【2010年6月21日〜6月27日】


■パキスタンの和平計画を米疑問視[100627 New York Times]

日曜日にオバマ大統領とCIA長官が、アフガン政府とタリバンの一部を和解させようとしている、パキスタンのアフガニスタンとの和平協定を疑問視した。

オバマ大統領は、アフガン問題に対する政治的解決策は必要で、タリバンの一部と交渉することは可能だとしたが、注意深く行なうべきだと述べた。CIA長官のパネッタは、さらに強く疑問を表明した(後略)。

hoonPakistan's Plan on Afghan Peace Leaves U.S. Wary
SCOTT SHANE

■パキスタンの国境地帯で米無人偵察機「4人殺害」[100626 BBC]

パキスタンの部族地帯でアメリカによるミサイル攻撃があり、過激派4人が殺害されたとパキスタン人関係者が述べた。

無人偵察機から発射されたミサイルが、北ワジリスタンのミランシャーの家屋を破壊したという。この家屋は、ハーフィズ・グル・バハドゥール司令官の組織が使用していた(後略)。

hoonUS drone' kills four in Pakistan border area

■パキスタン、アフガニスタンに足がかりを求める[100624 New York Times]

パキスタンは、アメリカがアフガニスタンで苦戦していることを利用して、アフガニスタンにおける政治的解決策を強調してパキスタンの影響力を強めようとしているが、これはアメリカの目的にとっては悪影響を及ぼす可能性があると、パキスタン人とアメリカの関係者が述べた。

マクリスタル更迭でアメリカは不安定になり、パキスタンの計画はますます有利になると、パキスタンの関係者が述べた。パキスタン陸軍参謀長のキアニ将軍は、後任のペトラウスより、マクリスタルを好む。ペトラウスは、軍事戦略家というよりは、政治家と捉えている。

パキスタンは、アメリカ人たちを嫌悪するようになったカルザイ大統領に、自分たちがアフガニスタンの有益なパートナーであることを印象づけようとしている。パキスタン人関係者によると、パキスタンは、アルカイダの仲間でアフガニスタンで抵抗運動を行なっているシラージュ・ハッカーニの組織を、政治内に取り込むことができるという。

さらにアフガン政府関係者によると、パキスタンは他の代理人たちをも後押ししており、キアニ将軍自身がタリバン首脳陣との取り引きを行なおうとしているという。

ワシントンは、キアニ将軍とアフマッド・シュジャ・パシャISI長官がイスラマバードとカブールを行き来している様子を、不安を感じながら見守っている。キアニはカルザイ大統領に、アメリカはアフガニスタンで勝利できないというカルザイの主張に同意し、戦争後のアフガニスタンは、長い間パキスタンの盟友だったハッカーニの組織を政府内に取り込む必要があると説得している。アフガニスタンのテレビ報道によると、キアニとパシャは、月曜日にカブールを訪問予定である。

マクリスタルはキアニと会うために11回もイスラマバードを訪れているが、パキスタン人たちはここ2ヵ月間親密な会話を交わしておらず、アメリカはますますパキスタンの行動に神経をとがらせている(中略)。

ワシントンに後押しされているにもかかわらず、アメリカは、アフガン人とパキスタン人が自分たちが望むものとは異なる和平協定を締結する危険性に直面している。つまり、アルカイダの拠点を排除するという、ワシントンが掲げる戦争の最大目的を達成することができなくなる。

さらに、アメリカの同盟国であるパキスタンが、自分たちの目的を守るために、つまり自分たちの最大の敵であるインドをアフガニスタンから排除するために、戦争を妨害するようなさまざまな態度をとってきたことも注目される。

ハッカーニの組織は、インドと対戦するための駒であり、これまでパキスタン国内で取り締まられることはなかった。どんなにアメリカに圧力をかけられても、パキスタンはハッカーニの取り締まりを実施していない。キアニはアメリカの要求をはねつけ、自分たちは部族地帯にいるタリバンに対処するので精一杯だと主張してきた。

しかしアフガン人やアメリカ人、西洋人たちの間では、パキスタンが自分たちの目的のためにハッカーニを保護していると疑ってきた。

例えば、パキスタンはハッカーニの戦闘員を使って、アフガニスタン内部のインド関係者を標的としていると、米諜報関係者が述べる。ハッカーニはアメリカをも標的とし、パキスタンは取り引きを行なうつもりでいるということを、アメリカ人に知らしめようとしている可能性がある。

ペトラウス将軍は先週議会で、最近のカブールとバグラム空軍基地に対する攻撃はハッカーニの仕業であり、これに関してキアニ将軍に忠告したと報告している。

オバマ政権内の関係者の中には、アフガニスタンの解決策にハッカーニの組織を参加させる可能性も捨てていない者たちもいる。しかしオバマの政策は、ハッカーニをアルカイダと分離させることを条件とする。これは実現されそうもない。

