【2006年10月2日〜10月8日】


■パキスタンはタリバンのリーダーを匿っているとイギリス[061008 SundayTimes]

アフガニスタンのNATO軍の総指揮を行なっているイギリス人将軍が、パキスタンがタリバンに協力していることに対して、ムシャラフ大統領と対決するいう。

証拠のひとつとして、パキスタンの町中にいるタリバンリーダーの住所がある。

デビッド・リチャーズ中将は明日イスラマバードを訪れ、アフガニスタンで英軍と戦うタリバン戦闘員を訓練していると疑われている諜報機関を取り締まるよう、ムシャラフを説得する。またパキスタンに住んでいるタリバン幹部たちを逮捕するよう、要求する。

アメリカ、NATOそしてアフガンが入手した諜報情報には、パキスタン国内にいるタリバン戦闘員と、自爆犯の訓練所の写真とビデオが含まれている。

逮捕されたタリバン戦闘員や自爆に失敗した容疑者たちは、自分たちがパキスタンのISIによって訓練されたことを認めている。また情報には、タリバンのリーダー、オマール師の住所も含まれている。

ムシャラフは「パキスタン国内のタリバン問題」を公的に認めていると、リチャーズは語った。「何か事が進展することは確かだ」と付け加えた。

「言いにくいことだが、パキスタン政府は全能ではないことを認めなければならない。しかしやらなければならず、我々は大変努力している。パキスタン政府の目的は明らかで、これを実行するであろうことを確認している」。

アフガニスタンの英軍司令官、エド・バトラー准将が、軍を運ぶためのヘリコプターの数を増やすよう、要求している。しかしアフガニスタンに送ることができる英軍の輸送ヘリコプターをどこから調達するか、探すことは困難である。

政治リーダーたちは、イスラーム原理主義が強く、核武装している国家を不安定にすることを恐れ、なかなかムシャラフに圧力をかけられない。

ISIの協力のために、イギリス航空機爆破計画を事前に防ぐことができたために、今週のインタピューは、非常にデリケートな時期に行なわれたと言える。しかしISIが介入していることを示すさまざまな証拠が出てきた時期と、タリバンの再来の時期が一致している。

「パキスタンのために、我々の兵士たちが死んでいくのを見るのがつらい」と、ある英軍関係者が語った。

米軍司令官も、「もうこれ以上無視できない。ムシャラフはどちらの味方なのか、証明するべきだ」と述べた。

(中略)2週間前にワシントンで、カルザイはパキスタンに、アフガンの情報員から入手したという、ベシャワルの近くにあるキャンプの近くの、自爆犯たちを統括している男たちの名前と住所を与えた。先週の水曜日、遺体が入ったゴミ袋が、キャンプで発見された。

hoonBritain says Pakistan is hiding Taliban chief
Christina Lamb、Kabul

■アフガニスタンでタリバン45人逮捕[061008 News]

土曜日に警察がバローチスタン州で、タリバン45人を逮捕したと述べた。

アフガンタリバン約30人が、クエッタのパシュトゥナバードで、15人がクチュラックで逮捕されたと、警察官のユーニス・ハーンが述べた。7月にクエッタで逮捕された数十人はアフガン当局に引き渡されたが、その後誰1人としてタリバン運動に参加していなかったことがわかり、全員釈放されている。

ある警察官によると、情報により警察がクチュラックのキリ・ルンディにあったホテルを手入れし、タリバンと関係があるとしてアフガン人を逮捕したという。またクエッタの逮捕に関しては、容疑者たちはかなり前からクエッタに住んでいたという。アフガン人たちは必要書類を所持していなかったために、逮捕された。

hoon45 suspected Afghan Taliban nabbed
QUETTA

■タリバン、外国軍にアフガニスタン撤退を要求[061008 News]

米軍のアフガニスタン侵攻5周年を迎えた土曜日に、タリバンがすべての外国軍に対して、戦闘を終わらせたければアフガニスタンから撤退するよう要求した。

タリバン報道官のアブドゥル・ハイ・ムトメインが、アフガニスタンの外にいる人間とは戦うつもりはない、と述べた。「外国人がアフガニスタンを攻撃したために、母国を守るために当然のことをしている。タリバンの抵抗運動は強くなったが、米軍とその同盟軍たちにとっては、死者が出るだけで、何の益にもなっていない」と、『Afghan Islamic Press』のインタビューで語った。

ムトメインはタリバン政権時代、カンダハルの情報部門責任者だった。(中略)ムトメインによると、アメリカはタリバンのイスラーム政権を嫌ったために、9.11が起きる3年前からアフガニスタンを攻撃することを計画していたという。9.11は、アフガニスタンに侵攻するためのきっかけとなたと述べた。

「タリバンはアメリカを攻撃しなかったが、彼らは繰り返しアルカイダのリーダーたちに、他の国家と戦うために、アフガニスタンを利用してはならないと述べていた。ビンラディンも9.11攻撃を計画したわけでも、資金を提供したわけでもなく、アメリカのムスリムに対する不条理な政策のために、支持しただけだ。アメリカを攻撃したパイロットたちは、アメリカで訓練を受けた」と、強調した。

さらにムタメインは、タリバンは北部同盟のリーダーのアーマッド・シャー・マスードを殺害していないと述べた。タリバンはマスードと戦っていたが、同時に交渉していたという。

またオマール師は、アフガニスタンで生きているとも述べた。ビンラディンについては、生きているかどうかは知らないという。「オマール師とアルカイダは、別々の組織だ。彼の居場所は、本当に知らない」と主張した。

また、パキスタンが再びタリバンを援助している事実はないと、述べた。パキスタンがアメリカに、アフガニスタンを攻撃するために自分の領土を与え、後方支援をしているという。「まったくばかげた考えだ。パキスタンはタリバンに対して、あらゆる妨害をしている」と述べた。

タリバンがアフガニスタン政府と話し合ったり、カルザイが率いる政府に参加することはないという。アメリカやNATO軍がアフガニスタンを去ったとき、初めてアフガン政府と話し合う。また米軍はNATO軍をアフガニスタンの最も危険な場所に追いやったと、非難した。

hoonTaliban ask foreign forces to quit Afghanistan
PESHAWAR

■大統領、三たび狙われる[061008 News]

治安機関が諜報機関本部の前のカシミール・ハイウェイに、0.7mmのロケット弾2発が仕掛けられているのを発見し、ムシャラフを狙った3度目の事件を事前に食い止めたという。カシミール・ハイウェイは、ムシャラフが大統領官邸に向かう際に使用する、3つのルートのうちの1つである。(中略)

《AFP追記》

これに先立ちパキスタン当局が、治安訓練として、ロケット弾2発を諜報機関本部のそばに仕掛けたと発表した。イスラマバード警察長官のチョードリー・イフティハールによると、訓練は成功し、25分で終わったという。

しかしその後治安機関関係者が、「ロケットはISI本部を狙っていた」と述べた。「我々はロケットを取り除いた。ロケットはロシア製で、木曜日に国会議事堂を狙っていたものよりも一回り小さかった」という。

関係者は、治安機関の訓練だったと発表した警察の報告を否定した。その後チョードリーは、治安部門間の行き違いで、混乱が生じたと述べた。

hoonPresident escapes 3rd attempt on life
ISLAMABAD

■アフガニスタンでジャーナリスト殺害される[061007 BBC]

ドイツ人ジャーナリスト2人が、アフガニスタン北部で何者かに射殺された。

ドイツ人男女2人が、バーミヤン州のバグラン地区を旅していた際に殺害されたという。ドキュメンタリーを撮るために、アフガニスタンを訪れていた。

殺害に関してはさまざまな情報があるが、土曜日早朝、テントの中か車で移動中に殺害されたらしい。

『ロイター』によると、バグラン治安警察長官のアジム・ハシーミ将軍の話として、「何者かが、彼らが乗った車を銃撃した」という。運転手については、わからない。

内務省報道官のゼマライ・バシャリーによると、2人のジャーナリストはバーミヤンに向かう際にキャンプをしていたところ、攻撃されたという。「何者かに、テントの中で殺害された」。「AK-47で射殺された」と述べた。

hoonJournalists killed in Afghanistan

■タリバン、アフガニスタン南部で復活[061007 AP]

(前略)現在アフガニスタンの戦闘は、イラクほどはひどくない。しかし専門家たちは、これらの変則的な戦闘に対して、欧米軍は効果的な戦略を持っていないと憂慮する。

(中略)再生したタリバンは、自爆や斬首、リモートコントロール爆弾などを、イラクの抵抗運動から学んだことを認めている。(中略)タリバン報道官だというカリ・ムハンマド・ユースフ・アフマディは、「我々はどの州、どの地区、どの村でも、強くなっている」と語る。「ヘリコプターもジェット戦闘機もない。しかしアメリカとその同盟者たちを、道路脇の爆弾や自爆攻撃、急襲などで悩ませている。イラクにいるムスリム兄弟たちも、同じ戦術を使っている」。

イラクとの類似は、まだある。タリバン広報が、攻撃のビデオをオンラインで発表している。かつては、カメラやコンピュータなどの近代テクノロジーを禁じたムスリム原理主義者たちにとっては、似つかわしくない方法だ。

