【2006年8月28日〜9月3日】


■NATO軍とアフガン軍、タリバンと激しい戦い[060903 New York Times]

アフガニスタン南部の戦闘で日曜日、NATO軍とアフガン軍がタリバンの激しい抵抗を受け、カナダ兵4人が死亡、数人が負傷した。

NATO報道官のマーク・レイティによると、現場からの報告ではタリバンが日曜日に200人死亡し、80人が逮捕されたという。タリバンの犠牲者数は確認することができないが、真実だとすれば、これまでで最も多数の犠牲者が出たことになる。

死者の中に一般市民が含まれているかどうかは、明らかではない。軍関係者によると、作戦が実施されることを長老たちに事前に警告し、犠牲者を出さないよう、人々に避難するよう申し渡したという。しかしカンダハル州知事は、住民たちにタリバンを家に招き入れたり道路に出ないように警告したと述べた。

戦闘は、英軍のNimrod MR2がカンダハル付近で墜落して、英兵14人が死亡した翌日に実施された。

これまでパンジュワイとザーリ地区に、数百人のタリバンが集結してきていた。抵抗勢力たちは、幹線道路やカンダハル市内で襲撃を繰り返していた。

(中略)NATO軍は、タリバン戦闘員たちをこの地区から一掃するための長期作戦を計画し、地域から逃げ出した住民たちのために再び安全を確保して、開発計画を続けようとしている。

カンダハルのカナダ軍を中心としたNATO軍が、戦闘開始の合図として施砲撃隊と爆撃機が40発の爆弾を発射して、目的地一帯に集中砲火を浴びせた。

夜明けにアフガン軍とNATO軍が、現場に前進を開始した。すぐに地雷に遭遇したが、撤去しながらゆっくり前進したという。NATO軍報道官によると、軍は「その地域で多数の抵抗勢力」に遭遇し、タリバンたちの激しい防戦を受けたという。

NATO軍のカナダ人司令官によると、カナダ兵4人が死亡し、多数が負傷したという。

戦闘は主に、ザーリ地区のパシュムル地区周辺で発生した。朝のうちにタリバン戦闘員89人以上が死亡したと、アジミ将軍が述べた。「今回の作戦はこれまでものものとは全く違う」と語り、数週間続くことをほのめかした。「我々が確保した地域を、再び失うことはない」。(後略)

hoonNATO and Afghan Forces in Fierce Fight With Taliban
CARLOTTA GALL、KABUL

■アフガンの攻撃でタリバン200人殺害[060903 AP]

日曜日、アフガン軍とNATO軍が実施した大掛かりな作戦で、果樹園に隠れていたタリバン戦闘員たちを戦闘機や大砲を用いて攻撃して、最初の2日間でタリバン200人以上を殺害した。カナダ兵4人も殺害された。

今回の数字が確認されれば、米軍主導のタリバン掃討作戦が開始されて以来、最大の戦いとなる。カンダハル南部の現場に入る道路は封鎖されているために、報道陣は戦闘現場に入ることはできない。

パシュマルまで入ったレポーターによると、20分の間に戦闘機が戦闘員たちが隠れていると思われる果樹園に、爆弾5発を投下するのを目撃した。レポーターは、現場から約300ヤード離れていたという。

ブドウとザクロ畑の中で爆発音が聞こえ、パンジャワイ地区の家々から煙があがった。

『メドゥーサ作戦』は土曜日に、パンジャワイ地区と隣のザーリ地区からタリバンを一掃するために開始されたと、NATO軍報道官のスコット・ルンディ中佐が述べた。

アフガン国防大臣のアブドゥル・ラヒーム・ワルダックによると、タリバンの犠牲者が多数出た模様だが、NATO軍が主張している200人以上が死亡したという数は、確認しなかった。

NATO軍によると、死者の数は、「パンジャワイとザーリ地区にいる偵察隊や近くに住んでいるアフガン政府関係者や住民の情報」によるという。

これとは別に、アフガン警察がタリバン容疑者80人以上を逮捕し、さらに180人が逃走したいう。

膨大な量の火器が用いられているが、一般市民の犠牲者の報告はないと、同盟軍は発表した。しかしアフガン国防省報道官のザヒール・アジミ将軍は、一般市民が多数殺害されたと述べた。

NATO軍によると、兵士7人が負傷し、そのうち1人が重傷だという。アフガン軍に関する報告はない。

土曜日に、『メドゥーサ作戦』のために出動した偵察機が墜落して、英兵14人が死亡した。NATO軍によると、敵の攻撃を受けたのではなく、技術的な問題だったという。

(中略)『メデゥーサ作戦』の開始とともに、カンダハル当局は、パンジャワイ地区に通じる幹線道路を移動してはならないと警告した。日曜日に道路は封鎖された。(後略)

hoonNATO: Afghan raid kills over 200 Taliban
NOOR KHAN、PASHMU

■アルカイダのビデオ、イスラームへの改宗を促す[060903 Reuters]

