【2010年6月14日〜6月20日】


■無人偵察機攻撃の犠牲者16人にアルカイダ[100620 Dawn]

土曜日に北ワジリスタンのアンゼール・カリ地域に対する無人偵察機の攻撃があり、アルカイダ指導者を含む過激派16人が死亡、10人が負傷した。

関係者によると、建物の地下で会合が開かれていたところ、アメリカの無人偵察機が午前10時にミサイルを2発撃ち込んだ。

犠牲者の身元は明らかではないが、情報源によると、アルカイダ指導者のアブ・アフマッド・タルカシュがその中にいたという。

地元の人々は、瓦礫の中から遺体や負傷者を運び出す作業に参加することが禁じられた。しかし16人の遺体と負傷者10人が運び出されたという。攻撃があったとき、上空には偵察機4機が旋回していた。

hoonAl Qaeda man among 16 killed in drone attack
MIRAMSHAH

■パキスタンでミサイル攻撃、過激派16人死亡[100619 New York Times]

土曜日に北ワジリスタンがミサイルで攻撃され、アフガニスタンのNATO軍と戦う計画を立てていた過激派たちが少なくとも16人死亡したと、住民と諜報関係者が述べた。

関係者によると、無人偵察機がミサイル1発を発射し、ミールアリ近くのハイダル・ハール村にある政府の給水プラントを攻撃した。過激派たちが、ここで会合を開いていた。

学校や病院、給水プラントなど政府の建物は、すべて過激派が使用し、会合や訓練所として使用している。

住民によると、犠牲者のうちの11人がアラブ人やウズベク人などの外国人だった。この他に19人が負傷した。

この建物はハイダル・ヘール村とハッス・ヘール村の中間にあり、過激派の拠点である(後略)。

hoonMissile in Pakistan Kills 16 Militants
PIR ZUBAIR SHAH、ISLAMABAD

■かつてブラックウォーターとして知られる会社が、アフガンで仕事[100619 AFP]

以前ブラックウォーター・ワールドワイドとして知られていた会社の一部が、1億2000万ドル以上相当の契約で、ヘラートとマザリシャリーフの新しい米領事館を警備することになったと、土曜日に米大使館が発表した。

金曜日に元ブラックウォーターで現在のクセ・サービスのビジネス部門、The United States Training Centerと請負の契約を結んだと、大使館報道官のカイトリン・ハイデンが発表した。

会社は、Triple CanopyとDynCorps Internationalに勝って契約したという。1年間の契約であるが、2度にわたって3ヵ月間延期でき、合計18ヵ月間契約を結ぶことができる(後略)。

hoonFirm once known as Blackwater gets Afghan contract
KABUL

■アフガニスタンから兵士14人空輸[100619 News]

クナール州でアフガン治安部隊に拘束された国境警察隊員14人が、金曜日に軍の特別ヘリコプターで帰国した。

またモーマンドのモーラビ・オマル・ハリッドが率いるタリバンが、6人の兵士の遺体を部族ジルガに引き渡し、まだ兵士10人を拘束していると述べた。

軍関係者によると、兵士34人がまだ行方不明になっているという。誤ってクナールに入った国境警察隊員14人が、アフガニスタンの治安軍に逮捕された。

パキスタン政府関係者との話し合いのあと、アフガン政府は木曜日にパキスタン兵の釈放を決めたが、ジャララバードまで連れてくるのが遅れたために、釈放は金曜日にずれ込んだ。軍の特別ヘリコプターがジャララバードに飛び、金曜日に兵士たちが帰国した。

軍関係者によると、まだ兵士34人が行方不明で、どこにいるかは全くわからないという。日曜日にタリバンに攻撃されたクナールと接するモーマンドのションタレイ検問所には、国境警察隊員65人が駐屯していた。モーラビ・オマル・ハリッド系の地元タリバンが検問所を攻撃したと主張し、兵士7人を殺害、10人を拉致したという。

モーマンドのタリバン報道官のヤシン・サフィが、国境警察隊の検問所を攻撃したと犯行声明を出した。戦闘で兵士7人を殺害し、10人を拉致したという。サフィによると、部族ジルガが、死亡した兵士の遺体を引き渡すように要求してきたために、木曜日の夜に遺体を引き渡したという。軍関係者によると、攻撃があった翌日、国境警察隊員65人のうち11人がモーマンドのガラナイに戻り、54人が依然行方不明だった。

