【2011年8月8日〜8月14日】


■CIAが発表する無人偵察機の一般民犠牲者数に疑問視[110811 New York Times]

6月6日にCIAは、過激派9人と爆弾製造材料を乗せたピックアップに、ミサイルを連射した。過激派は殺害され、一般市民の犠牲者は1人もなかった。ここ1年間、攻撃の巻き添えになった犠牲者は1人もいない。

と、CIAのプログラムに関して米政府は発表している。しかし別のヴァージョンもある。英国とパキスタン人ジャーナリストが発表した新たな報告によると、ミサイルは宗教学校とそれに隣接する食堂と民家に命中し、18人が死亡した。そのうち12人は過激派で、残りの6人が一般市民である。サマド、ジャムシェッド、ダラズ、イクバル、ヌール・ナワーズ、ユースフである。

(中略)攻撃があるたびに、人によって話すことが全くことなり、全く別の事件に言及しているように思える。

オバマ政権の対テロアドバイザーのジョン・ブレーナンは6月に、偵察機の攻撃は約1年間「驚異的な正確さで実施できるようになったために、1人として巻き添えになった人間はいない」と述べた。別の関係者も、これを主張する。2010年6月以来、無人偵察機は過激派600人以上を殺害し、その中には非戦闘員は1人もいない。

霧で覆われた無人偵察機戦争の中身を探ることは、今、重要になっている。パキスタンで行なわれている無人偵察機の攻撃はロボット的な戦争となり、すでにイエメンやソマリアでも実施されるようになった。軍の専門家は、今後世界各地で実施されるようになるという。

「アメリカや他の政府にとって、このテクノロジーは非常に魅力的で、すぐに各地に広がっていくと思われるために、この問題に答えることが重要だ」と、一般市民の犠牲者を追跡しているワシントンの非営利団体であるCampaign for Innocent Victims in Conflict, or Civicのサラ・ホールウィンスキが語る。

一般民の犠牲者をゼロとしている政府の主張を、専門家たちは疑問視する。British Bureau of Investigative Journalismの新たな調査によると、去年行なわれた10回の攻撃のうち、一般市民45人が死亡したという。

この他には『The Long War Journal』編集長のビル・ロドリーゴは次のように語る。「タリバンは爆弾を作ったり訓練をするために、軍事基地にはいかない。近くには家族や隣人がいる。攻撃を行なっている人間は、一般市民の犠牲者をできるだけ出さないように努力しているにちがいない。20%かもしれない。5%かもしれない。しかしCIAがいっているように、1年にゼロというのはありえない」。

(中略)ある米関係者によると、2001年以来、過激派2000人以上を殺害し、非戦闘員50人を殺害した。これは従来の空爆の基準でいえば、巻き添えになった人間の数は驚異的に少ないといえる。

関係者によると、CIAの偵察機を操縦する人間は、標的を数時間、あるいは数日間監視し、彼らの「生活のパターン」を分析して、過激派なのか一般民なのかを区別する。ソフトウェアを使用して爆発のモデルを作ってから、実際に攻撃する。それから攻撃を監視し、瓦礫の中から引き出される遺体や負傷者や、その後の葬儀を監視する。ビデオは、地上にいるインフォーマントたちからの協力で、補足されることもある。彼らは車輛や建物に、追跡装置を設置することもある。「プログラム開始時と比べるとこの極秘作戦は大幅に改良され、非戦闘員が犠牲になることはない」と、ある米関係者が述べた。

ある攻撃の例として、無人偵察機が車に乗っていた過激派にミサイルを撃ち込んだあと、突然非戦闘員が現われた。操縦士はミサイルを空き地に誘導し、この一般市民がいなくなった数分後に、車を攻撃した。「この兵器が完全だとはいわない。しかし空爆としては、もっとも正確なシステムだ」。

これに反論する人々に言わせると、数千マイルもはなれた場所でビデオのスクリーンを監視している諜報関係者は、攻撃で死亡した全員の身元を確認することはできないはずだという。また誰でもが武器を所持するこの地域では、過激派なのか、国境警察官なのか、店員なのか区別がつかない。村人でさえ、自分たちの隣人がどのような組織に属するか、確信をもっていないという。

