【2005年1月24日〜1月30日】


■スンナ派聖職者、狙撃される[050130 AP]

カラチでバイク3台に乗った男たちがスンナ派のモスクの外で銃を発射し、活動が禁止されている組織に属していたスンナ派聖職者とそのボディーガードを射殺した。

死亡したのは、モスクのイマームであるMaulana Haroon Qasmiとそのボディーガードである。QasmiはSipah-e-Sahabaのメンバーだった。同じくイスラーム学者でイマームだったQasmiの父親も、4年前に同じ場所で射殺されている。

garrGunmen Kill Sunni Cleric in Pakistan
By ZARAR KHAN、KARACHI


■タリバン容疑者をアフガニスタンに引き渡す可能性あり[050130 AFP]

パキスタンで逮捕されたタリバン高官たちは、罪状が立件されなければアフガニスタンに引き渡されると警察が述べた。

「不法滞在ということ以外の罪状がなければ、逮捕者はすべてアフガン国籍であるために、アフガニスタンに引き渡す」と、クエッタ警察長Pervez Rafi Bhattiが『AFP』に語った。

逮捕された者のうち1人はMullah Abdur Razzakだというが、同名のタリバン政権時代の前内務大臣と同人物かどうかは、確認されていない。ヘルマンド州副知事のMullah Khush Dilと前カブール警察長Mullah Ibrahimも、逮捕者のなかに含まれているという。

hoonPakistan may hand over arrested Taliban suspects to Afghanistan
QUETTA


■親政府派の部族民とその息子、ワナで殺害さる[050130 News]

土曜日にワナで、部族民とその息子が射殺された。いっぽう政府の最重要指名手配者のバイトゥッラー・マフスードは、政府の恩赦の申し出を受け入れることにしたという。

マフムード族のMachikhel枝族に属するある部族民Hayatullahとその息子がルスタム・バザールで、車の中から狙われて射殺された。去年の6月9日に、軍が地元と外国人武装勢力に対する作戦をTorwam地域で実施したときに、Hayatullahの家を借りたことがあるという。このとき約50人の抵抗勢力たちが殺害された。

いっぽう親タリバン勢力派の地元抵抗勢力の長であるバイトゥッラー・マフスードは、政府の恩赦の申し出を受け入れ、政府と対戦したり外国人勢力を匿うことを止めることを約束したという。数日のうちに取り引きは締結され、問題を解決するという。(後略)

hoonPro-govt tribesman, son killed in Wana
By Sailab Mahsud、TANK


■警察、オマール師についてタリバンを質問[050130 Daily Times]

今週クエッタで逮捕されたタリバンたちは、オマール師の居場所について取り調べを受けていると治安部高官が土曜日に述べた。

逮捕された23人の容疑者のうち、17人がタリバンだったという。そのうちの4人はMuhammad Nabi、Aga Muhammad、Mufti、Rehmatullah、Abdur Razzaqで、タリバン司令官である。「オマール師の居場所を聞いている」というが、それ以上詳しいことはわからない。

ある警察の取り調べ官によると、ある容疑者がオマール師に最後に会ったのは2002年の12月だったという。(後略)

hoonPolice grill arrested Taliban about Mulla Omar
QUETTA


■米軍、北部地域でオサマを捜索とインド諜報部[050130 Daily Times]

インド諜報部によると、米軍がパキスタンの北部地域で、ビンラディンをはじめとするアルカイダやタリバン残党を捜索していることを突き止めたという。アメリカはこの地域に「極秘店舗」を出して抵抗勢力に対する作戦を行ない、中国は不快感を表していると諜報部は主張した。

米軍特殊部隊のほかにCIAも北部地域に「傍受ポスト」を設営し、通信を盗聴しているという。インドの諜報組織Research and Analysis Wing(RAW)の情報として、週刊誌のTehelkaはペンタゴン諜報部の衛星傍受機器が、北部地域でアルカイダが活動しているという「確かな情報をつかんだ」と述べた。

