【2006年1月16日〜1月22日】


■アメリカの空爆、「婚礼を計画していたビンラディンの部下を殺害」[060122 Times]

(前略)パキスタン治安組織高官によると、1月13日のアメリカの空爆でパキスタンのDamadola村で殺害されたも者のなかに、4人のアルカイダ幹部高官がいたという。

(中略)そのなかにはイギリス人の「靴爆弾」犯人リチャード・リードを育てたAbu Khabab al-Masriも含まれている。al-Masriは自分の結婚式を計画するために村を訪れていたと、治安組織高官が述べた。

(中略)攻撃の日、12人のアルカイダたちが夕食会に参加した。パキスタンの諜報組織高官たちによると、ザワヒリもこのグループの中にいたという。ザワヒリは地元の女性と結婚しようとしていた、al-Masriの後見人として参加していたらしい。

「パキスタンの伝統では、花婿が自分で花嫁に求婚することはないために、イスラームの伝統にのっとって、ザワヒリがal-Masriの後見人の役を果たしていた」という。相手の女性は30歳の未亡人で、7歳の息子がいる。夫はタリバンとともに戦っていたムジャヒディンで、アメリカがアフガンに侵攻した直後に殺害されたという。

(中略)別のパキスタンの諜報組織の情報源は、al-Masriは結婚するためではなく、ヘクマチアルの戦士たちを訓練するために村を訪れていたと政府は見ている、と語った。(後略)

hoonUS airstrike 'killed Bin Laden aide as he planned wedding'
Dean Nelson and Mohammad Shehzad、Islamabad

■M15、爆弾犯の聖戦計画を事前に察知[060122 Times]

イギリスのスパイ組織は、ロンドンの爆弾犯の首謀者がアルカイダのために戦う計画を立てていたことを、7.7自爆攻撃事件の1年前からつかんでいたと、治安組織の情報源が暴露した。

MI5はムハンマド・スィディーク・カーンとシャーザッド・タンウィールが、カーンが切望していた聖戦について語り合っているところを盗聴していた。

さらに、カーンがパキスタンにあるイギリス人テロリストのためのキャンプへの参加を計画していたことを、盗聴していたという。2人はイスラーム原理主義のために資金を集めることについても、話し合っていた。

しかし警察とMI5は、この2人の男は国家にとって「危険人物」ではなく、「直接的な脅威」であると考えなかった。男たちは何らかの不正行為に関わっているだけで、近々攻撃を計画しているとは考えなかったため、監視をやめてしまった。

4人の爆弾犯人に関するMI5の諜報情報をすべて調べた結果、これらのことが明るみに出たという。

MI5は、7.7事件の計画を2003年の夏にまで遡っていた。当時カーンは、パキスタン北部のテロキャンプに参加している。このキャンプは、ブレアがイギリス軍をイラクに派遣した直後に設立された。

キャンプの目的は、カーンのようなテロリスト予備軍を育てることで、イギリスで爆弾攻撃を実行させるためのものだった。情報源によると、カーンが2003年の夏にキャンプから戻る際、爆弾製造に関する知識をすべて取得していたという。

諜報組織は、カーンとタンウィールが2004年に一緒にイギリス国内を旅行した際に、2人の目的を察知することができたはずだった。今回明るみに出た事実により、7.7事件の諜報情報の失敗が問題になることは避けられない。(中略)

以前内務大臣のCharles Clarkeは、事件は「青天の霹靂」だと述べ、治安組織高官は、自爆犯たちに関しての諜報組織はこれまで「全くなかった」と述べている。

(中略)MI5は今になって、カーンは2003年夏にパキスタンの他のキャンプをも訪問し、アフガニスタンも訪れたと述べている。パキスタンの出入国管理によると、カーンとタンウィールは2004年の11月にパキスタンを最後に訪れている。(後略)

hoonMI5 knew of bomber's plan for holy war
David Leppard

■バローチスタンの衝突で多数「死亡」[060122 BBC]

バローチスタン州で、部族民の抵抗勢力とパキスタンの治安部隊の間で激しい戦闘があった。

部族民の報道官によると、この2日間でDera Bugtiの村では一般市民16人が死亡したという。バローチスタンの地元の人間によると、犠牲者の数はもっと多いはずだというが、政府関係者は沈黙している。

最近バローチスタンでは、天然資源をめぐって政府とバローチ族との間で対立が続き、特にDera Bugtiでは対立がエスカレートしている。Dera Bugtiは、強力な部族のリーダーの根拠地である。

地元行政政府官のAbdul Samad Lasiは、抵抗勢力が土曜日だけでロケット弾を500発を国境警察隊に向けて発砲したと語った。軍は報復として、大砲で町を爆撃した。

Lasiは、犠牲者の数はわからないとしながらも、抵抗勢力数人が死亡した可能性があると語った。

しかし部族の報道官Shahid Bugtiは、女性や子供を含む一般市民多数が死亡したと述べた。

バローチ・ナショナリストたちは、政府が州の天然ガスや鉱山資源の分け前をめぐって大掛かりな軍事作戦を展開していると、非難している。政府はこのような作戦が実施されていることを否定し、犯罪者や反国家的な罪人に対して行動しているだけだと主張している。

ここ数年間バローチの抵抗勢力たちは、治安部隊や政府の建物に対して、一連の攻撃を続けている。

政府は、この地域を訪問したムシャラフを狙ってロケット弾が撃ち込まれたあと、一連の取り締まりを開始した。

政府当局によると、一部のどん欲な部族のリーダーが、新たな開発プロジェクトに反対して暴力をふるっていると非難しているが、バローチ・ナショナリストたちは、これらの開発プロジェクトは地元の部族民たちを無視するものだと主張している。さらに州が産出している天然ガスから、十分な採掘料をもらっていないという。また、軍がこの地域に新たな駐屯地を作ることに反対している。

hoonMany 'die' in Balochistan clashes
Barbara Plett

■パキスタンの部族地帯での取り締まり、失速か[060122 New York Times]

パキスタン軍が部族地帯に入って2年経った今、パキスタン人担当官たちによると軍の作戦は失敗に終わり、行政機関の権力は失墜。抵抗勢力たちの力はこれまで以上に増大しているという。

ビンラディンとザワヒリは、2人ともこの地域のどこかにいるといわれる。(中略)高官たちは、アラブや中央アジアの国家から、数百人の外国人戦闘員がこの地域に入り込み、当局を脅かし続けていると言う。

ジャーナリストたちには、部族地帯への立ち入りが禁じられている。しかし担当官たちによると、タリバンと自称する戦闘員たちが自分たちの法を施行し、拘置所も持つようになったという。銀行を襲い、軍や文民政府の建物を攻撃、車列をも襲撃する。地元の部族民たちを仲間に入れ、恐怖と宗教の両面から、一般市民を牛耳っているようだ。

アフガニスタンの米軍関係者にパキスタンの部族地帯についてEメールで質問状を送ったところ、次のような答えが返ってきた。「部族地帯は、改革の時期を迎えているようだ。穏健派と過激派が、自国の未来のために戦っている。タリバン式の法がはびこるこの無法地帯において、パキスタンは大きな危機を迎えている」。

パキスタン軍報道官のショーカット・スルタン中将は、抵抗勢力の力の強さは誇張されていると主張する。部族地帯全体の外国人戦闘員の数は、「100人前後」だという。

しかし担当官たちや住民たちは多数の戦闘員がいると語り、特に南北ワジリスタンでは、テロによるキャンペーンが開始されたという。去年少なくとも108人の親政府派の長老、4〜5人の政府高官や協力者、2人の地元ジャーナリストが戦闘員に殺害されたと、地元のジャーナリストは語る。

