【2006年1月23日〜1月29日】


■CIA、テロとの戦争に無人偵察機を今後も使用[060129 Los Angels Times]

ミサイルを搭載した無人偵察機を用いた「ターゲット殺人」は、僻地にいるアルカイダを殺害する方法だと、政府筋は語る。殺人が行なわれる国には、必ずしも事前に通達されない。

他国からの抗議にもかかわらず、アメリカはテロリストを無人偵察機に搭載したミサイルで攻撃する極秘作戦を拡大していると、アメリカの政府筋が語る。

ザワヒリに対する攻撃で女性や子供を含む18人の人間が死亡し、パキスタンでは抗議運動が盛んになった。同じようにミサイルを搭載した無人偵察機による攻撃が、アフガニスタン、イラク、イエメンでも行なわれ、市民や政治リーダーの怒りを買っている。

ターゲット殺人計画について、多くが隠されている。これまで何回攻撃があり、何人が死亡したか、どうやって標的を選ぶかなど、ブッシュ政権は明らかにしない。

9.11以後、海外でヘルファイアー・ミサイルを発射して殺人が成功した例が、少なくても19回あったと、アメリカの政府関係者数人が語る。去年イラクでは、1年間のうちに10回も使用されたという。無人偵察機による攻撃で、少なくともアルカイダ幹部4人が殺害された。しかし巻き添えで死亡した一般市民も多数いる。標的を誤った例の数については、不明だ。

この計画は、アメリカの法律や国際法のもとで正当性が論議され、CIAが短絡的に使用していると非難されている。しかしアメリカの諜報組織関係者は、統制された、容易周到に練られたプログラムだと主張する。

2004年にCIAを退職した前CIA相談役のLee Stricklandは、無人偵察機計画は、アルカイダ司令官が世界に拡散していくとともに計画されたものだと語る。

イスラーム過激派の組織が多数、中東、アジア、アフリカで活動していると見られ、そのような地域でアメリカが彼らを逮捕することは危険であり、また国家のリーダーたちを納得させることが困難だ。

「皮肉にも我々が攻撃に成功したために、標的たちはこれまで以上に拡散し、一般市民の中に溶け込み、目標を定めることが難しくなってしまった」と、現在はメリーランド大学のCenter for Information Policy会長のStricklandが語る。今後アメリカがこの武器を各地で使い始めることは、明らかだ」。

現・前諜報組織関係者は、今後どこで無人偵察機攻撃が用いられるかは、明かせないと語る。しかしソマリア、モロッコ、インドネシアなど数十ヵ国に、アルカイダ工作員やその仲間たちがいることが記録されている。

アメリカやその同盟国の政府幹部高官は、この計画の拡大は単に地理的なことに留まらないと語る。9.11以後は、アルカイダ幹部司令官数人を標的にするだけだったが、最近は、どこで発見され何をしているかによるが、テロリスト数十人を一度に殺害することも考えているという。

「世界的にこれを実施する計画がある」と、CIAや国務省で働き、政府とこのような計画を協力してきた、前対テロ高官が語った。「ホスト国家の承認を得なければならない場合が多い。しかしホスト政府の許可なくして行動することを認めている大統領も、数人いる」という。

CIAとペンタゴンが、イラク、アフガニスタン、パキスタンとの国境に、少なくとも数十の無人偵察機を飛ばしていることを、パキスタンとアメリカの関係者は認めている。またCIAは、イエメンやアメリカと協力できる軍や強い政府が存在しない国家など、アルカイダのアジトとなっている国々の上空に、リモート・コントロール機を飛ばしていると、現アメリカ対テロ関係者が語った。

このような攻撃は国家の主権を冒涜したり、アメリカの同盟国の怒りを買う可能性があるので、機密事項になっている。

サン・ディエゴのGeneral Atomics Aeronautical Systems Inc.が製造する無人偵察機は、幅27フィート、翼幅49フィートの細長い機体を持つ。はっきりした、ぶんぶんうなる音をたて、数時間標的の上空をホバリングすることが可能で、1万5000フィートの高度まで降下して標的を定める。CIAやペンタゴンの関係者が、アメリカ国内のコンピューター制御室からコントロールしている。

無人偵察機は偵察のために作られ、1990年代にバルカン半島で使われたのが始まりだ。9.11以後、ブッシュは無人偵察機にミサイルを搭載させる計画を急遽開始した。

現在無人偵察機は、軍の対敵作戦の主要部分を占めている。しかしCIAは極秘の、そして物議を醸し出している無人偵察計画を進めており、紛争地以外の場所でテロリストを標的にしようとしている。

CIAは、このようなターゲット殺人計画が存在することを認めていない。攻撃のうちいくつかは、車爆弾などの他の事件だったかのように扱われている。無人偵察機で何人の戦闘員が死亡し、巻き添えで何人が死亡したかはわからないが、その数が多いことは明らかだ。その破壊力は巨大であるために、誰を殺害したか、何人を殺害したかさえもわからない場合があった。

無人偵察機で殺害されたアルカイダ幹部のなかには、2001年11月にアフガニスタンで殺害された司令官、ムハンマド・アティフ、2002年のイエメンのコール船爆破事件の首謀者Qaed Sinan Harithiがいる。また去年はパキスタンで、アルカイダのリーダー2人が殺害された。5月に殺害されたHaitham Yemeni、そして12月に殺害されたAbu Hamza Rabiaである。Abu Hamza Rabiaは1ヵ月前にも狙われたが、そのときはミサイルは標的をはずした。

北ワジリスタンでAbu Hamza Rabiaが攻撃されたとき、彼のシリア人ボディーガード数人と民家の所有者の17歳の息子と8歳の甥も殺害されたと、アメリカ政府関係者とAmnesty Internationalが語る。Amnesty Internationalは、ブッシュ政権の無人偵察機の攻撃を、毎回非難している。

2004年には、パキスタンの南ワジリスタンで前タリバン司令官のネック・ムハンマドも標的となり、仲間5人とともに殺害された。地元の人間によると、狙いは非常に正確で、ネックが座っていた芝生の周りの建物は損傷しなかったという。当時パキスタン軍は、ネックは兵士との戦いで殺害されたと発表していた。

CIAのビンラディン捜索の前責任者だったMichael Scheueは、2004年11月だけでもアフガニスタンで4回、このようなターゲット殺人が成功した例を知っていると語った。

ザワヒリを狙った攻撃では、標的の上空を米機がぶんぶん飛んでいるという情報が事前広まった。後に村人たちは、アメリカが関与している証拠を見つけたと報告した。

ザワヒリを狙ったミサイルは、Damadola村の民家数軒を破壊したが、ザワヒリはいなかった。別のアルカイダ幹部が殺害されたかどうか、現在捜査中だという。

ザワヒリに対する攻撃に先立ち、いくつかの失敗があった。2002年2月、国境付近にいた長い着物を来た背の高い男を見つけ出し、殺害した。CIAはビンラディンを殺害したつもりだったが、別人だった。

9.11以前にも、米政府は巡航ミサイルでビンラディンを殺害しようとした。しかし当時CIAは法に触れることを恐れ、ターゲット殺人を実施できないできた。今日でさえ、ターゲット殺人に関するアメリカの政策には、さまざまな意見がある。(後略)

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Josh Meyer、WASHINGTON

■アフガン、タリバン後の結果に複雑な心境[060129 AP]

国際支援団体は、タリバン一掃後、アフガニスタンに数十億ドルを支援している。

しかし、来週支援国会議がロンドンで開催予定だが、いまだにアフガニスタンは貧困にあえいでいる。アフガン人たちは支援活動に不満を示し、巨額の資金が無駄に使われていると訴える。

数百の病院や保健所が建設されているにもかかわらず、アフガニスタンにおける女性や子供の死亡率は高い。国連によると、出産時の女性の死亡率は、30分に1人の割合である。