モーマンドの部族民情報源によると、モーマンド、バジョール、スワートの過激派たちが同時に国境警察隊員を攻撃し、検問所から略奪したという。検問所はモーマンドの中心部であるガラナイから遠く地形も険しいために、攻撃があった5日後まで、検問所とコンタクトをとれなかったという。またアフガン軍も一緒になって検問所を攻撃したという噂が流れたが、軍関係者はそのような事実に関する情報はないと述べた。

hoon14 soldiers airlifted from Afghanistan
Mushtaq Yusufzai、PESHAWAR

■北ワジリスタンでアルカイダ工作員殺害[100617 Longwar Journal]

今月初めにアメリカが北ワジリスタンで、アルカイダ司令官2人とトルコ人戦闘員を無人偵察機による攻撃で殺害したと、ジハード組織が発表した。

「アラブ人アルカイダ軍事司令官」であるシェイク・イーサヌッラーと、フルサニ・ムハンマド・グループの司令官イブラヒム、ハルーンとして知られているトルコ人外国人戦闘員が、6月10日に北ワジリスタンのノラック村で実施された攻撃で死亡した。

アフガン・パキスタン国境で活動する国際トルコジハード組織であるタイファフル・マンスーラが、声明を発表した。

タイファフル・マンスーラは、これまでもパキスタンの部族地帯から多数の声明を発表している。最近では、イスラミック・ジハード・ユニオンのドイツ人ジハード者、エリック・ブレイチンゲルが、4月30日に北ワジリスタンのミールアリでパキスタンの治安部隊と衝突して死亡したと発表している。

タイファフル・マンスーラは、6月11日に「メディア報道官」で「メディア部門の司令官」だというアブ・ヤヒール・アル・トゥルキの署名付きで、テロリスト3人が死亡したことを発表した。

「昨晩、スパイ偵察機が、ワジリスタンを攻撃した」と、トゥルキが述べた。「建物内にいたトルコ人ムジャーヒッドとアルカイダ司令官のシェイク・イーサヌッラー司令官が、イブラヒム司令官とともに死亡した。詳しいことは安全のために話せない」という。

3人は6月10日にノラックであった攻撃で、死亡したと報告されている。アメリカが、タリバンが使用していたという建物を攻撃した(後略)。

hoonThe Long War Journal: Al Qaeda operatives killed in North Waziristan strike
Bill Roggio

■パキスタン、タリバン攻撃後に行方不明の兵士を捜索[100617 BBC]

パキスタン軍によると、月曜日にタリバンに国境近くの検問所を攻撃されたあとで行方不明になっている、数十人の兵士の行方を捜索している。

アフガンタリバンが水曜日に語ったところによると、モーマンドを襲撃してパキスタン兵40人を拉致した。「彼らを捜している」と、アサール・アッバス軍報道官が述べた。

アッバス少将によると、兵士40人が行方不明になっており、現在行方を捜査中だという。

モーマンドの治安関係者が語ったところによると、月曜日にモーマンドのションカライ地域がアフガン人タリバンに攻撃され、多数の兵士が行方不明になったという。「同日行方不明者のうち10人が帰ってきた。まだ40人が行方不明だ」という。

いっぼうクナールを拠点とするアフガン軍司令官のムハンマド・アフザルが語ったところによると、モーマンドとバジョールで、5〜6日前からタリバンとパキスタン兵の間で衝突が続いているという。パキスタン兵が2度アフガン側に越境し、地元の人間に匿ってもらっているという。また8〜10人の兵士がジャララバードのパキスタン領事館に引き渡されたという水曜日の報告を、確認した(後略)。

hoonPakistan hunts for troops missing after Taliban attack

■パキスタン、アフガン取り引きの仲介を試みる[100616 Dawn]

パキスタンが、ハッカーニの組織とカブール政府との間の橋渡しを行なうことで、アフガニスタンの和解計画を進めていることがわかった。

「仲介者たちを通じて、シラージュ・ハッカーニや彼の組織の他の指導者たちとの接触に成功し、カルザイ政権との関係を築こうと努力している」と、ある治安関係者が語った。

情報源によると、この仲介者たちが、カブールとハッカーニが政治的問題を解決するための計画を提示したという。

両者がこの計画を受け入れれば、戦いで疲れた国家に平和が訪れる可能性があると、政府関係者が述べた(中略)。「今のところ先のことははっきりしないが、過激派組織の首脳陣が話し合いに応じようとしているために、良い兆候が見られる」と、治安関係者が述べた。

