【2006年10月9日〜10月15日】
●アフガニスタンのNATO軍司令官のビッド・リチャーズが、イスラマバード訪問の前に、ムシャラフ大統領がタリバンと取り引きをすることを、アメリカとイギリスが正式に認めたことがわかってきた。
●オーストラリアの新聞で土曜日に報道されたところによると、リチャーズがイスラマバードを訪れる前、「ISIを通してタリバンとアルカイダと二重取り引きをしている」疑惑をムシャラフに追求しようとしていたという。オマール師が住んでいるクエッタの住所を、渡すことになっているともいわれた。
●「しかしムシャラフを批判するどころか、北ワジリスタンにおけるムシャラフの取り引きは、抵抗運動を終結し、カブール政権にタリバンを引き入れるための方策の基礎となる可能性がある」という。
●南アジアの特派員によると、NATOのイスラマドードのタリバンとの和平協定を、ムシャラフは評価しているという。問題を解決する、良い例になるという。
●(中略)北ワジリスタンの和平協定は、欧米メディアでは批判されているが、イギリスやアメリカ政府を始め、アフガニスタンにNATO軍を送り込んでいる国家では、評価されているという。(後略)
NATO seen following Waziristan lead●NATO軍のイギリス軍司令官のデビッド・リチャーズ中将は、カブールに帰る途中、プレスの書類を読んでいた。
●この記事は、『Guardian』紙に書いているイギリス人コラムリストのもので、「タリバンに対するリチャーズのナイーブさにびっくりした」というものだった。記者のサイセン・ジェンキンズは、「NATO軍は、部族地帯の戦闘員数万人からの援助を期待できる敵に対して、勝利することはできないだろうと述べた」。
●「私はナイーブではない。彼がナイーブなのだ」と、リチャーズ将軍は語る。アフガニスタン南部のタリバンの勢いは、パシュトゥン族のイデオロギーや嘆きが原動力になっているのではないと述べた。
●「それほど人気があるのではない」と付け加えた。「我々を求めている人々にとって失礼だ」。「人々はタリバンに戻ってきてほしくはないはずだ」。「この願望が実現するためには、時間が必要だ」。
Peacekeeper Commander Mired in Afghan Combat●アフガニスタン西部の外国治安部隊の車列のそばで爆発があり、一般市民2人と警察官3人が死亡した。いっぽう東部では、数百人の抵抗勢力が検問所を襲撃した。
●へラートで起きた爆発は欧米の車列を狙ったものだったと、州警察長間のムハンマド・サランギが語った。「しかし市民2人が死亡し、3人が負傷した」という。
●コーストの警察によると、数百人の抵抗勢力がパキスタンとの国境にある警察の検問所を襲撃した。「戦闘は深夜から朝の3時まで続いた」と国境警察司令官が述べた。
●タリバンは仲間1人の遺体を残し、パキスタン側に帰って行った。(後略)
Five dead in new Taliban attacks across Afghanistan●タリバン戦闘員たちが、巨大なマリファナの森を身を隠しているために、カナダ軍兵士たちは彼らをなかなか追い出すことができない。
●3メートルを超す高さの密集したマリファナの森は、熱を吸収するために、保温装備を持っていても、中に入り込むことは難しいと、リック・ヒラー将軍が語った。「タリバンはマリファナの森から容易に出てこないために、十分注意しなければならない」という。
●水をたっぷり含んでいるために、燃やすことはとても大変だという。あるカナダ隊が、装甲車をマリファナでカモフラージュしてみたという。
●「白リンで燃やそうとしたけど、うまくいかなかった」と、ヒラー将軍が語った。「ディーゼルでも燃やそうした。でも、だめだった。現在木には水がたっぷり含まれているために、燃やすことは不可能だ」。
●森の端のいくつかの茶色の植物が燃えたようだったが、新たな問題が発生した。「風下にいた兵士たちが、気持ち悪くなったために、良い方策ではなかったようだ」。
●ある兵士が語ったという。「入隊する6年前だったら、『くそっ、このマリファナめ』などと言うようになるとは、思いもよらなかった」。
