【2010年2月15日〜2月21日】


■タリバン幹部、パキスタンで逮捕[100221 Fox News]

アフガニスタンのナンガハール州の元タリバン知事で、タリバン政権時代の重要人物だったモーラビ・カビールが最近パキスタンで逮捕されたと、米政府幹部が語った。カビールはタリバンの指名手配者10人の中に入っている。警察がパキスタン北西辺境州のノーシェラで逮捕した。

(中略)カビール逮捕につながった諜報情報は、バラダール師から得たという(後略)。

hoonMajor Taliban Operative Captured in Pakistan

■ムッラー逮捕はアメリカの「目的」のため[100221 Times]

(前略)バラダール師の逮捕は、「アメリカの目的のため」だと、アフガニスタンのカルザイ大統領の関係者が述べた。「バラダール師はこれまで個人的にアフガン政府と接触して和解の方法を話し合っていた。パキスタン人たちはこのことを、秘密工作員から聞いて知っていた」。

バラダールはカルザイの兄弟アフマッド・ワリとともに、サウジ・アラビアで開催された会議に出席していた。他のタリバンは、まず外国軍が撤退するべきだと主張し、話し合いに乗り気でなかった。

「彼が逮捕されたタイミングは非常に不自然だ」と、アフガニスタンとパキスタンに対するシンクタンクのUnited States Institute of Peace幹部バラマック・パシュワックが語る。「話し合いに積極的だったタリバン指導者だったという事実から、パキスタン人たちはこの話し合いをコンロールしたいか、邪魔したいかのどちらかだ」。

(中略)「ISIは、和解しようとしているタリバン指導者たちを逮捕している」と、ペシャワルの人権団体活動家のイドリース・ハーンが語る。「そうすることで、平和を望んでいないタリバンたちから、彼らを守ろうとしている」という。

逮捕のあと米関係者が、パキスタンは話し合いの場を与えられるべきだと述べた。しかし専門家の中には、パキスタン軍はアフガニスタンの平和に関心がないと見ている。平和がもたらされれば、アメリカからお役御免となり、援助金が入ってこなくなる。

これまでパキスタンで逮捕された最も重要なアフガン人タリバン幹部はマンスール・ダドゥッラー師であるが、彼もカブールで話し合いを開始していた。

イスラマバードの目的は、資金的なものである可能性もある。パキスタンは破産しており、アメリカは、パキスタンがアメリカの治安関係者にビザを支給しないために、130億ドルの資金援助を中止していた。最初の3億49万ドルは、バラダールが逮捕された次の週に支給される予定である(後略)。

hoonMullah's arrest is 'own goal' for US
Christina Lamb、Washington and Daud Khattak、Peshawar

■パキスタン、北西部を空爆、抵抗勢力30人殺害[100220 AP]

土曜日にアフガニスタンとの国境近くをパキスタン陸軍が空爆し、抵抗勢力30人を殺害。いっぽう自爆犯たちが別の地域の警察署2ヵ所を攻撃し、警察責任死者を殺害した。

(中略)土曜に空爆を行なった陸軍の声明によると、抵抗勢力が隠れているという情報が入ったために、南ワジリスタンのシャーワル山脈にある抵抗勢力の隠れ家を攻撃したという。抵抗勢力30人を殺害したというが、それ以上のことは明らかにしなかった。

(中略)また土曜日に数分間隔で、2人の自爆攻撃者がマンセーラ地区の警察署を攻撃したという。地元蛍雪責任者のハリル・ハーンが死亡し、警察官2人と通行人2人が負傷した。犯人の1人がマンセーラ町の警察署で自爆し、2人は逃走した。

またマンセーラから25キロ離れたバラコット町の警察署に2人の人間が突入し銃撃戦となり、攻撃者1人が死亡した。警察官2人が負傷し、残りの攻撃者1人は逃走した。

(中略)木曜日にアメリカの無人偵察機が、北ワジリスタンを攻撃した。シラージュ・ハッカーニが狙われたが、彼の兄弟のムハンマド・ハッカーニと部下3人が死亡したと、諜報関係者とタリバン司令官が述べた。