去年の10月、アメリカの南アジア担当のクリスティーナ・ロッカとパキスタンのアメリカ大使ナンシー・パウエルが北部地方を訪れた。それ以後アメリカ人はギルギットやバルティスタンを訪問し、アメリカの援助団体の開発プロジェクトを視察している。さらに米軍はスカルドから30キロ離れたディオサイで軍事訓練も行なっている。これに先立ち、インドと米軍特殊部隊はスカルドゥの向かいのラダックで、高地軍事訓練を展開したばかりである。

インド諜報部によると、米軍諜報部工作員が、バローチスタンでイランと商売をしているシーア派の商人たちを、「諜報部員」として活用していると述べる。また米軍特殊部隊は北部地域の地元のシーア派グループに接近して、情報収集をはかっているという。シーア派のリーダーで最近殺害されたAga Ziauddin Rizviの一派は、米軍に協力しているらしい。

前RAW長官だったB. Ramanは、アメリカはギルギットとバルティスタンに一連の監視支局を設け、電話や無線を傍受していという。これらのセンターはISIとアメリカ諜報部高官が合同で行ない、アメリカ人やアフガン人の工作員がいると主張する。

彼によると、アメリカのNational Security Agency(NSA)はすでに北部地域に派遣され、ここ数年間、カザフスタンの宇宙開発や中国新疆省の核施設に関する情報を収集しているという。

smellUS forces hunting Osama in NAs, says Indian intelligence
NEW DELHI


■「アメリカは、バローチスタンにおける中国の存在を不愉快に思う」[050130 Daily Times]

経済アナリストDr Syed Jaffer Ahmedは、アメリカはバローチスタンに「中国が存在」することを快く思わず、今後アメリカがイランに対して何らかの作戦を行なった場合、バローチスタンに後援部隊を駐屯させたいと考えていると述べた。

金曜日に『Daily Times』とのインタビューで、「今バローチスタンは、戦略的に重要な地域である。アメリカはイラクを確保し、アフガニスタンを占領したが、イランはまだの手中外にある。今後イランはアメリカの圧力を受けることは明白で、その場合アメリカはアフガニスタンでタリバン政権を失脚させたときのように、バローチスタンに後方支援部隊をおくことを望むだろう。(中略)

「バローチスタンにはもうひとつ、戦略的に重要な面がある」。中国がグワダール港を建設していることで、この地域において重要な役割を果たしていることだ。その結果、バローチスタンの状況は非常に複雑になった。政府はバローチ人たちの挑戦を受け、国際的な紛争に巻き込まれる可能性もある」とAhmedは述べる。(中略)

1970年代のバローチスタン問題を思い起こし、「1970年代、イラン国王はこの地域に大きな影響力をもち、アメリカの利益を監視する警察官としての役割を果たした。アフガニスタンのザヒール・シャーが失墜すると、パキスタンとアフガニスタンとの間の緊張は増大し、イラン国王がこれに介入してさらに悪化した。1970年代のバローチスタンの紛争はイランに支援され、イランのヘリコプターが用いられ、パーレビ国王の双子の妹がバローチスタンを訪れたりもした。

バローチスタンはこれまでも戦略的に重要な地域だったことも指摘。「イギリス時代はイギリス宗主国の西の国境として存在し、ロシアとの国境という意味で、イギリスは考え抜かれた政策を展開。その結果、軍事宿舎がバローチスタンに作られ、防衛の基盤が作られた。その後の冷戦時代も、バローチスタンは戦略的に重要な地域であり続けている。(後略)

hoon'US will not like significant Chinese presence in Balochistan'
By Shahid Husain、KARACHI


■誰がドスタム将軍を恐れている?[050129 Asia Times]

1月20日に企てられたドスタム将軍暗殺事件は、政治的陰謀の臭がする。この事件は、アフガニスタンで「民主主義」が生まれようとしている時点で発生した。そういう意味で、1995年3月に発生したタリバンによるAbdul Ali Mazariの暗殺、さらに2001年9月のアーマッド・シャー・マスード暗殺と比較できる。Mazariの死で、ハザラ共同体は大きな打撃を受け、反タリバン運動が活発になった。マスードの死は、もちろんアフガニスタンの歴史を変えた。ドスタムがいなくなったら、中央アジアと隣接するアフガニスタン北部は、政治的に空白になる。誰がドスタムを恐れているのか?

