【2003年03月17日〜03月30日】
■タリバン再び結束[030329 BBC]
●タリバンのコマンダーMullah Dadullahが、タリバンがアフガニスタンで再び力をもつだろうと主張。イラク戦争の間にも、引き続き、アフガンにおけるアメリカ軍に攻撃をかけるとも。またアルカイダは現在アフガンにはいないともいう。
Taleban 'aims to regain power'
By Rahimullah Yusufzai
BBC correspondent in Peshawar
■Diamondback作戦[030327 CCR]
●1999春……アメリカの諜報部員Randy Glassが、エジプト国籍の武器商人、Mohamed el AmirとDr. Magdy el Amir兄弟に会う。el Amir兄弟は、ビンラディンから資金を得ていることがあとでわかる。しかし、この2人は何の罪にも問われず、Dr. Magdy el Amirは今でもニュージャージーで医師として仕事をしている。
●1999.7.14……Randy Glassは武器商人、Diaa Mohsen、Mohammed Malik とISIのエージェントと思われるRajaa Gulum Abbasに会見。Abbasはアメリカ軍から盗んだ武器を、ビンラディンのために買いたいと申し出る。Abbasはツイン・タワーを指差して「あれはもうじき崩れる」という。この会見は録音され、その後2003年に一部、テレビで放映される。
●1999.8.17……上記のグループが3人が再びフロリダの武器倉庫で会い、スティンガーミサイルを見る。Mohammed Malikは、この武器をカシミールかアフガニスタンで使うと話す。Diaa Mohsenは、Abbasは「偉い人」やビンラディンと繋がりがあると話す。Abbasは核兵器を作る材料もほしいという。Abbasはこのとき、スティンガーミサイルをもった写真をとる。
●2001.6.12……タリバンとビンラディンに対する、不正武器購入作戦Diamondback。エジプト人Diaa Mohsenとパキスタン人Mohammed Malik が、ISIのためにスティンガーミサイルと核兵器の材料を購入しようとして、逮捕される。ISIのエージェントは、ヘロインで支払うと述べていた。ISIのエージェントは逮捕を免れる。Mohammed Malikは起訴されない。Mohsenは30ヵ月の刑が決まるにすぎない。
●2001.8……Randy Glassは、7月の武器商人との会見の様子を9.11の前に政府に報告するが、無視される。
●2002.6……アメリカは密かに、AbassとAbdul Malikを武器購入を試みたことで起訴。アメリカ政府は、AbassはISIのエージェントで、Abdul Malikはその子分だとする(Abdul MalikはMohammed Malikとは関係ない)。アメリカはこの2人を逮捕する気がないのか、今だに逮捕できずにいるが、にもかかわらず、2002年8月にMSNBC(NBCテレビ)は簡単にAbbasをパキスタンで探し当てることに成功、電話会見する。
●2002.8……MSNBCがAbassとRandy Glassの電話会見を放映。武器商人たちとのやりとりの録音も流す。Abassがスティンガーをもった写真も放映。Abassは電話会見で武器購入に関して否定。そんなことをしたのなら、なんで今まで逮捕されないのだ、と言う。
Randy Glass
By Paul Thompson
■ダニエル・パール殺害の真相[030322 CCR]
●DPは、Richard C. ReidとMuslim militant, Mubarak Ali Shah Gilaniとの関係をさぐっていた。「なんでムスリムが私たちをそんなに憎むのかが知りたい」。
● Crescent Investment Managementのアメリカ生まれのパキスタン人Mansoor Ijazと電話で話す。Ijazは国防省と親しく、一市民としてスーダンの対テロ戦を仲介、カシミール問題にも仲介。インドの諜報員からIjazがテロリストたちとつながりがあると教えられ、コンタクトをとる。
●IjazはThe Newsの編集者 Shaheen Sehbai、匿名のテロリスト、そして以前ISIエージェントで、オサマの友人でもある軍人のKhalid Khawajaを紹介。
●元ISIの軍人Khawajaが、DPをテロリストに会わせることを約束。タリバンが星条旗を燃やす集会にも出席にし、タリバンたちの憎しみが何かを知ろうとしていた。
●そのうち、ISIとオサマに核の秘密をもらした組織 Ummah Tameer-e-Nauとの関係を知ることになる。またムシャラフによって逮捕されたはずの原理主義者(ISIともっとも関係が深いJaish-e-Mohammed)が、実は逮捕されてないということも嗅ぎつける。
●Richard Reidは、Muslim militant、Mubarak Ali Shah Gilaniの信奉者であることから、イスラマバード在住のfixerのAsif Faruqi にGilaniに会えるよう取り計らってもらえないか頼む。彼をとおして、テロリストHashim QadeeとSaeed Sheikhのことを知る。
●後にSaeed Sheikhによれば、DPに個人的な恨みはなかった。ただ、よく動き回ったので目に留まったということだった。
●1月11日にラワルピンディのインターコンチネンタルホテルでSaeed Sheikhと会う。ギラニは忙しいので、会えないだろうといわれるが、後日Saeed Sheikhからギラニに伝言は伝えたというメールが入る。さらに3日後、ギラニが会ってもいいといっているというメールが入る。もしカラチに来るなら、会えるかもしれないとも。DPはカラチに行くことを決心。
●DPはもうひとつ興味をもつことがあった。ISIとつながりがあり、地下マフィアのボス、Dawood Ibrahim。「危険に近寄りすぎる」と警告される。
