【2004年11月01日〜11月07日】


■アフガン抵抗勢力、捕虜の交換を要求[041107 AP]

3人の国連活動家を誘拐したタリバンと関係のある抵抗勢力は、人質と交換に、グアンタナモに収監されている可能性のある26人の解放を要求した。

組織の報道官だというIshaq Manzoorは日曜日の午後に『AP』に電話で、26人のリストをアフガン高官に手渡したという。政府特使は、囚人たちの居場所を捜すために、2日間の猶予を求めたという。

hoonAfghan Militants Seek Prisoner Exchange
By STEPHEN GRAHAM、KABUL


■南ワジリスタンの衝突、継続[041107 Dawn]

南ワジリスタンのSpeenkay RaghzayとKarwan Manzaで、抵抗勢力と治安部隊の間で衝突が続いている。衝突は金曜日の夜にも及んだ。負傷者の情報はない。

抵抗勢力は夜間Karwan Manzaにいる治安部隊を攻撃し、逃走した。軍は砲撃したという。土曜日を通してSpeenkay Raghzayでも、交戦が続いた。

hoonClashes in S. Waziristan continue
WANA


■パキスタンとの国境付近の米軍基地に、ロケット弾[041107 AFP]

今週の初め、抵抗勢力がパキスタン側から、アフガニスタンにいる米軍が率いる同盟軍にロケット弾を撃ち込んだと、米軍報道官が発表した。

パキスタン軍は「ロケット弾攻撃」に関する情報を受け、ロケット弾が発射されている地域に駆けつけたと、土曜日に米軍報道官のScott Nelsonが述べた。ロケット弾は、パクティアのShkin基地に向けて発射されたという。タリバン戦士たちは定期的に米軍基地を攻撃している。「パキスタン軍が国境の反対側で我々を援助し、ロケット弾を発射している地域を攻撃した。非常に前向きの姿勢だ」という。

hoonSuspected militants fire rockets at US military camp near Pakistan
borderKABUL


■パキスタンの部族民長老に原理主義がとってかわる[041106 BBC]

パキスタンは部族地帯に、膨大な数の兵士たちを送り込んでいる。カイバル峠は非常に危険な地域だ。パキスタンの部族地帯は簡単にロマンチックになる。部族民たちは古代の掟に従って生きている。抵抗民たちは強力な敵に対して、数多くの誉れ高い勝利を納めてきた。1842年に、イギリス軍1万7000人がカブールからカイバル峠を目指して行進していた。部族民がこれを攻撃し、1人のイギリス人、ウィリアム・バートンだけが生き残ったといわれている。

最近ではアフガニスタンで戦った部族民たちは、カラシニコフだけで戦闘ヘリコプターを攻撃し、ソ連に勝利した。そして今、自分たちの政府であるパキスタン政府に対しても、抵抗運動を続けている。

パキスタンの法律は、部族地帯の幹線道路にしか適応されない。道路から一歩出たら、ジルガにもとづく部族の法則に従うことになる。

《変化》

部族地帯は埃っぽく、暑い。伝統的な部族の生活は、近代化の影響を受けて変化し始めている。高い塀で囲まれた家は、要塞のようだ。ここには何も生えていてい。土地を耕せないために、部族民は密輸で暮らす。アフガニスタンで栽培されるドラッグは、部族地帯を通過して欧米に流れる。

部族文化は、何世紀も変わっていない。復讐、名誉、ホスピタリティー、そして女性に対する古い慣習。これほど長い歴史を持っているために、部族民たちは今後も変化を受け入れないだろうと思われていた。しかしそうではない。

部族のシステムは崩壊している。急速に変化する世界のなかで、古い伝統がこれまで持続してきたことは驚くべきことだ。しかしとうとう彼らの生活習慣は、世界のコミュニケーションの近代化とともに、受け入れがたくなってきた。