(中略)カルザイ大統領は先週の記者会見で、外国の援助で「アフガニスタンの人間の生活は驚くほど向上した」が、資金の一部は高給を要求する外国の請負会社や、その他の無駄な出費に使われていると語った。今後の援助は政府を通して行ない、有意義に用いる必要があるという。資金の多くは、汚職で消えていると疑われている。(後略)

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DANIEL COONEY、KABUL,

■CIA、パキスタン内を攻撃し続ける様子[060129 Reuters]

ブッシュ政権はパキスタンにいるアルカイダを攻撃するために、これからも無人偵察機搭載のミサイルを用いる様子だと、政府関係者や諜報情報の専門家が語った。

(中略)「ムシャラフは危険な綱渡りをしている。アメリカに支持されることはパキスタンと自分に必要と考えているようだが、国民には、アメリカが自分の許可なくしてパキスタン国内で作戦を行なうことを許している、という印象を与えたくないのだ」と、パキスタン軍を退役して現在は経済アナリストのTalat Masoodが語る。

1月に起きたDamadola村の攻撃で、ザワヒリを殺害することはできなかった。しかし別の4人のアルカイダリーダーを殺害した可能性があるが、いまだに遺体は発見されず、死亡が確認されてはいない。

アメリカの情報源によると、CIAは一般市民の犠牲者や政治的障害を秤にかけた上で、標的にしたアルカイダを殺害するに値するかどうか決めるという。「標的が誰かによる。標的が殺害するに値すれば、再び無人偵察機で攻撃するだろう」と、前CIAの中東専門家Ruel Marc Gerechtが語った。

パキスタンにいる退役将軍たちも、同じ考えだ。ISIの前長官は、冷酷な破壊力を持って脅かすことはアメリカ軍の文化だ、と語る。「敵がいると疑えば、攻撃する」と、パキスタンのスパイ組織の前長官Asad Durrani将軍が語った。

パキスタンではDamadola空爆のあと抗議運動が広がったが、アメリカとパキスタンの諜報組織内では、パキスタンのリーダーは今回の攻撃について事前に知っていたと信じられている。またISIはCIAに情報を流し、空爆を実現にさせたと言われる。

ムシャラフ自身は先週、ヨーロッパで記者会見をするまで、アメリカを非難していなかった。

《ホワイトハウスの決議》

Damadolaを攻撃する前、ブッシュやホワイトハウスの高官たちは作戦を知っていたと、諜報組織の情報源が語る。「ホワイトハウスが決議を下した。CIAは指令を出し、コントロールしただけだ。しかし今回の攻撃は非常にデリケートな作戦だったために、ホワイトハウスは関係ないということにしていた」と、諜報組織の前関係者で、Damadolaの作戦について詳しい人間が語った。ホワイトハウスはこの件に関して、沈黙している。

以前パキスタンで逮捕されたアルカイダ工作員のアル・リビを取り調べで得た情報から、CIAや治安部隊がDamadolaを監視していたらしい。

「ザワヒリが来ていたと語ったのは、アル・リビだ」と、アメリカの前諜報組織関係者が語った。「リビから何か情報を入手した。そしてその諜報情報に従って、捜査を展開した」という。(後略)

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David Morgan and Simon Cameron-Moore、WASHINGTON/ISLAMABAD

■アフガニスタンで「爆弾計画者」逮捕[060129 BBC]

カンダハルのアフガン治安部隊が、アフガニスタンで攻撃を計画していたパキスタン人2人を含む9人を逮捕した。

カンダハル州知事のAssadullah Khalidは、逮捕者の中には、自爆をしようとしていた者たちもいると語った。9人は、過去48時間の間にカンダハルで逮捕されたという。

《越境》

「男たちの所持していた爆発物や車両が押収された。攻撃のために用いようとしていた。逮捕された9人のなかには、自爆志願者たちもいた」とKhalidが記者会見で語った。(中略)

いっぽう軍によると、数日前にタリバンの幹部司令官と4人の戦闘員をカンダハルで逮捕したという。国防省報道官のMohammad Zahir Azimi将軍は、「重要なタリバン司令官」Mullah Jalanを逮捕したと語った。他の4人は、州内を攻撃していた一味と言われる。この5人が、Khalid州知事が言及した9人の一部なのかどうかは、明らかではない。

Khalid州知事は『BBC』に、逮捕者のうちの2人はパキスタン人で、パキスタンからカンダハルに入って攻撃に加わっていたことを告白したという。(後略)

garrAfghanistan holds 'bomb plotters'

■パキスタン、もたつきの間にビンラディンを逃したという報道を否定[060129Reuters]

パキスタンの軍報道官が、アメリカが空爆する許可をなかなか出さなかったために、ビンラディンを逃がしてしまったという報道を否定した。

イギリスの『Sunday Telegraph』紙が、2年前にビンラディンがバーロチスタン州のZhobにいることをCIAが突き止めたと報道した。しかしアメリカがパキスタンから攻撃許可を得た頃には、ビンラディンは逃げてしまったという。

パキスタン軍報道官のショーカット・スルタン中将は、このような事件については聞いていないため、本当かどうかはわからないと述べた。

「これまで知っていることからすると、間違った情報だ」と、『ロイター』に語った。「諜報情報はすばやく伝達され、可能な限り敏速に対処する」という。このような事実が2年も経ってから出現したことを考慮しても、「突拍子もないこと」だと語った。(後略)

hoonPakistan rebuffs report delay let bin Laden get away
ISLAMABAD

■パキスタン、「もたつきの間にアメリカ、ビンラディンを逃がす」[060129 Daily Telegraph]

2年前、パキスタン政府が言い逃れをしために、アメリカは国境地帯でビンラディンを空爆で殺害する機会を逃してしまったという。

CIAがビンラディンが国境地帯に隠れていることを突き止めたにもかかわらず、パキスタンが国内を攻撃する許可をなかなか出さなかったために、チャンスを逃してしまったと、ある欧米外交官が語った。

アメリカに許可が降りた時点で、ビンラディンはバローチスタン州のZhobの隠れ家から逃げてしまったという。

この外交官は、2週間前にバジョール行政区で、CIAが事前にイスラマバードに攻撃のことを知らせなかった理由として、このニアミスの事実を引き合いに出した。

Zhobの攻撃に関して外交官は、「なぜだか、パキスタン政府関係者は許可をなかなか出さなかった。そのために、抵抗勢力たちはどこか別の場所に移ったしまった」と語った。

彼の話によると、ビンラディンと彼のボディーガードが一時的にZhobに隠れていることを、CIAが電話の盗聴でつかんだという。Zhobには、パシュトゥーン族とバローチ族が住む。パキスタンの諜報組織にいる情報源も、この話を確認している。

奇襲隊による攻撃を実施した場合、両方に多数の犠牲者が出る可能性があり、また成功も保障できない。このような理由から、無人偵察機によるレーザー誘導ミサイル攻撃を実施した。

もしビンラディンがZhobにいたとしたら、彼がトラボラから脱出した後に、居場所が確認された最初の場所となる。(後略)

ohPakistan 'delay let bin Laden escape US raid'
Massoud Ansari、Karachi

■パキスタンと率直な対話する必要性[060128 New York Times]

パキスタンのアジズ首相がワシントンを訪れ、パキスタンの国民が、アメリカとの軍事関係を高く評価しているふりをした。またブッシュ大統領は国民に対する記者会見で、パキスタン市民18人を殺害したアメリカの空爆は、今回の会談の最も重要な話題ではなかったふりをした。外交上の駆け引きだとしても、もっとましな対話が必要であろう。

アメリカの空爆はアルカイダのリーダーを狙ったものだったが、無実な女性や子供が犠牲となった。パキスタンの国民には、もっと率直な説明が必要なはずだ。ムシャラフはこの事件に対して何の声明を出していないために、せめてブッシュがはっきりさせるべきだった。

