【2011年6月20日〜6月26日】


■パキスタン、対タリバン兵のための英訓練士を追放[110626 Guardian]

ビンラディン殺害後イスラマバードと欧米同盟国の間がぎくしゃくしているなか、パキスタンは、タリバンやアルカイダと戦うために派遣された英軍訓練チームを追放した。

国防省は、国境警察隊を訓練するための1500万ボンド相当のプログラムの一環だった、少なくとも18人の軍事アドバイザーがパキスタンから撤退したことを認めた。ほとんどがすでに英国に帰国している。

ビンラディン殺害後、米国とパキスタンの関係が悪化しているが、今回の英軍の撤退は、両者の関係が悪化したために被害を被ったといえる。

英国とパキスタンの関係は米国と比べてましだが、パキスタンは世論を気にして、欧米同盟国と距離を置こうとしている。ビンラディンの殺害以後、パキスタンは国境警察の訓練をしていた米軍訓練士120人を帰国させている。英国チームは熟練した関係者とNCOで構成されるが、バローチスタンの州都のクエッタ近くにある英資本て作られた国境警察基地に駐屯していた。

訓練計画は去年の8月に開始され、2013年の夏まで続く予定だった。MoDは、両国の緊張が緩和したら再びチームを派遣する予定である。

(中略)クエッタのキャンプにいる英軍チームは6人の米軍アドバイザーとともに活動し、12週間にわたって360人の新人を訓練していたという。米国はペシャワル郊外に、もっと大きな国境警察訓練センターのために資金を提供している。

イスラマバードの軍報道官が、パキスタン国内に200人から300人の米軍関係者がまだ留まっていると述べた。

hoonPakistan expels British trainers of anti-Taliban soldiers
Chris Woods and Declan Walsh、Islamabad

■パキスタン、抵抗勢力10人殺害[110624 AP]

政府関係者によると、アフガニスタンに近い北西部にあった過激派の隠れ家をパキスタンのジェット戦闘機が爆撃して、抵抗勢力10人を殺害した。

ジャビッド・ハーンによると、金曜日に諜報情報に従って、クラーム部族地帯の2ヵ所で空爆が実施された(後略)。

hoonOfficial: Pakistan kills 10 alleged insurgents
HUSSAIN AFZAL、PARACHINAR

■携帯電話から、ビンラディンとパキスタンの鍵[110623 New York Times]

アメリカが先月ビンラディンを殺害した際に押収した、ビンラディンから信頼されていた世話人の携帯電話には、パキスタンのISIの手下とされている過激派組織と連絡した形跡があったと、米関係者が述べた。

今回の発見から、ビンラディンは国内の自分の組織の一部として、ハラカトゥル・ムジャヒディンを使用していたことがわかった。しかし、この組織やその他の似たような過激派組織が、パキスタンの諜報組織のためにビンラディンに協力していたかどうか、疑惑が浮上している。ISIはハラカットを生み出し、過去20年の間自由に活動することを許してきた。

携帯電話からの通話履歴を辿ると、ハラカットの司令官たちがパキスタンの諜報関係者と連絡をとっていたことがわかると、米政府幹部が語った。両者は会ったこともあるという。しかし、両者の接触は必ずしもビンラディンや彼を保護するためのものではなく、またISIがビンラディンを匿っていた証拠もないと付け加えた。

しかし携帯電話の番号から、これまでも問題になっている大きな疑問がさらに深まることになる。なぜビンラディンはアボタバードに数年間、快適に暮らすことができたのか。イスラマバードからたった3時間しか離れていない、パキスタン陸軍の駐屯地である。

(中略)ハラカトゥルは特にアボタバード周辺に深く根を下ろしており、組織のネットワークにより、ビンラディンがパキスタンに住み、活動することを容易にすることができる。指導者たちはアルカイダともパキスタンの諜報組織とも深い関係があり、パキスタン人あることから、国内で自由に活動できる。アルカイダのような外国人には、無理なことである。

現在でさえ、組織の指導者であるモーラナ・ファズルール・レーマン・ハリルはビンラディンの長い間の協力者であり、イスラマバード郊外で自由に生活している。

(中略)ビンラディン自身はISIと長い間関係を持っている。長年ISIの協力を得ている元過激派司令官2人が語ったところによると、ISIがビンラディンを匿うことに一役かっていたことは確かだという。司令官の1人はハラカットに属する。もう1人はゲリラとして戦い、パキスタン陸軍から資金をもらいながら、15年間他の者たちを訓練したという。数年前にこれを止めたが、ビンラディンには2度会ったことがあるという。

2003年春には、ビンラディンはアラブ人やチェチェン人戦闘員に守られ、北ワジリスタンのシャーワル山脈の中の村で行なわれた、80〜90人の集まりに突然現れたという。このとき短い間だったが、家の中でビンラディンと会った。9.11以前にアフガニスタンで彼と会ったことがあったから、すぐにわかったという。

北ワジリスタンでビンラディンと会ったのは、アメリカが無人偵察機の攻撃を開始する2004年より前だった。ビンラディンはアメリカの無人偵察機の攻撃が開始される3年間は、部族地帯の中を点々としていたという。

