【2007年1月8日〜1月14日】


■NATO軍とアフガン軍、タリバン30人を殺害[070114 AFP]

週末に英兵が死亡したアフガニスタンでの軍事作戦で、タリバン戦闘員30人が死亡したと、アフガン警察が発表した。

英軍は抵抗勢力の死亡者数は発表していないが、「おそらくかなり多数」がヘルマンド州のハジャキ地区で死亡したと述べた。

「2日に及んだ作戦で、タリバン30人が死亡し、20人が負傷した」と、ヘルマンド警察長官のムハンマド・ナビ・ムラーヘールが語った。作戦は日曜日に終結したという。「抵抗勢力の遺体は、いまだに放置されている」。

ヘルマンドにいる英軍のローリー・ブルース中佐によると、軍には、最初に死亡した兵士以外には、死傷者はいないという。

タリバン報道官のムハンマド・ユースヘ・アフマディは、戦闘員3人が死亡し、8人が負傷したと発表した。(後略)

hoonNATO, Afghan operation killed 30 Taliban: police
KANDAHAR

■パキスタンに抵抗勢力の指導者[070113 AP]

パキスタンから指揮しているアフガン抵抗勢力の指導者が、ビニールの袋などを足にまきつけた、約200人の祖末な格好の戦闘員たちをアフガニスタンに送り込んでいると、米軍の幹部将軍が土曜日に述べた。

ベンジャミン・フリークレイによると、ジャラウッディン・ハッカーニが、訓練されていない戦闘員たちを雇ってアフガニスタンに送り込んだという。

米軍は水曜日の夜から木曜日の朝にかけて、パクティア州で2つのグループに別れて動いていた戦闘員130人を殺害した。

「パキスタンにタリバンの指導者がいる」と、フリークレイが語った。「ハッカーニがこのグループを送りこんできたことが、わかっている。どこかは明言できないが、彼はパキスタン国内におり、そこから戦闘員たちをアフガニスタンに送り込んでいる」。

(中略)「これらの男たちは、貧しい村のマドラッサや難民キャンプから集められ、戦うように言われたのだと思う」。(中略)戦闘員たちは、マルガー村の反対側に設営された、新たな軍の前哨基地を攻撃するつもりだったに違いないと語った。(後略)

hoonU.S. Gen.: Insurgent chief in Pakistan
RAHIM FAIEZ、BAGRAM

■NATO軍兵士、アフガニスタンで殺害される[070113 AFP]

アフガニスタン南部における抵抗勢力との衝突で、NATO軍兵士1人が死亡した。今年になって死亡した、最初の外国人兵士である。

抵抗勢力と国際平和維持軍ISAFとの間の戦いで、兵士が死亡した。軍は空からの援助を要請し、反撃した。

ISAFは兵士の国籍を明らかにさせないために、戦いが発生した州について明言していない。

hoonNATO soldier killed in Afghanistan
KANDAHAR

■NATO、アフガン人殺害で非難される[070112 BBC]

木曜日にアフガニスタンのヘルマンド州で実施されたNATO軍の空爆で、少なくとも一般市民13人が殺害されたと、警察が発表した。ガルムサール地区に対する空爆で、タリバン戦闘員16人も殺害された。

しかしNATO軍は、一般市民の犠牲者がいたという証拠はないとして、諜殺害されたのは全員抵抗勢力だったと発表した。

NATO軍がパキスタンとの国境付近で、タリバン150人ほどを殺害したと発表した数時間後のことである。

州警察長官が『AFP』に語ったところによると、空爆が実施された際に、タリバン戦闘員たちが建物内に一般市民を人質にしていたという。負傷者の中には、女性や子供たちもいたらしい。

攻撃された建物は、アフガニスタン南部にいるタリバン軍の本部といわれ、空爆が実施されたとき、タリバン戦闘員60〜100人が立てこもっていたと、イギリスが発表した。

2つの建物のうちの1つは、空爆されて破壊される前、狙撃兵たちの攻撃を受けた。2つ目の建物も、空爆で破壊されたという。「空からの攻撃は標的を直撃し、他の建物や一般市民の被害はないという報告を受けている」との声明が発表された。(後略)

hoonNato accused over Afghan deaths

■パキスタンのアルカイダジレンマ[070112 BBC]

アメリカのスパイ機関長官が、パキスタンでアルカイダは再生し、そこを拠点としていると述べた。過激派と戦うと宣言しているパキスタン政府の立場は、いったいどうなのだろう。

