【2003年06月09日〜06月15日】


■パキスタン、テロ計画容疑で2人のイスラム活動家を逮捕[030614 Reuters]

土曜日に、カラチで2人のイスラム過激派が、テロを計画したとして逮捕された。この事件は、先週爆発物を仕掛けようとして、左手を吹き飛ばされて逮捕されたRiazから得た情報に基づいたという。

逮捕された2人はHarkat-ul-Mujahideenの一員で、爆発物を押収。先月発生したガソリンスタンド爆破事件で使われたと同じ爆発物だったことから、警察は事件との関連を調べている。

hoonPakistan holds two Islamic militants for terror plot
KARACHI


■アメリカ、タリバンに歩み寄る[030614 Asia Times]

アフガニスタンの治安があまりにもひどく、また以前の共産主義時代の膨大な数の難民が帰国していることから、アメリカとパキスタンの諜報部はタリバンと会合をもち、なんとか国がさらに混乱しないよう、政治的な解決法を探ろうとしている。この会合をお膳立てしたパキスタンのジハード団のリーダによると、会合はISIとFBI、そしてタリバンの代表により、クエッタ近くのSamungliパキスタン空軍基地で行なわれた。

情報筋がアジア・タイムズに語ったことによると、タリバンがカブール政府のなかで何らかの役割を担うための調停が行なわれる前に、4つの条件が出されたという。

 ・オマール氏はタリバンのリーダーを降りる。
 ・現在外国兵に攻撃をかけているすべてのパキスタン人、アラブ人などの外国人を、ただちにアフガニスタンから追放すること。
 ・アメリカ兵または平和維持軍の兵士の捕虜をただちに解放すること。
 ・現在アメリカやイギリスに住んでいるアフガン人は、母国語をたとえ話さなくても、政治に参加――選挙に参加――できるようにする。

もちろん、タリバンは最初の条件は却下したが、他のことに関しては、柔軟な態度をとった。今後また話し合いがもたれるかどうかは不明だが、話し合いは不可欠であり、今後の接触が期待される。

この会合は、カブールが陥落したときにパキスタンに逃げ、ISIの家に匿われたタリバンの仲介で実現した。これらの逃亡者たちは、現在、パキスタンのジハード団とともに活動していて、彼らはタリバンのリーダーたちと接触するすべを知っているために、仲介役を担っている。

最初の会合の背景は、アフガニスタンにおける外国人兵士に対するゲリラ戦が頻発したためである。アフガンの抵抗行動に詳しい人々によると、タリバン崩壊後に出没している戦士たちは、ソ連と戦っていた戦士たちの4倍強くなっているという。その理由は、前タリバン政権が、アフガニスタンの最も強力な力、つまり、聖職者や宗教学生によってバックアップされているからだ。何世紀にもわたって、宗教者たちはアフガン社会において、もっとも尊敬されていたが、79年以前は、政治に参加することはなかった。逆に彼らの役割は戦いの仲介役だった。アフガンがソ連に抵抗しているときに、状況がかわった。宗教者たちはムジャヒディンの闘争を支持したが、Maulana Yunus Khalisなどの例外を除けば、彼らは指揮する立場には立たなかった。

80年代初期のソ連の撤退とタリバンの出現とともに、状況はまた一転した。タリバンはカブールで戦い、聖職者に導かれ、政治的な動きとなった。そして96年にカブールを支配した。彼らが強かった要因のひとつは、元来アフガン人、とくにパシュトゥンは、聖職者に対して銃を向けることを嫌ったからである。現在、外国人部隊に対するゲリラ戦で声を大にしているのは、聖職者だ。例えば、カンダハルの最も権威ある聖職者、Hafiz Rahimは山岳地帯で、武装集団を指揮している。アメリカ兵は、最新テクノロジーを駆使して戦っているが、地元のアフガン部隊の協力がなければ、Hafiz Rahimを追跡することはできない。彼は、これまで何十回もアメリカ軍に攻撃をしかけている。アメリカ軍は何人かの戦死者を認めているが、タリバン側はもっと多くアメリカ兵を殺したと発表している。タリバンの資金源は、カブールを撤退する前に中央銀行から略奪した金だ。その金額はUS$110 millionといわれ、このほか、オサマから受け取った金もある。

