【2010年12月20日〜12月26日】


■タリバン戦闘員、アフガニスタンで沈黙[101226 New York Times]

アフガニスタンのタリバン戦闘員は、7ヵ月間カブールで大掛かりな攻撃を行なっていない(中略)。しかし、いわゆるハッカーニ組織の活動やまだ掃討作戦が終ったとは言いきれないために、ホワイトハウスはまだ成功を表明していない。むしろアフガニスタン戦争の年末戦略の極秘部分の中に、こっそり押し込まれおり、米政府関係者も慎重で口が重い。

というのは、弱体化しつつも、ハッカーニの組織はアフガニスタンにおいては、アメリカの最大の敵だからであり、その戦術を変えて同盟軍の戦略に対抗できるように、戦闘員たちを移動しつつあるからだという。

「彼らは以前よりも資金があり、訓練され、高度な簡易爆弾を設置する」と、アフガニスタン東部の同盟軍最高司令官のキャンベル少将が語った(中略)。

ある意味でアフガニスタンの戦争は、特に東部では、ハッカーニ家に対する戦いといえる(中略)。伝説的なゲリラ戦士ジャラーウッディン・ハッカーニは、80年代はCIAに支援されていた。彼の息子のシラージュッディンは、現在パキスタンから毎日のように作戦を行ない、ペルシア湾や中央アジアから、外国人戦闘員多数を取り込んでいる。

ハッカーニ組織はアフガニスタンタリバンの一部であり、アルカイダ幹部の重要な仲間で、庇護者である。一家はパキスタンの部族地帯に隠れていると言われ、アメリカや欧米諜報関係者は、アフガニスタンにおける宿敵インドを攻撃することと引き換えに、ISIが匿っていると見ている。

NATO司令官やオバマ政権幹部は、6月18日に爆発物を搭載したトヨタのミニバスに乗った自爆犯がアメリカの車列を攻撃して以来、大きな攻撃をカブールで実施していないことに注目している(中略)。

米関係者は、戦略的な成功の理由にいくつかの要因をあげている。ハッカーニを含む抵抗勢力に対する特殊部隊の活動は、6倍になった。過去3ヵ月の間だけでも、アフガニスタン各地で1784回の作戦を実施し、抵抗勢力指導者880人を逮捕または殺害した。その3分の1はハッカーニの組織に対するものだったと、NATO関係者が述べた。

同時にアフガニスタン東部には、アメリカの地上軍が5400兵増兵され、合計3万7000兵になった。カブール周辺ではアフガン国軍と警察、諜報組織の作戦と合わせて、軍はカブールとホーストをつなぐ回廊で、ハッカーニの組織が自爆攻撃を行なう能力を封じ込んだ(中略)。

東部にある孤立した前哨基地から軍が撤退できるように、NATOは無人偵察機の飛行を増やすとともに、パキスタンとの国境沿いにカメラやセンサーを搭載した風船を飛ばしている。

パキスタン国内でも、CIAは112回の無人偵察機による攻撃のうち、99回が北ワジリスタンを狙ったものだった。ここはハッカーニやハーフィズ・グル・バハドゥールの拠点である。

しかしハッカーニの組織は悪賢く強気であるために、カブールに対する攻撃が少なくなった理由は他にあるという噂でもちきりだ。そのひとつが、カルザイ政府がハッカーニに賄賂を支払い、攻撃しないようにしているというものである。またISIがハッカーニに、アフガンの和解のための話し合いに参加できるように、攻撃をやめるように説得したとも噂される。NATOやアフガニスタン、パキスタンの関係者は、そのような噂を否定している。

アメリカとNATOの関係者は、作戦を増加させたために、パクティア、パクティカ、ホーストのハッカーニの組織に打撃を与えたが、だからといって攻撃する能力がなくなったわけではないという。

「訓練所の使用ルートを攻撃したことで、短期的には勝利した。この地域のハッカーニ組織の活動が静かになった事で、彼らの動きを察知することが難しくなった」。「組織はまだ戦闘員を増やしており、彼らの能力が度の程度打撃を受けたかを隠そうとしている。現段階では、ハッカーニの組織を除去したのではなく、打撃を与えただけだ」(後略)。

hoonTaliban Fighters Appear Quieted in Afghanistan
ERIC SCHMITT、WASHINGTON

■パキスタン、ハッカーニ組織指導者を逮捕[101224 Longwar Journal]