《変化》

例えばバローチスタンのAttaullah Mengalを例にとろう。

部族のリーダーたちは、近代化が自分たちの利益になることに気づいている。Mengalは1954年に部族の長老となり、長老として最高齢である。若いころは、絶大な権力をもっていた。今日に至っても、部族のリーダーたち氏族間の問題を、炎で裁くことがある。被告人は燃える薪の上を7歩、歩かなければならない。もしやけどをすれば、有罪となる。

しかしMengalは、このような時代遅れな裁きはしないという。また教育に関しても、前向きだ。これまで娘に教育を受けさせなかったことを、後悔しているそうだ。

ある部族民リーダーの話がある。政府が、彼の土地に学校を建てようとした。「学校はいらない」と彼は拒否する。「明日、その理由を教えよう」。そして翌朝、政府の人間と2人で猟りにでかけた。そして鴨を銃でしとめると、大声を出した。それと同時に彼の周りにいた部族民たちが、まるで犬のように、鴨を取りに、湖の氷の水の中に飛び込んだ。彼は政府の人間に言った。「もしこれらの人間が教育を受けたら、私のしとめた鴨を取ってきてくれるだろうか?」

しかし私が部族地帯で数週間過ごしてみた限り、このような考えはもう廃れつつある。部族民たちは、発展とともに、希望があることを理解しつつある。道路も欲しいし、電気も学校も欲しい。何カ所かで、このような施設が導入されている。完全ではないが、長期にわたる解決策である。

しかしいっぼうで、伝統的な部族の長老たちが弱体化したことで、そこにイスラーム原理主義が入ってくる危険性がある。

《聖戦》

そこで、ワジリスタンのMohammedが登場する。

彼は現在22歳。3年前にタリバンとともにアメリカ人と戦った。「彼らはモスクを爆撃し、子供を殺害していた。戦いに行くことが、私の義務だった」と語る。数ヵ月後アメリカ人に捕まり、グアンタナモ刑務所に送られた。現在パキスタンの刑務所にいる。

彼に会ってみると、非常に強靭な男だった。30分間話しただけだが、物静かで、意思が強く、そしてかなり怖かった。彼には誘拐されたくない、そんな気がした。彼が釈放された場合、再び聖戦に参加するだろうと感じた。

Mohammedは部族の伝統に根付いた残虐な暴力性と、イスラーム軍事主義を結合させる。これは致命的な結合だ。ワジリスタンは、いかに原理主義が強いかを証明する。ここ12ヵ月間、ワジリスタンはアメリカのテロとの戦争の前線となっている。

アメリカの圧力のもとに、パキスタン政府は部族地帯に数万人の兵士を派遣している。ブッシュの勝利とともに、ワジリスタンの作戦は、今後も続くことが予測される。しかしその影響は大きい。ワジール族の若者に支持された外国人抵抗勢力たちは、パキスタン兵数百人を殺害している。ワジリスタンの部族の長老たちは、なんとか和解のための交渉に持ち込もうとするのが、せいいっぱいだ。しかし若者たちは交渉などしたくない。地元のムラーたちに鼓舞され、彼らは戦うことを誓う。

ワジリスタンのバザールで入手できる歌を聞くと、この地域で軍を用いた結果、その代償の大きさが明らかにになる。「ワジリスタンはこなごなになってしまった。そしてこなごなになった数千の地域は、それぞれイスラームののろしを掲げるだろう」。

hoonRadical change for Pakistan's tribal elders
By Owen Bennett-Jones


■パキスタン人抵抗勢力、アフガニスタンで欧米人誘拐を計画[041105 Daily Times]

アメリカは木曜日に、パキスタン人抵抗勢力たちがアフガニスタンで非政府組織に属する欧米人を標的とした誘拐や自爆テロの計画があると、暴露した。

国務省によると、カブールの米大使館は9月以来、この計画に関する情報を受けていたが、詳しい時間や場所はまだわからないという。アフガニスタンに在住のアメリカ人に、「アメリカ国民を狙った自爆テロや誘拐事件」が起きる可能性があると警告した。「パキスタン人抵抗勢力のグループがラマダン明けに、アフガニスタンに工作員を送るようだ」という。