●1月23日ギラニと会うことになる。ギラニの元に連れて行ってくれるのは、後で判ったことだが、Saeed Sheikhと一緒にインド航空ハイジャック事件で解放されたMansur Hasnain だった。出かける前に、フィクサーのAsif Faruqiにギラニに会うことは安全かどうか尋ねたが、「彼は公人だから大丈夫」といわれる。
●翌日、「ジャーナリストに扮したCIA」としてDPに拳銃をつきつけた写真がアメリカの新聞に載る。The National Movement for the Restoration of Pakistani Sovereigntyと署名されている。以前イスラマバードのBBCに、上記の団体と似た名前、National Youth Movement for the Sovereignty of Pakistanから、再生できないビデオカセットとDPと同じように拳銃をつきつけられたコーカサスの覆面の男の写真が送られてきたことがあった。「Joshua Weinstein、別名Martin Johnson、an American national and a resident of California." でCIA諜報部員」と書いてあったが、結局これが誰なのか、単なるいたずらなのか、わからずじまい。
●警察は、Saeed Sheikhたちをインド航空機ハイジャックで解放した Harkat ul-Ansarが事件の裏にいるのではないかと捜索していたが、DP事件にはジハードの臭いがなかった。「シオニストの陰謀」も唱えてないし、脅迫状の英語も良すぎる。何よりも、要求がこれまでにないものだった。つまり、アメリカがパキスタンに約束したまま与えてないF-16を渡すことと、キューバの囚人たちの解放、タリバンの大使の解放だった。そこで浮上したのがSaeed Sheikhだった。
●それまでDPがユダヤ教徒であることは伏せられていたが、News紙の記者Khanが「インドで活躍し、ユダヤ資本で働くユダヤ教徒がパキスタンで動き回るのは危険すぎる」とすっぱぬく。KhanはISIとかかわりがある。おそらくISIがもらした情報と思える。
●翌日、脅迫状には「モサドのスパイ」と変えられてきた。しかし脅迫文は前のとは打って変わって、稚拙な英語で、Saeed Sheikhのものとは思えなかった。事実、後にSaeed Sheikhのコンピュータからは別の文章、「We have investigated and found that Daniel Pearl does not work for the CIA. Therefore, we are releasing him unconditionally.」。DPはCIAでないことがわかったので、無条件で解放するという文章が残っていた。つまり、後から送られた脅迫状はSaeed Sheikhが書いたものではない。
●Saeed SheikhはDPを捕まえただけで、その後、彼の運命は他の者の手に渡っていたのだ。ギラニは無罪を主張。この件のこととは全くかかわってないという。彼のグループUl-Fuqraは、これまでパキスタン国内の事件には関わりがないことも事実。
●FBIがメールの出所を捜査。2月14日にSaeed Sheikhはラホールで逮捕される。実際は、彼は2月5日にISIに出頭していた。Saeed Sheikhがいうには、DPを解放するように指示したにもかかわらず、彼はすでに殺され、ビデオを撮られていたということだった。ISIに保護されていた1週間の間、彼とISIとの間にどういう話をしあいがあったかは、黙秘されている。
●その後、ビデオが出てくる。後の捜査で、DPを殺しに来たのはアラブ人3人(イエメン人?)で、そのうちの1人が首を切ったということ。
●Saeed Sheikhは、自分は軽い刑になるとうそぶいていたが、実際は厳戒体制の中で裁判が行なわれ、死刑が宣告される。しかし、その後の裁判はまったく続いてない。パウエルが、DPの事件とISIは全く関係ないと公言。
by Robert Sam Anson
Vanity Fair
■イラク戦争とその後[030321 Asia Times]
●イラク戦争が始まって、イスラムの国々にいろいろ混乱がおこるだろう。
●反米の原理主義者が多いパキスタンでは、もし軍がムシャラフの下で統制できていれば、彼らをコントロールできるだろう。
●Vice Chief of the Army StaffのMohammad Yousef Khanは、ムシャラフよりもさらに新米といわれている。彼が先月訪米から帰国後、この二人の間がぎくしゃくしているといわれている。
●ここのところ、ふたつの話題があがっている。まず、原理主義勢力が、ムシャラフに、大統領兼軍の長官を辞任し、再選挙をするべきだという声があがっている。これに対して再選挙がすでに行なわれたが、まだ不満。
●もうひとつは、ISIが、オサマとアルカイダのJamaat-e-Islami (JEI)との関係に関する捜査に対して行なった、ふたつの会見が問題になっている。ISIはふたつの会見を行なった。ひとつは外人向けで、ここでは、ISIはオサマが生きていて、パキスタンに隠れている。しかも、あと一息で逮捕できるところだったとするもの。アルカイダとJEIとの関係を肯定するものだった。一方で、数日後パキスタン人相手の記者会見を行ない、ここでは、オサマはパキスタンにいない。そしていつもムシャラフが言うように、生きていたとしてもパキスタンにいない。JEIのメンバーが個人としてアルカイダを匿っても、組織としては、匿っていないという見解を発表した。
●このふたつの会見の意味は? 軍のリーダーシップに分裂があるのか? 軍に、JEIを扇動して、軍のチーフとしてのムシャラフを引きずりおろし、JEIとアルカイダとの関係を守ろうとしているのか? 誰か別の人物が、軍の中の親JEI勢力を攻撃しようとしているのか?