もしアルカイダのリーダーやタリバンを掃討するつもりなら、ワシントンはもっとパキスタンと健全な関係を保つべきだ。しかし強力で健康的なパートナーシップは、政治的な見え透いた嘘をついていても築けない。先週のワシントンの出来事は、このようなものだった。

アジズ首相は、真面目で知的な人間だ。しかし本当の首相は、国会の選挙により、民主的に選出されるはずだ。アジズ首相は、独裁者ムシャラフに使命された。ムシラャフは6年以上も前に約束した民主主義的選挙を、いまだに実施していない。

ということは、アジズ首相がパキスタンの国民がワシントンとの関係を高く評価していると述べても、空虚に響くだけだ。とくに最近のパキスタンの街頭での抗議運動を見れば、2国間の関係が不評であることは、一目瞭然だ。ムシャラフが民主主義を実現していなことに対して、ブッシュ政権が圧力をかけないただひとつの理由は、独裁者だけがパキスタン軍に協力させることができると知っているからだ。

これが理由であってほしくはない。なぜなら、ワシントンはこれからも当分、パキスタンの協力を必要としているからだ。すでにムシャラフは、数回暗殺されそうになっている。今も大きな圧力がかけられ、今後も権力の座に留まれるかどうか、危うい。アルカイダ、タリバン、カシミール人の3種類のテロリストたちの隠れ家を掃討することはできないし、その意思もないようだ。

アメリカにとって最も重要なのは、アルカイダのリーダーがトラボラを脱出したあとに築いた隠れ家だ。イラクに目が向いていたために、ビンラディンを逃がしてしまったことを、ペンタゴンは言い訳できないだろう。戦時中のアフガニスタンで彼を攻撃するほうが、はるかに簡単だったはずだ。パキスタン軍さえコントロールできない部族地帯で彼を逮捕するとなると、簡単なことではない。しかし、彼は今そこにいるのだ。そしてアメリカの戦争は、ここで戦わなければならない。

ブッシュがムシャラフやアジズと、定期的な挨拶を交わしても何にもならない。パキスタンの国民の心配事に対しても、はっきり意見を言うべきだ。空爆について率直に語ったほうが、出発点としてはよかったはずだ。

hoonStraight Talk Needed on Pakistan

■パキスタンのバローチスタンでの戦い[060127 BBC]

Nawab Akbar Bugtiはバローチスタンの洞窟に座り、祖末な服装の武装した部族民に守られている。

対人地雷に囲まれたこの80代の戦士は、現代的な兵器を用いながら、17世紀のゲリラ戦法でパキスタンの治安部隊と戦っている。

Bugti族の隠れ家のそばで、もう1人の長老Nawab Khair Bakshも、コールー地区で同じような戦闘を治安部隊と展開している。

コールーは、先月ムシャラフがこの地域を訪問したときに、ロケット弾で攻撃された場所だ。この攻撃以来、約100人が死亡し、パローチ族抵抗勢力の戦いはこれまでになく激しくなった。抵抗勢力たちは、鉄道や電力施設などの重要施設を攻撃している。

パキスタンの人権団体は、治安部隊は裁判を行なわずに処刑をするなど、人権侵害を行なっていると非難している。しかし政府関係者は、一方的な見解だと反論。

軍はヘリコプターを用いて抵抗勢力のキャンプを襲撃し、抵抗勢力は兵士のキャンプをロケット弾で攻撃。いったい何人が死亡したか、はっきりしたことはわからない。

あるアナリストの言葉を借りれば、どちら側もルールを守っていない、不当な戦いだという。

《新たな重要性》

いったいパキスタンの中でも最も貧しいといわれるこのバローチスタンで、何が起きているのだろう。

バローチスタンは鉱山資源が豊富で、天然ガスも採れる。政府はグワダール港に深海港を計画して、アフガニスタンと中央アジアをつなぐ、新たなルートを作ろうとしている。そこで、バローチスタンが注目され始めた。問題はここにある。

《ナショナリストの怒り》

数十年に渡って、バローチ族は、中央政府は自分たちの資源を横取りしていると、非難を続けている。政府は天然ガスなどの資源を奪い、州にはわずかな金しか払っていないと主張する。

自分たちの権利や資金源を奪っていること、また政府がバローチスタンに軍の駐屯地を作ろうとしていることが戦いの発端で、Nawab BugtiとNawab Bakshの間で、戦略的な合意が交わされた。

Bakshの6人いる息子のうちの1人が、訓練あるいは半分訓練されたMarri族の軍隊を率いる。この軍隊はBalochistan Liberation Army(BLA)と呼ばれる。

3人目の部族リーダーで以前は大臣だったAtaullah Mengalは、武力闘争には加わっていないが、理念的、政治的な支援を行なう。

これらのナショナリストのリーダーにとって、ハイウェイやグワダール港計画は、政府に服従することにすぎない。中央政府に仕えるだけで、バローチスタンの益には何もならない。

外国が介入しないようにという理由でこの地域に設営された軍の駐屯地は、NawabBugtiのような人間にとっては、ナショナリストの声に圧力をかけるための計画ととらえられる。

《外国の関与》

ムシャラフはこれらの部族民たちを、開発に反対する者と決めつける。地域が繁栄し、彼らの権力を維持するための古い部族のシステムが崩壊しないよう、計画に反対しているという。

また国名を挙げるのを避けながらも、武装したバローチ族抵抗勢力は、外国の手を借りていると非難する。

治安部隊にいる幹部高官は、ある外国の国家が州の問題に関与していることを諜報組織がかぎつけたために、警戒していると語る。その国家は、グワダール港が、中央アジア国家と中国の交易の中心になることに反対しているのだと語る。

さらにある高官は、抵抗勢力たちを取り調べた結果、ある友好的な湾岸諸国で訓練を受けたということを知って、非常にびっくりしたという。その国家は、この地域の最大の交易港としての地位を失うことを恐れているという。

しかし外国の国家が関与していると当局が指摘しようとしまいと、経験を積んだバローチスタン・ウォッチャーは、問題は地元にあると語る。

バローチスタンの問題は、政治的方策によってのみ解決できる言う。この地域が部外者の人間と戦うのは、今に始まったことではない。また軍がバローチスタンの人間をたとえ封じ込めても、彼らの心を勝ち取ることはできないと語る。

hoonPakistan's battle over Balochistan
Zaffar Abbas、Islamabad

■インターポール、タリバンと関係のあるビジネスマンに逮捕令状[060127 Daily Times]

インターポールはアフガン政府の要求に応えて、タリバンに資金を援助するためにビジネスをしていたアフガン人2人を、指名手配にした。

地元政府は、2003年以来ペシャワルで活動している2人の兄弟、Abdul BariとAbdul Baqiを捜索しているという。政府は兄弟が運営する2つの会社の口座を凍結したと外務省が語った。「インターポルの要求に従って、政府は行動している」と、外務省報道官のTasnim Aslamが語った。

ペシャワルにいる地元の情報源によると、2人はオマール師の親戚だという。「会社を所有する兄弟は逃走し、現在捜査中だ」と、パキスタンの連邦警察の幹部高官が語った。

hoonInterpol issues arrest warrants for Taliban-linked businessmen
ISLAMABAD

■オサマの名前を利用[060127 Asia Times]

オサマの名前のついた本が出ればベストセラーになるように、ジハード志願者たちは彼の名前をいくらでも利用できる。

(中略)パキスタンのジハード集団ラシュカレ・トイバ(LeT)または現在の名前であるJamaatut Dawaは、一般民衆の支持を得るためにビンラディンの名前を恥ずかしげもなく利用するが、この組織はアルカイダとはぎくしゃくした関係にあり、組織庇護者たちの支持を受けるために彼を糾弾している。

