【2011年2月7日〜2月13日】


■パキスタンの警察報告書によると、発砲事件で米国人「有罪」[110213 Washington Post]

パキスタンの警察報告書によると、2人のパキスタン人を殺害したとして拘束されている米大使館員は、殺人に関して「有罪」であり、この大使館員は背中を含めて犠牲者にそれぞれ5回発砲し、警察には現場に到着した経緯を偽ったという、捜査官の調査結果を引用した(中略)

5枚からなる報告書によると、男たちは武装はしていたものの、彼らがデイビスに銃を向けている所を目撃した人間はいないという。ラホールの米政府責任者のカーメラ・コンロイは金曜日に、警察は、発砲事件の数日後にパキスタンのテレビで放映された強盗事件の目撃証言を考慮していないと、反論した(中略)。

土曜日に、米国務省は2月23〜24日に予定されていた、米・パキスタン・アフガニスタンの会議を延期したことを発表した。パキスタンに「政治変更があった」−−パキスタンでは新たな内閣が結成した−−ことを引き合いに出したが、ホワイトハウスはデイビスの問題がこの変更の引き金になったと述べた。

パキスタンでは土曜日には、先週の内閣が改造されるまで外務大臣だったシャー・マフムード・クレイシイが事件後初めて発言し、自分はデイビスが外交特権があるとは思わなかったために、仕事を失ったと述べた。

パキスタンの新聞によると、クレイシイは晩餐会の出席者に、「国家の利益のためには、関係悪化もやむを得ない」と述べた。

パキスタン政府関係者のなかには、デイビスは明らかに特権があると語る者もいる。しかしアメリカの下僕と見られている弱いパキスタン政府は、デイビスの釈放によって起きる世論を恐れている。

いっぽうこれらの関係者は、事件が起きたパンジャーブ州の野党が主導する政府と警察は、アメリカに対する影響力を得ることを期待して、民衆の怒りを利用しようとしているとも述べる。

パキスタンの米政府関係者によると、バイクの2人の男性には犯罪歴があり、ラホールの交差点にいたデイビスの車を止めたという。発砲のあと、男たちは当日盗んだ現金と携帯電話を持っていた。先週、アメリカとパキスタン政府関係者が『ワシントンポスト』に、警察の報告書もこれらの事実を裏付けたと述べていた。

しかし、ラホールの地方裁判所に提出されたウルドゥー語の報告書には、この部分が反映されていない。関係者の参照したものがこの報告書と同じものなのかどうかは、日曜日の時点ではわからない。

報告書は目撃者の証言として、デイビスは車の中から男たちに発砲した後に車から出て、2人のうち、走り去ろうとしたファイザン・ハイダルにさらに2発撃った。そして写真を撮り、自分の車で現場から逃走する前に、米領事館に電話したが、その後交通警察官2人に逮捕された。デイビスを助けに急行した領事館の車が、現場に行く途中で通りすがりのバイクに乗った男性に追突して、死亡させた。

報告書によると、デイビスは警察に、領事館から現場に来たと述べた。しかし彼の車にあったGPSは、自宅から来たことを示していた。警察は以前、デイビスは銀行から戻るところだったと述べたと言っている。

バイクに乗っていた2人の男は、5台の携帯電話とピストル2丁、パキスタン、日本、オマーン、フィリピンの現金を持っていたという。

検死結果によると、死亡した男たちはそれぞれ背中を2度撃たれ、1発は頭に命中していた。報告書にはそれぞれ背中を3度撃たれていたと書かれた場所があとにあり、矛盾している。

デイビスが主張している自己防衛を否定する要素として、背中を撃たれている事実が挙げられている。強奪の目撃者がいないこと、デイビスの車の外に2つの空の薬莢が発見されたことから、彼が攻撃的に発砲したことを裏付けるとされる。また、犠牲者のピストルのり薬室には弾丸が入っていなかった。

「彼が射撃の専門家であったことから、もし自己防衛なら足などの体の下の部分を1〜2発撃つだけで十分だった」と、報告書に書かれている。「被告は10発発砲し、自己防衛のためだったという主張に反する」。

