【2012年1月2日〜1月8日】


■パキスタン人過激派、治安関係者15人を殺害[120105 AP]

パキスタン人過激派が木曜日に、先月アフガン国境近くで拉致した治安関係者15人を殺害し、すべての組織が和平のための政府との話し合いに賛同しているわけではないことが明らかになった。

身ぐるみ剥がされた男たちの遺体が北ワジリスタンのシワ町に放置されていたと、地元の住民が語った。諜報関係者も、男たちが殺害されたことを認めた。

パキスタン人タリバンが声明を出し、殺害は1月1日に軍が実施した作戦で、重要な司令官1人を含む過激派数人を殺害したことの報復だという。軍は女性1人を殺害し、逮捕された者もいたという。「イスラームと部族の伝統において禁じられた、違法行為である」という。

殺害されたのは、国境地帯で活動する準軍隊の国境警察隊員である。抵抗勢力たちに12月22日に、国境近くの治安部隊基地から拉致された(後略)。

hoonPakistani militants kill 15 security officers
ISHTIAQ MAHSUD、DERA ISMAIL KHAN

■米と話し合うためにカタール支部を設置とタリバン[120103 Washington Post]

タリバンが火曜日に、米国と話し合うためにカタールに「政治部門」を設置することに同意したと表明した。

タリバンは声明のなかで、自分たちと米国が「主役の2国」であり、アフガニスタンの問題解決を模索するという。欧米の「操り人間」であるアフガン政府に関しては触れず、カルザイ政権が話し合いに参加するかどうかも明らかにしなかった。

カタールのドーハで話し合うことで「国際社会との協調」をはかるという。ただし米国は「自分たちの目的を果たすことは決してないだろう」と警告した。

(中略)アフガニスタン政府の高等平和議会は、ドーハ支部に関しては間接的な報告しか入っていないと述べた。アフガン専門家や欧米の外交関係者は、パキスタンが国内でタリバン幹部を匿うのを止めないかぎり、タリバンとの和平交渉は成功しないと懐疑的だった。

「パキスタンの協力なしには、何も成し遂げられない」と、平和議会のモルウィ・アルサッラー・ラハマニが語った。「米国人たちはこれらの話し合いを行なうために、すでにパキスタンと合意に達した可能性もある」という。

(中略)ラハマニによると、ドーハ支部にはオマール師の腹心だったタヤーブ・アガと、タリバン政府時代に国防大臣だったオバイドゥッラー・アフンドが就く可能性がある。アガは以前に、米政府関係者との話し合いに参加している。

ラハマニによると、アガとアフンドの他にタリバン3人が、最近になって家族とともにカタールに移った。「これらの人間は、戦いには参加していない」という。また話し合いが行なわれた場合は、まず2009年にアフガニスタンで拉致された米兵のボー・バーグダールとグアンタナモの囚人を交換する取り引きが行なわれる可能性がある。

さらにアフガンのアナリストたちは、タリバンは国連のテロ制裁リストから、自分たちの指導者をはずすことを求めてくると見ている(後略)。

hoonTaliban says it will open Qatar office for talks with U.S.
Ernesto Londoo、KABUL

■タリバン、公式な話し合いを進めるためにカタールに支部設置へ[120103 New York Times]

アフガニスタンの米主導同盟軍との公式の話し合いの準備を進めるための初めての兆しとして、タリバンは火曜日にカタールに政治部門を設置して、アフガン戦争終結に向けて直接話し合うことを表明した。

(中略)しかしタリバンが平和に向けての問題解決に前向きなのか、あるいは2014年に予定されているアフガニスタンにおけるNATO軍の活動を確実に終了させることを約束させて再び権力の座につこうとするものなのかは、明らかではない。

タリバン報道官のザビウッラー・ムジャーヒッドが、カタールに支部を設置するための取り引きを認めるとともに、グアンタナモに収監されているタリバンの囚人の釈放を求めたという。ムジャーヒッドは、いつカタールの支部が開設されるかや、釈放を要求しているタリバンの名前は明らかにしなかった。

