【2003年11月24日〜11月30日】


■パキスタンのスパイがタリバンにバイクを支給[031130 Daily Telegraph]

タリバン戦士たちは、パキスタンのISI幹部によって支給された700台のモーターバイク、武器、衛星電話を用いて、アフガニスタンで攻撃をしかけてくると、同盟軍のリーダー。

タリバンのヒット・エンド・ラン攻撃には、バイクが不可欠だ。フランス人の国連職員も、パイクから狙撃された。また最近では、パイクに乗った数人が、カンダハル近くで援助団体のコンボイに発砲し、アフガン人4人を殺害した。8月には、2人のバイクに乗った男が、カンダハルの国連事務所に手榴弾を投げ込んだ。

タリバンの司令官は、パキスタンの国境にある小さな町Kila Abdullaで、あるパキスタンISI幹部と会い、取り引きをした事実を語った。それによると、イスラマバードが否定するにも関わらず、ISIの幹部たちはアフガニスタンにおけるインド諜報局に対抗するために、アフガンの抵抗分子を支援しているという。

ISI幹部によると、インドの高官はパキスタンで諜報活動をするために、アフガニスタンで工作しているという。「パキスタンのISI幹部は、アフガニスタンの国境の町で混乱を起こすことで、パキスタン側に潜入しようとしていると信じている」とタリバンのリーダーは語る。

ISIのメンバーの多くは、パキスタンがテロとの戦争を支持していることに不満を持つ。ISIはこれまでタリバンを支持してきており、幹部たちの多くは、いまだに密接な関係を持ちつづけている。タリバンとISI幹部との取り引きは、オマール師が設立した10人議会のメンバーであるHamid AghafとMullah Qudratullah Jamalが中心になって進められ、アフガニスタンにいる外国勢や地元の同盟軍に対して、新たなジハードをしかけようとしているという。先月、Mullah Jamalはパキスタンに旅し、ISIと話し合った。そしてバイク、ロケット弾、カラシニコフ、無線セット、何十という衛星電話、懐中電灯、ラジオを手に入れたという。バイクはほとんどホンドの赤い125ccらしい。

パキスタン政府は、繰り返しアフガニスタン政府を支持していると表明している。「我々はカルザイ大統領の味方であり、タリバンとは関係がない」とパキスタンの内務大臣Shaikh Rasheed Ahmedは語る。「世界は我々を疑うのをやめ、我々は単に黒いターバンをした者たちを逮捕できないのだ、ということを理解しなければならない」。

ohPakistan spies give motorbikes to Taliban killers


■タリバン、トルコ人技師を釈放[031130 AP]

タリバンが約1ヵ月前に誘拐したトルコ人技師を釈放したと、日曜日にアフガン高官が述べた。

ガズニ州知事によると、トルコ人技師Hasan Onal氏は、いま現在、アフガニスタン政府に保護されているという。タリバン高官は、Onal氏は部族長に引き渡したと、これに先んじて語っていた。

「やっとタリバン司令官Mullah Rozi Khanと交渉して、トルコ人技師を釈放するのに成功した」とガズニ州知事のHaji Asad Ullah Khanが『AP』に語った。Onal氏は無条件で釈放されたという。トルコの外務大臣Abdullah Gulは、Onal氏は信頼できる部族長のもとに現在おり、追って大使館に引き渡されると確認した。

タリバン高官のKhanによると、Onal氏は無条件で釈放されたが、アフガニスタン政府がラマザン明けの祝日Eid-ul-Fitrの前に2人のタリバンを釈放したことを受けて、釈放を決めたという。

hoonTaliban Releases Turkish Engineer
KANDAHAR


■ヘクマチアルの片腕、アフガニスタンで殺害[031130 Daily Times]