ムハンマド・ハッカーニは、水曜日のミサイル攻撃で死亡したといわれる、アルカイダ系のエジプト・カナダ国籍のシェイク・マンスールの葬儀に参加して帰宅する途中、部下とともに殺害されたという。

マンスールは2004年のミサイル攻撃で死亡した別の過激派、シェイク・アブドゥル・レーマン・アル・カナディの息子だという。マンスールは、パキスタンとアフガニスタンを行き来していた(後略)。

hoonPakistan army airstrike kills 30 militants in NW
RIAZ KHAN、PESHAWAR

■米ミサイル攻撃、過激派幹部の兄弟をパキスタンで殺害[1100220 Washington Post]

パキスタンの国境地帯で、アメリカの無人偵察機が残虐なアフガン人タリバン指導者の兄弟を殺害したと、アフガニスタンの国際軍とパキスタン政府関係者が金曜日に述べた。

関係者によると、木曜日に北ワジリスタンでミサイル2発が車輛を攻撃して、シラージュ・ハッカーニの兄弟のムハンマド・ハッカーニを殺害した。標的はシラージュの組織だった(中略)。

ムハンマド・ハッカーニは戦士ではなく、兄弟と比べてそれほど残虐ではなかったという。この無人偵察機による攻撃で、外国人抵抗勢力4人が死亡している。アラブ人である可能性が高い。

去年ハッカーニの家が攻撃されて、家族数人が死亡したが、本人を逸した。木曜日のミサイル攻撃は、ハッカーニの拠点であるダンタ・ダルパヘール村で起きた。ムハンマド・ハッカーニは「家族の面倒」を見ていたが、戦闘には参加していなかったという(後略)。

hoonSuspected U.S. missile strike kills top militant's brother in Pakistan
Haq Nawaz Khan and Karin Brulliard、PESHAWAR

■抵抗勢力、苦い薬を味わう[100219 News]

カイバル行政区のバラ地区ティラ谷で自爆犯による爆発があり、ラシュカレ・イスラームの副責任者を含む35人が死亡、85人が負傷した。この出来事に対して、さまざまな説が出回っている。

目撃者や部族民の情報源によると、オラクザイとカイバル行政区の人々がモスクのそばでハシシュ祭りを開催していたところ、12時5分ころに自爆攻撃があった。この攻撃で、車から降りようとしていたラシュカレ・イスラーム(LI)の副責任者アザム・ハーン・アフリディと護衛7人を含む30人が即死、90人が負傷した。

(中略)しかし政府関係者によると、モスクのそばに設置された爆発物により、爆発が生じたという。治安部隊がここ数ヵ月の間カイバル行政区で、LIとTTPの過激派たちを追跡する作戦を実施している。

これに先立ち、政府は別の説を主張していた。これによると、LI副責任者が午前11時頃にジャムルッドのダラにある道路際のホテルで護衛と一緒に昼食を取っていたところ、14〜5歳の少年がホテルの中に入り、司令官のそばで自爆したという。

(中略)LIの本部が同地域にあり、自爆攻撃があったホテルのそばにある地元のバザールでは、毎木曜日と金曜日にハシシュや阿片、武器を売る仮設マーケットが開催される。毎木・金曜日にアカヘール枝族出身のアザム・アフリディは、他の枝族出身の司令官とともにこのマーケットを訪れ、本部でシューラを開催していた。

別の情報源によると、マンガル・バーが主導する組織のシューラが、この事件の少し前に開催されていたという。しかし木曜日には、このような会議は開催されていなかったとする説もある。現在のところ犯行声明は出ていないが、LIの情報源によると、ティラを拠点とする敵対する抵抗勢力組織のアンサール・イスラミ(AI)の仕業だという。