"Pak militants plot to kidnap Westerners in Afghanistan"
WASHINGTON


■国連捕虜、病気[041105 News]

Jaishul Muslimeenは人質と交換に、アフガニスタンとグアンタナモ刑務所に収監されている25人の囚人の解放を求めた。

Jaishul Muslimeenの報道官Sabir Mominが『News』に、政府や国連との仲介役を引き受けている2人のアフガン人商人に、25人の囚人のリストを手渡したと述べた。要求を受け入れるか否かの返答は、金曜日の午後2時までとした。3人は組織の人間と同じものを食べているために、病気になったという。

「Jaishul Muslimeenは乾いたパンと一般的なものを食べる。人質にもこれしか与えることができない。このような食べ物に慣れていないために、人質たちは病気になったようだ」と述べた。

Jaishul Muslimeenのリーダーが状況を監視しており、次の段階を決定するという。

hoonUN hostages stated to be ill
By Rahimullah Yusufzai、PESHAWAR


■アフガン捕虜、危険度が増す[041104 AP]

3人の国連職員を人質にしている抵抗勢力たちは木曜日に、人質解放のための要求に関する話し合いが決裂したために、金曜日に3人を殺害するかどうかを決定すると発表した。解放の条件には、タリバンの釈放を含まれていた。

タリバンから派生した組織Jaish-al Muslimeenは『AP』に、アイルランド系イギリス人Annetta Flaniganは疲労のために衰弱しており、3人ともクッキーしか食べずにいるために、栄養失調になっていると述べた。

組織の司令官によると、国連とアフガン高官が電話で接触してきて、交渉に応じると述べたという。しかし「我々はこれ以上は交渉に応じないことにした。なぜなら人質解放のために、政府側は努力をしていないから」だと、Sadir Mominが電話で語った。「明日我々は会議を開き、殺害するか、さらに時間を猶予するかを決める」という。

garrAfghan Hostage Crisis Intensifies
By STEPHEN GRAHAM、KABUL


■パキスタンでアルカイダ幹部、逃走[041004 Asia Times]

パキスタンはブッシュ大統領に、最高の大統領選挙の贈り物をすることができそうだったのに、最後の最後に容疑者を取り逃がしてしまった。

火曜日に、パキスタンとアメリカの治安部隊がカラチで大きな作戦を行なったことを、『Asia Times』はワシントンとカラチの情報源からつかんだ。標的はアルカイダのナンバ−3、リビア人のAbu Faraj al-Libiであった。

4時間に及んだ作戦の結果、数人が逮捕されただけで、Farajは取り逃がしてしまった。ある情報源によると、パキスタンの高官はアメリカに、大統領選挙の直前にFarajを贈るつもりだと予告していたという。しかし土壇場になって、イスラマバードは意向を変更したのだという。

Farajはアメリカに対する攻撃を指揮しており、Khalid Shaikh Mohammadのあと、アルカイダのナンバ−3に昇格した。ムシャラフの暗殺やカラチの警察司令官暗殺も、Farajの仕業とされている。北アフリカのアルカイダ組織だけが、資金の上でも人材の上でも、打撃を受けずにいまだに存続している。

ISIとFBIは今年になって、Farajが南ワジリスタンに隠れていることを突き止め、その後パンジャーブに移り、カラチに移動することがこれまで逮捕されている容疑者の取り調べから予測されていた。

諜報部はザワヒリとウズベク過激派ユルダッシュが南ワジリスタンのアザム・ワルサックにいることも突き止めていたが、その後行方をつかめずにいる。またビンラディンはシャーワルにいると確信されていたが、彼も見失ってしまった。