土曜日に米軍は、ヘクマチアルに従うアフガン人司令官を殺害したという。クナール州知事のSyed Fazal Akbarが『Afghan Islamic Press』に、「Hizb-e-Islamiの司令官、Ghulam Sakheeがアメリカによる掃討作戦で殺された」と述べた。「司令官は抵抗しなかったが、逃走中に殺害された」。

また、アメリカがクナール州で実行している作戦で、「Ghulam Sakheeの殺害以外に抵抗分子の抵抗があったとか、戦闘があったという話は聞いてない」という。5〜6人の抵抗分子を逮捕したほか、武器を押収しただけで、ヘクマチアルやアルカイダなどのアラブ戦士はこの地域にはいない、とも述べた。

hoonHekmatyar aide killed in Afghanistan
KABUL


■タリバンの指導者、「パキスタンで目撃」[031129 BBC]

先週、オマール師がクエッタで目撃されたと、カルザイ大統領がロンドンの『The Times』紙に語った。これまでオマール師が目撃されたという、確かな情報はなかった。

カルザイ大統領は同新聞に、クエッタは抵抗分子の拠点となっていると語り、ムシャラフ大統領に、イスラム過激派がアフガニスタンに流入するのを防ぐよう、要求した。しかしパキスタンの情報大臣のSheikh Rashid Ahmedは、オマール師が目撃されたという情報は「あり得ない」と語った。「そのような情報は真実ではない。アフガニスタンとはいい関係でいたい。我々はアフガニスタンを支持し、彼らは我々の助けを必要としている。我々はまだテロに対して戦っている」と『AP』に述べた。

smellTaleban chief 'seen in Pakistan'
BBC News


■パキスタンの矛盾[031128 International Herald Tribune]

パキスタンではひとつだけ、テロとの戦争で明らかになったことがある。軍の支配者層たちは、テロとの戦争に協力しているかぎり、大手を振っていられるということだ。長い目でみるとこの政策が、テロの一掃を妨害することになるかもしれない。

軍と野党との対立により、パキスタンの立法議会は麻痺し、軍は政治組織と外交を支配し続けている。ムシャラフ大統領は、軍と近い関係にある政治家たち「Pakistan Muslim League(PML)」を集め、ジャマリを首相に任命した。

しかしムシャラフの思うようには、いってない。ジャマリ首相は軍と野党(世俗政党と宗教政党)との調停に失敗している。野党は、ムシャラフが軍の長官と大統領を兼任することに強く反対している。

さらに最近、軍は反対派のリーダー、Javed Hashmiを逮捕した。HashmiはNawaz Sharifが率いるPMLの現役リーダーであるが、軍が政治に介入したのを批判したとして、逮捕された。Hashmiの逮捕後、ジャマリ首相は、今後、軍を批判してはならないと警告した。この逮捕は、ジャマリ自身の派閥であるPMLを驚かせた。これまでPMLは軍ではなく、PMLが国を動かしていることを、国民に印象づけようとしていたからだ。PMLの主用メンバーで、この逮捕に異議を唱える者はいなかった。さらにジャマリも内閣も、予め軍から相談を受けてなかったことも明らかになってきた。

アメリカはHashmiの逮捕に口出ししてないために、ムシャラフは自信満々だ。ブッシュ政権は、軍がパキスタンを支配することを望んでいる。そのほうが、テロとの戦いには有利だからだ。また、パキスタンがイラクに派兵することも望んでいる。

Hashmiの逮捕でひとつ明らかになったことがある。軍は世俗政党と宗教政党に対して、異なった態度をとっているということだ。宗教政党Muttahida Majlis-e-Amal(MMA)は、ムシャラフはアメリカに協力しているという理由で、彼を追放するよう、軍に繰り返求めている。しかしMMAのリーダーたちは、軍と近い関係にあり、逮捕されたことは今までない。軍は、ISIとつきあいが長い過激派のリーダーたちを逮捕することなど、考えてもみない。MMAはタリバンを支持し、カシミールで戦うジハード団たちを援助するが、これは軍の政策でもある。もちろん政府は公的には、これを否定している。

