【2011年11月14日〜11月20日】


■パキスタンのメモで、ザルダリ窮地に[111118 Financial Times]

パキスタンのザルダリ大統領は、アメリカと取り引きをして、パキスタンの強力な軍をコントロールするために協力を仰いだ疑いがかけられ、野党から圧力を受けている。

ザルダリは、ビンラディンを殺害した急襲の直後に、駐ワシントン大使を通してアメリカ政府幹部と接触して、クーデターが起きないように協力を仰いだという疑いがかけられている。

パキスタン系の米国人ビジネスマンであるマンスール・イジャーズが10月10に『フィナンシャル・タイムズ』に投稿した記事により、疑惑が浮上した。パキスタン政府はイジャーズの主張を「空想」と一喝し、当初はパキスタンのメディアでも問題視されなかった。

しかし今週になって、アメリカの元陸軍統合参謀長だったマイク・ミュレン提督が、信憑性がないと捉えたというものの、イジャーズが説明したようなメモを受け取ったことを認めたために、再び問題が湧き起こった。

パキスタンでは新たな政治問題となり、メモがどのように作られ、誰が責任をとり、何が目的だったかが問題となっている。

(中略)ベンチャービジネス仕掛人であるイジャーズ氏が『フィナンシャル・タイムズ』に、ビンラディンが殺害された1週間後に、ミュレン提督にメモを渡す仲介役を果たしたと書いた。パキスタン陸軍参謀長であるキアニ将軍が、クーデターを起こさないように「アメリカの拳」が必要だと書いたという。

イジャーズによると、アメリカの協力と引き換えに、パキスタンの諜報組織がアフガニスタンのNATO軍と戦う過激派たちに協力することをやめさせると申し出たという。そのためにザルダリは、重要な地位につく将軍たちを更迭し、文民政府主導の国家安全チームを導入するという。

木曜日にイジャーズは『フィナンシャル・タイムズ』に、駐アメリカパキスタン大使のフセイン・ハッカーニから、メッセージを受け取ったと述べた。

「10年前から知っていたフセイン・ハッカーニが、ミュレン提督に個人的にメッセージを手渡してほしいと頼んできた」という。5月に受けた電話やメールのやりとりの詳細も明らかにし、メモの草稿を作って「ボスの承認」を待ったという。「ボスとは、ザルダリのことだ」とイジャーズが述べた。

ハッカーニは、これを否定している。しかしイスラマバードに召喚され、事情の説明を求められた。木曜日に『フィナンシャル・タイムズ』に、論争を解決するためであれば辞職する準備があると述べ、イジャーズを非難した。

「投書で問題を起こしたビジネスマンをとりまくメディアの策略は、パキスタンの民主主義に反対する人間により拍車がかけられ、文民政府と軍指導者との間の亀裂を大きくしようとしている」とハッカーニが語った。「投書でこの論争を始めた人間は、自分のエゴをパキスタンよりも大事と考えている。私は違う」。

パキスタン政府関係者は木曜日に、ハッカーニの辞表が受理されたかどうか明らかにせず、彼はまだワシントンにいる。

(中略)問題はミュレン提督が水曜日に、メモを受け取ったことを覚えていないという以前の主張を覆し、メモが事務所に送られたことを認めたために再燃した。ミュレン提督は報道官をとおして、メモの内容に信憑性がないと思ったと述べた。

smellPakistan memo puts pressure on Zardari
Matthew Green、Islamabad and Geoff Dyer、Washington

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2011.