【2004年12月6日〜12月12日】


■国連職員誘拐の首謀者、密告で逮捕[041212 AP]

国連職員を誘拐した組織の責任者が、部下の密告により逮捕されたと、高官が述べた。

前タリバン司令官だったSyed Akbar Aghaは、先週カラチで逮捕された。取り調べから新たな人脈を逮捕するために、政府は逮捕を秘密にしていたという。

AghaはGulsha-e-Iqbalで12月3日に逮捕された。「当時家族も拘束されたが、12月9日には釈放された」という。Aghaが所持していた身分証明書にはAbdul Karim Haqqaniと記されていたが、近所の者の間ではMohammed Mustafaで通っていた。ある治安部員によると、Aghaの組織の者が、彼の居場所を密告したという。

Aghaが逮捕された直前、治安部はタリバンのBakhtar news agencyの責任者のAbdul Hinan Hematとともに、別の男をクエッタで逮捕したと、タリバンの報道官が『AP』に電話で語った。政府はこれに関してはコメントしていない。この2人の逮捕とAghaの逮捕に関係があるかどうかはわからない。

アフガンと米軍高官はイスラマバードに、Aghaが携帯電話を使ってメディアとコンタクトをとったときに、盗聴するように要求していたらしい。

smellHead of group that kidnapped UN workers caught by tip from his own man, official says


■アフガン大統領、ビンラディンは近くにいると語る[041112 AP]

アメリカとパキスタンは、ビンラディンの行方はわからないと述べているが、カルザイ大統領は、ビンラディンは「確実」にこの地域にいて、最終的には逮捕されるだうと語った。

「彼の隠れ場所はわからないが、ここを離れることはできないだろう。この地域にいるはずだ」とカルザイはCNNに語った。「近々捕まえる。信じてほしい」。

hoonAfghan President: Bin Laden Is Nearby
By STEPHEN GRAHAM、KABUL


■援助団体、アフガン大臣の更迭を望む[041211 AP]

援助団体は土曜日に、アフガニスタン国内の援助団体は金を浪費しているため、活動を中止すべきだと主張している計画大臣の更迭を求めた。

カルザイは計画大臣のRamazan Bashardostの発言とは距離を置いているが、高官たちはすでに外国人たちのビザの延長を拒否し初めている。

カルザイの報道官Khaleeq Ahmadは、政府は「彼のコメントを認めているわけではなく、彼自身の意見だ」と述べた。「自分自身の政治的野望のために、民衆の支持を受けようとしている」という。

援助団体は、健康や教育、農業の復興のために活動しているが、大臣は欲望をそそる生活様式に金を使いすぎていると非難。また今年になって30人以上の援助活動家が襲撃されて死亡したことに対しても、責任をなすりつけている。「NGOが自分たちのために金を使い込んでいることは、周知のことだ。最新の車や高価な家に住んでいる」と土曜日にBashardostは述べた。「これらのNGOのかわりに、私的な組織をもっと援助するべきだ」。

Bashardostは、政府に登録されたNGOの2355のうち、1935は「仕事ができない」ことがわかったという。このうち、260組織が外国の慈善団体である。

hoonRelief Groups Want Afghan Minister Ousted
By STEPHEN GRAHAM、KABUL


■パキスタンの核操作、行き止まり[041211 Janes's]

パキスタンのアブドゥル・カディール博士の核の闇市の捜索は、この事件に関係している国々の政府が非協力的であるために、行き詰まっている。国際原子力委員会はカーンの核拡散について操作しているが、今のところ、わずかな人間しか逮捕されていない。ドイツ、オランダ、スイス、南アフリカにおいてだけである。

アラブ首長国連邦、イギリス、フランス、スペイン、マレーシアなどには、まだカーンの闇市で活動した者たちがいるといわれる。パキスタン当局は、いまだにカーンの取り調べを外部の人間が行なうことを拒否している。アメリカはムシャラフを協力者として手元においておきたいために、カーンの件に関しては沈黙している。

