【2003年05月12日〜05月18日】


■リアド爆発事件とアルカイダとの結びつき[030518 Washington Post]

イランに隠れているエジプト人、Saif Adelがリアドの爆破事件の首謀者と考えられるとアメリカの高官が昨日語った。Adelはアルカイダの軍隊の指揮官で、アルカイダの訓練の責任者Abu Mohammed Masri、ビンラディンの息子Saad bin Laden、去年バグダードに隠れたAbu Musab Zarqawiはともにイランに隠れ、アルカイダの重要な司令部として機能している。もう一つのグループはパキスタンとアフガン国境にいる。

モロッコ事件の分析……省略

アルカイダはサウジだけに4つの部隊があるというが、これまで知られていなかったアルカイダのグルーフが攻撃してきたのではないかという畏れもあ。あるいは、アルカイダに影響を受けた地元のグループの犯行ともいえる。

アメリカの諜報部は、アルカイダは自分たちがまだ活動していることを表明することにやっきになっているという。そのために、さらに攻撃を仕掛けてくるだろう。

アルカイダのリーダーたちは崩壊したが、この10年、何千という過激派たちがアフガンのキャンプで訓練されいて、そのほんの一部、3000人ほどが捕まったり殺されたりしたに過ぎないという。例えば、Saif Adelは2001年にアフガニスタンで軍司令部の責任者、Muhammad Atefが死亡してからその地位についた。今はビンラディンとザワヒリに次いで、もっとも重要な地位にいる。リアドの爆破事件を直接行なったのは5月6日に逃亡したサウジ人、Khaled Jehaniであり、Saif Adelがその許可を下したとサウジとアメリカの高官たちはみなしている。

アメリカはイランにアルカイダの容疑者たちを引き渡すことを要求。イランはこれらのメンバーの存在を否定。

garrAl Qaeda Figure Tied to Riyadh Blasts
By Dana Priest and Susan Schmidt


■パキスタンはアフガン戦争で100億ドルを損失[030518 Daily Times]

US Central Command(CENTCOM)によると、パキスタンはアフガン戦争に加わったことにより、100億ドルの損失があったという。以下はCENTCOMの報告である。

Operation Enduring Freedomの影響で、パキスタンは既に危うかった経済がいっそうひどくなった。主に観光業、保険金が値上がったために、投資や運送業に大きな影響があった。また輸出に打撃を受けた。

またOperation Enduring Freedomに対する支援として、パキスタンは連合軍にその飛行空域の3分の2を提供。このために商業フライトが限定されたり、再編成しなければならなかった。一方パキスタン海軍は Pasniで連合軍の陸揚げに協力。洋上では軍の運行や訓練を削減しなければならなかった。アメリカ海軍によると、Pasniでの作戦は、朝鮮戦争以来の最大規模のものだったという。

2001年10月〜2002年10月までの間に、アメリカはパキスタンに2160の「要求」をし、パキスタンはそのうちの2008に応じたという。アルカイダの最重要人物のうちの2人、Abu-ZubaidaとRamzi Bin Al-Shaibaはパキスタンによって逮捕され、アメリカに引き渡された。2001年9月以降、99の手入れがあり、逮捕された外国人が420人、そのうちアメリカに引き渡した数332人、他の国に引き渡した数が34人、釈放した数が38人、尋問中が16人である。カラチ空港と港でも便宜をはかった。

また部族地帯に特別「侵入」する措置もとった。トラボラ作戦では、部族地帯に特別に「侵入して」軍隊をTirah Valleyにすみやかに派遣することにより、250人のアルカイダとタリバンがパキスタンに逃げ込むのを防いだという。国境の東における戦争の脅威にもかかわらず、パキスタンはいまだにアフガンとの国境に、4万5000人の軍隊を置いている。

hoonPakistan lost $10b by joining Afghan war
By Khalid Hasan
WASHINGTON


■カサブランカの犠牲者は41人[030518 Daily Telegraph]

昨晩のカサブランカの自爆テロ事件の犠牲者は41人となった。

アルカイダのメンバー、 Abu Mohamed al Ablajからロンドンをベースとしたアラブ誌、al-Majallaにe-mailが届き、今後テロリスト・グループはアメリカとイスラエルを攻撃目標とすると述べた。同じような内容の発言を、先週も行なっていた。また、金曜日に、この雑誌はモロッコの主導的原理主義者と対談を行ない、ここで、アルカイダの攻撃を予言していた。

この雑誌は、アルカイダのメッセージを載せることで有名である、とアメリカの高官。

garrDeath toll in Casablanca blasts reaches 41
By Philip Sherwell in Casablanca


■運命と信心[030517 Guardian]