ドスタム自身はこの暗殺未遂で、大きな衝撃を受けたようだ。ドスタムはテロリストやアルカイダ組織の仕業だと述べた。しかしタリバンの報道官と述べる者が『ロイター』に、2001年に北部同盟がタリバン戦士を虐殺した復讐だという声明を発表している。さらに地元治安部高官は、「パキスタンの陰謀」だと述べた。奇妙なことに、アフガン最高裁判所の報道官はこれらすべての報道を否定。ドスタムの配下の者たちの謀略と結論づけている。

いくつかの説は有効だが、説得力のないものもある。タリバンがもしShibirghanという僻地で工作することが可能であるならば、タリバン説はありうる。しかしShibirghanはドスタムの根拠地だ。さらにアメリカの占領に対して、抵抗運動を展開する可能性がある者たちを集結させようとしている時期に、ドスタムを攻撃して利点はあるだろうか。

アルカイダはドスタムを攻撃するだろうか。トヒール・ユルダシェフが率いるウズベク人イスラーム主義者たちは、アルカイダと協力してドスタムを排除することでアムダリアに接近できる。しかし一部の欧米の報道によると、アメリカはユルダシェフと取引をしているという。

アメリカはそこまでして、ウズベキスタンを不安定にするだろうか。パキスタンはドスタムと何らかの取り引きがあり、ドスタムはパキスタン人を脅かしてはいない。ウズベキスタンやタジキスタン、ロシアが関わっているだろうか。可能性は低い。ドスタムがアムダリアの治安を守ることで、中央アジアとアフガニスタンは安定している。

地元Shibirghanの調査とは別に、カブール内務省と米軍が率いるNATOは、独立した調査を実施している。現在のアフガニスタンの状況を考慮すれば、事件の謎は解明されないままになる可能性が高い。しかしアフガニスタンの状況の不安定さが、露見した。

ドスタム自身は大きな転機にさしかかっている。彼は民衆を扇動する政治家であり、自分の軍隊の非武装化を許した。アフガニスタン大統領選の正当性に疑問を投げ掛けたが、アメリカに説得される。大統領として10%の得票を獲得し、クンドゥーズからFaryabにかけての地域を支配、5つの州で影響力をもつ。さらに彼は政治家として動き始めた。(後略]

smellWho's afraid of Rashid Dostum?
By M K Bhadrakumar


■アメリカ、イランを監視[050128 Asia Times]

イラクの選挙の結果がどうであろうと、シ−ア派の影響力は拡大することが予測され、イランやシリアへの影響力も当然大きくなる。(中略) アメリカはイランに対処するために、イランとの国境地帯に接するイラク北部とパキスタン南西部で、戦争の準備を着実に進めている。

最近イギリスの新聞は、ペンタンゴンはイランの抵抗勢力であるMujahideen-e-Khalq(MEK)の協力を得て、諜報情報を収集していると報道した。『Asia Times』の情報源によると、この組織はパキスタンの反対側にあるイランのバローチスタンを根拠地として、ここからテヘランのイスラーム原理主義者たちを攻撃するというのだ。

この戦略は、イランの核施設を攻撃するためのものだ。イスラマパードの諜報源によると、パキスタンはアブドゥル・カディール博士の取り調べにより、イランの核施設のありかを入手し、すでにアメリカに報告しているという。(中略)アメリカはイラク北部とパキスタン南西部を、イランを攻撃するために戦略的に利用するだろう。