同時に、かの有名なヘクマチアルがタリバン戦に加わった。彼のHezb-i-Islami Afghanistan(HIA) はアフガニスタンでもっともよく組織された軍隊だ。カブール政府のトップの多くが、前HIAだ。彼らは一時反タリバンであったが、イスラムに忠実であり、反米の思想をもつ。また地方知事や高官のなかにも、前HIAがいる。アメリカの目からは怪しいと見えても、彼らがもつ巨大な政治力から、彼らを除外することは不可能なのである。

これらの人々の支持や、カブールの影響が首都だけに限られていることから、アメリカとその同盟軍は攻撃の的になる。伝統的に言って、このような状況のなかで、外国人部隊に対して、アフガン軍が暴動を起こすことがよくある。

問題はこれだけではない。世界各地から、200万人のアフガン人たちが帰還している。インド、ロシア、カンボジア、マレーシア、ジンバブエ、中央アジアから戻ってきているのだ。その多くは、ソ連侵攻時代、またその後の共産主義者たちである。一方その片割れは国に留まり、現在カブールで地位を築いているのだ。

現在、カブールは2つに別れている。まず親米。これはアメリカとその同盟軍、そしてカルザイ政権に忠実な人々である。2つめは親ロシアと親イラン。これを代表するのが防衛大臣のGeneral Qasim Fahimと北部同盟軍だ。今のところ、みんなが協力しているように見える。しかし、密かにそれぞれの地盤を築き、力を奪おうとねらっている。10月にロヤ・ジルガが始まるのだ。

この観点からみると、帰還した、あるいは帰還途中の前「共産主義の同志」はこれからの重要な鍵になる。というのは、もし北部同盟がある程度の大衆を引きつけることができたなら、そのリーダーたちがおおっぴらに抵抗分子と同盟を組んだとしても、驚きではない。

ohrightUS turns to the Taliban
By Syed Saleem Shahzad、KARACHI


■アメリカ、アフガンのケシ除草を否定[030613 BBC]

ガーディンアン紙が、アメリカが夜中にケシ畑を一掃するために、夜、ヘリコプターで除草剤をまいたという報道を否定。除草剤をまけるようなヘリコプターを所有してないと述べた。

hoonUS denies spraying Afghan poppies


■アフガン攻撃のために自爆テロの訓練[030612 Reuters]

内務大臣のAli Ahmad Jalaliが、アフガンの外国人兵士を攻撃するために、自爆テロ志願者が訓練されていると述べた。

訓練所がどこにあるかについては触れなかったが、以前カルザイ大統領が述べた声明では、アフガン国境近いパキスタンに訓練所があるという。

Jalaliは、ドイツ兵に対する自爆テロの背後にはアルカイダがいると信じていると述べた。また、アフガン諜報部は、この事件に先立ち、2つのテロ計画を事前に防いでいるという。そのひとつは、カブールの平和維持軍に対して、爆発物を仕掛けるものだったというが、詳細は述べなかった。

garrSuicide bombers train for Afghan raids - minister
By Sayed Salahuddin、KABUL


■アフガニスタン・テロに耐える[030612 Asia Times]

6月7日に起きた4人のドイツ兵が死亡したカブールのバス自爆テロ事件が、パキスタンのテロリストによる犯行だという見解を、アフガニスタンは発表している。ドイツの高官たちは、アルカイダの犯行を疑っているが、カルザイ政権の高官は、アルカイダでもタリバンでもなく、ビンラディンのInternational Islamic Front(IIF)のメンバーの仕業だという。

5つのパキスタンのテロ・グループがこのIIFに属する。Harkat-ul-Mujahideen, Harkat-ul-Jihad-al-Islami , Lashkar-e-Toiba, Jaish-e-Mohammadそしてスンナ派過激派のLashkar-e-Jhangvi(LEJ)。LEJの活動は主にアフガニスタンとパキスタンで盛んだった。9.11以前はタリバンとアルカイダと一緒に、北部同盟と対戦していた。またアフガン中部でのハザラ族の虐殺にも加わった。他の4つ組織は、アフガン、タジキスタン、インドで戦い、チェチェンやダゲスタンのテロ組織を支援していた。またタリバンとアルカイダに味方し、北部同盟とも戦った。