イスラマバードの米大使館報道官コートニー・ベールはコメントを拒否したが、パキスタンのテレビが、強奪現場を目撃したという人々のインタビューを指摘した。

これらの報告は、すぐにデイビスの活動内容に対する憶測とすりかわった。米大使館は、彼の仕事に関しては何も語っていない。爆弾で破壊された橋やマーケット、インドとの国境に通じる道路など、デイビスが携帯電話やカメラで撮った写真がリークされた。

さらに、デイビスの車にあったも品々からも、さまざまな憶測が飛んでいる。警察の報告書によると、グロック・ピストル、弾薬75、サバイバル・キット、赤外線ヘッドライトと双眼鏡などである。

警察は、現場に急行したもう1台の車を特定していない。米政府関係者は、コメントを拒否した。警察の報告書によると、車が走り去るとともに、いくつかのものが「落ちた」という。弾薬100発、手袋、コンパス、黒いお面、「アメリカの国旗の絵が書いてある布切れ」である。

smellPakistani police report deems American official 'guilty' in shootings
Karin Brulliard and Aoun Sahi、ISLAMABAD

■米パキスタン政府関係者、射殺事件で意見対立[110210 Washington Post]

水曜日にアメリカのパキスタン政府関係者は、ラホールで2人の男性を射殺した事件に関して意見が対立している(中略)。

パキスタン政府関係者は、ラホールの米領事館の車によって追突されて死亡した3番目の犠牲者に関して、米政府の誰も謝罪していなことに憤慨している。

月曜日に国務省は、デイビスはイスラマバードの「技術・事務スタッフで、一時的にラホールの領事館に派遣されていた」と述べた。

国務省幹部は、デイビスはパキスタンで銃を所持することを認められていなかったと述べたが、別の関係者は、彼は治安請負人で、武器を所持する許可を持っていたと発言した。

パキスタンの警察が米関係者に与えた情報によると、デイビスは車の中に携帯双眼鏡、財布、米ドル、パキスタンルピー、デジタルカメラ、コンピュータのメモリーカード、パスポート、携帯電話、絆創膏など救急キットのものと思われる多数の物品、「カッター」とフラッシュライトを持っていた。

パキスタンのメディアの報告によると、デイビスは多数のATMと軍のIDカードを持ち、変装道具あるいはメイクアップ用の道具と説明されているものを持っていた。アメリカはこれを否定していない。またパキスタン政府関係者は、デイビスはラホールとペシャワルの米領事館の身分証明書を持っていたが、イスラマバード大使館のものは持っていなかったという。

パキスタンのテレビが水曜日に、デイビスが拘束されたときに撮られたと思われる、ビデオを発表した(中略)。発砲や、デイビスがCIAの関係者だったかなどという疑問に対してアメリカは曖昧な答えしか出していないために、今回の出来事は強盗事件ではなく、スパイ間の対立ではなかったかという憶測が飛んでいる。パキスタンの諜報関係者が『ワシントン・ポスト』に語ったところによると、バイクに乗った男たちは諜報組織の工作員だったという。パキスタンの諜報組織は火曜日に、そのような事実はないと述べた。

アメリカのパキスタン政府関係者は、2人の殺害されたパキスタン人たちはその日、別の2人の人間を強奪して携帯電話を奪ったという警察の報告書に同意している。この携帯電話は、現場で発見されている。テレビを見た2人の被害者が、射殺された2人に強奪されたことを申し出てきた。

報告書によると、デイビスが信号で止まっているときに、少なくともバイクに乗った男1人がデイビスに武器を向けたことは確かだが、2人とも発砲しなかった。「1人がピストルを出して、彼に向けた」と、米関係者が述べた。

殺害されたパキスタン人たちは5台の携帯電話と、ロレックス風の時計、5ヵ国の紙幣を持っていた(後略)。

smellU.S., Pakistani officials at diplomatic odds in fatal shooting
Greg Miller and Karen DeYoung

■タリバン、収容所から攻撃を指揮[110210 New York Times]

カブールで活動している自爆攻撃の組織は、3年間にわたってカブールの収容所にいるタリバン司令官に指揮されていたと、アフガン政府関係者が述べた。

別の自爆組織は、宗教学校の若者たちを募集して彼らを麻薬中毒にし、自爆させていた。

アフガン諜報組織であるNational Directorate of Securityが、記者会見で驚くべき事実を暴露した。2つの組織の仕業を暴露するはずのものだったが、多くの疑問点が明るみに出た。