アフガニスタンにおける欧米軍の戦略も、イラクと類似している。ワシントンは、イラクに抵抗運動が根付く前に十分隊を派遣しなかったと批判されているが、アフガニスタンでも同様だ。タリバンが敗北していた2002年と2003年に、米軍は十分活動しなかった。

さらにアフガンのオブザーバーたちは、米軍は、一般市民の犠牲者を出すような、イラクで行なった戦術と同様戦術をとったために、タリバンは新たなメンバーを増やしてしまったという。

しかしイラクの戦闘員たちと違い、タリバンは戦闘現場の外のパキスタン側に隠れ家を持ち、サボートも受けている。「隠れ家や外的サポートがなくなるまで、抵抗運動は終わらない」と、アフガニスタンの国連副責任者、クリストファー・アレキサンダーが語る。

米軍は、タリバン約6000人がアフガニスタンで戦い、多数の基地がパキスタン側にあると見ている。ユースフ・アーマディと名乗るあるタリバンによると、その数は数万人だという。

(中略)イラクの抵抗勢力たちがアフガニスタンで一緒に戦っているとか、タリバンに直接的な援助を与えているという証拠はない。しかしアラブ人、チェチェン人がタリバンに混じっている。

しかししこのような個人的な接触がなくても、タリバンはイラクの抵抗運動から、多くを学んだ。抵抗勢力の技術を説明する、ウェブ・サイトが多数ある。

(中略)それに合わせて、米軍とNATO軍戦術もイラクのものとは変わってきた。米軍戦闘機は、イラクの10倍の爆弾を投下する。また基地から離れ、村の民家で生活する米軍やNATO軍もいる。このようなことは、イラクではない。

しかしそれ以外はほとんど同じだ。隊は村を包囲して家宅捜索をする。道路脇に仕掛けられた爆発物を探し出すためのテクノロジーに、数億ドルを費やしている。(中略)

アフガン戦争では、その規模はまだまだ小さいし、犠牲者も少ない。しかしザーブルのような山岳地帯にいる兵士たちは、同じような恐怖を感じている。(中略)米軍とNATO軍がタリバン撃退に成功するかどうか、今すぐに結果を予測することはできない。「3〜6ヵ月で、大きな成果が出てくるだろう」と、NATO報道官のルーク・ニティングが語る。「しかし、アフガニスタン南部で戦闘員を敗北させるためには、2〜5年かかる」。

hoonTaliban revived in southern Afghanistan
JIM KRANE、KABUL

■タリバン、パキスタンを警告[061007 Asia Times]

米上院議員のビル・ファーストが、タリバンをアフガニスタン政府内に招く必要があると語った。同時に、パキスタンは独自に飴と鞭作戦を実施して、タリバンを思うように支配しようとしているという。

しかし今週タリバンからイスラマバードに、メッセージが送られた。飴と鞭はイスラマバード側ではなく、自分たちが用いるのだということを表明したのだ。

(中略)まず厳戒態勢が敷かれているラワルピンディのアユーブ・パークに、ミサイルが撃ち込まれた。Army Houseがあるムシャラフの自宅のすぐそばだ。翌日、イスラマバードの国会議事堂のそばに、携帯電話がつながれたロケット弾数発が発見された。

これらの事件は、ワジリスタンがムシャラフに不満であることを表明したものであるという事実を、『Asia Times』はつかんだ。ムシャラフは、和平協定締結の際に約束したアルカイダ容疑者の釈放をいまだに実行していないからだ。

パキスタンの都市部で逮捕された、アルカイダと関係のあるパキスタン人過激派の釈放が、問題となっている。パキスタン当局は逮捕者多数を釈放したが、アメリカの諜報機関にも知られている数人は、いまだに釈放されていない。ムシャラフは、ワシントンから帰国したら釈放すると約束していた。その釈放に関する交渉が続いていた最中、パキスタンのタリバンを怒らせるような出来事が起きた。

MMAのシャー・アブドゥル・アジーズは、北西辺境州のカラーク出身の上院議員である。彼の属する政党は、モーラナ・サミエル・ハク(タリバンの父)が率いるイスラーム神学者協会と深い関係があるが、彼はもともとソ連がアフガニスタンを占領していた頃の、ベテラン・ムジャヒディンである。彼はタリバンやアラブ人戦闘員、ビンラディン支持を明言し、彼の激しいスピーチが収められたCDは、パキスタン人タリバンの間で人気が高い。

シャー・メヘブーブ・アーマッドは、シャー・アブドゥル・アジーズの弟であり、ムジャヒディンを助けていることで、地元の人間やアフガンタリバンの尊敬を受けている。

話は、メヘブーブがイギリス生まれのパキスタン人の男、アブドゥッラーを家に招いたことに始まる。アブドゥッラーは指名手配になっていた。その後アブドゥッラーはイスラマバードに行き、ラール・モスクのガジ・アブドゥル・ラシードに会った。タリバンを支持する、最強の宗教指導者である。アブドゥッラーがモスクを出た所で、治安機関に逮捕された。取り調べによってメヘブードにもてなされたことが明らかになったために、彼も逮捕された。

国会議員であるシャー・アブドゥル・アジーズはISIに、弟の逮捕について問い合わせたところ、取り調べが終わったらすぐに釈放されると言われた。しかし、彼もアブドゥッラーも釈放されていない。

このために、パキスタン人タリバンと当局の間が緊張した。タリバンは、イスラマバードは逮捕したすべてのタリバンとアルカイダを釈放しないばかりか、メヘブーブやアブドゥッラーのような人間まで逮捕して、協定に反しているととらえている。

イスラマバードによると、2人はアルカイダやタリバンとの関係のためではなく、インド諜報機関の工作員だったために逮捕したという。パキスタンのタリバンはこの説明を受け入れず、当局は協定に反したために、タリバンの報復に備えるべきであることを明らかにした。

この時点でアメリカにいたムシャラフがインタビューに応じ、退役したISI関係者の中に、タリバン抵抗運動に協力している者がいる可能性があると述べた。「我々は監視しており、そのようなことが起きた場合、逮捕する。1979年から1989年の間にISIの前線にいた者たちが、あちこちでタリバン関係者に協力しているという情報がある」と付け加えた。

この発言により、イスラーム主義を掲げる最も有名な将軍で、ムシャラフの直接の上司だった、ハミッド・グルが逮捕されるのではないかという憶測が広まった。グルは『Asia Times』に、ムシャラフの発言を「感情的」と述べ、「パンドラの箱」を開けてしまう可能性があると警告した。

これらのことを総合すると、ムシャラフに警告が与えられたことが明らかだ。今週の2件の事件で、被害はなかった。おそらく被害を与えるつもりはなかったのだろう。次はどうだかわからない。

smellTaliban put Pakistan on notice
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■アフガニスタンの攻撃でNATO軍兵士死亡[061007 AFP]

戦闘員がアフガニスタン南部でパトロール中のNATO軍を襲撃し、兵士1人を殺害した。またアフガン警察が、以前知事だったこともあるタリバン司令官を射殺した。

イギリスのブレア首相が、アフガニスタンの戦闘は「非常に困難」であることを認め、政府は戦闘員たちと戦うためにもっと対処するべきだと述べた。

土曜日の早朝カンダハルで、NATOの国際平和維持軍が爆弾で攻撃されたあと、銃撃されたという。「兵士1人が負傷し、その後死亡した。車輛1台が破壊された」と、国際平和維持軍報道官が述べた。死亡した兵士の国籍は明らかにされていない。カナダ兵がカンダハルに駐屯し、パンジャワイ地区をパトロールしている。(中略)

いっぽうアフガン警察が、タリバン時代にバーミヤン州知事だった戦闘員司令官を殺害した。木曜日にガズニ州で、ムラー・イブラヒム・サバウーンと別の戦闘員が、警察に投降することを拒否したために殺害された。

2人はバイクに乗ってギラン地区を走っていた。「彼らについての情報があった」と、ギラン警察長官のミール・アーマッドが語った。「警察を現場に派遣して投降を呼びかけたが、拒否して発砲してきた。2人は銃撃戦で死亡した」。(後略)

hoonNATO soldier killed in Afghanistan attack
KABUL

■カルザイ、タリバン排除のためにジルガ開催[061006 BBC]

アフガニスタンのカルザイ大統領が、タリバンの武力行為を止めさせるために、パキスタンとアフガニスタンのパシュトゥン族のジルガを開催するという。

アフガニスタンとパキスタンは、タリバンとの戦い方について意見が一致していない。カルザイは、今年の暮れまでにムシャラフ大統領を交えて、ジルガに出席したいと語る。アフガン政府関係者たちは、このような会合は、パキスタンによって「操作」される可能性があると憂慮する。「アフガンの文民社会で話し合うことを考えている。アフガンの長老、部族長、宗教者、精神的指導者、そして知識人たち。パキスタンからも、同じような人間が出席することを期待している」と、カルザイ大統領が述べた。「アフガン側からパキスタン側までの人間が、集まる場にしたい」。

カルザイは、ジルガにより、国境の両側のパシュトゥン文民社会を復活させ、この地域で拡大しているタリバン化と戦いたいと述べる。「パキスタンの伝統的な世俗パシュトゥンリーダーたちは、組織的にまた暴力的に弱体化させられてしまった」。「北ワジリスタンで150人のパシュトゥンリーダーが殺害されたことを見れば、明らかだ。我々が文民社会を支持することで、はじめてこれを阻止できる」。

