【2005年11月21日〜11月27日】
●兵士たちはヘリコプターでやってきて村を抜け、屋根や丘の上に陣取った。しかしこれは通常の襲撃作戦ではない。重装備の米軍パラシュート隊に混じって、ザーブル州知事もいた。人々を味方につけるためだ。
●「『なぜアフガニスタンを破壊したいのか』とタリバンに聞いてくれ」と、Delbar Jan Arman知事は、その後、村の長老や若者たちにヤギをふるまいながら語った。
●ザーブル州知事のDelbar Jan Armanは、アフガニスタンのSolonでDoug Vincent陸軍少佐とジルガを率いる。2人はアフガニスタンの南東部の人びとが中央政府に協力してくれるよう、さまざまな努力をしている。
●「彼らはアフガニスタンの学校を壊す」とArman。「彼等に、クルアーンにいくつ節があるか聞いてみてほしい。きっと知らないだろう」。
●隅のほうで、Joshua McGaryキャプテンが耳を傾ける。彼は仲間の兵士とともに先月、3キロ先でタリバンに襲撃された。「ここにいる奴らの何人が、我々を攻撃していたのだろう」と、心の中で考えている。
●(中略)春と夏、米軍はアフガニスタン南東の山岳部で、タリバンたちと激しい戦闘を交わした。この地域は抵抗勢力たちのアジトとなっていた。米軍によるとこの戦闘でタリバンは大きな打撃を受け、大人数で攻撃しなくなったという。その結果、政治的、人道的な活動ができるようになり、今回のように知事がSolonにまで入ることができた。
●ザーブルの米軍基地には、リラックスした雰囲気が漂っていた。(中略)しかし、抵抗運動は終わってはいない。タリバン戦士たちはこれまで以上に洗練され、米軍と直接対決するようになった。だが、対決すれば敗北することは明らかだ。彼らは改良爆弾や自爆攻撃を用いて米軍の車列を狙ったり、政府や警察関係者を暗殺しようとする。
●アメリカの高官によると、冬になる前にタリバンの攻撃が強化されても驚かないという。(中略)今年になって、すでに米兵86人が死亡した。ザーブルの主力であるパラシュート隊を仕切るGreg Harkins少佐の部隊からは、8人死亡した。2001年からだと、204人だ。しかし、タリバンが力を強化しているのではないと、Harkinsは語る。
●「今まで以上に戦闘があるのは、我々が敵の中に入っているからだ。今いるのは再生したタリバンではなく、窮地に追いやられたタリバンだ」。
●3月、ザーブルには新たな隊がやってきた。そこから州の内部に、着実に入りつつある。9つの小さな基地を設立して、アフガン兵たちと、安全や人道的援助を提供しようとしている。これまで政府がほとんど影響力を持たなかった地域だ。
●(中略)このプロジェクトが6月に開始されて以来、タリバン戦士たちは道路わきに、改良爆弾を繰り返し設置してきた。車列をマシンガンやロケット弾で攻撃もする。
●この攻撃は最近になって少なくなったと、Dan Youngキャプテンは語る。しかしタリバンはまだ近くの山に大勢おり、そこから米軍の基地や道路を監視して、米軍やアフガン軍の動きを無線で報告し合っているのが傍受される。「我々がやっていること、行くところをすべて監視している」とYoung。
●中央政府を強化するために、ザーブルの米軍司令官たちはザーブル州知事のArmanとの関係を強化している。彼が一番親しいのがDoug Vincent少佐だ。2人でパシュトゥンのリーダーたちに、アフガン政府に協力するよう、説得している。(後略)
U.S. Tries to Boost Authority Of Shaky Afghan Government●戦闘で死亡したタリバン兵士2人の遺体を焼いた米兵は犯罪を犯していないと、軍調査官が述べた。遺体は衛生的な理由から焼かれたことがわかったという。
●しかし兵士4人は、懲戒処分になった。2人は地元の理解を得ようとしなかったことで、そして残りの2人は火葬を利用して、戦闘員たちを挑発したという。
●先月、米軍と従軍していたオーストラリアのジャーナリストが、火葬の現場をビデオに取り、映像が放映されていた。遺体は10月1日にカンダハル近辺で焼かれ、兵士たちがラウドスピーカーを用いて、屈辱的なメッセージをタリバンに発する様子が映されている。(中略)しかしビデオはアフガニスタン国内では放映されなかったために、一般民衆の抗議は報告されていない。(後略)