パキスタンの治安部隊が、サウジアラビアから組織の本部に戻る途中だった、アルカイダ系ハッカーニ組織の幹部司令官を逮捕した。

ジャラウッディンの息子のナシールッディン・ハッカーニが、ハッカーニ組織の指導者ムハンマド・ジャン師の他3人とともに、逮捕された。ナシールッディンは、ペシャワルから北ワジリスタンのミランシャーに車で移動中に逮捕された。

「ナシールッディンと4人の仲間が、サウジにハッジに行って帰ってくるところを逮捕された。サウジへの旅は、資金調達活動を兼ねていた」と、アフガン人タリバン情報源が『Newsweek』に語った。

パキスタンのISIが、ナシールッディンをはじめとするハッカーニ組織の4人を、安全な隠れ家に移したと報告されいる。

『Newsweek』によると、「アメリカの諜報組織がナシールッディンと接触できる可能性はない。なぜなら、ハッカーニはISIを始めとするパキスタンの諜報組織と密接な関係があるからだ」という。

米諜報関係者もこれに同意を示し、ナシールッディンに接触した場合は厳しく監視され、記述されるという。「我々が彼に接触した場合、万が一許されるとしたら、そのときにはISIがすでに彼に準備を与えているはずだ。ハッカーニはラシュカレ・トイバと同様、ISIにとっては重要だ。彼から有益な情報を得ることはできないだろう」。

別の諜報関係者は、ナシールッディンが拘束されたのは、アメリカが北ワジリスタンのハッカーニ組織に対して軍事行動をとることをパキスタンに強いているために、これを妨害するためだという。「この逮捕はショーにすぎない。ナシールッディンは収容所で弱っているのではない。ナシールッディンの逮捕で、パキスタンはいわろる北ワジリスタンの作戦が大きな打撃を受けたと言うだろう」と、別の諜報関係者が述べた。

パキスタンの軍幹部関係者が、軍は北ワジリスタンに対して極秘の作戦を実施しており、「外科的」な攻撃を行なっているという。パキスタン軍によると、北ワジリスタンには4万兵が作戦を行なっていると主張しているが、これを証明する証拠はない(後略)。

smellPakistan detains top Haqqani Network leader
BILL ROGGIOD

■タリバン、パキスタン北部の国境線で攻撃[101224 BBC]

パキスタン北西部の衝突で、少なくとも兵士11人と過激派24人が死亡したと、関係者が述べた。

タリバン150人が、モーマンド部族地帯の国境警察の検問所5ヵ所を襲撃した。

タリバンは、戦闘員2人が死んだだけだったと述べた。

モーマンドの行政官アムジャッド・ハリ・ハーンが、兵士11人が死亡したことを確認した。当初は3人死亡と言われていた。この他に兵士12人が負傷した。ハーンによると、国境警察隊がバイザイ地域で過激派の攻撃に「報復」したという。「隊は大砲や戦闘ヘリコプターで応戦し、過激派24人を殺害した」という。「7人の遺体が運ばれている」という。

しかしモーマンドのタリバン報道官のサジャート・モーマンドは、この衝突で抵抗勢力2人だけが死亡したと述べた。兵士2人を拉致し、さらに6人の遺体があるという。

治安関係者はこの主張を否定し、行方不明になっている兵士はいないと述べた(後略)。

hoonTaliban launch attacks along north Pakistan border

■パキスタンで自爆、数十人死亡[101224 BBC]

パキスタン北西部で援助品を受け取っていた群衆を狙った女性自爆者の攻撃があり、少なくとも40人が死亡した。

バジョールのカールで爆発があった。戦闘のために避難してきた人々が、配給センターで食料を受け取っていたところだった。報告によるとさらに50人が負傷しており、犠牲者の数は増える可能性がある。

世界食料プログラムなどの援助団体が使用するセンター攻撃に対して、犯行声明は出ていない(中略)。

ブルカを被っていた犯人は、身体検査を拒否したあと手榴弾を投げたという。警察官数人によると、男性がブルカを被って変装していたのではなく、女性だったという。

群衆は、タリバンに対する軍事作戦を支持したサラルザイ族だった。

hoonPakistan suicide bombing kills dozens

■タリバン司令官、パキスタンで殺害される[101223 AFP]