2ヵ月ほど前に、自爆犯がティラ谷のマイダン地域にあるAI本部が自爆攻撃を受け、7人以上が死亡した。AIはマンガル・バーの仕業の非難していたが、バーは関与していないと述べていた。

AIの報道官のカリ・ミンハージが当記者に、自分たちは攻撃に関与していないと述べ、犯人はAIを攻撃するためにLIが手配したところ自爆して、自分を雇った人間を殺害したという。

またアザム・アフリディに近い情報源が語ったところによると、アドナン・アフリディやナザール・アフリディなどのオラクザイで活動する地元TTP司令官と、バラにおける活動に関して意見が対立していたという。これらの情報源は、TTP指導者の仕業だと述べた(後略)。

hoonMilitants taste their own medicine

■タリバン容疑者をアメリカに引き渡さないとパキスタン[100219 AP]

パキスタンは、今月逮捕したアフガン・タリバンのナンバー2と他の重要抵抗勢力2人をアメリカに引き渡さないと述べたが、アフガニスタンに追放するかもしれないという。

レーマン・マリック内相によると、パキスタン政府はまだバラダール師と他のタリバン幹部2人を取り調べているという。彼らはアメリカの協力で、それぞれ今月逮捕された。法を侵害していないことがわかれば、国内に留まることはないという。「まず法を侵害していないか調べる。侵害していれば、裁かれる。しかし、何もしていなければ、自分たちの国に帰ることになる。アメリカではない(後略)。

hoonPakistan will not hand Taliban suspects to US
ROHAN SULLIVAN、ISLAMABAD

■タリバン指導者「パキスタンで逮捕」[100219 BBC]

アフガン・タリバン幹部2人がパキスタンで逮捕されたと、メディアが報道した。

アブドゥル・サラーム師とミール・ムハンマド師は、それぞれアフガニスタン北部のクウドゥーズとバグラーンの「影の知事」といわれている。

しかし、彼らがパキスタンのどこで逮捕されたかは、さまざまな報道が出回っている。

木曜日にパキスタン軍報道官が『BBC』に、そのような逮捕に関しては何も聞いていないと述べた。

2人は2週間前に逮捕されたと報道されている。しかし、逮捕の状況は明らかではない。タリバン報道官は報道を否定し、NATOがプロパガンダを発信していると非難した。

(中略)水曜日に『ニューズウィーク』が、アブドゥル・サラーム師がパンジャーブ州のファイサラバードで逮捕されたと報道した。いっぽうクウドゥーズ州知事のムセハンマド・オマルが木曜日、アブドゥル・サラーム師もムハンマド・ミール師もパキスタンのバローチスタン州で逮捕されたと述べた。『ニューヨーク・タイムズ』は、北西辺境州のアコーラ・ハタックで逮捕されたと報じた。タリバン幹部指導者たちの出身地であるダルール・ウルーム・ハッカーニア・マドラッサがある場所である(後略)。

hoonTaliban chiefs 'held in Pakistan'

■さらにタリバン指導者2人逮捕[100219 New York Times]

関係者が木曜日に、最近になってタリバン幹部指導者が2人逮捕されたと述べた(中略)。

アフガン政府関係者によると、アフガニスタン北部のタリバンの「影の知事」2人が、パキスタンで逮捕されたという。クンドゥーズのタリバン指導者のアブドゥル・サラーム師とバグラーン州のミール・ムハンマド師が、2週間前にアコーラ・ハタックにある民家の捜索で逮捕されたと、現地のダルウル・ウルーム・マドラッサ指導者が述べた。

(中略)米政府幹部によると、2人の「影の知事」の逮捕は、バラダール師の逮捕とは関係がないという。

とはいえクンドゥーズ州知事のムハンマド・オマルによと、2人のタリバンはバラダール師と連携していたという。「サラーム師とムハンマド師は、非常に残虐な人間だった」と、クンドゥーズ州警察責任者のラザーク・ヤクービ将軍が述べた。「アフガニスタン北部で起きたテロ行為や処刑、その他の犯罪は、彼らが命じていた」。