No US charges over Afghan bodies●アフガニスタンで、道路脇の爆弾で負傷したスウェーデン兵が、死亡した。一方、タリバンが地区警察本部に放火し、警察官4人を連れ去った。
●兵士は、金曜日にマザリシャリーフで負傷したスウェーデン兵4人のうちの1人だった。別の1人も重傷をである。
●土曜日の夜明け前に戦闘員たちがロガール州の地区警察本部を襲撃して炎上させ、警察官4人を拉致した。(後略)
Bomb Kills Swedish Soldier in Afghanistan●カブールの和平委員会が、ヘクマチアルのヒズビ・イスラームに和平協定を申し出たが、アメリカの操り人形になり、アフガニスタンの占領を許している政府には応じないと、断わられた。
●2ページからなるパシュトゥ語で書かれたヒズビ・イスラームの声明が、ペシャワルの新聞社などに送られ、申し出を拒否するとともに、アメリカと戦うアフガン人の勝利を予測した。アフガン政府は、アメリカがアフガニスタンやイラクから撤退したらすぐに敗北することになるだろうと述べた。「そうしたら緑のイスラームの旗を持ってカブールに行進し、アメリカの味方になった裏切り者たちはみな裁判にかけられ、罰される」と警告した。
●声明にはSebghatullah Mojadeddi教授とその和平委員会の名前は挙がっていなかったが、彼がヒズビ・イスラームのやり玉にあがっていたことは明らかである。長老たちがイギリスの植民地主義者たちによってアフガニスタンに呼び戻され、イギリスのために動いていると非難した。またこれらの人間たちは、前アフガン支配者だったハビブッラー・カラカーニに恩赦を与えてカブールにおびきだしながら、処刑したことを指摘した。和平を申し出ている者たちは権力を持たず、アメリカの命令で動いているにすぎないという。「和平を話題にしてムジャヒディンを裁判にかけるなど、自分が誰だと思っているのか? おまえたちは操り人形であり、アフガン人たちには信頼されていない」。
●さらに声明は、和平委員会がアフガニスタンの隣国が抵抗勢力たちを支持していると非難していることを、揶揄した。すべての隣国は、アフガニスタンにアメリカが侵略してきたその日から彼らを支持し、反米戦士たちを引き渡してきたという。アメリカ主導の十字軍は、隣国の協力がなければ、アフガニスタンを占拠できなかったはずだと述べた。(後略)
Hekmatyar's Hezb-i-Islami rejects Kabul's peace offer●CIAがテロ容疑者を輸送するために使用した航空機が、2003年3月にフィンランドに寄港したと、フィンランドの新聞が水曜日に報道した。
●フィンランドの『Borgaabladet』紙によると、ロッキード社のC-130 Herculesが、2003年5月16日に、ヘルシンキのVantaa国際空港に着陸した。その後ストックホルムに飛び立ったという。
●航空機には『Prescott』は書かれていた。アメリカの報道によると、Prescott Supportは、CIAの覆面会社だという。
●フィンランド当局によるとCIAの航空機は、ドイツ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、スウェーデンなどのヨーロッパの国々とモロッコに極秘に着陸したと言われているが、フィンランドには着陸していないという。(後略)
CIA prisoner plane landed in Finland, claims paper●ウズベキスタンが、今後アフガニスタンの平和維持のために活動しているNATO軍に、上空権や領土内に侵入することを禁止すると発表した。1月1日から実施されるという。
●EUがウズベク高官12人にビザ発行を禁止し、中央アジアの国家に武器の輸出を禁止したことに対する報復措置だという。
Uzbekistan to ban some Nato overflights●アフガニスタン東部で開催されていた、反麻薬会議の会場の外で車が爆発し、警察官を含む2人が死亡し、2人が負傷した。