これらの組織は、2001年10月のアメリカの攻撃以来、大きな犠牲者を出し、生存者たちはタリバンやアルカイダとともに、パキスタンに流入、北西辺境州やバロチスタン、Federally-Administered Tribal Areas(FATA)に避難。後にカラチやパキスタン領カシミール、ギルギットやバルティスタンなどの北部地域に散っていった。パキスタンの組織の生存者たちは、ダニエル・パール誘拐殺人事件や、パキスタン在住の欧米人、またシーア派、キリスト教徒たちをターゲットとして行動、インド領カシミールでもテロを行なってきた。

アメリカの圧力により、パキスタンの諜報部はカラチでこの組織のリーダーたちを逮捕、裁判にかけた。一方、逮捕を免れた者はカチラから親タリバン政権が支配する北西辺境州に逃げた。ヘクマチアルのHizb-e-Islami(HEI) もここに集結している。

最近アフガンでは、これらの要員がパキスタンから越境してきて、ヒット・エンド・ランを繰り返している。しかし、アフガンのアメリカ軍は、パキスタンのこれらのテロ・グループを摘発したいと申し出ても、ペンタゴンは繰り返しこれを却下している。ムシャラフ政権が不安定になるのを怖れているのだ。

ムシャラフは、アメリカと協調しながらパキスタン領内のアルカイダを一掃しているが、タリバンやIIFに属するテロ組織に対しては、何の処置もおこなってない。パキスタンは彼らをインドに対して用い、また9.11以後、アフガン領内に住むパシュトゥンたちの領地を取り戻すために、用いているのだ。カルザイがイスラマバードを訪問したときに、パキスタン内にいると思われるタリバンのリストを提出したが、パキスタンはこれに対して、まだ何も行動を起こしてない。インド領内で運動する20人のテロリストリーダーについても然り。

今ではパキスタン領内に幅を利かせているアメリカの諜報部は、パキスタン領内でこれらのテロリストが活動していること、インドや軍隊、市民に対しても攻撃していること、カシミールやアフガン、アフガンにいる欧米軍に対して攻撃し、彼らが北西辺境州にいることも知っている。しかしアメリカ人たちは、ビンラディンやザワヒリなどのアルカイダだけを捜査の目標としている。パキスタンがアルカイダ捜査に協力する限り、アメリカのエージェントはタリバンやパキスタンのテロ・グループには目をつぶっている。なぜなら、ムシャラフに圧力をかけすぎると、軍における彼の地位が危うくなるからだ。

これらのテロリストを利用するために、パキスタンは2つの方法をとっている。まずISIが、インドでの工作のために、テロリストたちに直接支援を行なっている。アフガンにおいては、ISIは直接手出しはしてない。かわりに、パキスタンの退役軍人たちが手出しをしている。例えは、Lieutenant-General Hamid GulやLieutenant-General Javed Nasirで、彼らは1980年代と1990年代のISI長官だった。

Hamid Gulはアメリカの侵略やイラクの支配に抗議するために、さまざまな地域で活動。そしてイラク戦争でアメリカと戦って死んだ者の家族のために、資金を集めているという。イラクのバース党に属した兵士たちが北西辺境州やFATAに戻りはじめていて、IIFやアルカイダと一緒に、アフガニスタンやイラクの西欧の軍隊と対戦しているという。パキスタン人によるカブールのドイツ兵自爆テロや、アフガン東部や南部のタリバン、ヘクマチアルやアルカイダの活動、イラクでのアメリカ軍に対する攻撃はすべて同じ合同組織の犯行である。

カブールの事件のあと、ロイターがカルザイの声明を発表している。「タリバンのことは心配していない。タリバンはもう組織としては崩壊している。アフガン国境でのテロ活動のほうが心配だ」「反テロ組織はアフガン内には長く留まることができない。彼らはパキスタンとの国境に避難している。パキスタンがテロリストを一掃することを期待している」。カルザイはアフガンの治安を脅かしているのはアフガン人ではなく、外国人だ。外国人が自爆テロを行なったという。