「オサマはヒーローだ」というのが、カシミールで戦う戦士たちをパンジャーブで募集するLeTのモットーだ。しかしサウジのパトロンからの支持や資金を期待するLeTは、アラビア語では「オサマは逸脱者」と糾弾するのだ。サウジのリーダーたちは、オサマを否定しているからだ。

LeTはインド領カシミールで活動するいっぽうで、北ワジリスタンのパキスタン陸軍と戦うジハードに参加することを禁止している。さらにタリバンのアフガン抵抗運動に参加することも拒否。

これまでLeTは、インドのカシミール以外でも活動している。最近ではバンガロールで、そして2000年にはデリーのレッド・フォートに対する攻撃が挙げられる。LeTは、自分たちの目的をあやふやにしたくないのだ。インドのイスラーム支配が重要であり、他の場所でジハードはしない。

《アルカイダを裏切る》

9.11直後、アルカイダのアブ・ズバイダがパキスタンにやってきて、LeTの責任者のHafiz Mohammed Saeedに巨額の資金を与えた。情報源によると、この金額は10万ドルだったといわれ、アフガニスタンから逃げてきたアラブ人ジハード団の家族のために用いることになっていた。

アフガニスタンのアラブ人たちがパキスタンで接触していた組織は、LeTだけだった。理由はいくつかある。両方ともサラフィ系の土壌で育ったこと、そして最大の理由は、80年代に、ともにソ連と戦ったことだ。

したがってLeTはカブールとカンダハルの陥落のあと、アラブ人家族を一時的に養うことになった。次に彼らの旅券の偽造や航空券の世話をした。

しかしHafizからは音沙汰もなく、金も送られてこない。当時ファイサラバードのLeTメンバーの家に隠れていたアブ・ズバイダは、Hafizと話し合うためにラホールにでかけた。Hafizは、アラブ人を助けるほど金はないと訴えた。

ズバイダは激怒して、ファイサラバードに帰った。その数日後に家宅捜索を受け、逮捕されてしまう。

これらは、ジハードの昔話となっている。しかし、新たに出てきた話もある。パキスタン陸軍をやめてLeTに入り、その後失望してアフリカでビジネスマンになった男の話である。

「アブ・ズバイダのボディーガード責任者はAbu Jabranだった。彼はズバイダと一緒に逮捕され、現在はグアンタナモにいるとされている」という。「しかし今彼は、LeTのナンバー1であるZakiur Rehmanの個人的なアドバイザーのはずだ」という。Zakiur Rehmanはインド領カシミールの総司令官である。

『Asia Times』が入手した情報によると、Abu Jabranはズバイダとして逮捕された8日後に、FBIにより釈放された。釈放されるやいなや、Zakiur Rehmanのアドバイザーに昇格した。Abu JabranはLeT内部では、Abu Jabran Chacaとして知られている。

《アルカイダへの打撃》

アブ・ズバイダの逮捕時、アルカイダの組織は縦の線で構成された。彼の逮捕後、アルカイダの資金をやりくりしていたYasir al-Jazeriを含めて、一連の工作員が次々に逮捕された。

そして全員が、最初に裏切ったHafizaを槍玉に挙げる。グアンタナモ帰還者によると、逮捕された者たちの多くが、Hafizをのろっているという。

《二面性》

9.11以後、LeTは板挟みになっていた。新たなメンバーを勧誘したいのだが、ビンラディンの名前を出さずにこれを達成することは不可能だった。さらにイスラマバードやリヤドにいる庇護者たちの機嫌を損ねずに、体制側と良い関係を保持し続けることも望んでいた。

去年サウジのファイサル国王が死亡すると、Jamaatut Dawa(現在のLeT)はサウジの王を賞賛する記事をウェブサイトで発表した。サウジの支配者たちはビンラディンを糾弾することを望んでいる為に、Hafizはそれに従った。

例えば去年、彼はアラブの雑誌に、ビンラディンはイスラームの道から外れた人間だと書いた。Hafizがアラビア語で記事を書いたのは、アルカイダ支持者や世界規模のジハード概念を主張する組織のメンバーの機嫌を損ねないためだ。

同時にLeTは、イスラームの歪んだ形を布教している。メンバーが用いる教科書からは、ジハードに関連するクルアーンの節が除外され、アミールに従うことが強調されている。目的は、組織の人間に、南北ワジリスタンやアフガニスタンの抵抗運動に参加させないようにするためだ。

情報源によるとこの数ヵ月、数百人の人間がLeTを離れ、ワジリスタンに向かった。ワジリスタンはアフガン抵抗運動の強力な基地になりつつある。

ジハードを望む男たちの戦いは、歪められたイデオロギーや矛盾に満ちながら続いている。そしてビンラディンのブランド名も、多いに役立っているのだ。

ohTaking Osama's name in vain
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■パキスタンの部族戦略[060126 Christian Science Monitor]

CIAがパキスタンの民家にミサイルを発射し、部族地帯の大部分をタリバンが支配しているという報道が出てきているが、アナリストたちは、パキスタン軍の戦略には大きな改革が必要だと指摘する。諜報情報は貧弱だし、軍の作戦も効果がない。敵がどの程度いるかも、明らかではない。

イスラマバードが部族地帯でアルカイダ掃討作戦を効果的に実施しているかどうかは、アメリカとの関係において、常にデリケートな問題になっている。

(中略)CIAのバジョール行政区に対するミサイル攻撃は、アメリカがパキスタンに満足していないとこを証明していると、野党のリーダーAfrasiab Khattakが語る。「陸軍がこの2年間、ほとんど何もしなかったことの結果だ」という。

(中略)部族地帯について詳しい関係者によると、最近の状況を考慮すると、軍の作戦を再考しなければならないと語る。「結果を見れば、戦略が効果を発していないのがわかる。タリバンはこれまで以上に組織化された」と、退役軍人のTalat Masood元中将が語る。

パキスタン陸軍の力を総動員して、このような状況に陥ることを避けるべきだった。「2国間の戦争のようなものだ。単に戦闘員の掃討作戦ではない」と、『Geoテレビ』でパキスタン軍の作戦をレポートしてきたShaukat Khattakが語る。

陸軍は大きな犠牲を払った。ワジリスタンでの戦いで、200人の兵士を失った。しかし「今のところ、1人として重要な人物は捕まっていない」と、『News』のペシャワル支局編集長Behroz Khanが語る。

無実な一般市民の死は50人を超える。オブザーバーによると、このために軍は民衆の支持を失った。「部族民たちの信用を失ってしまった」と、北西辺境州出身の野党議員のSameen Mehmood Janが語る。

陸軍は戦略の失敗を認識し、最近はほとんど兵舎に中に留まっている。「発砲されたら発砲仕返すという、応戦型になってしまった」と、Masood元中将が語った。ジャーナリストのこの地域への立ち入りは禁止だ。しかし地元のジャーナリストたちは、軍関係者は兵舎に閉じ込められたも同然だと言う。発砲されるか、誘拐されることを恐れて、兵舎を出ることができないのだ。しかしムシャラフ政権や陸軍関係者は、これを否定する。

「兵舎に閉じこもっているのではない。地域をパトロールしている」と、Pakistan Muslim League-Qの広報部Muazzam Buttが語った。

CIAの攻撃のニュースを受けて、多数の都市で抗議運動が広がった。しかし1万人が結集したカラチを除いて、その規模は比較的小さかった。

しかし規模はともかく、ワシントンは、ムシャラフを突っつけば彼の身が危険にさらされることが、このような抗議運動を見てわかったはずだ。ブッシュはパキスタンを賞賛し、3月にパキスタンを訪問することを約束した。

Masoodを始め、パキスタンにいる観測筋たちは、部族地帯における諜報情報の収集の重要性を指摘する。特にこの地域に派遣された軍は、地域の状況に詳しくない。地元民との接触はなく、地形も知らない。いっぽう敵側は地域社会の一員であるか、深く入り込んでいる者たちだ。「諜報情報が向上させ、特定の地域を迅速に狙うことが最善策だ」と、Masoodは語る。つまり正確に攻撃すること、民間人の犠牲を減らすことだ。