アルカイダ工作員たちが地元の戦闘員を操り、彼らの戦術に影響力を及ぼしているという。アメリカがアフガニスタン側で彼らを追いつめる「金槌と金床作戦」にもかかわらず、戦闘員たちの力は増している。この6週間の間、CIAが無人偵察機を用いたミサイル攻撃など、この地域で米軍の攻撃が3回あった。アメリカがいらだちを表明しているのか、諜報情報が流出したのかは、明らかではない。

政府は否定しているが、これらの攻撃はパキスタンの承認のもとで実施された可能性があると、担当官たちは語る。パキスタン政府はアメリカに対して、型通りの抗議しか行なっていない。

(中略)最近攻撃があったバジョールは、南北ワジリスタンほどは無法地帯ではないといわれる。しかし戦闘員がアフガニスタンのクナール州に出入りするための、重要な基地となっている。米軍はこれまでクナールで、激しい抵抗運動に遭遇してきた。

アルカイダのプロパガンダ班は、アフガン人戦闘員たちがアラブ人司令官に訓練され、クナールで米兵や車列を襲撃する様子を収録したCDを配布している。アフガン人たちは、ソ連時代に戦った2人のアラブ人司令官がバジョールにいることを知っていると、クナール州知事のAsadullah Wafaが語る。

アフガン国境警察は6ヵ月前に、ヘクマチアルが指揮するアフガン・タリバンとアラブ人たちがバジョールのモスクで会った、という情報を入手していると言う。この集会で、アフガニスタンにおける抵抗運動の役割分担が話し合われたらしい。

パキスタン軍は南北ワジリスタンの基地から、ほとんど外に出なくなった。また行政側は無力であるため、南ワジリスタンにおける政府代表は現地に住んでもいないという。「我々は紙面の上だけで政府を動かしている」と、南北ワジリスタンで働いた経験がある政府関係者が語った。

現在、戦いは南ワジリスタンから北ワジリスタンに移り、軍と一般市民との間に、毎日のように犠牲者が出ている。アメリカの資金で建てられた、小高い山のようなチェックポストのうち、少なくとも3つが攻撃されて崩れた。

「悪かった状況が、最悪の状況になっている」。「タリバンに対して、反対の声を挙げられる者はいなくなってしまった」と、高官たちは語る。自由に闊歩する武装した戦闘員たちは、南ワジリスタンのワナのバザールに本部を構えた。武装した戦士たちを満載にしたピックアップが、走り回る。この事務所は、無学・無職の若者をリクルートするために用いられている。これまで実施された軍事作戦に反発して、若者たちが戦闘員に加わる例も出ているという。

軍報道官のスルタン中将は、このような報道を深刻に考えすぎない方がいいと語る。「彼らをタリバンと呼ぶことは、状況をセンセーショナルにするようなものだ」と、ラワルピンディでのインタビューで語った。「外国人、アルカイダ、タリバン、地元の支持者の集まりにすぎない」。彼がいうタリバンとは、アフガニスタンの戦闘員たちのことだ。

彼によると、外国人戦闘員はもはや南ワジタスタンには存在せず、北ワジリスタンに小さなグループがいるだけだという。アルカイダなどの外国人に協力している地元戦闘員たちも、少数だがいるようだと付け加えた。

「彼らに協力している地元の人間も少数いる。その数ははっきり言えない」。部族民の多数は政府を支持しているが、暗殺を恐れ、声を大にできないのだという。

軍が2005年に失った兵士の数は明確にしなかったが、2004年よりは少ないと主張する。2004年には、パキスタン人兵士250人が犠牲となった。「今はそのようなことはない」と語った。

1000マイル平方に約600万人が住むFATAは、対ソ戦争時にはアフガン人と外国人戦闘員のアジトとなった。しかしこの4年間、アフガニスタンから追い払われたタリバンやアルカイダが、この地域をコントロールしている。

部族地帯で過ごしたことがある政府高官は、少なくとも外国人戦闘員1000人がこの地域にいると語る。しかし多くは地元の人間と結婚して家族を持っているために、外国人といえるかどうかは曖昧になってしまったようだ。

今日、この地域はならず者の隠れ家となりつつある。アルカイダのリーダーのほかに、ウズベク独立運動のリーダーのトヒール・ユルダシェフも北ワジリスタンに隠れているといわれる。ユルダシェフもタリバンと結託している。ジャラウッディン・ハッカーニ師やヘクマチアルも、この部族地帯とアフガニスタンとの間にいるらしい。

地元の戦闘員たちのほとんどは、アフガニスタンで戦った者たちだ。対ソ時代にソ連と戦ったか、あるいは内戦時にタリバンとともに北部同盟と戦った者たちである。しかし地元の人間を原理主義に引き込んだのは、外国人戦闘員たちだ。「煽動しているのは、外国人だ」と、スルタン中将も語る。

アフガニスタンの米軍高官は、この問題の解決法はアフガンの国境警察を強化することと、「パキスタンが国境地帯をコントロールし、パキスタン内からタリバンの影響力を一掃すること」だと語る。

「パキスタンは、アルカイダとタリバンをどうやって取り締まるかではなく、そもそも取り締まるべきかどうかを悩んでいるようだ」と米軍高官は語った。「この戦争は時間がかかる。不運なことに、今後も同盟軍やアフガン軍に対する攻撃は続くと予想される」。

部族地帯の住民たちは、非常に信心深い。しかし地元の戦闘員たちが、アルカイダの掲げる原理主義と似た、新たな過激主義を導入したのだ。

戦闘員たちは、アフガニスタンのアメリカ人と戦うことを第一目的としているが、アメリカの仲間と見られているパキスタン軍や政府高官をも攻撃する。「彼らは宗教的なムジャヒディンで、パキスタン軍はブッシュの目的を達成するために協力している、と見ている。この戦いは神とサタンとの間の戦いという、救世主的な戦いになってしまった」。

欧米や政府と関係がある者は、国際的な報道機関のために働くジャーナリストを含めて、標的となる。最近、地元ジャーナリスト2人が殺害され、1人が誘拐された。別の1人は、爆弾で家を狙われたために、家族とともこの地域から去って行った。

軍は地域を鎮圧するどころか、状況を悪化させてしまった。文民の行政機関と伝統的な部族会議を無視したためだ。しかし長老たち多数が暗殺され、部族会議も機能しなくなっている。

軍が南ワジリスタンの戦闘員たちと交渉する様子を見て、戦闘員たちはますます大胆になってしまったようだ。北ワジリスタンに、独自のファッションを身につけたタリバンたちが出現した。

12月7日、北ワジリスタンのミランシャーで、戦闘員たちが地元の窃盗団たちとの戦いを繰り広げ、11人を殺害し、民家25軒に放火した。地元の部族民出身者が占める軍や国境警察は、この戦いに巻き込まれないように鳴りを潜めた。後にタリバンは、この窃盗団のメンバー27人のうち、26人を殺害した。

この戦いで、一躍戦闘員たちは地元住民の間で有名になった。住民たちは窃盗団に悩まされていたからだ。1994年にアフガニスタン南部で、レイプ犯や犯罪者たちを一掃するために立ち上がったタリバン運動を思い起こさせる。

現在、ミランシャーにいるタリバンに立ち向かえる者は、1人もいない。しかし、スルタン中将はこれを否定する。今回の戦いでは、両サイドとも、制裁が加えられたと言う。

garrPakistan's Push in Border Areas Is Said to Falter
CARLOTTA GALL and MOHAMMAD KHAN、PESHAWAR

■ザワヒリ、2005年に空爆の現場を訪れていた[060121 AP]

