【2012年1月30日〜2月5日】


■ギラニ、アフガン和平会談のためにカタール訪問予定[120204 AP]

ギラニ首相は来週カタールを訪問し、アフガンタリバンとの和平の話し合いに関してパキスタンの立場を説明する予定だと、政府報道官が発表した。

(中略)「首相はカタールの指導者たちと、カタールにタリバンが政治支部を設置することに関する問題を話し合う」と、アブドゥル・バシット報道官が述べた。「この問題に関するパキスタンの見解を明らかにする」という(後略)。

hoonPM Gilani to visit Qatar to talk Afghan peace
ISLAMABAD

■アメリカとヒズビ・イスラミの氷が解氷[120201 Dawn]

最近アメリカとヒズビ・イスラミとの間で準備段階の話し合いが行なわれたことから、両者の間の氷が解氷していることを示し、今後さらに有意義な話し合いが行なわれる可能性があると、ヘクマチアルの政治アドバイザーのガイラート・バヒールが火曜日に語った。

「まだ前向きな反応はないが、アメリカとの有意義な対話を期待している」と、記者会見で語った。

今回の記者会見は元ジャマティ・イスラミ会長のカジ・フセイン・アフマッドが率いるシンクタンク「Centre for Discussions and Solution」が組織した。

イスラーム神学者協会会長のファズル・レーマン、アワミ・ナショナル等の州議長の国会議員アフラシアブ・ハタック、カジ・フセイン・アフマッド、アフガニスタンとパキスタンの元諜報関係者や知識人やジャーナリストたちが参加した(後略)。

hoonIce breaks between US, Hizb-i-Islami
Zulfiqar Ali

■メモ事件が不発に終ったわけ[120201 Dawn]

元大使のフセイン・ハッカーニがワシントンに発った今、なぜ「メモ事件」が不発弾になったかという疑問がおこる。

答えは複雑だ。結局文民政府と軍の古典的な対立といえるが、今回の結末はこれまでとは少し違う。

(中略)このメモ事件が発覚したあと、結局背後で何が起きたのかは明らかではない。20日前に突然ザルダリとキアニとの間で会談があり、最高裁判所がハッカーニに対する渡航規制を解除し、同日彼は国外に出た。

結局、軍司令官と文民指導者との間の「友人たち」が、両者の間を取り持ったのであろう。

「早期選挙」が取り引きの内容だったとする者もいる。しかしその内容を知るものは、当事者しかない。

軍関係者は、軍司令官が引いたのは、分裂により国家が弱体化することを恐れたからだという。ハッカーニ側は、調査が進むにつれ、ブラックベリーのメッセージは法的な効力を持たず、実際にはイジャーズが偽造していたことがわかったからだという。

ことの成り行きを順に追ってみよう。

1月11日まで、文民政府と軍の対立は緊張していた。元国防省長官のナイーム・ハリッド・ロティが更迭され、軍が首相に、ロディがキアニとパシャ将軍に重大な反逆を企てていた疑いがあると警告したことが、中国紙のインタビューで明らかにされた。

同じ時期、軍や「外国人の友人」と関係が深いある政治指導者たちが、両者の間を仲介しているという報告された。

さらにハッカーニの妻のファラーナズ・イスパハニはアメリカの政界に働きかけ、何とか夫をパキスタンから脱出させるように懇願していた。米国防省報道官のビクトリア・ヌランドが、アメリカが事の展開を注視していると発言し、元大使の妻と連絡をとりあっているとも述べた。

そしてその数日後、ある軍の情報源が、メモ問題に関する非公式の取り引きが交わされ、ISI長官がこの問題に対して詳しい調査を要求していたにもかかわらず、ハッカーニが辞任した今、これ以上追求しないことになったと述べた。

ギラニ首相は1月14日に軍司令官たちと会い、軍が国家に対して払っている犠牲を称え、オリーブの枝を差し出した。

国防アナリストたちは、軍は、メモ問題が国家安全問題に発展してあまりにも政治化したために、軌道修正を行なったという。

(中略)問題の中心人物であるマンスール・イジャーズは、1月16日に予定されていたパキスタン行きをキャンセルした。この日に出廷して、証言することを自分から申し出ていた。彼の弁護士は、イジャーズは1月24日に出廷すると言っていた。

その間イジャーズは米国防省とコンタクトをとり、パキスタンに行くことを後押しされたと述べている。しかしイスラマバードの米大使館は、彼の主張は嘘だと述べ、彼の身の保証はしていないという。

窮地に追いやられ、イジャーズの弁護士はキアニにSOSを出し、パキスタン訪問の際の安全を保証してほしいと依頼したが、何の反応もなかったために渡航計画をキャンセルし、代わりに自分の証言をとるために、海外に来るように要求した。

最高裁判者がハッカーニの渡航規制を取り下げ、彼はすでに国外に出たために、この問題はこれ以上進展しないだろう。

smellHow memo case turned into a damp squib
Baqir Sajjad Syed

■パキスタン、アフガンタリバンを援助とNATOの報告[120131 BBC]

NATOの報告書によると、アフガニスタンのタリバンは、パキスタンの治安組織の援助を直接受けているという。

数千件を対象とする調査の結果から、タリバンはアフガン国民の広範囲から支持されているという。またパキスタンは、タリバン指導者の居場所も知っていると主張する。

(中略)カブールにいる『BBC』の特派員によると、タリバンの現状を明らかにするこの報告書には、パキスタンのISIとタリバンとの関係も明らかにしている。逮捕されたタリバンやアルカイダを始め、外国人戦闘員や一般市民4000人以上からの、2万7000件の取り調べの結果だという。

