【2006年11月13日〜11月19日】


■負傷したタリバン、パキスタンで治療を受ける[061119 Sunday Times]

パキスタンは、負傷したタリバンが隠れ家で治療を受けることを黙認している。先週『Sunday Times』は、タリバン司令官と部下の戦闘員たちが、クエッタで静養したり町の中を自由に歩き回っていることを知った。

パシュトナバードの白い塀で囲まれた敷地内で、30人以上のタリバンが、アフガニスタンでの戦闘で受けた怪我の治療を受けていた。

きれいにアイロンのかかった服をまとい、黒いターバンを巻いてアイラインを引いたタリバンたちが、クッションにもたれかかり、グリーン・ティーを飲み、甘いお菓子を食べながら、自分たちが大きな打撃を受けたと報ずるNATOを笑い飛ばしていた。

中でも最もふてぶてしいのが、先月ヘルマンドのゲレシュクで英軍と戦ってふくらはぎを撃たれた、若い司令官だった。彼は治療のために、クエッタに戻って来た。「英軍と戦うのは、パンを食べるのと同じくらい簡単だ」と、優しい声で語った。「英軍と戦うのは、米軍と戦うよりも簡単だ。彼らは信仰を持たない」。

タリバンがクエッタで訓練を受けているだけでなく、休息して静養しているという証拠は、今日ブレア首相を迎えることになっているムシャラフ大統領にとっては、大きな屈辱だ。

(中略)ワシントンとホワイトホールでは、パキスタンがどちらの味方なのか決めきれずにいる。何人かの地方司令官たちが、クエッタで休息し、NATOの手の届かない場所で勉強していることを認めた。警察から定期的に「取り締まり」を受けるが、2ポンドほどの賄賂を払えば、問題は解決するいう。

「戦いは楽しい」と、アフガニスタン南部で指揮する38歳の男が語った。「異教徒に対するジハードは、本を読んで勉強することよりも大切だ。弱い男は1年に3ヵ月間戦い、あとは勉強して休めばいい。強い男は、半年間戦うべきだ」。

ムラー・カハルマーンと名乗る男は、「戦いが開始される際にアッラー・アクバルという声を聞くと、敵に向かって走って行く自分を止めることができない」という。9月にNATO軍とパンジャワイ地区で戦ったあと、クエッタに戻って来た。

NATOはタリバン戦闘員1500人を殺害したと主張しているが、タリバンはこれを否定する。このNATO軍の最大の戦闘の最終段階に戦場を訪れたが、集団墓地や遺体などを発見することはできなかった。

「もしNATOがタリバン500人を殺害したなら、50人分だけでもいいから、タリバンの墓を示すべきだ。そうすればその数字を信じよう」と、ある司令官が語った。「しかしたった1つの墓もない。我々は戦闘員32人を失っただけだ。彼らは一般市民多数を殺害している」。

多数の戦闘員たちが、イギリスに対して辛口だった。「無線を通じて英軍と話した」と、ムラー・サマートという血走った目の若い男が言った。彼はヘルマンドのムサ・カーラで、小隊基地の中に包囲されていた英軍と戦った。「『イギリス人に死を、異教徒に死を』といえば、『タリバンに死を』と言い返してきた」。

彼によると、自分は300人からなる戦闘員グループの一員で、そのうちの10%だけが、パキスタンのマドラッサで教育されたハードコア・タリバンだという。他の者たちは、カルザイ政府に幻滅した村人だ。

外国人が戦いに加わっていることを否定し、アフガン人ビジネスマンが、戦闘員の手当をするための病院を作る手伝いをしているという。「我々は金のために戦っているのではない。信仰や国家の未来のために、戦っているのだ」。

「イギリス人たちが戦うのを見ると、恥ずかしいことに、彼らは塀の後ろに隠れていた」。「でもイギリス人を殺していることは、いい気持ちはしない。彼らも人間だ。彼らの家族にも、申し訳ない。何の理由もなく、死んでいるんだ。国を占領するためだけに、死んでいく」。

hoonWounded Taliban treated in Pakistan
Tim Albone、Quetta

■パキスタンの自爆攻撃で2人を負傷[061117 AP]

金曜日にパキスタンの北西部で自爆攻撃があり、警察官2人が負傷した。

19歳と思われる男がペシャワル郊外のピシュタ・ハーラで、警察のビックアップ・トラックのそばで自爆した。自爆犯が死亡して、警察の車が損傷した。負傷した警察官は、軽症を負ったという。

これとは別にラホールでもゴミ箱に仕掛けられた爆弾が爆発し、ミニバンに乗っていた乗員14人が負傷した。(後略)

hoonSuicide bomber blast in Pakistan hurts 2
RIAZ KHAN、PESHAWAR

■アフガン部族民、NATOと交渉[061116 Al Jazeera]

『アルジャジーラ』は、「パンジャワイ地区の部族民リーダーとNATO軍司令官の間で、話し合いが進んでいることをつかんだ。同じような取り引きが最近、隣のカンダハルのムサカーラでも、英軍との間で交わされた。