一般市民は、軍の政策に不満を感じ始めている。しかしムシャラフは、ワシントンから批判を受けることはないと考えている。今ブッシュ政権はイスラム世界に対して、これ以上独裁政権を認めないというサインを送っているにもかかわらず、パキスタンだけは例外だと軍は考えているのだ。

smell The Pakistan paradox --- U.S. support for Musharraf undermines war on terror
Ahmed Rashid、LAHORE


■パキスタンの部族地帯、名誉が法律[031127 San Fransisco Chronicle]

司令官が北ワジリスタンのチェックポストを通過すると、警備についていた警察官の1人、 「khasadar」が自分の帽子を差し出した。「帽子は彼らの名誉だ。帽子なくして、家に帰ることはできない。彼らの命は私たちと旅することになる。こうして我々は守られているのだ」と、司令官の車を運転する運転手が語った。

FATAは連邦政府管轄地であるが、実質的には地元パシュトゥン族の「法」のもとにある。そして彼らの法で最も重要なのが、「名誉」であり、「名誉」によってのみ、守られているといえる。この帽子の受け渡しは、安全を保証する儀礼でもあるのだ。もし帽子をもらった者が不幸にあったとしても、彼らは復讐を遂げることができる。パキスタンとアメリカは、今このkhasadars(責任の意)を、アルカイダやタリバン掃討作戦のために利用しようとしている。

北ワジリスタンのkhasadarsには、政府から給料が出ている。しかしパキスタンの高官たちは、この資金はアメリカが払っていると、ほのめかす。月に3万8000ドルを支払うというから、一日1ドルで暮らしている地元の人々にとったら、高額だ。部族民たちに対して政府は、道路や学校、病院などの基本的な施設を作ったりもしている。部族地帯で最も有効な方法は、彼らの枠組みの中で仕事をすることだと、北西辺境州の政府高官は述べる。「彼らの中に入って行けば、彼らを怒らせるだけだ。抵抗されるだけで、何の成果もない」。

地元民たちは、パシュトゥンの同志であるタリバンに対抗するブッシュ政権に、反感を持つ。「タリバンはいい奴らだ。誰にも危害を与えてない」。「長老たちは、ビンラディンはいい男だけど、何か悪いことをしたかもしれないから、気をつけろ、と言う。見つけたら、そっとしておけと言う」と、最近khasadarsになったKhurshidは言う。アルカイダについては報告しろといわれてるが、タリバンについては何の指示もないらしい。

イギリスは、部族地帯を支配することはできなかった。しかしこの地域の経済や軍を守るために、khasadarsを組織し、盗賊や殺人から道路を守るために、給料を払うことを考えついた。khasadarsの選出は部族民に任され、彼らは最も宗教心が高く、尊敬される男たちが選出された。khasadarsは逮捕する権利、ジルガを召集したり、裁判を行なう権力を持った。

各チェックポストには、4人から8人の男が警備についている。khasadarsは部族民に対して忠誠を誓っている。だから長老がアルカイダやタリバンを客人として匿ったとしても、反対するkhasadarsはいない。何人もの部族民が、アルカイダたちを匿っているといわれる

「部族民たちが彼らを助けていることは、わかっている。しかし我々に協力してくれる部族民たちもいる。これが結果的に、成功につながる」と政府高官が語った。

hoonIn Pakistan's tribal areas, honor is the law
Juliette Terzieff、North Waziristan


■沈黙の音に耳を傾ける[031127 Asia Times]

カシミールでの戦いが始まって以来、グジャラートからシアチェン氷河に至るインドとパキスタンの国境は、初めて静かになった。木曜日に、カシミールを分断する Line of Control(LoC) とシアチェン氷河に沿ったActual Ground Position Line(AGPL)で、停戦が結ばれた。(中略)

この停戦は楽観できない。これまで停戦の試みは、常に短命だった。(中略)