また過激派は隣人から車や建物を借りることができ、隣人はこれを拒否できない。一般市民が過激派の中にいることだってある。Bureau of Investigative Journalismの調査によると、過激派24人を殺害したある攻撃では、一般市民2人を殺害した。これは過激派が拘束していた人間と、別の場所で拘束されていた人間の解放を交渉していた親戚だった(中略)。

CIAの主張に疑問を持つのであれば、非戦闘員の死を批判する報告者の話も疑問視される。北ワジリスタンの報道陣は、危険で政治的にも緊張感の漂う状況のなかにいる。情報源はそれぞれ自分たちのもくろみがある。過激派は民間人の死を利用して、仲間を増やそうとする。パキスタン政府関係者は、パキスタンの主権を侵害しているとして、一般民とともに無人偵察機に抗議する。

「ワジリスタンは、情報のブラックホールだ」と、家族を無人偵察機の攻撃で失った一般民に代わってCIAを起訴している弁護士、ミルザ・シャーザッド・アクバルが語る。米関係者は、アクバルはISIのために無人偵察機のプログラムにケチをつけようとしていると非難する。

米関係者によると、Bureau of Investigative Journalismの調査は、12月にパキスタンのCIA局長の名前を暴いたアクバル氏の情報を根拠にしているために、信憑性がないという。しかしアクバル氏は、ISIから金を受け取ったことも、指示されたこともないと述べた。7月にISIの工作員2人がやってきて、「誰のために働いている」と聞かれたという。

2009年と2010年にパキスタンに住んでいた米国人人権弁護士のクリストファー・ロジャーズは、無人偵察機の攻撃に関してアクバル氏に協力したという。「ISIが黒幕だというのは、信憑性がない」(後略)。

hoonC.I.A. Is Disputed on Civilian Toll in Drone Strikes
SCOTT SHANE、WASHINGTON

■米、アフガンの谷奥に戻る[110811 AFP]

アフガニスタン東部の「死の谷」から撤退して数ヵ月たった今、米軍は一度は放棄したこの地域の基地に再び戻ってきた。

(中略)「米軍をピーチに戻すようにしたことは、我々が思っていた以上に抵抗勢力の拠点が悪影響を与えることがわかったからだ」と、アメリカを拠点とする対抵抗勢力コンサルタント会社、オブリス・オペレーションのマーク・モヤールが述べた。

米軍は、ピーチに再び軍を派遣するのを決めたことに対して、多くを語らない。「夜どこで寝るかということにすぎない」と、同盟軍のアフガニスタン東部を管轄するチャド・キャロル中佐が述べた。

キャロルは、米兵が何人駐屯し、今後何人が派遣されるかに関しては触れなかった。

(中略)7月の最後の週に、米軍はピーチに戻ったが、歓迎されなかった。7月25日に抵抗勢力が同盟軍のヘリコプターに発砲し、数名が負傷した。その数日後、抵抗勢力は、米軍が派遣されているナンガラームの基地にある建物に、迫撃砲を撃ち込んだ。死者の報告はない。

アフガニスタン東部の新たな米軍最高司令官のダニエル・アリン中将は、ピーチに米軍が派遣されたのは、アフガン治安部隊を助けるためだという。「率直に言って、アフガン国軍の部隊にリーダーシップの問題が発生し、リーダーの交代があったときに、彼は隊を独立した隊としてまとめなかった。したがって、我々は穴埋めにいく」と、『Long War Journal』とのインタビューで語った。

アリンの話から、アフガン治安軍は同盟軍のパートナーなしに仕事ができないことがうかがわれるが、同盟軍はそのようなことではないと否定した。

「そのようなことでは全くない」と、キャロルが述べた。「2週間の間に、アフガン治安軍は人道的手協力として、200トンの物資をヌーリスタンの人々に運んだ。あの地域の人々には、大いに歓迎されている。これらのことには、我々はほとんど介入していない」。

hoonUS troops return to deadly Afghan valley in east
KABUL

■ペシャワルの攻撃は女性自爆者の犯行とパキスタン人タリバン[110811 AFP]