今年になって実現したパキスタンのISI元長官のハミッド・グル将軍との電話インタビューで、グル将軍はバローチスタン州のQila Saifullah、Shila Bagh、Dalbandinなどの地域がアメリカに明け渡されるだろうと予言した。これらはタリバンに対する戦略ということだったが、これらの地域、とくにDalbandinは、昔からイランとの関係においては重要な拠点であった。したがって、もしイランに対する作戦が行なわれるとしたら、これらの基地が重要な役目を果たすことは間違いない。(後略)

hoonUS keeps Iran in its sights
By Syed Saleem Shahzad、KARACHI


■カブール、イランに目を向ける[050128 Asia Times]

カルザイは特別使節団を率いて、2日間におよぶイラン訪問を実施した。

カルザイ大統領とハタミ大統領は木曜日に、ドクルン〜ヘラートの道路建設を開始することに合意した。これでイランの国境の町ドクルンとアフガニスタンのヘラートが、122キロの道路で結ばれる。またカブールのイラン大使館によると、イランのTorbat-e Jam〜ヘラートの新たに作られたエネルギーバイプラインが稼働し、さらにイランはヘラート、ニムルーズ、ファラ州に、8つの国境ポストの建設を開始するという。

イランはこれ以外にも、アフガニスタンでいくつかの国家再建プロジェクトを請け負っている。12月にはイラン銀行がカブールに支店を開設、麻薬の密輸防止にも協力している。(中略)

ロンドンの国政戦略研究を率いるColonel Christopher Langtonは、イランはアフガニスタンの再建や発展にとっては重要な国となるだろうと述べる。「以前はタリバンに対抗することで協力していた。イランは、アフガニスタンのハザラ族(シーア派)に対して影響力があるからだ。またペルシア湾のバンダール・アバスからアフガニスタン、さらに中央アジアに続く道は非常に重要だ。政治的、経済的、治安的な問題すべてが、アフガニスタンとイランを関係づけている」。

文化的、歴史的にもイランとアフガニスタンは密接につながっている。さらにイランとアメリカの関係が悪化しているにもかかわらず、テヘランはカブールと経済的、商業的な協力を強化している。

カルザイのイラン訪問は、米軍がイランを攻撃するのではないかという憶測が流れるなかで実施された。最近発行された『New Yorkers』に、米軍特殊部隊がアフガニスタンからイランに入ったという記事が掲載された。しかしアフガン国防省報道官は、この事実を否定している。「アフガニスタンからイランに軍隊が入った事実はない」。「アフガニスタンはイランといい関係を保っている。イランはアフガニスタンに介入せず、アフガニスタンはイランには介入しない」と述べた。(後略)

hoonKabul turns to Tehran
By Golnaz Esfandiari、PRAGUE


■警察、23人の容疑者を逮捕[050128 AP]

警察はクエッタで捜索を行ない、タリバンやアルカイダと関係のあるアフガン人容疑者23人を逮捕した。

木曜日に逮捕された容疑者のなかには、前副知事やカブールの警察長官も逮捕され、取り調べを受けているという。容疑者たちはアフガニスタンの「タリバン政権のなかで重要な地位を占めて」いたとし、「何人かはアルカイダとも関係があると疑われる」とバローチスタン州警察長のChaudhry Mohammed Yaqubが述べた。容疑者たちはKharotabad、Pashtun Abad、Nawan Kiliに隠れていたらしい。

「これらの男たちはアフガン政府に対して、陰謀を企てていた」ともいわれる。逮捕された者のなかには、Mullah Abdur Razzaq、Mullah Sher Dil、Mufti Rehmat Ullahがいる。また前カブール警察長Mullah Ibrahimと、ヘルマンド州副知事のMullah Khush Dilも含まれているらしい。