拘束されているタリバン司令官のタリーブ・ジャンが、プレチルキ収容所から自分の組織を指揮していた様子が明らかになった。「プレ・チャルキ収容所の中から実行者を選び、標的を指示し、指揮していた。あれをしろ、これをしろと」と、National Directorate of Security報道官のルトフッラー・マーシャルが述べた。「カブールのテロリストの自爆攻撃は、この男がこの収容所で計画していた」という。

マーシャルは、ジャンの告白ビデオを見せた。ジャンは自分が指揮していたことを認めて、いかにして1月28日にカブールで起きたFinest Supermarketの自爆事件を計画したかを語った。この攻撃で14人が死亡している。収容所を訪れてジャンの命令を直接受けたという部下のムハンマド・ハーンが記者会見で、いかに攻撃に関与したかを自白した。

この事件の捜索から、別の自爆組織が明らかになった。組織は、カブールとロガールにある米軍基地の攻撃を行なうために、8人の自爆犯たちが準備をしていた。記者会見では、その隠れ家の責任者を含むメンバー5人と、運び屋と2人の若い自爆予定者が、それぞれの役割を告白した。

どちらの組織も、ハッカーニの組織の一部である。

2人の自爆予定者は両方ともアフガン人で、1人は20歳、もう1人は17歳である。マドラッサから、選ばれた。

17歳のマフマドゥッラーはロガール州出身で、パキスタンの北ワジリスタンのマドラッサから、選ばれたという。彼と別の3人は、赤い色のドラッグを注射されたという。「注射されるととても楽しくなり、彼らの言葉を聞くのが楽しみになり、聞くのがうれしかった。彼らがやれということは何でもやると誓った」という。

その後あるムッラーの所からパキスタンにいる別のムッラーの所に連れて行かれ、そこでアメリカと戦うためのプロパガンダ・ビデオを見せられたという(後略)。

hoonTaliban Directed Attacks From Prison
ROD NORDLAND and SHARIFULLAH SAHAK、KABUL

■拘束された米国人、パキスタンのテレビで放映される[110210 AP]

パキスタン人2人を射殺した米国人が警察に、自分はラホールの米領事館のコンサルタントだと語り、自分のパスポートを探してほしいと頼む様子を映したビデオが浮上した。

ビデオは水曜日の夜に、『ドゥニヤ』テレビが放映した(中略)。短い映像は、ラホールの警察署の部屋に置かれた机の上から、携帯電話で映されたようだ。本物であるかは明らかではないが、デイビスと思われる顔が映っている。

南部訛が若干ある明らかな米国アクセントで、デイビスはイスラマバードの米大使館にいると述べたが、その後ラホールの米領事館の領事のためのコンサルタントだとも語る。またAmericans' Regional Affairs Officeのことと思われる『RAO』で働いているとも語る。首にかけたいくつもの身分証明書のカードを警察に見せ、そのいくつかは古いと語った。警察がレイモンド・デイビスという名前を読み上げたが、それを否定しなかった。また警察に捕まったときに、警察官にパスポートを見せたが、その後それが見当たらなくなり、警察に探してほしい、おそらく車の中になるかもしれないと述べた。

警察官同士は主にウルドゥー語とパンジャビ語で話しているが、ある時点でデイビスに水を与え、代金を払えと冗談を言う。

『ドゥニヤ』は、デイビスのカメラにあったと思われる写真も見せた。政府や警察署や、インドとの国境近くの地域の写真が撮られ、なぜデイビスがそれらの写真を撮ったのかが問題になっている。

smellPakistan TV footage shows detained American
NAHAL TOOSI、ISLAMABAD

■パキスタン政府関係者、拘束された米国人問題に楽観的[110209 AP]

パキスタンの大統領の腹心たちが水曜日、イスラマバードとワシントンは、パキスタン人2人を射殺したとして拘束中の元米特殊部隊兵士に関連して派生した外交問題を解決できると、楽観的だった。