以前逮捕されたアルカイダのリーダーが取り調べで、先週空爆が実施された民家でザワヒリと会ったことがあると告白したと、パキスタンの諜報関係者が語った。

1月13日の攻撃はザワヒリを狙ったものだったが、当時彼は現場の民家にはいなかった。しかしアルカイダ関係者たちがDamadola村の問題の民家に夕食に集まり、アフガニスタンとパキスタンで新たな攻撃を行なう計画を立てていたという。

ザワヒリたちは少なくとも2005年に1度この民家に集まったと、アルカイダのナンバー3で、去年の5月に逮捕されたアル・リビが取調官に語っていた。

アル・リビによると、逮捕の数ヵ月前に、この民家でザワヒリに会ったという。「彼の供述は後に証明され、ザワヒリがDamadolaを訪れたことが確認できた」という。

リビの供述のあと、アメリカとパキスタンの諜報関係者が、部族民やアフガン人たちの協力を得て、Khanの家を監視していたという。

(中略)日没とともに開始された夕食会には、12人ほどのアルカイダ関係者が集まり、約90分続いたと諜報関係者が語った。「8時頃、何人かが去り、深夜頃にまた何人かが去った」という。攻撃はその数時間後に実施された。(後略)

hoonAl-Qaida No.2 at Site of Airstrike in 2005
RIAZ KHAN、PESHAWAR

■アルカイダ、攻撃を計画しに集合[060121 Daily Times]

パキスタン当局は、米軍にミサイルで攻撃されたアルカイダの工作員たちは、新たな攻撃計画を話し合うために集まっていたと見ている。

(中略)攻撃で4人のアルカイダが死亡したと言われているが、数人が攻撃の直前に逃走し、その1人はAbu Sulemanだったという。Sulemanについての情報はほとんどないが、これまでペシャワルで行なわれた捜索で、2度取り逃がしたという。ペシャワルにいる別の関係者によると、親タリバン派宗教指導者Faqir MuhammadとLiaqat Aliは攻撃の直前、数人の人間とDamadola村を出て行った。2人の宗教指導者は攻撃のあと現場に戻り、4〜5人の遺体を運び去った。現在、遺体が埋められた場所を探しているという。

smellAl Qaeda meeting was planning attacks: official
ISLAMABAD

■パキスタンの諜報関係者、攻撃の直後にDamadolaに到着[060121 Daily Times]

パキスタンの諜報関係者が、米軍の空爆直後にパジョール行政区のDamadola村に入り、攻撃された民家に外国人がいたことを証明するために「証拠を収集した」と、犠牲者の親戚の1人が語った。

この人物によると、Damadolaの「ある部族民」を通して、「外国人」が地元の過激派Maulana Faqir Muhammadの客人として、夕食に招かれていたという。

「空爆の直後、バジョールのKhar本部にいたパキスタン人諜報関係者が客人を装って現場を訪れ、ザワヒリがいたことを証明するために証拠を収集した」と犠牲者の親戚が主張した。

しかし、ザワヒリがいたという証拠はなかったという。「外国人が夕食会にいたのを見かけたが、ザワヒリではなかった。全員上品な外国人だった」と語った。

いっぽう犠牲者の1人Bakhtfoorの親戚Shah Zamanは、子供たちを含む一般市民13人が死亡したと述べた。「メディアで報道しているように18人ではなく、13人だ」という。

また空の墓に関しては、当初何人が死亡したかはっきりしなかったためだ、という。「みんなショックを受け、何が何だかわからなくなっていた。死亡したと思っていたのに生存していた者もいた」という。

外国人が犠牲者のなかにいたという報道に関しては、攻撃の正当性を主張するための「根拠のない言い訳」だという。「外国人はいなかったし、殺害された者もいない。どこに証拠があるのか?」

Shah Zamanによると、木曜日になって軍高官がやっと犠牲者のもとを訪れ、補償金を与えたという。また「現場から連れ去られたり、運び去られた者は誰もいない」と付け加えた。(後略)

smell'Pakistani agents reached Damadola soon after attack'
DAMADOLA

■パキスタン、米軍攻撃を抗議 [060120 AP]

金曜日に数千人のパキスタン人が「アメリカに死を」と叫んで、国境地帯の村への空爆に抗議した。

(中略)ペシャワルでは数千人の人間が2つのモスクから行進し、「ジハードが我々の道だ」と叫んで、ブッシュの人形を焼いた。ラホールやワナでも、小さな抗議集会が行なわれた。

(中略)いっぽうパキスタン人の法律家たちも、各地で抗議運動を行なった。イスラマバードの最高裁判所の前では、「アメリカに死を」「ムシャラフに死を」と叫んで、100人ほどの法律家たちが抗議した。

(中略)抗議運動が続く最中、パキスタン当局はDamadola村に集まった者たちが誰だったか、捜査を続けている。

あるパキスタン人諜報関係者が語ったところによると、アルカイダ関係者たちは近々行なわれる「新たな攻撃」について話し合っていたという。

(中略)アジズ首相は金曜日に、アルカイダ工作員たちがいたという「確かな証拠」は何も発見されていないと語った。

諜報関係者によると、攻撃を免れた外国人の1人には、国籍不明のAbu Sulemanがいると語った。パキスタン国内で攻撃を計画したと疑われており、一昨年ペシャワルで2度、彼を逮捕しようとしてとり逃がしたという。

hoonPakistanis Protest Deadly U.S. Airstrike
EN-LAI YEOH、PESHAWAR

■アフガニスタンの爆弾、戦略の推移か[060120 AP]

Bashir Janは、髭を生やした自爆犯がバイクに乗ってやってきたことを、よく覚えている。爆発は、レスリングの試合を見物していた群衆のなかで起きた。21人が死亡した。(中略)去年の9月以来、20件目の自爆事件である。

米軍は、タリバンが必死になっているからだと主張するが、攻撃はアフガニスタン南部などに軍を派遣する予定のNATOなどの国々を脅かしている。特にオランダは国内での反対が強く、政権の存続が危うくさえなっている。

(中略)レスリングの試合での事件は、カンダハルでカナダ人外交官とアフガン市民2人が車による自爆事件で死亡した事件の、翌日のことだった。

(中略)これまでアフガニスタンでは、自爆テロはほとんどなかった。2002年にはゼロ、2003年に2件、2004年に4件。2005年以降は20件である。

米軍報道官のJames Yontsによると、最近の攻撃は国際社会の2つの大きな動きに呼応しているという。まず今月ロンドンで予定されている支援国会議、そして今年の中頃には、米軍に代わってNATO軍がアフガニスタン南部に派遣される。「タリバンとアルカイダは、今が非常に重要な時期がであることを認識している。最近の攻撃は、敵の戦術が向上したのではなく、必死になっていることを示している」。

Yontsによると、アフガニスタンの戦闘員たちは、イラクの抵抗勢力ほど洗練されていないという。爆弾はタイミングや標的をはずし、爆発物の量も不十分だ。しかし、今後も攻撃は続くと見られている。

カルザイ大統領は最近のインタピューで、自爆はタリバンの「敗北の兆し」だと語った。最近の自爆犯たちは麻薬中毒者で、自殺願望を持つ。他のものたちは4ヵ月前からアフガニスタンに入ってきて、自爆訓練を開始した者たちだという。しかし、自爆はアフガニスタンの安全を脅かすものではないと主張しても、アフガン人を安心させることはできない。

(中略)「日に日に状況が悪化している。タリバンたちはパレスチナやイラクの戦闘員の様子をテレビで研究している」と、前内務大臣のワルダックは語る。彼は、抵抗勢力は政府内に入り込んでいると指摘し、今月、米大使が僻地の村を極秘に訪れた際に狙われた事件を引き合いにだした。