パキスタンとアメリカはこれまでの戦略を変更し、標的がやすやすと消えてしまう部族地帯で標的を捜すのではなく、パキスタンの都市部を捜索することにした。その結果、南ワジリスタンから逃走してきたタンザニア人のAhmed Khalfan Ghailaniなどを逮捕している。

ある情報源のなかには、Farajはすでにパキスタンの諜報部に逮捕され、逮捕の発表の時期を見計らっているとするものもあった。しかし火曜日の作戦に先立ちある幹部高官は、「我々はまだ逮捕していないが、かなり近い所にいる。彼の動向を監視しており、近々逮捕される予定だ」と語った。

警察は、今回の作戦は対テロ作戦のようだと指摘していた。いっぽう軍は、通常の訓練であると主張した。しかしFBIが参加したり念入りな建物の捜索から、訓練であるはずがないと見られていた。

smellAl-Qaeda kingpin gets away in Pakistan
By Syed Saleem Shahzad、KARACHI


■アルカイダと関係のある外国人2人逮捕[041103 AP]

パキスタンの諜報部は、アルカイダと関係があるイラク人とアフガニスタン人を逮捕したと、高官が火曜日に発表した。

2人は月曜日に、イランとの国境付近の町であるTaftanに向かうバスに乗ろうとしていたところを、クエッタで逮捕された。イラク人はMohammed Khalidと名乗っているが、2人ともテロ組織の幹部ではないという。

hoonTwo foreigners arrested in Pakistani city for suspected links with al-
Qaida


■南ワジリスタンで地雷爆発、兵士24人負傷[041103 News]

月曜日に南ワジリスタンのTiarzaで、手榴弾を誤って操作し、兵士24人が負傷した。抵抗勢力は各地で、ミサイルやロケットを軍に撃ち込み、軍に対する攻撃を続けている。

情報源によると、通常の武器の清掃訓練で、兵士が誤って手榴弾を爆発させてしまい、本人の他に兵士23人が負傷した。

いっぽうNazh Meraにいる抵抗勢力たちは、Makeenに駐屯している軍にミサイルやロケットで攻撃を続けている。またMakeenのRoman MelaとShahjehan Melaの臨時基地も、攻撃されている。軍は山中に隠れている抵抗勢力に対して、砲撃で応戦しているようだ。

Karwan Manzaの山岳地帯で、交戦があった。抵抗勢力はロケット弾や軽兵器を用いるいっぽうで、軍は大砲や迫撃砲を用いて戦った。

Spinkai Raghzai付近のMorghibund地域に隠れている抵抗勢力は、Kharha Leetaの軍基地に迫撃砲を撃ち込んだ。基地は直撃を受けたという。

hoon24 soldiers hurt in S Waziristan grenade blast
By Sailab Mahsud、TANK


■カルザイ、大統領選に勝利[041103 AP]

カルザイは水曜日に、大統領選挙での勝利を宣言した。カルザイは10月9日の大統領選挙で、55.4%を獲得したという。

hoonKarzai Wins Afghan Presidential Election
By STEPHEN GRAHAM、KABUL


■マフスード、ホテル爆破を主張[041102 Daily Times]

先週発生したイスラマバードのマリオットホテルの爆破事件は、前グアンタナモ囚人だったアブドゥッラー・マフスードの犯行と、あるパキスタンジャーナリストが月曜日に述べた。

Rahimullah Yusufzaiによると、先月中国人技師の誘拐を命令したアブドゥッラーが彼に電話でコンタクトを取り、木曜日のホテル爆破事件は、自分が首謀したと述べたという。

政府は、爆破事件はテロではなく、漏電だったと主張している。

smellMehsud claims hotel bombing
ISLAMABAD


■パキスタン軍、対テロ訓練実施[041102 AP]