(中略)アメリカは当初デイビスはラホールの米領事館の職員だったと述べたが、その後イスラマバード大使館で働く「事務・技術スタッフ」であり、外交官特権があると述べていた。

パキスタンの法律では、事務や技術スタッフには特権を与えていないことが問題を複雑にしていると、元駐米パキスタン大使のタリーク・ファテミが述べた。またデイビスが武装していた事実にも、パキスタン人は憤慨している。米政府幹部が語ったところによると、デイビスは銃を所持することを米国に許可されていたが、パキスタンの法律がそれを認めるかどうかは「グレー・ゾーン」だと述べた。

ペンタゴンの記録によると、デイビスは元特殊部隊兵士で、2003年8月に退役した。(中略)イスラマバードの米大使館は、デイビスが大使館でどのような仕事をしているか、またラホールでどのような仕事をしていたかを明らかにしていない。

しかし、彼は外交官パスポートを持ち、2012年6月まで有効だったという。また米国はパキスタン政府に、1年以上前にデイビスを雇ったことを通告していたという。

ラホールの発砲事件のあと、デイビスは救援を呼んだ。米国の車が現場に急行して、パキスタン人の通行人に追突して死亡させた。3人目の犠牲者に関与した米国人たちに関して、アメリカは何も発表していない。パキスタンの警察は、彼らの取り締まりもしたいと述べている。パキスタンの政治上の対立も、デイビスの問題を複雑にしている。

パキスタンの連邦政府は、問題はパンジャーブ州裁判所次第だと述べているが、州政府関係者は、連邦政府がまずデイビスが特権を持っているから明らかにするべきなのに、まだそれをしていないと主張している。2つの政府はそれぞれ対立する政党の影響下にあり、それぞれ相手に打撃を与えようとしている。ファテミ元大使は、デイビスが外交観特権を持つかどうかは、外務省が決めることだと述べた。しかし政府はデイビスを釈放することで起きる反動に耐えるほど力はなく、アメリカが裏で動いたほうが良いだろうと述べた。「一歩退いて、沈静化を待つ必要がある。悪影響を考えずにただ釈放を要求すれば、政府は大きな問題を抱えることになる」。

hoonPakistan officials hopeful on held American spat
NAHAL TOOSI、ISLAMABAD

■ジハード者、武装を呼びかける[110209 Asia Times]

『エイジア・タイムズ』は、ロシア、ドイツ、ウズベキスタン、トルコ、チュニジア、タジキスタン出身の外国人ジハード者たちが南ワジリスタンで活動する様子を詳述する、過激派組織ジュンダッラーのプロパガンダ・ビデオを入手した。また地元過激派とともに、パキスタン軍に対する作戦を実施する様子も、写されている。

ジュンダッラーは、南ワジリスタンで司令官たちがロシア、ドイツ、パキスタン、ウズベキスタン、トルコ、チュニジア、タジキスタン出身のメンバーを率いていることを明らかにするビデオを、初めて発表した。

ビデオでは、殺害されたという司令官やメンバーとともに、まだ活動していると主張するメンバーを紹介する。ジュンダッラーとウズベキスタンイスラーム運動の傘下で、国際ジハード組織が活動する様子を記録した初めてのビデオである。また、パキスタン軍に対する合同作戦を実施している様子も、映されている。

ジュンダッラーのスタジオで作られたこのビデオは、2010年12月に完成し、ウズベク語、トルコ語、ドイツ語、パシシュトウの字幕とともに、英語の副題がついている。

映像には、2010年8月に起きたパキスタン軍の検問所に対するゲリラ攻撃が映されているが、多数のタジーク、ウズベク、トルコ、ロシア、ドイツの過激派が、サジナとヌール・イスラームを含む地元の司令官とともに計画・実行しているのがわかる。

サジナは最近南ワジリスタンのTTP司令官に任命され、ヌール・イスラームはこれまで単なる名前しかわからなかった部族民長老の司令官で、長期にわたってアルカイダやウズベク人過激派のパトロンだった。今回彼らは顔を露にして、パキスタンやアフガニスタンに対する自分たちの過去や現在の襲撃行為について語る。