土曜日にインターネットに掲載されたアルカイダのビデオが、ブッシュ大統領や非イスラーム教徒に−−特にアメリカに住む者たちに、イスラむに改宗するように促し、自分たちの「悪行」を放棄しなければ悪い結果になると警告した。

テープに主に登場したのはアメリカ人のアザームで、彼はカリフォルニア出身の改宗者、別名アダム・ヤヒエ・ガダーンで、FBIから指名手配になっている。

ビデオで彼は、ザワヒリによって紹介されていた。CIAは、ザワヒリの声が本物であることを確認した。(後略)

hoonQaeda Video Demands Conversion to Islam
DUBAI

■アフガニスタンのNATO機の墜落で14人死亡[060903 AP]

土曜日に英軍機が墜落し、乗員14人が死亡した。

タリバン報道官がスティンガー・ミサイルで撃墜させたと発表したが、英国防省は「大きな事故」と表現した。同盟軍によると、乗員が技術的問題を訴えていたという。

墜落は、アフガン軍と国際軍がカンダハル奥地で大がかりな作戦を実施している最中に起きた。金曜日以来カンダハルでは、警察官13人と戦闘員13人、一般市民1人が死亡している。

英国防省によると、墜落した航空機はNimrod MR2で、乗客25人と乗員13人が乗り込める。

カンダハルから12マイル離れたチャラゴール村の住民によると、炎上した機体の近くにヘリコプターが着陸して、見物人を追い払ったという。米軍が、遺体を回収しているのが目撃された。

墜落の直後、タリバン報道官のアブドゥル・カリークが、機体を撃墜させたと主張した。「スティンガー・ミサイルで撃墜した」と述べたが、確認することはできない。

NATO軍報道官のスコット・ルンディは、「敵の攻撃であることを示すことは何もない」と述べた。

(中略)金曜日と土曜日に南部で多数の武力行為があった。

金曜日にヘルマンドのグリエシュク地区の警察検問所を戦闘員たちが攻撃し、警察官5人を殺害、7人を負傷させた。タリバン3人も死亡し、2人が負傷した。抵抗勢力たちが警察官4人を拉致したために、土曜日には警察官数百人が出動して行方を追っている。

土曜日にフェラ州では、タリバンが警察官4人とそのうちの1人の妻を殺害した。

さらにニムローズ州とザーブル州で3件の武力沙汰があり、アフガン警察官4人とタリバン10人が殺害された。

7月26日には民間用ヘリコプターがアフガニスタン東部で墜落し、16人が死亡している。タリバン報道官がヘリコプターを撃墜したと主張しているが、軍は悪天候のために墜落したのではないかと発表した。

hoonNATO plane crash in Afghanistan kills 14
NOOR KHAN、KANDAHA

■戦闘員、北ワジリスタンの和平協定に調印[060903 News]

親タリバン派戦闘員たちが部族民長老に促されて、土曜日にパキスタン政府と「恒久的和平」を約束する協定に調印した。この協定は来週明らかになる予定であるが、戦闘員たちは政府関係者や治安部隊を攻撃しないかわりに、北ワジリスタンに派遣された軍は「彼らを攻撃しない」という。

「これは良い展開だ。タリバンは武力行為をしないことを約束した」。さらにタリバンは「外国人戦闘員から距離を置くことを約束した」と、諜報機関関係者が述べた。

別の関係者によると、ミランシャーのマドラッサで調印式が行なわれたという。

土曜日の協定に関する詳細はわからないが、これまで戦闘員たちは、9.11以後に逮捕された仲間たちの釈放と北ワジリスタンの検問所の撤去を要求していた。

hoonMilitants, govt sign truce in N Waziristan

■ビンラディンの捜索、いまだ手がかりなし[060902 AP]

アルカイダのテロキャンプ場はアフガニスタンからなくなったかもしれないが、ビンラディンの謎は、いまだに解決していない。

村人によると、1月のミサイル攻撃で、CIAは数マイルの誤差でザワヒリを取り逃がしたという。その後6月に米軍特殊部隊はザワヒリの腹心を逮捕し、ザワヒリ追跡はまだ失敗していないことをほのめかした。

しかしビンラディン自身に関してはどうだろう?(中略)アルカイダの幹部たちは、部族地帯に10万人の米軍、アフガン軍、パキスタン軍がいるにもかかわらず、いまだに自由だ。捜索にはハイテク盗聴器、衛星画像、無人偵察機が用いられ、2500万ドルの賞金が懸けられている。

