【2010年5月10日〜5月16日】


■戦闘機、過激派15人を殺害[100516 AP]

ジェット戦闘機が日曜日にパキスタン北西部にある過激派の隠れ家を攻撃し、抵抗勢力15人を殺害したと、政府関係者が述べた。

パキスタン軍は、3月中旬からオラクザイで軍事作戦を実施している。砲撃や空爆により、2ヵ月の間に過激派数百人を殺害した。

日曜日に殺害された15人は、オラクザイのカメール・メーラとダボリ、ゴジャール村に立て籠っていた(中略)。

これとは別に日曜日に、前日過激派が銃をつきつけて拉致した60人のうち40人を解放したと、地元行政官のラシード・ハーンが述べた。このほかに10人が自力で逃走した。一行はペシャワルに向かっていたところを、拉致された。

過激派に解放されたのは、女性や子供、貧しい男たちだったと、ハーンが述べた。裕福な男たちが拘束されており、身代金を要求しようとしているという。「現在過激派は10人を拘束している。解放のために、全力を尽くしている」という。

hoonPakistan: Fighter jets kill 15 suspected militants
HUSSAIN AFZAL、PARACHINAR

■パキスタン北部で「大量拉致」[100515 BBC]

パキスタンの警察によると、パキスタンの北西部の部族地帯で約60人が過激派に拉致されたという。捕虜たちはクラームを車で走行中、警察官の制服を着た男たちに襲撃された。女性や子供たちも、一緒に拉致されたという。

重武装した過激派が、パラチナールで車列を組んで走行していた車を奪ったと、クラームの警察責任者のミール・チャマンが語った。「過激派たちは警察官のふりをして、警察官の制服を着ていた」。

現在のところ、犯行声明は出ていない。

garr'Mass kidnap' in north Pakistan

■米国人タリバン、到来[100512 Times]

(前略)タイムズ・スクエア爆弾未遂事件の犯人、ファイサル・シャーザッドが、実際にTTPに訓練されたのかどうかは、明らかではない(中略)。TTP自身も、当初は犯行声明を出していたにもかかわらず、これを否定した。報道官のタリークは、「これは高貴なる仕事で、すべてのムスリムの若者がファイサル・シャーザッドに続く事を祈る。しかし、彼は我々の組織の人間ではない」と述べた。さらに「アメリカの陰謀で、ムスリムとパシュトゥーンの若者をテロ活動の罠に陥れるものだ」とさえ語った。

これは嘘だろうが、ある程度うなずける。シャーザッドの「爆弾」は、お粗末だった。TTPは、爆弾製造訓練をほんの数日間しか行なわない。この訓練士たちは、アルカイダ組織に訓練される。もしシャーザッドが実際にワジリスタンのキャンプで訓練を受けたのなら−−リーク情報はこれを民衆に信じ込ませようとしているが−−彼の爆弾は、少なくとも爆発するはずだった。

しかしさまざまなリーク情報により、シャーザッドがTTPと関係があり、指導者たちと会い、ワジリスタンで訓練を受け、現在イエメンに潜状している米国生まれのイマーム・アンワル・アル・アワラキの指導さえ受けたということになっている。証拠は? 皆無だ。

マックラチー紙は、「米政府関係者6人」が、シャーザッドが「パキスタン人タリバンなどのイスラーム過激派組織のテロ訓練を受けた証拠はない」と指摘している。パシュトゥーンのエリートの家系出身で、空軍副提督の父親バハウル・ハックは、アメリカではタリバン幹部指導車と関係があったと考えられているが、パキスタンではこれを指摘する者は誰もいない。パキスタンの警察で事情聴取を受けただけである。

《アメリカ人タリバンのプロフィール》

シャーザッドが、ワジリスタンでパシュトゥーンの一般民が無人偵察機で殺害されるのを実際目撃したかどうかはわからない。しかしこれは彼のジハード行為の動機だったことは明らかだ。しかし彼が実際にこれを見たか、あるいは聞いたり読んだりしたかということは、重要ではない。彼は、パシュトゥーン・ナショナリズムとイスラームが攻撃されていると、感じたのだ。彼の家は抵当に入れられ、銀行金の返済を迫られ、結婚も暗礁に乗り上げていたと報告されているが、あちら側に行くためには、「ガラスを割る」ための一押しはほとんど必要ではなかった。

シャーザッドは若く、グローバル化され、幻想−−ヴァーチャル・ウンマ(ムスリム共同体)に感化されていた。ウンマをインターネットで理想化していたところから、現実にこれを行なう衝動にかられ、大きな一歩を踏み出したのだ。すべてのネオ・ジハード者のように、彼は家族との接触を断った。パキスタン系米国人として、彼の行動領域はすでに拡散していた。

このことが、特徴的だ。テロ組織から指導される必要はない。さらに彼はナルシストだったようだ。オリバー・ロイが言うように、アルカイダの影響を受けたネオ・ジハード者は、ある種の英雄で、「居場所のない世界から逃げることで、不満のある人生から解放され、有名になる」のだ。

