【2007年1月15日〜1月21日】
●私のカメラマンのアフタル・スームロと私がクエッタで取材をしていた際、それぞれが泊まっていたホテルに派遣された私服の諜報機関関係者に、数日間尾行された。これはパキスタンにいるジャーナリストにとっては、めずらしいことではない。常に行動、電話やインタビューの内容などが監視される。
●クエッタに入って5日目に、4人の私服の男がダウンタウンのホテルに泊まっていたスームロを逮捕し、コンピューターや写真の機材を押収した。
●その夕方、私のホテルを捜索し、キーカードを用いて施錠し、ドアチェーンを壊して部屋の中に入って来た。コンピュータやノート、携帯電話が押収された。
●工作員のうちの1人が私の顔と頭を殴り、私は床に倒れ込んだ。腕やこめかみ、頬に痣ができ、目が腫れ、膝を捻挫した。
●男の1人は、クエッタの近くにあるパシュトゥナバードを訪れてはならず、タリバンのメンバーにインタビューすることは禁じられていると述べた。男たちは身元を明らかにしなかったが、翌日、内務省で所有物を引き取る許可を得ることができると語った。
●情報相、タリム・アジーム・ハーンの介入で、我々の所有物が数時間後に返却された。スームロは5時間拘束されたあと、釈放された。
●諜報機関は我々のコンビューター、ノートや携帯電話のデータをコピーし、クエッタの情報源や関係者を追跡したことが、その後明らかになった。
●私がインタビューした者、地元ジャーナリスト、私を助けてくれた人々など、全員のもとに諜報機関であるISIが訪れ、質問された。スームロは、『New York Times』や外国機関と仕事をしないように、忠告された。
Rough Treatment for 2 Journalists in Pakistan●国境地帯におけるタリバンの再結成に関して、最も深刻な質問は次のようなものであ。パキスタンの諜報機関は、イスラームの抵抗運動に協力しているか?
●パキスタン政府はこれを強く否定している。(中略)欧米の外交関係者やパキスタンの反体制派の人間たちは、パキスタンの諜報機関、特にISIが、イスラーム主義のためだけでなく、ジハード運動によりパキスタンの西部に影響力を及ぼすために、タリバンの再結成に協力していると主張する。
●2週間以上もこの国境地帯で取材した結果、クエッタはタリバンにとっていまだに重要な拠点であることが明らかになった。パキスタン政府が抵抗運動を支援しているとまではいかなくても、少なくとも彼らをけしかけていることは確かだ。
●クエッタの宗教学校において、タリバンシンパの行動は目に余る。住民によると、学生たちは教師たちの祝福を受け、アフガニスタンで自爆をするために送り出されている。
●息子を自爆で亡くした3組の家族は、パキスタンの諜報機関からの圧力が怖くて、詳しくは話せないと語る。地元の人間は、アフガニスタンでの戦闘や自爆のために、数十家族が息子を失ったと語る。
●ある元タリバン司令官がインタビューで、アフガニスタンに戦いに行かなかったために、パキスタンの諜報機関によって勾留されたと語った。表向きには、パキスタンにおけるタリバン捜索で逮捕されたということになったという。アフガニスタンで戦うことを拒否した元タリバンたちは、逮捕されたり、こっそり殺害されたりしているという。
●「パキスタン人たちは、タリバンに積極的に協力している」と、ある欧米外交関係者がカブールで行なわれたインタビューで語った。最近、タリバン司令官とパキスタンの元ISI大佐が国境付近で会談した、という諜報レポートを読んだことがあるという。
●(中略)パキスタン軍や諜報機関は、国内の反体制派に圧力をかけ、外交政策を操るために、宗教政党を数十年間利用してきたと、パキスタンの元首相アドバイザーだったフサイン・ハッカーニが語る。
●1980年代に宗教政党は、カシミールやアフガニスタンのジハードのために、人間を集めた。カシミールやアフガニスタンにおける協力の見返りとして、諜報機関は宗教政党のために得票を集め、活動の自由を与えた。
●ISIは一時ジハード者を訓練するために、特別部門さえ持っていたことがある。今日宗教政党は、自身の人員の訓練をできるだけの人材を持つ。しかし、ISIが電話の盗聴や人間の動きを徹底的に監視しているために、宗教政党が彼らの知らない所で訓練をすることは不可能である。