●木曜日に地元高官や長老たちが、ナンガハール州のKhogiani地区で開催された会議に出席していた。
●参加者の1人が運転していた車が爆発した。夜間車が駐車していたところに、爆発物が仕掛けられたようだという。
●警察は後に、3人の容疑者を逮捕した。
Two killed by car bomb outside Afghanistan drugs summit●パキスタン人男性が、アメリカ人を攻撃するためにアルカイダ工作員を入国させようとしたとして、有罪になった。
●パラチャ(Uzair Paracha)は、カーン(Majid Khan)に協力して渡航許可署を偽造したとして、有罪になった。カーンはアメリカに逮捕され、現在海外の収容所に収容されている。
●(中略)カーンは、アメリカでガソリンスタンドを爆破しようとしていたとして、逮捕された。
●パラチャは、カーンとともに逮捕されているもう1人のアルカイダ工作員、Ammaral-Baluchiを証人としてたてようとしたが、裁判官に却下された。しかし裁判所は、カーンとAmmar al-Baluchiの証言を聞き、パラチャとその父親は、2人がアルカイダだとわかっていながら協力したのではないと述べた。パラチャの父親は、現在グアンタナモ刑務所に収容されている。父親は、アルカイダに資金を調達していたといわれる。
US convicts man of al-Qaeda plot●4人のパキスタン国籍のイギリス人ムスリムが7月7日に自爆する直前、私はパキスタンの北西辺境州のアコーラ・ハタックに向かった。ここには原理主義で有名なマドラッサ、ハッカーニアがある。
●オマール師を含め、タリバン多数がこのマドラッサで学んだ。そこで教えられていたことが、超保守的な原理主義であったとして非難されたとしても、ハッカーニアはその学生たちを恥じる様子はない。それどころかマドラッサの校長のマウラナ・サミウルハクは、タリバンが要求すればすぐにでもマドラッサを閉鎖し、学生たちを戦わせるために派遣すると自慢する。アコーラ・ハタックは、アメリカがもっとも恐れ、憎むものの象徴である。(中略)
●マウラナ・サミは、反欧米の象徴であるにもかかわらず、思いがけず陽気な男だった。(中略)私は彼の事務所に招かれた。ムシャラフが原理主義に対する取り締まりを公言したにもかかわらず、その様子がないことを指摘すると、サミはにこやかになった。
●「それはアメリカ向けにすぎない」とうれしそうに笑った。「新聞向けの発表だ。何も変化はない」。「ということは、不自由していないということですか?」「良い状況です」とサミ。「ブッシュはイスラーム世界全体を覚醒させてくれた。我々は彼に感謝している」。
●サミは微笑みながら「我々の現在の仕事は、イスラームのイデオロギーを普及させること。無料で教育が受けられる。衣服や本も無料だ。宿泊施設も無料。貧しい者を教育しているのは、我々だけだ」。
●サミは黙り、笑みが消えた。「人々は必死だ。パキスタンの古いしきたり、世俗政党、軍に嫌気がさしている。汚職がはびこる。ムシャラフはムスリムと戦い、欧米の希望どおり動く。彼はパキスタンの国民に興味がない。だから人々はイスラーム的な答えを求めている。そしてそれができるのは我々だ。我々のイスラームのシステムだけが、正義を与えることができる」。
●サミのような意見は、パキスタン中に広まってきている。内務省の報告によると、9.11以後、1947年の独立時よりも27倍の数のマドラッサが設立された。独立時245校だったのが、2001年には6870校に膨れ上がった。
●その多数がMMAのようなイスラーム政党と関係している。(後略)
Myths and madrassas●抵抗運動が止む気配はなく、アフガニスタンのほとんどがいまだに不安定である。大統領選挙や国会選挙など、政治的な進歩は確かにあった。しかしまったくバラレルな世界で起きている出来事のようだ、と人々は言う。平和な世界に移行する気配がない。
●(中略)とくにアルカイダの影響と思われる自爆事件が、頻繁になってきた。春以来、ビンラディンが影響力を拡大している気配が色濃くなってきた。特にアフガニスタン東部でそれが目立つ。
