【2006年12月25日〜12月31日】


■タリバン、アフガニスタンで敗北することはないと、指導者語る[061229 AFP]

タリバン指導者のオマール師が戦闘員たちに、アフガニスタンの一般市民に危害を与えないように呼びかけた。また抵抗運動は、決して敗北しないと語った。

イード祭のメッセージで抵抗勢力の指導者は、2001年以来続いているタリバンの抵抗運動を讃えた。しかし「無実の一般民に危害を与えてしまうような行動を控えるように心がけるべきだ」と、戦闘員たちに促した。「目的を狙うときには、もっと注意深く、慎重になるべきだ。我々のムスリムの仲間たちとは、友好的で誠実な関係を持たなければならない」と、カンダハルに出回った声明で語った。

イスラーム過激派の中には、アフガン一般市民の被害者が出ていることを憂慮している、という報告がある。

いまだに逃走中のオマール師は、抵抗運動は「侵略者」がいなくなるまで続くと誓った。「我々は敗北することはない」という。(後略)

hoonTaliban will never accept defeat in Afghanistan, leader says
KANDAHAR

■アフガニスタンで英兵死亡[061228 AP]

アフガニスタン南部で起きた爆発でNATO軍の車列が破壊され、英兵1人が死亡、3人が負傷した。

水曜日にヘルマンド州をパトロールしていた車が、爆発した。兵士1人が死亡、1人が重傷を負い、2人が軽症を追った。英国防省によると、兵士はイギリス人だという。

(中略)アンディ・ブライス中尉によると、「砂漠の真ん中」で爆発があったために、英兵が狙われたのではなく、過去の戦争で残っていた古い地雷が爆発した可能性があるという。

hoonBritish soldier killed in Afghanistan
KABU L

■イラン、アフガニスタンに影響力を拡大[061227 Washington Post]

2年前に外国人エンジニアたちが、アフガニスタン西部の砂漠を貫き、古代の通商の拠点から外の世界につながる、新しいハイウェイを建設した。近くに高圧線を張り、光ファイバーを敷き、電話やインターネットを完備した。

近代化には、メッセージが付いてくる。5〜10マイルごとに、道路標識にはクルーアンからの引用が書かれている。「神よ、許したまえ」と、ある標識。「神は皆に等しくある」と、別の標識に書かれている。優雅なモスクが道路の脇に立ち、青いタイルにはクルアーンの一説が刻まれている。これはイランの様式だ。

これらすべてが、アフガニスタンで大きな影響力を発揮しようとする、イランの功績である。イランは、中東に影響力や思想を拡大する機会をうかがっている。

レバノンのヒズボラは、イランの協力で強力になった。アメリカがフセインを失墜させたことで、イランはイラクにも影響力を拡大した。アフガニスタンに通じる道路も、建設した。1980年代から90年代にかけて、イランはソ連と戦うために、その後はタリバン政府と戦うために、金と武器を戦闘員たちに送った。しかし2001年にアメリカとその同盟軍たちがタリバン政権を崩壊させると、イランは中央政府の弱さを利用して、さらに戦略を強化していった。再建、教育、そしてプロパガンダに力を注いだ。

イランはアフガニスタン西部を中心に、2億ドル以上の援助を行なっている。西部だけでなく、カブールにも金が流れる。ヘロイン密輸を防止するために国境に検問所を設置し、来年は新しい道路と鉄道の建設に着工する。カブールでは、新しい病院や水質検査場の建設が、予定されている。

イラン大使のムハンマド・レザ・バーラミは、イラン政府のアフガニスタンに対する活動は、隣国として協力しているだけでなく、自分たちの利益にもなると語る。「アフガニスタンにおける我々の戦略は、安全、安定、開発、強い中央政府を基本とする」。「アフガン人のためだけでなく、我々の国民のためにもなる」という。

しかし、別の動機もあるようだ。イランのラジオ局が、アフガニスタンで反米プロパガンダを放送している。アフガニスタンの穏健シーア派のリーダーたちは、テヘランは保守的なシーア派の宗教学校や、これまでもイランの諜報機関と関係を持って来た元軍閥たちに資金援助を行なっている、と語る。

そしてイランの核開発計画が浮上してくるとともに、イランの諜報機関の活動はアフガニスタンで活発になってきたと、アメリカやアフガン政府関係者は語る。単なる諜報情報の収集だけでなく、アフガニスタンにいるアメリカのターゲットを狙える親イラン派の工作員の組織を作っているのだ。(12月20日に、イギリスはアフガニスタンにいるNATO軍の通訳だった英軍関係者を、イランに秘密を漏洩したとして逮捕している)。

イランの動きを知ることは、非常に難しい。政府の各要員は、それぞれの相対立する野心を持つ。アフガニスタンでイランが何も目論んでいるか、ワシントンでは話題になっている。アメリカは、イラク問題に関する解決策として、テヘランと取り引きをするかどうかを論議している。アメリカ人関係者のなかには、アフガニスタンにおけるイランの見かけ上協力は、イラクのモデルとなりうるという。

今のところ、イラクに関してイラン人と話し合うことを拒否しているが、ブッシュ政権は、アフガニスタンに関しては緊張緩和の姿勢を見せている。アメリカ政府関係者によると、今のところ、イラクで見られたような、アフガニスタンにいるイランの代理人に対する武器の輸出は見られないし、アフガニスタンを不安定にさせるような目論みはないようだという。イランのシーア派リーダーたちは、スンナ派のタリバンに対して、以前と同じように敵対しているだけのようだ。(中略)