いっぽうマレーシアは、カーンの部下のスリランカ人ビジネスマンBuhary Syed abu Tahirを拘束した。しかしこれにより、彼に対する取り調べは制限されてしまった。FBIも、取り調べをすることを拒否されている。

smellPakistan nuclear probe in peril


■アフガンの作戦に1万8000兵動員[041211 AP]

アフガニスタンにいる米軍は来春に予定されている選挙に先立ち、1万8000兵を動員してタリバンとアルカイダに対する作戦を冬の間に行なうと、米軍が土曜日に発表した。

『Lightning Freedom』作戦を開始したと、米軍のMark McCannが述べた。「アフガニスタン全土で開始される。冬の間は鳴りを潜めるタリバン残党たちを一掃する」という。新たな軍事作戦のなかには、米軍とアフガン政府が申し出ている恩赦を受け入れるよう、武装勢力を説得することも含まれている。

『Lightning Freedom』作戦は戦力が変化したのではなく新たな局面であり、「戦闘作戦と、人道的な作戦の両方からなる」。抵抗勢力たちの力がもっとも強い南部から東部にかけては、まだ米兵数千人が駐屯している。

米軍は、国にまん延しているドラッグ産業と戦うことにも協力するという。

hoon18,000 Troops Begin Afghan Offensive
By STEPHEN GRAHAM、KABUL


■パキスタン、アフガン国連活動家誘拐組織首謀者を逮捕[041211 AP]

パキスタン治安部隊は、10月に発生したアフガニスタンの国連活動家3人を誘拐した武装勢力の主犯を逮捕したと、土曜日に内閣大臣が述べた。

Jaish-al Muslimeenの責任者、Syed Akbar Aghaが今週、カラチで逮捕されたとラシッド情報相が『AP』に述べた。詳細は語らなかった。

この組織の別の幹部も、Aghaが逮捕されたことを認めた。「我々が入手した情報によると、彼は何人かの妻と子供たちとともに、カラチで逮捕された」という。またある諜報官によると、女性と子供たちは釈放されたらしい。

アフガンとアメリカ高官たちはイスラマバードに、Aghaを逮捕することを要請していた。ある高官によると、Aghaの本名はHaji Fazal Karimだという。『News』によると、Aghaはタリバン時代のアフガン司令官で、ワルダック州の州都Maidan Shahrの前線で、タリバン軍を指揮していた。後にオマール師に追放されたという。

ラシッド情報相によると、Aghaは治安部の取り調べを受けているというが、今後アフガン当局に引き渡されるかどうかについては、語らなかった。

smellPakistan captures head of group that kidnapped UN workers in
Afghanistan


■イスラマバード、リヤドの核開発援助の報道を否定[041211 News]

パキスタンは、サウジアラビアとは緊密な関係を保っているが、核やミサイルを共有することはないと述べた。

イランからの情報としてあるワシントンの高官が伝えたことによると、2003年にパキスタンとサウジは、イスラマバードがリヤドの核兵器の開発に協力し、ミサイルを供給するという約束を交わしたという。

「これはまったくのデマだ。何もないところから生まれた、まったくいわれのない非難だ。パキスタンとサウジは緊密な関係を保っているが、核やミサイルの領域には立ち入っていない。イランの高官がこのような無責任な発言をしたとは思えない。まったくの空想だ」と、外務省報道官のMasood Khanが述べた。

報道によると、「イランは、パキスタンとサウジとの間の核開発の協力は最終段階に至っており、サウジは核テクノロジーをついに手に入れたと強調した」という。

『United Press International(UPI)』の報道によると、イランのAbu Mohammed Asgarkhani教授が、パキスタンとサウジが核兵器に関して取引をしたという情報を入手したために、イランは核兵器の開発を始めたと述べた。(後略)

smellIslamabad denies helping Riyadh develop nukes
By Mariana Baabar、ISLAMABAD


■「テロリスト」との対話が大事[041210 Guardian]