●「活動の中心にいるすべての人間を訓練し、その者たちを野放しにしている」と、ハッカーニ氏は語る。ムシャラフ大統領は、アメリカの圧力のもとでイスラーム過激主義に対処することを約束し、軍長官と大統領として、これまでの文民出身の首相よりも、諜報機関を直接的にコントロールしている。しかしアナリストたちの中には、パキスタンの諜報機関関係者たちは、欧米がアフガニスタンを去る日に備えて、熱心に準備をしていると語る。
●パキスタンは、タリバンのようなジハード運動を、アフガニスタンにおけるインドやロシアの影響力と対処するために重視してきた。
●クエッタのパシュトゥナバードで、政府・宗教政党・タリバン司令官と地元マドラッサの関係は、公然の秘密になっていると地元の野党関係者が語った。
●つい最近、マドラッサの3人の学生が自爆のためにアフガニスタンに行った。そのうちの1人の家族は、彼が自爆したことを認めたが、学校に通っていたことは否定した。彼の兄弟は、自爆を強制され、金と引き換えにリクルートされたにちがいないと語った。
●「最近、人々はどこかからか金を入手し、他人の子供たちを殺害している」と彼が語った。「このような政府が怖い」。彼の父親は、他の息子たちも取られてしまうのではないかと、恐れている。
●ムシャラフ大統領は、バローチスタンを支配するイスラーム神学者協会(JUI)の協力に、大いに依存している。
●ハッジ・ガビ通りにあるマドラッサの看板には、「オマール師に永遠を」というスローガンが掲げられていた。JUIの指導者である「ファズール・レーマンに永遠を」というのもある。
●州政府関係者やJUIのメンバーは、頻繁にマドラッサを訪れる。また夜間になると、政府関係者であることを示す緑のナンバープレートのバイクに乗った人間や、タリバン司令官のお気に入りの、スモークガラス付きの高級四輪駆動車に乗った人間が訪れる。
●バローチスタンのJUI代表のモーラビ・ヌール・ムハンマドは、自分たちの政党が戦闘員に兵站学的協力をしていることを否定した。「JUIは、もはやタリバンに協力していない」。「道徳的サポートをしているだけだ。彼らがアフガニスタンから外国軍を追い払えるよう、彼らの成功を祈っている」。
●つい最近、マドラッサの副校長のカリ・ムハンマド・イブラヒムは、『New York Times』の女性記者に会うことは拒否したが、男性記者の質問には答えた。彼は、マドラッサの学生280人がアフガニスタンに戦いに行ったことを、否定しなかった。「クルアーンには、すべてのムスリムがジハードをする権利があると書いてある」。「我々は彼らに、クルアーンに書いてあることを教えているだけだ。彼らがジハードにいくかどうかは、彼らの自由だ」。
●(中略)欧米関係者は、クエッタがいまだにタリバン運動の拠点になっていると、非難している。しかしパキスタンは、タリバンの指導者はクエッタにはいないと主張する。「クエッタにタリバンがいたとしても、わずかだ」とパキスタンの情報相タリーク・アジム・ハーンが語る。「指で数えられるくらいしかいない」。
●アメリカ政府関係者や欧米外交関係者は、十分圧力をかけると、パキスタンはときどき協力するという。しかしそのことで、パキスタンの諜報機関は、一般に公表している以上に、タリバン運動について把握していることが明らかになるという。
●例えば、国境の両側で活動していたタリバン幹部指導者のアフタール・ムハンマド・オスマーニ師は、パキスタンが彼を追跡することに協力したために、12月19日に米軍の空爆で殺害された。
●同時にアフガンとパキスタンの諜報機関の間では、どろどろの戦いが始まった。アフガン諜報機関幹部関係者によると、最近パキスタンで機関の工作員が殺害され、ばらばら死体となってベシャワルで捨てられていたという。アフガン諜報機関は、パキスタンのためにスパイ行為をしたというアフガン人将軍2人を、最近逮捕した。諜報工作員だったというパキスタン人も逮捕されている。
●ムシャラフ大統領は、退役したパキスタン人諜報機関関係者が、いまだにタリバンを支援していることを認めている。元ISI長官のハミッド・グルは、公然とタリバンを支持し、マドラッサの卒業式に出席してジハードを説いている。
●アフガン諜報機関は、最近逮捕した戦闘員が、グルがノーシェラの事務所を通じて、彼の訓練や武器の調達をしていたと主張したと発表した。(中略)