9.11以後、パキスタンは圧力をかけられたために、アメリカのテロとの戦争を支持することを決めた。その結果、パキスタンは二重政策を取らざるを得なくなり、アルカイダとタリバンは抑圧されるとともに、活動的になった。

一夜にしてパキスタンは、これまでの政策すべてを変更せざるを得なくなった。(中略)

《軍事援助》

政策の変更は非常にゆっくり行なわれ、イスラマバードがタリバンに協力しているという疑惑は、すでに2002年から浮上していた。

当時のメディアの報告によると、パキスタンの諜報機関工作員たちはアルカイダやタリバンを匿い、タリバン戦闘員たちへの軍事援助品を持って、アフガニスタンに潜入しているといわれていた。

アフガニスタンに対するパキスタンの政策のおかげで、インド領カシミールは比較的安定していたが、次第にイスラーム過激派を押さえ込むことが難しくなってきた。

アメリカは、アフガニスタンにおける自分たちの政策を成功させるためにはパキスタンが大きな鍵を握っていると見て、イスラマバードを大目に見ていた。パキスタンかしっかりさえしていれば、アフガニスタンにあまり介入してこないだろうと考えていたようだ。

おかげでパキスタン政府は、この問題を巧みに乗り越える余地ができた。

しかしアナリストたちは、体制の派閥の中には、アフガニスタンにおける国家の利益に害になるようなことを控えようとする者たちも出てきたと指摘する。

《隠れ家》

アメリカの関心がイラクに移ったことで、圧力が軽減した。2004年が、転換期になったといえよう。

この年パキスタンは、カシミールにおける活動を控えるようになった。2005年にカシミールで地震が起きてからは、完全に止まった。

アフガニスタンと接する部族地帯では軍事作戦が開始されたが、その後南ワジリスタンで和平協定を結んでしまった。その結果、この地域は、アラブ人やウズベク、チェチェンの抵抗勢力を匿っているといわれる親タリバン派戦闘員たちの天下になってしまった。

欧米のオブザーバーたちは、同じような和平協定が北ワジリスタンでも締結され、この地域はアルカイダやタリバン戦闘員の隠れ家となったと見ている。

《アフガニスタン南部のタリバン戦闘員》

イスラマバードの政府権力は、ワジリスタンの北部、特にバジョールにも及ばなくなってきた。

いっぽうバローチスタン州におけるバローチナショナリストの抵抗運動を封じ込めることに気を取られていたために、アフガン国境沿いに沿うパシュトゥーン・ベルトを安定させようとする意識が欠如してしまった。

欧米を始めパキスタンのメディアは、この地域がパキスタンにおけるアルカイダとタリバンの最大の隠れ家だと見ている。

カシミールの前線では、インドは過激派たちを追い詰めたために、彼らはほとんど活動できなくなった。アフガニスタンでは、政府の権力はほとんどなく、外国軍の存在により、過激派たちは勢力的に活動している。NATO軍の攻撃によって一般市民が犠牲になり、住民たちの怒りによって戦闘員に転じる人間の数が増えている。

《芳しくない選択》

去年はアフガニスタンでは欧米の兵士約200人が死亡し、特にひどい年だった。アフガン政府軍と一般市民の犠牲者は、数千人に登った。来春は、さらに問題が深刻になることが予測される。

アナリストたちは、欧米の同盟軍にとっては2つの選択肢しかないと見ている。パキスタンの部族地帯を絨毯攻撃して、政治的混乱を引き起こすか。あるいはアフガニスタンから撤退するか。

しかし、3つ目のオブションもある。

もしNATO軍とパキスタン政府関係者の話を信じるとすれば、タリバン戦闘員多数が殺害された木曜日に、アフガニスタンのバルマール地区における攻撃は、両者の諜報情報の共有と作戦の協力の賜物だった。

NATOの見解からすると、これはパキスタンによる具体的な行動といえる。このような協力が今後も続けば、タリバンやアルカイダは追いつめられるかもしれない。

しかし、予定されている選挙が近づくにつれ、パキスタンが国境地帯から関心をそらすことになれば、アルカイダとタリバンはこれまで以上に大きな攻撃をかけてくるだろう。

hoonPakistan's Al-Qaeda dilemma
Ilyas Khan、Karachi

■パキスタンのタリバン、犠牲者を賞賛[070112 BBC]