タリバンの大物は、正体が伏せられていることや、アフガン政府が任命した知事を装うために、一般的に「影の知事」と呼ばれる。タリバンの「影の知事」は、与えられた地域の軍事・政治活動を管轄する。

パキスタンでの逮捕に先立ち、米軍・アフガン軍と諜報組織は、アフガニスタンでもタリバン指導者たちを逮捕することに成功している。

カブールのNATO軍関係者によると、米軍はここ数週間の間に、タリバンの知事「3〜4人」を殺害したという。そのうちの1人は、ラグマン州のタリバン影の知事だという。

別のNATO関係者によると、アフガニスタン南部のタリバン軍事司令官ザキール師が、マルジャ作戦が開始される前に、パキスタンに呼び戻されたという。

パキスタンでタリバン知事2人が逮捕されたことは、すべてのタリバン指導者がアフガニスタンから逃走している可能性がある。「タリバンは、苦境に立っている」と、NATO幹部が述べた。

hoonIn Blow to Taliban, 2 More Leaders Are Arrested
DEXTER FILKINS、KABUL

■パキスタンの抵抗勢力組織で爆発[100218 BBC]

パキスタン北西部の抵抗勢力の集まりで自爆攻撃があり、15人が死亡、100人以上が負傷した。ハシシュを売る混雑したマーケットのそばの建物で、親タリバン抵抗勢力が会合を開いているところに犯人が潜入して自爆したという。マーケットに買い物に来た人々も、死亡または負傷した。現場はカイバル部族地帯である。

(中略)目撃者によると、親タリバン組織のラシュカレ・イスラームが、ティラ谷にある建物内でレクチャーを行なっていたところに犯人が潜入し、自爆した。地元の人々によると、建物の隣りに仮設されたマーケットに群衆が集まっていたために、多数の警備員たちの間をすり抜けることができたという。

現場からの報告によると、ラシュカレ・イスラームのナンバー2が爆発で死亡した。犯行声明は出ていないものの、敵対する組織の犯行と見られている(中略)。地元の人々によると、ラシュカレ・イスラームと衝突しているアンサルウル・イスラーム−−現在は和平委員会と改名−−を、政府がヘリコプターを用いて援助しているという。

hoonBomb hits Pakistan militant group

■カラチでアルカイダ関係者3人逮捕[100218 Dawn]

カラチのグルシャン・イクバル地域で取り調べがあり、アルカイダと関係していると疑われる男性3人が逮捕された。

諜報関係者が、グルシャネ・イクバルのブロック17で男性3人を逮捕した。逮捕されたのはキファヤトゥッラーとアブ・レヤン・アル・ザルタジ、別名アブ・ムサである。アブ・ムサはビンラディンの部下であり、ワジリスタンで無人偵察機を撃ち落とすことで有名である。またパキスタンにおいて外国人戦闘員を指揮し、9.11以前はビンラディンとスーダンへ行っている。

3人はシェール・シャーから、タイマーなどの機械部品を購入するために、カラチを訪れていた。

hoonThree Al-Qaeda associates arrested in Karachi
KARACHI

■アフガン政府とタリバン代表、モルディブで会談[100218 News]

アフガニスタンの政治家とタリバンの代表が先月モルディブで会ったと、アフガニスタンとモルディブ政府が水曜日に述べた。

この会談は、1月下旬にロンドンで行なわれたアフガニスタン会議の前に実施された。

「タリバンとカルザイ政府の代表が会合に出席した」と、モルディブ大統領報道官のムハンマド・ズヘールが語った。モルディブの別の関係者は、3日間行なわれたこの会議に、モルディブ政府は直接関与したわけではないと述べた。