●クエッタ北西部のピシンにある少なくとも5つの村には、カンダハルで行なわれたタリバンとNATO軍の戦いで息子を失った家族がいるという。そのうちの1つの村カルバーラは、ジハード支持者の拠点となっているらしい。砂漠の中の他の村と違い、カルバーラには贅沢な家やマドラッサ、モスクが建ち、どこから金が入ってくるかが疑われる。
●さらにバガルザイ村には、タリバン司令官として名をなした宗教学者、アジーズッラーの墓がある。彼は6月22日に、ヘルマンド州で行なわれた空爆で、15〜20人のグループの男たちと一緒に、たった25歳で死亡した。彼の葬儀には、州政府関係者を含めて数千人が参加したと、父親のハッジ・アブドゥル・ハイが語る。
●JUIのメンバーであるハイ氏は、彼の息子が戦いを強制されたことを否定する。「最初から、彼はジハードに参加することを運命づけられていた」と父親は語る。「彼の意志だ。同意してくれる者がいれば、彼は行く。止めたくたって、彼を止められる人はいない」。
●ジハードを支持する者たちは、同じようなことを言う。しかし息子の死を悼む家族は、マドラッサや宗教政党が大きく関わっていると感じている。
●ピシン出身の22歳のムハンマド・ダウードは、1年以上、行方不明だった。「パトシュトゥナバードのマドラッサを訪れたが、誰も何も話してくれなかった」。「マドラッサの人間でさえ、彼の行方は知らなかった。おそらくマドラッサのカーテンの裏で、誰かがやっているんだ。そういう商売があるのかもしれない」。
●その後、自分の息子を含む何人かのグループが、タリバン司令官のダドゥッラー師の前で、誓いを立てているタリバンのプロパガンダCDが見つかった。「彼は頭にショールをかぶり、自爆の準備をしていた。『私は神のために戦っている。準備はできている』と、語っていた」。
●長男のアラー・ダードは、ジハード組織やISIがやっていると主張する。(中略)「タリバンは、すべてISIタリバンだ」。「ISIの協力なくして、アフガニスタンに行くことはできない。誰でもそう言っている」。
At Border, Signs of Pakistani Role in Taliban Surge●アフガニスタンでタリバンと戦っている英兵たちは、作戦に必要とされる必需品数十品目の追加支給が、経費不足のために却下されたことがわかった。
●攻撃のための兵器、暗視装備や敵と味方を区別するための赤外線監視装置などの支給がすべて、国防省により却下された。
●(中略)負傷者たちの運搬のために使用される4台の対地雷車輛(MPV)すべてが、壊れている。またチヌーク・ヘリコプターも不足している。
●(中略)MPVは、アフガニスタンでは必需品である。去年の6月以来、地雷の爆発で2人が死亡、3人が重傷を負った。
●情報源によると、アフガニスタンにあるMPVのうち、英軍基地があるヘルマンド州のキャンプ・バスチョンから最も遠くに出動したものであっても、たった1マイルしか走行していない。ロイヤル・マリーンと一緒に活動しているエストニア軍やデンマーク軍でさえ、英軍よりもましな備品を持ち、信頼のできる装甲車を所有しているとある関係者が述べた。
●別の関係者は、アフガニスタンにおける自分たちの状況を「茶番」だと説明した。技術者などの特殊技能をもつ兵士たちは、「2時間の仕事」をするためにヘリコプターで僻地の基地に送られ、その後ヘリコプターが不足しているために1週間も帰って来れず、置き去りにされているという。
Frontline troops are refused kit to fight Taliban●金曜日にパキスタン軍が、アルカイダの隠れ家といわれる標的を最初に攻撃したのはアメリカの無人偵察機であるという主張を否定し、自分たちが実施したと発表した。
●火曜日に軍報道官が、南ワジリスタンにある一連の建物に対して、ヘリコプター戦闘機を用いて攻撃したと発表していた。
●しかしサラマット・グンディの村人によると、事実は違う。彼らによると、アメリカの無人偵察機のミサイルによって建物が破壊され、その後パキスタンのヘリコプター戦闘機が飛来して、ロケットを発射して後始末をしたという。
●「それは間違っている。すでにこのことは否定した。このような主張が出てくるのは当然だが、間違いだ」と、ショーカット・スルタンが反論した。
●パキスタンの諜報機関関係者によると、戦闘員20人が死亡したと推定されるが、誰が死亡したかを確認する地上軍はいないという。