「現在我々は国内で権力をふるっているだけでなく、国外にも政治部門を開設し、他国との協調をはかる準備をしている」という声明が発表された。「カタールやそれと関連する国々と同意する一歩」だという。

これまで米関係者はタリバンとの話し合いを数ヵ月にわたって続けてきたが、常に暗礁に乗り上げてきた。もっとも屈辱的だったのは2010年11月に、タリバン代表と名乗る偽物に、数千ドルを持ち逃げされたことだ。また9月には、タリバンの仲介者と名乗る人間が、ターバンにしかけた爆弾を爆発させて、ブルハヌッディン・ラッバーニを殺害した。

カタールに支部を開設することで、アフガンや欧米の平和委員が公式にタリバン代表と話し合うことが可能になる。ワシントンは、このことでなんとか信頼を築ことしている。またアルカイダと関係のある「重要」な囚人多数をグアンタナモ収容所からアフガン政府に引き渡すことになる。囚人たちは、後に釈放される可能性がある。

米関係者は、アフガン政府が要求する囚人だけを引き渡す予定だという。現在名前が挙がっているのは、元タリバン国防大臣のムハンマド・ファズル、元ヘラート知事のハイルッラー・ハイルハワと元バルフ知事のヌールッラー・ヌーリ、元タリバン諜報局幹部のアブドゥル・ハック・ワシク、財務省幹部のムハンマド・ナビである。ファズルは、アフガニスタンの少数派であるシーア派ムスリム数千人を殺害したとされる。

米関係者によると、現在考慮中の別の考えは、アフガニスタンに停戦ゾーンを作ることである。ただしその全貌は明らかではない(後略)。

hoonTaliban to Open Qatar Office in Step to Formal Talks
MATTHEW ROSENBERG、KABUL

■タリバン年開始[120103 Asia Times]

(前略)新年は、ワシントンの米政府幹部が、オバマ政権はこれまで9年間グアンタナモ収容所に入れられていたタリバン幹部のムハンマド・ファズル師をアフガン政府に引き渡すとリークしたことで始まった。

関係者は、アメリカがタリバンと話し合うことに真剣であることを示すための「信頼の証」としてファズルを釈放(またはカタールに移送)してほしいという、カブールの要求に答えたものだと語った。

(中略)ファズル師はオマール師とISIのお気に入りで、彼の釈放は両者にとって多いに歓迎されることだ。彼は1998〜2001年の間にシーア派ハザラ族数千人を虐殺した責任がある。またマザーリャリーフで、イラン人外交官8人を処刑した可能性もある(後略)。

hoonEnter the year of the Taliban
M K Bhadrakumar

■アルカイダ、パキスタンとアフガニスタンで新たな反米タリバン協力を仲介[120103 Longwar Journal]

アルカイダ幹部が、アフガニスタンとパキスタンの国境沿いの強力なタリバン司令官たちと接触し、アフガニスタンの米軍・NATO軍と戦うための新たな協力態勢を取ろうとしている。

「シュライ・ムラケバ」と呼ばれる新たな協力態勢は、パキスタンの部族地帯で活動する4つのタリバン組織からなる。この4つのグループは、パキスタンのタリバン運動を主導するハキームッラー・マフスードとその腹心のワリウル・レーマン・マフスード、ハーフィズ・グル・バハドゥールのグループ、ナジール師のグループ、ハッカーニ組織である。各指導者はそれぞれの代表を任命し、会議に出席させる。

シュライ・ムラカバはパキスタンの治安部隊に対する攻撃を中止することを決め、米国に対する戦いに焦点をあて、部族地域における拉致や犯罪行為を止めることに同意した。

この取り引きはアルカイダ指導者のアブ・ヤハヤ・アル・リビとハッカーニ組織のシラージュッディン・ハッカーニ、アフガニスタン東部で活動するタリバン幹部指導者のマンスール師が仲介した。アブドゥル・レーマン・アル・サウジというアルカイダ指導者も、話し合いに関与した。話し合いをまとめるために、オマール師がシラージュとマンスールを送り込んだ。