パキスタンの治安関係者が木曜日に、タリバンの司令官が部族地帯で治安部隊との銃撃戦で死亡したと発表した。「12月7日の夜から8日にかけて南ワジリスタンで治安部隊との間で発生した銃撃戦で、アスマトゥーラー・ビッターニが死亡した」と、治安関係者が述べた。

別の関係者もビッターニの死を確認し、逮捕した場合1000万ルピーの賞金が懸けられていたと述べた。

ビッターニはデーラ・イスマイル・ハーンのマドラッサで教育を受け、その後自身のマドラッサを開いて教育を始めた。「重要な過激派司令官だった」という。

ビッターニは2006年に2度逮捕されたが、長老たちの交渉の結果、釈放されていた。

hoonTaliban commander killed in Pakistan: officials

■米軍、パキスタンにおける急襲を拡大か[101221 New York Times]

アフガニスタンの米軍幹部司令官たちは、パキスタンの部族地帯に越境して特殊地上戦を拡大しようとしている。

ワシントンとアフガニスタンの米関係者たちによると、これまで米軍が活動することを禁じられていたパキスタン国内で、軍事活動を活発に行なうという。

この計画はまだ承認されていないが、軍事・政治指導者たちによると、オバマ政権が軍を撤退させる期限が近づいているために、緊急に行動する必要に迫られているという。危険があったとしても、米特殊部隊を使用して過激派を逮捕し、国境を越えてアフガニスタン側に連れ帰って取り調べを行なえば、有利な諜報情報が得られるという。

これまで米国がパキスタン側に越境して急襲を行なったことは、ごく限られた回数しかないが、パキスタンの関係者たちはこれに激怒した。米軍は今度は、パキスタンの政策の変化により、越境が可能になると自信を持っている。

これまでパキスタンにおける極秘戦争は、CIAの武装無人偵察機によってのみ行なわれてきた。

さらに最近では、CIAの協力を得たアフガン民兵が、パキスタンの部族地帯で何度も極秘作戦を実施している。対テロ追跡チームと呼ばれる、パキスタンにおけるアフガン工作員によるこれらの作戦は、これまで諜報情報の収集のみと見られていた。しかし最近のインタビューから、アフガン人が作戦を実施し、過激派の武器庫を破壊した例が1度あることが、明らかになった。

パキスタンにおける米軍の活動を拡大するかどうかは、オバマ大統領自身が決めることであるが、これが決まれば、9年に及ぶ戦争に新たな前線を開くことになる。パキスタン政府を激怒させる危険性もある。特に一般市民が犠牲になれば、世論の逆風を受けることになる。

しかしある米軍幹部関係者は、「実行に踏み切る直前まできている」と語った。

パキスタンで地上作戦を行なうことに関しては、ワシントンでも反対意見が多く、論議になる可能性がある。ある政権関係者は、越境作戦に関しては賛成できないと述べた。これは直接アルカイダの幹部指導者を相手にするのでなければ、「非生産的」だという。パキスタンにおける政策が失敗した場合、戦略的な利点を失ってしまうという。

しかしパキスタン軍は、北ワジリスタンで大きな作戦を行なう可能性が低いために、米司令官たちはパキスタン国内に米奇襲部隊を送り込もうとしている。

アフガニスタンにおける戦略の見直しの結果、オバマ政権関係者は、パキスタン国内の脅威に対処するために、アメリカの作戦を拡大することを考えていると述べた。具体的なことは語っていない。

ワシントンとカブールで行なったインタビューの結果、米関係者は、タリバンとハッカーニ組織の指導者たちを逮捕または殺害するために、地上作戦を開始する計画を練っていると述べた。米関係者は、過激派指導者たちを殺害するのではなく、将来の作戦の計画を立てるための諜報情報を提供できるような者を逮捕するこに、特に期待しているという。

(中略)インタビューで、関係者たちは2008年以来、CIAの指導のもとで活動するアフガン人に関して、2件の作戦を詳述した。

アフガン人政治指導者によると、急襲の1つは、パキスタン国内のタリバン司令官を逮捕するために実施されたという。アフガン軍が建物に到着した際にタリバン司令官を見つけ出すことができなかったが、パキスタン人過激派たちが発砲したという。

米関係者は事実を否定し、CIAの民兵は過激派指導者を逮捕するために越境させるたことはなく、単に諜報情報の収集を行なうだけだと述べた。

別の例では、パクティカの民兵がタリバンの武器庫を破壊して、基地に戻ったという。CIAに指揮された両方の作戦とも、パキスタン国内に数マイルだけ入った建物を狙ったという。

