりは斬首などの残虐な行為を行なわなくなっているが、夜間に配られるビラや脅迫、暗殺などが続いている。

タリバンが活動する地域の長老たちの話を聞くと、多様である。カンダハルで話を聞いた人々は、タリバンの新たな行動を賞賛したが、彼らの運動に協賛はしなかった。同時にアフガン政府やNATO軍に対する行為も感じられない。

「タリバンには、大きな変化があった」。カンダハルのシャーワリコット地域の長老、ハッジ・ハーン・ムハンマド・ハーンが述べた。「以前みたいに斬首したり、調査せずにやたらとスパイ容疑者を逮捕しなくなった。しかし、間違いはまだある。人々は彼らを恐れている。とはいえ全体的には、行動を慎むようになった。タリバンの首脳陣が、草の根の協力を失いたくなかったからだ」。

タリバン司令官たちが繰り返し主張し、インターネット・マガジンやスローガンに掲げることは、抵抗運動はアフガニスタンのパシュトゥーン族を代表するものだということだ。「あらゆる所でパシュトゥーンが苦しんでいる。収容所には、パシュトゥーンしかいない。爆撃があれば、標的はパシュトゥーンの家だ」と、カンダハルのタリバン司令官サンガール・ヤールが述べた。

今のところ、双方のプロパガンダ戦争は引き分けである。「人々は選ぶことができない。ジレンマに陥っている」と、カンダハルの長老でビジネスマンのアブドゥル・レーマンが語る。「タリバンが活動する場所では、彼らを支持せざるを得ない。人々はタリバンを怖がっているからだ。政府が存在する場所では、人々は政府を支持している」。

hoonTaliban Overhaul Their Image in Bid to Win Allies
ALISSA J. RUBIN、KABUL

■パキスタンの女性、米兵とアフガン兵に発砲したことを否定[100119 AP]

米兵に発砲したと疑われているパキスタン人の女性に対する裁判が開始された初日に、自分が極秘収容所に収監されたと、被告が裁判官たちに向かって叫んだ。

神経科学者のアフィア・スィディーキは、証言者が証言するのを妨害したために、ニューヨークの法廷から退出させられた。

スィディーキは殺人を企てたとして起訴されたが、無罪を主張している。アフガニスタンで質問しようとしていた米工作員たちに向かって、ライフルを発砲したとされる。この際にスィディーキは撃たれて、負傷した。

弁護士のジェナ・ダッブスによると、スィディーキは化学物質やニューヨークで「大量攻撃」を行なうことに触れたメモを持っていたとして、2008年7月にアフガン警察に逮捕されたというが、発砲事件に関してだけ起訴されている(中略)。

「極秘収容所に入れられ、子供たちが虐待された」という彼女に対する証言が行なわれている最中に、妨害した。「ニューヨークの標的を記したリスト」はなかったと付け加え、「それらを爆破することを計画していなかった」という(中略)。

スィディーキは、法廷にユダヤ人がいる限り公正な裁判は望めないと語り、弁護士に協力することを拒んだ。

hoonPakistani woman denies shooting US Afghan soldiers

■米ミサイル、パキスタンで5人殺害[100119 AFP]

火曜日に米無人偵察機がパキスタンの北西部をミサイル攻撃して、過激派5人を殺害した。

ミサイルが北ワジリスタンのミランシャー北部にある、過激派の建物を攻撃した(中略)。「米無人偵察機が、過激派が使用していた建物にミサイル2発を撃ち込んだ」。「この攻撃で過激派5人が死亡した。ミサイル1発が近くにあった車に当たった。車に乗っていた3人が死亡したほかに、2人が死亡した」という。

別の治安関係者も、デガン村で攻撃があったことを認めた(中略)。「犠牲者の中に重要な人物がいたかどうかは、明らかではない」という(後略)。

hoonUS missile strike kills five in Pakistan: officials
Hasbanullah Khan、MIRANSHAH

■重要なタリバン司令官5人、シャクトイで殺害される[100119 Dawn]

1月15日に南ワジリスタンのシャクトイにおける無人偵察機の攻撃で、TTPパンジャーブ司令官のアザムトゥッラー・マウィヤが殺害されたという。

関係者によると、これとは別に1月17日の無人偵察機による攻撃で、タリバン司令官4人がシャクトイで死亡した。死亡したタリバン司令官は、シャヒッド・ウッラー、ファフィズ・ニザムッディン・ストリヘール、ハワレイ、モータージである。

この地域にある抵抗勢力の建物が標的となり、ハキームッラーも負傷したと報告されている(後略)。

hoonFive key Taliban commanders killed in Shaktoi

■カブール、タリバンに攻撃される[100118 BBC]

銃を持ったタリバンや自爆者たちが、カブール中心にある建物を攻撃し、爆発や銃撃戦が起きた。銃撃戦は、セリーナ・ホテルと大統領官邸の近くで起きた。

タリバンによると、戦闘員20人がカブールの攻撃に加わったという。一般市民2人と治安関係者3人が死亡し、71人が負傷した。攻撃者7人も死亡したと、内務省のムハンマド・ハニーフ・アトマールが述べた。

アフガン軍が迅速に対処したが、タリバンがカブールの中心を攻撃できたという事実により、大きな不安が残った。攻撃は用意周到に計画され、重機関銃や軽火器、武器などを持ち込むことに成功した。これらの点からいえば、すぐ対処できたという事実よりも、タリバンが攻撃を実施できたという点のほうが重要である(中略)。

攻撃は朝の9時50分頃に、自爆犯が大統領官邸のそばの中央銀行前で自爆したあとに始まった。数分後に3人の自爆者と武装した過激派が、大統領官邸を見下ろすショッビング・センターを占拠し、政府の建物とセリーナ・ホテルを攻撃した。

治安部隊がショッピング・センターを包囲している間、救急車を装ったバンを運転した自爆犯が近くのショッピング・センターに乗り付け、自爆したという。

諜報責任者のアムルッラー・サレーが語ったところによると、過激派たちはアリーナ・シネマの隣の建物を占拠し、子供2人を人質にした。2人は後に解放された。

各地で銃撃戦や爆発が起こり、午後3時頃になってやっと治安部隊が現場を制圧した(中略)。

タリバン戦闘員はロケット推進手榴弾や小火器で武装していたという(後略)。

garrAfghan capital Kabul hit by Taliban attack
Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2010.