●村人たちは、8人の遺体が発見され、全員周囲の村に炭を売る木こりの一団だったという。「外国人やアフガン人は殺害されていない。マフスード族とサルマンザイ族出身の労働者が殺害されただけだ」と、息子と甥を殺害されたアワーズ・ハーンが述べた。
●彼らの主張を証明するために、村人たちは、木曜日にシャック・トイ山脈のザマゾーラにある村に到着した報道陣たちの前に不発弾を引きずってきた。
●(中略)報道陣たちは武装した戦闘員たちにエスコートされて、現場に到着したばかりで、戦闘員たちが村人たちに話すことを指示したのかどうか、知る術はない。
●「無人偵察機が発射した5発のミサイルにより、攻撃が実施された。ヘリコプターは後でやってきて、攻撃した」と、村に住むジャリンダール・ハーンが報道陣に語った。「ミサイルは遠くから発射された。スパイ偵察機だったかもしれないが、見たわけではない」と、別の男、バシールが語った。数分後にパキスタンのヘリコプターが飛来し、ロケットで現場を破壊したという。
●別の住民、ムハンマド・アリが、攻撃があった当日、無人偵察機が現場の上を旋回しているのを目撃したと述べ、『ロイター』のジャーナリストは、攻撃の前にミランシャーの軍基地からヘリコプター戦闘機が飛び立ちし、攻撃のすぐあと、戻ってくるのを目撃している。
●村人たちは無人偵察機を見慣れているので、すぐに確認できる。米軍は国境付近に無人偵察機を常に飛行させており、日常的な光景となっている。
●しかし公開されたミサイルは、かなり古く見えた。長さ約2メートルで、MFP AMF YORK 0873と書かれており、これまでワジリスタンの攻撃で使用されたアメリカのミサイルの破片と比べて、かなりくたびれているように見えた。
●ムシャラフ大統領は、アフガニスタンで活動する軍がパキスタン内に入ることは認めない、と述べている。しかし、部族民たちは政府の主張を否定し、アメリカが介入して自分たちの土地を攻撃していると、繰り返し主張してきた。(後略)
U.S. drone attack? It was us, says Pakistan army●パキスタンの山岳地方の村に住む部族民たちが、アルカイダの隠れ家と言われる建物に対する空爆は、アメリカの飛行機から発射されたミサイルによって実施されたと述べ、死亡した者たちはテロリストではなかったと主張した。
●地元の人々は、火曜日に南ワジリスタンのザマゾーラ村に対する空爆で破壊された家の瓦礫を、いまだに掘り起こしていた。パキスタン軍はヘリコプター戦闘機で、戦闘員8人を殺害したと発表している。
●「みんな嘘だ」と、シャベルを握りしめたジャランダール・ハーンが語った。「アルカイダの人間は1人もいなかった。アメリカが殺害したのは、全員無実な木こりたちだ」。
●報道陣たちが、地元の戦闘員指導者であるバイトゥッラー・マフスードの部下たちによって、アフガン国境から約2マイル離れた森の中にある村、ザマゾーラに連れて行かれた。
●部族民70人が、ムシャラフ大統領とブッシュ大統領に反対するスローガンを唱えた。
●3軒の家が破壊された現場にはいまだに遺体が散乱し、不発弾が3発、埋もれていた。そのうちの1つは、「AM York 0873 」と書かれている。
●「無実の人間がここで死亡したことを、誓って言う。神はこのことで、ブッシュとムシャラフを罰するだろう」。
●「アメリカの飛行機を目撃した。ミサイルを5発撃って、帰って行った」という。なぜアメリカの飛行機であることがわかったかは、語らなかった。15分後にパキスタンのヘリコプター5機が飛んできて、家に向かって発砲したという。(後略)
Tribe: U.S., not Pakistan, hit village●アフガン国境付近で実施した襲撃で航空機を使用したことを、パキスタン軍が初めて認めた。
●火曜日に南ワジリスタンのアルカイダ訓練所といわれる基地に対する攻撃にジェット機が使用されたことを、関係者が認めた。ジャーナリストたちが、戦闘員20人が殺されたと軍が発表した攻撃現場を訪れ、不発ミサイルを目撃したあとに声明が発表された。
●この攻撃で、軍と親タリバン派戦闘員とのあいだで交わされた和平協定が、危うくなっている。
