【2011年5月9日〜5月15日】
●ビンラディンが殺害されたといわれるアボタバードの作戦が実施される前に、アメリカのヘリコプター2機がスワートに着陸していたことがわかった。木曜日の国境警察隊員の話として、『Geo』テレビが報道した。
●カーラ・ダーカとアボタバードの間は150キロで、山脈を挟んでいる。
●目撃者によると、ヘリコプターはカーラ・ダーカに数分間とどまっていたという。畑には、ヘリの跡がはっきりのこっている。
●諜報組織は現場から証拠を押収し、畑の所有者によると、鉄製の棒が残されていた。ガソリンがしみ込んだ土も押収された。
●カイバル・パフトゥンフワ州政府は、このような出来事に関して何も知らないという(後略)。
2 US choppers landed in Kala Dhaka before Abbottabad operation●米諜報関係者がパキスタンの諜報組織の同席の上で、ビンラディンの3人の妻の取り調べを行なったという。
●女性たちが今週、全員一緒に取り調べを受け、米国人たちに「敵意」を表したと『CNN』がパキスタン政府幹部の話として報道した。部屋にはアメリカの諜報関係者と一緒に、ISIも同席したという。米国人たちはそれぞれの話を確かめるために1人ずつ取り調べを実施したがったが、一番年長の未亡人が代表で答えたという。
●3人の関係者が語るには、ほとんど新たな情報は得られなかったという。
●(中略)一番年少の未亡人は29歳のイエメン出身のアマル・アフマッド・アブドゥルファタで、残りはカリア・サバールまたは「ウンム・ハムザ」、そしてシハーム・サバールまたは「ウンム・ハリッド」である。ビンラディンの5人の妻のうちの3人である(後略)。
US officials interrogate "hostile" widows of bin Laden●米国はビンラディン殺害後パキスタン陸軍参謀長のキアニ将軍に圧力をかけているが、他の過激派排除を要求している米国に答える気配がないと、ここ10日間に彼にあった人々が語った。
●将軍は米国との関係を完全に放棄するつもりではないが、米国に頼る度合いを低くし、それでいて援助資金が途絶えさせない程度のことは提供するつもりでいるようだ。
●(中略)米関係者は、パキスタンにタリバンやアルカイダ指導者たちの取り締まりに協力させ、なんとかアフガニスタンでの戦争を終結させたいと考える。今後は国内に隠れている過激派指導者たちとの関係を絶つように、キアニに圧力をかけていくことになる。
●アフガンタリバン指導者のオマール師やシラージュッディン・ハッカーニ、ラシュカレ・タイバなどの過激派たちである。
●いっぼうでパキスタン政府関係者たちは、パキスタンにいるアルカイダに関する新たな諜報情報が米国の襲撃で出てくるか心配している。出てきた場合は、パキスタンにさらなる圧力がかかることになる。
●しかし最近キアニ将軍と話した人間によると、キアニが過激派指導者幹部たちとの関係を絶つことは難しいという。彼は金曜日、米軍の襲撃をめぐるパキスタン軍の落ち度に関して、国会で非公開に話す予定である。
●(中略)キアニ将軍はこれまで何度も、北ワジリスタンのハッカーニの組織に対して作戦を行なうよう米国に圧力をかけられていたが、今になってもこれを実施しそうもない。
Army Chief Balks at U.S. Demands to Cooperate●パキスタン軍と諜報組織は、アメリカのアボタバード作戦について事前に熟知し、協力さえした。彼らが知らなかったことは、ビンラディンがそこにいるということで、なによりも憤慨したことは、彼らが約束違反をしたこと、つまり作戦を単独で行なったと主張したことだった。
●これまでアメリカは、何度も極秘作戦をパキスタン国内で行なっている。例えば2008年に『Los Angels Times』が報道しているように、2006年にはパジョールのダマドーラにあった、アルカイダのものと思われる建物をエリート隊が襲撃した。
●この合意のもとで、アメリカはパキスタン国内で重要な標的に対して襲撃を実施し、パキスタンは協力することになる。しかし、主権に問題が出ないように、政治的な理由から自分たちが襲撃を実施したと主張する。