イラク戦争勃発により、政治的にも文化的にもパキスタンでは宗教的右派が新しい力をもちはじめた。

9.11以来、パキスタンにはイスラム復興の波が訪れた。アメリカの政策に対する怒りが爆発。アフガンにおけるタリバンへの攻撃、ワシントンとロンドンが約束したアフガンの復興が無視されていること、FBIがパキスタンでアルカイダ捜査のために行なう奇襲、そしてイラク戦争によってその怒りは決定的になった。パキスタン人の目には、アメリカはイスラムを標的にしているように映る。パキスタンがアメリカの次の攻撃目標になるの?と誰もが心配する。そういう状況の中で、突如、イスラム政党が中央に躍り出てきた。

その最も顕著な例が、去年の10月の選挙である。パキスタン歴史以来、イスラム政党が重要な政治政党となった。Jamaat-e-Islamiはライバルのイスラム政党たちと同盟を結び(Muttahidda Majlis-e-Amal『MMA』、またはUnited Action Front)、勝利した。イスラマバードでは、三番目の政党となった。かれらは聖職者が政権をとること、シャリーア(イスラム法)を希望、女性は顔を覆うhijabをつけ、男女の教育を別にし、銀行に利子をつけないことを主張する。

パキスタンでは警察官から国のリーダーに至るまで、汚職がはびこっている。しかしシャリーアもいろいろ問題がある。パキスタンの法律でも、イスラム法を取り入れている部分は非常に野蛮で女性蔑視の傾向がある。

1947年に建国されたパキスタンは、世俗国家であるべきか、あるいはイスラム国家になるべきか、常に揺れて続けてきた。しかし、建国の父であるジンナーは「みんなは自由である。どのような宗教を信仰してもいい」とパキスタンの新しい議会で発言していた。

イスラム原理主義が政治の舞台に躍り出たのは70年代である。Zulfikar Ali Bhuttoがイスラム右派に近づき、アルコールを禁止、戒律が穏やかな少数派の宗派Muslim Ahmadiを異端と決めつけた。当時、73年のイスラエル戦争後、イスラム原理主義運動がアラブで盛んになった。Bhuttoは最終的に失墜し、General Zia ul-Haqにより絞首刑となった。79年にソ連がアフガンに侵攻し、アメリカはZia ul-Haqを通してISIに資金を流し、イスラム・ムジャヒディンの抵抗を援助し始めた。お金はイスラム化のために使われ、何千というマドラッサ(宗教学校)が建てられ、貧しい家庭の子供たちに無料の教育を与えた。サウジから資金や研究書が流入し、サウジの原理主義、ワハビ派を布教するためのモスクが建設された。これらのマドラッサは、原理主義者たちを育成し、後にこれがタリバンになっていく。

パキスタンの宗教政党のなかで、おそらく最も資金をもつJamaat-e-Islamiが、これまでイスラム復興を主張してきた。しかし41年の発足以来、イスラム革命を約束していながら、これを実現できたことはない。Jamaat-e-Islamiは、1903年に、インドのハイデラバードで生まれたMaulana Sayyid Abul A'la Maududiによって創設された。彼はジャーナリストであるとともに聖職者で、宗教は個人的なものではなく、社会、経済、政治に不可欠なものと考えた。これはエジプトからアフガニスタンにかけて広がった原理主義的思想である。彼はこの思想に基づいて生活する小さなコミュニティーを作ることを欲した。同時に政治にも野心をもち、時間とともに「小さな聖なるコミューニティー」は失せ、実際的な政治が主な目標となった。本部はラホールのMansoorahにあり、家や学校、病院、モスク、オフィスなどがひとかたまりになっている。会員は20,000人だが、50万人の準会員が献金をしている。もうひとつの宗教コミューニティーがイスラマバードから30分のところにある。何千という元Jamaat-e-Islami党員たちがパキスタンの機関、軍、出版社、アカデミアで働いている。

党員たちは宗教者がパキスタンを動かすことを期待している。しかしタリバンよりももっと洗練された組織を望み、民主的に選ばれた宗教政府を希望している。「世俗的な方法では、正直な人間は見いだせない。世俗主義を支持する人々は、腐敗した人々だ」。民族的政党が国を支持してきたと考えられているが、長い目でみると、パキスタンをばらばらにする。一方イスラム主義政党は、信仰でもって国としての統一する。

最近の選挙によるイスラム政党の勝利は、パキスタンで最大の力を発揮している軍との微妙な関係のおかげだ。他のイスラム国では、イスラム主義の動きは国によってつぶされている。しかしパキスタンではそうではない。敵ではなく、同胞である。軍はカシミールでのゲリラ戦を維持するために、宗教的闘士を必要とする。したがって、政治政党が結集しようとして制裁を加えられても、宗教政党が制裁を加えられることはない。軍は宗教政党がMMAとして同盟することを支持したが、他の政党に関しては、結束を妨害する。MMA(Muttahidda Majlis-e-Amal)はmilitary-mullah allianceだという話さえでるほどだ。軍はパキスタンで力を失う兆しはまったくなく、イスラム主義運動はそれ自体で力をもつこともない。パキスタンではイランのような、またはタリバンのような政権はありえない。