●しかしカブールで暴力沙汰があったとき以外、−−例えば最近あった2件の自爆事件のように−−世界は注目することがない。
●アメリカは、すべて計画通りだと公言する。「治安は日に日によくなっている」というのが、記者会見におけるアメリカのスポークスマンの口癖だ。
●先週ラムズフェルド国防長官が、アフガニスタンをイラクのモデルとして掲げた。「イラクはアフガニスタンより数年遅れている」という。しかしアフガニスタンにいる人々にとって−−アフガン人政府関係者や国際団体の見解では、「モデル像」としてのアフガニスタンは、まったく危うい。
●「我々はとても心配している」と、アフガニスタン東部のある警察高官が語る。「タリバンとアルカイダの脅威が、迫ってきている」。内務省高官は、「警察やアフガン国軍はいまだに弱く、役立たずだ。警察官の給料も低すぎる」。ある国連高官は語る。「4年たってもまだタリバンの攻撃を話題にするなど、考えてもみなかった」。
●(中略)米軍報道官は「治安に関しては、日に日によくなっている」と言う。状況が悪くなってきているのではという質問を否定し、「治安の長期的解決策を握るのは、アフガニスタンの治安部隊だ」と語った。「日に日に、アフガン治安部隊は大きな役割を担うようになるべきだ」。
●問題は、いつその時がくるかだ。現在3万人のアフガン国軍が訓練されているが、自立できるまでにはほど遠い。ペンタゴンは来年4000兵を撤退させることを表明している。
●(中略)もうひとつの問題が、パキスタンの役割だ。アフガン政府関係者たちは、戦闘員たちがパキスタン側からやってくると訴える。アメリカはイスラマバードに、もっと圧力をかけるべきだという意見だ。
●しかしアメリカ人たちは、この件に触れたがらない。表向きには、パキスタンはアメリカのテロとの戦争のパートナーであり、これまで以上に協力しているということになっている。しかしこの件は非常にデリケートになってきているために、アメリカ人高官たちはこの話題に関しては、個人としての発言さえ控えている。
●アメリカがアフガニスタンに来て4年、抵抗勢力を負かすことができるのかどうか、疑問がますます大きくなってきた。「来春になれば、タリバンは一掃されて散り散りになったと、同盟軍たちはまた同じことを言うだろう」と、ある援助活動家が語った。
Doubts grow over US Afghan strategy●アフガン警察が水曜日に、タリバンが誘拐して処刑したと発表していたインド人の遺体を発見したと、州高官が述べた。
●道路建設プロジェクトで働いていたインド人技師の遺体が、ニムローズ州の道路で発見されたと、州の地区責任者Mohammad Hashimが述べた。「警察がインド人の遺体を発見した。殺害されたようだ」。
●土曜日に、インド国営のBorder Roads Organisationの技師、P. M. Kuttyが、アフガン人運転者と警備員2人とともに、車ごと何者かに連れ去られた。タリバン報道官のQari Mohammad Yousufが犯行声明を発表し、最終期限を過ぎても会社がアフガニスタンから撤退することを表明しなかったために、殺害したと語った。(後略)
Afghans find body of kidnapped Indian engineer●ブレア首相が2004年4月にホワイトハウスを訪れた際、ブッシュがアルジャジーラテレビを爆撃することに関心があると表明したと、イギリスの新聞が火曜日に報道した。
●『Daily Mirror』紙が2人の匿名の情報源を引用して、2国のリーダーの会話が記録された極秘書類について語った。いっぽうの情報源によると、ブッシュの発言は「ユーモアであり、真剣ではなかった」と語ったが、もういっぽうは、「ブッシュは真剣だった」と述べた。
●(中略)2003年のイラク侵攻の際、アメリカのミサイルがバグダッドのアルジャジーラ本部を直撃し、特派員1人が死亡した。米高官は、事故だと発表している。また2001年にはアフガニスタンのカブールにある同支局が、米軍によって爆撃された。ワシントンによると、アルカイダが使用している建物を標的としたのであり、テレビ局であることを知らなかったいう。
