【2011年9月12日〜9月18日】
●(前略)ラホールのCIA工作員逮捕やビンラディン殺害後、アメリカとパキスタンの関係は悪化しているが、今度は米国防省のレオン・パネッタが、パキスタンを拠点とするハッカーニからアフガニスタンの米軍を守るために、あらゆる方法をとると警告した。
●パネッタの警告後、ギラニ首相は9月16日に予定していたアメリカ訪問をキャンセルした。表向きは洪水のためということだったが、両国間の関係悪化のためである可能性が高い。ニューヨークの国連総会で、演説する予定だった。
●訪問を取りやめた本当の理由は、オバマ大統領が国連総会後にギラニに会うことを拒否したためだ。ワシントンのパキスタン大使館は、この会談をなんとか実現させようとした。パネッタの発言も、訪米取りやめの原因となった。
●ギラニは訪米中止を発表した数時間後、「今度はアメリカがもっとやる番だ」と述べた。ギラニは、パキスタンはすでにテロと十分戦ったので、今度はアメリカが代わりに「もっとやるべきだ」という。
●(中略)カブールの米大使館攻撃は、ハッカーニの組織の仕業といわれる。「入手した証拠から、犯人たちがアフガニスタン国外の人間と通信していたことがわかった」と、内務省のビスミッラー・ムハマディが語った。関与していた国名には言及しなかったが、アフガニスタンの米大使のリアン・クロッカーとNATO軍司令官のジョン・アレン将軍は、パキスタンを拠点にするハッカーニの組織の仕業だと述べた。
●6月28日のカブールのインターコンチネンタル・ホテル襲撃事件も、パキスタン国内の協力者を得たハッカーニ組織の過激派の仕業だと、アフガニスタンのNational Intelligence Directorate(NDS)が発表している。NDSによると、テロ組織幹部のバドルッディン・ハッカーニが、ホテル攻撃の最中に戦闘員に指示を出したり笑っている様子が盗聴されたという。バドルッディンはハッカーニ組織の作戦司令官で、タリバンのミランシャー・シューラのメンバーでもある。
●(中略)キアニ陸軍参謀長は、最近スペインでマイク・ミュレン総督と会った際に、ハッカーニ組織に対する軍事作戦を実施することを拒否したといわれる。パキスタンのメディアの報告によると、ミュレンが話題を振ったが、キアニは、パキスタン軍が北ワジリスタンで作戦を実施する計画を組む状況にはないと述べたという。今この時期にハッカーニの組織を取り締まることは、パキスタンのためにはならないという。
●NATO関係者に対するスピーチでも、キアニはハッカーニに対する作戦を実施する可能性を否定した(後略)。
Haqqani network sours Pakistan-US ties●日曜日にパキスタン兵とタリバン過激派が、アフガニスタンとの国境付近で墜落したアメリカの無人偵察機の残骸をめぐって衝突した。
●パキスタン人タリバンが、南ワジリスタンで偵察機が撃墜したと主張したが、墜落の原因は明らかではない。
●パキスタンの治安軍が日曜日に偵察機の残骸を回収するために、タリバンと衝突した。過激派側2人が死亡したという。軍関係者1人が負傷した(後略)。
Pakistan troops, Taliban battle for drone wreckage●パキスタン軍が、パキスタン北西部で墜落したアメリカの無人偵察機の残骸を巡って、タリバンと衝突した。
●無人偵察機はタリバンに撃墜されたのか、技術的トラブルのためか、原因は明らかではない。1ヵ月前にも、偵察機がパキスタンで墜落している。
●土曜日の夜に、南ワジリスタンのジャンガラ村の近くで、偵察機が墜落した。
●タリバンが無人偵察機を撃墜したと述べたが、地元の治安関係者が『AFP』に語ったところによると、技術的なトラブルのためだったという。
●タリバンが残骸を回収したが、後にパキスタン軍が奪ったという。銃撃戦で過激派2人が死亡し兵士1人が負傷したと、治安関係者が『ロイター』に語った。
Pakistan troops fight Taliban after US drone crash●シラージュ・ハッカーニが土曜日に、タリバンがカブール政府やアメリカと和平に関する話し合いに参加してから、自分たちもこれに参加すると述べた。
●また戦いに勝利して大きな自信をつけたために、もはやパキスタンの隠れ家にいるのではなく、アフガニスタン国内で安全にいられるようになったと、シラージュが述べた。
●(中略)「アフガン政府は、政府内における重要な地位を我々に提供してきた。しかし、彼らの企みには乗らない。彼らは我々を分裂させようとしている」と、アフガンタリバンに言及した。