それでいて、インドにとっては、このイスラム主義は脅威となっている。パキスタン軍は、インドのヒンドゥ・ナショナリズムと対抗するために、パキスタンの宗教政党に頼る。

パキスタンはアメリカとの問題にも直面している。パキスタン政府はワシントンの同盟国になろうとしているが、それは日に日に困難になってきた。ムシレラフは過激派を一掃すると約束しているが、その言葉は守られてない。宗教政党の成功により、さらに問題を抱えることになる。現在選挙に勝った党員たちのなかには、例えば国会議員となったAzam Tariqがいる。彼は禁止されたSipah-e-Sahabaのリーダーで、北西辺境州で残虐な殺人罪にとわれている。北西辺境州では、アルカイダを追うFBIの捜査をや、国境でのアメリカ軍の作戦を禁止するよう脅かしている。イスラマバードの核もアメリカの心配の源だ。

最後に、宗教政党にとっても最大の試練は、政府内での行動である。特に最大の議席数を確保している北西辺境州は重要だ。多くのパキスタン人が以前の政府に対する不満の反動でMMAに投票したが、かれらはどのように答えるか? すでに音楽、西欧風の制服が禁止され、サウジやタリバンのように、シャリアと宗教的警察権を導入する計画がもちあがっている。アメリカがイラクでの安全と民主主義に格闘する間、パキスタンだけでなく、世界中の宗教右派支持率は増える。Jamaat-e-Islamiは60年間もこの時期を待っていた。

hoonDestiny and devotion
Rory McCarthy


■アルカイダ再び攻撃[030517 Daily Times]

リヤドの爆破事件から3日後に、カラチで外国資本の21のガソリンスタンドで爆破事件。これらの攻撃は、アルカイダがアメリカ本土だけでなく、世界の各地を攻撃目標とするという声明を出した直後に行われた。それでいて、パキスタン人のほとんどが、まだこの警告を受け入れてない。

2人のバイクに乗った男が19ヵ所のシェルと2ヵ所のカルテックスを同時に爆破。シェルはイギリスとオランダ資本の会社であるが、よくアメリカの会社とまちがわれる。カルテックスはアメリカ資本。明かにこの事件は外国人たちへのいやがらせである。

カラチでは、パキスタン政府がアメリカを支援することを決めて以来、外国人を標的としたテロ事件が相次いでいる。すべてはムシャラフの決断の結果である。FBIとともにアルカイダを逮捕し、イラク戦争に批判的でありながらも、沈黙を守り、現在はイラクの平和維持に関わろうともしている。これらの事件をインドのせいにするわけにはいかない。アルカイダの気配が強い。これらの動きは、パキスタンの経済にも打撃をあたえるだろう。カラチには政府が立ち入ることができない暗部がある。

smellAl Qaeda strikes again


■パキスタンが旅行代理店から偽造パスポートを押収[030516 AP]

ペシャワールの旅行代理店が、偽造パスポートやその他の書類をアルカイダに支給したことで逮捕された。イギリス、アフガン、パキスタンの盗難パスポートと、イミグレーションのスタンプが多数押収された。アメリカが、この捜査に協力。

これとは別に、カラチでアルカイダと関係があると見られるビルマ人を逮捕。4月29日にイエメンのCole爆破事件と関係があるとされる、Waleed Mohammed Bin Attashと一緒に逮捕された容疑者からの情報に導かれた。Bin Attashが既にアメリカに引き渡されたかどうかは不明。イエメンも同容疑者の引き渡しを要求していた。

hoonPakistan Seizes Fake Passports From Agent
PESHAWAR(AP)


■カンダハールでネオ・タリバン決起[030516 Daily Times]

ここのところカンダハールでは、親政府の軍隊や国際援助団体、またその団体のコンボイを狙った攻撃があいついでいる。

あるNGOによると、タリバンは南部で再編成されたという。この新しいタリバンは、30〜80人で行動し、約500人から600人の戦士たちがパキスタンから流れこみ、現在アフガン南部の山岳部で行動しているという。彼らはゲリラ攻撃を繰り返し、Kandahar、Uruzgan、Helmand、Nimroz、Farah、Zabul、Paktikaを不安定にしている。しかしその行動力はまだ限定的で、軽い武器を使用。アメリカ軍や空軍によって守られた地域の支配者たちには攻撃をかけてない。