●マリファナは、中央アジアのいたる場所に自生しており、単なる雑草と考えられている。(後略)
Marijuana fighters fox Canadians●アフガニスタン南部で襲撃があり、カナダ兵2人が死亡したと、国防省が発表した。
●アフガニスタンの軍関係者が、カンダハルでNATOの平和維持軍ISAF兵士2人が死亡、3人が負傷したと発表したが、その際には、死亡した兵士の国籍は明らかにされなかった。
●パンジャワイ地区で新しい道路開発に関わっていた隊が襲撃され、兵士2人が死亡したという。「すぐにカナダ軍が応戦し、戦闘員たちと3時間にわたって銃撃戦を繰り広げ」、ISF軍ヘリコプターが援護したという。
●2002年以来、カナダ軍兵士42人がアフガニスタンで死亡、そのうちの34人が今年になって殺害されている。
Two Canadian soldiers killed in Afghanistan●9月5日の和平協定に関して、新たな事実が判明した。
●(中略)いくつかの怪しい部分がある。まず取り引きは公に発表されていることとは違い、戦闘員と交わしたものであり、長老ではないという。サインは、対立する両者の間で交わされた。北ワジリスタン行政官が政府の代表として、そして相手は、9月5までは指名手配になっていた戦闘員と宗教指導者だ。その中には、ハーフィズ・グル・バハダール、モーラナ・サディーク・ヌール、アザド・ハーン、モーラビ・サイフッラー、モーラビ・アフマッド・シャー・ジェシャン、アズマット・アリ、ハーフィズ・アリ・ハムザ、ミール・シャラーフである。
●最初の2人は戦闘員兼宗教指導者幹部で、残り6人は、和平協定に調印するために、2人に推薦されたいう。全員が協定に従い、恩赦された。協定によると、彼らは「fareeq-e-doum」(2番手)ということである。名前からもわかるように、政府が主張するように、ウタマンザイ族出身の部族長はサインした者の中には含まれていない。ムハンマド・ジャン・オサクザイ州知事により選ばれ、ノミネートされた45人のジルガのメンバーが、仲介者としてサインした。
●和平協定はタリバンに対するものだとか、タリバンに対するものではないという論議は、意味がない。ある専門家によると、「オマール師と彼の司令官であるハッカーニ師に忠実な北ワジリスタンの戦闘員が、兄弟のために協定など結ぶはずがない」という。
●第2に、北ワジリスタンに住む外国人戦闘員は、土地を去るか、平和的に暮らすかが明記されている。しかし彼らを監視するメカニズムはなく、協定に従っているかどうか、見極める方法がない。協定が締結されて1ヵ月たっても、この件に関しては、何の進展もない。
●ミランシャーの周りには軍が派遣されているという政府の主張に反して、国境を警備している者のほかは、チェックボスとから撤退して、キャンプに戻っている。戦闘員から奪った武器はすべて返還され、逮捕者や釈放された。
●訓練を受けていない部族民警察のカサダールが検問所に詰めているために、誘拐や強盗、殺人事件が増えた。
●目撃者によると、ミランシャーにはタリバンの事務所が2軒があり、秩序と法を取り締まっている。これは、部族地帯で並行政府を作らないと約束した、協定に反する。
●戦闘員たちは9月5日よりも、もっと活動的になった。最近タリバンはカサダールが逮捕した容疑者と車を奪い、自分たちで問題を解決すると主張した。その後どうなったかわからない。
●国境を越えてはならないという協定が結ばれたが、NATO軍によると、国境を越えて入ってくる戦闘員の数は、300%も増えたという。地元司令官のモーラビ・ミール・カラムとその部下がアフガニスタン側で死亡し、10人が逮捕されたことは、このことを証明している。
●また、今後特定の人物を狙った暗殺は行なわないということだったが、スパイ容疑で、数人が殺害されている。
●和平協定には、2つの重要なポイントがある。戦闘員は政府関係の機関を攻撃しないこと、第2は政府は地上戦を行なわないこと。この2つの件に関してだけは、協定は守られている。
●同様に、協定全体のなかで最も大事なことは、もう2つの条件である。外国人戦闘員の存在と、越境による攻撃。協定締結後、政府はどのような行動をとるべきかは、明らかだった。しかしミール・カラムの死と、北ワジリスタンの戦闘員の要求に従ってクラム部族地域で逮捕された3人のムジャヒディンの釈放をみれば、政府が結んだ協定は、戦闘員に有利であることが明白だ。