ジュンダッラーは、現在アメリカに拘束されているハリッド・シェイク・ムハンマドが立ち上げた。

最近当記者がアフガニスタンのバグラーン州を取材で訪れた際、アフガン政府関係者がジュンダッラーがロシアや中央アジア出身者をバグラーンやクンドゥーズに連れてきていることを認めた。彼らによると、標的はバグラーンやクンドゥーズではなく、タジキスタン、ウズベキスタン、ロシアだという。

ビデオの大半が、学校で訓練を行なっている様子で占められている。学校は長老を訓練するものや、十代の少年たちを訓練するものがある。過激派たちは彼らをデルタ・フォースと呼び、ほとんどがアラブ人、ウズベク人など、殺害された外国人過激派の子どもたちである(後略)。

garrJihadis answer call to arms
Syed Saleem Shahzad

■学生自爆犯、パキスタン軍基地で31人殺害[110209 BBC]

自爆犯がパキスタン北西部の軍の基地を攻撃し、31人を殺害、40人が負傷した。

警察によると、マルダンを攻撃した犯人は学校の制服を着た10代の男子だったという。

タリバン報道官が、抵抗勢力の犯行だと発表した(中略)。

マルダンの警察官アブドゥッラー・ハーンが語ったところによる、10代の自爆犯はこの地域のジシズ・バティ高校の制服を着ていたという。犯人は、見習い生たちが運動場で体操をしているところを攻撃した。パンジャーブ連隊は、パキスタンの最も有名な部隊である。

最近パキスタン各地で、十代の自爆犯が増えている。パキスタン軍が北西部で発見したある訓練所にいたのは全員10〜12歳の少年で、自爆するための訓練を受けていた。

タリバン報道官のアザム・タリークが、木曜日の攻撃を行なったのは自分たちの組織で、アメリカの無人偵察機による攻撃で死亡した人々の復讐ができて誇らしいと述べた。タリバンは今後も「米国人を守る人間」を攻撃するという。

garr'Schoolboy' bomber kills 31 at Pakistani army base

■逮捕された米国人の謎[110208 New York Times]

パキスタン人2人を殺害したとして逮捕された、元米特殊部隊兵士のレイモンド・デイビスの問題は外交問題に派生し、米国とパキスタン間の微妙な関係がさらに悪化してきた。

デイビスは警察に、バイクに乗った2人のパキスタン人に強奪されそうになったと述べた。2人に発砲して殺害した直後に、警察に逮捕された。グロック銃を所持し、ヘッドバンドに取り付けられたフラッシュライトと携帯双眼鏡を持っていた。

デイビッドがこれらの道具で何をしようとしていたかという謎が、パキスタン人たちを怒らせている。多数の米治安関係者が国内をうろうろし、パキスタン政府はそれに対する答えがないからだ。

(中略)デイビスに関して米政府関係者は「警備」または「技師」であることをほのめかしているが、彼の仕事は上司だけが知っている。

オバマ政権は、デイビスが外交官特権を持っており、ウィーン条約に従って釈放されるべきだと主張している。襲撃のあとで警察が彼を逮捕したことは違法であり、外交特権を持つ者としてラホールの米領事館に返されるべきだとという。

もしデイビスが釈放されないのであれば、3月下旬に予定されているザルダリのワシントン訪問は危うくなり、米国からの資金援助が中止される場合もあると警告している。

先週ミュンヘンで開催された会議で、クリントン国務長官がパキスタン軍参謀長のキアニ将軍に、デイビスはの逮捕は違法であり、ただちに釈放されるべきだと述べた。

(中略)パキスタンで高まる反米感情の圧力を受けたパキスタン政府は、アメリカの要求を退け、裁判所が問題を取り扱うと述べた。

(中略)デイビスは、ラホールの警察訓練所に軟禁され、他のパキスタン人の囚人とは隔離されていると、パキスタンの検察官が述べた。すべての質問に黙秘しており、家族に関しても語っていない。

日曜日に、デイビスに殺害された男の18歳の妻が自殺したために、民衆の怒りがさらに高まっている。

デイビスの仕事が問題になり、彼がカメラで何をしていたかが疑問視されている。カメラには、パキスタンの都市部の建物の写真が残っていた。

逮捕後に警察が『Dawn』紙に提供した身分証明書の1つによると、彼は国防省の請負人であったことがわかる。別の身分証明書は、ペシャワルの領事館に所属していることを示していた。これは、デイビスがラホール領事館のスタッフだったとする、米大使館の当初の主張と矛盾する。