当局は月曜日にカラチで、パキスタン軍エリート部隊による通常の対テロ訓練を実施したと発表したが、住民は実際の作戦が行なわれたのではないかと疑っている。

準軍隊であるレンジャー隊のJaved Zia中将は、軍の特殊部隊が「対テロ作戦の練習」を実施していると発表し、訓練であると主張した。また内務省の危機管理責任者Javed Iqbal Cheema准将をはじめ諜報部高官2人も、現在作戦は行われていないと述べた。

4階建ての建物の屋根に奇襲部隊を下ろしたり、テロリストから人質を救出する訓練が行なわれ、ヘリコプターも出動した。地上では兵士たちが壁をよじ上がり、建物内に侵入したという。

smellPakistani Troops Conduct Anti-Terror Drill


■銃とビラ、しかし敵の姿なし[041101 Indipendent]

軍の人間が、ビンラディンのビラを車からばらまいていた。(中略)

ワジリスタンは、ビンラディンの隠れ家のようだ。しかし最近の作戦で、ビンラディンは別の場所に移動したように思える。カラチのスラム街、カシミールの山中などではないかと、FBIは考えている。イエメンやアメリカにいるという説もある。しかし部族地帯では、いまだにゲリラ戦が続いている。数週間前、Sakhi Rahman司令官の軍隊がいる国境のチェックポストが、攻撃された。ある高官は腕を失い、もう1人が負傷した。タリバンも数人殺害された。国境を警備していたパキスタン人兵士が、死亡したり負傷者したタリバンの回収に協力していたと、司令官は述べる。また彼の部下は、タリバンと一緒に攻撃をしてきたパキスタン人戦闘員を殺害したことがあるとも語った。

Rahman司令官は、CIAの基地であるChapman−−特殊部隊や一般には知られていない戦士が、約1000人の傭兵を訓練するアメリカの秘密基地−−から、報道官には口外しないようにといわれていたが、次のように語った。「パキスタンが各戦闘員に、5000ルピー支払ったらしい。男たちはハッカーニの部下だった。ハッカーニがミラン・シャーに住んでいることは、誰でも知っている。なぜパキスタンは彼を逮捕しないのだろう」。

アメリカ人高官は、ハッカーニはパキスタンにあるマドラッサのネットワークを通して、政府高官を殺害したり、アメリカの補給車や政府高官を攻撃するために、洗脳された若者たちを送り出しているという。ほとんどの場合、未熟なゲリラたちは殺害される。Rahman司令官は語る。「パキスタンはアメリカに協力しているというが、それは嘘だ。パキスタンは2つの顔をもつ」。Frunze Military Academyで訓練された、旧共産主義諜報部責任者Kilbaz Sherzai将軍も、同意見だ。彼は現在アフガニスタンのコーストで働き、最近暗殺を免れたばかりだ。「ハッカーニが暗殺者を送った」という。ハッカーニを捕らえれば、テロの首謀者の居場所がわかるはずだと語る。「彼はビンラディンの友人で、アルカイダといくつものつながりがある。ビンラディンがどこにいるのか、おそらく知っているだろう。なぜパキスタンがハッカーニを逮捕しないのだろうか」。

smellGuns and leaflets, but still no sign of the enemy
Nick Meo


■ビンラディンの作戦[041101 UPI]

ビンラディンは最近のビデオで、自分が世界の最重要テロリストであり、世界のスーバーバワーに立ち向かう、唯一のリーダーであることを証明しようとした。(中略)

パキスタンが否定しているにもかかわらず、ビンラディンは2001年12月9日にトラボラから逃走して以来、パキスタンの部族地帯に隠れている。当記者とUPIのチームは、村人からビンラディンがティラー谷を通ってトラボラから脱出したという報告を受け、2001年12月11日に現場に到着した。地元民たちは2日前にビンラディンが馬に乗り、50人の従者とともにティラー谷をから出てきたことを確認している。パキスタンのFATAからペシャワルに通じる幹線道路の付近にいたらしい。ビンラディンはスモーク・ガラスを施した四輪駆動で、ペシャワルの方角を目指した。