報告書によると「パキスタンが、タリバン幹部指導者に対する協力を継続していることは明らか」だという。パキスタンはタリバン指導者の居場所も知っている(中略)。

さらにアフガン国民が、タリバンをいまだに支持している様子も明らかにしている。アルカイダの影響は消えつつあるが、タリバンの影響は拡大しているという。

結論として、最近では一般市民だけでなく、アフガン政府さえもがタリバンの動機に賛同するものさえ出てきたという。「アフガン国民は、汚職にまみれたアフガン政府よりも、アフガンタリバン支配を好む傾向にある」という。

タリバンは、地域を選んで意図的に攻撃を控えることで、NATO軍の撤退を早めようとしている気配があり、その後人々の心を勝ち取るという作戦を行なっているようだ。

ISAFが撤退した地域ではタリバンの影響力が拡大し、政府の治安部隊からの反撃はほとんどない。またアフガン警察や軍の協力も得ているという。本来、外国軍が撤退すれば、アフガン治安部隊が地域をコントロールすることになっている。

しかし報告によると、パキスタンのバザールでは、アフガン治安部隊がライフルやピストル、銃武器を売っている。

garrPakistan is helping Afghan Taliban, says Nato report

■アフガン政府、タリバンとの独自の話し合いを考慮中[120130 New York Times]

米国とタリバンとの和平にむけての話し合いから除外されたと感じているアフガン政府が、サウジアラビアで抵抗勢力組織と直接話し合いを進めようとしていることがわかった。

カタールで進めようとしている米国とタリバンの話し合いとは、別のものとなる。同時に二つの話し合いを行なうことで良い結果がでるかどうかは、明らかではない(中略)。

「正確なタイミングはわからないが、政府内部やタリバンとともに、このようなことを話し合っている」と、カブールのアフガン政府関係者が語った。

サウジアラビアのアフガニスタン大使サイード・アフマッド・オマルヘールは「サウジ政府は、タリバンとの問題を解決するために協力しようとしている」と語った。オマルヘールによると、アフガニスタンはリヤドでタリバン関係者と話し合う準備をしていたという。しかし、この話し合いを行なう日取りは、まだ明らかにされていないと語った。

カブールの別の政府関係者は、タリバンは話し合いの場としてサウジアラビアのほうを望んでおり、カルザイを含むアフガン政府関係者がタリバンの代表と「近々」会うことになるらしい。

リヤドで話し合いをするためには、サウジ政府との同意が必要だ。しかし欧米関係者は、サウジは、話し合いが成功する保証のない和平会談に関わる意図はないはずだと語る。

また米国がこのような別の話し合いを歓迎するかどうかも、明らかではない。ただ米関係者は、話し合いは常に「アフガン人とアフガン人」の話し合いである必要があると強調してきた。

「我々の目標は、仕事から外れることだ」と、国防省報道官のビクトリア・ヌランドが語った。「アフガン人がアフガン人と、アフガンの問題である和平プロセスを話し合うことが目標」だという。

(中略)タリバンは、話し合いを行なう意図があるか、まだはっきり語っていない。これまでは、話し合いを行なうとすれば、それはアメリカとだけであり、「操り人形政権」であるアフガン政府とは行なわないと主張してきた。

しかし、今回タリバン報道官のカリ・ユースフ・アフマディは、サウジアラビアでの話し合いの計画に関して、否定はしなかった。「現在進んでいる和平の対話に関しては、沈黙という立場を取る」と語った。

もしこのような話し合いがあるとしたら、パキスタンの役割は明らかではない。アフガン人やタリバンの関係者はアメリカに、パキスタンが話し合いに参加することは望まないと語っている。パキスタン軍は、おそらくサウジが介入することを望むはずだ。パキスタンとサウジアラビアは、1980年代から強い関係がある。

(中略)「我々はサウジとアラブ首長国連邦を好む」と、パキスタンの元外交関係者のタンヴィール・アフマッド・ハーンが語った。「カタールとの関係は、控えめなものだ」。

しかしタリバンは、サウジの介入に積極的ではないようだ。以前米関係者に、話し合いの場所としてサウジは望まないと述べていた。「タリバンは」カタールの首都であるドーハに「事務所を開きたがっていた」。「なぜなら、パキスタンに支配されたくないからだ」と、ある関係者が述べた。

アナリストによると、サウジに事務所を開くという話は、米主導の話し合いを嫌がったカルザイの考えたことだという。

(中略)アフガン政府関係者は、タリバンがカタールに支部を開くことに関して、アメリカを妨害しようとしている。当初、アフガン政府は支部をサウジかトルコに開くことを望むと主張していたが、後にタリバンがアメリカ主導のプロセスを受入れると、カルザイはいやいやカタールに開くことに同意した。

タリバンの元関係者によると、すでにタリバン関係者がカタールで米政府関係者と会っているという(中略)。アフガン政府は、米国とタリバンとの間の「極秘取り引き」を恐れている(後略)。

hoonAfghan Officials Consider Own Talks With Taliban
GRAHAM BOWLEY and DECLAN WALSH、KABUL

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2012.