金曜日にパキスタン人タリバンが、部族地帯に対する軍事作戦の「報復」として、女性による自爆攻撃と、別の爆弾攻撃を実施したと発表した。

ペシャワルで、10代後半の女性が、警察の検問所の近くで自爆して別の女性を殺害した。その数時間前に、手押し車に仕掛けられた爆弾が爆発し、6人が死亡した。女性による自爆は、3回目である。

モーマンドのパキスタン人タリバン指導者が、新たな戦略の一部として、女性により自爆攻撃を行なっていると述べた。「我々の戦略の一部であり、戦略は常に変更する」と、オマル・ハリッドが述べた(後略)。

garrPakistani Taliban claim female suicide attack in Peshawar
PESHAWAR:

■ビンラディン、「サウジの現金と引き換えにパキスタンに保護される」[110811 Telegraph]

米国人治安アナリストのレイン・ヒルハウスによると、ビンラディンの居場所と引き換えに2500万ドルの報奨金の申し出があったために、パキスタン人治安組織関係者が秘密を暴露したという。

(中略)CIAのために働く民間の軍事企業と関係が深いヒルハウスの調査によると、パキスタンがビンラディンを殺害する極秘作戦を許可したという。「ISI関係者が報奨金の受け取りと、彼と家族が米国籍を取得するために申し出てきた」と、自分のブロクに書いた。

「情報源によると、サウジがパキスタン軍とISIにビンラディンをアボタバードで保護するために資金を提供していた」。アメリカは、ビンラディンが陸軍の拠点であるこの町にいることを確認すると、パキスタン陸軍指導者たちに接触して、現金と世論から辱められることと引き換えに、協力を求めたという。

本当だとしたら、アメリカのブラック・ホーク・ヘリコプターが、なぜ抵抗を受けずにパキスタン国内奥深くまで飛行できたかが説明される。ヘリコプター1機が墜落したために、極秘作戦が露になった。

(中略)アボタバードの住民によると、作戦が実施される1晩前に何者かがやってきて、電気を消して家の中にいるように忠告されたという(後略)。

smellOsama bin Laden 'protected by Pakistan in return for Saudi cash'

■アメリカとタリバン間の和平にむけての極秘会談、リークされた失敗[110811 Telegraph]

アメリカとタリバン首脳陣との間で進んでいた和平のための話し合いは、内容がリークされたために失敗したと、欧米外交関係者が述べた。

このように初期の段階で話し合いが失敗したのは、アフガニスタン政府内の「偏執症」的な人間が、話し合いの詳細や話し合いに応じていたタリバン指導者の身元をリークしたため、という憶測が飛び交っている。

今年の初めに、オマール師の個人的な秘書だったタヤーブ・アガとCIA幹部との間で、ドイツとカタールにおいけ行なわれた会談は、極秘が前提だった。会談は、アフガニスタンとパキスタンにおけるドイツ特使のマイケル・スタイナーが仲介していた。

会談は、アメリカと同盟国が和解に真剣であるということをタリバンに納得させるという、ごく初期の段階だった。タリバン司令官たちは、組織の分裂がアメリカの目的と見ているために、首脳陣たちは信用が損なわれることを恐れ、話し合いには非常に神経質になっている。

しかし3月と4月に、ドイツで2回、カタールで1回の合計3回の話し合いが行なわれた時点で、その内容が『ワシントン・ボスト』と『デル・スピーゲル』にリークされ、タリバン側の仲介者としてタイーブ・アガの名前が挙った。

外交筋や話し合いの内容に精通している人間によると、タヤーブ・アガはそれ以後姿を現すことはなく、彼が住んでいるとされるクエッタやペシャワルにいる連絡係を通して連絡もできない。

「話し合いは大きな賭けで、真剣なものだった。今後は、初期の段階において極秘を厳守することがいかに重要かを、学んでほしい」。今回の経緯に、米国人たちはショックを受けている。