2005年以来、南ワジリスタン出身のタリバン170人以上がアフガニスタンで殺害されたことを『BBC News』は突き止めた。タリバンにより、死亡した戦闘員の家族が最近表彰された。

(中略)目撃者によると、12月28日にスピン・ラハザイ村で表彰式が行なわれたという。パキスタン軍と和平協定を結んだ、親タリバン派司令官のバイトゥッラー・マフスードにより、表彰が行なわれた。

目撃者によると、マフスードが、2005年2月以来アフガニスタンで殺害された175人の戦闘員の家族に、表彰状を手渡したという。これらのうち戦闘員50人が、彼が属するマフスード族で、残りがワナ地域に居住する、アフマッドザイ・ワジール族である。

《公的な隠れ家?》

南ワジリスタン出身の国会議員のメンバーも、この表彰式に参加した。ワナ地区出身の国会議員、モーラナ・アブドゥル・マリークとモーラビ・サレー・シャー・クレイシーが『BBC』に、自分たちが表彰式に参加したことを認めた。しかし単なる来賓者であり、表彰式の企画には参加していないという。(後略)

hoonTaleban in Pakistan commend dead
Ilyas Khan、Karachi

■アルカイダの指導者はパキスタンにいると、アメリカ[070111 Reuters]

アルカイダの指導者は、パキスタンの安全な場所に隠れており、打撃を受けたものの再び組織を動かしていると、アメリカ諜報機関責任者のジョン・ネグロポンティが木曜日に語った。

指導者がこどこにいるか、その場所について言明はしなかったものの、アルカイダの組織の中心はパキスタンにあると語った。「アルカイダは、リーダーが隠れているパキスタンから、中東、北アフリカ、ヨーロッパに影響力を発している」という。

ネグロポンティが、アルカイダ本部としてパキスタンを名指ししたのは、初めてのことである。

ネグロボンティはビンラディンやザワヒリの名前は出さず、パキスタンのどこにいるかも言明しなかった。ネグロボンティは2005年4月に、アメリカ諜報部責任者となり、近々国務副長官になる予定である。(後略)

hoonAl Qaeda's leaders are in Pakistan, U.S. says
By David Morgan

■NATO軍とパキスタン軍、戦闘員と戦う[070111 AP]

NATO軍が木曜日に、パキスタンから越境した戦闘員数十人を殺害したと発表した。いっぽうパキスタン軍は、戦闘員たちを運ぶトラックをパキスタン側から砲撃したという。

NATO軍は、タリバン戦闘員たちがパキスタン国内にいるうちから、空から監視していた。国境を越えたところで、NATO軍とアフガン軍が2つのグルーブを地上砲火と空爆を用いて攻撃し、戦闘は約9時間続いた。戦いは水曜日に開始された。

アフガン軍地域警察副司令官のムラッド・アリ将軍は、戦闘員たちはアフガニスタンのパクティア州に、爆発物を積んだトラックに乗って入ってきたと語った。米軍報道官のポール・フィッツパトリック中尉は、グループの大きさを考えると、すぐにでも攻撃を実施しようとしていたはずだと述べた。

(中略)フィッツパトリックによると、戦いで戦闘員130人が殺害、あるいは死亡したという。当初は150人が死亡したと発表していた。アフガン国防省は、死者の数を80人としている。タリバン報道官のムハンマド・ハニーフは、NATOが発表した死者の数は「完全なる嘘」とする声明を書面で送ってきた。

パキスタン軍報道官のショーカット・スルタンは、軍が水曜日の夜に戦闘員たちのトラックを攻撃した事実を見れば、「リアルタイム」の情報が与えられれば、迅速に、しかも正確に行動できることが証明されたと述べた。「こちら側から何者かが越境していることは、否定しない。だからリアルタイムの諜報情報を求めている。それを止めさせことを、望んでいる」。

9月に親タリバン派戦闘員と政府との間で和平協定が結ばれて以来、部族地帯での作戦は初めてのことである。

(中略)ヘルマンド州では木曜日に、タリバンの建物が空爆され、容疑者16人と、タリバンによって拘束されていた13人が殺害されたと、州警察長官のグーラム・ナビ・マラヘールが述べた。近くの家屋にいた一般住民も負傷したという。

hoonNATO, Pakistani army battle militants
JASON STRAZIUSO、KABUL

■抵抗運動、ビンラディンの闘争に一役[070111 AP]