(中略)以前、タリバンの将軍だったある人物は、抵抗勢力の影響は地方で大きくなっていると語った。「政府軍は細心の注意や警備なくして、東や南の山岳地帯に入れない」。

タリバン幹部司令官のダドゥッラー師は先月『AP』に、少なくとも200人の戦闘員たちが米軍と戦って死ぬ覚悟があると語った。

この数字が事実がどうかは別としても、NATOは今後平和維持ではなく、戦闘に従事せざるを得なくなる。春までに英軍3000人、カナダ軍1500、そして予定ではオランダ軍1400人が南部に派遣され、1万9000人いる米軍のうち3500人が帰国する。残りの米軍は東部に留まる予定だ。

hoonAfghan Bombings May Be Shift in Tactics
DANIEL COONEY、KABUL

■「ザワヒリのテープ」、戦士を賞賛[060120 BBC]

ザワヒリのものと言われるオーディオ・テープがウェブサイトに掲載された。

テープは、アフガニスタンで戦うイスラーム戦士を賞賛しているが、パキスタンの村における攻撃には触れていない。

CIAは、テープはザワヒリの声であることを確認したが、最近の録音である証拠はない。

ウェブへの掲載は、アルジャジーラ・テレビがビンラディンのメッセージを放送した翌日のことである。(後略)

hoon'Zawahiri tape' praises fighters

■スワートで過激派6人逮捕[060120 Daily Times]

水曜日の夜に諜報機関が、アフガン人4人を含む過激派6人をスワートで逮捕した。

男たちのうち5人はMatta地域のモスクで、1人は同地域のBahadak地区のマドラッサで逮捕された。「アルカイダと関係がある」という。

Mattaは過激派組織のTehreek Nifaz-e-Shariat Mohammadiの根拠地といわれている。2001年には、タリバンを支援するためにアフガニスタンに戦闘員を多数送り込んでいる。

hoonSix militants arrested in Swat
PESHAWAR

■北西辺境州大臣、変装してDamadolaに[060120 News]

イスラーム協会の州責任者Sirajul Haqが変装して、パジョール行政区のDamadolaを訪れた。当局は村の周囲を封鎖し、政治家やジャーナリストが入ることを拒んでいる。

これまで政治家が多数現場に入ることを許されず、追い返された。政府は、地元ジャーナリストに制限はないと主張しているが、レポーターたちもDamadolaを訪れることができず、現場で何が起きているのかわからない。

Sirajul Haqは仲間2人に同伴され、毛のショールにくるまり、古い車を運転してバジョールに向かったという。

Sirajul Haqが『News』に語ったところによると、Damadolaの犠牲者を悼むために村を訪れた。彼自身がバジョールと隣接するロワー・ディール出身者であるため、犠牲者の家族を訪れることが自分の義務だと思ったという。(中略)

Sirajul Haqは、犠牲者の家族がアルカイダや外国人戦闘員を匿っていたとは思えないと語った。「単なる素朴な村人だ。政治とは全く関係がない。私がイスラーム協会の長だと紹介されても、私のことを知らなかった」。

(中略)いっぽうバジョール行政区のマーモンド地区の村人によると、米軍機が水曜日の午前4時〜9時の間、再びパキスタン内に入ってきたと主張した。

hoonNWFP minister visits Damadola in disguise
Rahimullah Yusufzai、PESHAWAR

■テロと関係があるとして、スワートで5人逮捕[060120 News]

水曜日に諜報期間がスワートのMatta地区で、テロ組織と関係があるという5人のアフガン人を逮捕した。

男たちはEmaduddin、Farooq、Majidullah、Shafiullah他1人で、逮捕時、モスクで就寝中だった。

男たちはヌーリスタン州の人間で、ヘクマチアルの関係者を匿っていたという。

hoonFive arrested in Swat for terror links
Iftikhar Khan、MINGORA

■ビンラディンのテープ、攻撃を予告[060119 BBC]

アルジャジーラテレビが、ビンラディンのものと思われるオーディオテープを放送した。CIAのアナリストによると、本人の声だという。

テープによると、アメリカに対する新たな攻撃が計画されているというが、アメリカ人に対して「長期的和平協定」も呼びかけた。アメリカはすぐにこれを拒否した。

アナリストによると、ブッシュがアルジャジーラ本部を爆撃することを計画していたことに触れているため、テープは去年の11月22日頃のものだという。

(中略)テープによると、9.11以後アメリカに対する攻撃がないのはアメリカの警備が厳重なためではなく、組織がイラクでの活動に従事していたからだという。「バグダッドで現在活動しており、これが終わればすぐにアメリカに対する作戦を開始する」という。

(中略)いっぼうで、アメリカの民衆からイラク戦争に対して反対する声が出ているために、アメリカに対して長期的な和平協定も考えられるとも語った。(後略)

hoon'Bin Laden tape' warns of attacks

■バジョールで2つの空の墓発見[060119 Daily Times]

水曜日に捜査官たちが、バジョール行政区のアメリカの空爆があった現場で、2つの空の墓を発見したと述べた。しかし死亡した外国人の身元の情報はない。(中略)

治安関係者によると、「住民は墓を18掘ったが、16人が埋葬され、2つは空のままだった」という。(中略)行政側によると、2人の地元宗教指導者Maulana FaqirMohammadとMaulana Liaqatが外国人の遺体を運び去り、「攻撃の本当の理由」を隠そうしたと述べた。ただし、根拠はない。

水曜日に部族地帯の広報担当のShah Zaman Khanは、テロリストの遺体はおそらく「近づくことができない山中にあるだろう」と述べた。「調査は現在行なわれており、2人の宗教指導者が指名手配になっている」という。(後略)

hoon2 empty graves found at Bajaur
ISLAMABAD

■空爆でアルカイダ戦闘員死亡か [060119 AP]

パキスタンの諜報部が水曜日にアルカイダ戦闘員のものと思われる4つの墓を掘り起こした結果、そのうちの1人がアルカイダ幹部であると疑われている。

『ABC News』は、アルカイダの爆弾製造頭と化学兵器の専門家が先週のDamadola村での攻撃で死亡した、と報道した。男はMidhat Mursi、別名Abu Khabab al-Masriで、アルカイダの訓練所を運営し、500万ドルの賞金が懸けられていた男だった。

『ABC』によると、パキスタン高官が別の2人のアルカイダ高官も死亡した語ったという。パキスタンとアフガニスタンのアルカイダ作戦責任者Khalid Habibと、アルカイダ幹部司令官Abdul Rehman al Magrabiである。

ペンタゴン関係者は、この報告についての情報はないと語った。パキスタンの諜報関係者は、当局はまだ死亡した外国人の名前を確認していないと述べたが、1人はアルカイダ幹部だったといわれている。「まだ名前はわからない。1人は重要人物だったことがわかっている。組織内で重要な地位を占めていたようだ。現在彼の名前を調べている」という。

しかしパキスタンのシェルパオ内相が『AP』に語ったところによると、ミサイル攻撃で死亡した外国人の身元は知らないという。「まだ捜査中だ」と語った。

シェルパオによると、政府は死亡したといわれる4人の外国人の遺体を回収した。遺体は地元の親タリバン派の宗教リーダーであるMaulana Faqir Mohammedが運び去ったらしい。Maulana Faqir Mohammedは指名手配になっている。

地方政府は、今回の攻撃で住民18人が死亡したが、4〜5人の外国人戦闘員の遺体が共鳴者たちによって運び去られ、身元が確認されないように山中に埋葬されたと発表した。「さらに捜査中だ」と、パキスタンの部族地帯における広報担当のShah Zaman Khanが述べた。

彼によると、当局は戦闘員を匿っていた2人の有名な親タリバン派宗教指導者Maulana Faqir MohammedとLiaqat Aliの行方を追っている。2人はDamadolaにいたが、攻撃を免れている。