パキスタンのISIは今週本部で行なわれた記者会見で、カルザイ大統領が感じている疑問に忠実に沿った見解を発表した。アフガニスタンにおけるアメリカの軍事作戦は「成功しない」という見解である。

タリバンが力をつけているというのだ。新たに米兵が増兵されたにもかかわらず、「治安状態はさらに危険になった」という結論である。「だから、カルザイは今取り引きに応じようとしている」と、あるアナリストが述べた。

カルザイが5月にワシントンを訪問する直前に、ISI長官のパシャ将軍がカブールに急行したと、米関係者が述べた。カルザイもパキスタン人も、アフガニスタンの戦後にハッカーニを組み入れる意図があるとは、アメリカ人たちに言っていない。

パキスタンはすでに、カブールで重要な成果を挙げたように見える。今月アフガニスタンの諜報組織長官のアムルッラー・サレーとハニーフ・アトマール内相を辞任させたことだ。2人はワシントンの好みの人間で、パキスタンにとっては障壁となっていた(中略)。ただし、2人の辞任とパキスタンの関係は表面化していない。

マクリスタル将軍の問題が出てくる前に、パキスタン人たちに戦略的な目的を達成させるために、カルザイとの話し合いは開始されていた(中略)。

「米国人の撤退にむけてのタイムテーブルで、パキスタンがアフガニスタン問題に大きな役割を果たすことが容易になった」と、アッバス将軍が語る(中略)。アフガニスタンの解決策にハッカーニを組み入れることが、パキスタンの基本的な政策として採用されたと、軍幹部と近い関係にあるイスラマバード大学の教授、リファート・フセインが語る。「ハッカーニを組み入れなければ、アフガニスタンの政情は安定しない」という。「ハッカーニは巨大な軍事力を持つ。彼を政府内に組み入れることで、流血を防げる」。キアニとパシャ両将軍が最近カブールを訪問したのは、「これを実現させるため」だという。

アフガン関係者によると、キアニ将軍はタリバン指導者のオマル師と取り引きすることをも申し出て、3月には、別の抵抗勢力指導者でパキスタンの長期にわたる盟友であるグルブディン・ヘクマチアルから、15ヵ条からなる和平協定案を持った代理人がカブールに派遣されたという。

アフガニスタンからカブールにかけて勢力を振るうハッカーニは、すでにアルカイダとの関係を断つ準備ができていると、パキスタンの諜報関係者や軍関係者が語る。

タリバンはハッカーニの組織も含めて、アルカイダに関して「取り引きを行なう」準備があると、パキスタン陸軍と関係するパキスタン人関係者が述べた。ハッカーニは9.11以後すでに9年間もアルカイダを匿ってきたために、彼らに別の場所に移動するように要求できるという。

しかしこの関係者は、ハッカーニとアルカイダはすでに「強力な関係」にあり、分離することが難しいと認めた。お互い戦闘員、資金などを長期間に渡って供給し合っている。ハッカーニはパキスタン人たちと、自分たち自身の利益になるような計画を立てている可能性もある。アルカイダと別離しようとする「ハッカーニの態度は、パキスタン軍が北ワジリスタンで活動しないようにするための戦略と見られる」と、フセイン教授が語った。

smellPakistan Is Said to Pursue a Foothold in Afghanistan
By JANE PERLEZ, ERIC SCHMITT and CARLOTTA GALL.、ISLAMABAD

■タリバンは南ワジリスタンに戻っていないと軍[100624 BBC]

パキスタン軍は、南ワジリスタンの拠点に戻ったというタリバンの主張を退けた。

軍報道官のアサール・アッバス少将が、軍は南ワジリスタンを「確実に支配している」と述べた。しかし過激派たちがパンジャーブ州で力を伸ばし、オラクザイ部族地帯で再結成しつつあることは認めた。

タリバン報道官が『BBC』に、過激派たちが南ワジリスタンの拠点に戻ったと主張していた。

12月にパキスタン軍が南ワジリスタンのタリバンに対して勝利宣言を出したが、最近の報告から、過激派はまだこの地域で活動していることが伺える。

「南ワジリスタンの周辺で、軍に対する攻撃がある。しかし過激派たちが南ワジリスタンに戻ったという、信頼できる報告はない」という。

月曜日にTTP報道官のアザム・タリークが、過激派たちがラッダ周辺のいくつかの地域に戻ったと述べている。

「まったくのでたらめだ。過激派たちが戻ったはずはない」と、アッバス報道官が述べた。ただし、シャーワルやサラローガのような地域では、まだ問題が残っていることは認めた。「残党を排除するために、捜索活動をしている」という。アッバスは、別の地域で過激派が再結成していることは認めた。