●もちろん、平和が望まれている。
Why the Waziristan deal is a hard sell●アフガニスタン南部でイタリア人フォトジャーナリストが、ヘルマンドからカンダハルにバスで移動している際に誘拐された。
●ガブリエレ・トルセロが地元の病院に電話をかけ、木曜日に誘拐されたが現在どこにいるかわからないと述べたと、イタリアの新聞が報道した。
●アフガニスタンの報道機関によると、彼の携帯電話にかけたところ、タリバンだと名乗る男が出たという。
●このフリーランスのジャーナリストはムスリム改宗者で、ロンドンを拠点に活動している。土曜日の夕方に彼に電話をかけたが、誰も応答しなかった。
●国際平和維持軍報道官のドミニク・ホワイトが土曜日、ジャーナリストとは2〜3日連絡が取れないと語った。ヘルマンドとカンダハルでは、タリバンとNATO軍の激しい戦いが続いている。
●イタリアのオンライン新聞である『Peace Reporter』によると、トルセロ氏はラシュカル・ガーの病院に電話をかけてきて、誰に誘拐されたか、どこにいるかわからないと述べたという。
●『Pajhwok』通信によると、トルシロ氏と一緒に旅をしていた仲間のゴーラム・ムハンマドの話として、5人の銃を持った男に誘拐されたという。携帯電話に電話をかけたところ、何者かが「我々はタリバンだ。スパイをしていた外国人を誘拐した」と答えたという。
●タリバンの代表が『ロイター』に電話で、自分たちは誘拐には関わっていないと述べ、犯罪団の仕業だと語った。
●ガブリエレ・トルセロは自分のオンラインTVで、「ジャムー、カシミール、イスラーム国家などの紛争地帯を専門とするフォトジャーナリスト」だと述べている。
●最近『Deutsche Welle』に所属するドイツ人ジャーナリストのカレン・フッシャーとクリシチャン・ステューエが、アフガニスタン北部で何者かに殺害された。
Reporter abducted in Afghanistan●タリバンが地雷を仕掛けてアフガン州知事の車列を攻撃し、その後あわてふためいた集団に発砲して政府関係者が死亡した。
●いっぼうアフガン南部では、戦闘員が爆弾でアフガン軍兵士を攻撃し、6人を負傷させた。
●東部では、警察パトロール隊が襲撃されて戦闘になり、タリバン3人を殺害したと警察が発表した。
●ラグマン州知事が仕事に行く途中、2台からなる車列が地雷を踏んだ。「最初の車の下で爆発があった。その後襲撃され、友人が撃たれた」と、グラブ・マンガル知事が述べた。「私は2台目に乗っていた」。車に乗っていた者たちが被害を見に出たところ銃撃され、部下が殺害されたという。
●タリバン報道官のムハンマド・ハニーフが、タリバンが攻撃を実行したと述べた。「地雷を埋めた。銃撃した」という。
●今週ナンガハルでも、政府関係者3人が同じような攻撃で死亡している。先月はパクティア州知事が自爆攻撃で暗殺された。ハキーム・タニワル知事に対する攻撃も、自分たちが行なったと、タリバンが発表している。
●いっぽうアフガニスタン南部ではカンダハルのザーリ地区で、軍の車輛が爆破された。「兵士6人が遠隔操作爆弾で軽症を負った」と、国防省が発表した。自爆犯の仕業だったという。(後略)
One killed in Taliban assassination bid on Afghan governor●ムシャラフに対する攻撃が暴かれ、40人以上が逮捕された。ほとんどか中堅の空軍関係者で、逮捕された一般市民のなかには、陸軍准将の息子も含まれていた。全員イスラーム原理主義者だった。
●空軍関係者が、携帯電話でロケットを発射させて大統領の自宅を攻撃しようとしたために、計画が暴露された。ロケットにつながれた起爆装置かちら、犯人の電話番号が割り出され、他の関係者たちも逮捕された。
●イスラマバードのISI本部を含む、厳重な警備が敷かれた場所からも、ロケットが発見された。