●前アメリカ諜報部高官によると、ホワイトハウスがアルジャジーラを問題視していることは明らかで、CIAがスタッフを密かに送り込むことを考えたことはあるが、実行する許可は出なかったという。「カタールを爆撃することは、計画されたことがない」と述べた。
●ブレアの事務所の報道官はコメントを拒否したが、機密事項を暴露したとして、職員2人が解雇された。
●『Daily Mirror』によると、ブレアはブッシュに、アルジャジーラを爆撃したら「大きな問題になる」として、思いとどまらせたという。情報源によると、「ブッシュは明らかに爆撃したがったが、ブレアは、爆撃されたら困ると思ったようだ」という。
(後略) Paper Says Bush Talked of Bombing Arab TV Network●パキスタンは、ダウード・イブラヒムとその家族が、ISIの保護を受けてイスラマバードにいるという報道を否定した。ある高官が『News』に、「『Outlook』が署名なしの原稿で報道したが、不自然だ。情報源の名前が明らかにされていないことは、信憑性がないことだ」と語った。
●『Outlook』によると、ダウードはISIの保護を受けて、安全な場所で生活しているという。(後略)
Pakistan denies Dawood's presence in Islamabad●タリバンが、ニムローズで誘拐したインド人運転手を殺害したと発表した。
●タリバン報道官によると、Ramankutty Maniyappanが所属する会社が最終期限の48時間が経過してもアフガニスタンから撤退しなかったために、銃殺したという。
●またウルズガン州では、道路脇に仕掛けられた爆弾で、米軍兵士1人とアフガン人通訳が死亡した。
●タリバン報道官のQari Mohammad Yousufが、遺体がある場所などは、追って連絡すると語った。
●「誰も接触してこなかったので、殺害した」と『AFP』に語った。アフガン人2人は、いまだに拘束しているという。(後略)
Taleban 'kill' kidnapped Indian●米国務省は月曜日に、ワシントンがタリバンやアルカイダと話し合ったというメディアの報道を否定した。また北西辺境州の政治家パラチャが、パキスタン滞在中の米国務省次官のKaren Hughesとに会った事実はないという。
●報道では、Hughesがパラチャに、アメリカと、タリバン・アルカイダの仲介役をしてほしいと依頼したという。(後略)
US denies contacting Taliban, Al Qaeda●アメリカは、いまだにタリバンをアフガニスタンから一掃できないでいる。アメリカのタリバンとの戦いは、本来の軍事作戦とともに、「良い」タリバンを受け入れることだった。
●そして今、本当の「問題」と立ち向かう時がきた。アフガニスタンの未来に唯一影響力を持つ人間、タリバンのリーダー、オマール師と直接対決せねばならない。
●先週末パキスタンのメディアては、アフガニスタンで和平を設立するために、アメリカがタリバンのリーダーと会ったと報道された。鍵となる男は、パキスタン人のパラチャ(Javed Ibrahim Paracha)であるが、彼はこの話題を否定し、アメリカ人高官とは会った事実はなく、アメリカ人ビジネスマンに会ったにすぎないという。
●しかし話はまだ続くのだ。
●和平へ向けての動きは、数ヵ月前から開始されていた。大統領選挙や国会選挙の成功にもかかわらず、アメリカは、アフガニスタンを安定させることができないということに、やっと気づいたからだ。今年になって米兵90人が死亡している。2001年以来186人が死亡したことを考えると、抵抗運動は以前より頻繁になり、洗練されてきた。
●アメリカが名誉ある撤退をする戦術を考え出すことが、必要になってきたのだ。
●パキスタン生まれのアメリカ市民、マンスール(Enter Mansoor Ijaz)は、共和党右派と密接なつながりがある。ロンドンでイギリス当局の協力を得て、彼が和平交渉を進め始めた。
●マンスールのパキスタンにおけるキーパーソンは、Khalid Khawajaである。前ISI高官で、ビンラディンの親友でもある。Khawajaと親しい北西辺境州のPakistan Muslim League(Nawaz group)リーダー、パラチャもこの話に加わっている。以前パキスタン当局に拘束されていたアルカイダの家族を釈放したことで、パラチャは一気に名を挙げた。