しかしビンラディンもザワヒリも、いまだに外の世界と接触し、イスラームのウェブサイトにメッセージを送り、欧米への攻撃を呼びかける。(中略)

欧米、アフガン、パキスタンの高官は、ビンラディン逮捕に最も近づいたのは、2001年11月、彼がクナール南部のトラボラ山脈にいたときだったという。

パキスタンの諜報機関関係者によると、最初ビンラディンは死亡したと思われていた。しかしその後2003年3月にハリッド・シェイク・ムハンマドが逮捕され際、ビンラディンが家族にあてて書いた手紙が発見された。その後、何度もビンラディンとザワヒリを捕まえる計画が立てられた。

2003年の後半、パキスタン軍は北ワジリスタンのラッタカ村を襲撃したが、ビンラディンはいなかった。

2004年、国境の両側で軍事作戦が実施された最中、米軍のデビッド・バルノ准将は、ビンラディンをその年中に逮捕することを期待していると述べた。しかし今になって、当時彼の居場所に関する確かな証拠は何もなかったと言っている。

2004年、パキスタンは軍事作戦を南ワジリスタンで数回実施し、コンピューターや通信機器を備えたアルカイダの基地を襲撃した。しかしこれらのアジトにいた外国人戦闘員は、ビンラディンに近いアラブ人ではなく、中央アジア出身者だった。

同年パキスタンは、ビンラディンからザワヒリのどちらかが南ワジリスタンにいることを知った。「作戦が実施されたが、すでに彼らは去った後だった」と、ショーカット・スルタン軍報道官が述べた。

つい最近1月に、CIAはワジリスタン北東部にあるダマドーラ村に、無人偵察機からミサイルを発射した。目標はザワヒリだった。彼は、村で夕食に招かれる予定だった。しかし、彼は来なかったと、パキスタン諜報機関関係者や地元住民が語る。後にそこから東に7.5マイルほど離れたサラルジで、彼の支持者の家にいたことが明らかになった。

しかし、このミサイル攻撃で13人の一般市民が死亡。アルカイダ幹部数人も殺害されたという報道もあるが、遺体が発見されていないために、真偽はわからない。

ザワヒリを招いたといわれる材木商で部族民長老のハッジ・ナダールが、後に米軍特殊部隊に逮捕されてバグラム収容所に連行されたと、米軍基地があるナレイの警察長官、ユーセフ司令官が述べた。

ユーセフはこれ以上話すことを拒否したが、パキスタン諜報機関関係者や地元住民によると、ナダールはクナール州で6月に逮捕されたという。パキスタンにいるナダールの家族は、バグラム基地から送られてきた彼の手紙を受け取ったという。米軍はこの情報を確認することを拒否している。

ザワヒリの居場所についての噂はいろいろだ。クナールの反対側のパキスタンのバジョール地区の部族民によると、ザワヒリは小さなグループで、アフガニスタンとパキスタンの間を行き来しているという。7月にザワヒリはダマドーラの近くを訪れ、別の地元工作員であるカワス・ハーンの十代の娘と結婚、あるいは婚約したという。この儀式には、親タリバン戦闘員を含む長老たちが出席したらしい。

パキスタンの諜報機関関係者はこの報告を確認したが、北西辺境州知事のオラキザイは、単なる憶測にすぎないと語った。

確実な情報を得るためには、危険が伴う(中略)。

オラキザイによると、2004年後半以後、部族民約70人が殺害されたという。ほとんどが、政府に協力したからだ。政府関係者によると、少なくともインフォーマント30人が暗殺されたり、斬首されたりした(中略)。

別の諜報機関関係者によると、インドで活動するよりも国内の部族地帯で活動するほうが難しいという。「敵国では、誰が敵かがすぐわかる。しかし部族地帯では、敵と味方の区別をつけることは非常に難しい」。

パキスタンの諜報機関関係者によると、ビンラディンとザワヒリは別々に行動していて、それぞれ信頼のおけるアラブ人たちに警護されている。いくつかの警護の輪を形成し、その一番外に地元の戦闘員がいる。

彼らは電子通信機器ではなく、メッセンジャーを用いて通信する。ザワヒリは今年になって、ビデオまたはオーディオメッセージを10回発した。ビンラディンは2006年の間に、5回、オーディオメッセージを発表している。これらのメッセージの中には、イラクのリーダーだったザルカウィを讃えるものもあった。

パキスタンは、アルカイダのリーダーたちは単なるシンボルにすぎなくなったと主張する。しかしパキスタン人諜報機関関係者は、イギリスで発生した航空機爆破計画犯は、ザワヒリと関係していたという。真実であれば、アフガニスタンはいまだにテロリストたちの中心であることを意味する。(後略)

hoonBin Laden manhunt still drawing a blank
PAUL GARWOOD and MATTHEW PENNINGTON、AFGHANISTAN-PAKISTAN BORDER

