【2011年12月12日〜12月18日】
●パキスタンの陸軍が政府と離反し、「メモ」スキャンダルに対する最高裁判所の審問を支持しているために、ザルダリは窮地に陥っている。
●駐米元大使のフセイン・ハッカーニはすでに辞職しているが、無実を主張。今後さらに波紋が広がりそうだ。
●(中略)最近大統領がイスラマバードを留守にしたために、何が起きているのか注目が集った。政治オブザーバーたちは先週、ザルダリが治療を受けるためにドバイに行ったというニュースが発表されると、色めき立った。
●ザルダリは国外の安全な場所から、ことの成り行きを見守っているという憶測が飛んだ。判決が出るまで裁判所から国外に出ることを禁じられているハッカーニ氏のように、泥沼にはまりたくないというのだ。
●パキスタン陸軍のキアニ将軍は、メモの存在をミュレン提督とジェームズ・ジョーンズ将軍が認めていると発言している。ということは、誰がこれを書いたか。
●ザルダリ大統領もハッカーニも、2人とも関与を否定。ハッカーニに対する疑惑は、アメリカを拠点とするロビイストのマンスール・イジャーズから始まった。イジャーズがどのような役割を負ったかは、まだまだわからないことが多すぎる。イジャーズとハッカーニの関係は深いが、今はダブル・ゲームを行なっているのか。誰が得をするのか。米国人か、パキスタン軍か?
●キアニ将軍は裁判所での意見陳述で名前を挙げることを拒否しているが、軍に対する陰謀という立場を明らかにしている。パキスタン軍はこれまで、政治に介入する権利を主張してきた。軍は今後も介入し続けるだろう。
●軍はすでに独自に調査を勧め、メモに関して何らかの結論に至っていると見る向きが大きい。しかし問題は司法に持ち込まれたために、軍は、メモに関与した責任者の名前が法の前で明らかになることを待っているのかもしれない。自分たちが、文民政府に打撃を与えたという印象を与えないようにしている。
●今回の陰謀は、ザルダリ政府を解散されるために、軍自身が企てたと見る者たちが多い。パキスタンの政治で確かなものはない。ただし「陰謀説」も同様だ。
●ザルダリ大統領は、忠実に軍に従っていると見る者もいる。ザルダリが第2期目を勝ち取る可能性があるという噂さえ、出回っている。しかし今回の「メモ事件」は、軍と文民リーダーとの亀裂を明らかにした。
●2008年に政権の座についたとき、ザルダリはISIを内務省管轄下に入れようとしたが、軍の圧力により、数時間後にはこれを撤回した。
●軍の間では評判が悪いフセイン・ハッカーニをアメリカ大使にしたときには、治安関係者の間で波紋が起きた。今回の「メモ」は、本物であろうと偽物であろうと、彼の喉を締めた。
●最高裁判所でキアニが陳述したことから、首相に、そして後には大統領にハッカーニを召喚するように申し出たのが彼であることが明らかになる。政治的指導者たちに行動させたのは、やはり軍だった。しかし本当の質問は、これでこのドラマは終結するだろうか、ということだ。
●ザルダリは、たとえ無実であっても、賭けはしたくない。イスラマバードで彼が安全でいられるかが問題になり、病気を理由に治療に行くことがいいとなったのかもしれない。
●金曜日に『Dawn』紙が、帰国して「人々を安心させ、渦巻く疑惑を解決するべきだ」と書いた(中略)。
●悪政や汚職疑惑などが続く3年、ザルダリ大統領とその政府が任期を満了することを誰も望んでいない。軍のクーデターの恐れはなくなったと、アナリストは語る。しかし政府のいばらの道は、さらに厳しくなった。
Pakistan's 'memogate' bodes ill for Zardari