しかしタイムズ・スクエアの未遂事件では、このひとつとして達成できなかった(中略)。

アメリカの民衆は、自分たちが危険にさらされている今、事実を認めようとしない。国内では、平和的に暮らしている異分子さえもが、「テロリスト」として犯罪人になりうる。イマーム・アル・アワラキのような米国民が、海外で「極秘」に暗殺されることもあり得る。国内でこれが起きれば、犯罪だ。国内で米国民を暗殺することを許可する、新たな政策ができるかもしれない。

オバマ政権、諜報組織や世論は、自分たちが危険にさらされている今、遠い場所で起きている現実を認めようとしない。パキスタンに対する無人偵察機の戦争に関して、パシュトゥーン族だけでなくパキスタンの国民のほとんどが、「誰だかわからない」「見えない」人間に対する、アメリカ主導の戦争、超法的、組織立った大量殺人と見ている。オバマ政権は、この戦略を考え直すつもりがあるか、語りさえしない。

そのつもりがないからだ。タイムズスクエア爆弾未遂事件のタイミングは、アメリカにとっては好都合だった。オバマ政権はパキスタンに対する無人偵察機の戦争を強化し、先週CIAには「極秘」に、「誰だかわからない」、見えない、下級パシュトゥーン人戦闘員をこれまで以上に多数攻撃する許可を与えた。(2009年だけでも、一般市民400人が死亡している。)(中略)パキスタン人は、これを新たな宣戦布告と見るだろう。

バーチャル・ジハード遊牧民の時代が始まった。オサマたちはもうどうでもいい。シャーザッドたちの時代だ。不法な、極秘無人偵察機の戦争が始まる。回転しようがしまいが、恐ろしい、途方もない、大きな反動が続くだろう。気をつけろ、米国人タリバンが来る。

garrThe American Taliban are coming
Pepe Escobar

■パキスタンの部族地帯でミサイル攻撃、24人死亡[100511 AP]

パキスタンの国境付近にあるタリバンの拠点に対して、2度にわたって多数のミサイルが撃ち込まれ、抵抗勢力24人が殺害された。

最初の北ワジリスタンに対する攻撃では、ミサイルが18発が使用された。これまで、これほどの激しい攻撃はなかった。抵抗勢力の隠れ家や訓練所があるというドガ地域で、車や民家、テントなどが攻撃されたという。

その数時間後、北ワジリスタンのゴルウェック地域にあった建物に、ミサイク2発が撃ち込まれ、10人が死亡した。この攻撃で、有名なタリバン司令官モーラビ・カラームの弟が死亡した(後略)。

hoonMissile attacks kills 24 in Pakistan tribal area
HUSSAIN AFZAL、PARACHINAR

■アフガンの「極秘収容所」確認される[100511 BBC]

アフガニスタンのバグラムにある米空軍基地には、メインの収容所のほかに囚人を収容する施設があることを赤十字が認めた。

9人の元囚人が『BBC』に語ったところによると、別の建物に拘束され、拷問を受けたという。

米軍は、基地にはパルワン拘束施設と呼ばれる収容所しかないと主張している。しかし拷問があったかどうかは、調べると述べた。

国際赤十字委員会によると、米政府は2009年8月以来、バグラムにある別の施設に収容されている人間の名前を知らせてきたという。

赤十字は『BBC』に、別の収容所が存在するかどうかという質問に答えた。元囚人たちはこれを「トール(黒い)刑務所」と呼んでいる。寒い独房に入れられ、1日中電気がついていたという。

これに対してアフガニスタンにあるアメリカの収容所の責任者であるロバート・ハーワード副総督は、このような収容所があることも虐待があったことも否定した。パルワン拘束施設だけが、アフガニスタンにあるアメリカの収容所だと主張した。

garrAfghan 'secret prison' confirmed
Hilary Andersson

■過激派に話し合いの気分なし[100511 Asia Times]

(前略)パキスタンは週末に北ワジリスタンにビラを空中からばらまき、親タリバン部族民に「アルカイダやパンジャーブ人過激派に協力することをやめ」なければ、スワートやバジョールの人々のように、財産を失うことになると警告した。

(中略)「イマーム大佐」と呼ばれているアミール・スルタン・タラール大佐が、ハリッド・ハワジャとジャーナリストのアサド・クレイシイと一緒にパンジャーブ人過激派組織のエイジアン・タイガーに拉致された。ハリッド・ハワジャは銃殺され、最近遺体が北ワジリスタンで発見された。組織はタリバン指導者のオマール師の指示を無視してイマーム大佐を解放せず、パキスタン政府に拘束されている仲間を15日以内に解放しなければ、タラールはハワジャと同じ運命になると警告した。クレイシーの解放には、1000万ドルを要求している。今週末、クレイシーのビデオが『Asia Times』に送られてきた。

『ニューヨークタイムズ』によると、現在パキスタン国内に米軍200兵がおり、パキスタン軍や準軍隊と諜報情報を共有し、また過激派組織と戦えるように訓練しているという。抵抗勢力たちはこれを逆手にとり、米国人たちを国境付近の山中に誘い込んで罠にかけようとしている。