パキスタン政府が主導権をとっていることは、アフガン政府の様子からも見て取れる。アナリストたちは、最近カルザイ大統領がパキスタンに対する態度を変えてきたと述べる。イスラマバードに対するカルザイの攻撃的な態度がなくなり、イスラマバードを3月に訪問したときにも、パキスタンが和解計画に参加することを認めている。

さらに諜報責任者のアムルッラー・サレーとハニーフ・アトマール内相の辞任で、アフガニスタンとパキスタンの関係も改善するはずである。

(中略)『Dawn』の調査によると、イスラマバードがハッカーニの組織とカブールの間を取り持ったのは、アメリカが北ワジリスタンの作戦を開始するように圧力をかけてきた結果だという。

ただし軍は、Fataで新たな前線を開くことに興味はない。オラクザイなどで作戦を実施しているために、北ワジリスタンには入りたくない。

同時に、軍が北ワジリスタンの作戦を躊躇していることには、たくさんの理由がある。ハッカーニの組織はパキスタン国内で活動していないために、他の過激派組織のように、パキスタンにとっては脅威ではないためもある。

しかしもっと重要なことは、軍の中にはいまだにハッカーニと関係のある者たちがおり、この親子はイスラマバードの将来に有効と見ているからだ。この組織が将来アフガニスタン政府の一部に参加すれば、パキスタンはアフガニスタンの国政に関与できる。

このような理由のために、パキスタンの文民政府と軍は、カルザイとハッカーニ組織の間を取り持っている。問題は、アメリカがこれを受け入れるかだ。

しかし関係者によると、アメリカはハッカーニの組織に対して、時間とともに譲歩してくると見ている。パキスタンは、アメリカ人たちが2011年7月までに、なんとか撤退を開始したいと思っていることを知っている。そのためには、カブールはタリバン組織の一部と、対話を開始しなければならない。

米政府関係者たちは、アルカイダなどの外国人テロリストとの関係を断つなどの条件さえあえば、タリバンを受け入れると、一度ならずも述べてきた。

ハッカーニの組織も例外ではないことが、米政府や軍の発言の中から読み取れる(中略)。カルザイはこれまで2度、2007年と2009年にハッカーニに接近しようとしたが、成功しなかった。最近開催されたカブールの平和ジルガにも、参加していない。しかしパキスタン政府関係者はによると、それ以後、ハッカーニにカルザイと話し合うように、説得したという(後略)。

ohPakistan trying to broker Afghan deal
Baqir Sajjad Syed、ISLAMABAD

■パキスタン兵数十人、「タリバンが拉致」[100516 BBC]

アフガン人タリバンが、越境攻撃でパキスタン兵の検問所を襲撃したあと、兵士数十人を拉致したと発表した。パキスタンの治安情報源が、兵士が行方不明になっていることを認めた。

タリバンが、月曜日にモーマンド部族地帯を襲撃したあと、パキスタン兵40人を拉致したと発表した。アフガン政府関係者が、兵士8人がジャララバードでパキスタン領事館に引き渡されたと述べたが、パキスタン軍はこれに関しては何も情報がないという。

タリバンが検問所を頻繁に攻撃するが、過激派たちがアフガニスタンでパキスタン兵士を拉致することは稀れだという。

タリバン報道官によると、月曜日の攻撃のあと、国境の両側でパキスタン兵を拘束しているという。兵士30人がアフガニスタンで、10人がパキスタンで拘束されている。検問所を占拠してから、兵士たちを拉致したという。

モーマンドの地元政府関係者が、兵士40人が行方不明になっていることを認めた。

ジャララバードのアフガン軍司令官によると、パキスタン兵士10人がパキスタン領事館に引き渡されたというが、パキスタン軍はこれを知らないという(後略)。

hoonDozens of Pakistani troops 'captured by the Taliban'

■パキスタン、「バジョールで過激派38人殺害」[100616 AFP]

タリバンが一掃されたと主張されてきたアフガニスタンとの国境付近で、水曜日にパキスタンの戦闘ヘリコプターと砲撃により、抵抗勢力38人が殺害された。この激しい戦闘で、準軍隊兵士10人が死亡した。

(中略)水曜日に隊が、カールから14キロ離れたガウンドゥとサムサイ村を攻撃した。地元行政官のタヒール・ハーンによると、タリバン抵抗勢力が隣りのモーマンドから入ってきたという諜報情報にもとづき、戦闘ヘリコプターと長距離砲による攻撃が始まったという。「抵抗勢力38人と兵士10人が死亡した」と、バジョール行政府のザキール・フセイン・アフリディが述べ、過激派18人の遺体を地元司令官の前で記者団に公開した。治安部隊がタリバンの隠れ家2ヵ所を破壊し、23人を逮捕したという。