当時アメリカは、特殊部隊とCIAからなる少数の人間を、パキスタンの治安部隊と一緒に活動させていた。その頃から、ビンラディンは都市部の隠れ家に移動したとみられる。

ハラカットで10年間活動したこの司令官ともう1人の仲間は、ビンラディンがパキスタン軍に保護されていると信じる証拠は提供しなかった。しかし長い間ISIと活動しているために、このスパイ組織がいかに過激派指導者たちを自分たちの手下にしているかを熟知しているという。都市部にある軍施設の近くで保護することが多いという。

自宅軟禁にするなど、安全を確保して、匿うことが多い。

(中略)パキスタン陸軍はいまだにハラカットの首脳陣、とくにハリルとの関係を持つ。ハリルはムシャラフ政権のときに、過激派による赤のモスクの立て籠り事件を解決する仲介者となった。

(中略)ハリルがアボタバードのビンラディンにどのように協力したのか、ビンラディンがそこに住んでいることを知っていたかも明らかではない(中略)。

ビンラディンと関係のあるもう1人のパキスタンの過激派指導者が、カリ・サイフッラー・アフタールである。ハラカトゥル・ジハード・アル・イスラミの指導者である。アフタールは数ヵ月前、アフガニスタンに行く途中で南ワジリスタンに寄っていると、電話インタビューに答えたある過激派が語った。

アフタールがワジリスタンにいたという事実は、ISIに制限されることなく自由に活動できることが明らかになる。

パキスタンの内務省によると、アフタールは2009年8月にアフガニスタンとの国境近くでビンラディンに会い、パキスタン国内におけるジハード活動に関して話し合ったことが2010年の『Daily Times』に報道されている。

ビンラディンがパキスタン国内にいることをISIが把握していることを示す、唯一のエピソードである。

hoonSeized Phone Offers Clues to Bin Laden's Pakistani Links
By CARLOTTA GALL, PIR ZUBAIR SHAH and ERIC SCHMITT
ISLAMABAD, Pakistan

■ビンラディンの妻、パキスタンからイエメンに[110622 Guardian]

リヤドの政府関係者が、ビンラディンの妻がイエメンに帰国できるように取りはからったと述べた。ビンラディンの最年少の妻は、数日中にパキスタンから母国のイエメンに帰国することになるという。

アマル・アフマッド・アル・サダ(29歳)は、米特殊部隊がビンラディンを殺害したあと、治安組織に拘束された。彼女は1999年にビンラディンと結婚している。

サダはアメリカの作戦で負傷し、パキスタン政府に逮捕された。アメリカの諜報組織の取り調べを受けたと思われる。

リヤド政府関係者は、イエメンとサウジ・アラビアの新聞の報道を認め、イエメンとパキスタンの外交筋の間で、サダと彼女の12歳の娘のサフィアの帰国を決めたという。サフィアも作戦の際に負傷した。

ビンラディンの3番目と4番目の妻も、アボタバードの住居で発見された。2人もビンラディンの故郷であるジェッダの生まれで、サウジ国籍である。一番年上のハイリア・サバールは1985年に、元タリバン指導者と結婚した。パキスタンに逮捕された3番目の妻のシハーム・サバールは1987年に結婚した。2人とも大学を卒業している。

リヤドの政府関係者が語ったところによると、彼女たちがサウジアラビアに帰国することに関しては、理論的には何の問題もないという。ビンラディンは1994年にサウジ国籍を剥奪されている。

ビンラディンの22歳の息子のハムザは、アメリカの襲撃で殺害された。2人の遺体は、海に埋葬された。女性たちとビンラディンの10人の子供と孫は、特殊部隊が去った際に手を縛られていた。

サダの兄のザクリア・アル・サダが今週『イエメン・タイムズ』に語ったところによると、パキスタンのイエメン外交官たちが彼に、妹は法的手続きが終わり次第、「数日のうちに帰国する」と告げたという。帰国にこぎつけるまでは紆余曲折があったと、同紙が報道した。

サダの家族は、繰り返し彼女の帰国を求めていた。ビンラディンが死亡した直後、イビにある自宅から『AP』のレポーターに連絡をとった。サダには2000年の結婚式以来、彼女が17歳だったときに1度しか会ったことがないという。その後は世話人たちがメッセージを運んできた。

サダは9.11以後、娘と一緒にアフガニスタンから逃走し、パキスタンの隠れ家から一度も出ることなく5年間過ごしたという。それまでどこにいたかは、明らかではない。

ビンラディンの他の2人の妻は(2人とも離婚している)、2011年の終わりにカンダハルの近くにあるアルカイダの拠点から逃げ出し、信頼のおける世話人により、パキスタンに連れてこれらたことが、最近発表されたウィキリークのグアンタナモ収容所の調書から明らかになった。

サダの従兄弟によると、公務員であるサダの父親が彼女の友人や家族に、サダは「歴史に名を残したい」と言っていたと語ったという。婚約が決まると5000ドルの結納金がビンラディンから贈られ、サダはドバイとパキスタンを経由してアフガニスタンに行き、そこで初めて彼女の花婿に会ったという。