我々欧米の人間は、「テロとの戦い」に従事していることを当然と考えがちだ。したがってアメリカ人やイギリス人は、中東で「テロリズム」に立ち向かっているのではなく、もっと別な者と対戦しているのだと言われると、ひるんでしまう。複雑で、特殊な、広域な、変則的な反乱と対戦しているのだ。

もちろんいわゆる「テロリズム」は生じる。しかし欧米が対面しているのは、政治的な反乱なのである。テロ攻撃とは、広義な政治闘争において、心理的に優位に立つための小さな行為にすぎない。テロというレッテルを貼ることにこだわることで、大きな犠牲を受けている。欧米はムスリム社会に対戦しなければならないという誤解を招き、その戦いのために、誤った方策をとってしまった。

「テロの専門家」が主張するテロとの戦争の根拠として、アフガニスタン、イエメン、レバノンにある「テロ訓練所」が挙げられる。

私はこのキャンプを知っている。20年間、ここから数万人のゲリラが育ち、異なった言語や背景を持つ者たちが、一つになった。欧米と戦うように、訓練された。我々は彼らをテロリスト戦闘員と呼ぶ。しかし彼らは自分たちを、このようには見ていない。

反乱分子たちを反乱分子と呼ぶ過ちを犯したことで、我々はムスリムたちの暴力をすべて犯罪と考え、暴力を用いる者たちを自分たちの社会の外の人間と考えるようになった。

わずかな人数のイスラーム原理主義者、過激なジハード志願者たちは、社会からはみ出た者たちだ。そしてその過激な戦略を用いることで、ムスリムを阻害してしまった。しかし両者にとって、これはムスリム社会の存在を復活させようとする戦いだ。欧米の圧制のなかで、ムスリムのアイデンティティや自主性を回復すること、ムスリムのやり方に従って??欧米の世俗的な方法ではなく、自分たちの経済と社会の現代化を模索することである。

欧米は批判的な思考を遮断するために、「テロリスト」というレッテルを貼る。まるで癌のようだ。その病について分析する必要はない、というように。「テロリスト」というレッテルは、「我々の価値観を憎んでいる」という観念だ。その驚異は存在し、「我々を滅ぼそうとしている」と考える。従って我々ができることは、彼らを滅ぼすことだけだ。

これは間違っている。もちろん、意見の相違はある。しかしイスラーム原理主義者やムスリムたちの多くは選挙を支持し、良い政治や自由を望んでいる。

私は何人もの抵抗勢力を見てきた。アフガニスタンのムジャヒディンは安寧を理解していた。勝利は死者を数えることではない。自分たちのするべきことは、心理的に優位を保つこと、そしてそれを持続させることだということを理解していた。武力を用いてではなく合法的に戦うことで、現状は保たれることを確信するべきだ、という必要性を認識していた。

反乱分子を、爆弾で敗北させることはできない。軍事的な考えに従えば、これらの行為は「敵をやっつける」ことだ。しかし民衆を怒らせるだけだ。「ジェニンのパラドックス」を思い出す。イスラエル軍はテロリストが10人いたとして、西岸のジェニン侵攻を正当化した。軍事作戦により、テロリストは4人になった。驚異は半減した。6人が殺されたからだ。しかしジェニンの住民は、違う見方をする。10人の抵抗戦士がいた。イスラエル軍は6人を殺害した。今では24人の戦士がいる。問題は、軍を使用することは、ひき算なのか、かけ算なのか?