政府によると、タリバンが仲間たちに投降したり、政府が提供する仕事を受け入れないように促すビラを配布しているという(中略)。政府は6月30日という日にちを設定し、過激派たちに武器を捨てる代わりに、地元警察軍の仕事を提供すると呼びかけているという。投降しなければ自宅を取り壊すと、付け加えられている。

hoonNew Pakistan action kills '38 militants in Bajaur'
KHAR

■パキスタン北西部で激しい戦い、兵士10人死亡[100516 AP]

水曜日にパキスタン北西部で、準軍隊兵士とタリバン戦闘員との間に激しい戦闘が発生し、兵士10人と抵抗勢力36人が死亡した。

これまで軍が2度勝利宣言を出しているバジョールで、衝突があった(中略)。

国境警察隊が作戦を実施した際に激しく抵抗され、補給部隊を運ぼうとしていた車輛が襲撃されたという。

戦闘はカール近くの2ヵ所で発生し、兵士たちは戦闘ヘリコプターを呼び寄せ、過激派の位置を数時間にわたって攻撃したと、パジョール行政官のイクバル・ハタックが述べた。

ハタックと軍によると、兵士10人が戦いで死亡したという。抵抗勢力側の犠牲者については、ハタックは36人とし、軍は43人と述べた(後略)。

hoonFierce fighting in NW Pakistan kills 10 soldiers
ANWARULLAH KHAN、KHAR

■パキスタンの過激主義、中心部に拡散[100516 AP]

政府が支持していた24の過激派組織が、アルカイダと協力して活動する、パキスタンの新しく、かつ恐れられたテロ組織として、生まれ変わった。

パンジャビ・タリバンとして知られる組織の出現で、パキスタンの中心部の経済や軍が、危うくなってきた(中略)。この組織はパキスタン人タリバンと協力し合い、タイムズ・スクエア爆弾未遂事件とも関係している(中略)。

政府は、この組織にどう対処するべきか、意見が分かれている。連邦政府関係者はパンジャーブを取り締まることを主張し、州政府は、軍は北西部にある訓練所を標的にする必要があると主張する。

主な指導者は、パンジャーブ出身である。ムシャラフ元大統領暗殺未遂事件に関わった、有名な過激派もいる。

(中略)政府は9.11以後、1980年代と1990年代にアフガニスタンでソ連と戦うために政府の協力によって開始した過激派組織の活動を、アメリカの圧力のために禁じた。しかし、その多数がそ、れ以後も自由に活動していた。

パンジャビ・タリバンの中心メンバーは、これらの過激派組織の人間だったが、自分たちの指導者たちはアメリカの利益のために動いている政府の工作員に過ぎないと信じ始めたために、組織から離反した者である。

男たちは北ワジリスタンに訓練所を持ち、歩兵を訓練してパンジャーブ州などを攻撃させている。アルカイダやパキスタン人タリバンとも関係する。

パンジャーブ州警察をコントロールするパンジャーブ州大臣のラナ・サナウラーによると、ラシュカレ・ジャングヴィ、ジャイシェ・ムハンマド、サパ・エ・サハバなどの活動を禁じられている組織の10〜20%が、パンジャビ・タリバンを結成するために離反していったという。

パンジャビ・タリバンが去年陸軍本部を攻撃して14人を殺害したとき、政府はラシュカレ・ジャングヴィとシパ・エ・サハバの指導者たちの協力を仰ぐために急遽駆けつけたと、サナウッラーが述べた。

過激派組織の指導者たちが攻撃者たちとコンタクトをとったところ、攻撃者たちは元指導者たちに、「あなたは裏切り者だ。真実の道から外れてしまった」と非難したという。

結局、取り引きは失敗し、軍は奇襲部隊を派遣して、ジャイシェ・ムハンマドとラシュカレ・ジャングヴィの元メンバーが率いる攻撃者たちの制圧に乗り出した。

サナウッラーは、パンジャビ・タリバンの数は、数百人に及ぶと見ている。「彼らが1年に100人の自爆攻撃者を産出すれば、パキスタン全体が被害を受ける」という。

しかし、彼らがこのような大きな脅威であるにもかかわらず、法務大臣はパンジャーブの過激派組織を取り締まることに抵抗し、本当の脅威は北ワジリスタンの訓練所だと主張する。

アナリストたちは、サナウッラーを始め州政府関係者は、選挙票確保のために、これらの組織を取り締まることを躊躇しているという。法務大臣は3月に、シバ・エ・サハバのメンバーと一緒に選挙活動をしたことさえある。