過激派は仲間150人の釈放を要求しているが、この中にはラワルビンディの陸軍本部に対する攻撃、身代金目当ての拉致事件、2008年のムンバイ攻撃に関与した者たちが含まれている。過激派たちは当初、捕虜2人を解放すると言っていた。

過激派報道官のウスマン・パンジャビが語ったところによると、ハワジャは処刑されるが、イマーム大佐は解放すると言っていた。イマーム大佐は、過激派と軍との間の和平協定計画には、関与していないからだという。

また別の情報源も、イマーム大佐はアフガン人タリバンからの圧力を受けたために解放され、ハーフィズ・グル・バハドゥールが率いるジャラウッディン・ハッカーニの組織に引き渡されると述べていた。しかし、ニューヨークでファイサル・シャーザッドが逮捕され、無人偵察機の攻撃が激化したことで、すべてが変わった。アルカイダは強硬な態度をとり、オマール師の権威を退けた。

「我々がイマーム大佐とアサド・クレイシーを解放することに同意したという情報は、完全に間違っていた」と、ウスマン・パンジャビが日曜日に『Asia Times』に電話で語った。「オマール師から指示を受けてはいない。我々は、オマール師から直接派遣された人間には会っていない。オマール師の指示という話は、オマール師からイマーム大佐を解放してほしいと頼まれたという、ISIから協力を得ている北ワジリスタンのタリバンの間の噂だけだ」。

「我々は彼らに証拠を求めた。この件に関して、信用できる人間は誰もいない」。「我々にとって、イマーム大佐はムジャーヒッドではない。彼は過去においてタリバンの父と呼ばれたのであれば、それは政府の職員としてやったことにすぎない。彼は、まだパキスタン陸軍から年金を受け取っている。我々からみれば、彼は軍の人間だ」と、ウスマン・パンジャビが語った。イマーム大佐は釈放されるという以前の言葉とは、まるっきり逆である。

アルカイダが北ワジリスタンで影響力を発揮し、良いタリバンも悪いタリバンもアルカイダ傘下で活動せざるを得ないような状況ができてきた。そしてアメリカを、戦いに誘い込もうとしている。

hoonMilitants in no mood to talk
Syed Saleem Shahzad、ISLAMABAD

■パキスタンで無人偵察機「14人殺害」[100511 BBC]

北ワジリスタンでアメリカの無人偵察機が抵抗勢力14人を殺害したと、地元関係者が述べた。偵察機はミランシャーから30キロほど離れた隠れ家に、ミサイル12発を撃ち込んだ。

パキスタンの治安関係者が『AFP』に語ったところによると、アメリカの無人偵察機が火曜日に建物にミサイルを撃ち込んだ。「建物と、建物の外に駐車した車を狙った。全部で過激派14人が殺害された」という。

『ロイター』によると、治安関係者が「抵抗勢力が現場を封鎖し、瓦礫の中から遺体11人を掘り起こした」という。「抵抗勢力たちはまだ遺体を探している」ために、犠牲者の数は増える可能性がある。

hoonPakistan drone attack 'kills 14'

■タリバン、「パキスタン兵殺害」[100510 BBC]

パキスタンのオラクザイで抵抗勢力数百人と治安部隊が衝突し、少なくとも兵士9人が死亡したと軍関係者が述べた。抵抗勢力約30人も殺害されたというが、タリバンはこれを認めていない。

抵抗勢力が、マンダティ地域の深い森の中をパトロールしていたところ抵抗勢力に襲撃され、戦闘が開始された(中略)。軍関係者によると、戦いは「激しく」、犠牲者の中には将校2人が含まれているという。戦場にはジャーナリストが入ることが禁じられているために、正確なことはわからない。

地元の住民によると、日曜日に軍がダブリ地域に検問所を設置した。その後マンダティを含む付近の森の中を、パトロールし始めた。

軍は去年南ワジリスタンで軍事作戦を開始したが、抵抗勢力たちの多数が付近の地域に移ったに過ぎないという。またスワートのような地域では、再びタリバンが再結成している気配がある(後略)。

hoonTaliban 'kill Pakistan soldiers'

■北ワジリスタンで無人偵察機の攻撃、6人死亡[100510 News]

北ワジリスタンのダッタヘール地区にあるインザルカ村に対してアメリカの無人偵察機によるミサイル攻撃があり、地元の人間と思われる6人が死亡、4人が負傷した。報道の中には10人が死亡したとするものもある。

ダッタヘール地区のマダヘール村は、ハーフィズ・グル・バハドゥールの故郷である。マダヘールとミランシャーの間にある検問所に駐屯する国境警察隊によると、死亡した6人の棺が葬儀のためにそれぞれの村に運ばれていった(中略)。

医師によると、負傷して連れ込まれた4人は、全員地元の部族民だった。しかしミランシャーの治安関係者は、犠牲者はモーラビ・スィディーク・ヌール司令官のグループに属していたと述べた。アラブ人戦闘員だったという報道もあるが、これは事実ではないと述べた。サディーク・ヌールは、ハーフィズ・グル・バハドゥールの腹心である(後略)。

hoonSix killed in NWA drone attack
Mushtaq Yusufzai、PESHAWAR

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2010.