カブールの情報源も、話し合いが報道により「無になった」ことを認めた。

タリバンはカルザイ大統領の申し出を長い間拒んでいたが、カブールは、オマール師の幹部関係者と接触しているというニュースを注意深く見守っていた。

国連の元大使で、現在はカルザイの和平委員会のメンバーであるアブドゥル・ハキーム・ムジャーヒッドは6月に、今回の接触は「役立つ」と語っていた。彼によると、タヤーブ・アガはいまだにオマル師の側近であるために、これは良い兆候だという。「オマール師に近いだけでなく、パキスタンとも近い」という。

米関係者は、会談を極秘にする必要性を感じていたが、カルザイ政府にはことの成り行きを知らせる必要があると見ていた。

カブールの元EU代表でタリバンに非常に詳しいマイケル・センプルは、対抗勢力は、話し合いが暴露されたことと、タイーブ・アガが名指しになったことを大きな打撃として受け取ったはずだという。「タリバンは一貫して、外国人たちを力で追い出してから話し合いを開始すると主張してきた。戦場で物事が解決してからではなく、話し合いは今始めなければならないと自分たちが納得して大きな一歩を踏み出すためには、今回の申し出が真剣なものであるということを理解できるだけの時間と保証が必要だった」。「話し合いが実施され、タリバン側の人間の身元がリークされたあと、タリバンは話し合いをやめることにした。首脳陣たちは、アメリカとの接触はとりたてて特別なことではなく、囚人の釈放に関する通常の話し合いにすぎなかったとした」。「タリバンがタヤーブ・アガのミッションに重要性がなかったと主張したのは、当然の成り行きだ。1歩前進して、2歩後退したということだ」。

hoonSecret peace talks between US and Taliban collapse over leaks
Dean Nelson, Ben Farmer、Kabul

■NATO主導軍、ヘリ撃墜のタリバン殺害[1108111 Reuters]

NATO主導軍が、週末に米軍ヘリコプターを撃墜したタリバン過激派を殺害したが、抵抗勢力指導者を捕らえることはできなかったと、アフガニスタンの米軍とNATO司令官が述べた。

(中略)ジョン・アレン将軍によると、8月6日の作戦で追跡していたタリバン指導者本人はまだ見つかっていないという(中略)。

アレンは、重要なタリバン指導者を標的とした今回の作戦から逃走中の抵抗勢力を追跡するために、エリート隊を現場に送り込む必要性があったことを強調した。「抵抗勢力たちが逃げ出さないように、隊を送り込んだ。そしてその過程で航空機がRPGで撃墜された」と、アレンがペンタゴンの記者たちに語った。

アレンによると、8月8日の深夜に実施された空爆で、今回の攻撃の背後にいた別のタリバン抵抗勢力を殺害したという。

NATO主導のISAFによると、殺害されたのはタリバン指導者のムッラー・モヒブッラーとチヌーク・ヘリコプターを撃墜した人間だという。2人はアフガニスタンから、おそらくパキスタンに脱出しようとしていたという。ペンタゴンによると、F16戦闘機で攻撃した際に、2人は建物の中にいた。

タリバン報道官のザビフッラー・ムジャーヒッドは、ヘリコプターを撃墜した男は殺害されてはいないと述べた。「ヘリコプターを撃墜した人間はまだ生存しており、他の州で外国軍と戦っている」と述べた(後略)。

hoonNATO-led forces kill Taliban who shot down helicopter
Phil Stewart and Paul Tait、WASHINGTON/KABUL

■アフガニスタンのヘリ追跡の夜に起きたこと[110810 Reuters]

金曜日の夜、NATO主導同盟軍に属する特殊部隊が、カブール南西部の険しい谷でタリバン指導者を逮捕するための作戦を実施した。その数時間後、38人の兵士、そのうち米兵30人が、輸送ヘリコプターの中で死亡した。

今回の出来事に関しては「上からの命令」で黙秘が命じられているために、情報がほとんど入ってことない。しかし、ある程度の状況がわかってきた(中略)。

ISAFのSpecial Operations Command(SOC) チームが、金曜日夜にマイダン・ワルダック州にあるタンギ谷で捜索を開始した。「夜間捜索」はアフガン兵の協力のもとで実施するのが常だが、アフガン人たちはイスラームの伝統やプライバシーを尊重していないとして、怒りを感じている。しかし外国軍にとっては、アフガンの一般市民の中に隠れる抵抗勢力を探し出すために、最も効率の良い方法である。