組織を攻撃する代わりに、サナウッラーはパンジャビ・タリバンを制御する目的で、彼らの支持を期待する。またこの新たな組織を、パンジャビ・タリバンと呼ぶことにも反対する。パンジャーブ人だけから構成されるわけではないからだ。

しかしその中心は、パンジャーブ人である。その司令官の1人は、かつてジャイシェ・ムハンマドと関係があったアブドゥル・ジャッパール師で、彼の部下のほとんどがラシュカレ・ジャングヴィのメンバーだという。

ジャッパールはウマル・ファルークという名前を持ち、パンジャビ・タリバンの責任者であると言われる。

しかしパンジャーブ警察責任者のゴガールは、ジャッパールは北ワジリスタンのミランシャーの訓練所で戦闘員を訓練している、多数の司令官の1人にすぎないという。

ジャッパールは、ムシャラフ大統領暗殺未遂事件に関与したとして3年間服役したあと、2006年に釈放された(後略)。

hoonPakistani militancy spreads to country's heartland
ASIF SHAHZAD、LAHOR

■パキスタン、国連ブラックリストの組織に「資金援助」[100616 BBC]

パキスタンのパンジャーブ州政府が、国連のブラックリストに入っている慈善組織の団体に、100万ドル相当の援助をしていたことがわかった。

慈善団体ジャマット・ウッダーワは、ラシュカレ・トイバのフロントではないと主張してきた。

パキスタン政府関係者は、資金は人道資金であり、慈善団体に直接与えたものではないという(中略)。

パキスタン政府が、ジャマット・ウッダーワと関係のある団体に資金を与えたことを公的に認めたのは、初めてのことである(中略)。

ジャマット・ウッダーワが運営する学校や病院がパキスタン政府の援助を受けていたというニュースで、インドや米政府からは批判されることが予測される。

「少なくとも8000万ルピーが、今年になってジャマット・ウッダーワと関係のある団体に与えられた」と、パンジャーブ州政府大臣が述べた。ただし学校2校と病院を含むこの団体は、今ではジャマット・ウッダーワに付属していないという。「政府はこの学校を現在管轄しており、どちらにも責任者を派遣している」という(中略)。

「学生400人からなる男子校と350人の女子校、病院が、資金援助を要請してきた。もしこれらの団体を閉鎖したら、弊害が起きる。人々の感情をさかなでし、ジャマット・ウッダーワに共鳴するようになる」という。

パンジャーブ州政府がこれらの団体のための資金を予算に組み込んだ理由を尋ねたところ、ジャマット・ウッダーワ報道官のハーフィズ・アブドゥル・レーマンが、「我々自身がびっくりしているのが本当のところだ」と述べた(中略)。彼によると、問題になっている団体は、現在慈善団体が運営しているという。「我々に制裁が与えられたとき、パンジャーブ政府が責任者を派遣してきたことは確かだが、仲間と関係があったり、受け入れられたわけではなかった」という。「神のおかげで、すべてがジャマットのシステムの下で、我々が望むように運営されている」。

ジャマット・ウッダーワは、自分たちの学校が過激派を育成しているという報道を、否定してきた。責任者はハーフィズ・ムハンマド・サイードで、カシミールでインドと戦うもっとも恐れられている組織ラシュカレ・トイバの創始者である。

hoonPakistan 'gave funds' to group on UN terror blacklist

■過激派組織、アフガニスタンの攻撃を拡大[100615 New York Times]

インドを攻撃していたパキスタンを拠点とする過激派組織が、アフガニスタンで活動を拡大し、アフガン人とインド人を標的にしたり訓練所を設けたりして、インドとパキスタンの間に新しい暴力沙汰が生じている。

最近ラシュカレ・タイバ(LeT)は、アフガニスタンにいるインド政府職員や民間労働者たちを標的に3度大掛かりな攻撃を行なっていると、アフガン人や国際諜報組織関係者、外交関係者が述べた。インド人開発職員を追跡し、新たな攻撃を行なおうと画策しているという。

(中略)パキスタンは、表向きにはもはやこの組織を支持していないと主張している。しかしラシュカルはアフガニスタンでの活動を広げており、特にインド人を標的としているために、アフガニスタンにおけるインドの影響力と対抗するための、パキスタンの駒になっていることが疑われている。