●(中略)ムシャラフはアメリカで、元ISI関係者がタリバンを援助していると述べ、ハミッド・グル元准将とアミール・スルタン元大佐を含む、元幹部高官を取り調べるよう、ISI長官に命令していた。グルは元ISI長官であり、アミールはタリバン運動創設の父と言われる。1990年中葉には、ヘラート領事だった。
●(中略)ムシャラフは最近、パキスタンで逮捕されたアルカイダ関係者の釈放を約束したワジリスタンで締結した和平協定から、距離を置き始めた。元ジハード戦士で国会議員のシャー・アブドゥル・アジーズの弟のシャー・メヘブーブを始め、新たに逮捕された者もいる。またアブドゥッラーとして知られている、イギリス生まれのアルカイダ容疑者も逮捕された。
●「これは、ムシャラフの親米政策の結果だ」と、元ISI関係者のハリッド・ハワジャが語った(ムシャラフは、ハワジャの取り調べも命じている)。
●「ムシャラフは原理主義の元凶として、マドラッサをいつも挙げる。しかし彼や政府に対す攻撃を調べると、常に軍に戻ってくる。彼はその理由を、いまだに理解できないのだ」。
●「ムシャラフは、元ISI関係者がタリバンに対する援助に関与しているという。しかし元も現も関係ない。全員同じだ。引退し者たちは自由に行動できるが、現役の者の活動は制限されているだけだ。両者とも、同じ考えを持っている。ムシャラフを狙った攻撃は、彼が親米政策を取る限り続くだろう」とハワジャが述べた。(後略)
Pakistan foils coup plot●カンダハルでNATO軍の車輛が車による自爆攻撃を受け、外国人兵士1人と一般市民8人が死亡した。
●「車に乗った自爆犯が、国際平和維持軍ISAFの車列を攻撃して、アフガン市民8人を殺害した」とISAFが声明を発表した。ISAF兵士2人と市民数人も負傷したと、付け加えた。
●後に兵士1人が怪我のため、病院で死亡したという。死亡した兵士の国籍は明らかにされなかったが、これに先立ち、米軍車輛が攻撃されたと発表されている。
●攻撃に用いられた車は、粉々になっていたという。(後略)
Suicide bomb in Afghanistan kills NATO soldier, eight civilians●木曜日にアフガニスタン南部でNATO軍とアフガン軍がタリバンと衝突し、戦闘員20人が死亡した。
●東部ではアフガン兵を乗せた車輛に自爆攻撃があり、16人が負傷した。
●戦闘員60人がパンジャワイ地区でNATO軍とアフガン軍を攻撃したと、NATO軍報道官のジェーソン・チャリックが述べた。軍は応戦して空軍を呼び寄せ、戦闘員20人を殺害した。
●(中略)コーストではアフガン軍を乗せた車に男が走りより、自爆した。犯人が死亡したほか、アフガン軍2人と市民14人が負傷した。
●これとは別にコースト州のタニ地区では、米軍パトロールを標的として車による自爆攻撃が発生し、市民3人が負傷した。米兵の負傷者はいない。
●カンダハルでは、バイクに乗った2人の男がインド領事館に手榴弾を投げつけた。
●(中略)いっぼうヘルマンド州では、米兵1人が着陸しようとしていたヘリコプターから落下し、死亡した。
Afghanistan clashes leave up to 20 dead●火曜日にディールの町中を数百人のデモ隊が行進して、アメリカ政府とそれを支持するパキスタンの支持者に対してスローガンを唱え、「異教徒」に対してジハードをするよう人々に呼びかけた。
●(中略)5年前にムシャラフ大統領が、ジハード組織の活動を禁止したにもかかわらず、この地域では再び活動が活発になってきている。(後略)
Rally calls for jihad against‘infidels’●ムシャラフが水曜日、自分を狙った攻撃の背後にいた容疑者を逮捕したと発表し、パキスタンは過激派との戦争に勝利する必要があると述べた。
●先週、ラワルピンディのムシャラフ大統領の自宅近くの公園で爆発騒ぎがあったが、この件に関して逮捕者が出たことが、初めて公になった。国会議事堂のそばでも、ロケット弾が発見された。
●爆発は彼を狙ったものかどうか問われると、「明らかなことは、わからない。もしかしたら、そうかもしれない」と答えた。「一味全員を逮捕した。過激派だ」とだけ述べた。