《国境の問題》

アフガン大統領は、パキスタンがジルガに関して率直な態度を取れば、2国間に平和がもたらされるだろうと述べる。「ジルガとは、代表という意味だ。代表でない者は参加できない。アフガニスタンでは、ジルガで不正は許されない。パキスタン側でも、同じように公明正大だと思う」。

パキスタンは、アフガニスタンにデュランド・ラインを承認させたい。アフガン人たちは、植民地時代にイギリスが引いた国境により、アフガニスタンのパシュトゥン領土がパキスタン側に入ってしまったと主張する。これまでタリバン政権を含むアフガニスタン政府は、デュランド・ラインを認めていない。

カルザイは、国連を交えて、両国のジルガの出席者を決めたいという。ジルガの計画は、ブッシュ大統領主催のムシャラフ大統領を交えた晩餐会の際に思いついたという。ムシャラフは当初、このような提案を受け入れることを躊躇したようだ。

しかしブッシュ大統領がこれを良い考えだと表明し、米政府もこれを支持すると発言したために、ムシャラフもためらいがちにではあるが、合意した。カルザイは国際社会を巻き込み、ジルガを監視させたいと考えている。

《複雑な感情》

欧米国家もこの考えを支持しているようだが、2国家間の「込み入った部族会議」に巻き込まれることを、躊躇している。というのは、両国とも欧米のテロとの戦争の同盟国ではあるが、互いに対立しているからだ。

しかしパシュトゥンやアフガニスタンの非パシュトゥン人たちは、ジルガ計画について懐疑的だ。パキスタンが「裏口からタリバンの考えを」こっそり広める危険性があるという。インタビューした国会議員たちのなかには、話し合いは「イスラマバードが、自分たちの目的のために操作するはずだ」と語った。「もしパキスタン側のジルガの代表が、カルザイやアメリカに対してジハードを宣言したらどうなるのか」?

ユーニス・カヌーニ国会議員は、「両国家の政府使節団がもっと頻繁に会うほうが、ジルガよりも効果的」と語る。

カルザイはインタビューで、タリバンの攻撃が続いていることは、悲痛なことだと語った。タリバンと関係する暴力沙汰で、今年になって4000人も死亡している。

《外部の援助》

NATOとアフガニスタン政府関係者は、タリバン戦闘員たちはパキスタンによって援助されていると語る。パキスタンはこれを否定する。

2週間にわたってカンダハルで実施された『メデゥーサ作戦』のあとに発表された、NATOとアフガン軍が発表した諜報報告によると、タリバン1100人が死亡したことで、パキスタンがタリバンを援助していることが明白になったという。報告によると、タリバンは戦闘が始まる前、カンダハルのパンジャワイ地区で弾薬100万発を集めたという。戦闘の際にロケット推進手榴弾を2000発、迫撃砲を1000発発射した。

戦闘前に集めたタリバンの武器ストックだけでも、500万ドル相当である。外部からの援助がない限り、不可能だとNATO軍とアフガン軍関係者は語る。

カルザイは、ジルガにより両国政府の関係が改善されることを望んでおり、さらに両側のパシュトゥンの関係を改善して、タリバンを孤立させたい。

「世界のどんな民族グループも国家も、気質的に原理主義であるはずがない」とカルザイは語る。「過激主義は、人々を苦しませる。だから政府はこれを利用してはならない。アフガニスタンの安定と平和は、パキスタンのためでもある」。

hoonKarzai for jirga to crush Taleban
Ahmed Rashid、Kabul

■タリバン、イスラームインティファーダを計画[061006 Asia Times]

(前略)外国軍とタリバンは来春まで攻撃を控えるが、タリバンは自爆攻撃や、ヒット・エンド・ラン攻撃は続けるだろう。タリバンは国境地帯に隠れ、じっくり次の戦いについての計画を立てる。アフガニスタンから外国軍を追い払うために、「アフガニスタン・イスラーム・インティファーダ」を元ムジャヒディンたちに呼びかけるだろう。

インティファーダの提唱者は、ビンラディンの腹心のザワヒリだ。彼の最も重要な協力者が、ムラー・メヘムード・アラー・ハク・ヤールである。

ザワヒリとハク・ヤールは流暢な英語、アラビア語、ウルドゥー、パシュトゥを話す。ハク・ヤールは米軍がアフガニスタンに侵攻する前、オマール師によりイラク北部に送り込まれ、2004年に帰国。オマール師が組織した司令官たちからなる特別委員会に招集された、パキスタンにいた外国人戦闘員や重要人物を、アフガニスタンに導く役目を与えられた。

彼は都市部におけるゲリラ戦の専門家で、これをアフガニスタンのタリバンに指導した。彼の任務は、簡単ではない。アフガニスタン全土の地元軍閥を束ね、国際的サポートを得る必要がある。

アフガニスタンでインティファーダを起こす第一のステップは、パキスタンの部族地帯に、北ワジリスタンイスラーム国家をつくることだった。これによりタリバンのさまざまなグループを1つの指令系統の下に集め、タリバンの春の攻撃はここを拠点に実施された。

同様にアフガニスタン北部の軍閥多数とも取り引きを行ない、来年、インティファーダを成功させようとしている。この展開は、すべてハク・ヤールの役目となている。

最近ハク・ヤールは、ヘルマンドであわや英軍につかまりそうになった。これに先立ちに彼は『Asia Times』のインタビューに、ある場所で答えている。

Asia Times:タリバンはいつアフガニスタンイスラーム首長国の復活を宣言するのだろうか。

ハク・ヤール:イスラーム世界全体が、アフガニスタンイスラーム首長国を待ち望んでいるが、まだもう少しかかる。しかし実現することは確かだ。タリバンはこのために戦っている。

Asia Times:アフガニスタンにおけるタリバンの抵抗運動は、どのようなレベルにあるのだろうか。

ハク・ヤール:すでに最初の段階は終わり、戦術的、決定的段階に入った。アメリカと同盟軍の驚きを見てもわかる。NATO軍は毎日のように攻撃され、自爆攻撃も頻繁に起きている。

Asia Times:アフガニスタン南部でタリバンは活発に動いていた。しかし伝統的に見ると、東部の成功が重要だ。特に戦略的にはジャララバードが大事だ。これはいつ予定されているのだろうか。

ハク・ヤール:タリバン運動が、アフガニスタン南部に限定されているとは思わない。現在我々は、大小さまざまなムジャヒディンと結託している。こうしてアフガニスタン全土の外国軍と、戦ったいる。最近ではハッカーニ師はジャララドードを含む東部にいて、同盟軍を攻撃している。東部もタリバンの拠点の一部だ。

Asia Times:ビンラディンとザワヒリの役目は?

ハク・ヤール:我々全員が協力し合っている。ムジャヒディンが悪魔の軍隊と戦っている場所では、アラブ人ムジャヒディン、アルカイダ、ビンラディンやザワヒリが、それぞれ重要な役目を果たしている。アフガニスタンでは、タリバン運動を支持している。

Asia Times:現在のタリバン抵抗運動は、アメリカと地元のその同盟者たちに対するものなのか、それとも国際的なものなのか。つまりアフガニスタンから発する、国際的な抵抗運動なのか。

ハク・ヤール:当初は地元の運動だった。しかし今はイラクなどの抵抗運動とつながっている。ムスリム世界の抵抗運動すべてと、協力体制にある。

Asia Times:ヘクマチアルのヒズビ・イスラミ・アフガニスタンやハリスのヒズビ・イスラミ・アフガニスタンとの関係は?

ハク・ヤール:ヘクマチアルのヒズビ・イスラミとは、戦略上も補給においても協力し合っている。現在ハリスのリーダーシッブは、彼の息子がとっている。彼はハッカーニ師と協力している。

Asia Times:タリバンの兵器は?

ハク・ヤール:タリバンはゲリラ戦に必要な、すべての兵器を持っている。どこから来るか? アフガニスタンには武器がストックされていることで、有名だ。数十年前に武器を供給してくれた軍が、この武器で攻撃されている。

Asia Times:タリバンは、北アフガニスタンの司令官とも接触した。その結果は?

ハク・ヤール: 1年半前に、これらの司令官たちと接触した。北部のさまざまなグループが、我々と接触してきた。オマール師とこの問題を話し合った結果、私が北部同盟と話し合うことになった。最初の会合はアフガニスタン北部で開催され、私がタリバン代表として出席した。北部同盟のさまざまな人間が出席したが、全員、外国軍がアフガニスタンに留まっていることを非難した。そしてタリバンがリードすれば、自分たちもそれに従うと述べた。このあともう一度話し合いがあった。さまざまな人間が、さまざまな条件を出してきたので、結論が出なかった。その後は全体会議はないが、個人的には話し合いが行なわれている。

Asia Times:部族長たちの役割は?

