【2010年10月18日〜10月24日】


■イラン、カルザイ幹部に現金の山を提供[101023 New York Times]

8月にカルザイ大統領がイランを公式訪問した際、彼の自家用機は滑走路でなかなか現れないアフガニスタンの駐イラン大使を待っていた。

フェダ・フセイン・マリキ大使はやっと現れ、カルザイの最も信頼する部下のウマル・ダウドザイの隣に座った。飛行機に乗っていたアフガン人関係者によると、マリキはダウドザイにユーロの札束でふくれたビニールの鞄を手渡した。2人目のアフガン人関係者が、ダウドザイがこの現金の入った大きな鞄を家に持ち帰ったことを認めた。

「これはイランの金だ」と、あるアフガン人関係者が述べた。「みんなそれに気づいていた」。

この金の詰まった鞄は、大統領官邸におけるイランの利益を確保するためのダウドザイに対するリベートだと、アフガンと欧米関係者が述べた。イランは、アフガン人とアメリカやNATOとの関係を悪化させるために、影響力を発揮しているという。

ダウドザイとカルザイは、合計数百万ドルになるこの金を、アフガン人法律家や部族民長老、そしてタリバン司令官たちにさえにも、賄賂として提供している。

「基本的に大統領の裏金だ」と、カブールの欧米関係者がイランが提供する金に関して語った。「ダウドザイの使命は、イランの利益を確保することだ」。

関係者によると、ダウドザイが、カルザイとアメリカの関係を悪化させようとしていることを憂慮する。ダウドザイもカルザイも、馬鹿げた話としてイランとの関係を却下した(中略)。

イランの金は、駐イラン元大使だったダウドザイに対するリベートだという。彼はカルザイに反欧米的な見解を吹聴している。ダウドザイは毎朝カルザイに会う。

「カルザイは、アメリカなしにはやっていけないことを知っている」。「しかしブードゥーみたいなものだ。ダウドザイがアメリカにとっては諸悪の根源だ。彼が組織的に誤った情報、曲がった情報、虚報をカルザイに提供している」。

ダウドザイに対する支払いは、イラン政府がいかにカルザイ政府の内部に入り込んでいるかを明らかにする(中略)。

今年初めに、カルザイはイランのアフマディネジャド大統領を招き、アフマディネジャドは反米スピーチを行なった。アフマディネジャドがカブールを訪問した際、現金の入った箱を2箱持ってきたという。「1つは個人的にダウドザイのためのもので、もう1つは官邸のためだった」という。

(中略)あるNATO関係者によると、イランの諜報組織は2枚歯を使っているという。タリバンに武器を調達し、訓練も提供している。またイラン人工作員が先月の国会議員選挙に立候補した何人かのアフガン人に、資金を提供した。

アフガニスタンにいる米軍を攻撃したり、対立する者たちを暗殺する能力もある。「彼らがアフガニスタンとカブールで破壊的な能力を持ち、存在を主張していることを憂慮している」とある関係者が語った。

(中略)イラン政府は、ダウドザイが2003年にカルザイのスタッフ責任者になる以前から資金を流していたという。2005年には、イラン大使に任命された。その際にイランの諜報関係者と親しくなり、アフマディネジャドのようなイランの指導者たちに接近した。

2007年にアフガニスタンに戻り、カルザイのスタッフ責任者となった。その後ダウドザイはイラン大使と親しい関係を保っている。イラン政府関係者は、自由にカルザイの大統領官邸に出入りができる(後略)。

smellIran Is Said to Give Top Karzai Aide Cash by the Bagful
DEXTER FILKINS、KABUL

■シラージュ・ハッカーニ、アメリカのヘリコプター攻撃があったクラームに避難[101022 Longwar Journal]

先月パキスタンのクラーム部族地帯で実施された、アフガン側から越境してきた米ヘリコプター攻撃のうちの2回は、シラージュ・ハッカーニが避難していた地域に対するものだった。パキスタン軍と政府がクラームへの越境攻撃に対して強く非難したのは、シラージュがあわや殺害されそうだったためだと、米諜報関係者とパキスタン関係者が述べた。

9月27日、米軍がホーストの戦闘前哨基地を攻撃してきたハッカーニの組織の戦闘員を追跡したあと、マタ・サンゲール村が攻撃された。

国境警察隊員2人が殺害されたために、パキスタン軍はヘリコプター攻撃を強く非難し、その後カイバル峠を通過してアフガニスタンに入る米軍のための補給線が封鎖された。

最近になって、ヘリコプター攻撃があった現場近くにシラージュ・ハッカーニが隠れていたと言われている。シラージュは、家族が米無人偵察機による攻撃で殺害されたあと、北ワジリスタンのミランシャーからクラームに移ったという。シラージュの弟のムハンマドが2月にアメリカの攻撃で死亡し、サイフッラー・ハッカーニという名前の軍事司令官も9月の攻撃で死亡している。

シラージュと「ムジャヒディンの重要な客人」が、最近北ワジリスタンからクラームに移ったと言われる。一連の動きは9月に起きたと、パキスタンの諜報情報に詳しい米関係者が述べた。