諜報情報を向上させるためには、地元民や宗教リーダーとの政治的関係を修復することだ。「地元民たちが協力しないため、戦略は成功しない」とBehroz Khanは語る。

しかし、諜報情報の収集は単に短絡的な手段にすぎないと、アナリストは強調する。テロと戦うためには、過激行為の元凶を一掃しなければならない。貧困、政治的空白を埋めることだ。

「人びとは明るい未来を描いていない。貧困、開発の欠如が最大の脅威だ」と、この地域の開発運動に携わっているMohammed Aminが語る。

部族の長老たちは、自分たちは国家から見捨てられ、教育や就職の機会を奪われていると主張する。「部族民たちは故郷に縛られているが、変わらなければならないという意識は感じている」と、現在はペシャワルに住んでいるモーマンド行政区のリーダー、Muzaffar Sayatは説明する。「私個人に関しては、故郷には子供が通う学校がなかったために、引っ越したのだ」。

またこの地域は無法地帯でもあると、Aminは語る。警察も法もない。この空白に加えて、強い宗教心と多数に出回っている武器を考えれば、この地域が不安定になって当然ともいえる。

hoonPakistan's tribal strategy
David Montero、PESHAWAR

■イギリス、新たに3300兵をアフガニスタンに[060126 Reuters]

イギリスは木曜日に、新たに3300兵をアフガニスタンに派遣することを表明した。これで英軍は全部で5700兵となり、今後NATO軍を指揮することになる。

「今年の7月までに兵を派遣予定だ」と、リード国防相が国会で発言した。新たな隊には、ヘルマンド州に派遣される「地方再建チーム」も含まれている。(後略)

hoonBritain announces 3,300 new troops for Afghanistan
LONDON

■ロケット弾、アフガン人警察官2人を殺害[060126 AP]

木曜日にアフガニスタン東部で起きたタリバンとの戦いで、アフガン警察官2人が死亡、水曜日には車列で移動中の米軍兵士2人が、道路脇に仕掛けられた爆弾で負傷した。

このクナール州で起きた車列への襲撃のあと、戦闘員たちがロケット弾を発射し始めたために、米軍は援護を呼んた。

米軍はAH-64アパッチ・ヘリコプターとA-10爆撃機、大砲を用いて抵抗勢力を攻撃し、抵抗勢力を追い払った。抵抗勢力側に負傷者がいたかどうかは、不明である。

パクティア州ではチェックポストにロケット弾が撃ち込まれ、警察官2人が死亡した。このほかに、2人が負傷している。タリバンとの戦いの際に攻撃されたという。

さらに水曜日にカンダハルでは、米軍基地にガソリンを供給し終わった燃料トラックが、警察のチェックポストに停車している最中に爆発した。負傷者はいない。その後警察は、爆発物を運んでいた別の空の燃料トラックを発見した。

hoonRocket Attack Kills Two Afghan Policemen
KANDAHAR

■バジョール問題、パキスタンで波紋を起こす[060126 Daily Times]

(前略)パキスタンの体制側にいる人間で、パキスタン・アフガンの越境問題を見て見ぬ振りをしいた者たちは、思い知らなければならない。パキスタン内にタリバンがいると報道してきたジャーナリストたちは、正しかったのだ。アメリカ人たちはムシャラフに対して疑問を抱き始めた。彼はいったい誰の味方なのか? アフガニスタンにいる米軍司令官たちは、パキスタン側の話を信じていない。イスラマバードにメッセージを送るように、今度はカルザイを突っつき始めた。ヘラートでも、パキスタンに対する抗議運動が広がっている。

ワシントンからの「リーク」は、急に頻繁になってきた。ある政府関係者が、電話の盗聴記録について語った。「盗聴記録のパターンを見るだけで、パキスタン・アフガン国境の地図が描ける。悪い連中は、パキスタン内では安全だと安心しているために、おしゃべりが多い。この地域はまるでクリスマス・ツリーのように、光り輝き始める。そして急に静かになる。襲撃するためにアフガニスタン側に入るからだ」。

しかしこのような事実と対照的に、ブッシュ大統領はアジズ首相と2時間にわたり会談し、パキスタンとの関係を「重要で戦略上有利なもの」と説明した。ムシャラフをどの程度信用できるか、ワシントンは赤線を引いているようだ。アメリカは、ブッシュやアメリカに対立する世論が広がっているパキスタンで失敗したら、大きな打撃を受けるはずだ。

ムシャラフは、アフガニスタンに対する政策のしがらみを解決しなければならない。南ワジリスタンに対する作戦も、アルカイダと戦うという彼の政策に反するものだ。バローチスタンでは、インドが部族民を煽動し、さらにアメリカがそれを操っていると、政府関係者たちは非難の声を挙げている。これでは政策が成功しているとは言えない。インドとの問題も、ちっとも進展しない。もしムシャラフが欧米の政策に優柔不断な態度を取れば、パキスタンにとっては、アフガニスタン問題よりも深刻な問題に発展するだろう。

hoonBajaur accusations recoil on Pakistan

■治安組織、イスラーム慈善団体の救援キャンプを捜索[060126 Daily Times]

治安組織が日曜日の夜、ハリプールのAl Rehmat Trustのベースキャンプを手入れし、キャンプの責任者を含む25人の活動家を逮捕した。トラック5台分の救援物資が押収されたと、慈善団体の職員が語った。

このイスラーム慈善団体は、ジャイシュ・ムハンマドと関係があると疑われている。欧米の救援組織が、地震の被災地で宗教慈善団体が救援活動していることを憂慮しているというメディアの報道を受けて、手入れが実施された。政府は、手入れの理由を明らかにしていない。「なぜベース・キャンプが手入れされたのかわからない。被災地で活動しているイスラーム慈善団体に、引き上げることを警告しているのかもしれない」と、ムザファバードで活動しているAl Rehmat Trustの責任者、MaulanaAsmatullah Muawiaが語った。

「捜索はアメリカ人たちのために行なったもので、ここで活動しているイスラーム慈善団体に打撃を与えようとしているのだ」と、Maulana Asmatullahは語る。「今のところ、我々の活動家や関係者は釈放されていない。イスラマバードにいる組織幹部が当局と交渉している最中で、そのうち釈放されることを祈る」。

「手入れがあった夜、誰が手入れを指示したのかさえ、わからなかった。地元の警察も知らなかった」という。被災地では、Jamatud Dawaa、Al Khidmat、Al Suffa、Al Rehmat Trustなどの慈善団体が救援活動を行なっている。約2万人の宗教慈善活動家が、この地域で救援活動に従事しているといわれる。

hoonSecurity agencies raid Islamic trust's relief camp
Mohammed Rizwan、LAHORE

■[アルカイダへの恐怖」のためにパジョールの長老、抵抗勢力にはむかわず[060126 Daily Times]

バジョール行政府は部族の長老たちを味方につけることができず、アルカイダ系の戦闘員を匿っていると疑われているMaulvi Faqir Muhammadの捜索は難航している。

バジョール行政府に近い情報源によると、アメリカの攻撃のあと、3回にわたってMuhammadの捜索のためにラシュカル(部族警察)を立ち上げようとしたが、失敗に終わったという。

去年、行政府はMuhammadを取り締まるためにラシュカレを立ち上げたが、その結果、長老たちは3度、戦闘員の攻撃を受けたという。

「アルカイダは政府に協力する者たちを容赦しないため、彼らを取り締まることは難しい」と、ある長老が語った。

パジョールの親政府派の部族長老Malik Shahjehanは去年、家族とともに戦闘員に暗殺されそうになったために、地下に潜ってしまった。彼は2004年に、南ワジリスタンのワナで行なわれた和平協定の仲介役でもあった。