●今のところはわからないが、実際には軍はムシャラフの下で統制されていて、アメリカに協力しようとしている。
●エジプトのムバラク政権も、表向きには親米ではあるが、軍にどの程度原理主義が浸透しているのか、はっきりしない。イラク戦争の結果、一般大衆がどのように変化するか。
●KSMの逮捕は、アルカイダを揺るがせている。結果、アルカイダやInternational Islamic Front (IIF)はより注意深くなり、反米感は強くなっている。
Day and after
By B Raman
■戦争の後の新たな戦争[030321 Asia Times]
●イラク攻撃によって、アルカイダによる計画的なテロが起こるとともに、イスラム社会の大衆個人によっても、混乱が引き起こされるだろう。
●レバノンのShi'ite Hezbollahがすでにイスラエルに対して攻撃を宣言している。ヒズボラには、アルカイダの援助やイラクの援助が噂されている。Abu Mussab al-Zarqawiが現在レバノンにいるという噂もある。
●アフガニスタンでは、HekmatyarのHezb-i-Islami (HIA)が抵抗している。HIAにはウズベク、チェチェン、アラブのテロリストたちが参加。対ソ連のコマンダー、Mullah Saifullah Mansoor とMaulana Jalaluddin HaqqaniやIsmail Khanの重臣もいる。雪融けとともに、南西地域やカブールで活動しはじめるといわれている。
●昨日、アメリカ軍によってKhost、Kunhar、Kandahar、そしてJalalabadで大きな作戦が開始された。
A new war beyond the war
By Syed Saleem Shahzad
KARACHI
■米軍、カンダハール付近で新しい作戦を開始[030321 The Nation]
●米軍が、カンダハール付近でアメリカ兵1000人による新しい作戦を開始。イラクの攻撃と同時期なのは、単に偶然の一致だという。Valiant Strike作戦。
US launches major operation in Afghanistan
KABUL (AFP)
■パキスタンの闇の帝王[030319 Asia Times]
●パキスタンの闇の帝王Dawood Ibrahimは公然とかくまわれている。
●フランス人技師たちに対する自爆テロの犯人は、Dawood Ibrahim関係者だという明らかな証拠があるにもかかわらずに、圧力がかかり、Lashkar-i-Jhangviの犯行にすりかわった。しかし、逮捕されたもののなかには、Dawood Ibrahimの手先もいる。
●Dawood Ibrahimの相棒、Shoaib Khanも軍やISIと深いかかわりがある。
An invisible hand in Pakistani politics
By Syed Saleem Shahzad
■パキスタンでアルカイダの活動活発化[030319 Reuters]
●アルカイダは最近 Sunni Lashkar-e-Jhangvや Harkat-ul Mujahedeenなどの原理主義者、そして犯罪者たちと手を組みはじめた。最近のパキスタンの闘争的な動きは、新しい現象であり、彼らをテロ行為に走らせている。特にタリバンと近いデオバンド派の者たちは金と武器をもっている。アルカイダはこういう人たちと近づき、行動させている。
●アフガニスタンから闘争したアルカイダは、パキスタンを他の国へ逃げるための中継点と最初考えていたにもかかわらず、パキスタンに深く潜入した。その最も顕著なのは、自爆テロである。この地域には、この手の行為はこれまでなかった。まだまだアルカイダは国内に多数いるはずだ。
Al Qaeda's growing local ties a risk for Pakistan
By Amir Zia
■アメリカはパキスタンを罰することはできない[030317 The Nation]
●Zafarullah Jamali首相は、アメリカはパキスタン・ムシャラフを罰することはできないと主張。今回のアルカイダの逮捕でパキスタンは協力態勢を強調。テロの問題とイラクの問題は別と公言できる。パキスタンのカシミール問題への態度は以前から続いているもので、最近始まったことではないので、そのことでアメリカは今さらパキスタンを罰することはできない。これ以上原理主義勢力が強くなることより、ムシャラフを支援しているほうがまだましとアメリカは思っている。
US can't afford to punish Pakistan
ISLAMABAD (AFP)
Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003.