アフガン政府は、ヘクマチアルの息子が出席したこの会議には、自分たちの代表は参加していないと述べた。「現在国会議員になっている元タリバンとともに、ヘクマチアルの関係者との間で話し合いの場があった。1月にモルディブで開催され、今後も話し合いを続けることになった」と、カルザイ報道官のヒヤマック・ヘラワイが語った。

参加した政治家の1人は、以前政府とタリバンやヘクマチアルとの間を仲介している。モルディブ政府は、木曜日に今回の会議に関して公式に声明を発表するという。

1月31日にカルザイ大統領は、タリバンは、和平のための話し合いを行なう前に米軍とNATO軍は撤退するべきだという要求を引き下げなければならないと述べた。ヘクマチアルも、外国軍がまず撤退することを要求している。カルザイはタリバンとヘクマチアルが政府に参加することを希望しており、去年サウジアラビアに和平会議を取り持つように依頼している。

hoonAfghan, Taliban envoys met in Maldives
COLOMBO

■米偵察機、パキスタンで「抵抗勢力4人殺害」[100217 AFP]

水曜日に米偵察機がアフガニスタンとの国境近くにある建物を攻撃し、抵抗勢力4人が死亡した。日曜日以来、北ワジリスタンでは3回無人偵察機による攻撃が実施されている。

パキスタン政府関係者や住民によると、無人偵察機はタビ・トールヘールにある抵抗勢力の建物に、ミサイル2発を撃ち込んだ。ホーストから5キロ離れた場所である。「報告によると、4人が死亡し、2人が負傷した」と、ある治安関係者が述べた。地元行政府関係者も犠牲者の数を認め、建物はタリバン司令官のものだったという。建物はアフガニスタンから入ってくるタリバンが、ゲストハウスとして使用していた(後略)。

hoonUS drone strike 'kills four' militants in Pakistan
Hasbanullah Khan、MIRANSHAH

■パキスタン、タリバンの贈り物[100217 Asia Times]

(前略)逮捕されたバラダール師は、ギルザイ族出身のタリバンが多数いるなかで、唯一のボブルザイ(デュラニ)族である。もし彼がパキスタンやアメリカに協力することに同意したとしても、オマール師の支持がないかぎり、他のタリバン司令官に影響力を振るうことができない。

これまで毎冬、バラダール師は他のタリバン指導者や司令官とともに、カラチ南部のリー・マーケットに住んでいた。そこからカラチ西部のグルシャネ・イクバル地域を訪れ、マドラッサから献金を受け取っていた。

ISIは彼の動きを知っていたが、彼らはパキスタン国内では脅威でなかったために、取り締まることはなかった。軍は彼らに関与することに興味がなかった。外国軍が撤退すれば、タリバンを政治的に利用できるからだ。

(中略)しかし今パキスタンとワシントンの関係は変化し、パキスタンは大きな獲物を捕まえ、ワシントンがタリバンと直接対話することに協力した。

しかしこれも、うまくいかないかもしれない。これまでも重要な司令官が逮捕されると、それ以後この司令官の影響力は完全になくなる。その例として、2003年に逮捕されたアブドゥル・ラザーク師がいる。彼はパキスタンで逮捕され、政府は彼を利用してタリバンとの関係を築こうとした。しかし彼はすぐに影響力がなくなったために、うまくいかなかった。彼はその後釈放され、再びタリバンに戻った。

パキスタンの元タリバン大使ザイーフ師も、いい例である。アメリカはザイーフを利用して和解計画を行なおうとしたが、成功しなかった。

しかしバラダールも、何かを提供するかもしれない。例えばハッサン・ラーマニ師やジャリール師などの居場所がわかるかもしれない。彼らはバラダール師と一緒に、カラチに滞在するのが常だった。