ハク・ヤール:部族長たちは常にタリバンたちを支持し、今でもそうだ。あたりまえだろう。アメリカが数千人の一般市民を爆撃しても、操り人形政府は何も言わない。アフガン人たちは全員アメリカの暴君に辟易し、嫌気がさしている。だから、みんなタリバンに協力している。実際我々は、支持を得るために努力してきた。オマール師の支持のもとで、去年私は部族長たちに会い、この春の戦いの準備をした。部族長たちは全員協力を約束した。だれでもわかることだ。

Asia Times:今タリバンは、麻薬密輸の金で潤っていると言われるが。違うとしたら、どうやって資金を得ているのか。

ハク・ヤール:アフガニスタンから芥子を一掃したタリバンが、麻薬密輸に頼っているとは屈辱的だ。これは誤りである。金に関して言えば、我々は金を必要としていない。必要なものは、我々の限られた資金でまかなうことができる。

Asia Times:メディアの役割については満足しているか。

ハク・ヤール:全く満足していない。我々側のいい分を報道しない。真のタリバンと話そうとはせずに、タリバンのリーダーシップに却下された者たちを追っている。

hoonTaliban lay plans for Islamic intifada
Syed Saleem Shahzad、THE PASHTUN HEARTLAND

■NATO軍、アフガニスタン全土を引き継ぐ[061004 BBC]

NATO軍は東部を管轄していた米軍を引き継ぎ、アフガニスタン全土に軍を派遣する予定である。

(中略)NATO軍下の兵士の数は3万3000人にのぼり、これに東部にいた米軍1万〜1万2000人が加わる。

NATO関係者によると、今回の動きは象徴的なものになるという。「NATO軍の歴史において、最も重要な任務となる」と、NATO軍報道官のマーク・ライティが述べた。「しかし実際には、南に進出したときほどは、大きなインパクトはない」。「東は南ほど大変ではない可能性があるが、本格的な戦闘任務になる」。アフガニスタン全土に兵を派遣することで治安を確保し、再建計画が実現できるようになることを期待したいという。

木曜日にNATO軍が米軍を引き継ぐことで、クナール、ヌーリスタン、ラグマン、ナンガハル、パクティア、コーストをコントロールすることになる。ビンラディンの捜索は、引き続き米軍が実施する。

hoonNato to complete Afghan takeover

■アフガニスタン、自爆予備軍17人を逮捕[061004 AP]

治安部隊が木曜日、アフガニスタンで自爆攻撃を実施しようとしていた、パキスタンで訓練を受けた男たち17人を逮捕したと発表した。

17人はナンガハル、クンドゥーズ、カブールで逮捕され、当局にパキスタンで訓練を受けたと言っていると、アフガニスタン諜報機関報道官のサイード・アンサリが述べた。いつ逮捕されたかは、明らかではない。

アンサリによると、パキスタンが戦闘員たちに、アフガニスタンの女の子たちは非イスラーム的な服装をし、イスラームと無関係の科目を学校で学んでいるために、自爆攻撃を実行することを奨励しているという。

自爆予備軍たちは、ペシャワル近郊のシャムシャトゥーアフガン難民キャンプと北ワジリスタンのダータ・ヘールで訓練を受けたと述べた。(中略)

逮捕された17人に関する情報は、ほとんどない。1人はアフガン人と発表されたが、残りの者たちの国籍は不明である。

(中略)パキスタン軍報道官は、パキスタンには逮捕された17人についての情報はないと述べ、アフガニスタン政府に、情報の引き渡しを要求した。「そのような証拠があるのなら、公的に、早急に我々に与えてほしい。そうすればそれなりの対処をする」とショーカット・スルタン中将が述べた。「メディアにこのような情報を提供することは、非常にばかげた行為で、非合理だ」。(後略)

hoonAfghanistan arrests 17 would-be bombers
RAHIM FAIEZ、KABUL

■タリバン、ムサ・カーラから撤退するよう英軍に警告[061004 News]

タリバンがヘルマンド州のムサ・カーラに配属されている英軍に、長老たちとの約束に従って3日後に撤退しなければ、再び攻撃を開始すると警告した。

「英軍はムラ・カーラの基地から撤退していない。金曜日までに撤退しなければ、タリバンの攻撃を開始する」と、タリバン報道官のカリ・ムハンマド・ユーサフが語った。

メディアが報じている英軍司令官の主張に対して、ムサ・カーラから撤退して英軍との戦いを中止することを、タリバンは地元民とは約束していないと反論した。英軍はタリバンと住民の関係に亀裂を生じさせようとしているが、ムサ・カーラの住民は自分たちの味方だと述べた。

タリバンの主張は、ムサ・カーラのシューラで合意され、イギリスのメディアが発表した取り引きと、内容が異なる。この取り引きによると、英軍とタリバンは戦闘を終結させて両方ともこの地域から撤退し、家族が自宅に帰れるようにするというものである。

カリ・ユーサフによると、タリバンはムサ・カーラの長老たちの要求を受け入れ、英軍が地区本部に設置した基地から撤退するために、6日間停戦することに同意したという。「約束どおり、タリバンは3日前に戦いを中止した。あと3日待つ。英軍がそれでも撤退しなければ、戦闘を再開する」。

カリ・ユーサフによると、英軍とNATO軍はヘルマンドのムサ・カーラ、ノウザード、カジャキ、サンギンにある砲兵陣地に補給することができずにいるために、撤退する方策を模索しているという。基地に近づこうとするすべての車列がタリバンに襲撃されるか、仕掛け爆弾(IED)で爆破されるために、空からしか近づくことができない。「英軍はこれまで、ヘルマンドや部族民長老を通して、5〜6回タリバンと和平協定を結ぼうとしてきた。タリバンはこのような申し出は、受け入れない」。

報道官によると、NATO軍は平和維持軍で、アフガニスタンを再建しようとしているだけだと主張しているが、「タリバンは、NATO軍はアフガニスタンを占拠した米軍に取って代わった軍隊と考えている。NATO軍は米軍と同じだ。したがってヘルマンドをはじめ、他の地域でもNATO軍に対する抵抗運動を続ける」。

hoonTaliban warn UK troops to vacate Musa Qala dist By Rahimullah Yusufzai、PESHAWAR

■カナダ兵2人、アフガニスタンの戦闘で死亡[061003 AFP]

アフガニスタン南部でカナダ兵2人がが死亡したと、カナダ軍が発表した。

アフガニスタンのNATO主導国際平和維持軍ISAFが、アフガニスタン南部をパトロール中に迫撃砲や銃で攻撃され、兵士1人が死亡し、もう1人も死亡した可能性があると発表した。ISAFは死亡した兵士の国籍を発表していない。

カンダハルで発生したこの攻撃で、兵士8人が負傷した。

パンジャワイ地区で活動していた兵士たちが迫撃砲やロケット推進手榴弾、小火器で攻撃され、カナダ兵2人が死亡、多数のISAF軍兵士が負傷したと、カナダ軍報道官リャン・ホルベインが述べた。兵士たちが道路建設のために地雷を撤去していたところを、襲撃されたという。

「カナダ兵を含むISAF軍兵士多数が、この攻撃で負傷した」という。『Canadian Broadcasting Corporation network』によると、負傷者のうち5人がカナダ兵だった。

hoonTwo Canadian soldiers killed in Afghanistan
OTTAWA

■米兵2人とアフガン兵1人、タリバンとの戦いで死亡[061003 AFP]

アフガニスタン東部で発生したタリバンとの戦いで、米兵2人とアフガン兵1人が死亡、米兵3人が負傷した。

同盟軍とアフガン軍が月曜日にクナール州をパトロールしていたところ、「敵と遭遇した」と、同盟軍が火曜日に発表した。「隊は小火器と砲撃を用いて、敵と戦った」。(後略)

hoonTwo US troops, one Afghan soldier killed in battle with Taliban
KABUL

■アフガンの戦争、平和のための難しい戦い[061003 New York Times]

NATO軍は9月、アフガニスタン南部で大勝利をおさめた。しかし直後に、新たな、そしてもっと難しい戦いが始まった。地元の人々からのサポートを得るための戦いだ。

家に帰ってきた村人たちは、破壊された村を誰のせいにするか、NATO軍かタリバンか、論議し始めた。「家は爆撃され、ブドウの貯蓄が台無しになった」と、パシュムル北部の農民ハッジ・ビラール・ジャンが訴えた。「同盟軍は残酷だ。我々の家にはタリバンはいなかった。なのに、なぜ家を爆撃する」?