アフガンにいるヨーロッパの外交官によると、ネオ・タリバンはアフガン南部やパキスタンの難民キャンプで、新しい戦士たちを募集中だという。

カンダハル地域の政府は、Gul AghaとGeneral Khan Mohammadの対立により不安的になっている。AghaはBarakzai tribeである一方、MohammadはAllokozai tribeである。

またカンダハールの住民の間では、アメリカ軍の存在により、反西欧の感情が高まりつつある。またパキスタンから帰還した難民や北部から逃げてきたパシュトゥン族たちの間でも、不満が高まっている。また住民は、アメリカに援助され、反タリバンの北部同盟(パンシールのタジーク)が牛耳っているカブール政府から、のけ者にされているという意識が強い。

さらに、アヘンの栽培が最盛期を迎えている。カンダーハルの混乱は、反政府要素とかかわりのあるアヘン密売人たちにとってもってこいだ。

garrNeo-Taliban rising in Kandahar
AFP、KABUL


■カラチのパキスタン容疑者はリアドの攻撃と関係あり[030516 Reuters]

カラチのイギリスとアメリカ資本のガソリンスタンド、シェル19ヵ所、カルテックス2ヵ所の連続爆破事件は、リアドの爆破事件と関係がある可能性がある。

目的は殺すことではなかったが、外国資本に脅威を与えるためではないかと、カラチの内務省関係者。カラチの攻撃とリアドの攻撃は、同じ部族出身の人々の犯行であるという証拠を握っているとも。

smellPakistan suspects link in Karachi, Riyadh attacks
By Amir Zia


■カラチのシェルで爆発[030515 Reuters]

カラチで、18のシェルのガソリンスタンドで、小さな爆発事件があった。大きな被害はなかったが、目的はパニックを起こすこと、シェルをターゲットにすることだったのではないかという。

hoonExplosions at Pakistan Shell stations
KARACHI


■テロリスト団は「トラボラの戦士」によって率いられた[030515 Daily Telegraph]

サウジの爆弾テロのリーダは、アフガニスタンのトラボラで戦ったアルカイダ、Kahled Jehani。先日逃亡した19人の容疑者のうちの15人が実行犯で、そのうちの9人の遺体が現場から確認された。

19人が逃走した事件で、警察は残された武器などの証拠品のなかから、Kahled Jehaniの身分証明書を発見。Jehaniはアルカイダと接触がある“sleeper cell”のリーダーだといわれる。ビンラディンの直接支配下にあるわけではないが、50人から60人のメンバーで構成されたサウジのテログループである。2000年のイエメンの米艦隊のテロ攻撃でAbd al-Rahim al-Nashiriが逮捕された後に、リーダーになったという。

ワシントンによると、Jehaniは2002年来、FBIのアルカイダ要注意人物の中にリストアップされ、アフガンの訓練所で見つかった「殉教」のテープを録画した5人のアルカイダの1人だったという。サウジによると、18歳のときにサウジを出てアフガンの訓練所で訓練を受けながらボスニアとチェチェンで戦。その後2001年12月には、ビンラディンが隠れていたアフガンのトラボラで戦ったという。

garrTerrorist cell 'was led by Tora Bora caves fighter'
By Robin Gedye Foreign Affairs Writer and Adel Darwish


■アルカイダは死んだのか、生きているのか[030515 Asian Times]

アメリカはサウジからの撤退を表明。ビンラディンは、もっとも欲しかったものを得た。一方、これでアルカイダのジハードに対する大義名分がなくなることになる。それではアルカイダは何をしようとしているのか? ビンラディンは何をしているのか。

古いアルカイダは自由に行動できなくなったが、新生アルカイダはこれまでと全く違い、もっと手ごわそうだ。

国連は、例えばロンドンにベースを置くHizb al-Tahrirのような超過激派が多く存在すると指摘。これらのグループはビンラディンがジハードをしたのは時期尚早だったと非難している。数多くの活動家たちの存在を、西欧にさらす結果になってしまったからだ。ロンドンの過激派は、ブレアによって、完全につぶされてしまった。このために、イラク戦争の最中も、イギリスではテロが生じなかった。

イスラム過激派の研究家、エジプト人のDiaa Rachwanによれば、イラク戦争後は「過去20年間の武装戦の統合体」が組織されるという。アフガニスタンを根拠地とするジハード、パレスチナの自爆テロ、ソマリアの混沌。これらのシナリオの中では、「アメリカはまったく無力だ」。

新生アルカイダはどこで訓練を受けているか。パキスタンの北西辺境州かもしれないし、コーカサスかもしれない。またヨーロッパの諜報部は、アルカイダが資金に困っているとは思ってない。アルカイダはパキスタンベースのグループをインドネシアに送り込んでいる現象も憂慮している。

もしアルカイダが再生されたなら、そして再び攻撃を開始したのなら、リアドの爆破事件は始まりにすぎない。6月始めにフランスで行われるのG8に、西欧は神経質になっている。

hoonAl-Qaeda: Dead or alive?
By Pepe Escobar
BRUSSELS


■テロの新しい顔が表明[030515 Asian Times]