カブールから80キロしか離れていないこの険しい谷に抵抗勢力は隠れ、隊の動きを監視し、谷の出入りをコントロールしている。

首都に近いにもかかわらず、あるいは近いがために、この谷は抵抗勢力の拠点となっている。タリバンやハッカーニ組織を始め、さまざまな抵抗勢力がここで活動する。今回の作戦に先立ち、SOCはタリバン組織の指導者だったディン・ムハンマドを殺害し、金曜日の作戦では、タンギ谷で12人の戦闘員を率いるムッラー・モヒブッラーが標的だった。「逮捕のための作戦で、標準的な夜間作戦だった」と、ISAF幹部が語った。

SOCチームが谷に入ると、AK-47ライフルやロケット推進手榴弾で武装した抵抗勢力をすぐに見つけた(中略)。カブールの軍関係者によると、モヒブッラーの組織のメンバー6人がすでに殺害された。土曜日にタリバンは、戦闘で戦闘員8人が死亡したと述べた。

戦闘は、谷にあったある建物の付近で起きた。「地上軍が目的地を襲撃し、抵抗勢力と対戦していた」と、別の軍関係者が述べた。そして、少数のタリバン戦闘員たちが本体から離れ始めた。この時点で、つまり土曜日の早朝、SOC地上チームが「Immediate Reaction Force(IRF)」隊を呼んだ。

IRFは、カブールなどで抵抗勢力の「大掛かり」な攻撃を受けた場合に派遣される、緊急部隊であるQuick Reaction Forceとは異なる。つまり地上軍に協力するために呼ばれた隊は予備軍にすぎず、「救援」のためではなく、タリバンの罠にかかったのでもない。

別の軍関係者によると、戦闘の最中、「あるグループが離れ、逃げ始めた」。「そこで逃げた連中を捕まえるために、IRFが呼ばれた」。軍関係者によると、このような状況のなかで抵抗勢力指導者たちが「下士官戦闘員」を置き去りにして本隊から離れることはよくあるという。「そのときに、飛行してきたヘリコプターが撃墜された」。

(中略)ヘリが墜落したのは運にほかならないと、軍関係者が語る(中略)。ISAFは、抵抗勢力は最初からRPGを使用し、ヘリコプターも狙われたものの、出来事は墜落だったと主張する。「敵の攻撃だけでヘリコプターが墜落したとは、断定されていない。抵抗勢力の位置から攻撃を受けたことは事実だ」。

(中略)同盟軍は、ヘリコプターが高性能なRPGで撃墜されたのではないと、強調した(中略)。「低いアングルから狙われたかもしれないし、ヘリコプターの上から狙われたかもしれない」と、ある軍関係者が述べた。しかしヘリコプターが炎上したのか、爆発したのか、高い位置から墜落したかは、明らかではない。しかし激しく損傷し、すべての残骸を回収できるまでに4日もかかっている。

(中略)ヘリが墜落した直後、SOC地上隊が現場に急行した。モヒブッラーと残っていた彼の戦闘員は逃げていた。モヒブッラーとヘリコプターに発砲した男はアフガニスタンから逃げようとしていたと、ISAFが述べた。おそらくパキスタンに入ろうとしていたことろ、近くの林の中で追跡され、火曜日に空爆で殺害された。

疑問視されているのは、なぜ25人からなる海軍のSeal Team 6が、通常使用される高性能なMH-47ではなく、米軍のCH-47に乗っていたかである。理由としては、主要隊ではなく、予備軍として派遣されただけだったからかもしれない。

hoonWhat happened on night of deadly Afghanistan helicopter crash?
Paul Tai、KABUL

■米、タリバンにショックと畏怖[110810 Asia Times]