いっぽうタリバン報道官のHakim Latifi師は、クエッタでタリバン前政府高官やリーダーたちが逮捕されたことを否定した。「でたらめだ。我々はアフガニスタンに住み、パキスタンではない」と、『AP』に電話で語った。

smellPakistan Police Arrest 23 Terror Suspects
By NASEER KAKAR、QUETTA


■ガス田に駐屯地[050128 Reuters]

パキスタンはガス田に準軍隊の駐屯地を設け、住民数千人を移動させるという。

バローチスタンのスイにあるガス田に、兵士がさらに増強された。「スイにある約400エーカーの土地を入手し、ガス田の安全を確保するために宿営地を設ける」と軍の報道官が述べた。ガス田の周囲にある家は取り壊されるという。「しかし早急にやるのではなく、人々が生活するために別の場所を提供する」という。

この計画はバローチナショナリストや部族民から、大きな抵抗を受けることが予測される。(中略)

これまでもガス施設は、たびたびバローチの部族民の攻撃の標的になってきた。しかし最近の攻撃はこれまでになく激しく、アナリストたちは、慎重に扱わないと致命的な問題に派生する可能性があると、警告を発してきた。

hoonPakistan to Garrison Gas Field, Relocate Locals
By Amir Zia、KARACHI


■アブドゥッラー、部族の長老に耳を貸さず[050128 Daily Times]

指名手配者アブドゥッラー・マフスードは、部族の長老や聖職者たちが政府に投降するよう説得したにもかかわらず、聞く耳を持たないと諜報部高官が語った。

「アブドゥッラーは恩赦があるなら、投降してもいいと語っている」という。「しかし政府はこれを受け入れることはできない」。

FATAの警備責任者のMehmood Shah准将によると、アブドゥッラーとバイトゥッラーの2人と話し合いを続けている部族民特使たちは、まだ何の結論にも至っていないという。「しかし2〜3日のうちには、何らかの結果が出るだろう」という。

特使のメンバーたちは、2人の投降を交渉しているというが、Shah准将はバイトゥッラーが無条件で降伏するという報告は確認しなかった。

hoonMehsud turns deaf ear to tribal elders
PESHAWAR


■抵抗勢力と兵士、ワナで衝突[050128 Daily Times]

パキスタン軍は木曜日に、アフガン国境近くでアルカイダと関係する抵抗勢力たちと交戦した。南ワジリスタン北部のAsman Manzaで、銃撃戦があったという。詳細はわからない。

hoonMilitants and soldiers clash near Wana
ISLAMABAD


■部族民抵抗勢力の投降期限、過ぎる[050127 Daily Times]

政府が投降を要求している指名手配者の投降期限が、水曜日に失効した。アブドゥッラー・マフスードとバイトゥッラー・マフスードの投降の気配は、いまだない。パキスタン軍は1月26日までに投降するよう期限を設けていたが、その後マフスード族の議会による期限延期の要求を受け入れていた。

政府や軍高官は、マフスード族抵抗勢力の主格であるバイトゥッラーは反国家的な行動を行なっていないために、彼には恩赦を与えると申し出ていた。しかし中国人技師の誘拐を企てたアブドゥッラーに対しては、恩赦はないという。

マフスード族の議会とバイトゥッラーの間で、何らかの極秘の話し合いが続いていたようだが、その結果については、何もわかっていない。バイトゥッラーがアブドゥッラーを説得して一緒に和解するという政府の期待は、実現する可能性はないようだ。

マフスード族の議会の使者が水曜日に、ペシャワルに向かったという報告があった。何の報告のために向かったのかは、わかっていない。

hoonDeadline for tribal militants’surrender ends
PESHAWAR


■インド、アメリカ・パキスタンの関係を疑う[050126 Asia Times]

先週、インドがワシントンの意図を疑う、大きな発言が2つあった。まずライス次期国務省長官が国会で、もしムシャラフ大統領に「何かが起き」て「イスラーム原理主義者」がパキスタンの権力を握った場合、ブッシュ政権は核兵器が彼らの手に入らないようにする「確実な計画」があると述べたことだ。

