【2011年12月5日〜12月11日】


■タリバン副指導者のムハンマド、和平の話し合いを認める[111210 BBC]

パキスタン人タリバンは政府と和平の話し合いを行なっていると、組織の副司令官が述べた。モーラビ・ファキール・ムハンマドが、焦点はバジョールで、成功すれば他の地域でも話し合いが行なわれるという。

信頼の証として、タリバンの囚人145人が釈放され、政府は停戦を求めているという。取り引きが行なわれていることをタリバン幹部が認めたのは、初めてのことである。政府はコメントしていない。ムハンマドの話として、「話し合いは良い方向に向かっている」と、『ロイター』通信が報道した。

イスラマバードにいる『BBC』のオルラ・グーリンによると、過去に行なわれた取り引きでは、過激派が再結成する時間を与える結果に終わっていると述べた。

パキスタン人タリバンすべての派閥が、この取り引きに従うかどうかは不明だという(後略)。

hoonPakistan Taliban's deputy Mohammad admits peace talks

■パキスタン人タリバン、イスラマバードとの取り引きを認める[111210 Reuters]

パキスタン政府と4年間にわたって戦いを続けてきたパキスタン人タリバンの副司令官が、両者の間で和平の話し合いが進んでいることを認めた。

「我々の話し合いは良い方向に向かっている」と、バジョールのパキスタン人タリバン司令官で、組織のナンバー2のモーラヴィ・ファキール・ムハンマドが語った。

「もし話し合いが成功すれば、バジョールで和平協定を結ぶことができる。そうすればスワート、モーマンド、オラクザイ、南ワジリスタンのタリバンも、政府と協定を結ぶだろう。バジョールが、他の地域のためのモデルになる」。

(中略)ムハンマドによると、政府はパキスタンの戦いには軍事的な解決策はないことに気づいたという。「我々は自国の武装軍と戦ったり、母国を破壊するつもりはない」。「和平の話し合いは進展したが、政府はもっと柔軟な姿勢を見せるべきだ。囚人を釈放することで信頼を確立し、軍事作戦を中止するべきだ」。

ムハンマドによると、パキスタンは信頼の証として組織の人間145人を釈放し、過激派は停戦を約束した。パキスタンとアフガニスタンは、非ムスリムによる外国の占領者と戦うために、団結しなければいけないと付け加えた(後略)。

hoonPakistani Taliban confirm peace talks with Islamabad
Jibran Ahmad、PESHAWAR

■「メモ」に関するインサイダーの分析[111205 Newsweek]

「あなたのFTの記事は災難だ」と、10月10日のブラックベリーのメッセージが届いた。送り主は、当時まだパキスタンの駐ワシントン大使だったフセイン・ハッカーニである。その日の午後に『フィナンシャル・タイムズ』は、私のコラムを掲載していた。ハッカーニが私に、メモをマイク・ミュレン提督に渡すことに協力してほしいと頼んだという記事である。

(中略)私はこれまで外交の裏の取り引きに関わってきた。特にカシミール問題に関してインドとパキスタン政府の間をとりもち、核の拡散問題にもかかわってきた。しかし今回は、なぜハッカーニが私に接近したかを考えることが重要だ。最初に他の人に頼み、断わられたのかもしれない。あるいはクーデターが起こる可能性があるという疑惑は作り事で、大使が行動するために必要なわずかな時間の間に、この仮説を検証することができない人間を選ぶことが必要だったのかもしれない。私が確信していることは、ハッカーニにとって私は、もっとも悪い条件の取り引き相手だっだということだ。反体制的な見解のため、イスラマバードの権力者は私をきらているためだ。またハッカーニは、私が迅速かつ極秘に、メッセージをミュレンに渡せるルートを持っていることも知っていた(中略)。

ハッカーニは、外務省と大統領本部が事実を否定するように画策した。それでもだめなら、アメリカにも否定するように手を回した。「あなたの側はこれを否定しないつもりか」と、11月1日の10時38分にブラックベリーで連絡してきた。ミュレン提督の報道官が、後には覆される混乱した否定声明を出す1週間前のことだ。10時39分に、「関係者がそれを否定することは当然の成り行きではないか」と、彼自身が策略したことを認めている。

イスラマバードではザルダリに、メモに関する問題はすべて掌握し、数日の間には話題は消えるだろうと語った。

ミュレンが事実を否定する数日前に、ハッカーニはブラックベリーを3度も変えている。PINを変えることで、私との会話を消去できると思ったのだろう。しかしこれは私のブラックベリーに、そのまま残っている(中略)。

ハッカーニは私に、メモの内容は「ボスの承認を得ている」と電話で語った(中略)。

私の考えだと、ザルダリが計画を考え出し、ハッカーニにこれを実行させる権限を与えた。そして5月12日に依頼を遂行した証拠を持って彼がイスラマバードに戻ると、肩を叩いてやった。

ハッカーニは今、なんとかザルダリから世間の関心を反らそうとしている。しかしなぜ彼は以前「ミスター10%」と呼んでいた人間の味方をしているか。私の意見では、ザルダリとハッカーニは2人とも、アメリカがパキスタンの主権を犯して、ビンラディンを排除するための極秘作戦を実行することを知っていた。CIAが作戦を実行することに、同意していた可能性さえある。陸軍参謀長のキアニ将軍とISI長官のパシャ将軍の辞任を促すために、パキスタン民衆の声を利用しようと計画した。

失敗すれば、主権を犯したことで一般民衆のアメリカに対する憎しみが強まり、ザルダリもこれに便乗してワシントンを攻撃する。計画通りいけば、ザルダリ一行の文民政府は陸軍を統率できる。ザルダリはキアニやパシャを一掃できる。そしてハッカーニがこれまで苦労して実現させようとしてきた、アメリカの援助資金を得ることができる。

(中略)しかし、ハッカーニは過ちを犯した。私を計画に引き込んだことだ。私は瀬戸際政策や、パキスタン軍やISIがパキスタンの歴史を通して担ってきた役割を毛嫌いしている。諜報組織がはびこる場所で、民主主義は存在し得ない。しかしもっと嫌いなのが、封建的な市民の陰謀だ。権力を傘に、重要な治安問題に関して大きな陰謀を計画するためだけに、民主主義を装う(中略)。

パキスタンの軍隊関係者は、まだ文民政府が権力を持つ事を許さないだろう。しかし今、何かが変わり始めている。ある日これらの文民組織は、パキスタンにとって最も大事なものを守ることができるだけ、強くなるだろう。カシミールやアフガニスタンでも核爆弾でもなく、教育や通商、繁栄を探し求めている国家に対するエネルギーの供給である。

smellAn Insider Analysis of Pakistan's 'Memogate'
Mansoor Ijaz

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2011.