●報道陣が戦闘員たちに招かれ、現場に500ポンドの不発弾を目撃した。後にショーカット・スルタン軍報道官が、隠れ家にレーザー誘導ミサイルと爆弾を投下するために、戦闘機が使用されたことを認めた。軍の以前の声明では、ヘリコプターを使用したと発表している。
●地元の人間たちが報道陣に語ったところによると、早朝の攻撃で8人が死亡し、外国人は1人もいなかったという。
●部族の指導者たちは復讐を約束し、去年締結した和平協定を破棄するという。
Pakistan says planes used in raid●タリバンの指導者オマール師はパキスタンでISIに保護されていると、逮捕されたタリバン報道官が述べた。
●タリバン報道官のムハンマド・ハーニフが取り調べを受けて告白している様子が、アフガンの関係者によってビデオで撮影された。ハニーフは薄暗い部屋に座り、オマール師はクエッタに住んでいると話していた。声の主がハニーフであることは、確認されている。
●オマール師は2001年以来、目撃されていない。パキスタンはこの主張を否定した。
●アフガニスタンの諜報機関が、ハニーフが告白しているビデオCDのコピーを、報道関係者たちに配布した。声はハニーフのものであることは確認されているが、彼がどのような状況下で告白をしているかは、明らかではない。椅子に座り、小さな声で話している様子が、映されている。
●オマール師について聞かれると「クエッタに住んでいる」と答えた。「ISIに保護されている」と付け加えた。またハニーフは、元ISI長官のハミッド・グルが、アフガニスタンにいる外国軍と戦うタリバンに協力していると述べた。
●パキスタン内相のアフタブ・ハーン・シェルパオが『AP』に、オマール師がクエッタにいるという主張は無実無根だと述べた。「オマール師の居場所については何も情報がない。彼はパキスタンに住んではいない」。「アフガン諜報機関は、タリバン報道官といわれる男の逮捕以来、矛盾した声明を出している。この男が誰なのか、彼がどこで逮捕されたかも知らない」。
●アフガン諜報機関は、ムハンマド・ハニーフは月曜日に、パキスタンとの国境付近のナンガハル州で逮捕されたと発表した。彼と一緒に旅していた2人も、逮捕されている。
●ナンガハル州知事のグル・アガル・シェルザイは、ハニーフは家宅捜索で逮捕されたと述べ、炭素の粉末が入った袋が、押収されたという。発見された粉末が炭疽菌であるのか、どのくらいの量であるのかは、語らなかった。地元の諜報機関関係者は、炭素の発見については言及していない。(後略)
Mullah Omar 'hiding in Pakistan'●パキスタンと南ワジリスタンの親タリバン戦闘員との和平協定は、火曜日に軍事訓練所が空爆されたあと、危うくなっている。
●政府軍が南ワジリスタンを攻撃し、政府関係者によると、20人が死亡したという。部族の指導者たちは復讐を誓い、和平協定を考え直そうとしている。
●マフスード族出身の親タリバン戦闘員指導者バイトゥッラー・マフスードが『BBC』に、「10〜15日の間に復讐する」と語った。「激しい復讐になるために、彼らの心は痛むだろう」という。マフスード氏は2005年2月に、和平協定に調印している。
●以前パキスタン軍は、アルカイダや外国人戦闘員を部族地帯から一掃しようとしたが、地元部族民から強い抵抗を受けたために、和平協定に調印した。パキスタンの空爆は、米国防省長官のロバート・ゲイツがアフガニスタンのカルザイ大統領と会談するために、カブールに到着した数時間後に実施された。
●これまでパキスタンは抵抗勢力に対して、十分なことをしていないと、欧米から非難されていた。しかし火曜日の攻撃を見ると、パキスタンの政策が変わってきたことがうかがえる。
●先週も、アフガニスタンのパクティア州との国境付近で、NATO軍と諜報情報を交換した結果、同盟軍の主張によると、NATO軍がタリバン戦闘員150人を殺害したという。
●オブザーバーたちは、軍が攻撃を開始したことで、これまで和平協定に縛られていた部族民たちから襲撃される恐れがあるという。
●バイトゥッラー・マフスードに今後のことを尋ねると、パキスタン軍の態度による、と答えた。自分たちはパキスタンやパキスタン軍と戦うことは望まず、標的はアフガニスタンにいる米軍だという。さらに戦闘員の指導者は、今月パキスタン軍と同盟軍の合同作戦で、26人の部下が殺害されたことを認めた。