クエッタから来る道の両側には、地主や部族のリーダーの高い塀で囲まれた家がある。ビンラディンはこれらの建物の中に、簡単に隠れることができる。タリバン幹部も同じような土地を所有し、そこで自由に暮らすことを許されている。チャマンも、タリバンの新しいリーダーたちの砦だ。パキスタンジャーナリストの中には、タリバン諜報部責任者の衛星電話番号を知っている者もいる。タリバンたちは、アメリカに対する攻撃を大げさに、あるいは完全な作り話を、小出しに提供している。ビンラディンはパキスタンの都市部でも、やすやすと隠れることができるだろう。巨大なスラム街をかかえるカラチには、1500万人が居住する。ペシャワルにはパシュトゥン族が多く、ビンラディンのように、6フィート以上もある者がいる。FATAでは、「自由のための戦士」と賛えるビンラディンのポスターが、バスに張られている。ビンラディンはISIの保護も受けている。

タリバンが崩壊した2001年11月以前、ISI工作員1500人がオマール師の政権を守っていた。ビンラディンやアルカイダ幹部とも協力し、カンダハルとジャララバードの訓練所に、志願者を送り込んだ。

パキスタンのアルカイダ・ウォッチャーは、ムシャラフはビンラディンの捜索に乗り気ではないと述べる。ビンラディンが生きて、あるいは死んで逮捕された場合、アメリカに引き渡さざるを得ない。そうしたら、パキスタンはアメリカにそっぼを向かれてしまい、援助金も入らなくなってしまう。

9.11委員会のレボートが発表される3ヵ月前に、委員会の会長Phil Zelikowはある著名なパキスタン人に、「9.11のテロ攻撃に先立ち、パキスタンで何が起きていたか教えてほしい」と尋ねた。この問いに対する返答は、567ページに及ぶ委員会のレポートには間に合わなかったが、その内容はおそらくムシャラフにとって、核の闇マーケットの情報以上に、彼を窮地に追い込む内容だった。

カーン博士は核の拡散のゴッド・ファーザーだった。9.11の未発表レポートには、次のようなくだりがある。

 1. ISI前高官は9.11計画を事前に知っていた。

 2. ビンラディンはトラボラ以後、パキスタンを脱出していない。

 3. ビンラディンはペシャワル付近の軍の病院で、肝臓の治療を受けていた。

ムシャラフはもちろんこれを否定するだろう。1999年のクーデター以前に陸軍長官であったにもかかわらず、ムシャラフはアメリカに、カーン博士の動向については何も知らなかったと述べている。これは嘘だった。ムシャラフはカーンを許し、核で儲けた財産をそのまま与えた。ビンラディンについての嘘も、同様に空虚に聞こえてくる。

garrBin Laden's game plan
Arnaud de Borchgrave


■敵と見方を見分ける[041101 Los Angeles Times]

「タリバンはここにはいない」と警察長官。「いまだかつて、いたことがない」と州副知事も語る。「ここはアフガニスタンで最も安全な場所だ」。

第一海兵隊Whiskey Company司令官のJeremy Wilkinson少将は、疑心暗鬼だ。毎週米軍は、銃を持った男たちに攻撃される。「悪い奴らはいないというが、なんで俺たちは攻撃されるんだ」。アフガン人たちは答えない。(中略)

その夜、Wilkinsonは偵察隊を出して、タリバンが国境を越えてないか、警戒した。しかし何も起きなかった。米軍が13台の車列を組んで移動するのを察知して、タリバンは逃げたのだろう。しかし国境を越える隠れ道が2つあることは、わかっている。兵士たちも、抵抗勢力が面と向かって戦わないことに、いらいらしている。彼らはヒット・エンド・ラン攻撃しかしない。

