【2005年10月10日〜10月16日】


■過激派、地震後に援助で活躍[051016 Washington Post]

軍は対応に遅れ、国際援助は、今やっと活動を開始したところだ。しかし地震の現場のまっただ中で、パキスタン最大の過激派組織、Jamaat ul-Dawaの歩兵たちが、その存在を主張している。

ニールム川沿いの斜面に、組織はエックス線、歯科設備、仮設手術室を伴う野戦病院を設立した。訪問してくる、ジャーナリストのためのテントもある。抗生物質、麻酔など、寄付された医薬品がうず高く積まれている。「軍の人間さえ、救急手当を受けるために、ここにやってくる」と、ラホールからこの野戦病院でボランティアをするためにやってきた、髭を生やした泌尿器科医師Mohammed Ayubが語る。

Jamaat ul-Dawaは、単なる慈善団体ではない。カシミールでインド軍と戦っている過激派組織、ラシュカレ・トイバを母体としている。Jamaat ul-Dawaは地震後の救援活動で、重要な役割を果たしているいくつかのイスラーム過激派組織の1つである。

この他に活動しているは、パレスチナのハマスとイデオロギーを共有している、政治政党イスラーム協会Jamiat-i-Islamiの福祉部門、そしてアルカイダに資金を流しているとしてブッシュ政権により銀行口座を凍結された、カラチを根拠地とするアル・ラシッド・トラストである。

これらの組織の勢力的で迅速な活動は、ムシャラフや軍の無能ぶりと比較され優位な立場に立っていると、アナリストたちは分析する。「彼等が得をすることは確実だ」と、カシミール問題のアナリストErshad Mahmudは語る。「彼等は、救援活動に組織の全力を注ぎ込んでいる」。

パキスタン人高官は、450人もの兵士を失った軍の損失を考えれば、軍はそれなりによくやっているという。しかしシェルパオ内相は、Jamaat ul-Dawaをはじめとする、似たような組織が果たしている役割を評価し、「救援活動のライフライン」と賞賛した。

シェルパオは、Jamaat ul-Dawaは、「慈善活動だけに携わり、彼等の足跡は地震で影響を受けた地域、ほぼ全域に及んでいる」と付け加えた。パキスタンは2003年にJamaat ul-Dawaを、「テロリズム・ウォッチ・リスト」に載せている。

(中略)Jamaat ul-Dawaのキャンプは、ムザファルバードで目立った活動をしている、もっとも大きな組織だ。町の端にJamaat ul-Dawaと書かれた35のテントを張り、医療施設を完備し、約100人の患者を収容する。負傷者や救援物資を運ぶアメリカのヘリコプターが、この地域上空を定期的に飛んでいる。

このキャンプの医療施設や医薬品は、ムザファルバードで倒壊した、同組織の病院から運び出した。他のものは、国内各地からの寄付である。ボランティア医師やメディカル・スタッフのほかに、髭を生やした若者20人がいた。カモフラージュ・ジャケットや、組織の名前を縫い込んだ白いヘッドバンドをした者もいる。キャンプでボランティアをしているAmmar Ahmadは、ラホールのエンジニアリングを学ぶ学生だという。「暴漢から」身を守るために、9mmのピストルを持って護衛していると語った。

Jamaat ul-Dawaの全国冊子を編集しているQazi Kashifによると、組織はすでにラシュカレ・トイパと関係はなく、戦闘員たちはインド側のカシミールだけで活動しているという。Jamaat ul-Dawaは、「宣教と慈善活動」にのみ従事している。

しかし、と彼は付け加える。「われわれが、ジハードのために行動していることは確実だ」。

ラシュカレ・トイバは、パキスタンのISIに保護されて活動していた。ISIは組織に武器や訓練を与え、戦闘員たちをインドに送り込んでいた。創始者はパンジャーブ大学の技術系教授Hafiz Sayeedで、Jamaat ul-Dawaを開始したのも彼だ。2つの組織は、ラホールのMuridke町の近くに、同じ建物に本部を構えていた。

1990年代、ラシュカレ・トイバはムザファルバードに訓練所を運営していた。その後組織は活動を禁止され、Sayeedは逮捕される。しかし後にパキスタンの裁判所により、釈放された。