諜報関係者によると、死亡した外国人はザワヒリの部下とされ、彼の代理としてDamadolaで開催されたイードの夕食会に参加していた。

(中略)『AP』の特派員が、攻撃直後に村を訪れた。住民は、死者はすべて村人だと述べたが、暗闇の中で遺体や負傷者を運び去ることは可能だ。イスラームの習慣では死者はすぐに埋葬されるが、レポーターは13の埋葬されたばかりの墓と、5つの空の墓を目撃している。5人の遺体がさらに埋葬される予定だったようだ。レポーターが翌日現場に戻ると、5つの墓は空のまま埋め直されていた。瓦礫の中から5人の遺体が発見されなかったことを示す。

それ以後事件についての情報は、地方政府からしか発表されておらず、死者の名前も明らかになっていない。しかしパキスタンの諜報関係者は、犠牲者の何人かはパキスタン人戦闘員で、遺体は現場から運びらされたと述べていた。(後略)

smellStrike Reportedly Kills al-Qaida Militants
RIAZ KHAN、PESHAWAR

■アルカイダ幹部、空爆で殺害か[060118 New York Times]

アルカイダの訓練士2人とザワヒリの義理の息子が、金曜日のアメリカによる空爆で死亡したと、パキスタン人高官が水曜日に語った。

男たちの遺体は回収されていないが、2人の当局関係者によると、パキスタン当局は諜報情報から、空爆で死亡した3人の名前を確認することができたという。4人目の名前も確認されそうだ。これまでこの2人の情報源は、信憑性の高い情報を提供してきた。

アメリカの対テロ高官は、4人のアルカイダが殺害されたかどうか確認することを拒否している。しかしある関係者は「そのような人間が現場にいたと思われていた」と述べた。

これらの男の一部、あるいは全員が死亡したとしたら、アルカイダの作戦には大きな打撃となるだろうという。パキスタンが提供した4人の名前は、アルカイダ内部組織の幹部高官だという。

パキスタンの関係者も、今回のアルカイダの損失は部族地帯にいる組織にとっては大きな損失だが、外国人はまだ数百人いるはずだと述べた。

(中略)死亡したアルカイダ高官の1人は、52歳のエジプト人Abu Khabab al-Masriだといわれ、アメリカは彼に対して500万ドルの懸賞金を懸けていた。本名はMidhat Mursi al-Sayid Umarで、アメリカ政府の指名手配者ウェブサイトによると、爆発物と毒物の専門家だという。

Abu Khababはアフガニスタンのジャララバード近くのDarruntaでアルカイダ訓練所を運営し、数百人の戦闘員を訓練していた。訓練マニュアルを作り、化学・生物学兵器の作り方なども指導していた。

Abu Khababが訓練をした男のなかにはアブ・ズバイダもいる。ズバイダは2002年にファイラサバードで逮捕された。

別のエジプト人Abu Ubayda al-Misriも今回の攻撃で死亡したと、パキスタン人関係者が語った。彼は、攻撃があった地域の作戦責任者だったらしい。

作戦責任者としてAbu Ubaydaはアフガニスタン南部の米軍に対する攻撃を指揮し、地域の戦闘員たちを訓練したり、援助を行なっていた。またアルカイダリーダーの幹部たちのあいだの連絡係もつとめ、地域のアルカイダ幹部の警備を担当していたといわれる。

タリバン崩壊後、Abu Ubaydaは南ワジリスタンのシャカイに移った。そこでアラブ人の小さなグループを指揮していたが、パキスタン軍が2004年にこの地域で作戦を開始すると、移動した。

死亡した3人目はモロッコ人のAbd al-Rahman al-Maghrebiで、ザワヒリの義理の息子だといわれる。Maghrebiはこの地域のアルカイダのプロパガンダ担当で、アフガニスタン南部で戦うタリバンやアルカイダ戦士のCDを配布していた。

4人目はエジプト人のMustafa Osmanで、ザワヒリの部下である。彼も死亡したと見られているが、まだ明らかではない。これに加えて、さらに2〜3人の外国人戦闘員が死亡した可能性がある。

あるアメリカ高官によると、別のアルカイダKhalid Habibも攻撃時現場にいた可能性があるという。彼の名前もパキスタン人関係者から挙がっているが、まだはっきりしたことはわからない。

Habibはパキスタンとアフガニスタンのアルカイダ作戦の総司令官で、重要な地位にいる。もし現場にいたとしたら、最も重要なポストの人間である。

(中略)以前逮捕されたアル・リビが捜査官に、民家への攻撃で死亡した家族の人間のうち1人の男Bakhtpur Khanの名前を、協力者の1人として出している。関係者によると、アル・リビは以前DamadolaのBakhtpur Khanの家でザワヒリと会った、と語った。

攻撃当時ザワヒリが現場にいた可能性は少ない。もし来ていたとしたら、もっと多くの付き人がいたはずだと、パキスタンの関係者が語った。

『アル・アラビア』は攻撃の直後アルカイダメンバーの話として、ザワヒリは生存していると報道した。さらにアルカイダのメンバーが局に電話をよこし、ザワヒリは安全な場所にいると語ったという。

『アル・アラビア』に電話をかけてきた男はモロッコ人のAhmad Solaimanで、組織の報道官らしい。パキスタンの治安関係者は攻撃の直後、ザワヒリの生存を確信していると語った。

ohSenior Qaeda Members Said to Be Killed in Airstrike
By CARLOTTA GALL and DOUGLAS JEHL、PESHAWAR

■アフガン人、自爆に関してパキスタンに抗議[060118 AP]

5000人以上が水曜日に、「パキスタンに死を」と叫びながら国境の町で抗議した。

月曜日に開催されたレスリング試合の会場で自爆事件が発生し、21人が死亡した。犯行声明は出ておらず、タリバンも関与していないという。

「パキスタンに死を、アルカイダとタリバンに死を」とデモ参加者たちが叫び、パキスタンとの国境のWaishまで行進した。

(中略)アフガンの部族長老が、月曜日の自爆犯はパキスタンで訓練を受けていたと述べた。(後略)

hoonAfghans Protest Pakistan After Bombing
NAIMATULLAH SARHADI、SPINBOLDAK

■アメリカの攻撃で、戦闘員4〜5人死亡[060118 New York Times]

火曜日に行政政府が、金曜日のアメリカのミサイルの攻撃で市民18人の他に外国人戦闘員4〜5人が死亡したが、遺体は仲間によって運び去られたと語った。全体では10〜12人の戦闘員が、当日村での夕食会に招かれていたという。

政府による現場検証から、犠牲者のなかに戦闘員がいたという結果が出たとして、始めて正式に発表された。

(中略)Damadola村の住民は、村には外国人はいなかったと主張していたが、攻撃の翌日ムシャラフ大統領は村には外国人がいたと述べ、外国人戦闘員を匿わないように呼びかけていた。

(中略)行政官のWazirによると、「少なくとも今回の出来事で4〜5人の外国人が殺害されたが、攻撃の本当の理由を隠すために遺体は運び去られた」と、声明を発表した。「18人もの犠牲者が出たことは大変残念だが、少なくとも10〜12人の外国人戦闘員が夕食に招かれていたことも確かだ」という。(後略)

smellPakistanis Say U.S. Raid Left 4 or 5 Militants Dead
CARLOTTA GALL、PESHAWAR

■パキスタンの攻撃の報道、混乱[060118 Washington Post]

アメリカの諜報組織の関係者が火曜日に述べたところによると、金曜日にパキスタンで実施されたミサイル攻撃で、ザワヒリを殺害することができなかったという。しかしパキスタンの地方高官は、国境近くの村で夕食に招かれた外国人過激派4〜5人を殺害したと発表した。