パキスタンの警察によると、デイビスはジーンズとチェックのシャツを着て、ラホールの混雑した町を車で運転していた。そして車のフロントガラス越しに、2人の男を射殺した。その後車から降りて、デジタルカメラで死亡した男たちの写真を撮った。当初彼は、男たちが武装していたと思ったために、自己防衛のために銃を撃ったと語っていた。

検死を行なったファフール・ザマナ医師によると、犠牲者の1人のファイザン・ハイダルは体に5発弾丸を撃ち込まれていた。そのうちの2つは背中に残っていた。もう1人のムハンマド・ファヒームは4発の弾丸を受け、そのうちの1発は脳に、1発は背中にあった。

ラホール警察によると、ハイダルとファヒームは武装して、盗品の携帯電話を持っていた。

デイビスが2人を射殺した直後救援を呼び、ラホールの米領事館の車が現場に直行した。一方通行を逆行してきたために、バイクに乗ったパキスタン人に追突して死亡させた。

パキスタンの新聞には、フロントガラスに弾丸の跡があるデイビスの白いレンタカーの写真が出回り、彼の正確な射撃の腕前が話題になった。

デイビスは1993年にFort Benningの米軍訓練所で基礎訓練を受けてから、10年間米軍に所属した。その後特殊部隊兵士として訓練を受け、2003年に米軍を退役している。米軍の記録によると、彼の海外駐屯歴は1994年に国連平和維持軍のメンバーとしてマケドニアに派遣された6ヵ月間だけである。

米軍を退いてからデイビスは、軍の請負仕事をしていた。妻のレベッカ・デイビスとともに2006年にネバダでHyperion Protective Servicesを立ち上げた。警備の仕事を、政府から請け負っていた。会社として大きな仕事を請け負ってはいなかったようで、デイビス個人に仕事を与えていただけのようだった。

デイビスは2009年の終わりにパキスタンに来たことが、彼のビザからわかる。外務省の申請書によると、彼の地位は「ジム・技術スタッフ」ということだった。

最初はペシャワルに配属されたようだ。デイビスが暮らしていた家で働いていたパキスタン人によると、去年家を引き払ったときに、家のスタッフにそれぞれ数百ドルのチップを与えたという。

デイビスの問題がどう転ぼうと、大きな反動があるだろうとパキスタンの関係者が述べた。「ラホールの殺人事件により、米関係者が武装して我々の町を自由に歩き回ることを止めさせることになるはずだ」と、外務省の元米国担当責任者だったサイード・ハリッドが語った。

smellMystery Over Detained American Angers Pakistan
JANE PERLEZ、LAHORE

■アフガン政府、警備会社16社に警告[110208 Washington Post]

アフガン政府は民間警備会社を調査した結果、16社が警備員を雇いすぎていたり、最大2年間に及び税を払っていなかったり、未許可で武器や装甲車を所有しているなどの違法行為があると訴えた。

カブールに出回っているリストは、アフガニスタンで活動するいくつかの有名な米国と英国の会社に対する、政府の最新の考え方を明らかにする。政府はこれらの会社を排除するのではなく、罰金を課そうとしているようだ。

さらにアフガン政府関係者と関係のある7つの警備会社が、今週解散するように命じられる予定だと、アフガン関係者が述べた。

『ワシントン・ポスト』が入手した違法行為リストの内容に対して、警備会社の代表者たちは異議を申し立てる。カルザイは自分たちと引き換えに、政府の警備員たちを使おうとしていると見ている。

8月以来、カルザイはアフガニスタンで活動する数千の民間警備員たちを「日中は盗人、夜間はテロリスト」と呼んでいた。会社側は、自分たちがアフガニスタンを去れば、外国資金による開発プロジェクトやNATOの車列、大使館、基地の警備に支障が出るだろうと語った。

調査によると、英国の会社G4S−−カブールの米大使館を警備しているArmor Group North Americaの親会社−−は、許可されている人数よりも1358人も多く警備員を雇い、27台の違法「防弾」車を所持し、基地以外の場所で、外交活動以外の目的のために大使館の車を使用していた。これとは少し異なる違法行為リストも、カブールにまわっている。