カブールの事件は、アフガン南部でタリバン残党たちが40人殺された戦いの後に起きた。タリバンは戦闘を認めたが、タリバンの死者は8人で、残りは一般市民だったと主張している。アフガン政府側が市民を殺したのだという。この事件のあと、アフガン高官は22人の遺体をパキスタン領内に運び、パキスタン側に放置。遺体はアフガン人ではなく、パキスタン人だと言った。

ムシャラフがアメリカを訪問する20日前にこのような事件が起こるとは、理不尽なことだ。彼の軍諜報部に対するコントロールが失われてきているのだろうか。もしムシャラフが、このような行動がパキスタン領内から行なわれることを許しているとしたら、彼は二枚舌であり、信頼できないということだ。もし彼がこのような行動を制御できないのなら、パキスタンの武器がテロリストたちの手にり、アメリカに対して使われるのではないか、ということを心配しなければならない。

rightAfghanistan: Enduring terrorism
By B Raman


■ドイツ、カブールの爆発事件はアルカイダの仕業と[030611 AP]

ドイツの防衛大臣Struckが水曜日に、カブールでのバス爆破事件はアルカイダのメンバーの仕業だと述べた。まだ犯人は特定されてないが、ヘクマチアルや前タリバン政権と関係ももっていたという。

一方カブールでは、アルカイダとの関わりがあるという証拠はまだないと言われている。「遺体の一部が見つかったが、それだけで何かわかるというのか?」「アフガン人だか外国人だか、まだ全然わからない。捜査中だ」と、警察指揮官。カルザイも“外国人の仕業だ”と主張している。

カブールの平和維持軍のスポークスマンは、アルカイダとのつながりがあることはまだわかってないと述べた。ドイツの捜査チームが火曜日に到着、現在捜査中とのこと。ドイツ政府はStruckの見解についてのコメントは避けた。「防衛大臣は自身の情報からそのような見解を出したが、まだ捜査中なので、何ともいえない」。Struckは、犯人はヘクマチアルに資金的にも思想的にも支持されていたと述べた。

hoonGermany Blames al-Qaida for Kabul Bomb
TONY CZUCZKA、BERLIN


■誰がハザラを殺したか? そしてなぜ?[030611 Daily Times]

誰が13人のハザラ族を、クエッタで殺したのだろうか? 政府は、スンナ派過激派、 Lashkar-e Jhangviの仕業と考えている。しかし、この事件には裏がある。

これまでも、Lashkar-e Jhangviはシーア派を標的にしてきたが、この2年間、リーダーが逮捕されて以来、最近ではそれほど目立った行動はしていない。それなら、もし今回の犯行がLJのものだとしたら、誰がLJを動かし、誰が計画したのか?

次のことをまず考慮しなければならない。LJはタリバンと深い関係があり、これまで一緒に訓練を受けてきた。次に、タリバンはアフガニスタンでハザラ族を虐待、惨殺してきた。3つ目は、カルザイ政府はタリバンがパキスタンに逃げ込み、パキスタンから越境して攻撃してきていると訴えている。4つ目、2001年のタリバン崩壊後、ハザラ族はカルザイ政権に組み込まれている。したがって、アフガンとパキスタンのハザラ族は、アフガンのタリバンとパキスタンのLJの共通の敵である。

このことを考慮すると、クエッタでのハザラ族殺害は、カブールと反タリバン勢力に対して、ふたつのメッセージを送っているとみえる。まずはアメリカの言いなりであるカルザイ政府に対するメッセージ、そしてハザラと北部同盟を支持してきたイランに対するメッセージである。(中略)

パキスタンの国益はアフガンの安定と正常化にあり、カブールがトランス・アフガンとトランス・パキスタン天然ガスを中央アジアから引き、南アジアの膨大な市場にエネルギーを供給することを待ち望んでいる。カルザイ政権がこの商売においてパキスタンの輸送業に依存している限り、カルザイ政権の政治そのものには、それほど神経質になる必要はない。他のことに首を突っ込むと、パキスタンの治安が悪くなる怖れがある。以前、「我々のパシュトゥン」のために、タリバンを援助すると決めたことで、大きな問題が生じたではないか。現在、パキスタンの商人たちは、アフガンの再建と関わり、何か商売ができないか、先を争っている。カルザイが我々と友好関係にあるのは、アメリカの圧力のせいではなく、輸送業を必要としているからだ。しかし、最近のデュランド・ラインの問題は芳しくない。パキスタンに残存するタリバンがアフガンで活動している、というのがもっぱら定説だ。このミニ・戦争を考えれば、タリバンやタリバンを支持しているパキスタンのテロリストたちが、ハザラ族に攻撃をかけたと考えても不思議ではない。また無気味なことに、あたかもこの事件が引き金のように、トルクメニスタンの大統領が、アフガンを通してパキスタンに来るはずだったパイプラインの計画を変更した、という報告が入った。