2005年にラシュカレがMuhammadと彼の親戚の家を制裁として炎上させたあと、戦闘員たちは3度、Shahjehanと息子のMalik Sultan Zeb、義理の息子のMuhammad Tahirを襲撃したという。

「Damadolaの事件のあと、ジルガが3回開催された。しかし長老たちはアルカイダ系の戦闘員たちに狙われることを恐れ、距離を置こうとしている」と、行政府に近い情報源が語った。

Muhammadはアメリカのミサイル攻撃を免れ、バジョールの中心地のKharにある、行政官Faheem Wazirの事務所からたった15分の距離の所で、自由に活動しているらしい。

「ビンラディンかオマール師を招くことができれば光栄だ。パシュトゥンの伝統に沿って、かれらをいつでも歓迎したい」と、アメリカの攻撃があった翌日、Damadolaの報道陣に語った。

36歳のMuhammadは、9.11以後、数千人の志願者たちを率いて、アフガニスタンでタリバンとともに戦った。「彼は若く、ネック・ムハンマドのように情熱的な男で、最後まで屈しない戦士だ」と、Damadolaの村人が語った。

garr'Fear of Al Qaeda' keeps Bajaur elders from joining administration
against militantsIqbal Khattak、PESHAWAR

■パキスタンでの戦争[060125 Washington Post]

ブッシュは、アメリカを支持するかテロリズムを支持するか、各国は態度をはっきりせよ、アルカイダを匿った者は敵と見なすと、果敢に宣言した。それ以来、彼は強攻策に出ていない。これは、ムシャラフにとっては幸いともいえる。テロとの戦争が開始されて以来、ムシャラフはなんとかアメリカの同盟国でいようとしてきた。しかし国内の過激派、ビンラディンやその仲間たちの掃討を避けてきた。アメリカ人たちの犠牲や資金援助にもかかわらず、とんずらしている。

ムシャラフ大統領やアジズ首相は、パキスタンは数百人のアルカイダを逮捕したと自慢する。しかし、ムシャラフはパキスタンを基地とするパシュトゥン・タリバンを、取り締まったことはない。インドにテロ攻撃を行なっているイスラーム過激派も取り締まらない。自爆を教え込んでいるマドラッサの手入れもしない。核兵器を拡散した最重要犯罪者カーン博士を許し、保護している。さらに軍事高官としての地位を捨て、パキスタンを民主主義国家に戻すという約束も破棄した。

その結果アルカイダはパキスタンで活動を続け、米軍はアフガニスタン南部を沈静化することができない。これまでアフガニスタンでは125人の米軍兵士が命を落とした。多数が、パキスタンから入ってきた戦闘員たちの仕業だ。ビンラディンは先週、オーディオ・テープを発表した。彼はどこかで、守られて暮らしている。

ブッシュ政権は軍事的、経済的援助として、いまだに年間6億ドルをパキスタンに与え、同盟国として扱っている。しかしパキスタンは効果的な行動を行なっていないために、ついに国境地帯で独自の作戦を開始した。少なくともこれまで3回、ミサイルを搭載した無人偵察機がパキスタンの村を攻撃した。最近では13人が死亡し、そのなかにはアルカイダ重要メンバー数人がいた可能性がある。

二重政策をとるムシャラフ政権は、公的には今回の攻撃を非難。しかしパキスタンの諜報組織は、アメリカに協力していたようだ。ムシャラフと、昨日ブッシュに会ったアジズは、今後アメリカはパキスタンの合意なくして、このような行為をしてはならないと言っている。恐らく、こけおどしだろう。そうでなくとも、ブッシュはこれを無視するべきだ。テロリストに関して、アメリカが期待していたように、ムシャラフを味方つけることはできないのかもしれない。彼の非協力的な態度に対して、対処の方法もあるはずだ。しかしブッシュはパキスタンで活動するアルカイダやタリバンを掃討するために、あらゆる方策をとるべきだ。もし標的の居場所がわかれば、即、攻撃するべきだ。ムシャラフの協力など、考慮する必要はない。

garrThe War in Pakistan

■パキスタン、イランの核機密で苦境に[060125 Asia Times]

(前略)バジョール行政区に対する攻撃は、さまざまな面を持つ。ワシントンとイスラマバードの関係がぎくしゃくしてきたと見る者。アメリカはアルカイダに対して必死になってきたと見る者。

別の見方もある。核科学者カーン博士をアメリカで取り締まるために、引き渡しをパキスタンに強要しているという見方である。

ISIの前長官、ハミッド・グル将軍によると、ワシントンはカーン博士を取り調べるために、パキスタンに引き渡しを要求している。イランの核兵器計画を暴くためである。

パキスタンは窮地に追い込まれているが、アメリカ側も問題に直面している。アフガニスタンの抵抗勢力は、パキスタン側を拠点に攻撃をしてくるからだ。(中略)

パキスタンの諜報組織は、9.11以来、アメリカと諜報情報を共有してきた。(中略)去年パキスタンはアメリカの諜報組織に、北ワジリスタンのDand-i-Darpakhelに親タリバン運動が育ち、そこから戦闘員たちがコースト側に入って攻撃をしていることを知らせた。FBIとISIが協力して捜索が行なわれたが、重要人物を逮捕することはできなかった。ハッカーニの幹部司令官や彼の息子、Sirajは逃走したあとだった。

パキスタンはアメリカと諜報情報を共有しても、アメリカが部族地帯に入り込むことはないと信じていた。しかし、アメリカには別の考えがあった。

ネック・ムハンマド司令官が、まず最初の標的となった。パキスタンはアメリカに、ネックに関する情報を提供していた。パキスタンはネックとの取り引きを望んでいたが、アメリカは彼を敵と見なし、彼を殺害することを選んだ。レーザー誘導ミサイルで、ネックは殺された。

アルカイダ司令官のハムザ・ラビアが次の標的だ。ラビアは北ワジリスタンのミール・アリで、無人偵察機が発射したミサイルで殺害された。

そしてパジョールの事件である。アメリカ人たちはクナールを出入りしていた戦闘員たちを追跡し、彼らを攻撃することをパキスタン当局に知らせた。攻撃の3日前から、アメリカのスパイ偵察機がバジョール〜クナール上空を飛び、パキスタンのレーダーもそれをとらえていた。

治安組織の関係者が語るには、アメリカは、国境地帯のアフガン抵抗運動の基地を今後も追跡し、今後さらに攻撃が実施されるだろうと語る。(中略)

《イランの要素》

前ISI長官のハミッド・グルは、「バジョールの攻撃は、軍の問題というよりは、政治的なものだ」と語る。「アメリカが『テロとの戦争』を自分流に戦うことを主張したメッセージであると同時に、別の面がある」。「アメリカはイランの核計画の証拠をつかめない。証拠がなければ、国連にこの問題を持ち出せない。したがってパキスタンに、カーン博士を引き渡すよう、圧力をかけている。つまり今後もパキスタンは国内を攻撃されるか、それともカーンを引き渡すか、選択肢を提示しているのだ」。

「さらにムシャラフの首を絞めるために、民主主義の問題を蒸し返している。以前パキスタンの首相ムハンマド・ハーン・ジュネージョが、1986年に訪米したことを思い出す。帰国すると、当時の大統領ジアウル・ハク将軍に対する彼の態度が変わっていた。現状を考えると、アジズ首相の訪米も注目されよう。彼がどのような秘密のメッセージを持ち帰るか。見ものだ」。

hoonPakistan on the spot over Iran nuclear secrets
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■アルカイダ、パキスタンの部族地帯で再起[060125 ABC]

アルカイダとタリバンはかつてないほど強力になり復活していることが、地元政府関係者の発言や、最近『ABC News』が入手したいくつかのアルカイダのビデオから判明した

