【2011年11月7日〜11月13日】


■パキスタンのジハード組織スパイを取り締まる時期[111010 Financial Times]

アメリカの特殊部隊がビンラディンの隠れ家を急襲して彼を殺した1週間後の5月9日、あるパキスタン人外交関係者幹部から、電話で重要な依頼を受けた。パキスタンのザルダリ大統領が、ホワイト・ハウスの国家安全保証委員会関係者に、パキスタン軍と諜報組織に、秘密の特別なメッセージを送りたがっているというものだった。ビンラディンが発見されたことで面目を失った文民政府のザルダリ大統領は、軍に政権の座を奪われるのではないかと恐れた。クーデターを押さえ込むために、アメリカの援助がほしい。キアニ将軍は、米特殊部隊がパキスタンの主権を犯したことに困惑している。6年近くもビンラディンを匿ったとして、ISIは国際社会から非難された。軍もISIもスケープゴートを探しいてる。ザルダリがその標的になる可能性が最も高い。

この外交関係者は、ザルダリのメッセージはマイク・ミュレンに伝えたいと明言した。ミュレンはパキスタンの友人であり、このメッセージをオバマ大統領だけでなく、キアニ将軍にも強く伝えることができる。

2日間にわたる電話やメールのやり取りの結果、パキスタンの大統領からオバマに向けたメモが作られた。「新しい国家安全保障チームは、タリバン、ハッカーニなどの組織と関係を持ったことで、ISIのSセクションを排除する。これにより、アフガニスタンとの関係が劇的に変化する」というものである。

このメモは5月10日の午後2時に、ミュレン提督に渡された。翌日ホワイトハウスで、彼とパキスタンの国家安全保証関係者との間で会合が開かれた。パキスタン軍やISI関係者は、警告に耳を貸した様子も、提督のアドバイスに従った風もない。

9月22日に上院議会の会議でミュレン提督は、米軍とNATO軍関係者77人を負傷させた9月11日に起きた爆弾事件と、9月13日におきたカブールの米大使館攻撃は、「ISIの援助」で実施されたという「信憑性のある諜報情報」があると述べた。これは、アメリカに対する極秘戦争を行なっているパキスタンの諜報組織を非難するものだった。ビンラディンの隠れ家を襲撃したことに対する報復、あるいはアフガニスタンで再びタリバンを権力の座につけて、インドに対する「戦略」を確実にするための行動である。

パキスタンにおけるISIの役割に対する疑問は、ここのところ大きくなっている。「S-Wing」と呼ばれるISIの怪しい組織が、いつも取りざたになる。自分たちだけがパキスタンを守ることができると考える、ナショナリストの集団である。

国務省は、「外国政府組織」という名前のもとで、S-Wingをテロリズムのスポンサーと断言する時期がきた。ハッカーニ組織をブラックリストに入れるというオバマ政権の計画は無意味で、そのようなことで軍やISIが組織を援助するのを中止させることはできない。これらはS-Wingのしていることで、彼らをを阻止しなければいけない。S-Wingが行なう攻撃にISIが目をつむっているのか、共犯なのか、無能なのか、いずれにしても、S-Wingを阻止する必要がある。

ISIは、パキスタンの外交の要である過激主義の温床である。アメリカは今こそ、グローバルな反テロリズムに打撃をあたえるような一機関を保持するパキスタンに対する経済的、資金的な協力を断ち切るために、率先して行動するべきだ(後略)。

smellTime to take on Pakistan's jihadist spies
Mansoor Ijaz


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