だからConflicts Forumは、イスラームとの新しい関係を呼びかけたい。我々は「他方」を認め、ムスリムの価値感は、我々欧米社会の戦術的な価値観にとって、驚異ではないということを認識しなければならない。彼らは我々の政略を憎んでいる。我々はあらゆる面で、対話しなければならない。そして我々は、破壊するのではなく、実際的な方法で問題を解決できることを表明しなければならない。異なった価値観、伝統を理解した上で、共通の土俵を見いだすことができると信じる。

rightIt is essential to talk to the 'terrorists'
Alastair Crooke


■自転車爆弾、11人死亡[041210 AP]

金曜日にクエッタの商店街で、軍のトラックの隣に止っていた自転車に仕掛けられた時限爆弾が爆発し、少なくとも11人が死亡した。Baluchistan National Armyが犯行声明を出した。

「我々の目標は軍のトラックと兵士だった」と、組織の報道官Mir Azad Baluchが、クエッタのジャーナリストに電話をかけて犯行声明を出した。「バローチスタンで新たな軍の駐屯地を作ることを放棄しないかぎり、連邦政府を攻撃し続ける」という。Baluchの組織はパキスタン軍が新たな駐屯地を作ることに反対し、またこの地域で採れるガスと引き換えに、さらに大きな見返りを得られるよう要求している。

garrBike Bomb Kills at Least 11 in Pakistan


■パキスタンで2人の武装勢力逮捕[041209 AP]

諜報部がパキスタンの北西辺境州にあるJalozaiアフガン難民キャンプを捜索し、2人のイスラーム過激派を逮捕したと、木曜日に高官が述べた。「火曜日遅くに逮捕され、取り調べを受けている」という。

hoonAuthorities arrest two militants in Pakistan


■タリバン、恩赦に関してアメリカと接触[Daily Times 041208]

アフガニスタンの米軍が水曜日に、武器を捨てる意思のあるタリバンが接触してきたと述べた。

アフガニスタン南部と南東部で活動している米軍司令官のもとに、「平和的な政府」を作る意思があるというタリバン数人が接触してきたと、米軍報道官のMark McCann少佐が記者会見で発表した。(後略)

hoonTaliban contact US on amnesty proposal
KABUL


■南ワジリスタンの軍事作戦、近々終了[041208 News]

部族民との間で政治的な解決が進むいっぽうで、マフスード族居住地では軍事作戦が続いているが、南ワジリスタンにおける軍事作戦は近々終了すると、軍報道官のShaukat Sultan中将が水曜日に発表した。

Shaukat Sultan中将はペシャワル大学で行なわれたセミナーで、アーマッドザイ・ワジール族の居住区ではすべての作戦が終わり、容疑者は政府側に投降して良い行ないを見せていると述べた。しかしマフスード族の居住区では、部分的にまだ作戦が続行しているという。

また軍事作戦とともに政治的な解決法も模索されており、近々軍事作戦は終結するだろうと述べた。

保証金として、2億6000万ルピーが支払われ、殉教した者には50万ルピー、負傷した者には20万ルピーが支払われたという。また犠牲者に対して、食料も配付された。

「パキスタンがタリバン政府を認めたのは、西の国境にある政府と、友好関係を築きたかったからだ」と述べた。パキスタンが彼らのイデオロギーを支持しているのではないという。タリバン時代、世界各地から政治的な指名を掲げた者たちがアフガニスタンにやってきたという。ウズベク人やビンラディンも同じだと付け加えた。部族民たちは、時代が変わり、現実も変わったことを認識するべきだと述べた。(中略)

政府は、話し合いやジルガ、地元警察の力で問題を解決しようとしたが、失敗したという。したがって軍を使用せざるを得なかった。また作戦に関して、混乱はなかったとも述べた。北西辺境州知事、警察司令官、行政官の発言には混乱があったととらえられているが、これも作戦の一部だったという。(後略)

hoonArmy operation in S Waziristan to end soon: ISPR
By Amir Mohammad Khan、PESHAWAR


■アフガニスタンの戦闘で12人死亡[041207 AP]

武装勢力がアフガニスタンの国境監視所とパキスタンとの国境地帯付近の米軍パトロール隊を攻撃し、戦闘員8人とアフガン兵4人が死亡した。

カルザイが大統領に就任する、数時間前だった。また月曜日の夕方にはロケット弾1発がカブールで発射されたが、カルザイの大統領就任式が行なわれた宮殿からかなりはずれたところに着弾した。