●しかしデイビスの問題で、パキスタンとアメリカの極秘作戦に関する合意に亀裂が生じた(中略)。その結果パキスタンはアメリカにさらなる経済援助と武器のセールスを求めた。アメリカも、今後も標的を攻撃することを臨んだために、パキスタンに過激派に対する取り締まりを強化するように求めた。
●(中略)両者の要求は激しくぶつかったために、国際的なプレイヤーたちが仲介に入った。その中にはサウジ政府とアガ・ハーンがいる。彼らの尽力で、新たな戦略的な合意が交わされた。アボタバードの作戦も、その一部である。つまりパキスタンもこれに関わったが、標的が自分たちのものになるという理解の上で、それが誰であるかは知らされなかった。
●サウジ人のなかには、ワシントンの元大使バンダール・ビン・スルタン王子が含まれる。デイビスの問題解決に協力し、アフガニスタンの戦いを終結させるために、パキスタン国内のアルカイダやタリバン指導者に対してメスを入れる準備を整えた。
●4月の最初の州にホワイトハウスはパキスタンに、過激派を見て見ぬ振りをしていると非難した。その後ISI長官のパシャが短時間だったが訪米して、「諜報協力」を行なった。情報源によると、保安に関する新たな合意が話題になったという。
●パシャはパキスタンに直接帰国せず、パリに寄ってアガ・ハーンに会い、その後トルコを訪問しているザルタリとトルコで合流して、そこで新たな合意に関して報告した。
●4月の最後の週にアフガニスタンのペトラウス将軍がキアニに、米海軍Sealsが重要人物を逮捕するために作戦を実施することを告げ、取り引きが終了した。
●したがって、オバマがオサマの殺害したと主張したときに、動転したのだ(後略)。
US broke deal with Osama hit●月曜日にパキスタンのCIA所長の名前が暴露されたことで、アメリカとパキスタンとの間の亀裂がますます大きくなった。米関係者は、ISIが故意に暴露したとみている。
●(中略)6ヵ月前にも、イスラマバードの以前のCIA所長の名前も暴露され、このときも米関係者はISIの仕業だと述べた。新たな所長は、ビンラディンの居場所を突き止めるために、多大な役割を果たした。
●(中略)CIA所長の名前は最初金曜日にパキスタンの民放で暴露され、翌日間違った綴りで『Nation』紙に発表された。同紙は治安組織に近い関係にある。
●(中略)以前のCIA所長名が暴露されたときには、すぐに本国に呼び戻された。今回も同じ措置が取られるかは明らかではない。以前の所長は任期終了の間際だったが、新たなCIA責任者は着任してまだ5ヵ月である。率直な態度で有名なベテランで、ロシアで経験を積んでいる。
●月曜日にギラニ首相は、文民政府ではなく軍が今後調査を進めると述べた。ビンラディンの死は「当然の裁き」であり、軍に能力がなかったとか不適切だったと非難することは「ばかげている」と語った。パキスタン人たちは、アメリカの襲撃を主権の侵害だと見ているという。「我々はアルカイダをパキスタンに招いたのではない。パキスタンや、ISIや軍を含めて、パキスタンの機関を責めることは不適切だ」。
●(中略)米関係者によると、アボタバードの急襲チームの引き上げに協力するために、パキスタン国内にチヌーク・ヘリコプター2機が待機していた。CIA長官のレオン・バネッタによると、「パキスタン人たちが突然建物を攻撃したり、自分たちを難しい立場に追いやって建物内に閉じ込められることを防ぐためだったかもしれない」と述べた。
●このようなことにはならなかったが、別の理由でチヌークが使用された。ブラックホーク・ヘリコプター1機が建物の塀とぶつかり、飛行不能になったあと、現場に急行した(後略)。
Pakistanis disclose name of CIA operative●現在パキスタンに拘束されているビンラディンの3人の妻が取り調べ官に、息子の1人が5月2日の作戦以来行方不明になっていると述べた。新たに浮上した情報から、アルカイダの末息子で最も信頼されていたハムザが逃走した可能性がでてきた。
