【2011年10月10日〜10月16日】


■パキスタンからの発砲で緊張[111016 New York Times]

ここ6ヵ月の間、パキスタンとの国境付近の米兵とアフガン兵は、パキスタン側からのロケット弾攻撃を頻繁に受けるようになっているために、緊張を高めている。

パキスタンから米軍の前哨基地に向けて発射されるロケット攻撃は、5月以来55回にのぼっている。去年同じ時期には、2度しかなかった。

(中略)パキスタンは、タリバンやハッカーニ組織を援助していないと、繰り返し主張している。越境して暴力沙汰を起こさないように防いでいる、とも主張する。

このような状況であるために、米関係者は攻撃を非難することがなかなかできない。「確かな証拠がない」と、前哨基地にいるエドワード・ボーンマン大佐が語る。「これほど頻繁に起こるために、心当たりはあるが、証拠がない」という。

他の関係者は、パキスタンの表向きの主張を否定し、パキスタン軍や諜報組織の内部が関与していると見る。「指令の出し方やコントロールのされ方、洗練されたIDFを見れば、何らかの組織が関わっていることは確かだ」という。IDFとは迫撃砲や大砲、ロケット攻撃に対する軍事用語である。

攻撃が激化した理由は明らかではないが、パキスタン軍の報復なのか、抵抗運動が大胆になったのか、両方なのか、他の理由があるのかもしれない。。

軍のデータによると、Forward Operating Base Tillman、Combat Outpost Boris、Combat Outpost Margahの3ヵ所が、毎日に2〜4回のロケット弾攻撃を受ける。先週の金曜日の攻撃で、Forward Operating Base Tillmanの建物群が炎上した。

このデータの数字は、パクティカにある米軍基地とCIAが使用しているForward Operating Base Lilleyに対する攻撃に限定される。ただし国境から200ヤードアフガニスタン側に入った地点からロケット弾が発射され、その後攻撃者たちがパキスタン側に逃げ込むという攻撃例は含まれている。

このようないわゆる国境付近の攻撃は、5月以降102回もあった。10月7日の攻撃は、2009年以来最大級の攻撃だった。去年、同じ時期に同じ場所では、13回しか攻撃がなかった。使用されたのは107ミリ砲ロケット弾で、射程距離は5マイルである。1960年代に中国で製造されたものだが、その後いくつかの国で再生産された。これらのロケットがどこ製なのかは、今のところ明らかではない。

(中略)別の関係者によると、砲弾はパキスタン軍や国境警察隊の前哨基地の近くから飛んでくるという。パキスタン軍が発砲を制止する様子はなく、あるいは誰の仕業か突き止めようとする気配もないという。「抵抗勢力は誰かの援助を受けている。パキスタン軍だ」という。

その裏付けを訊ねると、「攻撃を受けているときに、パキスタン軍と接触することは不可能だ。彼らをつかまえることができない。つかまえたとしても、そんなことは知らないとか、見えないとかいう。地形を見れば、信じることはできない」。

その関係者は、たびたび発砲してくる場所を地図で指し示した。そのあとパキスタン軍の位置を指差した。いくつかのパキスタン軍の基地は、抵抗勢力が発砲してくる場所から1マイルも離れていなかった。明らかに見えるところだ。

別の関係者は、これまで犠牲者がいなかったのは、運がよかっただけだという。7月27日のForward Operating Base Tillmanに対する107ミリ砲のロケット弾攻撃では、アフガン人警備員18人が負傷し、そのうち3人が重傷を負った。パキスタン側からの発砲だったという。

(中略)10月3日には、122ミリのロケット弾が前哨基地に撃ち込まれた。これは107ミリ砲よりも射程距離が長いく、米軍の基地に撃ち込まれたことはこれまでなかった。撃ち込んでくるたびに、近づいてきた。ということは基地の近くにいる見張り役と連絡を取り合い、狙いを修正している。