●(中略)ムシャラフ大統領は、北ワジリスタンで結んだイスラーム主義戦闘員と政府との間の協定は、保証されたものではないと述べた。地元の行政が、親タリバン過激派がいる地域の部族民長老の存在を強化することに協力することが、重要だと述べた。「これが成功するかどうか、保証はない」と和平協定に言及した。(後略)
Suspects said nabbed in Pakistan attacks●NATOは、パキスタンが部族地帯の戦闘員たちと結んだ和平協定を評価し、同じような協定をアフガニスタンでも結ぶためにパキスタンの協力を仰いだと、ムシャラフ大統領が述べた。
●ムシャラフによると、NATO軍司令官のデビッド・リチャーズ将軍が、ムシャラフの戦略に同意したという。リチャーズは「私を取り巻く状況や私の分析に同意し、同じことをするために私に協力を仰いだ。同じ道を歩んでいく」と、北ワジリスタンの和平協定に言及して述べた。
●(中略)これに先立ちリチャーズは、NATO軍はヘルマンド州の部族民長老たちと武力衝突を終わらせるために取り引きをしたが、戦闘員たちとは、協定を結んでいないと述べていた。
●(中略)ムシャラフは、部族地帯で軍事作戦を行なってから約5年たった今、政策を変えなければならなくなったと述べた。(中略)今後さらに戦闘を続ける代わりに、長老たちに人々を統率するすべての権限を回復させ、古い伝統に帰すことのほうが良策だという。
●「この政策は試すだけの価値がある。他に方法はない。何かしなければならないと考え、軍事力で解決できると考えることは、間違いだ。被害が出るだけだ」と記者会見で語った。
●「この戦略を、さまざまな所で主張している。そして人々はこれを受け入れた。イギリスもアメリカもこれに同意した。これが前進していく方法だ」。「批判があることは知っている。しかし他の戦略を提案できないなら、これを批判する権利はない」。
NATO wants to copy Pakistan's militant peace deal: Musharraf●タリバン戦闘員が北ワジリスタンで、アメリカのためにスパイ活動をしたとして、男2人を射殺した。
●2人の男、アフガン人と地元医師の遺体が、ミランシャーから別々に発見された。週の初めに、2人とも誘拐されていた。
'Spies' shot dead in N Waziristan●「テロとの戦争」の同盟国たちは、パキスタンがISIを取り締まることを望んでいるだろうが、この件に関して、公の場でムシャラフに圧力をかけすぎないよう、注意しなければならないだろう。
●イスラマバードが不安定になれば、この地域のイスラーム原理主義者たちに影響を与えてしまう。
●アフガニスタンのNATO軍司令官のデビッド・リチャーズが月曜日にイスラマバードで大統領に会見したときも、このことが明白になった。
●リチャーズはある新聞に、ムシャラフが「タリバン問題がパキスタン側にあることを公的に認めた」と述べ、「何らかの対処があることは明らかだ」と発言したといわれる。
●テロのグローバル戦争に関わる欧米同盟国は、パキスタンがアフガニスタン側のタリバンを「制御」していることに対して、理解を示そうとしている。しかしISIがタリバンに協力し、武器を与えている可能性があることを警戒し、メディアに諜報情報をリークして圧力をかけようとしている。
●ごく最近では、イギリス国防省と関係のあるシンクタンクのドキュメントが、リークされた。
●ムシャラフはこれに対して、「元ISI関係者」がタリバンに協力している可能性があると述べ、政府は彼らを取り締まると付け加えた。
●このリークは、ムシャラフの訪米の際に暴露されたが、このときムシャラフは、軍事的に問題を解決するのではなく、タリバンと政治的に和解することを提案していた。
●今のところムシャラフは、欧米のアフガニスタン政策に批判があっても、公にしていない。
●オブザーバーたちの多くは、9.11後5年たった今、なぜムシャラフがアフガン問題に関して新たな政策を必要としているか、疑問を感じている。考えられることとして、パキスタンはタリバンの抵抗運動を支援しすぎたために、彼らが「フランケンシュタイン」になってしまい、今やコントロールできなくなってしまったという見方ができる。