●ホワイトハウスは当初ハムザ20歳がアボタバードで殺害されたと発表していた。後に、殺害されたのは兄のハリッド22歳だったと訂正した。
●昨晩、イスラマバードの諜報関係者が未亡人たちの証言と照らし合わせて語ったところによると、家に一緒に住んでいたと思われる1人の人間の行方がわからなくなっている。「それが彼の息子だったかどうかはわからない。我々が聞いた話を信じるとしたら、あの家にいたある人間の行方がわからなくなっている」。
●パキスタンが拘束しているビンラディンの家族の中には、ハムザの母親のハイリア・サバールがいると思われている。末息子といわれるハムザは、「テロの皇太子」と言われる(中略)。諜報組織は、彼はアルカイダの次期指導者として育てられている可能性があるとみている(後略)。
Osama bin Laden dead: 'crown prince of terror disappeared' during raid●火曜日にアフガニスタンとの国境沿いで、アメリカのミサイルがアラブ人戦闘員3人を殺害したと、パキスタンの諜報関係者が述べた。
●関係者によると、南ワジリスタンのバガール地区で、無人偵察機2機がミサイルを発射した(中略)。地元の情報源が衛星電話を傍受し、会話から殺害されたのはアラブ人だという(後略)。
US drone missiles kill 3 in NW Pakistan●ビンラディン追跡チームの一行は、万が一にも地元の警察官や軍に妨害された際に脱出できるように、交戦できるだけの規模にすることをオバマ大統領が求めたと、オバマ政権幹部が述べた。
●作戦に関する新たな事実として、専門家からなる2つのチームが待機していたという。1つはビンラディンが殺害された場合に備えて彼を埋葬するチーム、そして逮捕された場合に備えて、弁護士、取調官、通訳からなるチームである。この一団は海軍の船、おそらく北アラビア海上の航空母艦Carl Vinsonで合流することになっていた(後略)。
U.S. Braced for Fights With Pakistanis in Bin Laden Raid●アルカイダは、パキスタンの部族地帯のアルカイダ軍を指令したり訓練所を組織するために、協力組織であるトゥルキスタン・イスラーム党の現指導者を任命した。ビンラディンがアメリカに殺害される直前のことである。
●トゥルキスタン・イスラーム党指導者のアブドゥル・シャクール・トゥルキスターニは、サイーフ・アル・アデルがFATAを去ったあと、この地域のアルカイダ軍の司令官を任命されたと、タリバンなどのジハード組織を支持するウルドゥー語新聞の「カラチ・イスラーム」が報じた。「カラチ・イスラーム」は、アルカイダのフロントであるアル・ラシッド財団と関係がある。
●アル・アデルは2010年にパキスタンに到着したアルカイダの軍事戦略家でプランナーであるが、無人偵察機の攻撃を恐れて、パキスタンの部族地帯から移動した。アル・アデルは2001年にアフガニスタンから逃げ出した後、イランを拠点としていたが、その後パキスタンに来た。アル・アデルは、ビンラディンの継承者になる可能性がある。
●アブドゥル・シャクールは4月の中旬頃に、サイーフ・アル・アデルを引き継ぎ(中略)、パキスタンの部族地帯のアルカイダ組織を率いるとともに、訓練所を監督している。これらのキャンプでは、パンジャーブ・タリバンとヨーロッパ人タリバンが、欧米やアメリカを攻撃するために訓練を行なっている。
●アブドゥル・シャクールは、ハーフィズ・グル・バハドゥールやハキームッラー・マフスード、ムッラー・ナジールなどのタリバン幹部を含む「すべてのタリバン組織と関係を持っている」という。これらの3人のタリバン指導者たちが、アルカイダに協力し、匿っている。最近行なわれたインタビューでナジールは、自分はアルカイダのメンバーだと語った。
●アブドゥル・シャクールは、2010年2月14日に前任者アブドゥル・ハク・アル・トゥルキスターニが北ワジリスタンのゾール・ババール・アイデックで無人偵察機に攻撃されて殺害されたために、トゥルキスタン・イスラーム党の責任者となった。この組織はミールアリで、ウズベキスタン・イスラーム運動のメンバーと一緒に活動している。ウズベキスタン・イスラーム運動には多数のヨーロッパ人ムスリムやトルコ人がいるために、「ヨーロッパ人タリバン」と呼ばれている。
