【2004年11月29日〜12月05日】


■ビンラディンの居場所は不明[041205 Washington Post]

(前略)ビンラディンの捜索は、アルカイダの傘下の組織がその捜索を妨害しているために、はかどっていない。パキスタン軍は部族地帯で、誰を追跡しているのか、どの組織を追跡しているのか、その対象がわからないことが多いという。

「誰に対して作戦を行なっているのか、我々はわからないことが多い。しかし突然、重要な者を殺害したことが判明する」と、ムシャラフは語った。「偶然行き当たる」のだという。

数週間前の捜索で、パキスタンの治安部隊はアフガニスタンで起きた3人の国連職員誘拐事件の首謀者を逮捕した。「捕まえるまで、それが誰なのかはわからなかった」とムシャラフは語る。また最近は、東トルキスタンイスラーム運動のメンバーを殺害している。ウイグル自治区の抵抗勢力だという。

パキスタンのリーダーは昨日、軍が南ワジリスタンから撤退しないと述べた。南ワジリスタンの5つの谷から過激派を一掃したために戦略を変更し、山中に撤退した者たちを、ヘリコプターを用いて攻撃するという。

ムシャラフは『Washington Post』とのインタビューで、国民の怒りを買うために、外部の者がカーン博士を取り調べる可能性は全くないと述べた。カーンの問題は「パキスタン国内では、非常にデリケートだ」という。「彼は国民の英雄だ」と付け加えた。

ムシャラフは軍における地位を捨てることや、民主主義への新しい一歩を踏み出すように、ブッシュから圧力はかけられていないと述べた。ある高官は、ムシャラフは「パキスタンのペースで」完全な民主主義の方向に歩んでいると、称賛した。「民主主義は強くなっている。彼はいっそうこれを強化している。完全な民主主義の道を歩むことを、明確に打ち出している」と述べた。(後略)

smellMusharraf: Bin Laden's Location Is Unknown
By Robin Wright and Peter Baker


■アフガンのアヘン戦争に不穏な動き[041204 BBC]

(前略)ビンラディンが隠れていたことで有名なトラボラの森の見える地域で、新たな戦いが始まった。この地域はケシの栽培で有名だ。国連は、今年になってケシ栽培がますます盛んになってきたことを忠告し、アフガン政府や国際社会は、なんとか不正取引を根絶しようとしている。しかし、これは成功していない。

トラボラの斜面にある村の住民は、怒っている。ケシ畑に、不審な飛行機が飛来して、除草剤を散布していったという。住民はアメリカかイギリスの仕業だと非難する。「10日前、夜中に飛行機がやってきて、旋回していた」と、Agam地域のPachirに住むNader Khanが語った。朝になると、畑に小さな灰色の粉が散布されていた。「私の小さな畑に、ケシを蒔いたはかりだった」という。「全滅だ。作物もだめになった」。畑のあちこちで、タマネギが枯れかかっていた。薬品の散布のせいなのかはわからない。ヤギも影響を受けたという。

カブールのアメリカ大使館は、このような空中散布はしていないと述べ、また誰かにこれを依頼したこともないという。イギリス大使館も同様だ。またケシがまだ育っていない時期に除草剤を散布したところで、その効果は少ないと指摘する。しかしトラボラで起きたこの謎は、解決していない。散布されたという灰色の粉は、Khogyani地域でも見つかった。アフガニスタン政府はすぐにサンプルを分析をしたというが、結果は発表されていない。

いずれにしても外部の人間に対して、不信感が募っている。「なぜこっそり薬品を散布するのだろう」。「もし我々のために道路やダムや電気を引いて援助してくれるのなら、アヘン栽培はしない」と農民は語る。

シーズンの初めにケシを撲滅しようとする計画があるなら、それは効果的ではないようだ。Pachir wa Agamでは、再びケシが栽培された。小さな芽がすでに出ている。

アヘン栽培がこの地域の経済に組み込まれているのが現実だ。「ザヒール・シャーの時代から、ケシを栽培している」とHaji Zarghounは語る。「家族が30人もいる。アヘンを栽培しなければ、どうやって生きていけるだろうか」。「イスラームに反することは知っているが、選択肢がない。腹が減れば、豚肉だって食べる」。(後略)

hoonMistrust hampers Afghan opium battle By Andrew North


■ブッシュ、パキスタンのビンラディン捜索を擁護[04204 AP]