●しかし火曜日の空爆で死亡したのは、子供と労働者だけだったと主張する。マフスードは、作戦が実施された現場を訪れるよう、メディアを招待し、戦闘員だといわれる人間たちの身元を自分たちで確認してほしいと述べた。
●オブザーバーたちは、彼の発言は、戦闘員とパキスタン政府との間で堪忍袋が切れ始めたことを示唆していると述べる。今後パキスタン軍は、攻撃にさらされる恐れがあるという。
Doubts over Pakistan peace deal●アフガニスタンの諜報機関が、タリバンの報道官が自分の役割について語り、自分たちの指導者はパキスタンに隠れ、パキスタンの諜報機関に保護されていると告白するビデオを発表した。
●諜報機関が、ドクター・ムハンマド・ハニーフとしてメディアに知られているアブドゥル・ハク・ハキークを、ナンガハル州で逮捕した。
●26歳のこの男は、パキスタンからアフガニスタンに入った所で逮捕されたことを認め、「使命」を受けてアフガニスタンに入ったと、ビデオで語った。「使命」の内容については、詳述しなかった。
●取調官にオマール師のことを聞かれると、落ち着いた静かな声で話すこの男は、「クエッタで、ISIに保護されている」と、述べた。(中略)
●ハキークは、逮捕後丁重に扱われていると述べ、アフガニスタンで実施されている自爆は、「パキスタンのISIによって資金や装備の援助を受け、タリバンが実施している」と述べた。自爆者たちはバジョール地区にあるマドラッサで訓練を受けているという。「元ISI長官のハミッド・グルが、バジョールにあるすべてのマドラッサに資金援助をしている」。「自爆犯たちはバジョールからアフガニスタンに入り、自爆を行ない、人々を殺害している」と述べた。(中略)
●現在ハニーフは、ジャララバードで拘束されているという。(中略)
●別のタリバン報道官のユースフ・アフマディが水曜日に『AFP』に、ハニーフの逮捕は対して重要ではないと述べた。「彼は単なる報道官の1人で、タリバンの重要メンバーではない」。彼の逮捕は、タリバンの活動に何らの影響も与えないと付け加えた。
●新たにザビフッラー・ムジャーヒッドという男が、アフガニスタン東部と北部の新たなタリバン報道官に任命されたという。
●アフガニスタンの諜報機関NDSは、ハニーフが家宅捜索で逮捕され、炭疽菌が入った袋が押収された、と発表したナンガハール州知事の主張には触れていない。グル・アガ・シェルザイ知事は、発見された粉末が炭疽菌であることがどのようにして証明されたか、語っていない。
●ハキークは月曜日の夜遅く、パキスタンとの国境から80キロ離れたナンガハルのロダート地区の民家から、他の2人の男とともに逮捕されたと述べた。家宅捜索から、政府に対して決起することを呼びかけるチラシや、有名なタリバン司令官のダドゥッラー師が、別の重要な司令官が先月殺害された件と関係していることを示す書類が、押収されたという。
●米軍主導軍が先月ヘルマンド州で、オマール師の腹心であるムラー・アフタル・ムハンマド・オスマニを空爆している。
Captured Taliban says leader in Pakistan: Afghan intelligence●NATO軍とアフガン軍が水曜日に、タリバンの幹部司令官を逮捕した。いっぼうタリバンは、報道官の1人が逮捕されたことを認めた。
●逮捕された司令官は、去年の夏にNATO軍との激しい戦いがあったパンジャワイ地区の抵抗勢力の指導者だという。(中略)この司令官はつい最近、アフガニスタン南部で発生した別の戦いでも、逃走していた。
●司令官は火曜日にヘルマンド州のゲレシュク地区で逮捕されたが、NATO軍主導のアフガン軍によって逮捕された、初めてのタリバン指導者である。
●月曜日にはトルハムで、タリバン報道官のムハンマド・ハニーフが逮捕されたと、アフガニスタンの諜報機関報道官のサイード・アンサリが述べた。同行していた2人の男も、一緒に逮捕されたという。
●しかし、ハニーフが逮捕されたナンガハール州知事報道官のヌール・アガ・ゾオークは水曜日に、ハニーフと2人の仲間のアサドゥッラーとタヴァード・ニジャジは、国境から少し離れた家屋で逮捕されたと発表した。
●別のタリバンの報道官、カリ・ユースフ・アフマディがハニーフの逮捕を確認したが、報道官として新たにザディウッラー・ムジャーヒッドが、すでに任命されたという。