ライフルやロケット弾で武装した抵抗勢力たちが、コースト州南東部のタナ村付近にあるアフガン政府軍基地を襲撃した。基地の一部が破壊され、アフガン兵4人と戦闘員6人が死亡した。「アメリカ人たちは救援に来なかった。朝になってから、質問をしにやってきた」と、Khial Baz将軍が述べた。

いっぽう米軍報道官Mark McCann少佐は、アフガン兵3人が死亡し2人が負傷したと報告した。アフガン人将軍によると、国境付近で約250人の銃を持った男たちが攻撃したというが、McCannの報告では、その数はもっと少ない。

米軍のバトロール隊がコースト州で、ロケット弾や銃を持った10人ほどの武装勢力に攻撃された。「我々は応戦し、2人の戦闘員を殺害した」と、McCannは述べた。米軍側には負傷者はいないという。またコースト町近くにある米軍基地にも、ロケット弾3発が撃ち込まれたが、被害はなかったという。

hoonTwelve Killed in Fighting in Afghanistan


■カルザイ、アフガニスタンの大統領に[041207 AP]

ハミッド・カルザイは火曜日に、アフガニスタンの大統領に就任した。またジア・マスードとカリーム・カリーリが大統領によって、副大統領に任命された。

hoonHamid Karzai Sworn in As Afghan President By STEPHEN GRAHAM、KABUL


■アブドゥッラーの家、取り壊される[041107 Daily Times]

ペシャワル当局は2人の中国人誘拐事件に関わったとして、アルカイダ抵抗勢力のとその親戚の家を部族の掟に従って、取り壊した。

治安部隊はアブドッゥラー・マフスードの家にダイナマイトをしかけて爆発させ、ブルドーザーで取り壊した。

hoonAbdullah Mehsud's house demolished
PESHAWAR


■アルカイダのパキスタン化[s041206 Daily Time]

政府が発表するワナの作戦を信じる者はほとんどいなく、国外のオブザーバーたちは、これまでの事実を再確認しただけである。パキスタンのかなりの人数がアルカイダを支持していること、とくにタリバンを支持する北西辺境州のMMA政府を、無視できない。部族地帯の国会議員たちは政府側の人間で、仲介者であるかのようにふるまっているが、アルカイダと同じ世界観を共有していることは明らかだ。アルカイダに対する忠誠心によって、資金的な恩恵を受けた者さえいる。国会議員のShah Abdul Azizがあるテレビ番組に出演して、アブドゥッラー・マフスードの介護をしたことを認めている。Mufti Shamzaiが主催する、カラチのビノリ・モスクに保護されていたときだ。Shah Abdul Azizは、パキスタン政府よりも、アルカイダに忠実であることは、明白だった。

《2002年のカラチの事件》

アフガン戦争に関するフランス人アナリスト、オリヴィア・ロイはMariam Abou Zahabと協力して、いかにイスラーム主義がパキスタンに浸透して、パキスタン国内でテロリストが生まれていったかについて書いている。Mariam Abou Zahabは有名なフランス人学者で、パキスタンの宗教闘争について研究している。特にジャング市で生まれたデオバンド派イスラームの過激派組織、シパ・サハバについて詳しい。彼女はオリヴィア・ロイとの最近の共著で、アルカイダのパキスタン化について、1章設けている。2002年のタリバン政権崩壊後、武装勢力たちはISIの援助を受けてカラチで再結成されたのだ。武装勢力たちは、パキスタンがアメリカに協力したことで、テロを用いて怒りを表明することになる。

2002年1月にダニエル・バールが誘拐され、カラチではシーア派の医者が暗殺される。3月にはイスラマバードの外交官居住地にある教会が襲撃され、5人が死亡。4月にはBhakkarのシーア派を襲撃、特に女性と子供が標的になった。その後3月8日には11人のフランス人技師がカラチで襲撃され、続いてアメリカ領事館が攻撃された。さらに8月にはマリーのミッション系の学校が、タキシラではミッション系の病院が攻撃される。ダニエル・パールやフランス人技師たちの死により、イスラマバードは過激派の動向に注目せざるをえなくなった。しかしそれでもまだ、パキスタン人やアラブ人ジハード団がパキスタンで再結成することを、阻止しようとはしなかった。