インドとパキスタンの関係は、極端に変化する。今回、インドはパキスタンの停戦を受け入れただけでなく、シアンチェン氷河のAGPLでも休戦を申し入れた。パキスタンはすぐにこれを受け入れ、国際的な国境に沿っての休戦を断言した。インドの専門家は、LoCの停戦よりも、AGPLの休戦のほうが重要と考える。シアチェンが静かになったのは、ほとんど20年ぶりだ。

シアチェンは世界でも最も高度の高い戦場である。これまでインドはAGPLでの休戦を2回、98年と99年に提案した。パキスタンは、現地にいるインドの軍隊が凍ることを期待して、どちらも却下した。今インドは、高度を支配している。インドとパキスタンは、何千という兵士を失っているが、ほとんどは、悪天候と高度のためで、戦闘によるものではない。シアンチェンの戦闘は、両国にとって、大きな負担となっている。(中略)

LoCに沿って住む住民によると、印パの戦いは、いつも雪が深くなる冬になると止むという。一番戦闘が多いのは、4月から6月、そして9月から10月にかけてだという。ということは、どちらにしても、LoCでは戦闘が休止する時期だった。それではシアンチェンでの休戦はどうだろう。そもそも、この地域に人は住んでないため、兵士たちにだけ影響力があるといえる。兵士には、いい休息になるだろう。しかし休戦は長く続くだろうか? パキスタンが、テロリストがインドに入らないように、止められるかどうかにかかっている。

hoonListen to the sounds of silence
By Sudha Ramachandran、BANGALORE


■パキスタン対インド:同じゲーム、新ルール[031127 Asia Times]

木曜日、パキスタンとインドの国境で停戦が結ばれた。アメリカがスポンサーとなったこの停戦は、いつまで続くだろうか。それほど長くはもたないだろう。The Line of Control(LoC)に分断されたカシミールと、シアチェン氷河に沿ったActual Ground Position Lineで停戦が実現したのだ。

停戦の動きは、アメリカの圧力のもとに、数週間前に始まっていた。パキスタンのISIは、アザドカシミールにおける“Forward Section 23”をまず閉鎖した。これはこの地域におけるすべての訓練所と、ISIの事務所の閉鎖を意味する。これだけではない。アメリカに圧力をかけられ、テロ組織の活動に関する国家のデータ・ベース、ジハードの名目で行なわれる武装活動などのすべての記録を、アメリカに提供した。このために、パキスタンのFederal Investigation Agency(FIA)には、新たな部署が設けられた。

この新部門は、Fareed Nawazが率いるFIAとFBIが共同でテロと戦うセクションで、『Asia Times』が入手した情報によると、一般には公表されてない。テロ活動に関わっている者たちの資料が収集され、指紋などとともに、データはFBIやアメリカの入関当局に流れる。また、改称して活動し始めた武装組織は再び活動禁止となり、活動家たちが何人も逮捕されたが、これとともに、全ての容疑者と組織の記録が、「テロ・データベース」化された。

パキスタンの行政に詳しい情報源によると、アメリカは、ISIにカシミールでの活動を放棄させるために、パキスタンの指導者層に頼らざるを得なかったという。つい最近大都市では、カシミールで過激派活動をする兵士たちの募集が、大々的に行なわれた。武装組織には巨大な資金があてがわれ、活動家が動員され、志願者を募った。そしてムシャラフ大統領はジハード組織のリーダーたちと話し合いの場を持ち、「誠心誠意」「カシミールにおけるジハード」を支持すると公言したといわれる。この公言のあとJamaatut Dawa(前Lashkar-i-Toiba)は、Mureedkeyやパンシャブで大きな集会を開き、そこで何千というジハード志願者たちが、カシミールを解放することを誓った。Khuddamul Islam(前Jaish-i-Mohammed)のMaulana Masood Azharがこの集会に招かれ、演説もした。