クラームのシーア派部族民、トゥリ族とバンガシュ族のメンバーが、これまで敵対する部族民からなるハッカーニ組織の戦闘員がクラームに侵入してくるのを防ごうとし、ハッカーニと衝突してきた。またトゥリ族はスピナ・シャガにいるヘクマチアルの拠点も攻撃してきた。

パキスタンのメディアは、これらの衝突は水を巡る地元の宗教抗争と報道しているが、アメリカやパキスタンの関係者は、パキスタン軍が「良いタリバン」であるハッカーニとヘクマチアルのために介入するための作り話だという。9月と10月に、パキスタンの戦闘ヘリコプター多数が、「水問題」に介入していることがパキスタンのメディアで報道された。パキスタン軍による空爆で、「戦闘員」70人以上が殺害されたという。

ハッカーニ組織は現在敵対する部族民と「話し合い」を行なっているという。ジャラウッディン・ハッカーニの2人の息子であるハリルとイブラヒムがペシャワルとイスラマバードに現われ、「この地域の平和を話し合っている」と『Dawn』が報道した。

これまでトゥリ族はタリバンと戦い、タリバンを追い払ってきた。しかし、トゥリ族はパキスタンの他の地域に出るための唯一の道路を封鎖されているために孤立し、道路沿いをタリバンに攻撃されている。トゥリはパキスタン軍から何の援助も受けていない。

タリバンもハッカーニも、クラームに数年来存在してきた。クラームはホースト、パクティア、ナンガルハルと接し、アフガニスタンを攻撃するためには絶好の場所である。シパヒ・サハバやラシュカレ・ジャングヴィ、ラシュカレ・タイバのような過激派組織も、クラームからアフガニスタンに入っている。2006年にはシパヒ・サハバがクラームの主要な町パラチナールのモスクを占拠し、パキスタンにおける自分たちの前哨基地としていたが、トゥリに追い払われた。

クラームのハッカーニ組織の戦闘員を指揮する地元司令官は、フズレ・サイード・ハッカーニである。ハキームッラーは、タリバン指導者に就任する前は、クラームのタリバン軍を指揮していた。現在トゥーファンがハキームッラーを引き継ぎ、クラームでタリバンを率いる。

クラームには、アルカイダ幹部責任者が隠れている可能性がある。先週NATO軍関係者が『CNN』に、ビンラディンはクラームとチトラールの間の地域に隠れていると述べた。ビンラディンは快適な暮らしをしており、ISIのメンバーに庇護されているという。

hoonSiraj Haqqani sheltering in Kurram, near area of US helicopter strikes
BILL ROGGIO & KAUSHIK KAPISTHALA

■タリバン、パキスタンの主要地に入るために交渉[101021 BBC]

タリバンと、パキスタンの北西部にある戦略的に重要な地域にいる主要部族民たちとの間で、話し合いが行なわれているという。

話し合いの結果により、タリバンがクラーム部族地帯に入る可能性がある。NATOのアフガニスタンでの活動にも、大きな支障が出る恐れがある。

パキスタンの関係者によると、ハッカーニ組織の人間が、トゥリ族の代表者たちと話し合いを行なっている。

取り引きの条件は明らかではないが、タリバンはトゥリたちがクラームからペシャワルに旅する際の安全を保証するという、簡単なものである。

トゥリ族はシーア派に属し、これまではスンナ派のタリバンを嫌悪していた。2年前にトゥリはクラームでタリバンと激しい戦いを交わし、現在はクラームの大半を支配している。

タリバンは戦いの後、クラームと他の地域を結ぶ道路を遮断し、トゥリに打撃を与えている。数百万ドル相当の通商が打撃を受け、人々は車列を組んでクラームから出なければならず、その際もしばしば攻撃された。

タリバンはこれまで2008年から4回トゥリ族と取り引きを結ぼうとし、その都度良い条件を出してきた。なぜならトゥリの長老たちは封鎖の解除を歓迎しながらも、クラームを通過する際タリバンから攻撃されない保証を求めていた。

ペシャワルとイスラマバードで2度実施された話し合いでも、トゥリ側の条件を引き下げていないようだという。万が一長老たちがタリバンと取り引きを交わしたとしても、タリバンに復讐したがっているトゥリの部族民たちを納得させることは難しいだろうと思われる。

hoonTaliban negotiates to gain access to key Pakistan area

■パキスタンの無人偵察機の攻撃で6人死亡[101019 BBC]

パキスタンの北西部に対する無人偵察機の攻撃で、過激派が少なくとも6人死亡したと、地元関係者が述べた。

地元関係者によると、北ワジリスタンのダッタ・ヘールにあった過激派の建物と車輛に対して、ミサイル2発が撃ち込まれた。この他に5人が負傷したという。月曜日の夜の攻撃で死亡したのは、地元過激派だったと関係者が述べたが、地元の人間によると、トルクメニスタン出身の過激派もいたという。

(中略)この地域は、ハーフィズ・グル・バハドゥールの支配地域である。

ミサイルが車輛を攻撃して、過激派4人が死亡し、建物の攻撃で2人が死亡した。地元の人間によると、車に乗車していて死亡した人間は、トルクメニスタンから来た者たちだったという(後略)。

hoonSix militants die' in Pakistan drone attack

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2010.