ブッシュ大統領は土曜日に、米軍もパキスタン軍もビンラディンを探し出せずにいるにもかかわらず、パキスタンがビンラディン捜索に協力していることを称賛した。

国境地帯から撤退するというパキスタン軍の声明が出された数日後に、ブッシュはムシャラフと会談した。しかしブッシュはパキスタンとムシャラフを、テロとの戦いとその捜索に関して称賛した。(後略)

hoonBush Defends Pakistan's Hunt for Bin Laden By JENNIFER LOVEN、WASHINGTON


■タリバンを見つけ出す方法[041204 Guardian]

アメリカは、アフガニスタンでタリバンを必死に探している。しかし隣のパキスタンでは、タリバンを探し出すのは簡単だ。バザールをうろうろすればいい。

クエッタのKusi Streetには、さまざまな武器が売られている。ビンラディンがカラシニコフを持ったボスターがドアに掲げられ、タリバン聖職者のステッカーが、壁に貼り付けられている。

Talib Speeches Centreには、若者にジハードに参加し、殉教者を悼む詩を朗読するカセットが、1本25パイサで売られている。カウンターに座る男は、タリバン支持者だという。「アフガニスタンにイスラーム政府が樹立されるまで、故郷には帰らない」と店主のMuhammad Gulは語る。

「私はムジャヒットだ。死ぬまで戦う」と、アフガニスタンでゲリラ戦を戦ってきたばかりだという、22歳のYar Muhammadは主張した。彼はロケット弾の撃ち方、道端に爆発物をしかける方法、アメリカに対して夜間に襲撃を行なう方法を訓練されたという。「服を着替え、ターバンをとって変装する。髭を剃る者さえいる」という。

Muhammadは、自分の原理主義の主張をマドラッサで演説するために、クエッタに来たのだという。米軍は、タリバンは一掃され、リーダーは分裂したと主張する。しかし今、暴力が再び活発になってきた。ここ数週間、米兵2人とアフガン兵4人、援助活動家3人が襲撃されて死亡した。いっぽう米軍は、タリバンの冬期の拠点を襲撃しようとしている。タリバンの春の攻撃をくじくためだ。

タリバンは再び戦闘を開始しようとしている。クエッタのような町がタリバンを匿っているために、タリバンがやすやすと国境を越えると、アフガン高官たちはいらつく。

カンダハルの警察長官は、パキスタンはタリバン一掃に本腰ではないという。「タリバン幹部10人が、まだパキスタンにいる。援助する者がいることは明らかだ」。原理主義のリーダーで、カンダハルの前タリバン司令官のMullah Naquibは、「パキスタンがタリバンを支持していることは明白だ。彼らの言うことは信じない」と、非難する。

パキスタンはこれを否定する。(中略)パキスタンの高官は、アフガニスタンとの間に広がる長い国境の安全を確保することは、不可能に近いという。バローチスタンには、全人口の44%が住んでいる。「抵抗勢力たちにとっては、絶好な土地だ」と、地方警察長官のShoukat Haider Changeziが語る。「安全を確保するためには、膨大な費用がかかる」という。

しかし、ムシャラフのタリバンに対する政策はあいまいだ。パキスタンの強力なイスラーム原理主義者たち、聖職者、軍将軍、スパイなどは、タリバンとのつながりがある。ムシャラフは彼らを見逃すように努めている。「時には取り締まっても、二重政策をとっている」と、欧米の高官は語る。クエッタのようなタリバンの活動拠点は、見て見ぬふりをする。「タリバン問題は、非常にデリケートだ」と、クエッタの警察副長官Muhammad Riazは語る。

クエッタは、原理主義の中心地である。イスラーム神学者協会が運営するマドラッサは、1990年代からタリバン戦士を育成してきた。今でもマドラッサは運営され、そのリーダーたちはまだ活動している。「我々は道徳的にタリバンを支持している。クルアーンでは、ジハードはすべてのムスリムの責任であることを明言している」と、クエッタのイスラーム神学者協会のリーダー、Maulana Noor Muhammadは語る。しかし戦闘員たちに、武器を供給してはいないという。「どうやったらできるというのか。我々には武器はないし、金もない」。「タリバンは、降伏することは絶対にない」と付け加えた。

国境の反対側のカンダハルのSingesarでは、タリバン支持はもう少しあいまいだ。以前オマール師が教えていた崩れたマドラッサの外で、Muhammad Ewazはオマール師を、「宗教的な良い男」だったと語る。「少なくともそのころ、我々は安心して暮らせた」という。今の政府は信じられない。「兵士たちが少年たちを誘拐し、闘犬をしたり、ハシシを吸う。そんなやつらは信じられない」。タリバンたちはSingesarから逃げ出し、国境を越えて、パキスタンに入った。彼らがパキスタンにずっといるかどうかはわからない。「新政府によるだろう。今のところは、何ともいえない」。

hoonHow to find the elusive Taliban: pop down to the shops in Quetta
Declan Walsh in Quetta and Kandahar