米軍はパキスタン内に入ることはできず、パキスタン軍もワジリスタンで活動している様子はない。

新たなビデオテープには、アメリカ人やその仲間を殺害するためのジハードに、新たなメンバーをリクルートする様子が映し出されている。ナレーターは、「ジハードの一団に参加しよう」と呼びかける。

「今年のタリバンによる抵抗運動は大掛かりになり、これまでとは全く違ったものになった」と、作家のアーマッド・ラシッドが語った。

テープによると、タリバンは政府機関を乗っ取ったと主張する。テープに日付は記録されていないが、『ABC News』のレボーターたちは先月、欧米の援助団体は追い払われて事務所は放火され、学校は閉鎖、教師やジャーナリストたちは殺害され、音楽が禁止されたことを確認している。

盗賊だといわれる男たちが、村中をトラックで引っ張りまわされ、後に斬首される様子が映っている。

《法と秩序の崩壊》

「法と秩序が完全に崩壊してしまったようだ」と、ラシッドは語る。「軍は兵舎に立てこもっている」。

しかし今日、ホワイトハウスでブッシュ大統領がパキスタンのアジズ首相と会談した際には、バラ色の情景が描き出され、パキスタン政府の行為に感謝の念を表明した。「我々はアメリカとパキスタンに害を与えようとしているテロリストを掃討するために、一致団結している」とブッシュが記者会見で述べた。

しかし『ABC News』が入手した2本目のアルカイダのテープを見ると、彼らが敗北した様子はまったくない。

テープは、アフガニスタン側の政府関係の建物を襲撃する計画を立てている様子が映されている。司令官は、去年アフガニスタンにあるアメリカの刑務所を脱獄した4人の男の1人だ。再び活動を開始したようだ。

司令官はPowerPointを用いて、襲撃の方法を説明している。また自動兵器を発砲し、建物が燃えている場面もある。戦士たちは「ビンラディンに、永遠あれ。アルカイダに永遠を!」と叫んだ。

American Universityのイスラーム研究の教授、Akbar Ahmedは、「再結成し、生まれ変わり、新たな意気で再登場した。これは非常に危険だ」と語った。

garrAl Qaeda Sees Resurgence in Pakistani Tribal Areas

■アフガニスタンでタリバン7人脱獄[060124 AP]

アフガニスタンの刑務所から、7人のタリバンが脱獄した。

男たちは、カブールの郊外にあるPolicharki刑務所で親戚と面会している最中に逃走した。看守10人が脱獄を手助けしたとして逮捕されたと、Abdul Salam Bakshi将軍が語った。

「脱獄したタリバンの捜索をしているが、今のところ、影も形もない。タリバンと一緒に戦っていた男たちだ」と、刑務所の責任者Bakshiが語った。

男たちはヘルマンド州とカンダハルの出身者で、16〜17年の刑を宣告されていた。身元や罪状についてはわからない。(後略)

hoon7 Taliban Rebels Escape in Afghanistan
AMIR SHAH、KABUL

■無人偵察機と獲物[060130 News Week]

(前略)無人偵察機からヘルファイアー・ミサイルを発射する権限は、ホワイトハウスからCIAに与えられていたと、前対テロ高官が語った。偵察機を用いて一般市民が死亡する可能性がある場合は、攻撃を行なう前に、関係者は上司に許可を得ることになっている。パキスタンのDamadola攻撃の場合、CIAは攻撃を自分たちで決めたらしい。しかしホワイトハウスを含む政府内の上層部には、事前に知らせていた。

ビンラディンの捜索に関係しているアメリカ関係者たちは、無人偵察機の恩恵は、それを用いることで生じる犠牲をはるかに上回る、と確信している。2人の前高官によると、この地域ではミサイルあるいはレーザー誘導型爆弾を搭載した無人機が用いられている。パキスタンの諜報組織の高官によると、2005年5月以来、偵察機が用いられたのは今回で4度目だという(これに先立ち、さらに2回使用されている)。今月の初めに軍とCIAは、グローバル・ホーク無人スパイ偵察機のファースト・モデルを使用し始めた。これは6万5000フィートの高さから100マイル以上の地域を偵察し、低い高度を飛ぶ偵察機はこれに従って目標を定める。

ザワヒリがいると言われる部族地帯は、中央政府に対する激しい抵抗の歴史を持つ。植民地時代のイギリスの総督も、アフガニスタンを支配していたソ連もこのことを痛感させられた。しかし遠隔操作されたミサイルを空から用いて攻撃するというテクノロジーを持つ者は、これまでいなかった。Damadolaを攻撃してアメリカは、部族民たちに警告を発した。パシュトゥンワリに支配されている人間たちは代償を支払わなければならないと、ペンタゴンの幹部高官が語った。「彼らに対するメッセージは、『態度を新たにしろ。テロリストを匿うなら、家族は危険にさらされる』だ」。

ザワヒリの妻はこの地域出身の「モーマンド」族のパシュトゥンだといわれ、そのために彼は身を隠すことに成功している。しかしCIAは、パキスタンの諜報情報に助けられ、これまで以上に多くの情報を入手している。アメリカの高官数人によると、パキスタンの諜報組織はパキスタン国内に大きな「リエゾン」チームを招き入れ、技術的援助を得たらしい。この地域のCIA責任者だったFrank Andersonは、パシュトゥンワリはそれほど絆が強いものではないという。とくに数百万ドルの懸賞金が懸かっているアルカイダに関しては、それほど強力ではないはずだ。「絆を守るこの未開の人間たちは、現実というよりは文学の中だけに存在する」と茶目っ気たっぷりに語る。

アメリカの高官たちは、数年にわたってワシントンで論議した結果、これまでとは異なった形でグローバル戦争を戦っているという。ペンタゴンとCIAとの間の権力抗争にもかかわらず、最近この2つの機関は協力していると、対テロ高官が語った。CIAは、パキスタン内にかなり大きな力を及ぼしている。いっぼう米軍は、パキスタン内では活動してはならないことになっている。さらにCIAは、公的には認められていない極秘捜査に従事しているために、何でも「否定」できる。グローバル・ホークや無人偵察機システムは、非常に洗練されている。生の高画像映像が衛星を通して、バージニアにあるCIA本部6階の司令室に送信される。そこで高官たちは、衛星写真をリアルタイムで巨大な画面で監視。いっぼう別の高官たちが、現場にいる工作員たちに命令を下すのだ。

国境の反対側では、米特殊部隊員たちが昼夜、パキスタン側から入ってくるタリバンと戦っている。「かなり血なまぐさい戦争が行なわれている」と、軍関係者が語った。

ということは、ビンラディンが和平を呼びかけても不思議ではない、とアメリカの高官たち語る。別のテロリズムアナリストたちによれば、ビンラディンのライバル兼パートナーでもあるイラクのザルカウィが、荒々しい手法で多くのムスリムを憤慨させている現在、「まだ私が中心人物だ」とアルカイダのリーダーがメッセージを発しているのだと語る。(後略)

garrPredator and Prey
Michael Hirsh, Mark Hosenball and Sami Yousafzai

■攻撃、テロに対する努力に障害をきたす[060123 Washington Post]

今月のアフガニスタンとパキスタンの国境で起きた事件で、アメリカ・アフガニスタン・パキスタンの間の対テロ同盟に大きな溝があることが、明るみに出てしまった。今後、これまでこの地域における抵抗勢力に対する掃討作戦は難しくなってくるだろうと、3国の高官たちは口をそろえる。

戦闘員もアメリカも、ともに戦術が攻撃的になり、パキスタンはその間に挟まれてしまっている。

とくに12人以上の者が殺害された、最近起きた2つの事件は、国家間の関係が危うくなっていることを明らかにした。

まず最初の事件では、アメリカのミサイルが、ザワヒリが夕食会に参加しているといわれていた、パキスタンの村Damadolaを攻撃した。その3日後、今度はアフガニスタンのスピンボルダックで、男がレスリングの試合を見物している群衆にバイクで突っ込み、自爆した。