水曜日に『BBC』が入手した諜報情報によると、タリバンがパンジャーブで公然と資金を集めている。「パンジャーブでは、確かな諜報情報に基づいた法機関の活動が必要だ」と、アッバス将軍が語った。「過激派たちが、あの地域では力を強化していることは事実だ」。

しかし、パンジャーブ州でワジリスタン型の軍事作戦を実施する必要はないと述べた。「あの地域には、隠れ家はない」という。「警察や準軍隊が、しっかり役割を果たしている」。「ジハード組織を取り締まるための、政治的な決断が必要だ」。

アッパス将軍によると、アッパー・オラクザイで、過激派の「存在が強くなっている」という。「だから、あそこで作戦を実施している」という。オラクザイに、「パンジャビ・ジハード組織」の拠点があるという。「イリアス・カシミリと、ガジ軍の痕跡がある」という。

イリアス・カシミリはハラカトゥル・ジハード・イスラミの元幹部指導者だった。アルカイダの首脳陣と近く、現在は自分自身の組織を率いるといわれる。最近は、パンジャーブ人過激派とタリバンの仲介役を果たしているという。

ガジ軍に関してはほとんどわかっていないが、カイバル・パフトゥンフワ州とパンジャーブ州で活動しているという。ラール・マスジッドの指導者だった故ガジ・アブドゥル・ラシッドにちなんで、元学生によって組織されたといわれる。ガジ・アブドゥル・ラシッドは、2007年にラール・マスジッド襲撃の際に、治安部隊に殺害された。

hoonPakistan army says Taliban not back in South Waziristan
Syed Shoaib Hasan

■マクリスタルの運命、いかに[100622 New York Times]

オバマ大統領のアフガニスタン最高司令官が火曜日にワシントンに召喚され、政権幹部を批判した彼や彼のスタッフの発言の責任をとって解雇されるかどうかが注目されている。政権幹部と戦争で悪戦苦闘する外交政策のチームとの間に、大きな亀裂があることが露見した。

『ローリング・ストーン』紙の記事で、マクリスタル将軍と部下たちは、大統領の国家安全チームのメンバーのほとんどに批判的で、オバマは将軍たちと最初に行なわれた会見で、「居心地が悪そうでびくびく」しているように見え、バイデン副大統領に対しては、「ほっといてくれ(Bite me)」と拒絶しているようだったと述べた。

(中略)マクリスタル将軍の発言に対する反応はすばやく、将軍は謝罪し、辞任の手紙を用意した。ただしオバマ大統領は、水曜日の朝に両者が会うまでは、これを受理するかどうかは決めていないという。「彼と彼のチームは、記事の中で誤った判断をしたことは明らかだ」と、オバマ大統領が述べた。「しかし最終判断を下す前に、彼と直接話して確かめたい」。

(中略)アフガニスタンのチーム内の不平には、米大統領のカール・エイケンベリーによる、アフガニスタンとパキスタン特使のリチャード・ホルブルックのやり方を批判するものなどがある。ホルブルックとカルザイ大統領の関係は悪く、特に去年の8月の選挙以来、関係が悪化している。エイケンベリー自身も、カルザイとはうまくいっていない。

そのひとつの逸話として、国家安全アドバイザーのジェームズ・ジョーンズが2月にエイケンベリーに、最近のホルブルックのアフガニスタン訪問に関して、彼の不満に同調する手紙を書いた。この手紙でジョーンズ将軍は大使に、ホルブルックは近々更迭されるだろうと慰めた。

この手紙が漏れたために、ヒラリー・クリントン国務省長官がオバマに直訴し、彼女が支持しているホルブルックは留任した。火曜日にウェブに掲載された『ローリング・ストーン』の記事で、マクリスタルの部下たちはジョーンズ将軍を「ピエロ」と揶揄した。

アフガニスタンの状況が不安定なために、両者の亀裂がさらに深くなった。マルジャとカンダハルを制圧する使命は、一向に目処が立たない。さらに信頼できるアフガン政府を創造する努力も、汚職のためにうまくいかない。大統領支持者の間でも批判が高まり、同盟国たちも撤退の出口を探し出していることを表明し、他の者たちも近々これに倣うつもりでいる。

オバマ政権はカルザイとの関係を修復しようと苦戦しているが、マクリスタル将軍はカルザイとうまく付き合える、唯一の米国人である。さらにオバマの戦略は、マクリスタルの戦略でもある。将軍は計画を変更して数万兵を増兵し、アフガンの国民にある種の安心感を与えた。

これまでもアフガニスタンの政策に関して政権と衝突があったが、マクリスタルたちは面と向かって政策を批判することはなかった。

むしろ亀裂は個人的なもので、これが公に報道された。ある政権関係者が語ったところによると、オバマは、マクリスタルの部下が、ホワイトハウスの会合でオバマが「熱心でなかった」ようだったと述べたことに、激怒したという。