この集会の前、Azharはカラチに通い、Jaish-i-Mohammedの活動が禁止されるまで存在していた148のユニットのうち、32を復活させた。そして最後のカラチ訪問の前には、大がかりなキャンペーンが開始され、ポスターの費用だけをとっても、5万ルピーが導入された。カラチのBathaモスクに、約7000人が集まった。

カシミールでは、まさに大きな作戦が始まろうとしており、インドはパキスタンとの対話を停止すると思えた。しかしデリーは、ワシントンとこれまで保っていた良い関係を、維持することにしたのだ。その結果アメリカは、ISIのムンバイ・コネクション、インドの地下の帝王、ダウード・イブラヒムを「グローバル・テロリスト」に認定し、ISIはカシミールの事務所の閉鎖を決定した。ここしばらくの間、ダウードがカチラで目撃されていないにもかかわらず、アメリカは、彼がカラチに住んでいるとさえ非難した。

そして、アメリカが新たな親インド的な動きを始めたために、パキスタンは作戦を変えることにした。これまでジハード団たちは、カシミールからインドに入っていた。しかし今「侵入ルート」が変わり、武装集団たちはまずカラチに入り、シンドを通ってインドに侵入し、そこからカシミールか、あるいはインドの別のターゲットを目指すようになった。

《なぜパキスタンは、反インドの動きを止められないか》

数千人のパキスタン人が、ジハード組織のメンバーとして、これまでカシミールやソ連侵攻の際には、アフガニスタンで戦ってきた。アメリカがアフガニスタンを攻撃してからは、これらのメンバーたちは再び結束してムシャラフに対抗することだろうと誰もが思っていたが、この予測は、大きく外れた。ジハード団はISIの活動の一部であり、故ジアウル・ハク大統領やGeneral Akhtar Abdul Rehmanの申し児だった。その目的は、パキスタン軍を助け、準軍隊として戦うことだった。しかし89年のカシミール戦争の際、これらのジハード組織たちは非常に大きな役目を果たし、もはや軍からはみだしてしまったのだ。そこで90年代になると、印パ戦争の最前線として行動するようになった。

アザドカシミールのキャンプにいる情報源によると、ジハード団のメンバーたちは、実際に準軍隊として存在している。各ユニットには司令官がいて、軍幹部に報告を行なう。各司令官には資金があてがわれ、所属ユニットの戦略が指示される。司令官はラップトップ・コンピューターにデータを保存し、ターゲット、作戦、結果など、作戦の概要を軍高官に報告する。ジハード団の司令官と軍の野戦司令官たちは、常に連帯している。ジハードを支持する聖職者たち、例えばMufti Nizamuddin Shamzaiは説教を行ない、話すことを許された話題以外、外部の者には秘密厳守が徹底されている。

9.11以後、軍とジハード組織は袂を分けたが、それでも友達であることには変わりない。カラチのISIの事務所で会合が何度も開かれ、Shamzaiなどは、反米活動の限界について聞かされた。これらの聖職者たちは、常にこのような指針を守る。ISIは、部族民たちがタリバンを助けるためにハイウェイを封鎖したときに、Shamzaiを北西辺境州に連れて行き、これをやめさせた。興味深いことに、Jaish-i-MohammedのMaulana Abdul Jabbarなど、何人かの「特殊な」思想をもった過激派ジハード団たちが、ビンラディンのために名乗りを挙げた。ジハードの仲間たちはこれをISIに密告し、ISIは、ビンラディンを支持しないように助言した。諦めなかった者は、逮捕された。

ISIはジハード団たちに、パキスタンは彼らの組織を何ら攻撃がするつもりはないから、アルカイダに関しては妥協するようにと言い聞かせた。しかし、パキスタンはタリバンに興味がなかいから、タリバンがアフガニスタン政府内に地位を築けるよう、アメリカを説得するとISIは申し出た。本質的にいわゆるジハードの聖職者たちは、「イデオロギー」を追求する者たちではなく、ISIの駒にすぎない。