NATO軍は、ムサカーラから1ヵ月前に引き上げた。『アルジャジーラ』は、英軍が長老たちと取り引きをして撤退する前の、激しい戦闘や爆撃によって生じた被害の様子を映像でとらえている。

この町には、タリバンの気配はない。パンジャワイの爆撃で何人が死亡したか、知る者はいない。80人が死亡した、という者もいる。NATOは、その多数が一般市民であったことを認めている。パンジャワイの長老たちは、ムサカーラと同じような取り引きを結ぶことを望んでいる。

部族民の問題に関するアフガン大統領のアドバイザー、ジャン・ムハンマドは、このような取り引きには強く反対するという。

「地域をタリバンに引き渡すということは、そこがタリバンの拠点になること、タリバンの中心になることだ」という。「タリバンは次第に別の地域に移り、同じような要求をし続けるだろう。タリバンの目的は、外国軍を追い払うことだ」。

タリバン幹部で、以前駐パキスタンの大使だったムラー・サイーフは、取り引きは効果的だったと語る。「人々の話によると、ムサカーラは今、平和だという。人々は学校に行き、商売をしている。町が開かれ、人々は満足している」。

ムサカーラにイギリスがいたことを示す数少ない証拠は、地面に放置された国旗だ。今は部族民リーダーたちが、この地域をコントロールしているようだ。

問題は、これが他の南部にも適用できるモデルかどうかだ。NATO報道官によると、正式な取り引きは行なわれていないという。しかし毎日のように、部族民リーダーとは会っている。

いっぽう部族民の情報源によると、来週重要な会合があり、その後NATO軍はムサカーラから撤退し始めるはずだと付け加えた。

hoonAfghan tribes negotiate with Nato
James Bays in Kabul

■アルカイダのリーダー、過激派たちをまとめきれず[061115 New York Times]

オンライン・フォーラムやチャットを通じて過激なイスラームが世界的に広がるとともに、ビンラディンなどのアルカイダリーダーよりもジハード運動に対して大きな影響力を持つ、これまであまり知られていなかったアラブの宗教家たちのグループが浮上してきた。

ジハーディズムと呼ばれるイデオロギーに対する「初の組織的なマッピング」と呼ばれる研究で、ウェスト・ボイントのCombating Terrorism Centerは、ジハーディズムの知的規範において、ビンラディンとザワヒリはもはや大きな影響力を持たないことがわかったという。ネットワークのイデオロギー信奉者たちの間では、彼らは戦略的思索家ではなく、宣伝者として見られている。

アルカイダのこの2人は、ビデオやオーディオ・メッセージを発信続けているが、この研究によると、あるサウジとヨルダンの宗教指導者のグループ、なかでも最も重要なのが、ヨルダン人のアブ・ムハンマド・アル・マクディシが次世代のイスラーム過激派たちに大きな影響力を与えていることが、明らかになったことだという。

その結果、たとえビンラディンやザワヒリが死亡したり逮捕されたとしても、ジハードのイデオロギーが拡大することを阻止できないという。

「感情的には大きな打撃にはなるが、運動全体に目を向け、歩兵が増え続けていることを考えれば、何の打撃にもならない」と、報告者の代表であるウィリアム・マッカントが『The Militant Ideology Atlas』の中で語る。

382ページからなるこの報告書によると、最も影響力があり、頻繁に読まれているのが、『Tawhed(タウヒード)』というアルカイダのオンライン図書である。

アルカイダの階級制が崩壊したあと、『Tawhed』か新たな重要性を帯び、過激派の思想形成に役立っている。

アメリカ人関係者たちは、次世代テロリストたちはアルカイダのキャンプで訓練された者ではなく、オンラインの過激派テキストに影響された戦闘員だという。

「過激主義はインターネット時代、いっそう早く広範囲に、そして匿名で広がって行く。無名の組織が不意打ち攻撃を実施する可能性があり、そのメンバーや支持者たちを特定することは難しくなる」と、National Intelligence Estimate on global terrorismが今年報告している。

Combating Terrorism Centerの報告によると、サラフィー主義と呼ばれる過激イスラームは、アラブ世界に深く根付いているために、現在サラフィー主義者は中東や北アフリカのムスリム人口の「大半あるいは大きな部分」を占める。

(中略)サラフィー派の大半はジハード者ではない。またサイバースベースに過激思想が拡大すれば、この運動を分裂させることもできるかもしれないと考える専門家もいる。(後略)

hoonQaeda Leaders Losing Sway Over Militants, Study Finds
MARK MAZZETTI、WASHINGTON

■イラン、アルカイダの次のリーダーを訓練[061114 Daily Telegraph]