長老たちが、タリバンはいないと主張することにもいらだつ。アメリカの偵察機は、ここにタリバンがいることを示している。「この谷は、抵抗勢力の最も多い所のはずだ」という。

その晩Magar村の長老が、Wilkinsonと通訳をラマダン明けの食事に招いた。黒髭の Walikha Khanは、兄のBarakhは、6ヵ月前に米軍に撃たれて逮捕されたと述べ、自分たちは戦うことを恐れていていと警告した。彼の父と祖父は、ライバルの部族民を殺害した。自分は部族民であろうがアメリカ人であろうが、侵略者とは戦うのだ、と述べた。

さらに、敵の部族民たちが、タリバンがこの村にいると嘘をついているのだとKhanは主張する。「ロシア人のような間違いを犯してはならない」と言う。「ロシア人はスパイを雇い、スパイは嘘の情報を流し、その結果全員を敵に回したのだ。アメリカ人だって、同じことになるかもしれない」。

Wilkinsonは静かに茶を飲んだが、この警告は真摯に受け止めた。Khanに、海兵隊が安全に村を通過できるよう、保障してほしいと述べた。村の長老は、米軍の安全を大げさに保障してみせるのが常だ。パシュトゥン族の掟では、客人の安全を保障する。しかしKhanは、「あんたがたの安全は保障したくないけど、努力してみる」と答えた。

保障してもらえなかったのは、Wilkinsonにとっては初めてだ。しかし、怖がっていないことを見せなければならない。「それならいい。誰かが戦いを始めれば、いつでも準備はできている」。その晩Wilkinsonは基地の周りに狙撃班を配置し、谷の周辺にパトロール隊を派遣した。攻撃はなかった。翌朝Magarを出る際、迫撃砲を20砲発射して、威嚇した。

村の何人かは、タリバン支持者であるはずだった。「10人のうち2人は我々を憎んでいる。その2人が誰なのか、見極めなければならない」とWilkinsonは語る。パトロール隊は無事に最終キャンプについた。Wilkinsonは偵察隊を派遣したが、何も見つけられなかった。

結局、何の収穫も得られないパトロールだった。タリバンも、タリバンの痕跡もない。迫撃砲を発射したが、銃を撃つことはなかった。逮捕も、武器の押収もなかった。「自分たちが存在することを示し、社会が何を必要としているかを聞いたり、質問をすることなどで十分なのだ。また行くよ」とWilkinsonは述べた。(後略)

hoonSorting Friends From Foes
By David Zucchino、MAGAR


■ビンラディン、米大統領選を前にいまだ行方不明[041101 Reuters]

(前略)最近のインドのスターテレビの情報によると、ビンラディンを乗せた10台の車列がパキスタン東部を移動しているのを、インドのスパイ偵察機が発見したという。情報の出所は、アメリカのフォックス・ニュースに出演した諜報アナリストJohn Loftusである。

Loftusは、インドの海外諜報部Research and Analysis Wingが、偵察機のパイロットが車列を発見し、FBIを警告をしたという。インドの偵察機がパキスタン上空を飛ぶとは信じられない。しかしこの噂は、注目された。

『The Times of India』はさらに詳しく報道。イスラエルのウェブサイトww.debka.comが、ビンラディンが10月17日〜19日に、パキスタンの北東部でインド空軍機に発見されたと報道した。救援の偵察機が呼ばれたところ、アルカイダのリーダーは10台の日本製黒色ミニバンの車列で移動していたという。10月22日にはそのうちの4台が、さらに東部の中国国境に向かったというのだ。

先月パキスタンのウルドゥー語紙『Khabrain』でも、ビンラディンがカシミール北部に隠れているという報道が掲載された。インド〜パキスタン〜中国の国境にある裸の山脈に向かっていたという。インドの高官はこれに対して何もコメントしておらず、インドの防衛アナリストも報道の信憑性を疑っている。パキスタン軍報道官のShaukat Sultan中将も、このような報道の信憑性を却下した。「奇想天外だ。何も聞いていない」という。