アルカイダと他のいくつかのテロリスト・ネットワークで構成される、ビンラディンのInternational Islamic Frontは再編成された。この新しい国際組織の舵とりはエジプトのDr Aiman al-ZawahiriをリーダーとするJamaat al-Jehadである。al-Zawahiriはビンラディンの右腕といわれる。このグループはアルカイダと結合したが、エジプトには、まだ独立した支持者たちがいる。Jamaatのリーダーたちは、攻撃の目標をアメリカにしぼった。このネットワークは新しいチームで、新しい名前をつけて近々アメリカを攻撃すると宣言。(以下省略)

アメリカ軍はサウジからの撤退を表明したが、これはビンラディンが要求したこと、そのものだった。撤退後、サウジでの反西欧の動きが強くなることは明かで、社会はますます混乱するだろう。

サウジは、国内のアルカイダの逮捕に成功したと表明していたが、現実は違っていた。サウジは過激派たちの攻撃の的になるだろうが、現在、アラブ世界全体が難しい局面に直面している。世俗政権で、比較的自由なエジプトも然りである。バグダッドの陥落後、団結したイスラム教徒は、新しい動きをはじめた。

何十年ぶりに、何百、何千のイスラム教徒が親アメリカ政策をとるアラブの国々に対して、非難を繰り広げている。エジプトはイスラエルを除いて、中東のなかではもっともアメリカに近い。そしてイスラエルに次いで多くの援助を受けている。もしエジプトでテロが起きたら、その立場を考え直さざるをえない。

garrThe new face of terror unveiled
By Syed Saleem Shahzad


■テロリズムの三角形[030515 Asia Times]

リヤドの爆弾テロ事件は、アメリカのイラク侵攻と支配に対する怒りの結果である。「テロに対する戦争」はアルカイダやビンラディンのInternational Islamic Front(IIF)に、まだまだ対抗しなければならない。

リヤドの事件は、自爆テロという大胆な行為、犠牲者にアメリカ人を中心とした多くの外国人がいたこと、またパウエルのサウジ訪問の直前であったことなど、注目を浴びる要素が多かったが、同様のテロはアフガニスタンでもジャムー・カシミール(J&K)でも、そしてフィリピンでも連続して起こっている。アフガニスタンでは、それほど多くの犠牲者は出ていないが、再編成されたタリバン、アルカイダそしてヘクマチアルの Hezb-i-Islam、J&Kの Lashkar-e-Toiba(LET)が、テロを行なっている。Lashkar-e-Toiba(LET)は、IIFのひとつである。これらの攻撃は、テロ対策がいまだ充分でないことを物語っている。テロのネットワークを崩壊させるためには、アルカイダだけでなく、すべてのInternational Islamic Front(IIF)を丹念につぶしていく必要がある。これがまだ実行されていない。

なかでも重要なのが、LETだ。LETの本部は、パキスタンのラホール近郊の Muridkeにあるが、その重要な支部が、サウジにある。LETはワハーブ派であるにもかかわらず、サウジの王族に批判的であり、ビンラディンと同じ思想をもつ。以前はそれほどアメリカに対しては批判的ではなかったが、最近変わってきた。イラクで、アメリカに対するジハードで殉職した者たちのために、パキスタンで資金を集めている。

パキスタンのLET本部は、J&K、中央アジア、チェチェン、ダゲスタンと団結している一方、サウジ支部はムンバイ、南インド、スリランカ東部、南西アジアとつながりがある。2001年以来、多くのLETがムンバイで逮捕されているが、彼らはパキスタンではなく、サウジのLET組織で訓練され、資金を得たという。

しかるに、アルカイダとLETはともにサウジに組織をもち、サウジ政府はこれに目をつけずにいる。現段階では、リヤドの爆破事件がアルカイダの犯行なのかLETの犯行なのか、断定することはむずかしい。

この犯行は、5月6日におきた爆破未遂事件と関係があるといわれる。このグループは、サウジの王族とアメリカ・イギリスを攻撃目標にしていたという。逃走した19人のうち1人は投降したというが、この人物から得た情報はなにもなかったようだ。これはサウジの対テロ対策の貧弱さを物語っている。あるいは、サウジの公安の中に何らかの陰謀があるとさえも、考えられる。

アフガニスタン、パキスタン、サウジはテロの三角形を構成している。サウジのいわゆるチャリティーや他の私的な組織が、テロのための資金やボランティアを提供している。パキスタンのジハード組織は、隠れ家や訓練所、武器、爆発物など、そしてヘロインの売上げ金から、資金を提供している。アフガニスタンも同様だったが、最近ではそれがパキスタン側に移ってきている。