米国務省のテロリズム年次報告書によると、アルカイダの幹部が2002年3月に、ラシュカレ・トイバのアジトで逮捕された。

最近の和平に向けてのインドとの動きにもかかわらず、インド人高官たちは、ムシャラフが過激派組織に対する対処の仕方に疑問点を投げかけ、今後も過激派たちを取り締まるべきだと主張する。

パキスタン領カシミールの高官Sikander Hayat Khanは、「ジハード組織は地震で大きな被害を受けた」と語った。また別の警察幹部も、ラシュカレ・トイバともうひとつの過激派組織、ヒズブル・ムジャシディンは、「人材も備品も大きな被害を受けた」と語る。

Jamaat ul-Dawaの野戦病院のベッドに横たわるAbdul Majidは、組織が暴力に関わっているかどうか知らないし、気にならないと述べた。「10分おきに、医者か助手が診にきてくれる。組織を、高く評価している」。

hoonExtremists Fill Aid Chasm After Quake
MUZAFFARABAD、John Lancaster and Kamran Khan

■アフガニスタンでRAFハリアー戦闘機、ロケット攻撃で損傷[051016 Reuters]

アフガニスタン南部で、RAFハリアー戦闘機2機がタリバンによるロケット弾攻撃で損傷したと、米軍報道官が報告した。

金曜日にカンダハル空港で起きた、イギリスの戦闘機2機に対するロケット弾攻撃で、負傷者はいない。

「パーキング・エリアに止まっていた機体が少々損傷したが、すぐに飛行できるようになる」と、Jim Yonts大佐が述べた。カンダハル空港内で航空機が攻撃されて損傷したのは、初めてのことである。

hoonTwo RAF Harriers damaged in Afghan rocket strike
Sayed Salahuddin、KABUL

■Laddahで外国人テロリスト6人死亡[051016 Daily Times]

土曜日に、治安部隊が南ワジリスタンのLaddhaで抵抗勢力6人を殺害し、2人を逮捕した。殺害された6人全員と逮捕された者のうち1人は外国人で、中央アジア出身者だったという。

事件は、Laddhaのチェックポストで、軍が検問所で車を制止した際に起きた。車は、北ワジリスタン方面から来たという。

チェックポストの係員が身分証明署の点検をしたところ、そのうちの1人に外国人テロリストの疑いをかけられ、身体検査が実施された。容疑者から手榴弾を押収したところ、仲間たちが銃を発砲し、銃撃戦となった。

6人がその場で射殺され、2人が逮捕された。殺害された者たちは全員、ウズベク人だったという。

これとは別に、南ワジリスタンのアンゴール・アッダで車が爆発し、1人が死亡、4人が負傷した。

hoon6 foreign terrorists killed in Laddah
Iqbal Khattak、PESHAWAR

■カブールで「武器密輸商」逮捕[051016 BBC]

カブールで武器を密輸していたとして、イギリス人とアメリカ人を含む8人が逮捕された。

警察幹部2人が『BBC』に語ったところによると、男たちは今週、ゲストハウスで逮捕されたという。男たちは、国際平和維持軍Isaf関係者であることを示す書類を偽造していた。Isafは、逮捕者たちはIsafの人間でないことを確認した。

カブールのイギリス大使館報道官のKeith Scottは、逮捕者の中に、イギリス国籍の男2人がいることを認めた。治安部隊は、家宅捜索でAK-47を5丁、ピストルを2丁押収した。

警察関係者は、逮捕者について詳しい情報を語らなかったが、インド人、イギリス人、アメリカ人、アフガン人が含まれているという。警察はこの他に、ピストルを約100丁持っているといわれる、別のインド人を捜している。

警察は、どのような武器がどこに密輸されたかは、語っていない。欧米人がアフガニスタンに武器を密輸したとして逮捕されたのは、始めてのことである。

hoon'Arms smugglers' seized in Kabul
Bilal Sarwary、Kabul

■ザワヒリの手紙、偽物とイラクのアルカイダ[051014 CNN]