●「アフガニスタンとパキスタンの国境沿いの山奥で暮らす日々は、過去のことだ。我々はアフガン人とともに、アフガニスタンで暮らすことを安全と思えるようになった。軍幹部や警察関係者も、我々の仲間だ」という。「我々の目的が占領軍から母国を解放することだと知っているために、アフガニスタン政府内にはタリバンに従う誠実な人間がいる」(後略)。
Haqqanis to follow Taliban on Afghan peace●パキスタンのアルカイダ作戦責任者といわれるアブ・ハフス・アル・シャハリが、9月11日の無人偵察機による攻撃で、北ワジリスタンで殺害されたことが確認された。シャハリの本名はオサマ・ハムド・ガルマン・アル・シャハリで、2009年にサウジで85番目の指名手配人物に指命されていた。
●『アル・ハヤート・オンライン』によると、シャハリの母親が「外国人である息子の妻の親戚から接触」を受け、息子の死を知らされたという。「リヤドで、彼の死に対するお悔やみを受けた」と、新聞で報道された。アルカイダはまだ殉教声明を出していないが、工作員が殺害されると、家族に知らせるのが常である(後略)。
Abu Hafs al Shahri confirmed killed in Predator strike in Pakistan●これまで知られていなかったイッテハード・ムジャヒディン・ホラサン(IMK)という組織が台頭し、ハーフィズ・グル・バハドゥールが指揮する組織と対立しているために、北ワジリスタンでは大きな動きが起こる気配である。
●IMKはいくつかの組織の集合体だが、北ワジリスタンでグル・バハドゥールが指揮する北ワジリスタン・シューラ組織のメンバーは敵で、パキスタン軍の手先だと、水曜日に宣言した。
●組織は、いわゆる「ジハード請負者」と呼ばれるような人間が、自分たちが目的を達成することを妨害していると述べ、北ワジリスタン・シューラに属する人間に対処すると述べた。
●2ページからなる声明書によると、「IMKはあらゆる犠牲を払っても目的を達成し、この目的を妨害する人間はいかなるものであれ、許さない」という。
●9月7日に、シューラがホラーサンの組織を自分たちの組織から追放したために、分裂が起きた。「IMKを何度も正そうとしたが、うまくいかなかった。最終的に組織から切り離すことにした」と、ハーフィズ・グル・バハドゥール他10人のシューラのメンバーが署名した声明書が発表された。
●この10人とは、モーラビ・ラヒーム・ヌール、ムフティ・サディーク・ヌール、アブドゥル・レーマン、モーラビ・アミール・シャルフ、モーラビ・アミール・ハムザ、モーラビ・サッダール・ハヤート、ムハンマド・スィディーク、アフマッド・シャー・ジャン、モーラビ・サリーム・ハーン、サディクッラーである。
●ホラーサンのグループの活動に関しての苦情を受けたために、この組織を追放せざるを得なかったという。
●IMKは、スパイや政府の工作員やパキスタン軍に雇われている人間、ムジャヒディンに対する陰謀を企てている人間に関する情報を収集するという。
●グル・バハドゥールは2006年9月に政府と和平協定を結び、政府とは良い関係にあり、ハッカーニの組織も治安部隊との衝突を避けている。
●北ワジリスタン以外では、さまざまな過激派組織が分裂して互いに争ってきた。北ワジリスタンが分裂したのは、初めてのことである。
●クラーム行政区では地元司令官のファザル・サイードがTTPと分裂し、ハキームッラー・マフスードと対立している。ラシュカリ・イスラームとアンサルゥル・イスラームは、カイバル行政区で対立している。オラクザイでも、過激派司令官同士で対立している。
●部族地帯の情報源によると、IMKはワジール族、ダワール族やパンジャーブ人や外国人からなるハードコアな過激派だという。自分たちの行動をスパイしている人間を、監視している。2007年にワナで、治安部隊がモーラビ・ナジール司令官を支持して、ウズベク人などの過激派を追放した出来事と、同様のことが起きている可能性もある。
●アナリストや治安の専門家は、亀裂によりグル・バハドゥールが弱体化する可能性があると述べた(中略)。
●FATAのアナリストのサイラーブ・マフスードは、IMKとミランシャーを拠点とするシューラの対立により、北ワジリスタンで軍が行動しはじめる可能性があるという。「外国人や地元の人間以外の者を排除できるかもしれない」。
●マフムード・シャー元准将によると、北ワジリスタンの過激派の分裂により、軍は有利になる可能性があるが、政府が今後この状況にどう対処するかが見物だという。「軍がこの地域で活動する最もいいタイミングだ」。グル・バハドゥールはハッカーニの支持を受けており、派生組織を排除するだけの力を十分もっているという。