■パキスタンの喉元にナイフ[060902 Asia Times]

(前略)アフガニスタン南部と接するパキスタンの部族地帯が「テロとの戦争」で再び焦点を浴び、アメリカにとっては、アフガニスタンと同様に重要になりつつある。

アメリカはアフガニスタンで発生する自爆事件の元凶として南北ワジリスタンを名指しし、パキスタン側にいるタリバンに対して、作戦を実施しようとしている。

反米勢力たちは活発に動いているために、パキスタン政府はなんとか均衡を保とうとしている。

部族地帯の問題解決のための話し合いが、最終段階を迎えた。先月パキスタン陸軍副長官のエーサン・サリーム・ハヤット将軍がアフガニスタン、パキスタン、米軍とNATO軍からなる3者会談に出席するためにカブールを訪れ、アメリカ中央アジア指令のジョン・アビザイド将軍がパキスタンを訪問して、計画は大詰めを迎えた。

情報源によると、アメリカは国境を越えて敵を追跡する計画を立てており、パキスタンの部族地帯の問題を最終的に解決することを要求している。部族地帯を、アフガニスタンの「テロとの戦争」の前線の一部にするべきだと主張する。

先月パキスタンはこの問題を検討し、この地域の国境を明確にするために、フェンスを張り巡らせることを提案した。しかしこの地域の国境は、山や居住地を分断する架空のデュランド・ラインが存在するにすぎない。アメリカが望む唯一の解決策は、パキスタン内まで、敵を追跡するこだ。

水曜日にミランシャーで、マドラッサの新卒業生を祝うために、数百人が集まった。南北ワジリスタンの人間がこれほど大勢一堂に会したことは、かつてない。この集会は、米軍の到着を目前に控え、部族民たちが自分たちの力の誇示するものでもあった。

この儀式は、パキスタン政府とパキスタンのタリバン、そしてファズール・レーマンが率いるイスラーム神学者協会(JUI-F)の話し合いが開始した直後に計画された。(中略)

この話し合いで政府は、軍は撤退もしなければ、米軍が部族地帯に侵入することも許さないと主張した。

JUI-F自体は、パキスタン人タリバンの野望をなんとか制御しようと、必至になっている。タリバン運動は都市部に広がりつつあり、とくにJUI-Fの影響力が大きい地域で勢力を伸ばしている。

したがってJUI-Fは、パキスタン人タリバンと取り引きをして、タリバンにワジリスタンのコントロールするのを許す代わりにJUI-Fが主導権を握り、同時にタリバンたちを米軍から守ることにした。ミランシャーの集まりは、この新たな戦略を表明するためのものだった。

この集まりで、ムジャヒディンのリーダー、モーラナ・サディーク・ヌールとグル・バダル(北ワジリスタンのパキスタン人タリバンのリーダー)、さらにムジャヒディンのシューラ(議会)が壇上に座り、JUI-Fのリーダーたちがスピーチを行なった(中略)。

集会では、ワジリスタンの今後を話し合った。ムジャヒディンは背後に留まり、非戦闘員たち、つまり地元の長老、JUI-Fや宗教指導者たちが前面に出る。そうすれば、デュランド・ラインにフェンスを張り巡らせるというパキスタン政府の申し出が正当化され、米軍は部族地帯が自由に侵入できない。

いっぼう北ワジリスタンに住む客人、つまりウズベク人、アラブ人、チェチェン人を含む反米戦士たちは、それぞれの指令系統を解散させ、グル・バダルの司令官が率いるムジャヒディン軍に参加するか、普通の部族社会にとけ込むかのどちらかを選ぶことになった。

(中略)アメリカもイスラマバードも、南北ワジリスタンのパキスタン人タリバンの力を知らない。パキスタン政府は、以前指名手配になっていたすべての人間に恩赦を与えた。検問所は3〜4カ所を残して撤去された。いっぽうタリバンは、各地でその存在を顕示している。

アメリカの新たな軍事作戦は、防げそうもない(後略)。

hoonThe knife at Pakistan's throat
Syed Saleem Shahzad、MIRANSHAH

■ワジリスタンは平和に戻ったか?[060901 News]

政府の主張に反し、ワジリスタンには平和が戻っていないように見える。アフガニスタンのスパイだとして地元の人間2人が斬首され、地元ジャーナリストの14歳の弟が殺害された事件を見ると、ワジリスタンに平和が戻ったとは言えない。

新州知事が発足させた大ジルガにより、問題を抱えたこの地域にやっと平和がもたらされたと言われている。戦闘員たちも停戦を続けている。ジルガの結果、政府は検問所を撤去し、戦闘員が政府を攻撃しないという条件で、彼らの問題に介入しないことになった。