(中略)事件に関してはさまざまな情報が入り乱れた。バジョール行政官は、攻撃で外国人テロリスト4〜5人が死亡したと発表したが、連邦政府情報相は、バジョールに「外国人テロリストがいたという情報はない」と述べ、「我々の領土内に侵入することは今後許さない」と語った。

(中略)パキスタンは公的には、米軍がパキスタン領内に入ることを禁じている。しかし諜報情報源によると、アメリカの無人偵察機がパキスタン内でミサイルを数発発射したという。

今回の事件に精通しているあるパキスタン人高官によると、パキスタンの諜報組織は事前に攻撃のことを知っており、テロリストが村に匿われていたことも「確かだった」という。アフガニスタンの米軍高官によると、金曜日の攻撃を含めてパキスタンとアメリカは、対テロ作戦を協力しながら行なっている。

アメリカの諜報関係者が火曜日に、無人偵察機の攻撃があったとき、ザワヒリは予定どおりパキスタンの村の民家に来ていなかったことは確かだと語った。ただDNA鑑定を含めすべての証拠を確認しなければ、最終的な結論は出せないという。

遺体の数についても、混乱している。村人は、犠牲者はすべて埋葬したと述べている。しかしバジョールの行政官は、外国人戦闘員の遺体は、仲間が運び去ったと語った。さらにあるパキスタン人高官は、遺体はDNA検査のために回収されたと語っている。

アメリカの諜報関係者は、エジプト人を含むザワヒリの部下たちが、今回の攻撃で死亡した可能性が高いと語る。Damadola村の標的となった民家には、以前アルカイダ関係者が滞在していたといわれる。

あるアメリカの情報源は、CIAが2週間にわたってこの地域を監視していたと述べた。また別のアメリカの諜報組織の高官は、木曜日の夜、ザワヒリが他の客人とともに、夕食会に招かれていたと語った。

「この民家にいた人間たちが、再び戻ってくる可能性が高い」と、アフガニスタンのある米軍関係者が語った。

アメリカは今月初めに北ワジリスタンでもミサイル攻撃を行ない、8人を殺害している。(後略)

smellConfusion Shrouds Pakistan Attack
Pamela Constable and Dafna Linzer

■バジョールの空爆で、外国人5人死亡[060118 Daily Times]

政府幹部高官が火曜日に、女性や子供を含む18人が死亡したバジョールにおけるアメリカの空爆で、少なくとも5人の「外国人テロリスト」が殺害されたと発表した。

政府は死亡した部族民18人は無実だったと述べ、哀悼の意を表した。「我々の情報によると、少なくとも4〜5人の外国人が殺害されたが、仲間が遺体を運び去った」と、バジョール行政官Fahim Wazirが記者会見で発表した。「諜報局が発表した」報告で、外国人の存在が明らかになったという。

情報源によると、1月12〜13日の夜にかけて、外国人戦闘員5人が攻撃を免れて逃走したという。ザワヒリが逃走した者のなかにいたのか、死亡したかはわからない。またWazirの記者会見でも、ザワヒリが12人の「客人」の1人だったかどうかは明らかにされなかった。

いっぼう北ワジリスタンでは火曜日に、GhalanaiとTabi村のチェックポストとRazmakとDosali地区の軍のキャンプにロケット弾が撃ち込まれた。攻撃は月曜日の深夜に開始され、火曜日の朝まで続いた。準軍隊兵士5人と一般市民1人が負傷した。

hoonFive foreigners killed in Bajaur airstrike: govt
Iqbal Khattak、PESHAWAR

■パキスタン、アメリカの誤爆を不当に怒る[060118 Asia Times]

パキスタンの外務省は米大使を呼び、今回のパジョール行政区の事件に関して説明を要求した。(中略)

メディアは、ザワヒリが難を逃れたのは、彼が夕食会に参加しなかったからだという。しかし諜報情報を持つ情報源が語ったところによると、今回の標的はザワヒリに特定されたものではなく、オマール師でもヘクマチアルでもあった可能性があるという。

欧米の諜報関係者によると、バジョールでタリバン、パキスタン人、アルカイダのリーダーが会う「重要な会議」があるという情報を、アメリカが入手していたという。「現場上空に数日間、無人偵察機3機を飛ばせた。攻撃の数時間前にも飛ばした。その結果、ザワヒリに情報が漏れた」という。

ザワヒリが夕食会に参加しなかったかどうかはともかく、アメリカは「テロとの戦争」でかなり攻撃的になり、パキスタン領土内においてさえ、攻撃を実施するようになった。

《諜報情報の協力》

イスラマバードにいるパキスタンとアメリカの諜報組織は、毎日、午後10時頃に情報を交換し合う。情報は直接手渡しされる。

さらにパキスタンとアフガニスタンの国境に関する監視レポートを、毎日提供する。パキスタン側はパキスタン人諜報部員がパキスタン内部の情報を提供し、アメリカの工作員はアフガニスタン側の情報を提供する。主にアルカイダやタリバンのことだ。

この組織はバジョールの攻撃の数週間前から、クナール州でアルカイダの行動が活発になってきたことを注視していた。

以前、クナールに発し、パキスタンのチトラルで終わるルートがあることが注目されていた。アルカイダやアフガン抵抗勢力は、このルートを辿って2国間を往来しているようだ。

去年5月にアル・リビがパキスタンで逮捕されたとき、この事実が確認された。取り調べで彼はこのルートのことを明らかにした。バジョールはこのルートの中に位置し、峠を越えるとクナールにつながる。

最近アメリカの諜報部員たちは、アラブ・アフガンがパキスタンに入っていくのを確認した。チトラルにはパキスタン軍が多数いるため、これらの一団は代わりにパジョール行政区に向かったと思われる。

中にはオマール師かヘクマチアルのような重要なアフガン人がいる可能性がある、と言われた。もし一団が目撃されたら、すぐに攻撃することになっていた。

ということは、誰かが標的を確認したが、実際はそうではなかったということになる。死亡したものは、地元の人間とパンジャーブ人数人だった。

この攻撃で、国内に反対運動が湧き起こった。スィンド州や連邦政府内のこれまでムシャラフ政権と同盟を組んでいた政党や、親米・親印を掲げるMuttahida Quami Movementさえもが、MMAとともに抗議運動に加わった。

したがって政府はテロを非難して、面目を保とうとしているかのように見える。政府は、何が起きているか知らなかったはずはないからだ。アメリカとパキスタンの関係を考えれば、アメリカがイスラマバードに事前に告知せずに、バジョールの攻撃を行なうはずはない。

「クリントン政権がカンダハルとコーストにいたビンラディンを攻撃したとき、ミサイルがパキスタン上空を通過しただけなのに、パキスタンに事前に知らせてきた」と、あるパキスタン人高官が語る。「今回も同じだったはずだ。しかし当初から、ザワヒリ、オマール師、ヘクマチアルをバジョールで攻撃するなどいうことは、事実に基づいた作戦というよりは神話のようなものだ」と、付け加えた。

ohPakistan's misplaced ire over US misfire
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■政府、バジョール事件の家族に対して哀悼の意[060117 Daily Times]

連邦政府は月曜日に、バジョール行政区でアメリカのミサイル攻撃を受けて死亡した犠牲者の家族に、初めて哀悼の意を表した。

マーモンド地区の官吏Javed Ullahが犠牲者の家族のもとに訪れ、哀悼の意を表した。

犠牲者たちの隣人によると、「当日夕食会があり、客人が数人ランドクルーザーに乗ってやってきた」と『Daily Times』に述べた。しかし「客人が外国人か地元の人間かどうかはわからない」という。「客人は深夜前に家を去った。ミサイル攻撃がある3時間前だった」という。