この話を聞いていた別の男、ニアマットゥッラーが言い返した。「なぜあんたはタリバンを村に迎えたんだ。あんたが自分の村に、彼らを連れて来たんじゃないか」。

(中略)地元の村人を援助するために、軍司令官やカンダハル州知事は、50万ドルの人道援助を提供し、戦争で受けた被害を補償することを約束した。「もし人々が我々に協力するようになれば、タリバンは何もできない」と、アフガン軍司令官のマジッド・ハーン大尉が語る。

村人のほとんどが、アルハンダブ川の豊かな土壌で、ブドウやザクロを育て生活している。タリバンには反対してきたが、ここ数ヵ月、武装した男たちが村に入ってくることを阻止できなかったという。

しかし彼らのなかには、タリバンを匿い、中には一緒に戦った者もいる。この地域のタリバングループのリーダー、アブドゥル・カリークはパシュムル出身で、村の内外出身の戦闘員を配下に置いている。

「ほとんどの人間が政府の味方だ。ごく少数が、タリバンから恩恵を受けている」と、ニアマットゥッラーが語る。「彼はタリバンについて、何でも知っている」と、ジャンを指して言った。「爆撃は良かった。うれしいよ。タリバンはやっつけなければ」。

タリバンたちは6月に、カンダハル西部のパンジャワイとザーレ地区に入ってきた。(中略)「タリバンであふれていた」と、農民のファイズッラーが言う。「彼らは2日は同じ場所に留まらなかった。人々に立ち去るよう、警告した」。

7月と8月、集結したタリバンが地域をコントロールし始めてカンダハルを脅かしていたと、カンダハル空軍基地でフレーザー将軍がインタビューに答えた。「この地域に資源や知的資本を蓄え、心理的にも圧力もかけ始めた。これまでの戦いとは、まったく違った」。

タリバンリーダーの1人で元州知事だった、ハッジ・ムラー・アブドゥル・ラウフが、8月末にパンジャワイ地区で行なわれた『アルジャジーラテレビ』とのインタビューで米軍をあざ笑った。「アメリカの力はどこに行ったのか」と彼は言った。「なぜ洞窟にいたタリバンやムジャヒディンを、捕まえることができなかったのか?」。「アフガン人が我々を助けているのだ」。「食料を与えてくれ、協力してくれ、政府に対抗してくれる。今の政府は気に入らないのだ」。

しかしニアマットゥッラーは、出会ったタリバンに尋ねたという。「どうしてここに来たのか。女性が爆撃されることを望んでいるのか」。「タリバンの答えはいつも、『この村に行くように、命令された』だった」。

村人によると、タリバンの大半はアフガン人だが、隣の州や地区を始め、パキスタンからもやってくるという。タリバンは無線や衛星電話、武器を持っていた。

タリバンは川の両側、スベルワン、パシュムル、シア・ジュイに戦闘員たちを集めた。NATOは兵士を南、北、東に配置し、挟撃作戦を取った。

逃走ルートを遮断するために、西部と南部に兵士多数を配置した。カナダ軍は南からパシュムルに入ろうとして地雷を踏み、大きな被害を受けた。さらに米軍爆撃機の誤爆もあった。

アフガニスタン南部を担当する米軍司令官のステファン・ウィリアムズが4日後に合流し、カナダ軍、米軍、アフガン軍を集め、パシュムルを9月12日に攻撃する準備を開始した。

6日間にわたって大音量でロックを流してタリバンを疲弊させたあと、戦闘員が目撃されるたびに砲撃や空爆を行なった。タリバンの防御に、弱点を発見した。

装甲車の音を隠すために、お気に入りのAC/DCの 『Back in Black』をかけながら、ウィリアブム大佐は北東部のトウモロコシ畑からタリバンの不意をついた。激しい戦闘が1日半続いた。タリバンたちは深い灌漑用水路が流れ、ブドウを干すための背の高い土塀でできた納屋が立ち並ぶブドウ畑に隠れていた。「まるでノルマンディの侵攻戦術だった」とウィリアムズ大佐は語った。

「金属の屋根と換気のために金属パイプが張り巡らされた、掩蔽を多数発見した」。「塹壕として用水路を用い、また掩蔽に戻る」。

米軍の援助金で建てられた村の学校は、空爆や砲撃で破壊された。「タリバンがこれを武器庫と司令塔として使用していた」。「なぜか我々が爆撃するたびに、ここに戻ってきた」。

土でできた建物の中に、急ごしらえの野戦病院を発見した。「血で汚れた布や包帯、点滴の袋や針があった」という。

タリバンたちは、NATO軍の動きを遅らせる役目を負った少人数を後に残し、集団になって撤退した。10日間の戦いで、自分の隊だけで150〜200人を殺害したという。NATO軍兵士は4人が負傷しただけだが、タリバン司令官7〜8人を殺害した。

戦闘の前、村人たちはNATO軍とタリバンに立ち去るように言われていたが、殺害されたり負傷した者もいる。国連関係者によると、一般市民40人が死亡したという。カルザイが任命した調査委員会によると、53人が死亡し、75万ドル分の被害を被った。

パンジャワイとザーレ地区の病院では、9月3日から18日の間に、負傷者24人を収容した。(中略)

多くの被害を受けたにもかかわらず、病院の患者やパシュムルの村人たちの間には、タリバンに共感する者はほとんどない。誰のせいでこれだけの被害を受けたかと村人に訪ねると、「タリバンだ」と答えた。「彼らが来る前には爆撃はなかった」。

hoonAfter Afghan Battle, a Harder Fight for Peace
CARLOTTA GALL、PASHMUL

■NATO、アフガン部族民と和平協定をさらに締結か[061003 News]

月曜日にイギリスのNATO軍が、ヘルマンド州の部族民長老たちと締結した和平協定によってタリバンの攻撃が激減したために、今後、他の地域でも同じような協定を結ぶことを考えていると述べた。

約2週間前、ヘルマンド州のムサ・カーラ地区で和平協定が締結され、数ヵ月間続いた激しい戦闘が一段落した。協定のもとで、イギリス軍は攻撃を中止し、それと引き換えに長老たちはタリバンに攻撃を止めさせたと、NATO軍報道官が月曜日に述べた。「我々が攻撃されないなら、作戦を実施する理由はない」と、NATO報道官のマーク・レイティが『AFP』に述べた。タリバンは話し合いに参加しておらず、この取り引きによって国際平和維持軍は撤退することはないという。

長老たちは、激しい戦闘により自分たちの「町や生活が破壊されたことに打ちのめされ、タリバンに攻撃を中止させ、出て行ってもらいたいと私たちに言った」という。「長老たちと話し合った結果、彼らは状況解決に向けて努力することに合意した。ムサ・カーラの状況は改善され、日常が戻りつつある。商店も商売を開始した。だが、ISAFと政府はまだ町をコントロールしている。タリバンがムサ・カーラを拠点にすることは許さない」。レイティは、他の地域でも同じような取り引きをする可能性があると、付け加えた。

《ラヒムッラー・ユースフザイ追記》

タリバンはヘルマンド州の英軍と停戦の取り引きをしていないと明言したが、1週間攻撃を止めてほしいという長老たちの申し出を受け入れたという。

タリバン報道官のカリ・ムハンマド・ユーサフが『News』に語ったところによると、方針として、米軍やNATO軍とは停戦協定を結ばないという。「我々の方針は明確だ。つまりすべての外国人兵士は、我々の母国から立ち去らなければならない」と、主張した。

報道官によると、ムサ・カーラの住民からタリバン司令官たちに、この地域にある軍事基地の包囲を解除し、英軍たちが撤退できるようにしてほしいという申し出を受けたという。「地元の人間がNATO軍の戦闘機で爆撃されて被害を受けていたために、この申し出を受け入れた。英軍との停戦協定はない」と主張した。

カリ・ユーサフによると、タリバンはラマザンが始まるまでの約1週間、攻撃を中止したという。英軍は基地から撤退し、アフガン軍がいる別の基地に移動したと主張した。

smellNato hints at more peace accords with Afghan tribals
KABUL

■NATOとアフガン軍、グリスタン地区を奪回[061003 News]

NATOとアフガン軍が、2週間前にタリバンによって占拠されたファラー州のグリスタン地区を奪回した。

ファラー州警察長官のサイード・アガ・サキーブが、グリスタンの地区本部を奪回したと述べた。タリバンの抵抗はなく、人々は温かくNATOとアフガン軍を迎え、業務が再開されたという。

タリバンは9月14日にグリスタンを占拠したあと、地区警察長官が自分たちに協力していると主張していた。

アガ・サキーブ将軍によると、近くの谷で同盟軍が、タリバンの捜索活動を開始する予定だという。グリスタン地区を奪回するために、NATO軍は空軍を用いたという報告もある。しかし、爆撃があった様子はない。

hoonNato, Afghan forces recapture Gulistan district
PESHAWAR

■パキスタン、アフガニスタンの内部に入る[061003 Asia Times]

(前略)カリ・ムハンマド・ユースフは、タリバン報道官だと言われる。彼はチャマンとクエッタ周辺に出没し、タリバンの見解を提供するために、メディアと頻繁に会っている。地元の携帯電話を持ち、タリバンに関する出来事を電話で報告する。

しかし、オマール師に忠誠を誓うタリバン司令官や関係者たちは、カリ・ユースフとは距離を置いている。

「なぜユースフの電話は逆探知されない? なぜ逮捕されない? 私が国境を越えてクエッタに行けば、すぐに逮捕されてしまう」と、ヘルマンド州で活躍する有名な司令官のラザ・バチャが語る。

スピンボルダックにいるタリバン司令官、オバイドゥッラー師の話も、カリ・ユースフと同様、奇妙だ。オバイドゥッラーは、パキスタンにあるアフガン難民キャンプの若者たちからなる、比較的小さな指令系統を持っている。彼らは約1ヵ月間作戦に参加すれば、1万ルピーが支払われる。しかし、カリ・ユースフと同様、タリバンはオバイドゥッラー師とは距離を置いている。

タリバンのリーダーたちは、アフガニスタン中のこのような「独立」した司令官たちの下で広がる新たな組織を警戒し、早急に組織を再組織化しようとしている。タリバンのリーダーたちは、パキスタン当局が再び政策を画策していると見ている。