2011年7月の米軍撤退開始の期限が近づくにつれ、パキスタン人過激派がアフガン戦争の結末に影響力を発揮しようとしていることが伺われる。

最近、パキスタンの退役軍人がムンバイの攻撃を指図したことがわかり、ラシュカルのメンバーも、これまで長年かかわってきたパキスタンの治安組織の指導者たちと組織を隔てるものはほとんどいないと語ったといわれる。

諜報関係者によると、LeTがかつてのハンドラーたちから離れ、独立した活動をしているとも考えられると指摘する。しかし、インドやアフガン政府関係者は、かれらがインド人を標的としていることは、パキスタンが直接関与していると解釈されると述べた。

「アフガニスタンを、代理戦争の場所として使用することに関与する人間がいることを憂慮している」と、アフガニスタンの国家安全副アドバイザーのシャイデ・アブダリが述べた。「自分たちの敵と戦うために、ある国家の活動家が実行している」。

専門家多数が、アフガニスタンではアルカイダよりも、LeTのほうが脅威だと述べる。その工作員たちはこの地域の出身者であり、アルカイダの首脳部を占めるアラブ人ほど身元がはっきりせず、嫌われてもいないからだ。3〜4年前までは、アフガニスタンではLeTの組織はいくつかあったが、インド関係者を標的とはしていなかった。しかし最近では、その存在が消えつつある。

最近のペンタゴンのアフガニスタンに対する議会報告で、LeTはアフガニスタンで最大の脅威となる過激派組織であるとされた。組織は、インド以外の場所でも野望を持っている。アフガニスタンの「6〜8州で、現在活動している」と、NATOの諜報関係者が述べた。「現在はアフガニスタンのインド人たちを標的にしているが、金や影響力、他の組織と協力して、いつでも国際的な組織を標的にするだろう」と述べた。

LeTの能力は、パキスタンの部族地帯で活動を開始してから進化したと、テロ専門家が語る。部族地帯で諜報情報や訓練、専門知識をアルカイダやタリバン、シラージュ・ハッカーニの組織などの他の過激派組織と交換しているからだ。

「多数の過激派たちがLeTから離れ、南北ワジリスタンに移った」と、パキスタンの諜報関係者が述べた。「もっと過激な、派生組織が生まれた。問題はLe Tではなく、Le Tから離れ、ワジリスタンに場所を見つけたはぐれ者たちだ」。

アフガン国境で、LeTは他の過激派組織がアフガニスタンや国際部隊に対する複雑な攻撃を計画することに協力し、アフガニスタンに工作員を持つ過激派組織から、標的とするインド関係者に関する諜報情報を入手できる。

標的となるインド人たちは、すぐに探し出せる。2001年以来、インドはアフガニスタンに対する開発援助として、10億ドル近くを提供している(中略)。アフガニスタンの4大都市、ヘラート、ジャララバード、マザリシャリーフ、カンダハルに領事館を持ち、パキスタンは、インドがアフガニスタンを使用して、パキスタンに関する諜報情報を入手しようとしていると疑い、恐怖を与えている。

「インド人がいないのに、アフガニスタンのインド領事館は何をしているのだろう」と、パキスタン人諜報関係者が述べた。パキスタンの部族地帯にいるパキスタン人タリバンに、インドが資金や武器、爆発物を調達していると疑っている。インドは、これらを否定している。

(中略)LeTがアフガニスタンに存在するひとつの例として、4月8日に、アメリカとアフガン合同特殊作戦部隊が、ナンガハール州の銃撃戦の結果、過激派9人を殺害し、1人を逮捕したことが挙げられる。全員がパキスタン人で、「かなりの人間がLeTに属していた」と、米軍幹部関係者が述べた。

2月26日にカブールで発生した、インド人が頻繁に使用する2件のゲストハウスに対する自爆攻撃、1月にカブールのダウンタウンのショッピング・センターと銀行で発生した攻撃が、LeTの影響を受けたものとされる。

両方とも、ムンバイ攻撃と似ていた。用意周到な攻撃で、いくつもの場所を同時に攻撃した。多数の攻撃者たちは、攻撃の最中携帯電話を使用して、国外と連絡を取っていた。

目撃者によると、ゲストハウスの攻撃者たちは、「インド人医者の責任者はどこだ」と叫んで入ってきたという。今月辞任したハニーフ・アトマール内相は、この攻撃で警察官3人を失った。攻撃者のうち少なくとも2人はウルドゥーを使用。「アフガン人ではなかった」という。

(中略)諜報専門家によると、LeTがゲストハウス攻撃を単独で実行することは不可能だという。アフガニスタンに入るため、滞在するため、武器や爆発物、車の手配、標的に対する偵察などに協力する者が必要だ。