次にジャーナリストのセイモア・ハーシュ氏が、ムシャラフはアメリカに協力してイランの核兵器製造施設がある場所を教えたと述べ、アメリカは時がきたらハイテク機器を用いて空からピンポイント攻撃をするとともに、奇襲攻撃をかけると報道した。

パキスタンの核をアメリカに引き渡すとなれば、ムシャラフは確実に人気を落とす。パキスタン軍におけるパシュトゥン族高官がムシャラフを快く思っていないことは、公然の秘密だ。(中略)

イランに侵入しようとする米軍特殊部隊と関係していることも、大きな衝撃となるだろう。パキスタン国内のシーア派を憤慨させることは明らかだ。シーア派は少数派ではあるが、パキスタン空軍内には大きな影響力がある。ハク大統領が暗殺されたのは、軍が行なった北部地域のシーア派に対する弾圧の報復といわれる。作戦を指揮した陸軍指揮官はほかでもない、当時准将だったムシャラフだ。シーア派高官とムシャラフの間には、愛はない。

すでにムシャラフは十分危険な目に遭っているにもかかわらず、なぜ、さらなる危険に頭を突っ込もうとするのだろう。アメリカは彼に何を与えようというのか。

インドは、ムシャラフが南アジアのリーダーとして唯一キャンプ・デービッドに招かれたことを忘れてはいない。30億ドルの軍事・経済援助を受け、さらにNATOの友好国にもなった。アメリカの意図はいったい何だろう。(中略)

さらにアメリカは、インドにおけるアメリカ人誘拐事件や、カラチで起きたアメリカ人ジャーナリスト誘拐殺人犯事件犯に対しても寛容だ。オマル・シェイク・ムハンマドのことだ。シェイクは死刑が宣告されたが、いまだに控訴中だ。シェイクが警察ではなく、ISIの高官Ejaz Shahに出頭したときも、噂が飛び交った。Ejaz Shahはムシャラフやアジズ・カーン将軍の寵児だ。

Ejaz Shahはオーストラリアのパキスタン大使に任命されたが、オーストラリア政府に拒否された。現在彼はインドネシア大使である。おもしろいことに、通常大使は退役将軍が任命され、ISIの准将が任命されることはない。

ラホールのパキスタン人ジャーナリストAmir Mirは、シェイクはアメリカとパキスタンによる取り調べの際、自分はISIに雇われ、2001年10月に発生したカシミール州議会と同年12月のインド国会議事堂に対するテロ攻撃は、背後でISIが支援していたことを語ったと暴露した。

さらにAmir Mirは、シェイクは当時のISI長官のマフムード・アーマッドから10万ドルを受け取り、9.11テロリストのモハメッド・アタに送金したことを認めたことも暴露している。FBIは、シェイクはカンダハルを訪れたアタと会い、9.11の計画を事前に知っていたことを確信しているという。『Dawn』紙は、FBIがマフムード・アーマッド将軍とアタとの関係をつかんだために、アーマッド将軍はISI将軍の座を更迭されたと報道した。「オマール・シェイクは知りすぎた男で、彼を取り調べることでムシャラフとブッシュ政権両方の恥部が露見することが予測されるために、黙らせれたのだろうか」と、インドのジャーナリストParthasarathiは語る。

インドは、アメリカとパキスタンの関係にさらに疑念をもつ。アメリカは南アジアで何を企んでいるのか。ムシャラフが自分を危険にさらしているのは、アメリカからさらなる恩恵があることを知っているからだ。どのような恩恵だろう。カシミール問題を解決したパキスタン人リーダーとして、アメリカの支持が欲しいことは明白だ。パキスタンにとって有利な条件を得ようとしているのだ。