《南ワジリスタンにアルカイダ結集》

パキスタン当局は、テロリストの活動をラシュカレ・ジャングヴィのせいにして、ハルカトゥル・ジハーダル・イスラミやハルカトゥル・ムジャヒディンから目を反らせようとした。この2つの組織はパキスタンでは有名で、アラブ人やアルカイダの影響を受けた、アフガニスタンの活動家たち多数がメンバーとなっている。2002年6月に政府がラシュカレ・ジャングヴィのリーダーで、シパ・サハバ創始者、Haq Nawaz Jhangviのボディー・ガードのAkram Lahoriを逮捕したあと、ある程度その活動は押さえ込まれたといえる。またサロビ派テロキャンプの訓練士だったShabbir FaujiとQari Assadullahも逮捕された。2人ともラシュカレの枝組織の人間で、カラチで大いに支持されていた。後にFaujiはダニエル・パール誘拐の首謀者であることもわかった。ラシュカレは、アラブの資金で運営されていた。

最初、アルカイダは南ワジリスタンに逃げた。後にアザド・カシミールやカラチに移動する。著者は、アルカイダが逃げることができたのは、ISIの協力なしではあり得なかった確信している。パキスタン政府は、2002年6月に南ワジリスタンでパキスタン兵と準軍隊10人を殺害した武装勢力は、ウズベク・イスラーム運動の兵士たちで、ウズベク人だったと発表している。南ワジリスタンのアルカイダを援助した組織のひとつが、ラシュカレ・タイバだ。著者はパキスタンのISIからの情報として、2003年にパキスタンには約300人のアルカイダがいたと述べる。アルカイダのアラブ人メンバーたちは、パシュトゥン族よりもパキスタンのイスラーム原理主義政党を、徐々に信頼するようになる。これらの政治政党が、カラチやパンジャーブでアルカイダたちを匿い、そしてカラチでは、ISIが作り上げた組織が次第にコントロールできないものとなっていく。

《アルカイダとラシュカレ・タイバ》

同書は次に、2002年3月にファイサラバードで逮捕された、Abu Zubaydaの件を検証する。Abu Zubaydaは、パキスタンににいるアルカイダ戦士たちを統率していた。アメリカ人たちはファイサラバードから、約50人のアルカイダを逮捕。そのうち20人がアラブ人で、グアンタナモ刑務所に送り込まれた。

Abu Zubaydaの逮捕により、アルカイダとラシュカレ・タイバの関係が明らかになる。ラシュカレ・タイバの創設者のHafiz Saeedたちは、サウジのメディナ大学で教育を受けていた。彼らは、ジア・ウル・ハク政府によって与えられたMuridkeの190エーカーある土地に、Dawat wal Irshadの建物を建設。残りはアラブ人たちにSheikh Abul Azizと呼ばれていた、ビンラディンのフロントマンからの援助で完成した。ラシュカレ・タイバの力は、2万人の学生が学ぶDawat wal Irshadが運営する、140の組織からなる。パキスタンに事務所を2000ヵ所持ち、ラシュカルの活動が禁止されてからは、さまざまな名前で活動している。MuridkeのDawat wal Irshadで行なわれた集会で、ビンラディンの声の録音が流された。1993年の世界貿易ビル攻撃の首謀者、ユーセフ・ラムジとCIAに殺害されたAimal Kansiは、2人ともMuridkeにかくまわれた。ここには、パキスタンの手入れは及ばない。