(前略)チヌークCH-47がワルダックでタリバンにロケット推進手榴弾で撃墜されたニュースに、ペンタゴンはショックと畏怖を感じた(中略)。ワルダックは隣のロガールとともに、タリバン化している(中略)。さらに、タリバンは宣伝広告の技術や戦場で新たな兵器を導入して「大きな進歩」を遂げているだけでなく、技術面にも長けてきており、欧米軍に心理的な打撃を与えた。

SEALはアフガニスタンにいる1万人からなるJoint Special Operations Command(JSOC)の一部であり、アフガニスタンとパキスタンで多い時には1日に70ヵ所で襲撃を行なっている。ペンタゴンによれば、4月から7月の間に「抵抗勢力」2900人を逮捕、800人以上を殺害している(中略)。

ワルダックで殺害されたSEALは、5月にアボタバードでビンラディンを殺害したTeam6に属すメンバーだった。しかしワルダックにいたSEALは、軍の第160 Special Operations Aviation Regimenの最新のステルスヘリコプターを使用せずに、普通の国家警備用チヌークで飛んでいた。

離陸直後にタリバンの罠にかかり、改造RPGで撃墜された。『Wired』ウェブライトの『Danger Room』プログによると、改良されたロケット推進迫撃砲IRAMで、肩掛けRPGよりも大きな弾頭を持つ。

タリバン報道官のザビウッラー・ムジャーヒッドによると、「RPGに似た兵器であり、このような兵器をもっと入手するつもり」だという。

つまりイラクの戦場から移ってきたIRAMは、今ではアフガニスタンで重要な兵器となり、以前スティンガーが登場したときのことを思わせる。1980年代のアフガンジハード時代、アメリカは数百のスティンガーをムジャヒディンに流し、赤軍ヘリを撃墜させた。

アボタバードとワルダックの比較は、人々を驚かせるかもしれない。アボタバードでは、襲撃に関する話がメディアに次から次へと出てきたが、最終的にはステルス・ヘリコプターがビンラディンが隠れていた建物の敷地内に単に「墜落」したということになった。操縦士が誤ったのか、ヘリコプターが撃たれたのかはわからない。

問題は「墜落」によりステスル・ヘリコプターの尾翼が建物内に残ってしまったという事実である。これがパキスタン人により中国に売られるのではないかと、ペンタゴンははらはらした。このペンタゴンやホワイトハウスが言っているように、墜落で負傷者がいなかったとは、なかなか信じられない。

そしてビンラディンの襲撃の話が何度も何度も修正されているために、頭に血が昇った人々は、ワルダックの死者の数とアボタバードの墜落で実際に死亡したSEALのメンバーの数を関係づけて、彼らが「再び」ワルダックで死亡したと考え始めている。当初は、ワルダックの犠牲になったSEALのメンバーは、「オサマ殺害」作戦に参加した者たちだったと報道された(後に修正された)が、これは意味がなかった。

hoonUS shocked and awed by the Taliban
By Pepe Escobar

■米無人偵察機、パキスタンで「過激派」21人殺害[110810 BBC]

パキスタンの北西部に対するアメリカの無人偵察機の攻撃があり、過激派が少なくとも21人殺害されたと、地元の諜報関係者が述べた。

無人偵察機が北ワジリスタンのミランシャー付近でミサイル2発を発射し、車輛と建物が破壊された。死亡した過激派の中には外国人もいたが、ハッカーニ組織の人間だと思われる。

(中略)当初は過激派5人が殺害されたと報告されたが、後に瓦礫の中から遺体が掘り起こされて、犠牲者が増えたという(後略)。

hoonUS drone attack kills 21 'militants' in Pakistan

■ハッカーニ組織に権力増大[110809 Asia Times]

TTPの司令官たちが分裂し、次第にまとまりを欠いている。特にクラーム行政区のTTP司令官のファザル・サイード・ハッカーニがTTPから脱退したと表明したことで、この動きが明らかになった。

ファザル・ハッカーニは、テヘリーケ・タリバン・イスラミ・パキスタンという名前の新たな組織を作ったと表明し、TTPが一般市民を攻撃することを快く思っていないと述べた。