ワシントンを拠点とするBlue Hackleは、許可されているよりも1257人も多い警備員を雇い、未許可兵器385を所持し、装甲車の「場所を明らかにしていない」という。Blue HackleはカブールのNATO軍基地Camp Eggersを警備し、U.S. Army Corps of Engineersなどと契約を結んでいる。

会社の半分が、税金を払っていないと非難された。また死亡した警備員の家族に、保証金を払っていないともいわれる。アフガン人運転手を殺害し、彼の車を放火したとして、ある会社が非難されている。別の会社は4人を殺害し、4人を負傷させたが、犠牲者を報告していないという。

(中略)Blue Hackle North America代表のトニー・コーレンは、自分の会社はアフガニスタンには装甲車は持っていないと述べ、兵器はすべて登録してあるという。またアフガン政府は一時、民間警備会社に対して雇用者の上限を500人に設定したことがあるが、米政府関係の仕事をする警備員は、数には含まれていなかったという。「上限500人というのは、つい最近までは建前だった」。「大きな会社には、それ以上の人間がいることは周知のことだった」という。

アフガン政府は16の会社を解散させることは考えていないが、違法行為の程度にしたがって罰金を課すと、内務省の対テロ部門責任者のサイード・アブドゥル・ガファール・サイードザドが述べた。

サイードザダは、カルザイの遠い親戚の兄弟が運営するWatan Risk Managementと、国防大臣のラヒーム・ワルダックの息子と関係のあるNCLを含む7つの会社は、アフガン政府幹部と関係があったことと関連して、「数日内」に解散を命じられると述べた(後略)。

hoonAfghan government accuses 16 security firms of violations
Joshua Partlow、KABUL

■カルザイ、グアンタナモのタリバン関係者の釈放を要求[110208 New York Times]

カルザイ大統領が火曜日に、グアンタナモ収容所に拘束されているタリバン関係者をアフガニスタンに呼び戻し、和平のための話し合いに参加させたいと述べた。

カルザイの発言は、2002年以来グアンタナモ収容所に拘束されているハイルッラー・ハイルハワ師の釈放を要求した、政府が主催する平和会議の要求を繰り返すものである。ハイルハワはカンダハル出身で、タリバン政権時代はタリバン内相とヘラート州知事だったと言われる。「彼が話し合いたいなら、歓迎する」と、カルザイが記者会見で述べた。「我々は、彼と話し合う。彼の釈放を計画する」という。

アメリカはコメントしていないが、グアンタナモに収監されていたアブドゥル・カユーム・ザキールをアフガニスタンに引き渡した結果、彼が再びタリバン運動に戻り、今や重要な司令官になった前例があるために、グアンタナモにいる重要人物の釈放に乗り気ではない。カルザイは、ハイルハワが釈放される可能性があるとみている。米大使館報道官のケリ・ハナンが「アメリカは平和委員会の活動を支持している」と述べたが、ハイルハワ釈放に関してはコメントしなかった。

カルザイ政権内では、タリバン幹部を招いての話し合いを進めようとしている。去年結成された平和委員会のメンバー70人の中には、元タリバン関係者12名も含まれる。そのうちの1人がアルサラ・ラフマニで、現在委員会の政治囚人委員会を率いる。彼も、ハイルハワがカブールに戻ることを要求している。

ハイルハワの米国人弁護士フランク・ゴールドスミスがカルザイに、自分のクライアントが平和委員会に参加したがっていると伝えてきたことが、事の起こりだという。彼のEメールは平和委員会に転送され、ハイルハワの釈放要求になった。ラフマニによると、ハイルハワはカブールで保護されるが、自宅軟禁になるという。

「彼は非常に頭がよく、良きムスリムであり、母国に平和と安定をもたらすという我々の目的に協力してくれるだろう」と、ラフマニが述べた。

今回の動きは、アフガン大統領と米関係者との間の亀裂も浮き彫りにしている。カルザイが、火曜日にグアンタナモで死亡した、拘束されていたアフガン人タリバンに関する情報を収集しているという。米関係者によると、アワール・グルは先週収容所のキャンプで体を動かした後、死亡したという。