●もうひとつの見方は、パキスタンはこの地域の治安について、考えを変えたという考えだ。つまりカシミールで活動する過激派と距離を置き、アルカイダを取り締まる。しかしこれは、タリバンとの政治的つながりは、そのままにすることを意味する。
●欧米の同盟国は、この新たな「現実」を受け入れがたい。その理由は明らかだ。
●1989年から2001年の間、内線が続いたアフガニスタンからタリバンが台頭してきた様子について、欧米世界はほとんど何も知らなかった。
●この機に乗じてISIは、インドとの戦略を確かなものにするために、アフガニスタンの未来を自分たちで形作ろうとした。
●9.11以後、同盟国たちはアルカイダとタリバンを一掃するという単純な考えしかなく、彼らと交渉することを考えなかった。2003年になると欧米の諜報機関は、ISIが持つ膨大な情報がなければ、アフガニスタンでは活動ができないことがわかる。
●2003年から2005年の間、欧米諜報機関はISIと協力して、アルカイダ多数を逮捕したが、そのあいだISIの中の要員が、密かにタリバンに協力している証拠があったにもかかわらず、見逃していた。
●ムシャラフが北ワジリスタンの戦闘員と和平協定を結び、タリバンとの政治的和解を支持したことは、欧米にとって驚きだった。
●欧米はタリバンの長であるオマール師の追随者たちに対話を呼びかけることも、アフガニスタン南部でタリバンと戦い、犠牲者を増やすこともできない。
●唯一のオブションは政治的綱渡りであるが、アメリカで重要な選挙が始まるこの時期に、誰もこれをしたがらない。
●もうひとつは、パキスタンがカシミールの戦略を考え直したように、アフガニスタンの戦略を変えるざるを得なくなることを期待して、ISIの取り締まりに対して圧力をかけるしかない。
Musharraf's misunderstood Afghan strategy●火曜日に、カブールの米軍収容所から脱走したアルカイダ戦闘員が、ホワイトハウスが攻撃されるまで戦うよう、アフガニスタンの戦闘員に呼びかけるビデオが放映された。
●「我々がホワイトハウスの屋根に到着するまで、アラーは満足しない」と、アブ・ヤーラ・アルリビが戦闘員たちに語る様子が、ドバイのアルアラビアテレビで放映された。ビデオは約1時間のもので、戦闘員たちに訓練を怠ってはならず、核テクノロジーを入手するよう努めるよう呼びかけた。
Qaeda leader urges fighters to hit White House●タリバン司令官がインタビューに答えて、「キリスト教」軍がアフガニスタンから去り、イスラーム原理主義政権がカブールに確立されるまで抵抗勢力の戦闘員たちは戦うと述べ、戦闘員数百人が自爆攻撃をする準備ができており、厳格なイスラーム法が施行されるまで攻撃を続けると警告した。
●地域レベルの司令官、ムラー・ナジール・アーマッド・ハムザが、NATO軍はタリバンに大きな打撃を与えたと主張しているが、タリバンにはまだ数千人の戦闘員たちがいると述べた。また原理主義運動に対する支持が日に日に増大しており、米軍とNATO軍は空からの援護がなければ、戦闘員たちに悩まされるだろうと語った。
●「我々はイスラーム国家とイスラーム法を望んでいる」と、アフガニスタン南部の山中で、仲間の武装した戦闘員たちに囲まれたハムザが『AP』に語った。「我々はアメリカ人も他のキリスト教徒も、望んでいない」。「ムスリムとしての義務だ。アメリカが去るまで戦い、ジハードを続けなければならない」。
●ハムザは、タリバン戦闘員たちは欧米軍を襲撃するために、地域から地域への渡り歩いているという。「ムジャヒディンがジハードの準備をするということは、命を捧げることだ」と、ハマスがザーブル州のある場所で語った。「自爆攻撃が必要であれば、自分の命を捧げる。それは自分にとっては、最も幸運な時でもある」。「私はいつだって米軍や同盟軍に対して、自爆攻撃をする準備ができている」。
●(中略)ハマスによると、タリバン戦闘員は現在ザーブルを支配し、「カラートから1キロしか離れていない場所であっても、政府の権限は及ばない」という。