「彼らは、タリバンのリーダーからは指示を受けない。パキスタン当局から、指示と金を得ている」と、タリバン司令官のラザ・バチャが述べた。

リザ・バチャのような人物は、アフガニスタンのパシュトゥン地域に、イスラマバードが影響力を拡大しようとしていると見ている。しかも、今回はタリバンを利用するのではなく、100%パキスタンの言いなりになる、新たな力を用いてこれを実現しようとしている。

(中略)2001年にタリバンがカブールから撤退したあと、ISIは無害な聖職者数人をペシャワルに招いた。彼らはタリバン本体の人間ではなかった。

(中略)ISIは、彼らをジャミアット・フーダムル・クルアーンという組織に仕立て上げ、彼らは全員ビンラディンを匿い、ジハード訓練所を運営しているオマール師を否定した。彼らは北西辺境州のパラチナールで訓練を受け、そこからアフガニスタンに入って外国軍と戦った。彼らは完全なISIの駒であり、タリバンではない。しかし結局、彼らは組織から離れ、タリバンの本当のメンバーとなってしまった。

同様にジャイシュウル・ムスリムという組織が、アメリカのCIAとISIによって作られ、オマール師に対抗しようとした。ジャイシュウル・ムスリムは、アフガニスタンで組織化した。しかし多額の金と訓練を受けたこの者たちも結局組織を離れ、タリバンに入ってしまった。

さらにクエッタで、「良い」タリバンがISIとCIAによって集められた。ほとんどがチャマンとスピンボルダック出身者だ。ムラー・アブドゥッル・ラザークという元タリバンリーダが率いるグルーブがやっとアメリカと取り引きに応じ、タリバンと和平協定を結ぶために仲介しようとした。しかし結末は、最初から明らかだった。

(中略)筆者は、チャマンからスピンボルダックの間、そしてゾーブからザーブルの間で、モスクの壁に、外国人と戦うために決起することを呼びかけるビラが張ってあるのを目撃した。すべてムジャヒディンより、となっていた。

「元ムジャヒディンたちが全員、再び立ち上がった」と、ザーブルの宗教指導者で、ヘクマチアルのメンバーのサイード・サスールが語った。「彼らは自分たちの小さなグループを指揮して、行動は突発的だ。独立していて、タリバンのような大きな指令系統には属していない」。「これは外国軍に対する反乱だ」。

アフガニスタンではタリバンの他に、独立した司令官たちが出現している。(中略)今外国軍との戦いにおいて、イランかパキスタンによって、あるいは両方によって、新たな動き、または独自の抵抗運動が開始される可能性がある。そしてこれらの組織はこれまで同様、タリバンと融合することも考えられる。

いずれにしても、この力はアフガニスタンとその隣国の未来に、大きな影響力を及ぼすだろう。

hoonPakistan reaches into Afghanistan
Syed Saleem Shahzad、PASHTUN HEARTLAND

■アフガニスタンで米軍、援助計画と村人の疑念に苦戦[061002 Christian Science Monitor]

白い髭を生やしたアフガン警察長官は、15人ほどのみすぼらしい村の「軍隊」に満足していない。無線もAK-47もライフルも持たない。ピストルさえない。

パキスタンと国境を接するヌーリスタン州の警察は、数ヵ月間政府から給料をもらっていない。現在資金を集めているというが、この遅延のために、警察を訓練しようとしているアメリカの計画に、障害が出ている。

「訓練するとは、いい考えだ」と、ヌール・ムハンマド長官が米軍警察パラシュート隊のリーダーに語った。「給料が支払われた日には、さっそく開始しよう」。

アフガニスタンでは、特にこの地域では、金がすべてだ。地元警察の訓練から敵の位置に関する諜報情報入手にいたるまで、米軍が成功するかどうかは、約束された再建計画が実現されるかどうかにかかっている。

(中略)しかし障害が多い。ヌーリスタンの山は険しく、道路建設は容易ではない。米軍は出動すれば必ず攻撃される。地形のせいで襲撃されやすいだけでなく、ムハンマドが指揮する警察官たちに金を支払うことも、補給物資を提供することも難しい。

ムハンマドによると、道路から数百ヤード離れた「先日あなた方が襲撃された」墓地までは、パトロールするという。「抵抗勢力はここまで来ることはできなかった。だけど山中に大勢いるのが見える。完全武装している」と、ムハンマドが語る。「だから我々は恐ろしいのだ。どうやって彼らを攻撃しろというのか」。

「まったくいらいらする」と、ニューヨークのローマ出身のカンデンス・マティス少佐が語る。「食料も武器も、毛布もない。必要なものは何もない。私ができることと言ったら、背中をたたいてやって、治安は重要だと言い聞かせるぐらいだ」。

《米軍、インフラを整備》

現在、軍はさまざまな村の請け負いと契約を交わし、道路や水道パイプ、水力開発などの仕事を開始している。だから軍が警察長官やムラーと一緒にミルディシュ村に入ると、人々に歓迎された。感謝もされた。このような村からは、抵抗勢力の動きに関する情報が入手できる。長老たちは、自分たちの地域で開発計画が進むことを望んでいる。

「我々はアメリカ人が好きで、協力したい」と、警察長官が語る。「我々の面倒をみてくれれば、感謝する。しかしあなた方が谷で発砲すると、女性や子供たちはこわがってしまう」。

米軍関係者は、これらを良い兆候と見ているが、長期的な戦略だ。抵抗勢力を冬の間中追いかけて村に隠れないようにするとともに、開発計画を続けて人々を政府の味方につける。

しかし、先月この地域で2人が殺された。1人は米軍に協力した長老、もう1人は国境警察長官。2人ともタリバンに殺害された。

これまでヌーリスタンには、イスラーム原理主義者は存在しなかった。パキスタンからカブールに入るルートとして用いられ、人目を避けて訓練を実施する場所にすぎなかった。だから今回の殺人は、長老や警察官たちに大きなショックを与えた。

「対ゲリラ活動は、ライフルでは戦えない。行動と開発計画で対戦しなければならない」と、ヌーリスタンで指揮をとるマイク・ハワード中佐が述べる。「長老は開発を望み、このばかばかしい戦闘を終わらせたがっている」。「我々は頻繁に顔を出しては滞在し、抵抗勢力たちがいる地域に出没する。一緒に働かせるか、戦わせるか、あるいは立ち去らせるのか、彼らに選ばせるしかない」。

孤立していたヌーリスタンは以前、「異教徒の土地」と呼ばれていた。イスラームに改宗した、アフガニスタンの最後の地域だったからだ。

《2つの敵、抵抗勢力と懐疑主義》

米軍はここで、2つの敵と戦っている。抵抗勢力と地元民の懐疑主義だ。地元民たちは、米軍が約束を守って生活の向上に協力してくれるか、懐疑的だ。長老たちはすでに2年前から、道路建設を約束するアメリカ国防省関係者から送られた手紙と名刺を、持ち歩いている。(中略)

《道路建設で新しい道》

(中略)米軍がマンダガール村を最初に訪れたとき、「村人はアメリカ人を怖がり、女性や子供たちは泣き始めた」と、米軍のために通訳をしているパリが語る。「ロシア人と同じだと思ったようだ。アメリカ人は彼らとは違う、と教えた」。週末になると、子供たちは兵士の後を追って、笑いながら歩きまわっていた。

「彼らの信頼を得るためには、何かを作り、人々に金を与えることだ。抵抗勢力の活動には、もううんざりしている」。「人々のために来たならば、約束したことを果たしてほしい。いくつかのプロジェクトが実現すれば、ヌーリスタン全体が味方だ」とパリは語る。

まだ初期の段階ではあるが、米軍は大きな手応えを得ている。7月に移動する前、関係者たちは長老たちを集め、ヤギを殺して契約書にサインした。

しかし前哨基地は数週間、毎日のように襲撃された。カムデッシュの前哨基地では最初の30日間、月153ドルの給料を約束しても、基地を警備する人間を雇うことができなかった。先週、18歳以上でライフルを持っていることという条件で、やっと60人雇えた。しかしその多くは古臭いライフルしか持たず、髭も生やせないほど若かった。

無線の傍受から、抵抗勢力たちは「ロシア人のようにアメリカ人を攻撃する」計画を立てていることがわかった。その後抵抗勢力たちは戦術を変え、川沿いの一本しかないダートを通る車列を、襲撃し始めた。

先月カムデッシュの隊は、8人の負傷者を出した。1人はロケット推進手榴弾で片手を失った。30発発射されたなかで、唯一の命中だったという。

(中略)しかし、タリバンはその存在を明確にしている。8月29日に、ゴワルデッシュ村の有名な長老ハッジ・ユーニスが誘拐され、拷問されて、パキスタンとの国境付近に放置された。彼は3日前に、米軍との契約にサインしたばかりだった。副行政官の承認を得るために移動していた際に、誘拐されたようだ。

「同盟軍に協力するな。同じことがあなたにも起きる」というメモが、残されて、オマール師の名前のもとにサインされていた。

「ハッジ・ユーニスは私の友人だった」と、ハワード中佐は語る。「彼を殺したことは、逆効果だった。人々は怒り狂っている」。もう1人の犠牲者は、国境省察隊中佐だ。9月13日に発生した道路脇の爆発で、死亡した。タリバンが声明を発表し、警察隊に大きなショックを与えた。(後略)

hoonIn Afghanistan US troops tackle aid projects-and skepticism
Scott Peterson、MIRDISH VILLAGE