しかし、オマール師の居場所を追求することは難しいだろう。アメリカに近いパキスタン軍関係者でさえ、オマール師の逮捕を許すことはない。むしろオマール師の居場所をバラダールから聞き出そうとすれば、悪影響のほうが大きくなる可能性がある。オマール師を、モーマンドやバジョール、北ワジリスタンに軍隊を持つアルカイダに、さらに近づけてしまうことになる。

hoonPakistan delivers a Taliban treat
Syed Saleem Shahzad、ISLAMABAD

■タリバン指導者の逮捕、パキスタン人にとって致命的か[100217 New York Times]

パキスタンがタリバン軍事司令官幹部を逮捕したことは、アメリカにとっては戦術上勝利であるが、パキスタンにとっては重要な戦略の変更である。

(中略)パキスタン陸軍参謀長のキアニ将軍は、パキスタンはタリバンとの話し合いのための仲介役を果たしたいと、これまで何度も表明してきた。

バラダール師の逮捕に先立ち、パキスタン人諜報関係者は、パキスタンが話し合いから除外されていることに対して、苛立ちを表明した。「アメリカは我々がタリバンと直接交渉することをいやがっているが、いっぽうで彼らは我々に秘密で接触しようとしているようだ」。「パートナーにこのような態度はないはずだ」。

これまでバラダールは、アフガン人にとっては重要な仲介者だったと、アフガン人関係者は語る。オバマ政権関係者は、彼と接触したことを否定している。

いずれにしてもバラダール師の逮捕で、パキスタンはタリバン首脳陣との仲介役を果たす重要な人物を孤立させることに成功し、逆に自分たち自身が仲介の対象となった。「我々はバラダール師を追っている」と、3週間前にパキスタン人諜報関係者が述べている。「アメリカ人たちか、彼や彼に近い人間と接触していることは確かだ」。

関係者によると、アメリカがアフガン人タリバンとの話し合いからパキスタンを除外しようとしていることで、事の成り行きが「難しく」なっているという。「我々を重要な仲間だといいながら、我々が追跡している人間と交渉し、さらに我々をそれに参加させないなど言語道断だ」。

バラダール師の逮捕を知るワシントンの米関係者は、タリバン司令官と交渉したり話し合いに参加するためにパキスタンの諜報組織が逮捕に踏み切ったという事実はないと述べた。「それは憶測であり、信頼性はない。なぜなら、真実ではないからだ」という。

しかしそれがパキスタンの意図でなくても、結果的にはそうなった。

(中略)オバマ政権はタリバンの扱い方に関して意見が分かれているが、パキスタンの動きはカルザイのアフガン政権の試みに打撃を与え、彼が開始している和解計画を複雑にする可能性がある。

ヨーロッパにいる米諜報関係者もこれを認めながらも、バラダール師が和解計画に重要な役目を果たすであろうことも述べた。「我々の仲間が彼の周囲の人間と接触し、彼と交渉していたことは知っている」。「だから、我々の益になるような人物に打撃を与えるなどとは考えにくい」。「タリバンは我々と交渉する意味がなくなってしまったために、我々が何かを提供したり何かを言ったりしても、信じないだろう」。

逮捕は、非常にデリケートな時期に行なわれた。タリバン自身も、和平のための話し合いに応じるか戦い続けるかを、論議している。(中略)過激主義者たちの中には戦いを続行したい者もいる。しかし最近は、和平を求める意見が多くなってきたと、カンダハル州議会のメンバーのハッジ・ムハンマド・エーサンが語る。

(中略)「和平のための話し合いに積極的だった、唯一の人間だった」と、カンダハルの政府主導和解計画の元責任者、ハッジ・アガ・ラライが語る。彼やアフガン政府関係者によると、バラダールがパキスタンのISIに逮捕され、ISIやアメリカの工作員の取り調べを受けることで、2つの結果が出るという。バラダールが他のタリバンに投降することを説得できるか、あるいは彼が虐待されたことがわかった場合、タリバンとの話し合いの可能性は完全になくなることになる。