イランが、テヘランに友好的なアルカイダ関係者を幹部の座につけて、ビンラディンのテロネットワークをコントロールしてようしていることがわかった。

欧米諜報機関から入手した情報によると、イラン人がテヘランにいるアルカイダ幹部工作員を訓練し、ビンラディンが死亡した場合、組織を引き継がせようとしている。

ビンラディンの健康状態についての噂が絶えない。(中略)フランスの諜報機関DGSEがリークした情報によると、ビンラディンは今年肝炎で死亡したという。彼が生きていたとしても、現在彼には組織を支配する能力はなく、ザワヒリが動かしている。

イランはシーア派国家でありながらも、アルカイダとは密接なつながりを持つ。(中略)

欧米諜報機関関係者は、イランはテヘランに協力するアルカイダの次世代リーダーたちを育てようとしており、最終的にアルカイダを乗っ取ろうとしていると見ている。

最近のイランからの情報によると、イランはアルカイダの有名な工作員、サイーフ・アル・アデルを昇進することに熱心である。アル・アデルはエジプト特殊部隊の元大佐で、1980年代にアフガニスタンでソ連軍と戦った。また、ソマリアの米軍に対するテロにも関わったとされる。

2001年にアフガニスタンからイランに逃走して以来、アル・アデルは他の100人のアルカイダ戦闘員たちとともに、テヘランで自宅軟禁になっている。ここ5年間、テヘランの革命警備隊のゲストハウスに、ビンラディンの2人の息子、サードとムハンマド・ビンラディンとともに住んでいる。

2003年まで、アル・アデルはビンラディンの警備責任者を勤め、イランに来てからは、著名な革命警備隊司令官数人と、個人的に親しくなっている。

現在イラン人たちは、アルカイダのリーダーたちに圧力をかけ、アル・アデルを組織のナンバー3に昇進させようとしている。ビンラディンが死亡すれば、彼がナンバー2になる。万が一ザワヒリが殺害されたり組織を動かせなくなれば、彼が支配権を持つことになる。

「イラン人による、重要なパワー・ブレイである。アルカイダとイランが同盟を結ぶとなれば、恐ろしいことになる」と、ある欧米諜報関係者が述べた。「過去においては違いがあったが、イランとアルカイダの存続が危うくなっている今、両者が協力することが得策だと気づいたようだ」。

アルカイダとの協力は、アフマディネジャド大統領の命令だという。(中略)アルカイダが、アル・アデルやイランにいる他のアルカイダ工作員たちを組織の幹部に加えた場合、イランは訓練施設や設備の提供を約束している。

イランとアルカイダの関係は、1990年代にまで遡ることができる。イランの革命警備隊がアルカイダ戦闘員を訓練し、1996年にサウジアラビアのダーランにある米軍基地を攻撃した際にも協力している。(後略)

ohIran 'is training the next al-Qa'eda leaders'
Con Coughlin

■イラン、ビンラディン後継者を育てる計画[061114 Daily Telegraph]

イランが、ビンラディンを引き継ぐ新世代活動家たちを育てることで、アルカイダと同盟を結ぼうとしていることがわかった。

欧米諜報関係者によると、イランはビンラディンが健康を害していることを利用して、テヘランと友好関係にあるアルカイダメンバーを幹部の座に昇進させようとしている。

これはテヘランと「新たな関係」を築こうとしているブレア首相にとっては、大きな打撃になる。

昨晩ブレアは、イランとの対話を確立して外交政策を開始し、イランに対して軍事力を使用する脅威を終結させたいと発言した。レバノンやイラクのテロリズムを支持したり核兵器開発を止めれば、イランが孤立するのを防ぎ、パートナーとして迎える計画があることを明らかにした。

イギリスとアメリカ政府はイラクからの撤退方法を模索しており、そのためにはイランの協力が不可欠である。

しかし、イランがビンラディンの組織と接近しようとしていることが明らかになると、このような修正案は効力を持たない。またイランは、イラク南部の抵抗勢力の武装をはかっているとも疑われている。その多くがアルカイダと関係がある。(中略)

しかし、諜報機関関係者が最も警戒しているのは、イランのアフマディネジャド大統領が、親イラン派アルカイダ活動官を、アルカイダ内の幹部の座に着けようとしている点である。

イラン人は、46歳の元エジプト特殊部隊大佐のサイフ・アル・アデルを、アルカイダのナンバー3にすることを望んでいる。

アル・アデルは以前ビンラディンの警備責任者で、FBIの重要容疑者リストの中の、22番目の人間である。ソマリアにおけるアメリカに対するテロ行為に参加していたといわれ、2001年の終わりにアフガニスタンから逃走してテヘランに到着しし、それ以後、革命警備隊のゲストハウスに匿われている。

外務省が、欧米に対して核攻撃を実施するテクノロジーを入手するために、アルカイダがあらゆる手を尽くしていると警告したことにより、アルカイダに関する警戒が高まった。

外務省関係者が語ったところによると、テロリストたちは核、化学、生物兵器を用いるための材料やノウハウを入手するために、世界中を探しまわっているという。(後略)