■タリバン、恩赦を拒否[041204 Daily Times]

タリバン戦士たちは、アフガニスタンのカリルザド大使が呼びかけた恩赦の申し出を、拒否した。タリバンの報道官のLatifullah Hakimiは、タリバンはそのような恩赦を受け入れたりはしないと述べた。「これはタリバンを分裂させようとする企みだ」という。

Hakimiによると、タリバンは今後も戦いを続けるという。「米軍がアフガニスタンに侵攻している限り、和解はない」。「タリバンは武器を捨てることはない」。

hoonTaliban reject amnesty offer
ISLAMABAD


■アメリカ、ビンラディンではなく、民主主義に焦点[041202 AP]

少し前までアフガニスタンにいる米軍は、今にもビンラディンを国境付近の洞窟から駆り立て、アメリカの大統領選挙の前にもつかまえるかのように言いふらしていた。今アメリカの司令官たちは、ビンラディンやアルカイダ幹部の創作は諜報部の仕事とはいえ、アフガニスタンの民主主義を保護し、経済を回復させてタリバンを一掃することが大事だと述べる。

スパイや情報提供、電子盗聴器や偵察機はすべて米軍空軍の管轄である。しかし最近放映されたビンラディンやザワヒリのビデオからは、何の手がかりも得られていないという。ビデオのうちの1つは、イスラマバードのテレビ局に届けられた。「諜報的な価値はほとんどない」と、米軍Olson司令官が『AP』に語った。パキスタン側でも、ビンラディンの痕跡はない。「ワナやその付近にいることを示唆する情報は、全くない。しかし捜索は続けられる」という。

11月21日には、トラボラからそう遠くないナンガハールで、アルカイダの捜索があり、アラブ人戦士を含む数人が殺害、あるいは逮捕された。またその1週間後には、ある「アルカイダ工作員」を標的とした別の捜索があり、容疑者の妻が逮捕されたが、これは部族の掟に反するとして、暴動にまで広がった。オルソン司令官によると、逃走した容疑者は「中級幹部」というが、このような捜索によってのみ、大きな獲物が捕らえられるという。「この方法で、ビンラディンやザワヒリの居場所が、最終的にわかるだろう」という。

また国境に沿って、新たに軍を配置して、国境を出入りする抵抗勢力たちを捕らえるという。そのためには、パキスタンの協力が重要だ。パキスタンの司令官たちは、アルカイダ幹部がワジリスタンにいる可能性はほとんどないという。(後略)

hoonU.S. Focusing on Democracy, Not Bin Laden
By STEPHEN GRAHAM、KABUL


■米大使、タリバンに呼びかける[041202 AP]

アフガニスタンの米大使がタリバンに、カルザイ大統領のことを認めて投降したタリバンには恩赦を与える、と呼びかけた。しかしオマール師を含め、アルカイダと関係があると思われる100〜150人にはこの恩赦は適応されないという。(中略)

以前は武装していた数多くのパシュトゥン族が、村に戻った場合、逮捕されないかどうか政府に対して伺いをたてているという。穏健派タリバンが、国会に参加するのではないかという憶測もある。(後略)

hoonU.S. Ambassador Appeals to Some Taliban
By STEPHEN GRAHAM、KABUL


■証言:ビンラディン、パリ島ホテルの爆破をけしかける[041202 AP]

去年、インドネシアのマリオットホテルで起きた爆破事件は、ビンラディンによってけしかけられたものだと、この事件で告訴されている過激派が木曜日に証言した。

「ビンラディンにはアフガニスタンで頻繁に会い、アメリカと戦争することについて、何度も話を聞いた」と、テロ組織のリーダーAbu Bakar Bashirの裁判で証人喚問されたMohammad Raisが述べた。「マリオットホテルに対する攻撃は、ビンラディンからのメッセージととらえた」という。

Bashirは東南アジアにおける、アルカイダ組織のリーダーとして告訴されている。

Raisは、「もしインドネシアにいづらかったら、アフガニスタンにくるように」と、ビンラディンに言われたという。このメッセージは現在告訴されている過激派のリーダーJemaah Islamiyahから、Raisに伝言された。5月に7年の刑を求刑されたRaisは、このメンセージをBashirに伝えたという。(後略)

hoonWitness: Bin Laden Inspired Hotel Bombing
By IRWAN FIRDAUS、JAKARTA


■武装勢力を治療したパキスタン人医師2人、保釈[041202 AP]

