【2011年6月6日〜6月12日】
●アメリカは最近2度パキスタンに抵抗勢力の爆弾製造工場の正確な場所を教えたが、軍が行動する前に過激派たちは隠れ家から逃げだしていたことが、アメリカとパキスタンの関係者から明らかになった。
●ビンラディン殺害後のパキスタンの信頼を獲得するためのオバマ政権の政策の一環として、5月中旬に空からの偵察ビデオなどの情報がパキスタンの関係者に与えられたが、6月4日にパキスタン軍が南北ワジリスタンの現場に到着すると、もぬけの殻になっていたという。
●米関係者によると、どのように作戦が漏れたかはわからないという。しかし情報がパキスタン国内で漏れたか、パキスタンのISIが直接警告したのではないかと憂慮している。
●金曜日にパキスタン軍関幹部関係者が語ったところによると、アメリカは武器貯蔵庫などの情報も一緒にパキスタンに知らせたが、ここにも何もなかったという。「たれ込みがあったのではないかと疑っている」。「我々が調査しており、関与した者は対処される」と、パキスタン人関係者が述べた。
●（中略）CIA長官のレオン・パネッタが金曜日にパキスタンに到着するが、このことが話題になると思われる。「情報を共有するつもりだが、行動することを約束しなければいけない。あなたがたがコントロールできない人間が、内部にいるようだ」。
●（中略）関係者によると、ビデオから、簡易爆弾を製造する場所として2つの建物が使用されていることがわかった。ひとつはミランシャーの女子校の中で、もう一つは南ワジリスタンにあったという。
●（中略）このビデオは先月アフガニスタンとパキスタンに対するオバマ政権特使のマーク・グロスマンとCIAのマイケル・モレール副長官がパキスタンを訪問した際に、陸軍参謀長のキアニ将軍とアフマッド・シュジャ・パシャISI長官に手渡された。
●（中略）この訪問のあと、オバマ政権はビンラディンが殺害されたアボタバードの隠れ家にCIAが立ち入り調査をする許可を出すように、何度も電話をかけたという。
●この要求は2週間前に受入れられ、その後クリントン国務省長官とマイケル・ミュレン提督がパキスタンを訪問した。その際にクリントンは、提供したビデオをもとに行動したかどうかを訊ねた。
●その後パキスタン軍が6月4日に行動する前に、この2つの建物は空になっていたことが、衛星写真から明らかになった。
●北ワジリスタンの地元の治安関係者が、過激派たちが女子校から逃げ出したあとにパキスタン軍が取り締まりを行なったと述べた。地元の部族民長老によると、抵抗勢力グループが学校や病院で兵器を作ることは日常茶飯事のことだという。
●2週間前にクリントンがパキスタンを訪問した際、ワシントンは「数日の間」に「決定的な行動」をすることを期待していると述べた。
●しかしここ数週間のあいだ、パキスタンはアメリカとの同盟関係から距離を置き始めてようで、パキスタン軍を訓練していた米軍兵士135人のうちのほとんどを帰国させた。
●木曜日にキアニ将軍は、パキスタンに対する米軍の援助を経済援助に変更することを要求する声明を出し、部族地帯に対するアメリカの無人偵察機の攻撃を終了させ、また軍事作戦をするように圧力をかけても応じないと述べた。
●（中略）金曜日に北ワジリスタンの長老たちが、最近政府関係者がこの地域を訪れ、軍事作戦はないので住民に避難を開始しないように告げた。
●パキスタン軍はアメリカからの圧力を受けるいっぼうで、5月2日の襲撃以来、国内から多くの非難を受けている。
●金曜日に野党指導者で元首相のナワーズ・シャリーフが、軍が「平行政府」を形成していると非難し、軍は「パキスタンの外交の支配」をやめるべきだと要求した（後略）。
New challenge for U.S.-Pakistan ties
●水曜日に、アルカイダのナンバー2が新たなビデオで登場してビンラディンを賞賛したが、米諜報アナリストたちは、このビデオによりテロ組織の指導者がまだ決まっていないことがわかったと述べた。
●ザワヒリがビンラディン死亡後、初めてのビデオを出した。ザワヒリは、アルカイダ責任者が殺害されたことに対する報復があるとアメリカに警告した。しかし米関係者は、ザワヒリが、自分が設立に協力したテロ組織の指導者になると発言しなかったことに、驚きを表明している。
●「ザワヒリが組織の指導者を主張しなかったことは重要だ」。「アルカイダ内で、次のリーダーを誰にするかがまだ決まっていないことを示す」と、あるアナリストが語った。