Taliban commander caught in Afghanistan●パキスタン治安軍が、アフガニスタンとの国境近くにあった訓練所を空爆したあと、アルカイダ幹部を含む負傷した10人の戦闘員の行方を追っている。
●(中略)当初軍関係者は、戦闘員30人が殺害されたと発表したが、その後8人の遺体が確認されたと述べた。治安関係者によると、逃走している者のなかには、アルカイダ幹部のアブ・ナサールがいるという。
●「サナールが戦闘員を訓練するために、その場所で戦闘員を使用しているという諜報情報に基づき、攻撃が実施された」と、ある治安関係者が述べた。「彼は攻撃で負傷したが、4人のアラブ人の仲間と一緒に、建物から逃走した」。「現在捜索中である」という。ただしナサールが、アルカイダの組織の中でどのような地位にいるかは、語らなかった。(後略)
Pakistan hunts for top Al-Qaeda member after air strike●火曜日に、南ワジリスタンにいる抵抗勢力の隠れ家が空爆され、軍によると外国人を含む「抵抗勢力」25〜30人が死亡したという。しかし住民は、死亡した8人は無実な一般市民だったと主張した。
●(中略)政府は攻撃で死亡または負傷した者に関して、詳しいことを発表していない。しかし標的にされたサラマート村の住民によると、パキスタン人部族民3人とアフガン難民5人が空爆で死亡し、10人が負傷したという。「村人と話したところ、(中略)ポーウィンダとして知られているアフガン遊牧民5人とともに、コット・キレイ村の人間が殺害された。激しく損傷している遺体もあり、身元が確認できない者もいる」。
●現場には6軒しか家がなかったが、幸いにも女性と子供が中にいた1軒は攻撃を免れたという。死亡または負傷した地元民たちは、アフガン人労働者と炭を作るために山から木を切っていたという。アフガン人ポーウィンダたちは、売り物の炭を市場に輸送するラクダを所有していた。アフガニスタンとの国境から離れているシャック・トイ地区には、戦闘員たちの隠れ家はないという。現地に住んでいるキーカレイ・マフスードの2つの氏族は、野生のオリーブと「シーレイ」からなる小さな森の所有に関して争っており、長老たちが2日前にサラマート村に集まり、問題解決のために1月25日にジルガを開催する予定になっていたと付け加えた。
●現場の村近くに住む別の部族民、アリ・ムハンマドも、攻撃されたのは、地元住民と森で働くために雇われたアフガン難民だったと述べた。
●近くの村人によると、村にミサイル6発が撃ち込まれ、大きな爆発音が聞こえた。その後にヘリコプター戦闘機4機が飛来し、約90分間にわたって、建物を攻撃した。地上からの応戦はなかった。後になって住民がサラマート村に到着して、瓦礫の中から遺体や負傷者を掘り起こしたという。(中略)
●タンクでは大掛かりな抗議運動が行なわれた。(中略)イスラーム神学者協会は、2005年に政府がマフスード族と交わした和平協定に反したとして、抗議した。協定では、軍事攻撃を行なう際には、21人からなるウレマや長老の許可を得ることになっていた。(後略)
30 killed in S Waziristan air strikes●アフガン諜報機関によると、パキスタンとの国境付近でタリバンの報道官幹部を逮捕したという。
●諜報機関報道官のサイード・アンサリによると、逮捕されたのはムハンマド・ハニーフ博士だという。月曜日に逮捕されたというが、今現在どこにいるかは、明らかにされていない。
●アンサリによると、ハニーフ博士はナンガハール州のトルハムで逮捕されたという。彼に同行していた2人の男も、一緒に逮捕された。男は最初は、アブドゥル・ハック・ハキークだと名乗っていたという。「しかし取り調べにより、彼がハニーフ博士であることがわかった。彼もそれを認めた」という。
●ハニーフ博士はここ数年勢力的に活動しており、アフガニスタン東部におけるタリバンの活動について定期的にeメールを流し、自分たちの見解を発表してきた。南部では、カリ・ムハンマド・ユースフと名乗る男が、タリバンの報道官を勤めている。2人は、2005年10月にクエッタで、ラティフッラー・ハキーミが逮捕されたあと、報道官として活動してきた。
Top Taleban spokesman 'arrested'●パキスタン軍が火曜日、国境地帯にあったアルカイダの隠れ家を破壊したと、関係者が述べた。