■アフガニスタンで逮捕された、タリバンに拒否されたイラン人ジハード者[061002 Guardian]

恐れで震えながら、若い囚人がアフガニスタンの諜報機関事務所の椅子に座っていた。血走った目をして手を振るわせながら、話し始めた。

アブドゥッラーは、タリバン戦士としての短い経歴を終えたばかりだ。抵抗勢力に入ってまだ10日しかたっていないのに、数時間前に逮捕されてしまった。この25歳の優しい顔ときれいに整えられた髭を生やした青年は、諜報関係者の興味をそそった。

「私はイランから来た」と、震えながら語った。「アメリカ人がアフガニスタンに侵略したから、ジハードに行けと言われた。だまされた。イランを出たことを後悔している」。

(中略)最近パキスタンが話題になっているが、アフガンや欧米関係者は、ごくわずかではあるが、イランからアフガニスタンに入ってくる協力者たちがいると、抵抗勢力の新しい流れを察知している。

軍や外交筋は、イラン人たちがタリバンの影響下にある部族民たちと接触し、外国軍と戦うために軍事・資金サポートの提供を申し出ているという報告を受けているという。情報源によると、ヘルマンドやイランと国境を接するニムローズで、このような接触があるという。

(中略)「イランの影があることは確かだ」と、ある欧米関係者が述べ、欧米の諜報機関や軍が、この動きを密かに監視しているという。アフガン軍幹部も、同じような情報を受けていると語った。「イラン人たちが金や武器を提供している。これは非常にデリケートな問題だ」。

この援助の源を特定することは難しい。ある外交関係者は、イラン東部のバローチ戦闘員の可能性があると語った。麻薬の密輸にも関わっているバローチ・ナショナリストは、テヘラン政府と激しく戦っている。イラン側バローチスタンはヘロインの密輸ルートの重要な拠点だ。したがって密輸業者は、アフガニスタンの混乱に多いに関心がある。彼らはタリバンとイデオロギー上のつながりがある。特にイスラームの解釈に関して、ジュンドゥッラー(神の兵士)を通して、関係している。

《汚い仕事》

もうひとつの可能性は、イラン国家との関係だ。アフガニスタン南部について詳しいある関係者によると、ヘルマンドのナード・アリ地区の長老たちによると、6週間前にイランの諜報機関関係者が訪れたという。「彼らによると、2晩泊まり、彼らを手なずけようとし、協力することを申し出た」という。テヘランとアメリカは、核問題で緊張しているために、このような介入は地理的戦略と考えられる。アフガニスタンの混乱が続けば、外国軍4万人−−そのうちの半分は米軍−−は忙しくなる。

しかしイランがこのような行動をとるとは、あまり考えられないと言う者もいる。タリバン政権時代、スンナ派のタリバンは、イランのシーア派政府と犬猿の仲だった。2001年以来、テヘランはカルザイに注意深く接近し、国境間の麻薬密輸に関して協力してきた。イランはアフガニスタンの最大の貿易パートナーで、ヘラートは経済の生命線だ。毎日カブールにあるイラン大使館には、数千人のビザ申請者が集まる。イランの介入に関して最も不思議なことは、「わずかな噂しか入ってこない」ことだと、カブールにいる欧米関係者が語る。イランが望むなら、アフガニスタンで大きな混乱を起こすことができる。しかし「彼らは自制しているようで、まだ手のうちを完全に見せていない」。今はパキスタンのほうが、注目されている。

(中略)10日前、アフガニスタンの専門家で大学教授のバルネット・ルビンが、「イランがアフガニスタンを混乱させようとしているという諜報情報を提供する者は、事実をねじ曲げている」と、アメリカの上院に警告した。ムシャラフは英語が上手でスーツを着こなし、我々が喜ぶようなことを言っているが、アフガニスタンを混乱させようとしているのはパキスタンだ」。

しかし、タリバンがイランに、イデオロギーを共有する仲間を持つことは確かだ。アブドゥッラーがイランからアフガニスタンの戦場にジハードに出た事実は、アフガニスタンの戦いが、新たに感化された外国人とその影の支配者たちを引きつけていることを示す。

ガズニの諜報機関本部で、この若者は自分の話を語った。アブドゥッラーによると、6週間前に、クルディスタン州のカミヤランを出発したという。テヘランで仕事をすると両親に言ったが、砂漠の中の町ザヘーダンに向かい、アフガニスタンに入った。アブドゥッラー・シャーフィというジハードのリーダーから与えられた住所だけが、所持品だ。

《秘密の訓練》

シャーフィは、アルカイダと関係があるアンサール・アル・イスラームの元リーダーで、イラク北部出身のクルド人過激派である。2003年にイラクにアメリカが侵攻したあと、シャーフィはバグダードで自爆者たちを送り込んでいることで知られている。シャーフィはイランから追放されたが、アブドゥッラーによると、彼の組織はいまだに自分のような戦闘員を集めているという。

アブドゥッラーはイラクとの国境に近い、秘密の訓練所に送られた。「武器と金と泊まる場所を与えられた。我々の政府はアメリカが嫌いだ。イラクに、イランのようなシーア派政府を確立させたいと思っている。できる限りの努力をしている」。

この訓練所を卒業すると、大半がイラクかレバノンに送られるとアブドゥッラーは語る。クラスメート20人のうち19人がイラクに送られた。しかしアブドゥッラー・シャーフィは彼に、アフガニスタンに行くように言った。1人でガズニに行き、9月の始めにマンスールという名前のタリバンオーガナイザーの家を訪ねた。マンスールはアブドゥッラーがイラン人であることを確かめてから、ベッドを提供した。しかしその夜タリバンの一団がやってくると、彼らは自分を仲間にすることを拒否したという。「銃を持っていないから、捕まってしまうだろうと言われた」と語る。

しかし、数日後米軍がこの地域を爆撃すると、アブドゥッラーとタリバン戦闘員たちは逮捕され、諜報機関に引き渡された。彼の話を確かめることは不可能だ。しかし本当だとしたら、イラクが「新たな世代のテロリストリーダーと工作員を準備している」という報告を、裏付けることになる。先週アメリカの諜報機関であるNational Intelligence Reviewが、イラクの戦闘は「さらに多くの戦闘員を引きつけ、戦いは拡大する」と述べている。

タリバンは、アフガニスタン南部出身のパシュトゥンが大部分を占めるが、さまざまな国家がスポンサーとなっている。先月カンダハルの戦いで、NATOはタリバンの中にアラブ人や中央アジア出身者、パキスタン人がいることを確認している。サウジアラビアなどの裕福な中東国家から、タリバンに資金が入ってきていると疑われている。しかし、タリバンの最大の協力者は、もっと近くにいる。(後略)

smellArrested in Afghanistan: Abdullah, 25, an Iranian jihadist 'rejected by the Taliban'
Declan Walsh、Ghazni

■パキスタン、タリバンを逮捕[061002 BBC]

パキスタンの警察が、バローチスタンでタリバン9人を逮捕したという。

日曜日に病院で手入れがあり、銃弾を受けて治療を受けていた6人を逮捕したという。これまで過去2ヵ月の間に、私立病院でアフガン人42人が逮捕されている。

(中略)警察によると、6人は8月に治療を受けるために、付添人3人とともに、クエッタのアル・ヒドマット病院に入院した。

「彼らはタリバンだ。アフガニスタンに住んでいる者たちと関係がある。書類を持っていないので、アフガン政府に引き渡す」と、バローチスタン州警察長官のチョーダリー・ムハンマド・ヤクーブが語った。

(中略)これまでアフガン政府関係者たちは、パキスタンから引き渡された容疑者たちが、果たして犯罪を犯したかどうかは疑問があると述べている。(後略)

hoonPakistan arrests Taleban suspects

■カブールの自爆で6人負傷[061002 BBC]

自爆犯がカブールでNATO軍車列を攻撃し、兵士3人と一般市民3人が負傷した。

カブールでは土曜日にも、別の自爆犯が12人を殺害している。

hoonKabul 'suicide blast injures six'

■手紙からアルカイダのリーダーの一部が垣間見える[061002 Washington Post]

ザルカウィが6月に死亡する6ヵ月前に、アルカイダ幹部が手紙で、このままスンナ派の部族民や宗教リーダー、対立する抵抗勢力組織を殺害し続ければ、イラクのアルカイダのリーダーの座から降りてもらうと、彼を警告していた。

12月11日付けの手紙の書き手は、ワジリスタンにあるアルカイダ本部から手紙を書いていると記し、ビンラディンの指令組織幹部のメンバーで、「アティヤ」とサインしている。米陸軍士官学校のCombating Terrorism Centerがイラクで発表した、15ベージからなるこのアラビア語の手紙の英訳によると、書き手の身元は「不明」だという。

しかし関係者によると、書き手は37歳のリビア人で、1980年代に、まだ10代の頃にアフガニスタンにいるビンラディンのメンバーとなったアティヤ・アブドゥル・レーマンだという。彼はアルカイダの爆発物専門家で、イスラーム学者として高い地位を得ている。1990年代にアフガニスタンのヘラートでザルカウィと知り合い、このヨルダン人と一緒にアルカイダの声となった。