しかしハッカーニと彼の組織は、無実のシーア派殺害には関与している。ハッカーニはTTPから分裂した直後、TTIPの「真の敵」はアメリカだと表明した。

ファザル・サイード・ハッカーニの行動により、クラーム行政区からTTPが完全にいなくなった。ハッカーニは、TTPがクラームで活動することを許さないと誓った。「私が管轄する地域だ。地元の人間であろうが外部の者であろうが、我々の政策に反対したり、クラーム谷に問題を起こすことを許さない」。

ナジール師やハーフィズ・グル・バハドゥールと同様、ファザル・サイード・ハッカーニはアフガニスタンのハッカーニ組織と近い関係にある。アフガニスタンのハッカーニはクラームを足がかりにすることを重視しているが、これにはファザル・サイード・ハッカーニの協力が必要である。ジャラウッディン・ハッカーニは息子のシラージュッディン・ハッカーニとともに、ハッカーニ組織を北ワジリスタンで率いる。

FATAのリサーチセンターのマンスール・ハーン・メフスードによると、ファザル・サイード・ハッカーニは、クラームとその他の地域を結ぶサール〜パラチナール間の幹線道路の一部を占拠している。ファザル・サイード・ハッカーニがまだTTP司令官だった時期には、シーア派の住民がこの道路を使用することを許さなかった。

したがって、シーア派の人間はアフガニスタンを通過して、出ていかなければならない。ファザル・サイード・ハッカーニが道路を管理しているために、ハッカーニ組織や他のタリバン抵抗勢力はクラーム行政区を基地にして、アフガニスタン内部を攻撃したり、拠点を築くことができる。

NATOは、6月28日のカブールのインターコンチネンタル・ホテルの攻撃はハッカーニ組織の仕業と見ている。その直後ハッカーニの組織は、パクティア州の訓練所をNATO軍とアフガン国軍に襲撃され、大きな打撃を受けた(中略)。

しかしファザル・サイード・ハッカーニがTTPに反旗を翻したことで、TTPは弱体化するいっぼうで、ハッカーニ組織は非常に強力になった。ある報告によると、TTP司令官のハキームッラー・マフスードは、ここ数年の間、ますます孤立しているという。6月27日には、TTPの自爆班報道官だったシャキルッラー・シャキールが何者かに殺害されて、大きな打撃を受けた。

シャキルッラーは、2010年に無人偵察機により殺害された、カリ・フセイン・マフスードを引き継いだ。

ダラ・アダムヘールのタリバン組織に属すタリーク・アフリディ司令官とハリッド・オマル・ムハンマドの組織は、TTPでそれぞれ別々に活動している。マンガル・バーが率いるカイバル行政区のラシュカレ・イスラミは、TTP系ではない。

TTPの分裂は、ハッカーニの組織がクラームで自由に活動できるようにさせたいと数ヵ月間画策していたISIにとっては、大きな成功といえる。TTP間の分裂が進んでいる。別の報告によると、ハキームッラー・マフスードと副指導者のワリウル・レーマンはほとんど顔を合わさない。2人だけで会うことはなく、また両者とも銃を持っていないことを確認してから会う。

ファザル・サイードは、7月3日の軍事作戦が開始する直前にTTPと分裂した。陸軍がヘリコプターと戦車、大砲に援護されて、クラーム行政区ハング地区のサッダとタールに入った。作戦の目的は、ハキームッラー・マフスードの一派を排除することだった。

軍事作圏は過激派に対するものであったが、シーア派ムスリムは、自分たちも標的となったと見た。パキスタン人コラムニストのムハンマド・タキ博士は、作戦はサール〜パラチナール間の道路を解放し、ハッカーニ組織と親軍ジハード組織が使用できるようにすることだったと述べた。

さらに、ハッカーニ組織やタリバンを支持する、パキスタン軍に抵抗するクラーム行政区の人々を懲らしめることも目的だった。

ファザル・ハイード・ハッカーニが味方したことで、ハッカーニ組織が初めて有利になり、力関係のバランスが崩れた。アッパー・クラームのシーア派指導者たちのなかには応戦を誓う者もいるが、今のところ敗北している。

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Arif Jamal

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