「もし彼が、話し合いや和平交渉を行なうためにタリバンたちに出てくるように交渉できれば、タリバン首脳陣の間に大きな変化があるはずだ。しかし彼が囚人として扱われて拘束されれば、和平のための話し合いは実現しない」と、カンダハルの長老のハッジ・バリダードが語った。

アフガン政府は、バラダール逮捕に反応していない。これは、パキスタンの行為に不満を感じているからと思われる。過去においてバラダールと直接コンタクトがあった大統領の弟のアフマッド・ワリ・カルザイは、彼の逮捕を歓迎してオマール師にとっては「致命的な打撃」と述べた。

しかしカルザイの和平計画に協力してきた、パキスタンの元タリバン大使のアブドゥル・サラーム・ザイーフは、他のタリバン首脳陣と和解する可能性を台無しにしてしまったと非難する。「もし本当なら、和平協定に大きな打撃となる」。「両者の間に芽生えた危うい信頼を台無しにし、和平計画に支障をきたす」。

smellArrest of Taliban Chief May Be Crucial for Pakistanis
CARLOTTA GALL and SOUAD MEKHENNET、ISLAMABAD

■タリバン指導者の逮捕、抵抗勢力に打撃[100216 AP]

CIAとパキスタンのチームの合同作戦によってアフガンタリバンのナンバー2司令官が逮捕されたことで、アメリカの攻撃を受けている抵抗勢力にとっては大きな打撃となるだろう。また今後パキスタン治安軍が、国内の隠れ家からアフガン人抵抗勢力指導者たちの排除を行なうことに期待が持たれる。

アブドゥル・ガニ・バラダールがカラチで逮捕されたことで、パキスタン側に隠れる他の指導者たちが、アフガン政府との話し合いに応じてくる可能性が高まってきた。

40代後半のバラダールは、オマール師に次ぐナンバー2と言われ、組織の首脳会議の中で、大きな役目を果たしていたと言われる。オマール師と野戦司令官との間をつないできたバラダールが拘束されてすでに10日以上たつが、取り調べに応じているとパキスタン人関係者2人が述べた。バラダールは「有益な情報」を提供しており、これをアメリカの仲間と共有しているという。

(中略)しかし、「もしパキスタンの関係者が彼を逮捕したかったなら、ずっと前にしていたはずだ」と、アフガニスタンのヘルマンド州もと知事のシェール・ムハンマド・アフード・ザーダが述べた。「なぜ今逮捕するのだろう」。

「パキスタン政府は、タリバンが大きな脅威となってきたと感じ始め、パキスタン人とアフガニスタン人タリバンとの間に赤い線を引き始めた」と、ロンドンを拠点とするRoyal United Services Instituteのマイケル・クラークが述べた。「タリバンを取り締まっていることを印象づけ、彼らを追い出したがっている」。ワシントンはこれが事実だと考えたい。

(中略)「諜報情報はアメリカ側が提供したのだと思う」と、パキスタン人ジャーナリストのラヒムッラー・ユーサフザイが語る。「『これこれの場所を取り調べなければならない』と言うと、パキスタン人は『一緒にやろう』」と言うのだ(後略)。

hoonTaliban leader's arrest a new blow to insurgents
CHRIS BRUMMITT、ISLAMABAD

■タリバン幹部司令官、極秘合同作戦で逮捕[100216 New York Times]

タリバンの幹部軍事司令官が数日前にパキスタンのカラチでパキスタンとアメリカの諜報組織による極秘合同作戦で逮捕されたと、米政府関係者が述べた。

アブドゥル・ガニ・バラダール司令官は、2001年以来逮捕された、タリバンの最も重要な人物だという。オマール師の次の地位におり、ビンラディンとも近い関係にある。

バラダール師はすでに数日前パキスタンに拘束され、アメリカとパキスタンの諜報関係者が取り調べを行なっているという。彼が情報を提供しているかどうかは明らかではないが、他のタリバン指導者逮捕につながる可能性が期待されている。