●NATO報道官のルーク・ニティング中佐が、タリバンがザーブルで活動していることをNATOは知っていると語った。「しかし彼らはザーブルの山の上にいる。このことは知っている」という。「ザーブルのカラートは現在成長し、町の外にも開発が広がっている。我々はこの点に注目している。タリバンを山中で追っているのではない」。
●ハムザは、欧米のアナリストが言うように、戦闘員に給料は支払われてはいないと述べた。「我々が金を儲けていると報道しているが、それは米軍や政府が広めている噂にすぎない。我々はムジャヒディンだ。我々は国家とイスラームのために戦っている」
‘Hundreds’of suicide bombers ready for jihad: Taliban commander●ムシャラフ大統領がアフガニスタンのNATO司令官に、パキスタンはタリバンとの戦いを支持していると、保証した。
●デビッド・リチャーズ将軍がムシャラフと会い、治安と協力に関して話し合った。
●ムシャラフはリチャーズに、パキスタンは「テロと過激派との戦い」においてアフガニスタンに協力し、またアフガン難民250万人を養っていると述べた。また北ワジリスタンで締結された和平協定を擁護し、「テロリストやタリバンの活動を監視することが目的」と述べた。
●リチャーズはパキスタンの努力を賞賛し、「テロとの戦いに対して大きく貢献している」という。
●(中略)リチャーズは、諜報機関がタリバンを援助している証拠をパキスタンに突き付けると報道した、イギリスの『Sunday Times』の記事を否定した。「そのような理由でここに来たのではない」と、『Geo』テレビに出演して語った。(後略)
Musharraf assures NATO commander amid Taliban row●『Geo』テレビが決曜日に、アフガニスタンにいる同盟軍と戦うタリバンの活動を映したビデオを受け取った。ビデオは3つい部分からなる。最初は「Rehbar」と名付けられ、ダドッゥラー師と部下が同盟軍と戦う様子が映っている。
●このビデオでタリバンが、山中や洞窟の中で物資や武器を運んでいる。カンダハルの洞窟のなかで、ダドゥッラー師がパンを焼き、仲間と一緒に食事をしている。またダドゥッラー師に導かれながら、タリバンたちが祈る。
●次の部分は「Rastey」と名付けられ、タリバンが米軍と同盟軍と戦っている。同盟軍の破壊された車輛や武器や弾薬、同盟軍のヘリコプターが撤退していく様子が映る。戦闘の映像に引き続いて、ダドゥッラー師が英軍兵士2人とアフガン人女性2人、アフガン兵士27人を斬首する様子が収められている。
●第3部は「Fidayeenn」で、ダドゥッラー師がキャンプに座っていることろに、自爆攻撃者たちがやってくる。ダドゥッラー師は、「天国への許可証」(Jannat Ka Parwana)と呼ぶトークンを書いて渡す。
Videotape showing Taliban activities released●パキスタンの諜報組織であるISIは、さまざまな方面から非難されている。
●批判家たちによると「国家内国家」を形成し、民主主義で選ばれた政府を支配し、タリバンや麻薬密輸に関わるという。パキスタン政府は、このような疑惑を否定する。ほかの軍事諜報機関と同様、ISIは極秘組織である。パキスタン軍の中心となる機関であり、国家の複雑な問題を動かしている。
●ISIは1948年に創設され、インドとの間で起きたカシミール戦争の際、軍や空軍、海軍に諜報情報を提供した。
●1950年代にパキスタンが反共産主義同盟の一員になると、欧米はパキスタン軍やISIを訓練し、設備を与えた。
●ISIの関心はパキスタンの敵であるインドに向けられていたが、陸軍司令官だったアユーブ・カーンが1958年にクーデターを起こすと、国内政治にも台頭していった。
●不自然な国境のために、パキスタンにはさまざまな民族グループが共存し、それらをまとめていくためには、分離独立派と対決しなければならない。パシュトゥン、バローチ、スィンディ、ベンガリである。
●パキスタンの初期の歴史は、地域の独立を求める政治家と、国家統一を果たそうとする多数派・軍官僚との間で作られていった。ISIは政党や政治家を監視するだけでなく、陸軍の目的を達成すをために、彼らを強制的に従わせた。