ラシュカレ・タイバとアルカイダとの関係を示す、さらなる証拠が浮上する。カラチで2人のアルカイダ幹部が逮捕された。2002年9月にはイエメン人のYemeni Ramzi Binalshibhがカラチで、そして2003年3月にラワルピンディでKhalid Shaikh Mohammadが逮捕されたのだ。Khalid Shaikh Mohammadの逮捕は、クエッタで逮捕されたMuhammad Abdul Rehmanに続いた。Muhammad Abdul Rehmanは、世界貿易センタービル爆破事件と関連して、現在アメリカで服役中の盲目のエジプト人でGamaa IslamiyyaのリーダーであるOmar Abdul Rehmanの息子である。2003年4月にはKhalid Shaikh Mohammadの甥、Ali Abdul Azizがカラチで、そしてアデンのアメリカコール船爆破事件の首謀者、イエメン人のWaleed Muhammad Attashも逮捕された。Attashは、アメリカ人に対して自爆テロを行なう候補者を募集し、ラシュカレ・タイバから何十人もの志願者を集めたことを告白した。デオバンド一派からは、ジャイシェ・ムハンマドだけがラシュカレ・タイバと同格にとらえられていた。ムフティ・シャムザイの後ろ盾があったからだ。

《ハラカトゥル・ムジャヒディン・アル・アラミの出自》

同書では、カラチで急浮上したハラカトゥル・ムジャヒディン・アル・アラミの出自を明らかにする。以前この組織は、パキスタンでは無名だった。創始者は、アフガニスタンのアルカイダ訓練所で爆発物や化学の手ほどきを受けたAsif Zaheerである。彼はビノーリ・マドラッサに所属し、Qari Saifullah Akhtarのハラカット・ジハード・アルイスラミに影響され、デオバンド組織のためにカラチで爆弾を製造していた。Asif Zaheerはフランス人技師を殺害した首謀者として死刑を宣告されているが、彼の組織はほかの組織と一体化し、World United Armyとなった。2003年5月に、シェルのガソリンスタンド21店を爆破した。約450人のテロリスト、そのうち200人がイエメン人とサウジ人が、この本が書かれた時点で逮捕されている。グァンタナモ刑務所にいる囚人の3分の2は、アフガニスタンで逮捕されたパキスタン人である。

さらに同書は、1999年にAl Muhajirunとともにパキスタンに伝わったヒズブ・アル・タハリールに関して書かれている。Al Muhajirunは2000年に、ラホールで集会を催すことを許可された。ヒズブ・アル・タハリールは1996年にウズベキスタンで創設され、ユルダシェフとナマンガニと協力しながら、フェルガーナ谷で活動を開始した。そもそも1953年のパレスチナ運動と関連して、1980年代以来、ロンドンで活動していた組織である。国家体制に反対し、カリフ制を支持していたが、ジハードは行なっていなかった。ヒズブは、パキスタンを建国したことでジンナーを非難、パキスタンは世俗国家だと宣言した。中央アジアにおいては、ユルダシェフのウズベキスタン・イスラーム運動の活動家を受け入れ、さらに南ワジリスタンとも結びついたと見られている。パキスタン人のリーダー、Navid Buttはシカゴ大学の卒業生である。(後略)

garrPakistanisation of Al Qaeda
Khaled Ahmed


■パキスタン、恩赦されるタリバンを指名と米司令官[041206 Daily Times]

パキスタンの協力を受けて、恩赦が与えられるタリバンを指名し、来夏には軍を縮小すると、米司令官が述べた。

米軍のDavid Barnoは、パキスタンとアフガニスタンはともに協力し、パキスタン側に住んでいるとみられている「犯罪者」に対処することに同意したと述べた。「リストができたら、犯罪者を逮捕して裁く」という。「人数は100人以下になるだろう」という。

同時に米軍はタリバンの下級兵士たちを登録し、故郷に帰ることを許すという。「来夏までには、多くのタリバンとの間に和解が成立し、安全がこれまで以上に保証されるだろう」と述べ、軍の規模も縮小するという。(後略)

hoonPakistan will name Taliban for amnesty, says US commander
KABUL


Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003, 2004.