イラクのアルカイダが木曜日に、ビンラディンの腹心のザワヒリが書いたという手紙は偽物だと主張したと、いくつかのイスラームのウェブサイトが発表した。

テロリストたちは、手紙はアルカイダが書いたものではなく、「ブラックハウスの作り話」と、ホワイトハウスを指して主張した。

(中略)いっぼうアメリカ政府は、手紙は本物だ断言している。(後略)

hoonAl Qaeda in Iraq: Letter to al-Zarqawi a fake

■テロ追跡で踊らされる[051014 Asia Times]

数十億ドルを費やし、数千人の人間を派遣して、数百人のアルカイダ工作員が逮捕された。しかしアルカイダに関する情報は具体的な証拠から導かれるものではなく、ビンラディンもザワヒリも居場所はわからず、その資金源や本当の理念でさえ、謎に包まれている。

(中略)タリバン崩壊後、アラブ人とその家族数百人が、パキスタンの部族地帯に入った。地元の人間たちが家やモスク、土地を提供して、匿った。帰国を望んだアラブ人の家族のために、資金も集めた。地元の行政は見て見ぬふりをして、外国人を野放しにした。

アラブ人、チェチェン人、ウズベク人の多くは、パキスタンの部族地帯に留まり、アフガニスタンの米軍とゲリラ戦を戦うことを希望した。地元のタリバンたちが、隠れ家を提供。数か月のうちに、これらの外国人戦士たちは部族地帯に住む居住権を得ただけでなく、南ワジリスタンのような場所では、アフガニスタンで戦うだけでなく、グローバル戦争のための基地を確立したのだ。2002年中頃までに、外国人たちは体勢を立て直し、グローバル戦争の準備を整えた。

アメリカのネットワークは、アルカイダ内部に浸透することができなかった。アルカイダが南ワジリスタンにいることがわかったのは、2003年の初めになってからだ。その全貌がわかったのは、1年後だ。

このころになって、パキスタンはアメリカの圧力を受け、軍事作戦を行なわざるをえなくなった。

アメリカが、正確な情報をいつまでも得ることができなかったのは、国境地帯のパキスタンの部族民やアフガン人を情報源としていたからだ。もちろんパキスタンの諜報部員たちは情報を持っていたはずだが、アメリカには何も教えない。

アメリカに協力しているはずのムシャラフだが、すべての陸軍幹部から支持されているわけではなく、警察司令官9人、ISI長官や参謀も、ムシャラフの味方ではない。たびたび軍内の配置換えをしているが、ムシャラフはアメリカの方針に反する態度をとらざるをえなくなる。

アフガニスタンへの米軍侵攻後、アフガン司令官はパキスタンによる武器や資金の供給を報告することになっていた。アメリカは、パキスタンがどの程度自分たちを支持しているのか、いまだにわからないでいる。

当初、パキスタン人警察や一般市民、ジャーナリストたちがアメリカ人に雇われ、パキスタンが「テロとの戦争」にどのていど協力的か、確かめるよう要求された。しかし情報を得ることはできず、ビンラディン追跡も失敗した。

2003年になると、アメリカはムシャラフに近い退役陸軍高官を、スパイとして送り込んだ。ムシャラフの同級生や、軍人時代に残した業績、現在戦略的な組織に影響力がある者たちのなかから選ばれた。以前アメリカの民間航空会社と関係があり、アメリカの体制側と近かったある女性が、ムシャラフの内部の輪に浸透することに成功した。しかしその後ムシャラフの諜報組織により素性が暴かれ、表舞台から消えた。

アメリカは、ムシャラフの従兄弟である、ある一般市民から、軍の准将を紹介された。彼は軍を退役し、アメリカのシンクタンクに入り、アメリカとパキスタンを行き来しては、陸軍内部で発言権のある人間とコンタクトをとった。しかしこのルートは2004年になってから確立され、すでに遅すぎたといっていい。

このようにアメリカの「テロとの戦争」に関する諜報情報は、行き場がなかった。

《彼はここにいる》

ペンタゴンは、ビンラディンがどこにいるか知っているという。「彼がどこで生活しているか、正確な場所を知っている。パキスタンとアフガニスタンとの間の、部族地帯だ。しかしその地域で軍事作戦をすれば、両国の関係が悪化する。パキスタンの領土の中だからだ」と、アメリカ国防省の情報作戦のアドバイザーRobert R Reillyは語る。