インドはアメリカとパキスタンの本当の関係を見極めようとしてきた。9.11以後、インドはワシントンがパキスタンに対して強く出るだろうと見ていた。しかしアメリカは独裁主義にもとづいた失敗国家を救済した。パキスタンの諜報部が9.11に関わっていたことがわかったあとも、アメリカはこれを許している。その結果インドの戦略家たちは、「テロとの戦争」は単なるシャドー・ボクシングで、9.11はアメリカのネオコンが世界を支配するためにアルカイダの助けを借りてイスラマバードが組織したという主張に、意義を唱えることができなくなっている。このような突拍子もないことを主張する者はインドにはいなかった。しかし状況は変化する。アメリカの主張には矛盾が多すぎるために、あり得ない主張さえもが真実味を帯びてきた。

smellIndia's US-Pakistan suspicions deepen
By Sultan Shahin、NEW DELHI


■パキスタンのガス田地帯で、紛争[050125 BBC]

バローチスタン州の紛争のために、パキスタンの国土の半分にガスが行き届かなくなり、軍とバローチナショナリスト、部族民との間の市民戦争に拡大する恐れが出てきた。

国家内で孤立しているムシャラフ大統領は、北西部ではアルカイダと関係のあるパシュトゥン原理主義者と戦い、北部のギルギットではシーア派とスンナ派の流血に対処しなければならない。この2つの紛争で数百人の命が奪われた。しかしバローチスタンの戦いは、これまで以上に致命的だ。パンジャーブ人が支配する軍や、軍が運営する政治組織を快く思っていない小さなグループの間に、不満がついに爆発する恐れがある。

ここ5年間ムシャラフは聖職者たちの協力を受けて、バローチスタン内の小さなナショナリストのグループを退けてきた。ナショナリストたちは1990年代、パキスタンが民主主義に失敗していた時代に、中央政府と権力をともにしてきた。

《レイプ事件》

バローチスタン内の紛争は、バローチ族を抱えるイランやアフガニスタンを巻き込むものになる可能性がある。インドは否定しているが、イスラマバードはデリーがパローチ族を支援していると非難しているために、インドとパキスタンの和平交渉にも亀裂が生じる可能性もある。

1月11日に、Bugti族たちがその長のSardar Akbar Bugtiに率いられ、またナショナリスト組織であるBalochistan Liberation Army(BLA)とともに、スイにあるパキスタン最大のガスプラントを攻撃した。事件の発端は、軍のキャプテンがブラント内に勤める女医をレイプした事件だ。

スイは、Sui Bugti部族地帯の中心である。荒涼とした山と砂漠地帯だ。5日にわたる衝突の後、部族民たちがガスプラントになだれ込み、兵士3人を含む8人を殺害、35人が負傷した。軍は直ちに、数千人の軍兵士と準軍隊をスイに派遣した。抵抗勢力たちは完全武装して訓練され、よく組織されていた。高度な衛星電話も携帯していた。約460発のロケット弾と60発の迫撃砲をプラントに撃ち込んだという。ムシャラフは火に油を注いだ。「これ以上やるな。ヒット・エンド・ランをして山に隠れていた1970年代とは違う。攻撃されても、何が攻撃してきたかわからない時代だ」。

《5度目の攻撃》

ムシャラフのコメントと、軍キャプテンがいまだに逮捕されていないという事実に部族民や野党政治家たちは憤慨し、「新たなバングラデシュ」を作らないよう、軍に警告を発した。東西パキスタンを分裂させた、1971年の市民戦争である。

「軍事作戦が開始されたら、バローチの人々は今度こそ決定的な戦いをする。最後の血が流れるまでだ」と、Bugti族と同盟しているMengal族の長であるAtaullah Mengalが警告した。

バローチナショナリストは政治的権利、自立、天然資源の権利を要求し、1948年、1958〜59年、1962〜63年、1973〜77年にかけて4回紛争が勃発したが、軍によって圧制されてきた。今、5度目の紛争が開始されようとしている。今度は独立を掲げている。