話し合いは2ヵ月にわたって行なわれた。最初の話し合いは11月27日にナジール師の指揮のもとで、南ワジリスタンで開催された。12月11日に北ワジリスタンのダッタ・ヘールで別の話し合いが開催された。先週末、シュライ・ムラケバ結成を表明するパンフレットが、北ワジリスタンで配布された。

(中略)アル・リビと多数のタリバン組織幹部との間の話し合いは、米国がモーマンドでパキスタン兵24人を殺害したあと無人偵察機の攻撃が中止されたあとに実現した。米国は11月16日以来、無人偵察機の攻撃を行なっていない。

米諜報関係者によると、タリバンとアルカイダは攻撃される恐れがなくなったために、移動して会合を開くことができたと語った。「アティヤ・アル・リビが数ヵ月前に部族地帯で無人偵察機に殺害されてから、アルカイダ指導者たちは殺害されないという確信がない限り、ワジリスタンに行かなかった」。「アブ・ヤハヤは、アメリカが無人偵察機計画を中止したために、自由に動けると思った」。

新たな同盟は、パキスタン政府がパキスタンのタリバン運動の一員と和平協定を締結しようとしている間に浮上した。政府はワリウル・レーマン・マフスードとバジョールのタリバン指導者であるファキール・ムハンマドが政府との話し合いを勧め、和平協定を結ぶ間近まできている。パキスタン政府は、タリバンがアフガニスタンで攻撃を行なうことを禁じてはいない。

hoonAl Qaeda brokers new anti-US Taliban alliance in Pakistan and Afghanistan
Bill Roggio

■タリバン組織、米軍と戦うために再結成[120103 Dawn]

アフガニスタンイスラーム首長国(アフガニスタンの陰のタリバン政府)との話し合いの結果、すべてのジハード組織がそれぞれの違いを乗り越えて、アフガニスタンにいる欧米軍との戦いに協力するために、委員会の設置を決めた。

月曜日にある場所で開催されたタリバン・シューラで、決議された。会合終了後、ワジリスタンのメディアにパンフレットが配布された。「すべてのジハード軍がアフガニスタンイスラーム首長国との合意の結果、シューラ・ムラバと名付けられた5人からなる委員会を結成したことがムジャヒディンたち──地元と外国人の──に告知された」という。

委員会はモーラビ・アズマットゥッラー、モーラビ・ヌール・サイード、モーラビ・サイードゥッラー、モーラビ・サダール・ハヤート、ハーフィズ・アミール・ハムザからなる。

情報源によると、バルワンのタリバン司令官であるアズマットゥッラーがワリウル・レーマンの組織を代表し、同じくバルワンのタリバン司令官のヌール・サイードがハキームッラー・マフスードを、アフガニスタンのサイードウッラーがハッカーニを、北ワジリスタンのサダール・ハヤートがモーラビ・グル・バハダール組織を、アフマドザイ・ワジール族のアミール・ハムザが南ワジリスタンのワナのナジール師の組織を代表する。

TTP報道官のイーサヌッラー・イーサンが、オマール師の指示で12月31日に委員会が開かれたことを認めた。

情報源によると、委員会はさまざまな過激派組織の違いを乗り越えて再結成し、スパイ容疑者の殺害を調査し、地元の人間に対するタリバンの行き過ぎな行為を見直すという。

「すべてのムジャヒディンは、地元民も外国人も、身代金目当てに無実な人間を殺害したり拉致してはならず、犯罪摘発に関して委員会に協力する。ムジャヒディンが殺人や犯罪などの不法行為を行なったものは、シュライ・ムラバーで喚問され、シャリア法のもとで裁かれる」という。

情報源によると、パキスタンとアフガンタリバンの首脳部は、2ヵ月間かけてさまざまな組織の統合に励んだという。最初の会合はワナの近くのアザム・ワルサックで、11月27日に開催された。

これに参加したのは、ワリウル・レーマン・マフスード、ハキームッラー・マフスード、ナジール師、アルカイダのアブ・ヤハヤ・アル・リビとアブドゥル・レーマン・アル・サウジ、ハッカーニ組織のシラージュッディン・ハッカーニである。

