【2011年6月13日〜6月19日】


■米はタリバンと和平の話し合い中、とカルザイ[110618 BBC]

アメリカはタリバンと話し合いを行なっていると、カルザイ大統領が述べた。

カルザイが、「外国軍、特にアメリカ自身」がタリバンとの話し合いに参加していると述べた。その数時間後、自爆犯がカブール警察を攻撃して、9人を殺害した。

(中略)カルザイが土曜日に記者会見で、「今年になってタリバンと我々国民との間で和平のための話し合いを行なった」と述べた。「彼らとの和平に向けての話し合いがすでに始まり、なかでもアメリカはこれらの交渉を先んじている」。

カルザイは、タリバンと米政府が直接話し合っているのか、仲介者が存在するかは言及しなかった。

この声明が出された直後、自爆犯数人がカブールの財務省を攻撃した。内務省によると自爆犯3人が関与していたというが、他の関係者によると4人だったという。タリバンが犯行声明を出した。

アフガン内務省によると、この事件で9人が殺害された。一般市民5人と警察官3人と諜報関係者1人が死亡したという。12人が負傷した。このうち10人が一般市民で、2人が警察官である(後略)。

hoonAfghanistan's Karzai: US in peace talks with Taliban

■ビンラディンのナンパー2のザワヒリ、アルカイダ支配者に[110616 New York Times]

アメリカの奇襲部隊がビンラディンを探し出して殺害した6週間後になって、アルカイダの中で2番手だったザワヒリが彼を引き継いだことが、木曜日に掲載されたオンライン掲示板から明らかになった。

ビンラディンのナンバー2だったエジプト人のザワヒリが彼を引き継ぐことが予測されていたが、正式発表が長い間なかったことから、組織内部でさまざまな駆け引きがあったことがうかがわれていた。

ジハード組織のインターネット・フォーラムに掲載された、アルカイダのオンラインにおける声明発表の場であるアル・ファジル・メディア・センターによると、「アルカイダの総司令官は協議の結果、シェイク・アイマン・アル・ザワヒリが組織の支配者としての責任をとることになった」という(後略)。

hoonBin Laden's No. 2, Zawahri, Takes Control of Al Qaeda
DAVID JOLLY and J. DAVID GOODMAN

■ビンラディン捜索の要、アルカイダに戻る[110615 AP]

アルカイダの重要な工作員が、CIAにビンラディンの居場所を教えたあと釈放され、その後パキスタンに戻り、アルカイダに再び戻ったと、米関係者が述べた。

CIAは2006年に東ヨーロッパにあった極秘収容所を閉鎖したあと、ハッサン・グルをパキスタンに帰した。

パキスタン国籍を持つグルを自由にしないという約束を取り交わしていたにもかかわらず、パキスタンはこれを守らなかった。グルは後にアルカイダに戻り、彼を苦労して逮捕したCIA関係者を怒らせたと、元・現米諜報関係者が述べた。

(中略)なぜブッシュ大統領は、ビンラディンの信頼を受けている世話人に関する情報を提供したグルをパキスタンに引き渡したのか、疑問が残る。グルをグアンタナモ収容所に移すべきだと考えていた元CIA関係者は、ブッシュの行動に苛立ちを表した。

米政府関係者によると、パキスタンはグルを拘束すると約束したにもかかわらず釈放し、その結果彼は再びアルカイダのもとに戻った(中略)。

元CIA関係者によると、グルはズバイダのネットワークに属していた。9.11以前もCIAの間では知られた存在だった。CIAはパキスタンにグルを逮捕するように説得していたが、9.11以後、ラホールにあるラシュカレ・タイバ所有の隠れ家にいることを突き止めた。しかしパキスタンのISIは、グルの逮捕を拒否した。

CIAは、グルが2003年にアルカイダの工作員に会うためにイラクに行ったことを突き止めると、行動することにした。クルド族との合同作戦で、2004年1月にイラク北部でグルを逮捕した。パキスタンはグルがアメリカに逮捕されたことを知ると激怒し、彼の引き渡しを迫った。

グルはアフガニスタンのバグラム空軍基地に連れて行かれたが、後にこの移送が合法かどうかが問題になり別の場所に移されたと、元CIA関係者が述べた。グルはCIAの東ヨーロッパにある極秘収容所に送られ、そこで厳しい取り調べが行なわれ、ビンラディンの最も信頼されている世話人に関する情報を提供した。その後CIAはグルが提供した情報により、ビンラディンを追跡できる可能性があることを知る。