アメリカの対砲撃レーダーから、発射地点はパキスタンの国境警察の基地から100メートルを離れていないことがわかったという。Forward Operating Base Tillmanに住み、米軍とパキスタン軍との間の連絡係をしているパキスタン軍関係者に連絡したところ、不可思議な答えが帰ってきた。「数分後この男が連絡してきて、国境にある基地は現在使用されておらず、誰もいないという。何年もその状態だったらしい」と、ボーンマン大佐が語った。「その通りなのかもしれない。わからない」。

smellTensions Flare as G.I.'s Take Fire Out of Pakistan
C. J. CHIVERSFORWARD OPERATING BASE、SHARANA

■米無人偵察機、エジプト人3人殺害[111016 AP]

金曜日にアメリカの無人偵察機が、ハッカーニ組織と関係するエジプト人3人を殺害した。そのうちの1人は、組織の資金のやりくりを任されていたと、パキスタンの諜報関係者が語った。

3人は、北ワジリスタンのミランシャーの近くを走行していた車に対するミサイル攻撃で殺害した。死亡した4人目の男の身元は明らかではない。

金曜日に殺害されたエジプト人1人は28歳のアブドゥッラーで、パキスタンとアフガニスタンのハッカーニ組織の資金の調達を行なっていた。地元ではナディームと呼ばれていた(後略)。

hoonUS drone strike in Pakistan kills three Egyptians
DERA ISMAIL KHAN

■パキスタンの無人偵察機攻撃で、拘束されているエジプト人宗教者の息子殺害[111015 Reuters]

金曜日にパキスタンにおける無人偵察機の攻撃で殺害された3人のうちの1人は、ニューヨークでテロを計画したとして終身刑を宣告された、盲目のエジプト人宗教指導者の息子だったと、アフガンタリバン司令官が語った。

アメリカの無人偵察機が、シェイク・オマル・アブデル・レーマンの息子のアフマッド・オマル・アブデル・レーマンを殺害した。父親は1995年にアメリカで刑に服している。エジプトで長い間抵抗運動を行なった経歴を持つ。

さらに宗教指導者の孫と別のエジプト人が、北ワジリスタンに対する攻撃で死亡したと、アフガン人タリバン司令官が述べた。

(中略)宗教指導者の息子はパキスタン人タリバンに、イスラマドード政府の転覆を企てるのではなく、アフガニスタンで米軍主導のNATO軍と戦ってアフガン人タリバンに協力するように説得していたという。

アフマッド・オマル・アブデル・レーマン(45歳)は北ワジリスタンに3年前から住んでいた(後略)。

hoonDrone in Pakistan said to kill jailed Egyptian cleric's son
Jibran Ahmad、PESHAWAR

■米は和平に真剣ではない、とハッカーニ[111013 Reuters]

ハッカーニを含めた組織と和平について話し合いたいと言っているアメリカは真剣ではないと、組織の幹部司令官が木曜日に述べた。

クリントンが、ワシントンはハッカーニに対して扉を閉じないと述べたが、ハッカーニはこれをアフガン抵抗勢力を仲違いさせるためと捉え、タリバンの首脳陣が取り引きに応じた場合のみ、自分たちも話し合いに参加すると述べた。

「これまでもアメリカからの申し出を断わったが、今回も拒否する。我々はアフガニスタンの未来について語る権限はない」と、司令官が述べた。

(中略)木曜日にアメリカの無人偵察機が北ワジリスタンでハッカーニの司令官の腹心を殺害したと、諜報関係者が述べた(中略)。

しかしハッカーニの幹部司令官は、ジャリル・ハッカーニは組織とは関係がないと述べた。

「ジャリルはシラージュッディンの信頼を受けた仲間だった」と諜報関係者が述べた。またジャリルは、シラージュッディンの従兄弟だという。

さらに南ワジリスタンでも攻撃があり、ミサイル3発により過激派6人が殺害された。

hoonU.S. not sincere about Afghan peace - Haqqanis
Augustine Anthony、ISLAMABAD

■ハッカーニの司令官、無人偵察機の攻撃で「殺害」[111013 BBC]