これは、これまで政府がFATAに関してとってきたと同じ態度を、再びとったと解釈されるだろう。この地域の歴史を受け入れ、FATAの人間が外部の者を嫌い、自分たちの問題に外部の人間が介入することを嫌うという事実を受け入れたのだ。政府がこれまでしてきたことと同じことを、今回もしたにすぎないと政府は主張するだろう。

しかし今日、今の時代においては、この政策に大きな問題がある。まず、FATAの行政区を国家政策の主流に取り込むという、これまでたびたび主張されてきた政策に反する。過去において国家選挙に参加できたのは、一部のマリークと影響力のある人間だけだった。しかし現政府は、少なくともこの件に関しては改革を行ない、すべての住民(もちろん女性は例外)に選挙権を与えた。

また過激派や外国人戦闘員と戦わせるために、約7万兵を派遣した。これはワシントンの圧力なしには、あり得なかった。

問題は、過激派との戦い、外国人戦闘員の一掃、タリバンや地元シンパの監視は、外国に指示されて行なうのではなく、国家の問題として実施しなければならない。

平和と引き換えに政府が部族民と交わした協定には、問題がある。外国人戦闘員は、パキスタンからいなくなったかもしれない。しかしこれを証明するものはない。彼らの、元保護者たちの言葉だけだ。また外国人でない者に関しては、彼らがタリバンと同じイデオロギーを持っているにもかかわらず、具体的な対策はない。

政府の決議は、結局これらの過激派たちを自由にしただけだ。したがってスパイたちの斬首事件が発生する。これらの半啓蒙的行為は地元タリバンにより、その過激活動や過激的見解を周囲の地域にも広められ、原理主義的に基づいた厳罰を処するようになってきている。

政府は、この地域の平和を保つためにタリバン化を広めてしまう危険性を犯していいか、再検討するべきだ。いずれにしても、このような平和は長続きしない。

hoonHas peace returned to Waziristan?

■タリバン、北ワジリスタンの和平協定に「巨額の補償金」を要求[060830 Daily Times]

タリバンのリーダーと北ワジリスタンのジルガとの話し合いで、タリバンが要求している「巨額の補償金」に関して、折り合いがつけられないという。

タリバンたちは「和平協定締結のために、軍事作戦で受けた被害に対する補償を政府に要求している」と、情報源が述べた。停戦期間が延長になったのは、この件に関してタリバン司令官とジルガのメンバーの間に違いがあったからだという。「彼らは巨額な金額を要求している。数億ルピーだ」という。

南ワジリスタンでは、2004年にタリバンが和平協定を結び政府に降伏した際、政府はタリバン司令官幹部に約5000万ルピーを支払っている。しかし北ワジリスタンのタリバンは、2億ルピーを要求しているという。

「我々はタリバンに要求を再検討するよう、促している。被害のことはわかっているが、戦闘員たちはこの機を利用しようとしている」と、あるジルガのメンバーが語った。政府は彼らの要求を「正当外」としているという。

【ふTaliban seek‘huge compensation’for North Waziristan peace deal
PESHAWAR

■パキスタン、タリバンの特定に四苦八苦[060830 Christian Science Monitor]

イマダード・ウッラーは話題を振られて、相棒2人がいなくなっても、自分がタリバンであると公言することを恐れない。この地域では毎日のようにタリバンが逮捕されているから当然だと、彼は語る。(中略)「我々は戦っている。我々はアフガニスタンに膨大な量の武器を持っている。タリバンが崩壊したときに、武器を山中に隠した」。

ウッラーはバローチスタン州に住むアフガンタリバンの1人だと、地元政府関係者や住民、ジャーナリストは語る。彼の存在は、ここのところ続いている論議に焦点を当てる。英軍やアフガン政府関係者は、バローチスタンの州都のクエッタは、タリバンの基地だと主張している。戦闘員たちがアフガニスタンに入って攻撃を行なっては、再びパキスタンに帰る。ここにいれば同盟軍に攻撃されず、パキスタン軍からは圧力をかけられることもほとんどないからだ。

パキスタン政府関係者たちは、アフガンタリバンが国内にいることを認めている。警察はタリバン高官や司令官を何人か逮捕し、誤って爆発事故を起こした爆弾工場を摘発している。政府によると、タリバンを見分ける方法がないために、取り締まりを十分していないという非難は不当だという。

「タリバンは入ってくるかもしれない。それを否定するつもりはない」と、クエッタ警察の監査官は語る。「国境は簡単に行き来できる。行き来は自由だ」。しかし、パキスタン人がアフガニスタンに行って戦うことはないという。

ターバンを巻いている者すべてを逮捕することは、不可能だという。約40万人のアフガン人がこの地域に住んでいて、ほとんど全員がターバンを巻いている。パキスタン人も同様た。