●軍は1958年から国家を支配していたが、1971年にソ連の援助で東パキスタンがインドから独立してバングラデシュになると、ISIとパキスタン軍は信用を失い、弱体化した。
●しかし1972年に新しい文民リーダーのザルフィカー・アリ・ブットが核兵器計画を開始すると、新たな使命を持った。1年後、バローチスタン州のナショナリストたちに対する軍事作戦が開始した。この2つの出来事がにより、ISIと陸軍は成長していった。
●1977年にブットが、ジア・ウル・ハク将軍に追放された。この頃バローチスタンの軍事作戦は終結したが、核開発計画は発展していった。そして同年アフガニスタンにおけるマルクス主義改革が、パキスタンを脅かした。
●ISIは過去の勢力を取り戻した。
●1979年にソ連がアフガニスタンに進攻すると、状況が変わった。
●カーター大統領と彼の治安アドバイザーのズビグニュー・ブレジンスキーが、イギリス、フランス、西ドイツ、中国、エジプト、トルコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦とともに、欧米・イスラーム同盟を作った。イラン革命派は、アフガニスタン西部の反ソ連ゲリラを援助した。
●すべての外国援助は、パキスタン経由でムジャヒディンに入っていった。これを全部ISIがコントロールし、アフガン担当部門が7つのゲリラ組織と協力しながら活動した。援助は極秘で行なわれていたために、パキスタン陸軍でさえ、この事実を知らなかった。
●CIAは24万人を武装するだけの武器を提供し、サウジはアメリカと同額の援助金を与えた。他の国々は武器や金をムスリム国家に与え、ジハードに参加するために、志願者を募集した。
●外国からの資金のために、パキスタンの都市部や国境地帯に、数百のマドラッサが建てられた。ここからタリバンが生まれ、対ソ連キャンペーンに参加していった。
●ISIはこれらの作戦を極秘に指揮し、毎年数万トンの兵器を扱い、何十万人もの戦闘員たちの活動を統括した。
●最終的に1988年にソ連は撤退を開始し、1989年に撤退が完了した。ムジャヒディンとパキスタン人パトロンたちは大きな勝利を収め、結果的にソ連が崩壊するきっかけとなった。
●だからムシャラフ大統領は、ISIを守らなければならないのだ。
●欧米がムジャヒディンを支持したために、対ソ連戦争が終わるとアルカイダやタリバンが出現し、アフガニスタンはアメリカ主導の「テロとの戦争」に巻き込まれる結果になった。
●9.11以後ムシャラフは、陸軍からジア時代からの贈り物であるISIを含むイスラーム原理主義者たちを、排除しようとしてきた。その結果、陸軍内部には彼の暗殺を狙う者たちもいる。
●パキスタン政府とISIの保護を受けた戦闘員たちはアフガニスタンを去ったあと、今度はインド領カシミールで戦いを開始した。インドは、国内やカシミールに対する攻撃をパキスタン政府とISIのせいだと、繰り返し非難している。
Pakistan's shadowy secret service●アフガニスタン東部で政府関係の車が爆破され、5人が死亡した。いっぽう週末に、軍と警察が戦闘員54人を殺害したと報告した。
●ナンガハール州で、リモートコントロール爆弾で地区の幹部高官3人−−ホジャニ地区の行政官、警察司令官と諜報官−−が死亡した。警察官と通行人も死亡したという。
●タリバン報道官のユースフ・アフマディが、犯行声明を出した。
●いっぽうウルズガン州では、土曜日に軍が「敵」を30人殺害したと報告した。警察によると、20人が殺害されたという。
●これとは別に日曜日、ウルズガンのチャルチノ地区で「アフガニスタンの敵」3人を殺害したと、国防省が発表した。さらに土曜日、ヘルマンド州で戦闘員16人が死亡、2人が逮捕された。
●カンダハルのダンド地区では、タリバンが道路建設に従事していたアフガン建設会社の従業員を襲撃した。「この戦闘でタリバン5人が殺害され、4人が負傷した。タリバンは、パキスタン人労働者2人を連れ去った」と、関係者が述べた。
●さらに同盟軍はファラ州で、自爆しようとしていた男を逮捕した。(後略)
Bomb kills five Afghans, around 54 Taliban killed in clashes