過去2年間、州の各地でヒット・エンド・ラン攻撃が続いていた。去年の5月、中国人技師がグワダール港で殺害され、BLAが犯行名声を出している。

ことの大きさは、教育を受けたナショナリストたちが、はじめて部族民たちと一致団結した点である。スイの事件によって、強力なパローチ族戦士、Mengals、Mazaris、Marris族がBugti族に協力し、全員でスイやDera Bugtiの近くにキャンプして、軍を攻撃する構えだ。

BLAは独立の権利を要求するいっぽう、パローチナショナリストや政治家たちは、バローチ族たちに仕事やスイのガス田の採掘税を要求し、また州内の軍宿舎建設の中止、中国とパキスタンが共同でグワダールに建設している、巨大港に対するパローチ族の所有権の拡大を要求している。「我々は、我々の土地を植民している政策に反対する」と、政治組織バローチスタン国民党(Balochistan National Party)の報道官であるSanaullah Balochが述べる。

抵抗勢力たちは、スイのガスを支配することで、国家に打撃を与えた。スイはパキスタン全土の45%にガスを供給している。ガス田の技術者は職務を拒否して逃げてしまい、破壊された部分の修復には数ヵ月かかるとみられている。 (中略)

《対話の必要性》

ムシャラフはこれまでバローチ族たちとの対話を避けてきた。今そのツケがきた。ムシャラフが州東部のパシュトゥン族の聖職者たちと同盟したことで、バローチ族たちはますます孤立感を高めている。アジーズ首相は何とかバローチスタンに資金を提供して問題を経済的に解決しようとしているが、必要なのは対話であり、穏健派のバローチ族政治家たちを政治の主流に迎え入れることだ。

過去において、軍はバローチ族と対立してきたために、不穏な動きが絶えない。軍が政治の場から退き、パローチ族に民主主義を与えないかぎり、バローチ族たちは満足しないだろう。

garrExplosive mix in Pakistan's gas province
By Ahmed Rashid in Lahore


■アルカイダ幹部、アメリカに引き渡される[050125 Reuters]

パキスタンで7月に逮捕されたタンザニアのアルカイダ幹部が、その後すぐにアメリカに引き渡されたと、パキスタン諜報部高官が火曜日に語った。

西アフリカで発生したアメリカの大使館爆破事件と関係していた容疑者、Ahmed Khalfan Ghailaniは、7月27日にパキスタン東部で逮捕された。「逮捕の1週間後、アメリカに引き渡された」と、あるパキスタン諜報部員が『ロイター』に語った。

hoonTop Al Qaeda Suspect in U.S. Hands ---Pakistan Official
ISLAMABAD


■アフガニスタンの将軍、イランを警戒[050124 AP]

アフガニスタンのタリバンやアルカイダの逮捕に尽力している米軍将軍が月曜日に、隣国イランによってこの使命が妨害される可能性があると述べた。

エリック・オルソン将軍が『AP』に、イランを含む西方から、スパイや過激派が侵入してこないように監視していると述べた。「アフガニスタンにとって、イランが安定していることが好ましい。イラン、特に国境付近で不安定な動きがあれば、アフガニスタンも不安定になる」という。(中略)

軍事プランナーによると、近々カルザイは国家再建プログラムを発表し、約70人ほどのタリバン「中堅」司令官や軍閥ヘクマチアルの部下たちに、戦いを放棄させることに成功したと述べた。(中略)

先週のメディアの報道に対してオルソン将軍は、アメリカがイランでスパイ活動をしている事実は知らないと述べた。ただし、そのようなことがあっても、自分の管轄外のことだと語った。米国防相高官は、セイモア・ハーシュの報道には過ちがたくさんあると述べたが、報道の根幹は否定しなかった。

smellGeneral in Afghanistan Urges Care on Iran
By STEPHEN GRAHAM


Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003, 2004, 2005.