《カシミールにおける軍の関心事》

戦略的な興味とは別に、一般の軍高官から“Forward Section 23”に配置されている将軍に至るまで、パキスタン軍は誰でも「カシミールのジハード」に興味を持つ。軍は訓練所を運営する資金、志願者に対する賃金(各1万ルピー)、交通費や宿泊費の資金を持つ。また各「ムジャヒディン」たちがカシミールに入るときには、さらに特別な資金(2万ルピー)を払っている。もし死んだ場合、家族に対して見舞金(初年は5万ルピー、次の2年は2万4000ルピー)が支払われる。ISIもジハード団も軍も、一丸となってカシミールで戦い、戦いは今後も続くだろう。今現在アメリカの圧力のもとで起きている出来事は、すべて戦術の推移に過ぎず、カチラがジハード活動の中心に移りつつある。現実的に見て、カシミールのLine of Controlにおける停戦は、続くとは思えない。

ohPakistan-India: Same game, new rules
By Syed Saleem Shahzad、KARACHI


■Hizb-i-Islamiメンバー、アフガン政府と秘密裏に接触[031125 Daily Times]

ヘクマチアル率いるHizb-i-Islamiのメンバーがカブールを訪れ、アフガニスタン政府を転覆を企てている自分たちの党から離脱し、政府の主流メンバーと秘密裏の話し合いを持ったと、カルザイ大統領に近い情報源が『AFP』に語った。

Hizb-i-Islamiはカルザイ政権を失墜させ、アフガニスタンにいる外国人を追い払おうとしているが、Mullah Sharaf NazとKhalid Farooqi司令官を含むメンバー4人は、ヘクマチアルとは袂を分かち、新憲法を容認し、アフガニスタンの政治に参加したいと述べたという。大統領のスタッフはこの4人をもてなし、政府高官と会合を持ち、イギリス、アメリカの外交官と会ったと、欧米の外交官筋が述べた。

smellHizb in secret talks with Afghan govt
KABUL


■聖戦101[031201 Newsweek]

(前略)アフガン戦争は今、最悪の事態になっている。ブッシュ政権内でも、懸念の声があがり始めた。ビンラディンはいまだ隠れている。タリバンは再結成し、再建を妨げようとしている。オマール師が最近発表した声明で、「信仰を持つのであれば、犠牲を恐れてはならない」と呼びかけた。

北ワジリスタンのMiraliにあるマドラッサで、Abdulはこの呼びかけに応じる。この町出身のタリバンのリーダーたちは、約20年前、CIAがアフガニスタンにいるソ連と戦っていたころ、活動を始めた。現在、当時のマドラッサは、新しい戦士たちを生み続けている。このような学校が、ブッシュの政策を妨害している。国防長官のラムズフェルドは最近リークされたメモの中で、「原理主義的なマドラッサに資金を流す者たちを、どのようにして阻止できるか?」「『働けば働くほどひどくなる』という状況なのか?」と述べている。ムシャラフは1年以上も前に、マドラッサを何とかする、と約束した。「ムシャラフは色々言うけれど、何もしない」と、ペシャワルのDarul Uloom Zuberiaマドラッサの校長Maulana Abdul Qadrは言う。

しかし、状況は変わった。先週、ムシャラフは6つの武装組織の活動を停止させ、組織と関係があるマドラッサを封鎖した。さらに内務大臣のFaisal Saleh Hayatは、来週にもマドラッサに対する新しい規制が発表されると述べた。いっぽう原理主義政党は、抗議集会を開くと公言、最も原理色の強いマドラッサ、カラチのDarul Uloom Islamiaは、抵抗することを誓った。