他のペンタゴンのスタッフは、もう少しぼやかした表現をする。オフレコで、これだけの数のアルカイダ工作員が逮捕されたのだから、ビンラディンの居場所ぐらいわかるとたかをくくっていたと漏らす。

2003年に逮捕されたKhalid Shaikh Mohammadもそうだ。パキスタンは、彼や彼の子供たちが国内(カラチ)にいることは、ずっと前から知っていた。Khalid Shaikh Mohammadは、ISIのスパイといわれた、ある出版社のオーナーと定期的にコンタクトをとっていた。この男をとおして、Khalid Shaikh Mohammadは何人かのアフガン人と接触していた。彼が逮捕されたころ、彼はもはや重要な情報源ではなくなっていた。アルカイダはすでに彼との関係を絶っていたのだ。

ペンタゴン内部では、アルカイダ捜索のために、巨額の資金が浪費されたと批判的だ。情報源に対する報奨金も、その一部だ。アメリカはパキスタン政府に金を渡したが、大半がそのまま国庫に入った。情報源はわずかな金額をもらったにすぎない。数百万ドルの懸賞金が懸けられていたにもかかわらず、その金額は1000ドル〜3000ドルだったようだ。

このために、賞金プログラムの価値が低下して、ビンラディン捜索は、大きく後退してしまった。

《金を追え》

ビンラディンの資金源の追跡も、同様に「テロとの作戦」につきまとう悪質情報のために、はかどらない。アルカイダが南ワジリスタンで再結成するとともに、金は南ワジリスタンの地元の銀行に流れた。

一般的にこの地域の銀行口座は、数千ドルに達することはない。しかし2002年以後、いくつかの口座に数百万ドルが預けられていることがわかった。同じような現象が、ラホールやカラチでも見られた。State Bank of Pakistanはすべての支店に、顧客のリストと、資金源の明細を提出するよう命じた。取り調べが開始されると、いくつかの口座はそのまま放置された。

この頃になると、数百万ドルがすでに他に移され、アルカイダがいかにすばやく資金網をコントロールできるかが明らかになる。パキスタンで逮捕されたアルカイダ下級工作員も、数千ドルを所有していた。取り調べから、ハワラを通して、送られてきたことがわかった。ほとんどがドバイやアラブ首長国連邦などから送られる。アフリカの国々も、このシステムを使用している。

アメリカの諜報部は、ムスリムの慈善組織がアルカイダの活動に資金を流すためのフロントとして使用されていると非難する。

以前『Washington Post』のアフリカデスクの責任者だったDouglas Farahは、アルカイダは宝石の売買で資金を得ていると主張する。しかしCIAは、これに反対だ。シーア派とユダヤ系の独占企業が宝石の商売を牛耳っているために、アルカイダはこの領域には入れないという。

ここ1年の間で、アフガニスタン南部の親タリバン軍閥と、北部のタジークやウズベクの軍閥たちが、麻薬密輸で協力していることをアメリカの諜報部がつきとめた。これまで両者は対立してきたが、数十億ドルの商売であるために、ご都合主義で、両者は結託している。(後略)

hoonSong and dance on the terror trail
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■救援活動対アフガン戦争[051013 Christian Science Monitor]

バグラム空軍基地のチヌークが、タリバンと隠れんぼをしていたアフガニスタンから、パキスタンに向かった。(中略)ライス国務省長官は、アメリカの救援隊がすでに飛び立ったという。今のところ、人材や機材は、アフガニスタンのものが運び込まれている。

しかしアフガニスタンの戦いは、終わる気配がない。したがって米軍は、バーレーンにいる海兵隊のチームに救援活動を引き就いてもらうことを予定している。

「そのうち米軍はアフガニスタンに帰る」と、Yonts報道官は語る。「アフガニスタンのミッションに戻らなければならない」。

水曜日に、アフガニスタンの米軍作戦の責任者であるKarl Eikenberry中将から、救援隊を指揮を海軍将校に引き継ぐことを計画していたが、延期になったと報告された。「ヨーロッパやアメリカにあるヘリコプターを、こちらに持ってくることを考えている」とEikenberry将軍は述べた。21機の都合がつき、10月22日にはパキスタンに到着する。