トルクメニスタンは、Daulatabadのガスをトランス・アフガン計画を変更してロシアに引くと発表した。これはトルクメンの政治に大きな変化をもたらす。まずロシアを国に招き入れるということは、トルクメンはこれまでのように中立ではないということだ。またロシアにガスを与えるということは、アメリカがカスピ海で石油とガスを奪うという誤った考えを覆すことになる。そして最後に、トランス・アフガンパイプラインを中止するするというサインとみられる。トルクメニスタンがこの計画のために他のガス畑(油田)を捜すという事実は、中央アジアを他の世界とつなげるというパキスタンの夢が後回しになるということだ。

クエッタのハザラ族殺害は、イフラマバードにとって、大きな教訓となる。新タリバン政権崩壊したあとも、パキスタンではまだまだ問題が山積みだ。宗教過激派は、政府を脅かしはじめている。もし問題が起こりはじめたら、それはアフガン問題とは切っても切れない問題となる。

rightWho killed the Hazara and why?


■犯罪がビジネスになる商業地帯[030610 Asia Times]

パキスタン北西辺境州のノーシェラはパキスタンのなかでも最も危険な地域で、パキスタン人でさえ、行くのをはばかる。ここに、79年のソ連のアフガニスタン侵攻の際に建てられたJalozaiアフガン難民キャンプがある。この難民キャンプは、今、最も不思議な、そして最も非合法な「輸出・自由取り引き地帯」となっている。

このキャンプは、一時ジハード志願者も輸出していた。彼らは80年代、Professor Abdul Rab Rasool Sayyafが設立したDawa Wal-Jihad大学で訓練されていたのだ。この大学はサウジによって資金が提供された。ソ連に対抗するためだ。

数ヵ月前、この大学は、北西辺境州政府の方針で閉鎖されたが、かわりに、有名な麻薬王で武将でもある人物が用いている。彼に対しては、誰も手出しができない。

Sayyaf博士はIttehad-i-Islami Afghanistanのリーダーで、反タリバンの北部同盟の一員であった。彼はサウジと繋がり、大学という形をとってたこのジハード訓練所を運営した。アルカイダはこの大学で何人も訓練を受けた。その1人がKhalid Shaikh Mohammadだった。この男は2002年9月11日のカラチの家宅捜査で殺された。Khalid Shaikh Mohammadが2人いるので混乱が起きている。アラブ人のKhalidは、ジハード志願者たちの間では「Haji Mohammed」と呼ばれている。一方、後にクエッタで逮捕されたパキスタン人のKhalid Shaikh Mohammadは、「al-Balochi」と呼ばれる。Jalozaiで訓練されたのは、Haji Mohammedのほうだった。

ある時期、Haji Dost Mohammedがこの大学を牛耳った。彼はIttehad-i-Islamiに属する武将で、難民キャンプ出身だった。大学はサウジから資金を受け続けていた。しかしその一部だけがキャンパスに用いられ、ほとんどがHaji Dostの懐に入った。最初は絨毯織りから出発、後に工場を持ち、今は輸出業者となった。タリバンが退去したあと、麻薬王となり、今アフガニスタンの故郷、Lagmanに足がかりをもつ。

Jalozaiキャンプは輸出の拠点であり、絨毯やドラッグが作られ、他国に輸出なり密輸される。ここでは何の法律も適応されない。Dost Mohammedは40以上のカーペット工場を持ち、2ヵ所で酪農を行ない、ヘロイン工場を営む。これがキャンプの経済を支える。私設の刑務所と裁判所と警察システムが秩序を守っている。