1993年のNew York World Trade Center爆破事件以来、サウジの志願者がHarkat-ul-Mujahideen(HUM) と LETの訓練所に送り込まれ、訓練されてからサウジに戻っていく。HUMはビンラディンが1998年に最初にだしたfatwaで、共に調印していた。

パキスタンの有名なジャーナリスト、Kamran Khanが1995年に書いた記事によると、パキスタン、アフガニスタンで訓練されたこれらのグループによるサウジ内でのテロ行為は、当時、外の世界には知られてなかった。世界中でジハードを行なう任についていたサウジ人たちは、アフガニスタンのキャンプを訪れたという。

リヤドで行われたような爆破テロは、これまで96年から、一定の期間をおいて繰り返されてきた。世界が知っている事件もあれば、もみ消された事件もある。サウジの諜報部と対テロ組織は、自分たちのテロリストに対する知識を、世界と共有しようとしてない。パキスタンとテログループとの関係についてもう周知のことだ。同じような陰謀がサウジにもあるのだろうか。ないのだとしたら、なぜサウジ内にテロリズムがはびこるようになったのか。サウジは、世界の中でも、最も取り締まりの厳しい国であることは有名なのに。納得できる答えはない。サウジは、テロリズムの三角形の暗い一辺であり続ける。国際的なスポットライトの下に照らされない限り、テロに対する戦いは成功しない。

garrsmellTriangle of terrorism
By B Raman


■アルカイダの新しい局面[030514 Jane's]

Jane'sは諜報部からの情報として、サウジに武器が流れ込んでいることを警告していたが(5月2日)、1週間前にサウジは大量の武器を発見。テロリストは、サウジ王家に打撃を加えようとしているようだ。そのために、アルカイダのネットワークがサウジ内で活発になってきていることを表明しようと、自爆テロを実行していると思われる。

アメリカ軍をサウジからの撤退は、アメリカの新しい政策である。またこれは、サウジからイスラム外の力を排除することを主張していた、ビンラディンの勝利ともいえる。今回の外国人への攻撃は、サウジ王家を一掃する前に国の「浄化」しようとするもので、アルカイダが新しい局面に入ったともいえる。

hoonAl-Qaeda: the next phase


■アルカイダが湾岸を攻撃計画[030514 Arab News]

アルカイダのAbu Muhammad Al-Ablaj、別名Mulla Saifuddinが、『Al-Majalla』(当『Arab News』の姉妹誌)にe-mailを送り、湾岸で長期間に及ぶテロ攻撃計画を行なう予定があることを暴露した。Abu Muhammad Al-Ablajは、アルカイダとタリバン戦士たちを訓練するセンターの司令官だという。この訓練所がどこにあるかは明かさなかった。

土曜日に送られてきたAl-Ablajのメッセージによると、アルカイダの計画は、水曜日に行われた19人のテロ容疑者によるテロ未遂事件にもかかわらず、テロを行なうとしていた。この19人のうち、3人だけが正式なアルカイダメンバーで、残りの16人はアフガン戦争に加わっただけとしている。「我々の攻撃は、大きな変更なしに着々と準備されている。私が言っていることが証明される日は近い」とも。

これまでAl-Ablajは知られていなかったが、アラブ世界では著名なこの雑誌によると、4月以来接触をもち、アメリカに対して攻撃をしかけると言っていた。アフガンとチェンチェンで学んだすべてのゲリラ活動の経験をもって、湾岸とアラビア半島での活動に挑むとも。

Al-Ablajは4月7日にもメッセージを送ってきたが、雑誌はこれを掲載するのをやめていたという。そのなかで、このグループはアメリカとサウジ政府と、撤退するアメリカ軍を目標としたテロを行なうと表明していた。「我々は準備万端で、組織を完全に構成するとともに、武器も貯蓄。アメリカがイラクに侵攻したことに対する報復を準備した。アメリカを攻撃するとともに、他のターゲットも攻撃。これは早急に、そし頻繁に行なわれるだろう。なぜなら『十字軍』に対して、致命的な打撃を与えなければならないからだ。これが我々のイラク解放のやり方だ。じきに詳細がわかるだろう。殉教者は用意万端。リーダーとこの攻撃を直積指揮する者はすでに到着した。潮は満ちた。遅くても1ヵ月の間に実行されるだろう」。

garrgarrgarrAl-Qaeda Plans Attacks in the Gulf
Mahmoud Khaleel, Al-Majalla
DUBAI


■イスラム過激派が攻撃を示唆[030514 The Nations]