ヘクマチアルがテレビのインタビューに出演し、2001年にアルカイダのリーダーがトラボラから逃走する際、自分の部下の戦闘員が彼らに協力したと述べた。

ヘクマチアルがパキスタンの『Geo』テレビに出演し、5年前にアメリカがビンラディンを狙って攻撃したときに、彼の部下の戦闘員たちがビンラディンやザワヒリなどを安全な場所に誘導し、その後そこで彼らに会ったと述べた。

(中略)インタビューでヘクマチアルは、アルカイダとはその後関係を持ち続けていないと主張した。「我々は、アルカイダと組織的な関係はない。アフガニスタンの外では、軍事作戦を実施していない」という。

(中略)またタリバンに、協力してアメリカをアフガニスタンから追い出そうと提案したが、タリバンのリーダーたちはこの考えに共鳴しなかったという。「タリバンと何度か交渉したが、うまくいかなかった。彼らが我々を必要とすれば、我々はいつでも準備ができている」。(後略)

hoonInsurgents play role in bin Laden escape
SADAQAT JAN、ISLAMABAD

■パキスタンの国境、アフガンの抗議で閉鎖[070111 AFP]

アフガン人数千人が、国境の監視システムに抗議したために、パキスタンとアフガニスタンの国境の主要検問所が閉鎖された。アフガン人数千人が、チャマンの反対側にあるアフガニスタン南部のスピンボルダックに集まり、検問所の門に向かって石を投げつけたために、当局が国境を閉鎖した。

「治安悪化のために、国境は閉鎖された」と、パキスタンの国境警察司令官のマスード・アンワル大佐が述べた。

前日にパキスタンは、コンピュータ化した新たな生物測定機器を用いて、国境を越える人々の監視システムを開始したばかりである。当局は国境通行パスを発行するにあたり、身元確認のために指紋の記録を始めた。(後略

hoonPakistan border crossing closed after Afghan protest
CHAMAN

■NATO、タリバン戦闘員150人を殺害[070111 BBC]

NATO軍によると、アフガニスタン東部の戦闘で、タリバン戦闘員150人を殺害したという。

「戦闘員たちがパキスタンに集まっているのが観察され、その後攻撃を行なうために国境を越えた」と、NATO軍が声明を発表した。パキスタンが、戦闘員の監視に協力したという。戦闘員たちは、砲撃と空爆で殺害された。

アフガン国防省は、死亡者の数を80人としている。死者の数は、まだはっきり確認されていない。

タリバン報道官は、死亡したのは一般市民で、戦闘員ではないと語った。しかし関係者によると、攻撃を受けた地域には、一般市民はほとんどいないという。

《報道の混乱》

タリバン報道官のムハンマド・ハニーフ博士が『AP』に語ったところによると、タリバン戦闘員150人が殺害されたという報道は、「完全な嘘」だという。

戦闘は、パクティア州のマルガー・ヒルで起きた。

『BBC』に入った情報によると、地元ワジール族の少なくとも4人の遺体が、パキスタン側の北ワジリスタン、ミランシャーに運ばれたという。

NATO軍の報道によると、タリバンの2つのグループが監視され、国境を越えた地点で攻撃したという。「戦いの直後、戦闘員150人が殺害された」という。

国防大臣は死者の数は80人としたが、アフガン人司令官のムラッド・アリは、10人の遺体が回収されただけだと述べた。おそらく50人ほどが死亡したはずだど、個人的な見解を述べた。

なぜこれほど死者の数が異なるかは、わからない。NATO軍も、どのようにして死者の数を確認したかを、明らかにしていない。アリ将軍は、タリバンのグルーブ1つだけが国境を越えたと述べている。

(中略)先月NATO軍は、ヘルマンド州の戦闘でタリバン80人を殺害したと発表したが、後に死者の数は8人に訂正された(後略)。

hoonNato 'kills 150 Taleban fighters'

■タリバン、資金が潤うわけ[070110 Asia Times]

タリバンがアフガニスタンとパキスタを行き来するように、タリバンの抵抗運動を持続させるための資金も、2国間を行き来する。

9.11直後、アメリカが課した資金に対する規制により、アルカイダとタリバンの銀行口座が凍結されて、資金の流れに大きな支障が来した。しかしアフガニスタンやイラクの状況を見てもわかるように、金の流れは途絶えていない。なぜならワシントンは、ハイテクを用いた解決法しか採用しなかったからだ。