●タリバンのリーダーに提示された条件の1つには、カルザイ政権に参加することだった。しかしオマール師は、外国人勢力がアフガニスタンから完全に撤退しない限り、これは受け入れられないと拒否。したがって、タリバンが武器を捨てる可能性はない。
●「実際には、メディアが初期の段階でこの話をかぎつけたので、ややこしくなってしまった。報道の一部は確かに正しい。タリバンとアメリカとの間に話し合いがあったことは、事実だ。しかし、パラチャがアメリカ人高官と会った事実はない」と、Khalid Khawajaが『Asia Times』に語った。
●国境付近にいる情報源によると、最近カルザイとタリバンのリーダーとの間で接触があっことは確かだという。仲介役を通して、実現したのだという。情報源によると、カルザイは支持されることを望んで、外国人勢力の撤退を認めてタリバンと協力することに同意した。
●仲介者は当時、アフガン国会選挙で前タリバン政権のメンバーと前ムジャヒディンが議席を獲得することを確信していた。一般的には、議会は小さな政治グループに分裂し、大きな力を持つことができないと見られている。
●しかし議席を獲得したタリバンや軍閥のほとんどは、いまだにタリバンのリーダーと関係がある。ヘクマチアルのヒズビ・イスラームも同じことだ。ヘクマチアルは密かにペシャワルに隠れ、いまだにアフガン抵抗運動に大きな影響力を振るっている。
●したがって、新たな議会が分裂するどころか、議員たちはタリバンやヒズブのリーダーから直接指示を受けることになろう。
●たとえば、カルザイが外国勢の撤退が交渉の出発点であることに同意すれば、オマール師はすぐに会議を開催し、国会のすべてのタリバンに、カルザイを支持するよう命じるだろう。
●2001年に米軍がカブールを攻撃するやいなや、タリバンはすぐに撤退した。そういう意味で、彼等は敗北したわけではない。再結成するために時間はかかったが、再結成した。
●その理由は、アフガン社会に根ざしている。タリバン運動は、部族の契りと深くかかわっている。パシュトゥン・ワリ(アフガン人部族民の価値観)だ。アフガニスタンでは、部族が社会秩序である。パシュトゥン・ワリを無視する者はいない。
●ワシントンはこれを理解していない。普遍的な知恵や一般論的にタリバンを孤立させようとしたが、このアフガニスタンとよばれる孤独な惑星が持つ、独自のダイナミクスを理解できなかった。その結果、タリバンを孤立化させようとすればするほど、状況が複雑になってしまった。
●2003年の中頃、アメリカは「良いタリバン」と話し合おうとした。オマール師を排除しようとしたために、交渉はすぐに決裂した。
●アメリカは時間をかけて、味方を開発しようとした。協力者もいたが、結局タリバンのもとに戻ってしまう。たとえばJamiat-i-Khudamul Furqanは、ペシャワルでISIとアメリカの諜報部が育てたタリバンの派生グループだ。しかし数年後、密かにタリバンのもとに戻ってしまった。
●同様にJaishul Muslimはペシャワルで、アメリカによって結成されたグループだ。オマール師に対して反乱を企てることを目的としていた。資金と武器を持たせてアフガニスタンに派遣されるやいなや、オマール師と同盟を組んでしまい、今やタリバンの抵抗運動に加わってしまった。
●部族の契りは深い。これが現実である。砂漠における、真昼の砂のようなものだ。タリバン攻撃計画はすべて、蜃気楼だ。
●ワシントンとカブール当局は、やっとこれに気づいたようだ。
Time to talk: US engages the Taliban●インド人労働者とともにタリバンに誘拐されたアフガン人運転手が無事解放され、地元の諜報担当高官の取り調べを受けている。
●土曜日に、インド人とアフガン人警備員2人とともにニムローズで誘拐された運転手が解放されたと、内務省報道官のMohammad Yousuf Stanizaiが語った。「運転手が昨日、ニムローズで解放された。現在取り調べを受けている」という。(後略)