●軍と地元の政府関係者は、死亡したのは戦闘員だと述べたが、住民によるとアフガン人労働者だったという。
●軍の声明と諜報機関の情報源によると、25〜30人の外国人テロリストと地元の協力者が、ザムゾーラ地区にある5軒の建物に隠れていたという。
●ヘリコプター戦闘員が攻撃を実施して、建物3軒を破壊した。「ほとんどが死亡したと思われる」と、軍報道官のショーカット・スルタン中将が述べた。外国人もいたが、「重要人物はいなかったと思われる」という。
●南ワジリスタンの副行政官のグーラム・ムハンマドが後に、戦闘員10人が死亡し、外国人と地元の部族民が死亡したと述べた。
●ザムゾーラの近くに住むアンワル・ウッラーが語ったところによると、ヘリコプター5機がミサイルを発射し、5軒の家が攻撃されたという。その後地元の人々が10人の遺体と、10人の負傷者を瓦礫の中から掘り出したという。死亡したのは木を切るために長老が雇った、アフガン人労働者だったと主張した。
●ザムゾーラから100マイル離れたタンクの町では、約600人の部族民が攻撃に抗議して、道路を封鎖した。仲間のマフスード族の男3人とアフガン人労働者7人が死亡したと主張し、ブッシュ大統領とムシャラフ大統領を非難するスローガンを唱えた。(中略)
●現場の諜報機関関係者によると、パキスタンの無人偵察機が攻撃の前に使用され、その後コブラ・ヘリコプター戦闘機がミランシャーから飛び立ったという。
●関係者によると、軍が破壊したアルカイダの隠れ家は、ザムゾーラの森の中にあったという。(中略)火曜日の作戦は、米国防省長官のアフガニスタン訪問と同時に実施された。(後略)
Pakistan army destroys al-Qaida hideouts●パキスタン軍によると、戦闘員たちが南ワジリスタンの部族地帯で使用していた訓練所を空爆したとという。
●軍報道官のショーカット・スルタン中将が、訓練所にいた25〜30人の戦闘員たちが死亡したと述べた。軍が、南ワジリスタンのザムゾーラ地区にあった訓練所をコブラ・ヘリコプターで攻撃したと述べた。
●軍は、戦闘員たちが5軒の建物に隠れているという諜報情報を受けたために、火曜日の早朝、南ワジリスタンで作戦を実行したとスルタン中将が述べた。「ほとんどが殺害されたと思われるが、遺体は数えていない」。戦闘員たちのなかには外国人も含まれていたが、「重要人物はいないと思われる」という。
●目撃者によると、10人の遺体が瓦礫の中から掘り起こされた。そのうちの3人が、地元のマフスード族だったという。また6人がアフガン人だった。他の遺体は損傷が激しいために、身元の確認ができていない。
●目撃者によると、8〜10人ほどが逃げ延びたというが、詳しいことはわからない。(中略)
●アフガニスタンの米軍幹部司令官のカール・エイケンベリー中将が、「敵」は、アフガニスタンとパキスタンの国境の両側を使用していると述べた。「現在我々は、タリバン軍の司令塔や支配と戦っていることを強調する」と、カブールで行なわれた記者会見で述べた。
●中将によると、去年よりも越境による攻撃が200%も増えたという。
●パキスタンによる空爆は、米国防省長官のロバート・ゲーツがアフガニスタンのカルザイ大統領と会談するためにカブールに到着した数時間後に実施された。(後略)
Pakistan air raid on 'militants'●ヘルマンド州で英兵士が死亡したと、国防省が発表した。国防省によると、兵士は月曜日の朝に死亡した。
●アフガニスタン南部の抵抗勢力の基地を攻撃する作戦の最中、死亡したという。この他に数人が負傷した。今年に入ってから死亡した、2人目の英軍兵士である。(後略)
UK serviceman dies in Afghanistan●アルカイダと関係があるとして、ドーラ・チョークの地元マドラッサの校長が逮捕された。
●地元の住民によると、法関係者は「ビンラディンの捜索をしていた」ようだという。近所の者たちが、ビンラディンについて質問されていた。逮捕されたのは、ドーラ・チョークのイクラ・ローザトゥル・アフタルの校長、カリ・サブハヌッラーである。彼は地元部族民なのかアフガニスタン出身者なのか、現在捜査中である。
●目撃者によると、警察官多数が車に便乗してやってきたという。(後略)
Man arrested in‘hunt for Osama’