(中略)逮捕の詳細は明らかではないが、ISIがCIA工作員とともに行動したといわれる。『ニューヨーク・タイムズ』は木曜日に逮捕の事実を知ったが、ホワイトハウスの関係者の要求により、発表を控えていた。

(中略)米関係者によると、バラダール師はタリバンの軍事作戦を統括するほかに、首脳会議を運営しているという。

タリバン報道官は火曜日に、バラダールはまだ自由の身であると主張した。「マルジャの作戦から一般の注意を反らすために、噂を流している」と、ザビウッーラー・ムジャーヒッドが語った。「彼らはマルジャで困難に直面している。現実的には、バラダールの逮捕に関する出来事はない」。

ISIが今回の逮捕に関与したことは、これまでタリバンの取り締まりに乗り気でなかったパキスタンの指導者たちの間に、新たな協力態勢が出てきたことを示唆する。軍参謀長のキアニ将軍を含め、パキスタンの幹部指導者たちの間では、アフガニスタンのタリバンを今後も支持し続けることは難しいと見る者たちが出てきた。米関係者たちは、パキスタンの治安関係者がその気になれば、バラダール師をずっと前に逮捕できたはずだという。

関係者によると、パキスタンがバラダール師の取り調べを行なっているが、アメリカ人たちもこれに関与しているという。

(中略)カブールの元タリバン関係者で、今でも元の仲間たちとコンタクトをとっているワヒッド・ムズダによると、タリバン首脳会議は1ヵ月に3〜4回開催され、戦略を話し合っている。3年前に首脳会議には19人がいたが、そのうち6人が殺害されたり、逮捕されたりしている。欠員には、他のメンバーが補充されている。

(中略)「オマール師の次に強力なのがバラダールだ」と、ムザダ氏が語る。「彼とオマールは安全のために、それほど頻繁に会うことはできないが、良い関係を保っている」。

タリバン首脳陣に詳しい欧米やアフガンの関係者によると、バラダール師は指導者の中でももっともとっつき易い人物で、アフガン政府との交渉にも積極的だという。これまで拉致事件の解決のためにタリバンの指導者たちと接触するときは、彼を通じて行なっていた。

バラダール師の経歴ははっきりしないが、インターポールによると、オルズガン州のウィートマックで1968年に生まれたとされる。熟練した軍事指導者で、タリバン幹部司令官たちと、幹部会議を開催している。

去年の夏に『ニューズウィーク』とのインタビューで、バラダール師はオマール師とは常にコンタクトを取ることはできない」が、「重要な問題」が発生した場合は、アドバイスを受けると言っている。また同じインタビューで、アフガニスタンに米兵が増兵されることは歓迎されると述べた。タリバンは「米国人が防御された陣地から出てその数が多くなれば、それだけ多くの犠牲者を出すことができるため」だという。

9.11直後、バラダール師はオマール師からアフガニスタン北部のタリバン軍の指揮を任された。2001年にタリバン政権が崩壊すると、バラダールはタリバン幹部と共に、米軍に協力していたアフガン民兵軍に逮捕された。しかし、パキスタンの諜報工作員たちが介入したために、彼とともに他のタリバン指導者たちは釈放されたと、北部同盟幹部が述べた。

ohSecret Joint Raid Captures Taliban's Top Commander
MARK MAZZETTI and DEXTER FILKINS、WASHINGTON

■スーフィー、治療を受ける[100215 News]

TNSM創始者のモーラナ・スーフィー・ムハンマドが土曜日、ペシャワルの中央刑務所で眼科治療を受けていたことがわかった。

情報源によると、スーフィー・ムハンマドは2009年7月に扇動的な行ないをしたとして逮捕されて以来刑務所に収監されているが、目に支障をきたしたために、医師が派遣されたという(後略)。

hoonSufi provided medical treatment
PESHAWAR

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2010.