「アフガニスタンから持って出られる物は持ってきた。しかし悪いやつらがこの機を狙って、悪さをしている。アフガニスタンである程度の犠牲が出ることを覚悟して、ここで救援活動をすることにした」。

hoonRelief vs. Afghan fight

■アメリカ、見えない敵と戦う[051013 Christian Science Monitor]

ここ3日間、第82空挺部隊の一行は、幽霊を追いかけているようだ。チヌーク・ヘリコプターで谷に飛んで行くと、ローターの音を聞きつけたタリバンは逃げ去る。村に入っていくと、タリバンが無線で、彼らの到着を知らせる。いらだたしい、意味のないミッションだ。

「まるでヴェトナムだや、アルジェリアのフランス隊のようだ。彼らを軍事的に負かすことはできるはずなのに、彼らは戦うために出てこない」と、Ben Wisnioski二等兵が語る。(中略)

これまでの4日間は、ひどかった。タリバンがすぐ近くにいるのがわかっていながら、戦おうとしない。精神的に衰弱してしまう。

Kata Shang村の長老Abdul Bareは、アメリカ人に会えてうれしいという。タリバンはこの村に来たことはない。「そうさ。ときにはタリバンは来るよ。でもただ通りすぎるだけだ。話しかけてこない」と、少しあとになって話を変える。

数軒先で、米兵たちはカラシニコフの弾薬100ほどを発見する。村人は誰も銃など持っていない。家の所有者は、弾薬は古いという。おそらくソ連時代のものだと主張。しかし明らかに新しい。

タリバンは、いつも心理攻撃をしてくる。アメリカ人が聞いていることを承知の上で、無線で会話をする。「彼らのすぐ上の丘にいる。彼らを見下ろせる位置だ。ロケット弾を持っている」。以前アメリカ人たちはこのような会話を傍受すると、直ちに丘の上に直行した。今は無視している。

米軍兵士たちは、地元のアフガン人の生活を理解することができない。90%がいいやつらだ。国か良くなることを望んでいる。問題は、数人の悪者が、アフガニスタンを混乱させている。

米兵のなかには、自分たちの戦術が効果的かどうか、疑問視する者もいる。「問題は、我々が殺されると、アメリカにいるやつらはほとんうに動揺してしまうことだ。だから我々に重装備を与え、殺されないように、さまざまな物で身を固めている。したがって、我々はタリバンを追っかけて丘を登ることができないのだ」。

アフガン人からは距離を置く者もいる。敵と味方を見分けることはできない、一見親しげに見える村で、米兵は殺害される。しかし住民に歩み寄る者たちもいる。

アメリカがキューバにいた頃を思い出すと、Wisnioskiは語る。アメリカはキューバに親米政府を確立し、軍や警察を訓練した。「しかしアメリカが去るや否や、キューバは混乱に陥った。ここでも、また同じことが起きそうだ」。「我々が去ったあとどうなるか、心配だ。再び混沌にもどる」。(後略)

hoonCharlie Company fights an invisible enemy
Scott Baldauf

■パキスタンの人々、救援活動のペースに憤慨[051013 Washington Post]

水曜日になって、救援物資が被災地にやっと運び込まれ始めた。しかし軍は、まだ救援を必要としている、孤立した村々に到達しなければならない。救援活動の遅延に遺憾の意を表明したムシャラフは批判され、今後、政治問題が噴出してくる可能性もある。

(中略)犠牲者たちは、政府に対する怒りやいらだちを表現する。アナリストのなかには、パキスタンで権力を握っている軍と、カテリーナ以後に噴出したブッシュ政権に対する批判を比較する。

ムシャラフは、パキスタン陸軍は最も有能で、清廉な組織であると繰り返し主張してきた。しかしアナリストのなかには、天災に対する陸軍の無力ぶりと、すぐさまに行動を開始した原理主義政党や関連する社会福祉組織を比較し、今後原理主義者たちが台頭してくる可能性もあると指摘する。

水曜日の朝、被災地のカシミールのラワルコットからイスラマバードに向かう約3時間の旅の最中に目撃した軍関係の車両を数台には、救援物資を運んでいるものはなかった。しかし同じ道は、プライベートな救援隊の車列であふれていた。その多くは、パキスタンの原理主義政党であるイスラーム協会の社会活動部門のものだった。