アフガニスタンの山中やイラクの砂漠の中で働く「原始的な知恵」に焦点を当てていたなら、アメリカはもっと優位に立てたはずだ。

《タリバンのマネー・マン》

私はカラチのバナサス・コロニーの小さな部屋で、ハビブッラーとアブドゥル・ジャリールに会った。世界の都市の中でも、最も大きなパシュトゥーン・コミュニティーだ。ここからパシュトゥーンは、カラチとそこから他地域へ広がる輸送業を牛耳っている。その後、アフガニスタン南西部出身のタリバン数十人が、私たちに合流してきた。

さらに裕福で、気品のあるパシュトゥーンの長老たちも合流した。カラチにいるパシュトゥーンのほとんどは労働者だが、上層部の人間は輸送業を支配する。

全員が部屋に落ち着くと、ジャリールが話し始めた。「ジハードはアフガニスタンで5年間続いている。春にはもっと激しくなるだろう。我々は、世界のスーパーパワーである敵と対決している。我々には信仰の力がある。私はあなたをアフガニスタンに招き、不屈のムジャヒディンたちを見てほしい。彼らは食料もなく、暖かい服もない」。

「我々は、我々を踏みつぶそうとしている、象のようなスーパーパワーと対戦している。彼らは世界でも最も強力なテクノロジー、空軍力、爆弾を持っている。しかし、我々はイスラームの前衛部隊だ。我々の唯一の武器は、国家や地域のために捧げる、肉体と血だ」。

「我々には、外国人の侵略者たちから我々の土地を守るための、備品や補給物資が必要だ。あなたがたに、アフガニスタンの解放運動のために貢献してくれることをお願いしたい。抵抗運動のムジャヒディンのために、現金を与えてほしい」。

1時間もしないうちにジャリールは、70万ルピー(1万1600ドル以上)を集めていた。「地元のアフガン人たちも、大いに協力してくれている。そして今、これだけの資金が集まったことにより、カンダハルのパンジャワイ地区にいるタリバンたちは、今後6ヵ月戦うことができるだろう」。ジャリールの隣りに座っていた仲間のタリバンは、ヘルマンドやカンダハルの前線のために、カラチやラホールでも金を集めた。

ジャリールによると、カンダハルの地元の部族民たちが、食料、衛星電話のカード、燃料などの日常品の面倒をみており、負傷したタリバンが治療を受けるためには、さらに資金が用いられる。こうした伝統的な部族のシステムを用いて、タリバンたちは自分たちで問題を解決する。現代的な、洗練された金融制度を用いない。

《タリバン・コネクション》

アフガンの部族システムの中で、ヌールザイ族が最もタリバンに傾倒している。いっぽうアチャクザイ族は、一部がタリバンを支持しているにすぎない。彼らはお互い、アフガニスタンとパキスタンのパシュトゥーン地域の通商を牛耳っている。

彼らの居住区は、パキスタン南西部からアフガニスタン南部の地域に広がる。パキスタン側ではチャマンのマーケットを支配し、アフガン側ではスピンボルダックのマーケットを牛耳る。

サルダル・ショーカット・ボパルザイはバローチスタン経済フォーラムの会長で、バローチスタンの経済傾向のリサーチを実施している。アフガニスタンの王族であるパブルザイ族と関係があるために、ショーカットはアフガニスタンの経済状況にも詳しい。

「チャマン商工会議所のメンバーは100人しかいないが、チャマンのマーケットには3600人以上の輸出・輸入業者がいる」。「そのほとんどが、アラブ首長国連邦のドバイやジャバリ・アリに事務所を持つ。チャマンのような荒れ地に裕福な人間がたくさんいて、本当に驚かさる。彼らは商売の独占権を持ち、イラン、パキスタン、アフガニスタン、中央アジアで最も高級なタバコのブランドであるThree Fives Cigarettesの地方エージェントは、チャマンを拠点としている」。

「さらに中古車輛の輸入に対する独占権も持ち、それを改造、調整して地方のマーケットで転売する。ドバイの次に、ヨーロッパにも輸入のための事務所を設けている」とショーカットは語る。

「もし日本の名古屋や大阪に行けば、チャマンのビジネスマンが活躍しているのを見るだろう。彼らは非常に優位に立ち、現金がたんまりある。日本を訪れても、数カ月の間、五つ星ホテルのワンフロアを借り切って泊まることもできる」という。