グルの遺体はジャララバードに戻され、数千人が葬儀に参加した。葬列者の中には殺人だと主張して反米スローガンを掲げ、復讐を誓う者もいた。有名な地元タリバン司令官のアンワル・アルハク・ムジャーヒッドが、声明を発表した。

さらにカルザイは、土曜日にミュンヘンで開催された治安会議で、アフガニスタン国内にいる地方再建チームの解散を要求した。このチームは米国やNATO諸国の民間人からなり、数億ドル分の援助活動を行なっている。アフガン関係者はこれらの資金を自分たちの政府を通して行ないたいが、汚職を心配する米関係者はこれに抵抗している(後略)。

hoonKarzai Calls for Release of Taliban Official From Guant namo
ROD NORDLAND、KABUL

■米、デイビス釈放まで両国会談を延期[110208 Dawn]

米国は、イスラマバードがラホール領事館の職員を釈放するまで、パキスタンとの両国会談を延期すると発表したと、情報源が語った。

情報源によると、今回の問題は、今年計画されている3つの重要な会談に影響を与える可能性があるという。ザルダリ大統領のワシントン訪問、次期米・パキスタンの戦略会談、そしてパキスタン・アフガニスタン・米国の三ヵ国会談である。

先週クレイシー外務大臣が、今回の問題のためにヒラリー・クリントンが会見を中止したとイスラマバードに伝えてきたために、ミュンヘンで開催される国際治安会議への出席を中止した。しかし今年予定されている会談は、ミュンヘン会議よりも重要である。

(中略)先週パキスタン政府はレイモンド・デイビスを釈放することを決めたようだったが、日曜日に射殺された男の妻が自殺したために、問題が複雑になった。

『Dawn』の調査によると、デイビスは民間の警備会社で働き、パキスタンに来ていたが、外交官パスボートは持っていないことがわかった。ワシントンのパキスタン大使館にこのパスポートを提出していたが、外交官ビザは持っていなかった。

パキスタン人たちは、米大使館はデイビッドの外交観特権を主張するまでに時間が経っていたことを主張する。48時間も沈黙を守ったために、彼の地位に対して疑惑が浮上している(後略)。

hoonUS postpones bilateral contacts until Davis freed

■レイモンド・デイビスに射殺された男の妻、自殺[110207 BBC]

米政府関係者に射殺されたパキスタン人男性の未亡人が、服毒自殺した。

遺書によると、シュマイラは、米国人が裁判にかけられることなく釈放されることを恐れていたという。夫のムハンマド・ファヒームともう一人の男性が、先月レイモンド・デイビスに射殺された。

米大使館は、デイビスは外交官特権を持っているために起訴することはできず、すぐに釈放するように要求した。

デイビスは男たちを撃ったことを認めているが、強奪されそうになったために防衛行為だったと主張している。

ラホールの裁判所はデイビスの釈放を阻み、彼の名前を「出国制限リスト」に入れて出国できないようにしている。

「ファヒームの妻のシュマイラが死亡した」と、ファイサラバードのアリード病院長が発表した。「医師たちが彼女を救おうと尽力したが、少し前に死亡した」という。彼女が亡くなる前に医者が録音した遺言によると、「この国の政府が正義を行なうとは思えない」。「だから自殺した」という。また病院に運ばれた際に記者たちに、「血には血を」と語った。「夫は射殺された。犯人も射殺されるべきだ」。

デイビスは、殺人と違法な武器を所持していたことで起訴されている。2月11日に、再び法廷に立つ予定である。パキスタン政府は裁判所に、デイビスが外交官特権をもっているかどうか調べる時間を要求した。政府は当初、デイビスは国内で火器を所持することを許された外国の治安関係者の中には入っていないと述べていた。

イスラマバードの米大使館は、「バイクに乗っていた2人の武器を持った男に対面して自己防衛のために」行動した領事館の職員だと主張している。

デイビスは警察に、バイクに乗っていた男と後ろに乗っていた男が、銃を向けて自分の車をハイジャックしようとしたと主張している。デイビッドの仲間が救出にきたところ、3番目の男性に追突して死亡させた。

hoonWidow of Pakistani shot by Raymond Davis kills herself

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