現在Dost Mohammedはアフガニスタンにいて、ケシ栽培を監視している。パキスタンには親戚を残している。Dost Mohammedとその親戚たちは、パキスタンのエリートたちのなかに深く食い込んでいる。

Jalozai campの警察はinsbattiと呼ばれ、アフガン難民で構成される。数週間前、FBIがこのキャンプにタリバンがいるとして捜査しようとした。しかしinsbattiは彼らを拒んだ。なんとか捜査をしたときには、もぬけの殻だった。この事件のあと、諜報部はJalozai campを一掃することを提案。しかし結局Dawa Wal-Jihad大学だけを閉鎖したにすぎず、その所持品はパキスタン政府に受け渡すことになった。しかし実際は、コンピュータからエアコンにいたるまで、すべて移動できるものはトラックに積み込まれ、アフガンに消えた。

Jalozai campは、ソ連がアフガンを撤退した後すぐ、そのイデオロギーを失ったようだ。今ではタリバン、Hezb-i-Islami、北部同盟のすべての人々がここにいて、共存して、輸出に従事する。したがって、ときには、北部同盟に属するメンバーがアラブ戦士を匿い、逃がしてやることもある。ここで重要なのは金であり、政治やイデオロギーではない。

Jalozai campはタリバン政府が崩壊し、難民たちが故郷に帰国したたあとは、消滅するはずだった。しかしここでは輸出をとおして明らかに利益が生まれているために、キャンプはまだ運営されている。しかも、当局の鼻のすぐ先で。

garrrightA trade zone where crime is the business
By Syed Saleem Shahzad、JALOZAI CAMP


■ムシャラフ、ムラーそして法律[030610 Daily Times]

ムルタンの「猥雑な」女性のポスターを不法にはがす行為は、パンジャーブにも広がった。Jama'at-e Islamiの若者たちが、数万ルピー相当のポスターをはがしている。この行為はMMAが扇動した北西辺境州から派生し、パンジャーブにまで及んだ。非常に気になる事件である。

中略

現在のパキスタンの法律では、イスラム化について、さまざまな解釈ができる。しかし法令に関しては明らかだ。イスラム法は併用されることになっており、中央も地方自治体も、共に法律作りができるが、もし両者に違いが生じたなら、決定権があるのは連邦政府である。連邦政府が優位にあるために、Council for Islamic Ideology(CII)の勧告は連邦政府に任されている。CIIのメンバーも大統領が決定する。従って連邦政府は、北西辺境州政府のイスラムを用いての「社会操作」をよく見張り、MMAの扇動的な行動を阻止する方法を考える必要がある。

宗教政党が、どの程度社会を「改革」するつもりでいるのかはわからない。問題は、「猥雑性」に対して、社会的基準がないことだ。不当な行為や現象を定義しなければならないとしたら、裁判所は何が宗教を冒涜するかという、非常に中世的な声明を聞くことになる。同様にヴェールの問題も、イスラム世界でははっきり定義されず、まちまちである。もし過激派たちが自分たちの主張を通したなら、次第にパンジャープのほとんどの町が、過激な若者たちによって、自分たちのヴェールの基準を押しつけはじめ、政府は何もできずにそれを見守ることになってしまうだろう。

パキスタンにとって不幸なのは、21世紀において、強制されなければイスラムは生活の一部になり得ないということだ。さらに、地方において、ヒゲをはやしたギャングの粗暴な力によって強制されるしかないということは、もっと不幸なことだ。希望は失われたのか?

そんなことはない。ムシャラフの意見ははっきりしている。原理主義者たちの宗教観は受け入れないと明言した。パキスタンにおいては、国の創始者たちが望んだように、現代的で、中庸で進歩的なイスラムを望むと述べた。これが真のリーダーシップと言えよう。勇気をもって、わかり易く、そして正直に述べることが大切だ。ムシャラフはこれをやってのけた。国の官僚たちは大統領の言葉に耳を傾けるのか? 連邦政府はいつ「いい加減にしろ」というだろうか。

hoonMusharraf, mullahs and the law


■カルザイ、爆弾攻撃でタリバンでなく“外国人”を非難[030609 Reuters]