8月中旬に警察が、クエッタの私立病院のアル・ハイルで負傷したアフガン人29人を逮捕すると、問題は大きく注目された。警察によると、10人がアフガニスタンでNATO軍と戦っていたと述べ、タリバンの取り締まりの象徴として逮捕を讚えた。しかしアル・ハイル病院関係者などによると、男たちが戦闘員だったとする理由は何もないという。

「彼らがタリバンである証拠はまったくない。単なるアフガン人だ。全員ひげを生やし、ターバンを巻いている。ロケット砲など持っていない」と、病院を管理しているムハンマド・アメールは語る。赤十字も、男たちはアフガニスタン出身ではあるが、彼らがタリバンである証拠はないと述べた。無実な男たちが毎日のようにアフガニスタン南部で負傷するが、自分たちがタリバンと疑われることを恐れて治療を受けられない者が多数いると、クエッタの赤十字責任者のポール・フルッフは語る。

しかし、もっと追跡すべき道筋があることを示唆する、具体的な証拠はある。例えばヤクーブ監査官によると、アフガニスタンの同盟軍に対して用いられる改良爆弾を作るための爆発物を、摘発によって発見したという。

「我々諜報機関は、このような摘発を全力ですべきであろうか。おそらく欧米はそれを望んでいるのだろう。しかしこの国には、問題はもっとあるのだ」。

住民たちはこのような見解と距離を置き、クエッタに長く住んでいる者なら、タリバン司令官がどこに住んでいるか、誰でも知っているという。

「すぐ見分けがつく。まず高価な車を持っている」と、元連邦情報大臣で、現在は人権活動家のタヒール・ムハンマド・ハーンは語る。「彼らは堂々と動いている。私は彼らの社会的位置づけを知っている」。

ハーンは特定の名前を出したり、住所を示すことはしなかったが、タリバンたちが住む地域を列挙した。サテライト・タウンに隣接するパシュトゥナバード。また地元ジャーナリストたちは、クエッタ郊外のイースタン・バイパスを挙げた。

警察長官のヤクーブは、軍は信頼できる情報をもとに動いているという。2005年10月に、クエッタに住んでいたタリバン報道官のアブドゥル・ラティフ・ハキーミを逮捕した。

タリバンに協力して武器を持つ者が何人いるかは明らかではないが、誰でもタリバンにシンパシーを持っている。

「アフガニスタンでの戦争に協力してほしいと、頼んだことはない。でも我々にはイデオロギーがある。外国人の侵略を防ぐために戦う権利のある者たちを、いつでも支持する。戦いに行くと決めれば、彼を支持する」と、クエッタのイスラーム神学者協会会長のハーフィズ・ファザル・ムハンマド・バレッチが語る。彼の言葉は、クエッタの人間の気持ちを代表している。しかしバレッチ氏は、自分たちのマドラッサのような組織は、軍事訓練を行なっていないと主張する。

クエッタの住民たちは、自分たちの町はタリバンにとりつかれてしまったという。「町全体が、その反抗的な姿勢のために、タリバン的だ」と、人権活動家のハーン氏は語る。「彼らの考え方、文化、すべてがタリバンと同じだ」。

hoonPakistan struggles to identify Taliban
QUETTA

■ラシュカレ創設者、再び逮捕[060829 BBC]

過激派レシュカレ・トイバの元会長、ハーフィーズ・ムハンマド・サイードは、裁判所から釈放を命じられた数時間後、再び逮捕された。

ラホール最高裁判所が月曜日に、彼が法に反することをしている証拠を政府は提出できなかったとして、釈放を命じた。

釈放の数時間後、パンジャーブ州政府はサイードをさらに60日間拘束することを命じた。(中略)政府によると、サイードは公共秩序に対して脅威であるために、再逮捕したという。弁護士は再び控訴する予定である。

インド政府関係者は、ラシュカレは7月に起きたムンバイの列車爆発事故に関与していたとしている。パキスタンは独立記念日に先立ち、彼を逮捕。アメリカからは、過激派に対する取り締まりを十分していないと、圧力をかけられている。

hoonLashkar founder back under arrest

■「アメリカのスパイ」のアフガン難民、殺害される[060829 Daily Times]

親タリバン派戦闘員が北ワジリスタンで、アメリカのスパイだとしてアフガン難民を射殺した。

先週フマユン・ハーンが地元の難民キャンプから誘拐され、射殺死体となって月曜日に発見された。(中略)「アメリカのためにスパイ行為をした」というメモが、遺体に残されていたという。

hoonAfghan refugee killed for being 'US spy'
MIRANSHAH

■ハーフィズ・サイード、釈放される[060829 Daily Times]