その協力者として有力なのが、北ワジリスタンを拠点とし、アルカイダと関係のあるハッカーニの組織だ。

2009年10月8日のカブールのインド大使館攻撃、12月15日のヒータル・ホテル攻撃などへの関与も疑われている。当時ホテルとその隣の建物に、インド人技師24人が宿泊していた。

smellMilitant Group Expands Attacks in AfghanistanBy ALISSA J. RUBIN
KABUL

■ペンタゴン、豊かと決めつける[100615 Asia Times]

『ニューヨーク・タイムズ』のアフガニスタンの豊かな鉱物資源の話が出たタイミングから、ペンタゴンがこの話を発表した意図に疑問が湧く。

これまでアフガニスタンやアメリカの戦略に関して悪い否定的なニュースばかりが出てきているが、この1面記事は、アフガン戦争は無駄だという一般民の感情を覆そうとするものだと、アナリストたちは見る。

「アフガニスタンの富の情報を(すでに公になっている)発表し、あるいは再発表することは、国家の明るい未来を人々に−−人々とは中国人、ロシア人、パキスタン人、アメリカ人だが−−に印象づける最善の方法だと、The Atlantic magazineの政治部編集長のマーク・アムバインダーが語る。

この話が提供された方法、つまりデビッド・ペトラウス最高司令官の話の引用としてこの話を出し、国防省次官補のポール・ブリンクレイを次官に昇進させたこの不思議なタイミングから、人々の戦争に対する見解を変えようとする意図が見えるという。

1500語からなるこの記事は、ほとんどが国防省の情報源に基づき、月曜日の1面となった。ペンタゴンは、アフガニスタンには1兆ドル分の鉱物資源が眠っているという。

(中略)カルザイ大統領はすぐに反応し、カルザイの報道官のワヒード・オマルは、「アフガニスタンで久しぶりの良いニュース」と語った。

しかし他のコメンテーターたちは、アフガニスタンの地下鉱脈に関するニュースは、今わかったことではないと述べる。カルザイは1月にも、アフガニスタンの鉱物資源は1兆ドル相当だと、語っている。

アメリカの地質研究所はすでに2007年にインターネットで、アフガニスタンの鉱物に関する詳細な記事を発表している。これは1980年代のソ連時代に行なわれた調査結果に基づく。

ということで、オブザーバーたちは、なぜこの記事が今発表され、各国で取りあげられているか、その理由を疑問視する。

ペンタゴンのメモは、数週間後に行なわれる18億トンのハジガックの鉄鋼田のオークションが始まる前に、国際社会の興味を引こうとするものだと、英国『タイムズ』紙は語る。アフガニスタン最大の鉄鋼田が、戦争と弱い政府のために手つかずになっている。

さらにこのメモは、アフガニスタンの鉱物相ワヒドゥッラー・シャハラーニのインド訪問と時期を同じくする。シャハラーニは、前任者が中国の鉱物会社から賄賂を受け取ったとして更迭され、アメリカの後押しで現職に就いた。

アフガンと欧米関係者は、中国がアフガニスタンの資源を横取りする前に、ハジガックを初めとする鉱脈に他の会社が注目することを望んでいると、『タイムズ』は書く。

鉱物があることで、外国がアフガニスタンの戦いに関与しているその目的が、疑問視される。アフガン人たちは、欧米は自分たちの資源を横取りしようとしていると、不平を述べてきた。イラクがアメリカのその油田を支配されてしまったのと同様に。

『ニューヨーク・タイムズ』のライゼンは、ペンタゴンがこれを発表したタイミングに対して、答えを示唆している。「アメリカ人とアフガン人関係者は、アフガニスタンの戦いが混乱期を迎えた時期に、鉱物発見を話し合うことに合意した」という。

(中略)月曜日に出現した『タイムズ』の記事は、抵抗勢力を一掃するための作戦に、もう少し時間かける理由を与えるためのものと、オブザーバーたちは見ている(後略)。

hoonPentagon strikes it rich
Jim Lobe、WASHINGTON

■米国籍、ヌーリスタンに入ろうとしてブンブレットで逮捕[100615 Chitral Times]

米国籍のゲーリー・ブルックス・フォークナーが、ヌーリスタンに入ろうとして山道を歩いていたところ、ブンブレットの森の中で月曜日の朝に逮捕された。警察の情報源によると、米国人は2日前にチトラルに入り、ブンブレットのホテルに宿泊していた。彼の安全のために配置されていた警察官をだまし、前日の夜から行方をくらましていた。