(中略)ムシャラフは水曜日にテレビに出演し、救援が遅延したことを認めた。しかし政府は最大限の努力はしたという。(中略)「誰かのせいにするのは簡単だ」。「遅れは申し訳ないと思う。しかし他の道はなかった」。

さらに、軍は地震の被害を受けて兵士約450人を失い、1000人が負傷したという。通信系統も遮断され、軍の病院も失った。軍はカシミール地域に多数派遣されていたために、被害が大きかったという。

(中略)「政府は、救援活動を何もしていない。人びとの怒りは、日に日に増している」と、カシミールの有名な政治家Amanullah Khanが語った。

人びとの怒りで恩恵を受けているのがイスラーム協会だと、アナリストたちは語る。組織の福祉部門であるAl-Khidmat Foundationは、被災地にいち早く救援物資を送り込み、被災者に対する寄付金や、医療援助を募った。

「これらのグループは良く組織され、政府よりも福祉活動ができる」と、政治アナリストHasan Rizviは語る。「原理主義者や、宗教過激派の人気が、今後増すだろう」。(後略)

hoonPakistanis Vent Anger About Pace of Relief
John Lancaster


■アフガニスタン、爆弾でタンクローリー8台爆発[051012 AP]

アフガニスタンのカンダハル米軍基地の外で、オイルタンクローリー8台が爆発し、運転手2人が負傷した。

米軍報道官のMarina Evansによると、タンクローリーはアフガン国軍のもので、基地の前を通過したときに、地雷を踏んだという。

しかしアフガン国軍司令官のMohammed Sarwarは、タンターの中に爆弾が仕掛けられていたと語った。(後略)

hoonBomb Destroys 8 Tankers in Afghanistan
NOOR KHAN、KANDAHAR

■イスラーム戦士、カシミールの地震援助活動のために「ジハード」[051012 AFP]

インド領カシミールで戦っているイスラーム戦士たちが、地震の犠牲者たちを救うために、新しい「ジハード」を開始した。

アメリカにテロ組織のレッテルを貼られた前ラシュカレ・トイバのJamaat-ud-Dawaは、土曜日の地震のあと、どこよりも早く救援活動を開始した。

若い過激派戦闘員数十人が、政府の救助隊やパキスタン軍よりもいち早く、食料、衣料品、毛布、飲料水などを被害を受けた地元の人びとに届けたと、目撃者が語った。一番被害が大きかったこの地域は、Jamaat-ut Dawaの根拠地でもあり、支持者が多い。

過激派たちによると、パキスタン軍や国際救援隊が必死で到着しようとしていた僻地に、簡単に行くことができると主張する。多くの仲間を失ったにもかかわらず、組織はこのヒマラヤ地域で、救援活動をしているという。(中略)

「苦しみを乗り越えるために人びとを助けることは、ジハードだ」と、Saadと名乗るJamaat活動家が語った。衛星電話を片手に奇襲隊用のジャケットを着たこの20台前半の若者は、救援活動をしているボランティアのリーダーだ。「妻と3人の子供がいる。しかし今彼らがどこにいるのか、わからない。もう3年も会っていない。家族も、私が何をしているかは知らないはずだ」。(中略)

Jamaat-ut Dawa報道官のYahya Mujahidによると、救援活動のために、約2500人のメンバーを集めたという。「これは、救援活動にほかならない」と『AFP』に語った。「ムザファルバード、ラワルコット、アボタバード、バラコットなどで救援活動を行なっている」。組織の主張は、今のところ裏付けされていない。「これまでテント1500を分配した。各家族にテント1つを配給している。女性は隠れることができるだろう」。

地下組織のリーダー、Maulana Abdul Aziz Alviが『AFP』に、組織は大きな打撃を受け、戦士約70人が地震で死亡したと語った。生き残った者たちは、2〜3時間に1度、仲間の葬儀に出席しているという。Jamaatのマドラッサやモスクも倒壊した。