ジャマット・ウッダーワ会長のハーフィズ・ムハンマド・サイードが月曜日の夜、釈放された。

政府がサイードを自宅軟禁にしておくための証拠を裁判所に提出することができなかったために、裁判所が釈放を命じたという。(後略)

hoonHafiz Saeed released
LAHORE

■パキスタンにとって打撃となる死[060829 Asia Times]

治安部隊によるパローチ・ナショナリストの指導者、ナワーブ・アクバル・ブグティ殺害で、「自由なバローチスタン」運動をさらに加速することになるだろう。

また今回の出来事は、パキスタン陸軍による、大統領であるムシャラフ将軍に対する大きな攻撃でもあった。

(中略)パキスタンの治安組織関係者によると、軍諜報部は、ブグティの隠れ家をかなり前から知っていたという。ムシャラフ大統領も、ブグティの病を含め、2ヵ月前からすべての動きを把握していた。

ムシャラフは、ブグティを殺害して殉教者に仕立て上げるのではなく、彼を隔離しておくように指示していた。パローチ族の地域が緊張するより、彼を追われる立場に彼を置いておくほうが得策と考えていた。

したがってブグティの死のニュースはバローチだけでなく、陸軍指導者を驚かせた。今彼は、バローチスタンのナショナリストの活動を阻止しようと、必至になっている。

ムシャラフにとって今回の殺害は彼の命令に反するものであり、陸軍内部から彼に対する大きなメッセージでもある。しばらく前から、クーデターの噂でもちきりだった。しかし、将軍は退位するつもりはない。逆に彼を攻撃してくる者を、攻撃するだろう。

(中略)ブグティの死で、これまで意見の相違があった各政党はMMAと一緒に、カラチで抗議運動を行なった。野党は今、国会でアジズ首相に対して不信任投票をしようとしている時期でもある。反ムシャラフキャンペーンは、今後も盛んになってくる可能性がある。

《テロとの戦争、中断》

ブグティの死で、タリバンの裏庭であるバローチスタンで行動しているFBIは、打撃を受けるはずだ。ムシャラフはFBIの活動を直ちに中止させることが予測され、アメリカとの関係に亀裂が生じるだろう。ムシャラフは来月ブッシュ大統領と、「テロとの戦争」に関して話し合う予定である。

数ヵ月前にブッシュがパキスタンを訪問して以来、7人のアメリカ政府関係者がパキスタンを訪れてた。それぞれがパキスタンの「テロとの戦争」への関与の仕方に関して強いメッセージ送るとともに、ワシントンが軍政・民主主義政府を支持していることを表明している。

(中略)情報源によると、近々タリバンが南西部で「アフガニスタン・イスラーム首長国」を宣言することが予測されているという。ここから国家的規模の攻撃が開始される。

ワシントンにとって、これはアフガニスタンにおける完全なる失敗であり、パキスタンは強く非難されることになる。なぜならアメリカは、パキスタンからの情報にもとづいて行動してきたからだ。

例えば同盟軍は、タリバンの春の攻撃はコースト、パクティア、パクティカ、クナールから始まると見ていた。ワジリスタンの部族地帯に近いからだ。

事実はアフガニスタンの南西部、ザーブル、カンダハル、ウルズガン、ヘルマンドなどから開始された。つまり北西辺境州ではなく、バローチスタンがタリバンの裏庭なのだ。

ムシャラフはアメリカから強く非難されたために、自身の軍諜報機関を問題対処のために用い、ISIの役割を削減した。

しかし、彼の不名誉はここで終わらない。

今月FBI工作員たちがパキスタン高官と会い、法機関の強力を得て大掛かりな捜索を実施し、多数のタリバンが逮捕された。約300人が逮捕されたといわれ、その多くがアフガニスタンとの国境に近い、クエッタ周辺で摘発された。

パキスタンの諜報機関とアメリカとの間のやりとりの際、アメリカの高官たちはタリバンの攻撃を指揮しているとして、ある元パキスタン陸軍高官の名前を挙げたという。

ムシャラフは捜査を命じ、バローチスタンのMMAと関係する宗教指導者幹部数人が取り調べを受けた。これらの宗教指導者たちはカラチに行き、そのときにカラチのアメリカ領事館で幹部高官と会った。

パキスタンの諜報機関によると、この筋から漏れた情報がパキスタンに提供された可能性があり、バローチスタンで捜索を実施せざるをえなったという。

ムシャラフはワシントンで、何らかの釈明をしなければならない。ワシントンからの噂では、アメリカはムシャラフに対する「クーデター」を歓迎しているという。「テロとの戦争」にもっと協力する人間に取って代わることに期待している。

この反ムシャラフ感情は、国内でも大きくなっている。陸軍幹部から、そして彼の政党からも、ムシャラフの辞職を要求する声が大きくなっている。

ブグティの死で、少なくとも今のところ、この動きが活発になる。

hoonA death Pakistan can ill afford
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■アフガニスタンの町、自爆で17人死亡[060828 AP]