Kharにいる情報源によると、自宅を爆撃されて子供3人を失ったMuhammad Khanは、自分の仕事仲間を自宅に招いたと語った。「アメリカの工作員は、誤った情報を流した」という。

Muhammad Khanは『Daily Times』に、自分は教師だと語っている。(後略)

hoonFirst official condolence to Bajaur attack victim families
Iqbal Khattak、PESHAWAR

■Damadola村の幸運な者と不運な者[060117 News]

10代のSamiullahhは、家族11人を失ったアメリカのミサイル攻撃を振り返る。この幸運な16歳の少年は、当時イードのお祝いで叔父の家に行っていたために、助かった。他の家族全員が死亡、あるいは負傷した。両親のBakhtpur KhanとNoor Pari。兄弟2人、姉妹2人も失った。(中略)

叔父のBashirは生き残ったが、彼は妻と息子2人を失った。弟の妻と甥も死亡した。Bashirは負傷して、現在病院で手当を受けている。

Samiullahの別の叔父、Mohammad SadiqとShah Zamanは無事だったが、近くにあった彼らの家は、半壊した。Sadiqは家族のスポークスマンとなり、勢力的にメディアを相手にしている。

「我々は幸運にも生存した。しかしその損害は計り知れない。家や家畜など、損害は320万ルピーに相当する」という。

2発のミサイルが撃ち込まれた3軒目の民家は、5人の兄弟のものだった。別の兄弟が住んでいた他の家は、なんとか難を免れた。近くのモスクと女の子のためのマドラッサも無事だった。兄弟のうち、Mohammad Noorは息子2人を失った。従姉妹2人は負傷。幸運にも父親のBadshah Khanは無事だった。残りの3兄弟も無事だ。この兄弟のうちの1人は、女の子のためのマドラッサを運営する、祈祷リーダーだった。

アメリカのミサイル攻撃を受けた3軒の民家の家長たちは、それぞれ親戚関係にある。Damadolaから3キロの所にあるInayat Qalaで、小さな宝石店をそれぞれ営む宝石商だ。セメント造りの頑丈な家を造るだけの稼ぎがあった。しかしミサイル攻撃は恐ろしく強力で、ほとんど全壊、屋根は吹き飛んだ。

攻撃のあと、子供たち4人が行方不明になった。しかしその後Bakhtpur Khanの家から逃げ出し、近くの家に非難しているのが見つかった。当初Saima、Shahana、Zahra、Hassan Nawazの4人は死亡者リストに入っていた。しかし後に4人は発見され、死亡者数は13人となった。これ以上死者はいない。

墓は全部で13ある。破壊された家の向かいの畑に墓が造られた。村人によると、当初大きな穴を1つだけ掘り、その後それぞれの遺体を囲うために、石で穴の中をくぎったという。初めは墓穴を18〜20の部分に分けた。犠牲者の数はだいたいそのくらいだと予測されていたからだ。しかし後に、空の墓は埋め直された。

必要以上の数の墓が掘られたという事実は、犠牲者の中にはザワヒリのようなアルカイダのメンバーが5人、あるいはそれ以上含まれていたという根拠のない、また明らかに誤った報告に由来すると思える。密かに埋葬するために、遺体がどこかに運び去られたというのだ。

金曜日の朝4時までに、ミサイル攻撃があった現場に、数百人の村人がやってきた。午前8時までに、ボランティアたちが遺体を必死に掘り出した。そのなかにSahibzada Haroon-ur-Rasheedもいた。現場に留まった彼や村人たちは、遺体が運び去られたことを強く否定した。この主張を証明する証拠はなにもない。無実な者を殺害したアメリカのミサイル攻撃を非難するために、作り上げられた話のようにも思える。

smellLucky and not-so-lucky Damadola villagers
Rahimullah Yusufzai、PESHAWAR

■ビンラディン、死亡している可能性あり[060117 Daily Times]

テロ専門家が、ビンラディンが死亡したか重体であることを示す証拠があると述べた。

『Sidney Morning Herald』が、オーストラリアのテロ専門家Clive Williamsの話として、インドが提供した書類から、ビンラディンが去年4月に内臓疾患で死亡したことを示していると報道した。(後略)

hoonBin Laden could be dead
LAHORE

■バジョール、地雷で2人死亡[060117 Daily Times]

バジョール行政区の村につながる未舗装道路で地雷が爆発し、2人が死亡した。

Jangzai村で起きた現場で男1人がその場で死亡し、2人目は病院に運ばれる途中で死亡したという。誰が、どのような目的で地雷を設置したかはわからない。

爆発は日曜日に起きた。村はDamadolaから5キロ離れた場所にある。

hoonTwo killed by landmine blast in Bajaur
PESHAWAR


■パキスタンの空爆の構造[060116 NBC News]

アメリカの諜報部高官は、いまだにザワヒリを殺害したかどうかわからないという。しかし新たな情報から、彼を捕らえるために膨大な火力を用いたことが判明した。

アメリカの対テロ高官が『NBC』に語ったところによると、パキスタンの村に対する空爆で、無人偵察機1機だけではなく、3機が同時にヘルファイアー・ミサイルを発射したという。

アメリカの軍高官によると、CIAの無人偵察機が攻撃の2週間前からザワヒリを監視追跡していた。人間による諜報情報があったかどうかは、わからない。アメリカの対テロ高官は、攻撃の直後、犠牲者のうち5人の遺体がすぐに運びされたと語っている。村人たちは18人が死亡したと主張するが、墓は13人分しかなかった。

しかしザワヒリが現場にいたとしても、アメリカはパキスタン内でこのような破壊的な力を用いる権限を持っていたのだろうか? アメリカの幹部高官によると、9.11の直後ムシャラフは、アメリカがパキスタン国内でテロリストを標的に、このような空爆をするこに同意したという。パキスタン政府に事前に知らせるだけで、許可は必要ではなかったという。

「我々はビンラディンを殺害する必要がある」と、NBCのテロアナリストで前国家安全省高官のRoger Cresseyは語る。「ザワヒリを殺害する必要がある。そのためにはパキスタンの協力が必要だ」。

無人偵察機のライブ・ビデオが、パキスタンからワシントンのCIAの6階にあるGlobal Response Centerに送られてくる。ここから、CIA長官のボーター・グロス自身が命令を下す。しかし彼がいなければ、副長官をはじめ、彼から5階級下までの人間が、攻撃の命令を出すことができる。

前CIA長官のジェームズ・ウォーズリーによると、このような敏速な対処が、最近のテロとの戦争には不可欠だという。「戦争時、司令官がすべての決議を下すことはできない。標的を失ってしまう」。

しかし大きな過ちを犯し、一般市民が死亡することもある。

FBIは現場から遺体の一部を回収して、ザワヒリのDNAと照らし合わせようとしている。鑑定結果は早くて明日、明らかになる可能性がある。

hoonAnatomy of the airstrike in Pakistan
Jim Miklaszewski

■アメリカ、パキスタンにおけるテロ作戦を弁護[060116 BBC]

米国務省長官のライスが、アルカイダに対するアメリカの戦略を弁護した。(中略)ライスは、アメリカがザワヒリを標的に、攻撃を実施したことは認めなかった。

イスラマバードは、アメリカの攻撃は標的を外したと、アメリカを非難した。(中略)

ライスは、アルカイダと戦うためには、荒療治が必要だと述べた。「我々は今後もパキスタン人と協力してやっていく。彼らの心配事には、対処しようと思う」。さらにアルカイダとその支持者たちは「容易に扱うことはできない」という。また、個々の出来事については言及できないとも述べた。