●「バハドゥールがライバルに勝てば、治安部隊は自分たちの状況を強化して、行動する機会を持つことができる」と述べた。
Differences crop up among Waziristan militant outfits●パキスタンは、金曜日になっても、国内におけるアルカイダ作戦責任者が部族地帯で死亡したという、米関係者の報道を確認できていないと述べた。
●アブ・ハフス・アル・シャハリが、数日前に起きた無人偵察機の攻撃で死亡したと、木曜日に米関係者2人が述べた。
●部族地帯で活動する諜報関係者によると、アル・シャハリが死亡したという情報はないという。「このような男がこの地域で活動しているということも、この男が死亡したという情報もない」という。
●米関係者は詳しいことは述べていないが、今月起きた無人攻撃は、日曜日の攻撃の1回だけである。北ワジリスタンのミールアリの近くが攻撃され、過激派の建物が狙われて、3人が死亡している(中略)。諜報関係者によると、死亡した2人はパキスタン人過激派であるというが、3人目の身元はわかっていない。別の諜報関係者は、アラブ人であった可能性があると述べた(後略)。
No confirmation senior al Qaeda militant dead: Pakistan●CIAの武装無人偵察機が今週、パキスタン国内のテロ攻撃を計画するアルカイダ幹部工作員を殺害したと、米関係者2人が木曜日に述べた。
●9月11日の10周年の日に、アブ・ハフス・アル・シャリリが殺害された(中略)。
●シャリリは、これまであまり知られていない人物だったが、アルカイダとパキスタン人タリバンとの間を仲介し、パキスタン政府の建物や欧米人が使用するホテルの攻撃などを指揮していた。インターポールの記録によると、シャリリは33歳である(後略)。
C.I.A. Kills Top Qaeda Operative in Drone Strike●米関係者2人が、CIAの無人偵察機の攻撃でパキスタンにおけるアルカイダの作戦責任者が死亡したと述べた。
●無人偵察機の攻撃の標的はアブ・ハフス・アル・シャハリで、パキスタン国内の作戦を管轄するアルカイダ中央司令部の重要人物だという。サウジ国籍である。
●無人偵察機の攻撃は過去数日間内に、パキスタンの部族地帯で起きた。
●アルカイダのパキスタンにおける作戦責任者として、シャハリはTTPとも活動を共にしていたという(中略)。関係者は、シャハリは8月に無人偵察機で殺害されたリビア人のアティヤ・アゲドル・レーマンと、仕事の一部を「競いあって」いたと思われると述べた(中略)。シャハリの仕事は、アルカイダの「この地域における反米攻撃」を計画し、「パキスタン国内でパキスタン人タリバンと協力していた」という。
●最近、別のアルカイダ指導者のユーニス・アル・モーレタニが、アメリカとパキスタンの治安部隊の合同作戦で逮捕されている(後略)。
Senior al Qaeda militant killed in U.S. drone strike●アメリカとアフガン政府関係者が水曜日に、カブールの米大使館のNATO本部が攻撃された事件の背後には、パキスタンを拠点とする過激派組織の仕業であることを示す、いくつもの痕跡があると述べた。
●NATO司令官のジョン・アレン将軍によると、この攻撃で16人が死亡したという。アフガン警察5人と、子供6人を含む一般市民11人である。
●アレン将軍を始めとする関係者は、攻撃はハッカーニ組織の仕業だと述べた(中略)。
●犯人は全員25歳以下のように見え、1人は非常に若かったという。戦闘員たちは弾薬を十分備え、最後の攻撃者が水曜日に殺害されるまで、射撃を止めなかった。飲料水や果物ジュースを持っていた。
●サンダルを履いて民族衣装を身につけていたが、ブルカを被っていた可能性があるという。ブルカが発見されている。
●最も若い戦闘員は投降しようとしたが、仲間がそれを許さなかったと、内務省のセディク・セディキが語った。
Blames Pakistan-Based Group For Attack on Embassy in Kabul●諜報関係者によると、パキスタン北西部に対するアメリカの無人偵察機の攻撃で、過激派が少なくとも2人殺害されたという。
●男たちが北ワジリスタンのエスヘール地域を車輛で走行していたところを、ミサイル2発で攻撃された。
●関係者によると、死亡したのはハッカーニ組織の司令官のハフィーズッラーと外国人が含まれているという。車輛は完全に破壊された(後略)。
Suspected US drone 'kills two militants' in Pakistan