アティヤの名前は、アメリカ政府の容疑者リストやテロリストリストには登場しない。しかし彼はビンラディンの忠実な部下の1人で、ビンラディンと一緒にトラボラからパキスタン側に逃げた一団の1人だという。

ザワヒリが殺害されたアジトから発見されたこの手紙により、アルカイダのリーダーがワジリスタンに隠れていたことが明らかになったという。

「私は彼らと一緒にいる」と、アティヤがザルカウィに書いている。「あなたの状況について、彼らは言いたいことがあるようだ」。

(中略)この手紙から、手紙が書かれた時点に彼らがいた場所が明らかになる。

アティヤは、ワジリスタンからイラクへ直接連絡できないと述べ、ザルカウィが信頼のおける部下をパキスタンに送ることのほうが簡単だと書いている。「兄弟たち」は、「あなたに話す方法があって、あなたに助言し、導くことができればと望んでいる。しかし、彼らもここで敵と戦っている」。

「彼らも弱い。神が彼らに力を与え、彼らの傷を癒してくれるよう、祈っている。彼らも多くの問題を抱えている。しかし彼らは理性や経験があり、すばらしい、有益な知識を持つ。この手紙は、我々の兄弟が言いたいことの概略を代弁している」。

軍や対テロリズム関係者から本物であることが確認されたこの手紙で、アティヤはザルカウィが関係する出来事について触れており、組織が彼のことを疑問視し、彼をコントロールしきれていないことを憂慮している様子が明るみに出た。

ザルカウィに宛てた以前の手紙でザワヒリは、もう少しぼかした言い方で彼を忠告していた。しかし効果がなかったようだ。ザルカウィは2005年にスンナ派とシーア派のリーダーが米軍に協力したことを非難し、殺害することを約束していた。

アティヤの手紙は、ザルカウィに対する暖かい言葉で始められている。(中略)ザルカウィには、責任ある地位が与えられている。しかし、イラクにもっと助言者を増やし、アルカイダの政治的目的を理解する者たちの言葉を聞くようにと忠告する。もしザルカウィに地位から降りるように言っていると感じるのなら、それは間違いだ。「その必要はない」ともいう。「しかし、あなたよりもふさわしい人間がいると感じるならば、そのような選択肢もある」。シャリア法では、「適切さが必要」とされていると付け加える。

アティヤは、ビンラディンやザワヒリなどの兄弟に相談せず、「複雑な問題を勝手に決めないように」と命令する。イラクのスンナ派抵抗勢力との関係を改善し、自分がしたことに対して、アルカイダの名前を使用しないようにと述べる。

(中略)アティヤはもうワジリスタンにはいないと、アメリカ政府関係者が述べた。しかし、米軍に拘束されているわけではなく、おそらく生存しているという。

(中略)関係者によると、アティヤは一般には公表されていないアルカイダ幹部だという。「彼のことは知っていた。一般や報道関係者には明らかにされていないアルカイダ幹部が大勢いる」と、ワシントンを拠点とした、過激派のウェブサイトを監視しているSITE Instituteのリタ・カッツが述べる。アティヤは「アルカイダの戦略幹部」で、ルイ・アティヤ・アッラーの名前で、パスワードで保護されたサイトにたびたび登場するという。「質問があれば、まず最初に彼に尋ねる。何をするべきか、どのようなファトゥアを出せばいいかなどを、彼は助言する。ジハード・オンライン・コミュニティと交流がある」。

アティヤは、リビアからアフガニスタンに行き、そこでアルカイダ幹部にのし上がっていった。(中略)おそらくジャララバードを拠点としていたようだ。(中略)ビンラディンがスーダンに落ち着くと、アティヤはアルジェリアに渡り、Armed Islamic Groupに入って戦った。

1996年にタリバン政権が権力の座につくと、ビンラディンはアフガニスタンに戻り、アティヤも彼に合流して、テロ訓練所を確立した。(中略)ヘラートで彼はザルカウィに出会う。(後略)

ohLetter Gives Glimpse of Al-Qaeda's Leadership
Karen DeYoung

■ムシャラフの核に対する主張に反論[061002 BBC]

パキスタンのカーン博士の娘が、ムシャラフ大統領の回顧録の内容に関して抗議した。

ディナ・カーンによると、父親からパキスタンの核の秘密を公表するように頼まれたという話は「ばかばかしい」という。

(中略)カーン博士がこれまで起訴されないのは、彼とのつながりのある人物が明らかになることを、政府が恐れるためだといわれている。

ムシャラフは自著のなかで、カーンは娘のディナに手紙を書き、イギリスのジャーナリストを通じて「パキスタンの核の秘密を公表する」よう求めたという。

ディナ・カーンはこれに反論する。彼女によると、ムシャラフの主張は「ばかばかしい」という。手紙は母親に宛てたもので、その内容について詳しく語った。手紙は自分に万が一のことがあった場合、発表するように指示されていたという。

「手紙には実際に起こったことが書かれ、万が一自分が殺害されたり、行方不明になった場合に、公表するようにと書かれていた」。手紙には「人物や場所」についての指摘があったが、核の図面や情報は含まれていなかったという。

またディナ・カーンは、この手紙に関してイギリスのMI5の取り調べを受けたが、彼らは自分が犯罪を犯していないこと、また重要な情報を持っていないことを確信したようだと述べた。

「父が犯した過ちは、権力者に対して、意見を言いすぎたことだった。その代償を現在払っている」という。妹は数ヵ月間両親に会うことができず、1年間パキスタンに行くことが禁じられた。「私たちのメールは読まれ、携帯電話は盗聴され、家にも盗聴器が仕掛けられた」という。

(中略)最後にディナは警告する。「核スキャンダルに関する取り調べは、数ヵ月前に終わったはずだ。しかし、父はいまだに同じ状況にある。おそらく家で静かに腐り、忘れられることが望まれているのだろう。しかしそんなことは起こらない。最終的に真実は明らかになる。常にそうだ」。

hoonnuclear claims attacked
Gordon Corera

■戦闘員、南ワジリスタンの軍事基地にロケット弾を撃ち込む[061002 Daily Times]

日曜日早朝、イスラーム原理主義者の戦闘員が南ワジリスタンの軍基地にロケット弾を撃ち込んだ。負傷者はいない。

ロケット弾3発が、早朝、ワナの基地に撃ち込まれた。軍が小兵器で応戦した。

(中略)いっぼうウズベク人の遺体が、南ワジリスタンで発見された。男は絞め殺されていたが、ウズベク人司令官ジャフール・アサッドの息子だといわれる。土曜日以来行方不明になっていた。アサッドは、ワナに隠れているといわれている。

hoonMilitants fire rockets at South Waziristan military base
DERA ISMAIL KHAN

■ラシュカレ・ジャングヴィ、新たな組織を設立[061002 Daily Times]

ラシュカレ・ジャングヴィ軍団が新たなメンバーを募集し、地方・州レベルで、新しい組織を形成しようとしているという。

諜報機関が内務省に、「有名なテロリスト」マティウル・レーマンがラシュカルの組織の再組織化しようとしていると、報告した。

レーマンはアルカイダと関係があるといわれ、ロンドン航空機爆破計画の首謀者の1人である。またダニエル・パール誘拐殺人事件やムシャラフ大統領とアジーズ首相暗殺計画、2006年のカラチの米領事館攻撃に関わっているといわれる。

報告書によると、「タリバンから入ってくる麻薬の売り上げが、組織の再組織化に使用されている」と報告されている。

ディタ・ヘールを拠点とするラシュカレ・ジャングヴィの会長、アブドゥッラー・ファルヤードがレーマンに協力し、組織の再組織化に貢献している。またアルカイダのアラブ人メンバー、シェイク・アーマッド・サリームが、サハワルを拠点とするラシュカレ活動家、カリ・イドレースに資金を調達し、新メンバーを募集しているという。さらにチトラルの山中で数回目撃されているアラブ人爆発物専門家のアブ・ハバイブが、サリームに協力している。

ラワルピンディのシャー・ナジャフ・モスクでシーア派10人以上を殺害したことで指名手配になっている、アブドゥル・ワッハーブ・ラシャッドも、この再組織化に尽力している。ラシャッドは、2002年に殺害されたレシュカレ・ジャングヴィ創設者、リアーズ・バスラの部下である。(後略)

hoonLJ forming new militant cells
Shahzad Malik、ISLAMABAD

■調査の結果、NATO軍がアフガン市民53人を殺害したことが判明[061002 News]

政府が任命した調査委員会によると、先月2週間にわたってNATO軍が実施した作戦で、一般市民53人が死亡したことがわかったと、委員会の代表が日曜日に述べた。

これまで州政府は、13人の一般市民犠牲者が出たと発表していた。

NATO軍によると、戦闘員1000人が殺害され、残りは撤退を余儀なくさせられたという。「我々の調査により、一般市民53人が死亡した。この他9人が負傷し、8つのモスクが破壊された。民家や果樹園多数も破壊された」と、代表委員が述べた。(後略)

hoonProbe finds Nato offensive killed 53 Afghan civilians
KABUL

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2006.