アルカイダがリアドでの爆破テロを遂行したと、Abu Mohamed al-Ablaj が、ロンドンで発行されるサウジの週刊誌、『Al-Majallah』にe-mailを送った。Mohamed al-Ablajは、自分をアルカイダのキャンプで訓練を受けたムジャヒディンのコーディネータだと説明。アルカイダの新しい攻撃目標はアメリカの他に湾岸地域やアメリカと同盟を結んだ国々、とくにエジプトとヨルダンだという。オサマが、チェチェンやアフガニスタン同様に、湾岸地域でも長期にわたるゲリラ戦争を行なうように指示。アラビア半島と湾岸地域で、空軍施設、戦艦、軍隊施設を攻撃目標とするという。

また『Al-Majallah』によると、al-Ablajが4月7日に、アルカイダが中東でアメリカ軍を目標とした攻撃をすると述べていたという。

garrIslamists hinted at major attack
DUBAI(AFP)


■ISI長官、賞賛と厳しい批判を受ける[030514 Daily Times]

George Tenetに招待され、ワシントン訪問を終えたISI長官のLt Gen Ehsanul Haqは、パキスタンの対テロ支援を賞賛されるとともに、過激派たちを訓練するのを中止し、彼らが国境を越えインド側カシミールに送り込まないようにと、厳しく警告された。また一部の人々がアルカイダに共感したり指示するのをやめるよう、訴えられた。

アーミテージはパキスタンに向かう前に、パキスタン政府とその機関がいまだにインド側カシミールに過激派を送り込んでいる証拠をEhsanul Haqに突きつけ、厳重に注意した。そしてインド側カシミールにおいて過激派の活動を活発にすることによってインドが話し合いに応じると考えるのは、間違っていると指摘。9.11とイラク戦争の勝利のあと、アメリカはどんな理由であろうとも、テロ行為は決して認めないことを明確にした。「悪いテロリスト」に対抗する「いいテロリスト」はいないというのが、Ehsanul Haqに対するメッセージだった。

またアルカイダが国境付近で再編成しているという情報について話し合い、パキスタンのふたつの地域でMuttahida Majlis-e-Amal(MM)が選挙で勝ったことに、裏でISIが介入したとして警告を受けた。MMAはアメリカの指示を得るための要因にはならないこと、MMAの行動は議会の民主制のなかでだけに限定されるべきだと忠告。世界の異教徒に戦いを挑もうとするこの組織を、支持してはならないと表明。

garrISI chief receives praise and brickbat
By Khalid Hasan


■アルカイダは縮小されてもまたアメリカを攻撃できる[030514 Reuters]

サウジの爆発テロの背後にはアルカイダがいるようだ。このグループがビンラディンから指示を受けていたかどうかは不明であるが、彼の役割がどのようなものであったにしろ、テロは起こりえたとアメリカの諜報部員。イラクへの侵攻がアラブ過激派たちの怒りを買い、ビンラディンでなくても、この地域のテロリストだったら誰でも考えられる。

アメリカの諜報部は、サウジで何かが起こるという情報を得て、サウジへの渡航自粛を呼びかけていた。先週リヤドで爆発物押収テロ未遂事件がおき、サウジ政府は19人のアルカイダと思われる逃走犯の行方を捜していた。今回爆破された地域のひとつは、このアルカイダの集団が潜んでいた地域から数百ヤードしか離れてなかったという。サウジにいるアメリカに対してアルカイダが何かを企てていることをアメリカはつかんでいたが、誰か、いつ、どこでというところまでは追求できなかった。

garrohQaeda diminished but can still attack-US experts
Updates with U.S. official, paragraph 6, Sen. Roberts, paragraphs 14-16


■カルザイのもとでアフガニスタンは安定からほど遠い[030513 Reuters]

火曜日に出版された『International Institute of Strategic Studies』の「Strategic Survey 2002/3」は、武将たちに舵を取られ、アヘン経済がはびこるアフガニスタンの憂鬱な情勢を報告。IISSによるとは、アメリカの高官によれば、「武将たちの支配は不運であるが、現状ではやむを得ない。無政府状態よりはましだ」と述べたという。カルザイは武将たちを非難することはしても、彼らの役割を奪うことはできない。

IISSによると、ロシアは副大統領で国防相のタジーク族Qasim Fahimを支援。イランはヘラートのタジーク、イスマイル・ハーンを支援している。

アフガンの未来は
 ・パシュトゥンがあとどのくらいタジークのFahimの下でがまんできるか。
 ・Fahimを抑えることができないカルザイが、あとどのくらい政権を維持できるか。
 ・武将たちを支配下に入れることのできない中央政府は、どのくらい信頼されるか。
 ・ロシア、イラン、インドがその地位を確保していくなか、パキスタンがあとどのくらい介入しないでいるか。
にかかっている。

hoonAfghanistan seen far from stability under Karzai
By Alistair LyonLONDON


■アフガニスタンで平和維持軍が発砲され負傷[030513 AP]