グルは、パキスタンの部族地帯にいるテロリストたちの居場所に関する、重要な情報も提供したという。この他にも、さまざまな重要な情報を提供した。「彼は非常に役立った」と、元CIA関係者が述べた。

(中略)なぜパキスタンがグルをそんなにほしがったかは明らかではないが、元CIA関係者によると、彼がラシュカレ・タイバと関係があったからだと述べた。

グルがパキスタンに戻ってからの動きは、ほとんどわからない。パキスタンのどこかでグルは、隣の独房にいたラングジエブ・アフマッドという英国人の囚人と会話を交わした。グルはアフマッドに、自分は2年半CIAの極秘収容所に入れられ、その後モロッコを通過したと述べたという。アフマッドによると、グルに最後に会ったのは2007年1月である。

smellLinchpin in hunt for bin Laden back with al-Qaida
Adam Goldman

■アメリカのミサイル、パキスタンで15人を殺害[110615 AP]

水曜日にアフガニスタンとの国境沿いのパキスタン側で、アメリカのミサイルによる攻撃で過激派15人が殺害された。パキスタン人関係者によると、ワナの近くで、無人偵察機がミサイル2発を車輛と建物に撃ち込んだ。10人が殺害された。犠牲者は、モーラビ・ナジールの関係者である可能性が高い。

その後北ワジリスタンでも車にミサイル4発が撃ち込まれ、5人が殺害された(後略)。

hoonSuspected US missile strikes kill 15 in Pakistan
ISHTIAQ MAHSUD、DERA ISMAIL KHAN

■パキスタン陸軍参謀長、地位保持に苦戦[110615 New York Times]

パキスタンの最も強力な人間である陸軍参謀長が、ビンラディン殺害後に将軍や下士官たちの怒りを買い、なんとか地位を保持しようと苦戦している。

キアニ将軍は2007年以来軍を指導してきたが、アメリカと仲が良いと見られているために、クーデターが起きる可能性が全くないとはいえないと、あるパキスタン人関係者が述べた。

パキスタン陸軍は基本的に11人の最高幹部司令官(Corps Commanders)の合議でなりたち、そのほとんどがキアニに米国人たちにもっと厳しく対応するように要求しているという。

ワシントンもキアニに圧力をかけて窮地に追い込んでおり、もし彼が解任されれば、アメリカは反米感情が強い人間とやっていかなければならなくなる。

軍内の評判を取り戻して生存していくために、キアニはビンラディン殺害後6週間の間に、多数の駐屯地や軍の食堂などの施設を、異例に訪問した。彼の目的は、反米感情を持つ兵士たちの間の支持を得ることである。

(中略)先週行なわれた11人のCorps Commandersの月例会議で、アメリカに対する敵意を示す長い声明が発表された。この声明は軍や一般市民の支持を得ることを目的としたもので、パキスタンにおける米国人の訓練はこれまでも最小限だったが、今回終止符がうたれたという。「軍は、新たに導入された兵器や国境警察に限った訓練指導以外、アメリカから訓練協力を得たことはない」という。

またCIAによる過激派に対する無人偵察機の攻撃は、「あらゆる状況においても許可されていなかった」という。パキスタンから無人偵察を飛ばすことは「政治的に容認できない」と、最近キアニと会ったことがあるパキスタン人が語った。キアニは地位を保持するために、無人偵察機の計画を完全に中止するように命じることができるという。

パキスタン人たちはすでに偵察機が使用する基地への食料や水の補給を妨害していると、米政府関係者が述べた。パキスタンは少しずつ「同盟関係から離れ」、パキスタンにいる米国人にとって活動しにくくなるようにしているという(後略)。

hoonPakistan's Chief of Army Fights to Keep His Job
JANE PERLEZ、ISLAMABAD

■パキスタン、ビンラディン襲撃のCIA情報員を逮捕[110615 BBC]

パキスタンが、ビンラディンを殺害したアメリカの計画に協力したCIAの情報員5人を逮捕した。

ISIが逮捕した者たちの中には、アボタバードにあったビンラディンの住居を監視するためにCIAが借りた隠れ家所有者もいたと『ニューヨークタイムズ』が報じた。

(中略)パキスタンでは軍報道官のアズマット・アッバス准将が、パキスタン兵は逮捕されていないが、「アメリカの諜報組織のために働いていたと疑われる人間数人」を取り調べていると語った。逮捕者の中には、「ビンラディンの家の近くの家を捜索して逮捕された」人間がいるという。「CIAに協力していた疑いがかけられている」。「他の者たちは、建物に出入りしていた人間が含まれる」と語った。