パキスタン人数千人が、今回の攻撃を非難して抗議運動を繰り広げた。「アメリカは攻撃の正当性を証明しようとして、ザワヒリを隠れ蓑にしている」と、野党のリーダーMeraj ul-Hudaが語った。

攻撃が実施されたDamadolaの現場に、数百人が見物に訪れた。そのなかには、地元のイスラーム過激派司令官で指名手配になっているMaulana Faqir Mohammadもいたという。

Maulana Faqir Mohammadによると、アメリカはザワヒリと村の関係をこじつけ、失敗の埋め合わせをしようとしていると語った。またイスラーム戦士としてザワヒリを賞賛し、「私は小さな人間で何も持っていないが、もし頼まれれば彼を喜んで匿う」と述べた。(後略)

hoonUS defends Pakistan terror drive

■ムシャラフのアルカイダ狩り、危機を迎える[060116 BBC]

アメリカの諜報組織と軍は、パキスタンの国境地帯でアルカイダのリーダーを殺害しようとしてミサイル攻撃を実施したが、結局一般市民を多数巻き添えにしただけで、失敗に終わった。

攻撃でバジョール行政区の民家3件が破壊された。イスラマバードが作戦について事前に知っていたかどうかは、わからない。パキスタンでは、ビンラディンとザワヒリの捜査に追いつめられたアメリカが、一般市民の犠牲を顧みなくなったと考え始めている。

アメリカは、ビンラディンが隠れているといわれる部族地帯を爆撃することを躊躇していた数年前の政策に、決別をつけたようだ。この新しい政策により、アメリカに支持されていることで存続していると見られているムシャラフ政権は、危機に直面するだろう。

《タリバンに対する共感》

まず最初の問題の発端は、Damadola村に対するミサイル攻撃を非難する抗議運動に、親政府派政党が加わったことだ。パキスタン当局は抗議運動を事前に食い止められず、アメリカに対する抗議は激しいものとなった。そして予想どおり、パキスタンの軍のリーダーに対する批判は、金曜日のミサイル攻撃に関するものにとどまらなかった。

彼はあらゆることを非難され、政権から降りることさえ要求された。当局が詳しい情報を提示しなかったこと、アメリカとパキスタン当局との間の溝、攻撃を受けた場所や人間を取り巻く謎が、さらに抗議の激しさに油を注いだ。

バジョール行政区はこれまでアルカイダとの関係はあまりなかったが、親タリバン派が地元の政治を取り仕切っていることは、周知の事実だった。部族民数百人が抗議に加わり、米軍の侵略以後のアフガニスタンのイスラームを守るために、ジハードを呼びかけた。

Damadolaが最初にメディアに登場したのは、過激なことで有名な宗教指導者、Maulana Faqir Mohammedの家を昨年パキスタンの治安部隊が家宅捜索して、ウズベク人過激派を逮捕したときだ。地元の人間とアルカイダとの間に関係がある可能性が、このときに始めて浮上した。

《深刻な問題》

今回のミサイル攻撃で、アメリカの戦術とアルカイダ系の人間の活動に関して、新たな疑問が明るみに出た。

攻撃後、村からはさまざまな不思議な、相反する報道が出てきた。

破壊された家屋は、地元の宝石商のものだったと言われる。彼らは宗教問題や部族の政治は関わりがなかった人間である。

パシュトゥン社会のアナリストによると、このような人間は地主ではないために、一部で報道されているように、ザワヒリのような重要人物を夕食に招いたりできるような地位にはいないはずだという。

アルカイダ・ウォッチャーによると、ザワヒリの隠れ家に関するアメリカの諜報情報は過ちだったと指摘する。しかしまだ謎は残る。ザワヒリが過去にこの特定の村、あるいはバジョール行政区を訪れた可能性があったのかどうかだ。

《空の墓》

しかし攻撃にまつわる最大の謎は、死者の数だ。当初は18人が死亡したといわれたが、最終的に13人になった。

目撃者によると、村人は死者を埋葬するために、墓を18掘ったことを確認している(20掘ったという説もある)。後に、13人の遺体(男性8人・女性5人)だけが埋葬された。残りの墓は、空のまま再び埋め直された。

地元の人間の説明によると、最初3件の家の住人、20人全員が死亡したと思われたため、墓の数は住人の数だけ掘られたという。しかし後に、攻撃の当日、家にいなかった者が何人かいたことがわかったらしい。

噂では、死者のうち少なくとも5人が外国人で、メディアが現地に到着する前に、遺体が運び去られという。もしそうだとしたら、これらの人間が何者だったか、ザワヒリの一味だったのか、真実は誰にもわからない。

《反対運動の波》

パキスタン当局が今回の攻撃を事前に知っていたかどうかも、論点となっている。地元バジョールの国会議員Maulana Haroonur Rasheedは、アメリカはパキスタンから諜報情報を入手して、攻撃を実施したと主張する。

しかし論議や抗議運動にもかかわらず、今回の危機は、ムシャラフにとってはそれほど致命的ではないとアナリストたちは見る。部族地帯には7万人の兵士が送り込まれている。パキスタン政府の「対テロ作戦」に対する貢献度は、アメリカにとっては無視できないものだ。さらに野党は、この件だけで対ムシャラフ・キャンペーンを展開するほど、強力ではない。

しかし今回の事件で、パキスタンとアメリカの治安組織の間に、部族地帯でアルカイダ関係の作戦を実施することに関して、摩擦が生じたようだ。

アメリカ政府関係者たちは、今後一般市民の犠牲者を出さないよう最大の注意を払うと、私的にパキスタンを説得したといわれる。しかし公には、自分たちが攻撃したことを認めず、今後、態度を改めることも約束してもいない。

このような状況のなかでパキスタンは、次にアメリカが越境してアルカイダのリーダーを殺害しようとするといは、一般市民を巻き添えにしないことを祈るばかりである。そうしなければ国内の反対運動は、今後コントロールできないものになってしまう。

smellMusharraf's al-Qaeda hunt crisis
Zaffar Abbas

■誰が夕食に来る?[060116 Guardian]

金曜日のアメリカによるミサイル攻撃で、ザワヒリのために何人が悲しんだかどうかはわからない。しかしCIAか、無人偵察機を用いたハイテク作戦で彼を殺害しようとしたことは明らかだ。(中略)

ザワヒリはDamadola村の民家に、夕食に来る予定だったといわれる。しかし瓦礫のなかから、少なくとも女性と子供を含む17人が発見されただけだった。パキスタンの情報源は、犠牲者のうち数人が「抵抗勢力」だったと語り、アメリカは死者たちのDNA鑑定を行なうと主張。しかしアラブのテレビ報道によると、ザワヒリは生存しており、元気だという。

死者の数を見て、イスラエルがパレスチナの敵に対して実施している「狙い撃ち殺人」は、多くの犠牲者を出すということを再び思い知らされた。無実な人間を殺害する「民間人の損害」はジハードをするための裏付けとなり、過激主義を教えているといわれるマドラッサが強力になっていく。

ムシャラフ政権も危うくなる。彼はタリバンに背を向けたことでアメリカから巨大な恩恵を受けた。F16戦闘機の入手、核兵器廃棄やカーン博士の核密輸の問題がうやむやになった。ムシャラフは国民に、「外国人戦闘員」を匿わないように呼びかけている。しかし野党は、彼がアメリカに近づきすぎていると警告している。パキスタンの首相は2日後にワシントン訪問を計画していた。悪い時期だ。ブッシュ政権は、今後ムシャラフがどうするべきか、そこまで親切に忠告したりはしない。しかし「アメリカに死を」とスローガンを掲げているパキスタンの動向を注視する必要はあるだろう。

hoonGuess who's coming to dinner?

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2006.