2度目の会合は12月11日に、北ワジリスタンのザッタヘールで開催された。これに参加したのは、アフガニスタンのサビウッラー・ムジャーヒッド、モーラビ・サンギーン、モーラビ・アシュファク、アルカイダのヤハヤ・アル・リビとアブドゥル・レーマン・アル・サウジ、北ワジリスタンのハーフィズ・グル・バハドゥールとモーラビ・サディーク・ヌール、南ワジリスタンのハキームッラー・マフスード、ワリウル・レーマン、ナジール師である。

TTP報道官が電話で語ったところによると、ムジャヒディン組織はオマール師に忠誠を近い、彼をアフガニスタンの指導者として認めたという。TTPは3月にアフガニスタンに戦闘員を送り、「米主導の異教徒軍」とジハードを行なう。タリバンはパキスタンの治安軍と戦わないというメディアの報道を否定し、「誤った、不正確な報道」と述べた。会合では、過激派は米国人とアフガニスタンとともに、パキスタンにいる仲間を攻撃することを決めたという。

イーサンウッラーによると、タリバンは、カイバル行政区で実施されている作戦で治安部隊が行なった、部族地帯の女性や男性に対する侮辱行為に報復するという。

ナジール師が政府との取り引きで、ワナからウズベクやマフスードの過激派を追い出した際に生じた亀裂が思い出される。このときグル・バハドゥールとモーラビ・サディークは、南北ワジリスタンからムジャヒディンを移動させることに反対しなかった。

アルカイダ司令官のアブ・ヤハヤ・アル・リビがパキスタン人戦闘員に、「神の御前において仲違いを止めて、戦闘員はアフガニスタンにおける米国との戦いに送り込んでほしい」と語ったという。

hoonTaliban factions regroup to fight US forces
Sailab Mehsud

■パキスタン・米関係に「自由行動」なし[120103 AP]

これまでの一連の米国とパキスタンの外交問題から、両国の関係を見直す動きが見られ、両国が同じゴールを持つことが難しくなりはじめた。

パキスタンにとっては、ワシントンとの協力に一線を引き、これまで頼ってきた米国の援助を断わることを意味する。援助を盾に、米国に振り回されてきたからである。

(中略)パキスタンはすでに米国に、9.11以後テロリストと戦うための資金としてワシントンが支給を決めた同盟国サポート資金を請求していない。

「今後は正式な、ビジネスライクの関係を築きたい。一線を引く。これまでのような自由行動や、ルールを勝手に解釈するようなことはさせない。限定された、形式的なものにしたい」と、アサール・アッバス軍報道官が述べた。

パキスタンは国内の米軍関係者を削減させ、米国との軍事交換を限定し、中国のような隣国との関係を強化するという。

NATO軍の攻撃でパキスタン軍兵士24人が死亡したあと、パキスタンはアフガニスタンへのNATO軍の補給路を遮断し、国内にある、パキスタンの部族地帯に対する攻撃を行なってきた無人偵察機の航空基地からの撤退を求めた。アメリカとパキスタンの関係者は、さらにさまざまな弊害が生じてくる可能性を指摘する。パキスタン経由でアフガニスタンに入るNATO軍の補給物資に対する税の課税や、パキスタンの上空圏使用料も請求される可能性がある。

またしばらくの間、パキスタンに重要人物を派遣しないように、アメリカに要求した(後略)。

hoonNo more‘free run’in Pakistan-US ties
RAWALPINDI

■衝突が続き、過激派9人死亡[120103 Dawn]

オラクザイで治安部隊の攻撃があり、過激派9人を殺害、抵抗勢力の隠れ家4ヵ所が破壊された。

アッパー・オラクザイとセントラル・オラクザイで、治安部隊と過激派の衝突が続いている。

アッパー・オラクザイのマモザイ地域では、過激派4人が殺害され、隠れ家2ヵ所が破壊された。

さらにセントラル・オラクザイのアリ・シェルザイ地域では、過激派5人が殺害され、隠れ家2ヵ所が破壊された。

hoonNine militants killed as clashes continue in Orakzai
KARACHI

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2012.