2つの事件は国境の両側で起きたために、さまざまな反応があった。まずアメリカのミサイル攻撃のあと、数千人のパキスタン人が街頭に出て、反米の抗議運動を行なった。自爆事件のあとには、アフガン人数千人がパキスタンに抗議した。

抵抗勢力のほとんどがパキスタン側にいるために、アフガニスタン側で戦うことができずにいらいらしているアメリカは、ヘルファイアー・ミサイルを搭載した無人偵察機をパキスタン側に飛ばし始めた。パキスタン人高官たちが事前に作戦を知らされ、諜報情報を提供していることは明らかである。しかし怒った民衆の反応を見ると、欧米との関係を強化して国内の原理主義者たちを無視しているムシャラフが、果たしてこのような国内の政情にうまく対処できるかどうか、疑問が湧いてくる。

アフガニスタンは、アメリカの強行策を支持している。アフガンの政府高官たちは、アメリカがもっとパキスタンの過激派を取り締まることを望んでいる。

いっぽう、国境では緊張が高まっている。

「我々の心は苦しみでいっぱいだ」と、Abdul Hakim Janは語る。彼はアフガンの部族のリーダーで、パキスタンから入ってくる戦闘員たちに対して抗議している。「アフガニスタンのすべてのテロリストと敵は、パキスタンのせいだ。パキスタンで訓練され、アフガニスタンに来ては攻撃する」。

逆に、パキスタン人の部族のリーダーは、すべてをアフガニスタンにいる米軍のせいにしている。先週から日曜日にかけて、パキスタン人数千人がブッシュの人形を焼いて抗議し、「オサマに永遠あれ!」と叫び、アメリカに協力しているパキスタン政府を非難した。

「民衆は非常に怒っているために、最近パキスタンを支配しているアメリカの奴隷に対する、大きな抗議運動に広がる可能性がある」と、イスラーム協会のリーダー、Liaquat Baluchが語る。

国境地帯の反乱は、最近に始まったことではない。数世紀にわたって、この山岳地帯は政府がコントロールできない地域になってきた。(中略)しかしアメリカがアフガニスタンに侵攻して以来、国境は特別な意味を持つようになった。アフガン側には、米軍の1万9000人の兵士が待機している。パキスタン側に米軍が入ることは、禁じられている。その結果、9.11以後アフガニスタン側にいたイスラーム過激派たちは、アルカイダやビンラディンに共鳴している人間が多い、パキスタン側の部族地帯に逃げ込んだ。

これまでアメリカは、戦闘員たちの取り締まりをパキスタンの治安部隊に任せていた。しかし1月13日の夜明け、アメリカは新たな戦術を用いた。ザワヒリを殺害しようとして、無人偵察機からヘルファイアー・ミサイルを発射したのだ。パキスタン人とアメリカの諜報組織関係者たちによると、ザワヒリはDamadolaで開催された夕食会に参加する予定だった。しかし彼は現場にはいなかったようだ。

ミサイルは少なくとも13人を殺害した。地元行政官たちは、村人だけが殺害されたと主張。しかしパキスタンの諜報組織関係者たちは、アルカイダ戦闘員数人も死亡したと主張している。しかし証拠はない。(中略)

パキスタン政府の反応も混乱した。政府高官の中には、抗議集会に参加して攻撃を強く非難する者もいた。この地域では、戦闘員がいたと主張する高官もいる。外務省は米大使館に形式的に抗議したが、ムシャラフは何も述べず、テロリストを匿ってはならないと国民に警告しただけだった。

パキスタンの外相のカスリは、今回の攻撃は政府に圧力をかけたと、インタビューで語っている。「このような行為は、我々の内政に大きな問題を引き起こす。我々の主権にアメリカは配慮していない、という見解が広がりつつある」と言う。

しかしアメリカ人高官は、パキスタンの抗議は形だけのものだと主張する。米軍と諜報組織の情報源によると、パキスタンは今回の攻撃を事前に許可しており、攻撃に先立って諜報情報も提供していたと語る。

パキスタン国内の標的に無人偵察機で攻撃するという戦術は、比較的新しい。そしてパキスタン政府の許可なくして、そのようなことはできないはずだと、治安組織高官数人が語る。去年の5月以来、このような攻撃が少なくとも3回あった。12月の攻撃では、アルカイダ幹部のHamza Rabiaを殺害したといわれる。

しかし今、無人偵察機による攻撃が今後も用いられるかどうかは、はっきりしない。

日曜日にムシャラフは、米国務副長官のニコラス・バーンズに、今回ザワヒリを標的にしたような攻撃、「繰り返されてはならない」と語った。(中略)

しかしパキスタンの諜報組織幹部は、今後もアメリカとパキスタンの戦闘員に対する態度は変化しないだろうと語る。「正式な抗議はした。しかし、アメリカと協力するという、基本的な方針は変わらない」。

最近のアメリカによるミサイル攻撃は、アフガニスタンで戦闘員の自爆攻撃が頻繁に実施されるようになってからのことだ。これまでアフガニスタンでは、このような攻撃は稀だった。

外相のアブドゥッラーは語る。「アフガニスタンの外で協力する者がいなくては、このようなことは起こりがたい」。他の者たちは、パキスタンを名指しで非難する。パキスタンはアフガニスタンを不安定することを目論んでいる、と見られている。

「抵抗運動の時代、我々はパキスタンを基地にしていた」と、パクティア州知事のHakim Taniwalは語る。(中略)「今は、アルカイダやタリバンがパキスタンを根拠地として、アフガニスタンを攻撃している」。

去年、アメリカが兵を削減すると表明したために、アフガン政府高官たちも不安になっている。(中略)

いっぼうタリバンやアルカイダは、この機を狙って攻撃をかけている。「戦略としては、これは防衛的な攻撃だ」と、アフガニスタンに従事した経験がある米外交官Chris Masonは語る。「南部の再建を妨害するだけの攻撃を仕掛け、民衆を中途半端な状態においている」。

garrAttacks Strain Efforts On Terror
Griff Witte and Kamran KhanKABUL

■戦闘員30人の遺体、ペシャワルに運ばれる[060123 Daily Times]

北ワジリスタンで起きた治安部隊との衝突で死亡した戦闘員30人の遺体が、ベシャワルに運ばれたという。

情報源によるとそのうちの何人かの遺体が、DNA鑑定のためにイスラマバードに移された。

hoonBodies of 30 militants shifted to Peshawar
PESHAWAR

■ミール・アリの取り締まりで12人逮捕[050123 Daily Times]

治安組織は、北ワジリスタンの取り締まりで12人を逮捕した。行政府は、ミール・アリの部族民に対する制裁として電力の供給を中止し、経済的制裁を課した。さらに3台の車両も差し押さえられた。これらの制裁はHassokhil、Mosk、Aisotri、Khadi、Khoshali、Torikhil枝族に対するものである。

副行政官のMuhammad Fida Khanによると、これらの枝族には、この地域に隠れている容疑者リストを手渡されているにもかかわらず、容疑者たちを引き渡していないという。ミランシャー郊外では、抵抗勢力と政府との間で銃撃戦があったという報告もある。

《追記》

バジョール行政区は、指名手配になっているMaulana Faqir Muhammadの親戚2人を逮捕したという。しかし行政関係者は、2人は戦闘員たちと関わりはないと述べた。「2人の人間を逮捕した。1人はモーマンド地区に地雷を埋めた容疑がかかっている。もう1人は抗議行動の際に、バザールの店に被害を与えた」という。

しかし別の政府高官は、2人のうちの1人はアルカイダ工作員と関係があると述べた。「外国人を匿ったために、どのような制裁を与えるか」、ジルガを開催して決めるという。

hoon12 held in Mir Ali crackdown
MIR ALI

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2006.