パクティカ防衛軍は、CIAが訓練したアフガン人民兵組織6つのうちの1つで、アフガニスタンで抵抗勢力と戦う特殊部隊である。他の民兵団はカンダハル、カブール、ジャララバード周辺や、ホーストとクナールの地方の州で活動する。

ある米関係者によると、ホーストのそばのCIA支援の民兵が、最近パキスタンとの国境沿いの山中に配置されたという。そこで冬を越し、タリバン戦闘員を偵察しようとしている。今のところ、CIA支援の軍隊は効果的であることが判明したという。「ここ7ヵ月の間耐えてきたロケット弾攻撃が、突然なくなった」という。

過去において米軍は、限られた越境攻撃しかしていない。10月に米軍ヘリが過激派を追って越境した際、誤ってパキスタン兵の一団を殺害してしまった。パキスタン政府はこれに激怒して、米軍の補給路を遮断した。国境で待機していた燃料トラックが抵抗勢力に放火され、米関係者が公式に謝罪した。

2年前の2008年9月に、米奇襲隊がパキスタンの部族地帯で作戦を実施し、抵抗勢力と思われる数人を殺害した。パキスタンの指導者がこれに激怒し、二度としてはならないと警告された。

garrU.S. Military Seeks to Expand Raids in Pakistan
MARK MAZZETTI and DEXTER FILKINS、WASHINGTON

■過激派司令官アミーン、無人偵察機攻撃で死亡[101220 Geo]

非常に危険で重要な過激派司令官のイブネ・アミンが、カイバル行政区のティラ谷で殺害されたと、月曜日に『Geo News』が報道した。

イブネ・アミンは爆発物製造や人々を惨殺する計画を立て、さまざまな残虐行為に関わっていた。アミンは2日前に、ティラ谷で無人偵察機による攻撃で殺害された。情報源が今日になって、彼の死を確認した。

マンガル・バーが主導するラシュカレ・イスラームの幹部司令官が語ったところによると、ボディーガード6人と車に乗っていたイブネ・アミンが、無人偵察機のミサイル攻撃を受けた。

イブネ・アミンは、スワートのマッタ地区のクズ・ジャワール村の出身である。TTPのモーラナ・ファズルッラーの部下である(中略)。情報源によると、アミンはアルカイダとも関係していた。カイバル行政区では過去4日の間に、3度にわたってアメリカの無人偵察機の攻撃を受け、ラシュカレ・イスラームとTTPの過激派36人が、一般市民とともに殺害されている。

アミンの死に関する情報を提供したラシュカレ・イスラーム司令官によると、イブネ・アミンはラシュカレ・イスラームの派生組織を統合するために、数日間かけて和解のための話し合いを行なっていたという。「先週ジャムルッドのチョラ地域でイブネ・アミンと会った。マンガル・バーと仲違いしたラシュカレ・イスラームの派生組織タヤーブ・アフリディと話し合うためだった」という。

アミンはセパ族が住むティラ谷のナングロサ、サンダナ、スピンドランドで、マンガル・バーと会うために残っていた。木曜日になって6人のボディーガードとともに、無人偵察機で殺害された。

ティラ谷の情報源によると、アルカイダとTTP指導者たちはさまざまな過激派組織間の意見の相違を修復させ、パキスタンの部族地帯で行なっている自分たちの作戦に協力させようと努力していた。「イブネ・アミンの役目は、これらの和解活動を主導することだった」という。

情報源によると、去年の軍事作戦の結果、スワートにいたイブン・アミンはアフガニスタンに移って外国軍と戦っていたが、その後カイバル行政区のティラ谷に入った。そこでスワートのタリバンのための基地と訓練キャンプを設置した。パキスタンとアフガニスタンの国境地帯にいるファズルッラー師と、いつも連絡をとっていたという。

いっぽう金曜日、ティラ谷のサンダナ地域にある自分たちの事務所が無人偵察機で攻撃された際に、負傷したラシュカレ・イスラーム司令官のヤール・アザムとマフムードが死亡した。これで犠牲者の数は34人になった。そのうち32人がラシュカレ・イスラームと関係があり、残りの2人は過激派に拘束されていた人間1人と一般市民1人である(後略)。

hoonExtremist commander Amin killed in drone attack
SWAT

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