ハッカーニ組織の幹部司令官が、北ワジリスタンに対するアメリカの無人偵察機の攻撃で殺害された。

ジャンバーズ・ザルダーンは「ハッカーニ組織がアフガニスタンにいるアメリカや同盟軍を攻撃するために、重要な役割を果たしていた」と、関係者が述べた。

(中略)ジャンバーズ・ザルダーンはジャミールとも呼ばれ、ジャラウッディン・ハッカーニの息子のバドルッディン・ハッカーニの重要な部下である。

ザドラーンは、ミランシャーにいるハッカーニ幹部と接触していた。バドルッディン・ハッカーニ司令官の部下だった。5月にアメリカは、バドルッディン・ハッカーニをテロリストと指命している。

「ミランシャーで彼が死んだことで、パキスタンにいる重要なハッカーニ幹部が1人戦場から消えたことになる」と、関係者が述べた(後略)。

hoonHaqqani commander 'killed' in Pakistan drone strike

■米特使パキスタン訪問、ハッカーニの腹心殺害[111013 Reuters]

木曜日にアメリカの無人偵察機が、北ワジリスタンでハッカーニ組織の司令官を殺害したと、諜報関係者が述べた。

攻撃と同じ時期、米特使のマーク・グロスマンがイスラマバードを訪問して、パキスタンがハッカーニを匿っていると非難したことによって緊迫したアメリカとの関係修復のために、政府幹部と会談した。

ジャリル・ハッカーニ(33)は、ハッカーニの作戦を実行に移すために協力し、組織の活動を統括する。ジャリルは、ダンデ・ダルパ・ヘール村の家屋に対して実施されたアメリカのミサイル攻撃で死亡した過激派4人のなかの1人だった。

「ジャリルはシラージュッディンの信頼された仲間だった。長い間ハッカーニの組織に所属し、連絡係を勤めていた」と、ある諜報関係者が述べた。

(中略)ヒラリー・クリントンは木曜日に、アメリカはハッカーニの組織を含めて、抵抗勢力と和解する準備があると述べた。

(中略)9月にシラージュッディンは『ロイター』に、アフガンタリバンが応じた場合のみ、和解のための話し合いに参加すると述べ、以前と態度を変えている。これまではアメリカやカルザイ政府から和解の申し出があったが、拒否してきた(後略)。

hoonU.S. envoy in Pakistan as suspected drone kills Haqqani aide
Saud Mehsud、DERA ISMAIL KHAN

■タリバン、和平仲介者としてサウジ人を受入れることを示唆[111010 Express Tribune]

TTPの過激派指導者が、もし政府が和平のための取り引きを望むなら、サウジのような国の仲介を求めると、取り引きを行なうことを決めたパキスタン政府に「用心深く」対応した。

先月軍の幹部指導者たちがAll Parties Conference(APC)で、TTPを含む部族地帯の過激派たちと和平協定を結ぶために動き始めることを決めた。

(中略)「様子をみる。我々のシューラは、政府または軍と話し合いをする時期かどうかを決める。しかし信頼できる国々──アラブ世界だが──に仲介してほしい」と、モーラビ・ワリウル・レーマン・マフスードが語った。

「今のところ、直接的な要求はない。申し出があった場合、シューラを開いて話し合う。自分たちのやり方に沿ってやる。重要な決議をするための組織がある」と付け加えたが、組織に誰がいて、誰が主導しているかは明らかにしなかった。

しかしメディアの報道によると、カイバル・パシュドゥンハワのマルダン出身のシェイク・ハリッドが、シューラを率いると言われている。しかし最終決議は、ハキームッラーが行なう。

APCは、対話は政府や軍だけでなく、問題解決のための「国家機関」を立ち上げるという。

(中略)いっぽうTTPとは、取り引きを締結した場合、それを導入する「保証」が欲しいと述べた。過去においてパキスタン政府と過激派組織は、それぞれが協定を破ったとして、お互いを非難してきた。

hoonTaliban hint at accepting Saudis as peace brokers
Zia Khan、ISLAMABAD

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2011.