カルザイは、ドイツの平和維持軍部隊を殺害したテロは、“外国人”が企てたものと非難した。「私はタリバンの再結成については心配してない」とカルザイ。「タリバン運動は、運動としてはもうすでに終焉している」。「アフガン国境や国内で起こるテロ行為を心配している。テロリストや、反政府分子は、国内に長く留まっていられない。彼らはパキスタンとの国境地帯に潜んでいる」。「パキスタンの治安部隊が取り締まりを強化し、テロリスト訓練所や避難所、またリーダーたちが居住地を捜査することを望んでいる」。

カルザイはまた、アフガンの治安問題を脅かしているのはアフガン人ではなく、“外国人”だとも。「自爆テロを行なった人間はアフガン人ではない」。最近ではアフガン人自身による密告も多いという。先週Spin Boldak付近で40人のタリバン兵が死亡した事件も、地元の情報をもとに、戦闘があったそうだ。国の諜報活動が、最近では功を奏ではじめてきたといえ、ドイツ兵を狙った爆弾テロも、1週間前に情報を得ていた。この他、3件のテロを事前に防いだともいう。

hoonKarzai Blames Foreigners, Not Taliban, for Attack
By Mike Collett-White、KABUL


■アメリカ、アルカイダが2年以内にWMDを攻撃するかもと[030609 Reuters]

アメリカが、アルカイダが2年以内に化学生物兵器か核兵器を使った攻撃をしてくる可能性があると、発表した。「アルカイダは大規模な攻撃も続けるだろうが、銀行やショッピング・センター、スーパーマーケットや娯楽施設などをねらった小規模な攻撃目標も考えているようだ」と、国連のレポートで発表した。

「アルカイダは生物化学兵器や化学兵器、放射線や核兵器 (CBRN) などの開発を続けていて、2年以内にCBRNを用いる可能性がある」。アメリカ国内で起こるかどうかはについては、触れられていない。

hoonUS sees likely al Qaeda WMD attack within 2 years
UNITED NATIONS


■アメリカのヘリ、アフガンのケシ畑根絶秘密作戦[030609 Guardian]

Mohammed Hussainの住む アフガン西部のZafar Khel村では、アメリカ軍のヘリコプターがたびたびやってきては、雪山の中に潜むタリバンを捜査していた。しかし、今回のヘリコプターは今までと気配が違った。朝、ケシ畑に行くと、昨日まで青々と茂っていたケシが、すべて枯れていた。Zafar Khel村はトラボラから2時間のところにあり、ケシの栽培地でもある。

Hussain氏や彼の友達たちは、これはアメリカ軍のしわざだと確信している。夜中にヘリコプターでやってきて、除草剤をまき散らしたのだ。アメリカは南アメリカのアヘン収穫の一掃計画にこれまでずいぶんかかわってきたが、これらはすべて政府の同意のもとだ。アフガニスタンで同じことをすることは、また別問題だ。特に、住民の合意を得ずに、bio-sabotageをすることに対しては、大きな問題がある。

西欧の外交官たちは、このサボタージュを「根拠のないもの」と否定する。アメリカがタリバンを一掃した18ヵ月後、アフガニスタンではヘロインの収穫が大量にあった。タリバンの指導者、オマール氏は、アヘンの栽培を禁止するのに成功した。しかし、親米のカルザイ政権になると、ケシ栽培がまた盛んになった。去年、アフガニスタンは再び世界最大のヘロイン栽培国となった。アヘン畑は、タリバン政権だった2001年に1,685ヘクタールだったのが、30,750ヘクタールに跳ね上がった。イギリス主導で行なわれているケシ栽培撲滅運動は、今年、まったくうまくいかなかった。カブールでは、アフガン高官たちが、イギリスはanti-drugs計画を全くしないとぼやいている。一方、イギリスに入ってくる90%のヘロインは、アフガンからくる。

アフガンのアヘンの収穫を一掃することは、並み大抵のことではない。先週本紙がアフガン西部を旅したとき、ケシの収穫を終えた畑を何十と見た。ケシの収穫を行なっているAbdul Ahad氏は、西欧がアフガニスタンのケシ栽培を撲滅しようとしていることに、興味がないという。「アメリカが私の国を滅ぼした。ブッシュとブレアがおちぶれるのを期待している」。イギリスからやってきた客人にグリーンティーをふるまいながら、そう言った。村全体で、先月ケシの栽培を手伝ったのだという。