これらの商売人は、全員ヌールザイ族(全員親タリバン)かアチャクザイ族(一部親タリバン)だ。彼らはカンダハルでも活躍し、ここに新たに建設されたホテルをすべて所有している。

それでも、いまだにタリバンの重要な財源であるのが、アラブ首長国連邦である。ここでは伝統的なハワラのシステム(書類を必要としない送金制度)を通じて、あるいは直接人間を通してお金が動いて行く。

まだ指名手配になっていないタリバン司令官たちは、しばしばアラブ首長国連邦を訪れ、アフガン・ディアスボラを通じて、アフガン抵抗運動の資金援助を求める。去年の春の攻撃の前、資金を集めるために、タリバンのダドゥッラー師もアラブ首長国連邦を訪れた。

パキスタンに金を持ち帰り、アフガニスタンに送ることは何の問題もない。タリバンは銀行など使用しない。そして国境を自由に行き来する。

hoonHow the Taliban keep their coffers full
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■寒さのなかでタリバンを追跡[070109 BBC]

荒涼とした風景のなかで、1月の夜の凍てつく風が山中を通り、カンダハルの平地へと降りてくる。この時期タリバン戦闘員たちは、村の中や丘に紛れ込む。春がくるまで、抵抗運動は本格的にならない。

この一時休止の間、NATO軍は新たに訓練されたアフガン治安部隊とともに、ハードコア・タリバンと彼らの雇った戦闘員たちとを分裂させようとしている。

この作戦は、経済的な作戦ともいえる。村の若者や女性たちに、農業やアフガン警察官になるための訓練など、生活費を稼ぐための機会を与え、タリバンの誘いに乗らないようにさせようとしている。

数カ月後には種まきのシーズンが到来するが、地元の農民たちに、なんとかケシ栽培をさせないように説得することも必要だ。ケシ栽培の収益は、タリバンの収入源となる。二面制のある作戦だと、カンダハルのNATO軍司令官報道官のデビッド・マーシュは語る。カンダハルのNATO軍は、タリバンと戦うとともに、橋などの建設も行なっている。

バーズ・トゥカ作戦と呼ばれる、カンダハルのパンジャワイとザーリ地区で実施されている現在の軍事作戦は、これらのことを念頭に実施されている。

《カナダ中心》

カンダハルのNATOの軍事作戦の中心にいるのは、カナダ軍2500人である。去年、最も戦いが激しかった地区で作戦を実施している。

月曜日にカナダの外務大臣のピーター・マッケイが、戦場にいるカナダ軍やカナダの支援で実施されている開発計画を、軍のヘリコプターで視察した。

冬になってタリバンの攻撃が一段落したために、カナダ人や他のNATO軍にとっては、ここでするべきことをする機会がやっと訪れた。アフガンの一般市民のために、意味のある開発援助を実施できるための治安を確保することだ。

マッケイ氏は、アフガン警察に対する援助や訓練、装備や給料を約束して回った。アフガニスタンにおける外国軍の駐留に一般民が懸念を感じ始めている今、このような外交政策は非常に重要だ。本国の選挙民の心を勝ち取るためにも、必要だ。

《不安》

今、非常に危うい状態だ。NATO司令官たちは、アフガニスタン南部の抵抗運動に大きな打撃を与えたという自信を持つ。しかし「鎮圧した」と主張している地域に、タリバン戦闘員たちが「再び入って来た」という噂は絶えない。

最も関心が高いのは、タリバンが行き来できる、パキスタンとの国境地帯だ。アフガン政府は、隣国は部族地帯にある「隠れ家」を摘発していないと、繰り返しいらだちを表明している。タリバンたちはここで再結成され、新たなメンバーを訓練し、作戦資金を補充するといわれる。

パキスタンは国境沿いに柵を張り巡らせ、地雷を設置すると提案した。しかしこの計画は、アフガン人たちをあきれさせ、国境地帯を行き来するパシュトゥーン族にとって危険であるだけで、パキスタン内で活動するタリバンの掃討作戦には、何の益にもならないという。

タリバンの指導者たちが抵抗運動を再燃させる脅威に対して、アフガニスタン内でNATO軍が実施した飴と鞭作戦が成功したのかどうかがはっきりするのは、暖かい季節になってからである。

hoonTackling the Taleban in the cold
Dan Isaacs、Kandahar

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2007.