警察隊がチトラルで捜索を開始したところ、10時間後にシャハナンデーの森の中で発見され、チトラルに連れて行かれた。

情報源によると、米国人はヌーリスタンに入り、ビンラディンと彼の4人の仲間を殺そうとしていたという。ダガーとピストル、暗視望遠鏡などを所持していた。

危険人物としてペシャワルに移され、取り調べを受けている。観光目的で入国し、これまでもパキスタンに7回来ている。

hoonAmerican national arrested in Bumburate while crossing to Nooristan
Zahiruddin、CHITRAL

■LeJ司令官のカリ・ザファール、誤って簡易爆弾で死亡[100615 News]

みんなに恐れられていた過激派司令官のカリ・ザファールが、数日前に北ワジリスタンの近くで簡易爆弾が爆発し、死亡したという。

彼の部下がカリの死亡を確認し、北ワジリスタンのミランシャーの近くで自分の客間に置かれていた爆発物を誤って触り、死亡したという。6月7日に死亡したが、死亡を公表していないという。

あるものを探していたところ、ワイアーを触ってしまい、備蓄されていた簡易爆弾が爆発してしまった。彼と親戚の子供がその場で即死し、ボデヤーガード2人が負傷したと、ラシュカレ・ジャングヴィの司令官が語った。

タリバン司令官によると、カリ・ザファールは38〜40歳で、家族や親戚としばらく北ワジリスタンに住んでいた(後略)。

hoonLeJ commander Qari Zafar killed in疎ccidental IED blast
Mushtaq Yusufzai、PESHAWAR

■アメリカのアフガニスタン撤退に暗雲[100614 New York Times]

オバマ大統領がアフガニスタンに増兵を決めてから6ヵ月、2011年7月に撤退を開始するかどうかに関して、政府内で意見が対立し始めた。

タリバンを一掃できないでいることや、アフガン大統領の不審な態度から、大統領が設定したタイムテーブル通り、政策が成功するかが疑問視されてきた。今回問題が表面化する前にも、軍は撤退時期を特定することに乗り気ではなかったが、オバマは戦いが9年目に入った今、終止符を打つことに執着した。

今のところホワイトハウスは、撤退が可能かどうかを見直す12月に予定されている経過報告まで、待つ予定である。しかし関係者は、2011年7月の撤退は、アフガニスタンの状況次第であり、大統領は撤退する早さをまだ決めなければならない。

撤退したとしても、予想よりもその数は少なくなければならないと、関係者は見ている(中略)。

マルジャは、対抵抗勢力作戦の新たなショーケースになるはずだったが、いまだにその周辺では武力沙汰が続いているために、現在の戦略が疑問視されている。カルザイが、アメリカが信頼していた2人の治安関係者を更迭したために、さらにその疑問が大きくなった。

その最中、アフガニスタンのマクリスタル将軍は先週、カンダハルの作戦は「当初の計画よりもゆっくり行なう」と発表した。

別の軍関係者は、もっと悲観的だった。「カンダハルが今年中に解決すると考えている人間がいたら、そりゃ冗談だ」(後略)。

hoonSetbacks Cloud U.S. Plans to Get Out of Afghanistan
By PETER BAKER and MARK LANDLER、WASHINGTON

■アフガニスタンに膨大な鉱物資源[100614 New York Times]

アフガニスタンには、これまで発掘されていない鉱物資源1兆ドル分が眠っており、アフガニスタンの経済を根本的に変え、アフガン戦争自体も変えるだけの富があることがわかったと、米政府関係者が述べた。

これまで知られていなかった鉱物資源、鉄鋼、銅、コバルト、金などの鉱脈、リチウムのような産業鉱物が多数あり、その規模や含有する鉱物は膨大であるために、アフガニスタンの産業は大きな恩恵を受け、世界の最も重要な採掘所になると、アメリカは信じている。

ペンタゴンの内部メモによると、アフガニスタンは「リチウムのサウジアラビア」になる可能性があるという。

この膨大なアフガニスタンの鉱物資源は、ペンタゴンとアメリカの地質学者の小さなチームにより発見された。アフガニスタン政府とカルザイには、最近このことが知らされたという。

鉱物産業を開発するためにはまだ数年かかるだろうが、その埋蔵量は膨大であり、産業関係者によると、鉱物が採れる前にも仕事が発生し、数年続いた戦争から人々の関心を反らすことができるという(後略)。

hoonU.S. Identifies Vast Riches of Minerals in Afghanistan
JAMES RISEN、WASHINGTON

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2010.