アッバスによると、逮捕者たちは2つに分類される。アメリカのヘリコプターがビンラディンが住んでいた建物に接近できるように閃光を投げた者、そしてパキスタン領内でヘリコプターの燃料を補給することに協力した者である。

ワシントンでは、ロバート・ゲイツ国防省長官が国会で、逮捕に関して間接的に問われた。「外国政府は、我々の同盟国であるのに、我々に協力する人間を逮捕するのか」とパトリック・リー議員が尋ねと、「たまに」とゲーツが答え「そしてたまにスパイを送り込んでいる。それでいて、我々の最も大事な同盟国だ。それが現実の世界だ」。

ビンラディン殺害後、多数の米国人工作員がパキスタンから出国を命じられ、CIAに協力したとされるパキスタン政府関係者や一般民が、近々裁判にかけられる可能性がある。

アルカイダ指導者の死後、多数が逮捕された後に釈放されているが、そのうちの5人はまだ釈放されていない(中略)。

5月2日直後に目撃者が語ったところによると、ビンラディンの世話役の従兄弟の兄弟2人が、シャンガーラ地区から逮捕された。またアボタバードにあったビンラディンの住居の近くのイリアス・マスジッド地域から治安軍の関係者が1人逮捕されたと、目撃者が語った。彼が警察関係者なのか軍関係者なのかはわからない。それ以後行方不明になっている。

ビンラディンの住処を建てた建設者であるヌール・ムハンマド別名グル・マダ、目撃者によると不動産屋だというカリーム、そしてビンラディンの隣人のシャムレーズとその父親のザイン・ムハンマドが、ビンラディン殺害の数週間後に逮捕された。カリーム以外全員が釈放されたが、その後全員の行方はわからなくなっている。

これらの男たちが、逮捕されたというCIAの情報源であるかどうかはわからない。『ニューヨークタイムズ』によると、襲撃の1週間前にビンラディンの住居を訪れた車のナンバープレートを書き留めたといわれる少佐が含まれているという(後略)。

smellPakistan arrests CIA informants in Bin Laden raid

■パキスタン、ビンラディン襲撃のCIA情報提供者を逮捕[110614 New York Times]

パキスタンのISIが、先月ビンラディンを殺害したCIAに情報を提供していたインフォーマントを逮捕したと、米政府関係者が述べた。

パキスタンは、ビンラディン襲撃の1週間前に、アボタバードにあったビンラディンの居住地を訪れた車のナンバープレートを写したとされるパキスタン陸軍少佐を含む、5人のCIAの情報源を逮捕した(中略)。

パキスタンで逮捕されたCIAの情報源の消息は不明であるが、先週CIAのパネッタ長官がパキスタンを訪問してパキスタン軍やISI関係者と会った際に、話題になった。

ワシントンでは、今回の逮捕はパキスタンとアメリカの関係が崩れてきていることの表われと見る者たちがいる。ビンラディンが何年も快適に暮らすことができたことを許していた人間を逮捕するのではなく、ビンラディン殺害に協力した人間を逮捕したからだ。

(中略)CIA関係者がラホールでパキスタン人2人を殺害してから、両国の関係が悪化している。米関係者は、ISI関係者はCIAのために偵察活動をすることに非協力的だという。またアメリカの諜報関係者がパキスタンで活動するためのビザの発給にも、応じていない。また無人偵察機の飛行もこれまで以上に規制している。

パネッタは訪問の際に、武装した無人偵察機が北西部の部族地帯をこれまでよりも広範囲に飛行することを認めるように説得したという。しかしCIAは最悪の事態のために、備えようとしている。パキスタンにある無人偵察機を、アフガニスタンの基地に移すことだ。アフガニスタン側から山脈を越えて、テロリストの拠点にある部族地帯に入る。

最近では、アルカイダと戦うパキスタンの準軍隊を訓練するペンタゴンの訓練プログラムも中止された(中略)。

米関係者たちは、訓練にあたっていた50人ほどの特殊部隊関係者に、暫定的な仕事をあわてて与えている。もし兵士たちが帰国した場合、再びビザの発給は難しくなる。パキスタンは、彼らが戻ることを許さないからだ(後略)。

garrPakistan Arrests C.I.A. Informants in Bin Laden Raid
ERIC SCHMITT and MARK MAZZETTI、WASHINGTON

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2011.