もっと心配なのは、パキスタンだという。パキスタンはタリバンがアフガニスタンの東側の国境の反対側に、タリバンが拠点を作ることを許している。(中略)(ブッシュ政権が、ワシントンとテヘランとの間の最近の緊張−−アメリカは12月20日と21日に、イラクの治安軍を攻撃した疑いで、バグダッドでイラン人数人を逮捕した−−によって影響力を受けるかどうかは、まだわからない)。

欧米の外交関係者たちは、アフガニスタンにおけるイランの目的は最低限でも、米軍の撤退を早め、タリバンの権力の座への復活に対する妨害をし、アフガニスタンの西部をテヘランの影響下に置くことであると見ている。「この地域を安定させ、自分たちと仲良くさせる。外国人がそこで活動しにくくすること」と、あるヨーロッパの関係者が語った。

(中略)今のところ、アメリカの援助の規模はイランをはるかに上まっている。しかし、イランがここにいることも確かだ。政府内にはイラン人アドバイザーがおり、イラン人専門家が、教師、司書、外交官たちを訓練している。昨年イラン大使館は、カブール大学の図書館にイラン・コーナーを開設し、コンピュータや書籍、雑誌を多数そろえ、イランの古代文化や現代の業績をアピールした。司書によると、アメリカ大使館によって開設されたアメリカ・コーナーよりも、こちらのほうが人気があるという。イランに働きに出るアフガン人たちも多い。今年になってアフガン人45万人にビザを発行した。2005年の約2倍の数である。

《影響の兆し》

アフガニスタン西部では、歴史的にみてもイランの影響力は大きい。イランやイランにいるアフガンの代理人を批判したら、命が危険だという。アフガン西部で起きるすべての怪しい出来事の背後に、イランがあるとさえ言われる。

このような話は大げさではあるが、イランは開発ブログラムの影で、極秘の行動をしているようだ。以前イランから支援されているシーア派司令官のカリ・アフマッド・アリによると、2001年以来、以前の彼のパトロンはシーア派の宗教学校や慈善団体に数百万ドルを流していたという。ヘラート最大のシーア派のマドラッサ、サダキア・マドラッサは、シーア派原理主義拡大のための拠点だったという。「イランは軍事活動はしていないが、政治的、社会的活動をしている」とアリは語る。

サダキア・マドラッサの文化責任者のムハンマド・スィディーク・タワクレイは、イランの援助はないと語る。「真実と事実を語っている」と、学校を案内する前に語った。しかし2度目に案内人を伴わずに学校を訪れると、イランの影響がある証拠が見つかった。

1階の小さな部屋で、ホメイニ師の写真が販売されていた。図書館にはイスラエルとアメリカを非難する書籍が、数十冊あった。『Dark Star』という本の表紙には、ダビデの星が燃えるバックにHasidic Jewの写真があった。イランで印刷された雑誌には、この夏レバノンを攻撃したイスラエルをアメリカが支持したことが非難されていた。

(中略)イランの国営ラジオの『ラジオ・メシャード』は、アフガニスタンに反米メッセージを放送している。「イランはアフガニスタンの宗教的文化的活動に、多大な援助をしている。こうすれば、影響力を与えやすい」と、あるアフガン政府関係者が語った。

穏健シーア派も、これに同意する。「非常に心配している」と、国会議員のアッバス・ノヤンは語る。「今イランは、大きな影響力を持つ」。シーア派政府関係者が語るところによると、新たな宗教学校が、イランの資金で建設されているという。アフガン人たちは、これまであまり重視されていなかった、シーア派にとって重要な宗教の祭日を祝うようになったという。

イランの影響力は、アメリカがアフガニスタンに対する援助を2倍にして、ヘラート知事でイランに擁護された強力な軍閥、イスマイル・ハーンを更迭した時期から強くなった。

(中略)テヘランは2004年に、ハーンの配下の司令官たちに武器を輸送し、訓練を施している。それ以来、この司令官はヘラートで爆発事件などを行ない、ハーンが復帰するようにアフガン政府に圧力をかけたと疑われている。

2月にヘラートでは、数十年ぶりに宗教的抗争があった。スンナ派とシーア派が町で銃撃戦を行ない、6人が死亡した。ハーンが事件を画策したともいわれる。スンナ派とシーア派の対立が顕著になってきたからだ、と言う者もいる。

(中略)カブールでは、アフガン政府関係者たちが援助欲しさに、イランの意図を信じることにしたと述べる。「歴史が証明するだろうが、今のことろ、我々は隣国イランを信じ、向こうも我々を信じてくれることを期待している」と、大統領の補佐官のジャウィッド・ルディンが述べた。

hoonIran Is Seeking More Influence in Afghanistan
DAVID ROHDE、ISLAM QALA

■パキスタンの空港、爆発で1人死亡[061226 BBC]

北西辺境州のベシャワル空港のすぐ外で爆発があり、1人が死亡した。空港の入り口の近くに駐車していた車が爆発し、このほか2人が負傷した。

飛行場には中東に発着する飛行機で、ごったがえしていたという。

今のところ、犯行声明は出ていない。

hoonPakistan airport blast kills one

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2006.