ラホールのJamaat報道官が、組織の会長、Hafiz Saeedは元気だと述べた。「今までとは違ったジハードをする時がきた」(後略)

hoonIslamic fighters launch 'jihad' for quake relief in Pakistan Kashmir
BAGH

■援助活動家、カンダハル付近で殺害される[051012 BBC]

アフガン援助活動家5人と、警察官6人がそれぞれアフガニスタン南部で殺害された。これとは別にカンダハル付近で、3人の援助活動家がタリバンに襲撃されて負傷した。

いっぼうアメリカのライス国務省長官がアフガニスタンを訪問し、カルザイ大統領に、今後平和と安全維持のために、長期的にアフガニスタンを援助すことを約束した。

援助活動家に対する攻撃は、Zere Dashte地区で起きた。また警察官が乗った車がウルズガン州で襲撃され、殺害された。

カブールには、ロケット弾4発が撃ち込まれた。1発は、カナダ大使官邸の外で爆発し、アフガン人警備員2人が負傷した。ほかの2発は国際治安維持部隊の基地の近くに着弾、4発目は政府の建物に命中した。(後略)

garrAid workers killed near Kandahar

■ラシュカレ過激派70人、地震で死亡[051012 Daily Times]

ラシュカレ・トイバのメンバー70人が地震で死亡したと、火曜日に組織のリーダーが語った。

過激派のリーダーのMaulana Abdul Aziz Alviによると、組織は大きな被害を受けたという。「死傷者は100人以上にのぼるかもしれない。ムザファルバード以外の地域のメンバーについては、情報はない」。

生き残った組織のメンバーは、2〜3時間に1度は葬儀に参加しているという。Jamaatの宗教学校やモスクも崩壊した。(中略)

ラホールのJamaatの報道官によると、組織の責任者のHafiz Saeedは地震当日この地域にいなかったために、難を逃れた。「地震が起きた地域に、多くのJamaat支持者がいる。Saeedは無事だ」。「今は、別の種類のジハードをする時期になった。助けを必要としていく者たちを、助けなければならない。我々は昼夜活動している」。

hoon70 Lashkar militants killed in quake
KARACHI

■米、パキスタンの地震視察のための偵察機を提供[051011 AFP]

米軍は地震で被害を受けたパキスタンの山岳地帯の状況を把握するために、有人・無人偵察機を提供した。さらにアフガニスタンやバーレーンなどの地域から、救援活動のためにヘリコプターを提供する。

ペンタゴン報道官のLawrence DiRitaによると、険しい地形が地震の被害を把握しずらくしているために、有人・無人偵察機が必要だという。「2万フィートの場所でも被害が起きている。したがってどこで被害が起きているか、どこで救援活動が必要なのかを把握しなければならない。空からの偵察に関して、協力している」。

さらにアメリカは、衛星画像も提供しているという。「地上の状況把握に、協力している」。(中略)

米空軍C-17機が援助物資を輸送し、C-1302機もパキスタン国内で活動している。米軍ヘリコプター8機、うちCH-47が5機とUH-60Black Hawk3機が現場で稼働している。

(後略) hoonUS providing aerial reconnaissance to view Pakistan quake disaster
WASHINGTON

■抵抗勢力、アフガニスタンで警察官19人殺害[051011 AP]

タリバンがアフガニスタン南部で警察の車列を襲撃し、警察官19人を殺害した。

月曜日にヘルマンド州で、150人の警察官が乗った車が襲撃された。抵抗勢力との間の銃撃戦は火曜日の朝まで続き、抵抗勢力たちは山中に逃げていったという。

死亡した19人のなかには、ヘルマンド州警察副長官も含まれていた。このほかに4人が負傷し、警察の車4台が大破した。

garrRebels Kill 19 Policemen in AfghanistanAMIR SHAH、KABUL

■パキスタン人と中国人2人、米軍に殺害される[051011 Daily Times]

月曜日にアフガニスタン南部で、パキスタン1人と中国人2人を含む、5人の抵抗勢力が殺害された。これとは別に爆弾の爆発で、6人が死亡した。

ザーブル州でアフガンと米軍が、外国人タリバン3人を殺害し、10人を逮捕したと、Shinkay地区の行政官Wazir Mohammadが述べた。このほかの作戦で、タリバン2人を殺害、5人を負傷させたと、カンダハル警察副司令官のMohammad Sarwar将軍が述べた。作戦はMaroof地区で実施されたという。