全体として記事は、マクリスタルを、更衣室で外交やフランス人、互いに対する信頼関係、戦争に関する心配事などのうわさ話を展開する、小さな取り巻き連中の中心人物として描いている。このインタビューをお膳立てした文民通信アドバイザーは、辞職した(後略)。

hoonMcChrystal's Fate in Limbo as He Prepares to Meet Obama
By HELENE COOPER, THOM SHANKER and DEXTER FILKINS、WASHINGTON

■パキスタン、ブルカを被った「ドイツ人過激派」逮捕[100622 BBC]

ブルカを被ったドイツ出身の過激派がパキスタンの北西部で逮捕されたと、警察が発表した。

男性はバヌーの検問所で、別の2人の男性と若い女性と車に乗っているところを制止されて逮捕された。ドイツ人は、パキスタンの偽造パスポートを所持していた。

バヌーの警察幹部シャフカット・ハーンによると、逮捕されたドイツ人とその仲間は、部族民一家を装っていたという(中略)。逮捕があった検問所の警察官によると、ドイツ人が被ったブルカは、顔と体を覆っていた(中略)。一行は、ミラリからペシャワルに向かっていた(後略)。

hoonPakistan arrests 'German militant' disguised in a burka

■パキスタンタリバン、捕虜交換を要求[100622 AFP]

火曜日にタリバンが政府に、行方不明になっている兵士33人と引き換えに仲間の釈放を要求し、これを受入れなければ兵士を殺害すると脅迫した。

タリバン報道官が語ったところによると、政府が捕虜交換に応じなければ、「それなりの結末になる」と述べ、モーマンド州の長老たちと、その方法について話し合うように要求した。

治安関係者によると、モーマンド州の国境地帯にある検問所が襲撃され、兵士33人がいまだに行方不明だという。この他に25人の兵士がアフガン側に迷い込んだが、その後パキスタンに引き渡された。

「兵士33人を拘束している。政府には、我々の仲間と人質交換をすることを要求する」と、モーマンドのTTP報道官、カリ・イクラームッラーが述べた。「我々はいま戦争の最中にある。これ以上拘束しておくことはできない。政府はこの要求に応じなければ、それなりの結末になる」という。「死ぬことになるだろう」。

国境警察報道官のファザルゥル・レーマン少佐が、兵士33人が行方不明になっていることを認めたが、タリバンからの要求は何もないと述べた。「そのような要求を受けていない。受ければ、政府が決断するだろう」という(後略)。

hoonPakistan's Taliban offer prisoner swap
PESHAWAR

■アフガン軍、タリバン幹部を逮捕[100622 AFP]

火曜日にNATOとアフガン軍がタリバン幹部を逮捕したと、国際軍が声明を発表した。

男は最近バグラーン州のタリバン財務責任者に任命されていたという。ヘルマンド州のナーエ・サラージュ地区の建物に滞在しているという情報があり、別の2人の容疑者と一緒に逮捕された(後略)。

hoonNATO, Afghan forces capture senior Taliban figure

■アメリカ、車列保護にアフガン軍閥を雇う[100621 New York Times]

月曜日の連邦議会調査によると、アメリカの納税者たちは、NATO軍車例をエスコートしたりアフガン政府や米軍・NATO軍の影響力が及ばない地域で活動しているアフガン軍閥たちに数百万ドルを支払っているが、その結果軍閥たちは、複雑なネットワークを張り巡らしている。

(中略)これらのアフガン人軍閥たちに与えられている資金は、マフィア的な用心棒の報酬よりも少し多い程度のものだという。NATOは、車列の保護と引き換えに、これらの軍閥に報酬を支払うことを拒否することもあるためである。

(中略)またアメリカの納税者たちの税金が、タリバンにも流れている可能性がある証拠も挙げられた。トラック会社の責任者たちが語ったところによると、車列をエスコートするために雇ったガンマンたちは、タリバンに攻撃しないことと引き換えに、賄賂を支払っているという。

米国人の金が支払われている軍閥たちは、米兵や海兵隊が必死で設立しようとしているアフガン政府を弱体化しており、米軍やNATO軍が撤退したあとは、アフガン政府に被害を脅かす可能性がある。

Host Nation Truckingが21億ドルの相当の納税者の資金を扱い、アフガニスタン各地にある約200の米軍基地に、食料や補給物資を運んでいる(中略)。アフガニスタンには、約7万人のフリーのガンマンを雇う、未登録の民間警備会社がある。「民間警備会社のほとんどが、軍閥、豪族、司令官や民兵で、アフガニスタンの中央政府とは、権力や正当性を巡って対立している」という(後略)。

hoonU.S. Said to Fund Afghan Warlords to Protect ConvoysBy
DEXTER FILKINS、KABUL

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2010.