ムシャラフの仕事は、うまくいきそうもない。パキスタンにマドラッサがいくつあるか、聖職者にさえわからない状況だ。政府はおそらく2万7000以上あると見る。多くはイスラムを教えるだけの平和な学校で、テロリストや戦士を養成しているわけではない。しかし生徒を聖戦に導こうとしている学校も、一部ある。Bahrul UloomマドラッサのZahidullahは、カシミール・ジハード団Harkatul Mujahedinのために、新人を送りこんでいることを自慢する。「インドの弾圧に、いかに抵抗しているかという話をすると、若者たちはみんなジハードに加わることを望む」。

ジハード志願者を募るだけでなく、隠れ家や物資を調達したり、秘密の会合の場となる学校もある。この夏、あるパキスタンの諜報情報によると、ペシャワルの南20マイルにあるマドラッサにタリバン幹部が集まり、今後の戦略を話し合ったという。(中略)

最近、何千というアフガンの若者たちが、パキスタンのマドラッサに入ってきた。バローチスタンのチャマンには、約300のマドラッサがあるといわれるが、どこも学生でいっぱいだ。アフガン側では、マドラッサの学生や卒業生がタリバンに加わるようになったために、これまで5〜6人の小さなグループで攻撃してきたタリバンは、今や100人以上のグループを結成するようになった。(中略)

パキスタンが原理主義を取り締まろうとしても、複雑な問題が立ちはだかる。マドラッサがなければ、約150万人のパキスタンの若者は、教育を受けられなくなるからだ。さらに、もしムシャラフがマドラッサを取り締まろうとしたら、国のジハード団たちは、戦いを挑んでくるだろう。「流血騒ぎになることは明らかだ」と、パキスタンの最大のマドラッサのひとつ、ペシャワルのJamia Islamia Taalemulqiranの校長、Maulana Anwar Ali Shahが語る。

しかし欧米が心配することは、マドラッサが暴力と憎しみを教え続ければ、流血が続くということだ。ペシャワルのDarul Uloom Haqqaniaマドラッサの校長Samiul Haqは、イラク、アフガニスタン、カシミールでの「自由のための戦い」を支持するという。彼は自分のマドラッサを「ジハード大学」と公言する。卒業生にはタリバン幹部が多数いる。オマール師は2年前までは、各卒業生に、個人的なメッセージを送っていた。しかしHaqは、学校では原理主義を教えてないと、臆すことなく否定する。「このマドラッサは軍の基地ではない。銃も戦車もない。我々がジハードを教えるのは、クルアーンがジハードを教えるからだ」。

『Newsweek』の記者が数週間前に、学校の卒業式に参加した。約1000人の卒業生とその親戚何千人もが詰めかけ、収拾がつかない状態だった。そこにHaqの長男がやってきて「ビンラディンとオマール師の友であれば、座ってください。ブッシュの友であれば、立ったままで」というと、全員が即時に座った。そしてムラーが「偉大なるアラーよ、タリバンと我々のリーダー、オマール師とオサマをお守りくだいさい。彼らは洞窟で生活し、苦しんでいる。彼らに救いの手を差し伸べ、健康を与えてください」と祈った。(後略)

カイバル峠に近いDarul Uloom Sapiaマドラッサを卒業したTalawat Shahは、集まった男たちに、この日をオマール師に捧げる、と演説した。「もしジハードを忘れたら、神は我々を忘れてしまう。しかしジハードに戻れば、神は我々を祝福してくれる」。彼の最初の仕事は、Qumber Khenにマドラッサを開くことだという。ここで学生たちに、ジハードのメッセージを語るのだという。

(掲載は11月24日)

garrHoly War 101
By Ron Moreau, Sami Yousafzai and Zahid Hussain


■アルカイダのアヘンに対して戦うアメリカの計画[031124 Guardian]

アメリカ軍は、これまでで最高の収穫高を予想されている次のアヘンの収穫に対して、戦いを挑もうとしている。ドラッグ取り引きは、今やアルカイダの最大の収入源となっているからだ。