火曜日に、2人のノルウェーの平和維持軍隊員が発砲され負傷した。2人はカブールからバグラムまで移動中だった。

garrPeacekeepers Shot, Wounded in Afghanistan
By TODD PITMAN


■元国王、リーダーシップを受け入れる用意有り[030513 Reuters]

アフガニスタンの元国王、Mohammad Zahir Shahは、もし民衆が望むのであれば、国のリーダーシップをとる準備があると、側近のHayatullah Dayani。ただし、選挙に参加するつもりはないとも。

タジーク優勢の現在の政権を排除して、パシュトゥン族である国王が政権をとることを望む人々が多い。同じパシュトゥンのカルザイ政権に不満がつのってきている。アフガンでは、来年6月に選挙を控えている。

hoonEx-Afghan king ready to accept leadership
By Sayed Salahuddin


■アルカイダが核と接触?[030519 Time]

アルカイダのKhalid Shaikh Mohammad(KSM)が、パキスタンの原爆の父とよばれるAbdul Qadeer Khanと接触していたとアメリカの諜報部。2人が同時期に同じ場所にいたとされる。Khalid Shaikh Mohammadはハーン氏と会ったことは否定。ハーン氏はTimeの質問に対する解答を拒否。

CIAによると、ハーン氏は北朝鮮の核開発にも関わったという。アメリカの圧力により、ハーン氏は現在核開発チームから降ろされ、許可なくしてパキスタン国外に出ることが禁止されている。常に軍の監視下にあるといわれているが、ワシントンによると、「自由に動き回っていて、スーツケーツの中に何もなくても、頭の中にすべてが入っている」という。

ohAl-Qaeda's Nuclear Contact?
By TIM BURGER AND TIM MCGIRK

(注・雑誌なので、発行日が1週間先の19日の表示になっている)


■アメリカと南アジアのサーガ[030512 Daily Times]

アーミテージはムシャラフを、約束を守る人間と評価したが、誰がそんなことを信じるだろうか? 彼は常に裏切ってきた。彼の約束した本当の民主主義はどこにあるというのか。アーミテージとライスは、ISIを賞賛。ISIは国を動かしている。政治家たちはISIに買収されている。ISIと前軍隊の長官 Aslam Begが選挙で不正を行なったことは公然の秘密である。反ISIの立場をとる政治家やジャーナリストたちは弾圧を受けている。だから、アメリカがISIを賞賛するということは、パキスタンの民主主義に塩を塗るようなものだ。

パキスタンの警察はアルカイダ逮捕に協力、アメリカはそれに対しても賛辞をあたえた。しかし、その逮捕の多くは不正に権力を乱用して行われている。テロリストであっても、そういうことはあってはならない。

最近の印パ関係は、外圧によって生じたのではない、と信じるようにしむけられている。パキスタンが突然、その大事な核を、インドも応じるならば廃棄してもいいと提案した。そんな大事な『赤ん坊』をパキスタンが手放すとは、とうてい考えられない。

裏で、何か大きなことが起こっている。印パ関係の正常化は二国間にとって大事なことだ。しかし同時にパキスタンの政治の自由を確保することはさらに大事だ。これはアメリカの支持を受けた軍に支配されていては、成し遂げることはできない。しかるに、アメリカの印パ関係への興味は、自由のためにではなく、アメリカの何らかの目的のためである。アーミテージの言葉の裏には何かあることは明らかだ。

rightThe US and our South Asian saga
Asma Jahangir


■Tariq Azizのアメリカ訪問は重要な意味をもつ[030512 The Nations]

ムシャラフの片腕、Secretary National Security CouncilのTariq Azizのアメリカへの急な訪問には、重要な意味があると思われる。アーミテージのパキスタン訪問直後であり、またISI長官Lt. Gen. Ehsanul Haqは、まだアメリカ滞在中である。Lt. Gen. Ehsanul Haqはタリバンとアルカイダ逮捕に関してアメリカで話し合っていると考えられているが、それに加えて、アザドカシミールでの、テロ兵士訓練所に関しても焦点が当てられている。アーミテージがパキスタン訪問の際、これらの訓練所について、パキスタン側にかなり厳しい発言をしたが、それでもテロリストの流出が減っていることは認識。しかし、このことに関しては、さらにインドを訪問してインドの意見を聞くとしていた。ムシャラフは、そのような訓練所はないと発言。

アザドカシミールの訓練所がパキスタン政府によって閉鎖されると、カシミールでの活動は致命的な打撃を得る。パキスタン側のムジャヒディーンたちは、カシミールでのインド人たちの武力行使や人権侵害がなくならないかぎり、このような一方的な処置は意味がないと主張。パキスタンは、ブッシュ外交がインド側が対話に応じ、問題を解決すると、説得されていた。

smellTariq Aziz's trip to US has special significance
From Afzal Khan


Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003.