カラチの最高裁判所は、アルカイダと関係があった過激派を治療した罪で逮捕された2人の医師の保釈を命じた。

2人の医師で兄弟のAkmalとArshad Waheedは7月に、テロ組織のメンバーを訓練したり資金を提供した罪で告訴された。2人はとも過激派組織、Jundallahの結成に関わったとされるが、無実を主張している。

さらに2人は去年、アルカイダ幹部のAl-SaimとAbu Musabを病院で治療したという。この2人についての情報は、ほとんど明らかにされていない。

hoonTwo Pakistani physicians, suspected of treating militants, released
on bail


■パキスタン、部族地帯から軍の撤退を否定[041201 AP]

パキスタンは水曜日に、部族地帯から軍を撤退させることを否定した。Safdar Hussain中将が部族の長老たちと会見した翌日の土曜日に、ワナから軍を撤退させ、チェックポストを撤去すると述べたが、残りの兵士たちは今後も南ワジリスタンに留まると述べた。

唯一の変更されるのは、ワナにある2つのチェックポストを地元の部族民たちに引き継がせることだという。「軍は今後もWazier地域に留まり、外国人がいた場合、ただちに行動する」という。「政府の立場は以前と変わらず、外国人は投降するか、この地域から出るか、殺害されるかだ。政府は、本土から武装勢力を排除することを決めている。特に南ワジリスタンでは、政治的、軍事的な方法を用いて、抵抗勢力たちを一掃する」という。

hoonPakistan recants announcement of partial troop withdrawal from main
town in tense tribal region


■アフガンで米軍機墜落[0041201 BBC]

バーミヤン州で米軍機が墜落し、現場から6人の遺体が回収された。同機には、一般乗員3人と軍関係者3人が搭乗していた。

土曜日にカブールを飛び立ったCasa 212機は、米軍が兵士や装備を空輸するために用いられている。「搭乗していた6人の遺体を発見した」と米軍報道官が『AFP』に語った。同機が敵に攻撃されたことを示す証拠はないという。

hoonSix US dead in Afghan plane crash


■ザワヒリ、アメリカと戦い続けると声明[041130 Daily Times]

月曜日、アルカイダのナンバー2のザワヒリがビデオテープで、ワシントンがムスリム世界に対する政策を変えない限り、アメリカに対する攻撃を続けるという声明を発表した。

hoonQaeda's Zawahri says he will keep fighting US
DUBAI


■Jaish、人質問題で亀裂[041130 News]

過激派Jaishul Muslimeenとその仲間の間で、国連職員3人の解放をめぐり、亀裂が生じている。

オマール師に対抗して組織を作った司令官Sabir Mominは、JaishulのリーダーSyed Akbar Aghaが、人質となった国連職員の解放と引き換えに、150万ドルを仲介者を通して受け取ったことを非難した。いっぽうAghaは、Mominはアメリカやアフガン当局のスパイだと非難。Mominはタリバン戦士たちを米軍に売っていると訴えた。

Mominは『News』に、アフガン人と別の2人が、コソボのセルビア地方出身の人質、Shqipe Hebibiのために動いていたコソボのビジネスマンと取引をして、Aghaに身代金を支払ったと語った。アフガンの軍事高官数人も、この取引に関わっていたと主張。

Mominは人質事件の際に、Jaishの報道官として登場した数人の報道官の1人で、これまでもタリバンに関する情報をしばしば提供している。自分たちの議会で話し合った結果、Aghaを犯罪人と名指し、身代金を受け取ることで、アフガニスタンにおける米軍の占領と戦っている者たちの評判を落としたと非難した。「我々はAghaを探しているが、隠れてしまった。捕まえたら、罰する」と強調した。

いっぽうAghaのほうは『News』に、自分は隠れてはなく、いつでもMominと対決するという。「彼は嘘をついている。私も組織も、身代金を受け取っていない。もし金が欲しいのなら、400万ドルが提示されたときに、すでに受け取っていたはずだ。米軍に探し出されることなしに人質を27日間も捕らえることができたことは、我々が地元の人間の支持を受け、力を持っていることの証拠だ」と述べた。

Aghaによると、Mominが金を欲しがっていたが、これを拒否したために、今になって自分を非難し始めたと述べた。彼は信頼のおけない男だとし、いつも悪さをしているという。Aghaは、誘拐した3人を解放し、アフガン政府側の仲介者を勤めた、前ムジャヒディン司令官のMulla Malangに引き渡したという。「Mulla Malangは、逮捕されているタリバン26人のうち、24人は釈放することを約束した。彼が釈放を保証したために、我々は人質を解放した」と語った。

smellJaish, ally trade allegations
By Rahimullah Yusufzai、PESHAWAR


Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003, 2004.