カブールのアメリカ人高官が『Guardian』に語ったところによると、最近イギリスが実施しているアヘンに対する取り締まりは、大きな効果がないという。国連やCIAの報告によると、今年アヘンの樹脂は3600トン生産され、ケシ農家や売買人たちは、20億ドルを稼いだといわれる。(中略)

新しい計画によると、アメリカは中庸なイスラムの同盟国、トルコかバルカン半島の国々に、約400人の兵士をアフガニスタンに派兵し、ドラッグを取り締まるアフガン警察を護衛するよう依頼するという。この部隊はアヘンが収穫される2週間の間、国中をパトロールする計画だ。これで少なくともケシ栽培の25%は削減できる。

カブールにいるイギリスの外交官は、このような計画があることは認めたが、外国兵の派兵が果たしてケシの収穫期に間に合うのか、はなはだ疑問だという。「少なくとも2月には準備できてなければならない。不可能だ。この国では、何かしようとすると、何でも時間がかかる」。

今までワシントンは、アフガニスタンのドラッグ問題を、ヨーロッパ、中でもイギリスに任せていた。カブールにいるイギリスとアフガン高官たちは、アメリカのやり方に不満だ。アメリカが味方につけようとして保護している軍閥たちが、アヘン栽培に関わっているからだ。米軍の特殊部隊が『Guardian』に語ったところによると、ヒルマンド州のアヘン畑を頻繁にパトロールするにもかかわらず、そこで取り締まることは禁止されているという。

このワシントンの政策が、最近変わった。これはイギリスがドラッグの取り締まりに失敗しているからというよりは、タリバンやその同盟を一掃できない、自国の失敗に対処するためだと、カブールにいるアナリストは言う。タリバンはヒルマンド、カンダハル、ナンガハル州のケシ栽培地域を支配し始めた。北部のケシ栽培地域も、アメリカの敵の手の中にある。欧米の諜報源によると、北部、バダクシャン州のアヘンは、原理主義派Hizb-e-Islamiが牛耳っている。パダクシャンの今年のケシの収穫高は、55%も増えた。

International Crisis GroupのVikram Parekhは、「地元の協力者を通してタリバンを一掃しようというアメリカの計画は、失敗した」という。「タリバンは良い統治と法的処置によってのみ、征服される。これには、薬物の取り締まりも含まれる」。来年のアフガンのケシの収穫高は、4500トンが見込まれている。「イギリスは何もしてない」と、アフガニスタン最大のケシ栽培地であるナンガハル州、シャララバードの薬物取締官のAbdul Ghausは言う。

ジャララバードの郊外でケシを栽培するMohammed Janは、「去年、政府は私のケシ畑を台無しにしていったが、今後そんなことはさせない。剣と銃で戦ってやる」。彼はもしケシ栽培で食えなかったら飢えるしかない、と言いながら、大きな金の指輪をしている。カブールのアフガン高官は、「彼らは飢えた農民ではない」という。しかしだれもがJanのようではない。ケシ栽培しか生きる道がない、貧しい農民がほとんどだ。

もちろん、ケシ栽培は撲滅しなければならない。しかし、もし撲滅したら、アメリカのせいで何千といる貧しい農民は、現金収入がなくなることになる。「タリバンが南西部で活動しているのは、その地域で支持を得ているからだ。ケシ栽培を撲滅するだけで経済援助をしなければ、アメリカはこの地域全体を敵に回すことになる」と、International Crisis GroupのParekhは述べる。それよりは、アフガニスタンの強力なドラッグ王を取り締まったほうがいい。「政府内には、ドラッグ商売に深く関わっている者が多い。誰が関わっているか、知らない者はいない。内閣にさえ、そういう者がいる。彼らを一掃するべきだ。そうすれば、この国の他の問題も解決できるはずだ」。

garrUS plans war on al-Qaida's Afghan opium
James Astill、Kabul


Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003.