先週ロンドンでブレアに会ったカルザイは、ケシ栽培を中止することを主張した。しかしアフガンの高官たちは、タリバンと同じように農民たちを強制することはできず、またカブールは破産している。今年始めに、政府はカラシニコフを手に、アヘン畑を一掃した。畑の持ち主、Zarma Janは彼らが立ち去るまで待ち、去るやいなや、ふたたびケシを栽培したという。「彼らが10時頃やってきて、畑をめちゃくちゃにした。でも11時か12時にはまたケシの種をまいた。たった10分か15分で終わったよ」。なぜケシを栽培するか、と聞くと、「やっていることは不法だということは知ってる。だけで我々は貧しい。仕事はない。何もない。5人の子供と妻がいるんだ」。アフガンのNangarhar provinceでは、“campaign-wallahs”(キャンペーン野郎)と呼ばれるanti-drugs officialsと農民たちの間で衝突が起き、お互い負傷者を出している。

アフガニスタンのアメリカ大使は先週、タリバンがアヘンを一掃したことは認めた。しかし「自由と全体主義の間には違いがある。自由の利点は、欠点よりも大きいことを確信している」。Zafar Khel村に話を戻すと、帰り際、老人がやってきて言った。「アヘンが我々の村をだめにしている。アメリカがアヘンを一掃するのが早ければ早いほどいい」。

rightUS helicopters in secret mission to spray Afghanistan's opium fields
Luke Harding in Zafar Khel


■アフガン軍に、タリバン勧誘のチラシ[030609 Reuters]

前タリバン政権が、アフガン軍と警察に、カルザイとアメリカ軍に対抗するために原理主義運動に参加するよう呼びかけるチラシが、タリバンの運動が盛んだったZabul地域で配られている。

Zabulのdeputy governor、Mohammad Omarによると、「ここのところチラシが出回っている。軍と警察にタリバンに参加するよう、呼びかけている。最初は穏やかな言葉を使っているが、最後にはタリバンのいうことを聞かないものたちは殺すと脅かしている」。今のところ、この勧誘に乗った人はいないという。タリバンは、Zabulで単発的に行動を起こしていて、西欧の外交官もタリバンやそのシンパの数が増えていることを心配している。

garrLeaflets urge Afghan army to join Taliban
KABUL


■パキスタン、警察官見習い殺害で18人逮捕[030609 Reuters]

パキスタンの警察は、クエッタで起きた警察官見習いを殺害事件に関連して、過激派18人を逮捕。オートバイに乗ったガンマンが11人の警察官見習いを殺害、11人を負傷。死亡者は全員ハザラ族で、シーア派に属していた。バロチスタン州警察長、Humayun Jogezaiは、活動を禁止されているスンナ派ムスリムの過激派、Sipah-e-Sahaba Pakistan(SSP)のメンバー18人を逮捕したという。

クエッタでは、会社や学校などが喪に服し、休みとなった。ハザラ族のコミューニティー・リーダーは、3日間の喪に服すよう、呼びかけている。

garrPakistan holds 18 men over police recruits murder
QUETTA


■11人のパキスタン警官が撃たれる[030609 AP]

オートバイに乗った2人の男が、アフガン国境付近で警官を載せたトラックに機関銃で発砲、11人を殺害、9人が負傷した。ほとんどの警察官はシーア派に属していたことから、スンナ派による犯行ではないかと疑われている。警官たちは、トラックの荷台に乗り、クエッタの訓練校に行く途中だった。犯人たちは逃走した。

今のところ、動機は不明だが、この地域のハザラ族のリーダーSardar Musaによると、襲われた警察官たちはハザラ族だったという。ハザラはシーア派に属している。

この一週間、クエッタではシーア派に対する攻撃が3回起こっている。金曜日には、オートバイに乗ったガンマンがシーア派の宗教者を殺害、5月31日にはやはりオートバイに乗ったガンマンが、シーア派の有力者、Ghulam Nabiを殺害、息子を負傷させた。この3日間、20人以上の人々が、この事件と関係して逮捕された。

garrGunmen Kill at Least 11 Pakistani Cops
QUETTA


Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003.