月曜日、自爆犯が混雑したマーケットで自爆し、17人が死亡、47人が負傷した。

へルマンド州南部にある州都ラシュカル・ガーでの爆発で、バザールの店舗が大きな被害を受け、遺体の一部が散乱した。

タリバン報道官が犯行声明を出したが、一般市民に犠牲者が出たことに関しては悲しみを表明した。

爆発物を持った犯人が、警察駐在所の反対側にある混雑したバザールに歩いて行き自爆したと、州知事報道官のグーラム・ムヘディンが述べた。少なくとも17人が死亡し、47人が負傷したという。(後略)

hoonSuicide bomber kills 17 in Afghan town
NOOR KHAN、KANDAHAR

■政府、テロ計画容疑者の引き渡しをパキスタンに要求[060828 AFP]

イギリス政府がパキスタンに、航空機爆発計画の容疑者、ラシッド・ラウフの引き渡しを要求したと、パキスタン外務省が述べた。

ラウフは今月初め以来パキスタンに拘束されており、パキスタンの治安関係者は、爆発計画の首謀者でアルカイダと関係がある、と主張している。

外務省報道官のタスニム・アスラムによると、ラウフはパキスタンとイギリスの過激派行動や過激派組織との関係について、取り調べを受けている。またイギリスに引き渡しを要求されているかどうか尋ねると、「引き渡しを要求されていることは確かだ。現在検討中だ」という。

アスラムによると、ラウフは8月4日にラワルピンディで逮捕されたという。

(中略)ラウフの父親のアブドゥル・ラウフも後にイスラマバード空港で逮捕されているが、いまだに拘束されてるか、容疑者としての疑いがかけられているかどうかは、わかっていない。アブドゥルは1960年代に、カシミールからイギリスのバーミンガムに移住したという。

パキスタン政府関係者はイギリスとアメリカの諜報情報にもとづいて、ラウフをバハワルプールで逮捕したと、以前述べていた。

ラウフは2002年にパキスタンに逃亡し、叔父が刺されて死亡した事件に関して指名手配になっているという。

hoonGov't asks Pakistan to extradite terror plot suspect
ISLAMABAD

■部族リーダー殺害で、パキスタンに暴動[060828 New York Times]

日曜日、軍との激しい戦闘で死亡した有名な部族民指導者の死のあと、バローチスタン州とカラチで暴動が発生した。

(中略)抗議者たちは戒厳令にもかかわらず、店舗や政府関係の建物を略奪し、バスなどに放火した。銃が発砲され、警察官を含む3人が死亡した。クエッタのすぐそばにあるカラートでは、政府登録局が爆発した。暴動は各地に広がり、警察は450人を逮捕した。

政府関係者はすぐに内閣会議を開催することを表明し、ムシャラフの報道官が、洞窟の瓦礫から遺体が回収されたら、すぐに近親者に引き渡すことを約束した。

報道官のタリーク・アジズは、兵士たちはブグティ氏が洞窟にいることを知らず、近づいた際に彼を認識することができなかったと述べた。

しかし野党やバローチナショナリストたちは、今後バローチスタン州におけるナショナリストの抵抗運動がいっそう激しくなるだろうと、警告した。

元州知事だったブグティ氏は、去年ムシャラフに対して武器を取り、地域で発掘される豊かな天然資源の分け前を求め、地元のパローチ族の権利を増やすように要求した。

政府は政府関係の建物に対する攻撃を彼の責任とし、彼や隣のマリリ族に対する攻撃は、激化していた。

高齢や健康を害しているにもかかわらず、ブグティ氏は過去7ヵ月間、部族民たちと一緒に彼の故郷、デーラ・ブグティで戦ってきた。

土曜日の朝、コールー地区のトゥラタニと呼ばれる場所で、彼が隠れていた洞窟に部隊が入り込み、7人の部族民とともに殺害されたと、アジズ報道官が述べた。ブグティと一緒にいて土曜日に殺害されたと報道されていた孫たちは、彼と一緒にいなかったようで、その行方はわからないと述べた。

隊を率いた軍幹部が洞窟の入り口で地雷を爆発させ、それが洞窟内の爆発を誘因して、すべてが崩れたという。

バローチ族のジャマリ前首相は、ブグティの死を悲劇と呼び、今後、州や国家は報復されるだろうと述べた。「指導者と軍は、終わりのない戦いを引き起こしてしまった」と、バローチ政治政党のリーダーのミール・ハシル・ハーン・バゼンジョが述べた。「我々は黙ってはいない」。(後略)

hoonTribal Leader's Killing Incites Riots in Pakistan
CARLOTTA、SLAMABAD

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2006.