●(中略)殺害されたアブドゥル・ハク・アル・トゥルキスターニは、アルカイダの幹部会議のメンバーだった。アブドゥル・シャクールも、幹部メンバーになったと思われる(後略)。
Al Qaeda appoints new leader of forces in Pakistan's tribal areas●米とパキスタンの間で、ビンラディンや他のアルカイダ指導者がパキスタンにいることがわかった場合、米軍がパキスタン国内で作戦を実施することを許す極秘の「了解」があったと、昨晩米国防省関係者が述べた。
●ブッシュ政権時代の国防政策に関わっていたエリック・エデルマンが語ったところによると、ブッシュ時代にアルカイダ関係者5人がターゲットリストに入れられ、パキスタン国内で発見された場合、米軍が活動することが許されていた。
●「ブッシュ政権時代、パキスタンでアルカイダ指導者やビンラディンの居場所がわかったら、パキスタン国内で活動できるという了解があった。パキスタンの主権に関してはデリケートであったが、もし幹部たちをつきとめたら、やるべきことをやり、その結果のことは後に考えることになった」。
●しかし米国家安全委員会報道官は、このような合意が交わされ、いまだに有効であることを確認しなかった。「前政権時代にそのような合意が交わされていたとしても、それが今日まで有効とはいえない」という(後略)。
"United States had secret accord with Pakistan on key targets"●2001年にムシャラフとブッシュの間で、アメリカがパキスタン国内でビンラディンに対する作戦を許可することが極秘に取り引きされていたことが、明らかになった。
●ムシャラフとブッシュの間で、ビンラディンが2001年にトラボラから逃走した際に取り引きが結ばれたと、パキスタンとアメリカの元政府関係者が述べた。
●この取り引きのもとで、パキスタンはビンラディンとザワヒリとアルカイダのナンバー3を捜索するために、米軍がパキスタン国内に入ることを許すものだという。その後両国とも、パキスタンは越境を激しく抗議することにも同意した。「ブッシュとムシャラフの間で取り引きが交わされ、もし我々がオサマの居場所を知ったら、我々はパキスタン国内に入り彼を捕まえることになった」と、元米政府関係者が述べた。「パキスタンは激しく抗議するが、我々を阻止はしない」。
●(中略)パキスタン政府関係者は、ビンラディンの襲撃に関して何も知らなかったと主張している(中略)。
●この取り引きのもとで、パキスタンは襲撃を事前に知らされていなかったとしても、原則的にこれに同意していたことになる。
●パキスタン政府幹部が、ムシャラフ政権時代に取り引きを交わし、「民主主義への移行」時代に、陸軍が再びこれに同意したと述べた。ムシャラフがまだ大統領であったが、文民政府が選出された2008年2月のことである。
●アボタバードにおけるビンラディンの襲撃に関してこの関係者は、「米国人の友人たちに関して言えば、取り引きを遵守して実行したにすぎない」という。
●元米政府関係者によると、ここ数週間のパキスタンの抗議は、取り引きの「表の顔」であり、「彼らがこれを否定することはわかっていた」という(後略)。
Osama bin Laden mission agreed in secret 10 years ago by US and Pakistan●パキスタンのメディアがCIA責任者の素性を暴露したが、彼を帰国させるつもりはないと、月曜日に米政府関係者が述べた。
●パキスタンのメディアの報道は誤りであり、ビンラディンがパキスタンの陸軍学校の近くに長い間住んでいることに対してパキスタンの釈明を求めていることから、注意をそらすためだという(後略)。
CIA won't withdraw spy chief in Pakistan: officials