カンダハルでは2ヵ所で自爆があり、6人が死亡、8人が負傷したと高官が述べた。

(中略)
《ロイター付記》

米軍ヘリが、クナール州で実施されている作戦の最中に墜落した。ヘリは大破したが、死傷者はいなかったと米軍報道官が述べた。これとは別にザーブル州で、米兵1人が殺害され、別の1人が負傷した。

米軍報道官のTyler Fosterは、木曜日にクナール州東部で、MH-47ヘリがエンジントラブルを起こして墜落したという。「ヘリは作戦のために隊を輸送したあと、帰途についていた」という。負傷者はいない。

アメリカにいる米軍高官は、9月にタリバンがチヌークを撃墜したとするメディアの報告を、確認しなかった。当時タリバンは、チヌークを撃墜したと表明していた。Fosterは、捜査はまだ続いていると語った。

hoonPakistani, 2 Chinese insurgents killed by US forces
KABUL

■タリバン、米ヘリコプター撃墜と声明[051011 News]

タリバンが月曜日に、ヌーリスタン州東部で米ヘリコプターを対空ロケットを用いて撃墜した、と発表した。一方カンダハルでは、親政府派司令官と部下4人を殺害したという。

タリバンの主張を確認する情報はなく、米軍とアフガン政府はこれを否定した。新たなタリバン報道官のムジャヒッド(Salimullah Khan Mujahid)が『The News』に、正午直後にロケット弾を撃ち込まれたヘリが炎上した、と述べた。死傷者が出たかどうかはわからないという。その後米戦闘機と戦闘ヘリコプターが、現場を空爆した。

ラティフラー・ハキーミ逮捕後にタリバン報道官となったムジャヒッドは、月曜日にカンダハルで、Aqil Shah司令官と部下4人を暗殺したと発表した。この他に9人が負傷したという。(後略)

hoonTaliban claim hitting US’copter
Rahimullah Yusufzai、PESHAWAR

■米兵1人とアフガン人3人、攻撃で死亡[051010 AP]

爆弾を体に巻き付けたタリバンが自爆して、軍司令官のほか2人を殺害、いっぽう別の自爆犯が、警察に追われる最中に爆弾が爆発して死亡した。

そのほかにアフガニスタン東部では米兵1人とアフガン人3人が死亡し、米軍特殊部隊のヘリコプターが不時着しようとして炎上した。乗員は無事脱出した。

月曜日に発生した最初の自爆事件は、北部同盟に協力したカンダハルの前民兵司令官Agha Shahの家の外で起きた。Shahと通行人2人が死亡したという。アラブ人と思われる自爆犯の頭部が回収された。

2時間後、自爆犯が米軍基地に向かっているという諜報情報を受け、警察が現場に急行したところ、男が逃走しようとして誤って自爆した。負傷者はいなかった。

日曜日にパクティア州をパトロールしていた米軍が襲撃され、米兵1人が死亡、1人が負傷した。またクナールでも抵抗勢力がパトロール隊を襲撃し、米兵2人が負傷した。

さらにクナールでは木曜日、米軍特殊部隊のチヌークヘリコプターが炎上し、飛行不能となり不時着した。乗員は無事だった。今回の事故は、6月にMH-47ヘリが撃墜された場所と、同一地域で起きている。今年になって、チヌーク4機が墜落している。

hoonU.S. Soldier, 3 Afghans Killed in Attacks
NOOR KHAN、KANDAHAR

■アフガンの自爆で6人死亡[051010 Reuters]

カンダハルで自爆が2ヵ所で行なわれ、6人が死亡、8人が負傷した。

自爆犯が町の中心地で自爆し、対タリバン作戦の司令官幹部他3人を殺害した。次の自爆では8人が負傷し、自爆犯が死亡した。「どちらもタリバンとアルカイダによる自爆だ」と、カンダハル知事のAssadullah Kahlidが語った。(中略)

Sabir Mominと名乗るタリバン司令官が、最初の事件に対する犯行声明を出した。1週間のうちに、自爆攻撃が4回も発生している。(後略)

garrAfghan suicide attacks kill 6
KANDAHAR

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