『ニューズウィーク』はアメリカ高官の話として、「数週間前、ビンラディンの居場所を知っているパキスタンにいるアルカイダ工作員を、もう少しで捕まえるところだった」と報道した。(後略)

smellBin Laden at large on eve of U.S. election
By David Brunnstrom、ISLAMABAD


■アフガンの誘拐犯、交渉の用意完了[041101 AP]

抵抗勢力は月曜日に、国連の使節団と交渉に入る準備が整ったと述べたが、人質を救出しようとしたら殺害すると述べた。国連のアフガニスタン撤退を要求し、アメリカにはグアンタナモに収監されている囚人の解放を要求した。

人質の殺害に関する最終期限にはいくつかの情報があり、混乱している。『AP』が受けた電話によると、組織のリーダーは最終期限を水曜日にしたが、組織の報道官は金曜日だと述べた。

タリバンから派生した組織は月曜日に、人質は3人とも別々に、ある場所にいると述べた。組織の報道官Ishaq Manzoorが、「これが我々の作戦だ」という。「もし政府や合同軍が1人を救出したら、2人は殺害する」と、『AP』に語った。

政府は、誘拐犯からは何の連絡もないと語っている。しかし組織のリーダーAkbar Aghaは月曜日に、アフガン人ビジネスマンが仲介者となっていると語った。「あるアフガン人商人が国連の代理として、我々と交渉している。彼と話し合うために、2人の男が任命された。明日、ジャララバードで交渉することにした」という。

国連報道官Manoel de Almeida e Silvaは、交渉が進行しているのかどうか、コメントすることを避けた。Manzoorは、Jaish-al Muslimeenと呼ばれる組織は、金曜日まで人質を殺害するのを延期すると述べた。組織は、イギリスのアフガニスタン撤退を主張している。いっぽうAghaは、イギリスの撤退は水曜日までに行ない、国連には、アフガニスタンに介入を止めてほしいと述べた。

人質の様子を映したビデオで、顔の見えない質問者が英語で、なぜアフガニスタンに来たのか、なぜアメリカやNATOはアフガニスタンとイラクに派兵しているのかと、繰り返し質問した。人質の1人Nayanは、「我々はアフガン人たのめに来た」と述べ、Habibiは、自分はセルビアのムスリム自治区であるコソボから来たと述べた。しかし誘拐犯は、コソボがどこか、わからない様子だった。「ムスリムの国だ。私はムスリムを助けたかった。今は国に帰って、兄に会いたいだけ」とHabibiは語った。(後略)

hoonAfghan Kidnappers Ready to Negotiate
By STEPHEN GRAHAM


■米兵、アフガニスタンで殺害される[041101 AP]

月曜日に抵抗勢力がアフガニスタン南東部でパトロール中の米兵を攻撃し、米兵1人を殺害し、2人を銃撃戦で負傷させたという。

これとは別に月曜日にアフガン兵がザーブル州で警察と衝突し、カンダハルではアフガン軍が抵抗勢力と戦い、2人を殺害したという。

バトロール中のアメリカ軍は、パクティア州のオルグン村の付近で攻撃された。パキスタンとの国境付近である。米兵士1人が死亡、2人が負傷した。

ザーブル州ではアフガン軍と警察が衝突し、米軍が介入する騒ぎになった。負傷者が出た模様である。アフガン国軍がカラートのチェックポストで警察の武器を取り上げようとしたと、警察副長官Jailani Khanが述べ、軍は警察の武器を取り上げる権限はないと主張した。

カンダハルでは、アフガン軍がカンダハル市のDuraiバザールで、戦闘員と銃撃戦になり、2人を殺害したと、カンダハル知事の報道官のKhalid Pashtunが述べた。

hoonU.S. Soldier Killed in Afghanistan
By STEPHEN GRAHAM、KABUL


Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003, 2004.