世話人を通じて彼女が娘を出産したことがわかると、親戚の一団がアフガニスタンに旅し、数ヵ月滞在した。最終日にビンラディンが若い母親に、アフガニスタンで自分と一緒にいてもいいし、家族のもとに帰ってもいいと告げたという。彼女は「私はあなたと一緒に殉教したいし、あなたが生きている限り、離れたくない」と言ったという。

ohOsama bin Laden wife to leave Pakistan for Yemen
Jason Burke、Riyadh

■「過激派との関係」で少佐取り調べ[110622 BBC]

軍によると、過激派組織ヒズブット・タハリールとの関係に関して、パキスタン陸軍の少佐4人が取り調べを受けている。

アッバス准将によると、4人は逮捕されていないが、アリ・ハーンとの関係で取り調べを受けているという(後略)。

hoonPakistan: Majors quizzed over 'links with extremists'

■「過激派との関係」でパキスタン陸軍関係者逮捕[110621 BBC]

過激派ヒズブット・タハリールと接触した疑いのあるパキスタン陸軍関係者が、逮捕された。アリ・ハーン准将が、軍の諜報機関の取り調べを受けているという。「陸軍内のこのような活動に関しては、例外無しの法規に従う」という。

ラワルピンディにあるパキスタン陸軍本部に所属していたハーン准将は、先月逮捕された。家族によると無実だという。パキスタンの過激派との関係を持った軍関係者としては、最高の階級に属する。

「逮捕され、過激派組織との関係に関して取り調べを受けている」と、アサール・アッバス少将が述べた。

ヒズブット・タハリールは世界的な過激派組織で、イスラームのカリフ制を復活させてイスラーム法のもとで、ムスリム国家の統合を目指している。自身は平和的な組織と自称しているが、批評家たちは、憎悪や暴力を奨励しているという。欧米諸国で活動しているが、パキスタン支部はそれほど重要ではないといわれる。

(中略)准将の弁護士が語ったところによると、依頼人は、米軍がビンラディンをパキスタン国内で殺害したことに関して、陸軍幹部を批判したために犠牲になっているという。

陸軍幹部関係者によると、この准将の「不適格」な活動に関する極秘報告が明らかにされたときに、驚きとともに「不安」を感じたという。

アリ准将の父親は将校で、弟は諜報機関の大佐である。息子も義理の息子も陸軍大将である。

軍関係者が語ったところによると、キアニ陸軍参謀長が准将に関する報告を受け、十分「証拠」があるとして、逮捕を自身で命じたという。

ハーンの妻のアジュムは、彼に対する容疑を「でたらめ」だと述べた。「みんなアリ・ハーン准将のことを知っている。キアニ自身も知っている」。「陸軍や我々の国家を裏切ることなど、考えられない」。

准将の家族によると、ハーンは5月6日から行方不明になった。彼の弁護士によると、ビンラディンを殺害したアメリカの襲撃後であるその前日に、キアニを含めた内輪の会議で、陸軍幹部を公然と批判した。「事実無根の疑いであり、犠牲になった」と、イナーム・ウル・ラヒームが述べた。「最高裁判所に明日行き、釈放を求める」(後略)。

hoonPakistan army officer held for 'links with extremists'

■異例のミサイル攻撃、パキスタン北西部で12人殺害[110620 AP]

月曜日にパキスタンの北西部で走行していた車輛と家屋に米無人偵察機がミサイルを発射し、12人を殺害した。NATOを攻撃している敵がたびたび通関する地域であるが、この地域が攻撃されることは異例である。

クラム部族地帯が初めて攻撃され、車輛に乗っていた5人が殺害されたと、地元政府関係者のヌール・アラームが述べた。現場に村人が集ると、再び車輛が攻撃され、さらに2人が殺害された。

その数分後、近くの建物も攻撃され、5人が死亡したという。

死亡した12人のうち7人がアフガン人過激派で、遺体はアフガン側に持って行かれて埋葬されたと、アラームが述べた。

(中略)オバマ政権はCIAの無人偵察機の攻撃を急激に増やしているが、これまでクラム部族地帯が攻撃されたことはない。

(中略)また月曜日には、過激派数十人がモーマンドの有力な反タリバン系部族民長老2人の家を攻撃し、4人を殺害、6人を負傷させた。部族民の長老1人が重傷を受けた。攻撃は深夜過ぎに起きた。

またペシャワル郊外では反タリバン系民兵隊指導者の家で爆発があり、この反タリバン指導者の他2人が殺害された。車に爆弾が仕掛けられ、遠隔操作で爆発した。5人が負傷した。

さらにロワー・ディールでは、自爆ベストを着用した9歳の小学生女児が逮捕された。土曜日にペシャワルから拉致され、ベストを着るように強制されたという(後略)。

hoonRare US missile attacks kill 12 in NW Pakistan
HUSSAIN AFZAL、PARACHINAR

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2011.