●別のエジプト人のサイフ・アル・アデルが、アルカイダの幹部の間でビンラディンの後継者に選出されたという報道が浮上している。しかし米関係者は、この声明に疑問視している。
●また水曜日に米関係者が、もう1人のアルカイダ幹部のイリアス・カシミリがパキスタンで無人偵察機により死亡したという報告は、まだ確認できていないと述べた。
Al-Qaeda's Zawahiri appears on video but doesn't assert leadership
●パキスタンの北西部にある検問所を過激派100人以上が襲撃し、兵士8人が札会された。抵抗勢力も12人が死亡したという。夜間に発生した銃撃戦は、数時間続いた。
●攻撃は南ワジリスタンのマキーンの近くで起きた（中略）。
●地元関係者によると、ロケット砲や重火器で武装した過激派が、深夜直後に検問所になだれこみ、兵士8人を殺害し、数十人を負傷させた。
●治安部隊が応戦して銃撃戦は3時間に及び、抵抗勢力12人を殺害した。過激派たちはタリバンだったという（後略）
Deadly militant attack on Pakistan security checkpoint
●水曜日に抵抗勢力の車輛と訓練所がアメリカのミサイル攻撃を受けて、イスラーム過激派23人が殺害されたと、パキスタンの諜報関係者が述べた。
●今回の2度の攻撃で、今週になってミサイル攻撃の数は今週になって5回にのぼった（中略）。
●ミサイル攻撃は数分の間隔で起きた。最初のミサイルは5人の男性が乗った車を攻撃し、次のミサイルは南北ワジリスタンを分けるシャーワル地域の建物を攻撃。18人が殺害された。建物は過激派の訓練所だったと思われる（後略）。
US missiles kill 23 in Pakistan
●関係者によると、北ワジリスタンでアメリカの無人偵察機の攻撃があり、15人が殺害された。現場はアフガニスタンとの国境付近のシャーワル地域である。
●（中略）関係者によると、ゾイ村にあった過激派の拠点にミサイル5発が撃ち込まれた。また車輛も攻撃されたという（後略）。
Pakistan: US drone strike 'kills 15' people●アメリカとパキスタン政府は、最近のミサイル攻撃でアルカイダ指導者のイリアス・カシミリが殺害されたという主張に関して、大きく対立していると、月曜日に両国の関係者が述べた。
●2日前にパキスタンの諜報関係者が、カシミリがパキスタンの北西部に対するアメリカの無人偵察機の攻撃で死亡したと主張した。
●パキスタン政府はその後カシミリの死に関していくつかの声明を発表し、月曜日にはパキスタンの内相も「彼が死んだということは100％確実だ。今朝情報をつかんだ」と述べた。
●しかし部族地帯の対テロ活動に詳しい米政府関係者は、まだカシミリの死亡は確認できていないと述べた。まだ生存している可能性のほうが高いという。「彼が死亡したという報告が間違っていたとしても、初めてのことではない」。「現段階ではカシミリが死亡したという報告の裏付けはとれていない。まだ歩き回っているのではないかと、想像している」。
●別の米政府関係者も、政府の専門家たちは、カシミリは死んでいない可能性のほうが高いと述べた。ただ死亡した可能性も否定できないという。
●両国の主張の対立は、アメリカとパキスタンの関係がビンラディン殺害後まだ修復していないことを伺わせる（後略）。
US, Pakistan authorities dispute Kashmiri's death
●アフガニスタンとパキスタンとの国境付近をアメリカの無人偵察機が3度攻撃し、少なくとも18人が殺害されたと、関係者が述べた。
●最初の2度の攻撃では、南ワジリスタンの宗教学校と付属する建物が狙われた。3度目の攻撃は、車輛に命中した。
●（中略）最初の標的は、ワナ北西部のシャラーム・ラグザイにあった宗教学校だった。その2時間後に2度目の攻撃があり、ワチャ・ダナにあった宗教学校が標的となった。さらに数時間後に、南北ワジリスタンの接する地域にあるブレイ・ニシュタールを走行中の車が攻撃された。
●関係者によると、月曜日の無人偵察機の犠牲者のなかには、外国人過激派がいたという。
US triple drone strike 'kills 18'