Suspected Taliban free abducted Indian's driver●北ワジリスタンで強力な爆発があり、5人が負傷した。
●治安部隊によると、5人の国境警備隊員が負傷したという。(中略)
●いっぽう南ワジリスタンでは、先月シャカイで起きた治安部隊員に対する攻撃の犯人を引き渡す期限が過ぎたとして、5部族に対する取り締まりが実施された。「取り締まりは5〜6日続き、Ahmedzai Wazir族の4枝族の部族民が逮捕された」という。
Five FC men injured in Waziristan blasts●去年証言したサイフッラー・パラチャは、1999年にアフガニスタンで、偶然ビンラディンに会ったという。「クルアーンを持ってきて、預言者だと述べた。すばらしい話をして、印象的だった」という。
●カラチとニューヨークでビジネスをしているパラチャはビンラディンに名刺を渡し、自分がテレビ局と関係していると述べ、「テロリズム・プログラム」について討論するためにテレビ出演をしないかと持ちかけた。しかし計画は実行されなかった。しかしこれにより、アメリカはパラチャをテロ協力者と見なし、2003年に逮捕してグアンタナモ刑務所に送り込んだ。
●さらに25歳の息子、Uzairにも疑惑が向けられ、アルカイダ工作員のために旅券を取得する書類を偽造した罪で、マンハッタンで裁判を受けている。
●木曜日に証言したUzairによると、彼と父親は「ジハード」に興味をもっておらず、男たちがテロリストとは知らずに、つきあうようになったという。サイフッラー・パラチャも同じような証言をしている。
●サイフッラー・パラチャはユダヤ人のパートナーとともに、衣服の輸入業をニューヨークで行なっていた。アルカイダと取り引きをしていることを、知らなかったと主張する。しかし起訴状によると、爆発物の密輸に関わり、ビンラディンのネットワークのために、巨額の資金を持っていた。またアルカイダ工作員に、化学兵器の入手方法を知っていると述べたことがあるらしい。
●さらに、彼は大物アルカイダと接触していた。カラチではKhalid Shaikh Mohammadと、さらに9.11ハイジャック犯に資金を調達したといわれるAmmar al-Baluchi。3人目は、バルティモアでガソリンスタンドを爆破させようとしていたMajid Khanである。
●3人は現在アメリカに拘束されているが、3人ともパラチャとの関係を取り調べ官に語っているという。
●Uzairは、パキスタンでal-BaluchiやMajid Khanに会っただけでなく、彼等がテロリストであることを初めから知っていたことを、2003年にFBIの取り調べを受けたときに告白したという。父親の商売に20万ドルの資金援助をしてもらうかわりに、Khanが再びアメリカに入国できるよう、取りはからうことにしたという。
●しかしUzairは木曜日に、この件に関しては虚偽の告白をしたと述べた。「彼等が聞きたいと望んでいることをしゃべった。真実は、彼等がアルカイダだということを知らなかった」。(後略)
Paracha's trial focuses on his, son's ties to Qaeda●今年の初め、アフガニスタンとの国境付近にパキスタン軍がやってくる30分前に、ビンラディンは逃走していたと、イギリスのタブロイド紙『News of the World』の記事を引用して『Press Trust of India』(PTI)が報道した。
●記事によると、ビンラディンの側近が用いていた携帯電話のデータから、ビンラディンの隠れ家を突き止めたという。しかし現場に到着すると、すでにビンラディンはいなかった。
●『PTI』によると、この作戦はムシャラフ自身がアメリカのインタビューアDaphne Barakに語った。「春のことだった。諜報情報を入手して、彼に近づいていることがわかった。このような好機がやってきても、成功か失敗は瞬時に決まってしまう。失敗すると、好機はなかなかやってこない」。
●ロンドンのパキスタン大使館が今週、この報告を確認した。「30分の差でビンラディンを取りのがした。2001年以来、もっとも彼に接近していた」。
'Osama evaded Pakistani troops'