【2007年3月12日〜3月18日】


■パール事件、弁護士控訴[070318 AP]

アルカイダ幹部がダニエル・パール記者の首を切り落としたと告白したために、パール記者殺人事件の容疑者の弁護士が控訴するという。

ハリッド・シェイク・ムハンマドが、グアンタナモで行なわれた公聴会で、自身がパールの首を切り落としたと告白した。(中略)

2002年にカラチの対テロ裁判所が、パール記者を殺害したとして。アフマッド・マル・サイード・シェイクを死刑に、仲間の3人を終身刑に処した。

シェイクの弁護士のライ・バシールが日曜日に、ムハンマドの告白に関してペンタゴンの記録を研究し、シェイクの無罪を証明するという。「彼はバール記者を誘拐していないし、仲間とともに無罪だ。ハリッド・シェイク・ムハンマドの逮捕のあと、ペンタゴンにより彼の無罪が明らかになってうれしい」。(中略)「彼は。彼の仲間の無実が証明された」。(後略)

hoonLawyer to appeal Pearl case convict
SADAQAT JAN、ISLAMABAD

■マムード族、外国人戦闘員を匿わないことを誓う[070318 Daily Times]

マムード族の長老と行政官からなるジルガが土曜日に、バジョール行政区で外国人テロリストを匿ってはならないと、部族民たちに警告した。「外国人を匿うものは厳しく罰せられる」と、カールで開かれたマムード族のジルガで、部族民長老のマリーク・シャーが述べた。参加者の中には、MMAのモーラナ・ムハンマド・サディークもいた。

長老たちによると、ジルガは北ワジリスタンのような和平協定を締結するための第一歩だという。

バジョール行政官のシャキール・カディールも、ジルガに参加した。ジルガではマムードの平和のためにみんなで協力することを約束し、部族民たちはパキスタンに「忠実な市民」だと付け加えた。マムード地区は、モーラナ・スーフィ・ムハンマドが率いるテヘリーク・ニファーゼ・シャリア・ムハンマディの拠点で、2001年には約1万人の志願者たちを率いて、タリバンとともに米軍が支援する北部同盟と戦った。

「外国人たちがバジョールの平和を犯している。外国人に協力する者は、絞首刑にされる」と、モーラナ・アブドゥル・アジーズがジルガで発言した。

部族の情報源によると、政府はバジョールの戦闘員指導者のモーラナ・ファキール・ムハンマドとのあいだで、北ワジリスタン型の和平協定を結ぼうとしているという。

hoonMamoond tribe vows not to shelter foreign militants
Masood Khan、KHAR

■タリバン、アフガニスタンで運転手の鼻と耳を切り落とす[070318 Reuters]

タリバンがアフガニスタン東部で、米軍のために補給品を輸送した罰として、トラックの運転手少なくとも5人の鼻と耳を切り落とした。

運転手たちは同盟軍基地に向かう車列の一部で、土曜日にヌーリスタン州で襲撃された。「鼻と耳を切り落とされた運転手の数ははっきりしないが、5〜8人だ」と、ヌーリスタン警察長官のグラムッラーが述べた。トラック数台も襲撃で破壊された。

hoonTaliban chop drivers' noses, ears in Afghanistan
ASADABAD

■タリバン、イタリア人ジャーナリストをアフガン人長老に引き渡しと発言[070318 AFP]

アフガニスタンのタリバンによると、2週間前に誘拐したイタリア人ジャーナリストは、2人のタリバンが釈放されたために部族民長老に引き渡したと述べたが、3人目が釈放されなければ、再び拘束するという。

ダニエル・マストロジャコモが所属する『La Republica』は、「ジャーナリストが釈放されたと聞いている」と発表した。しかしローマの外務省は、これを確認していない。「彼がイタリア人の手に戻った時点で、自由になったと解釈する」と報道官が述べた。カブールのイタリア大使館のエトーレ・フランシスコ・セクイエも、彼の解放についての情報はないと述べた。

タリバン報道官のユースフ・アフマディが『AFP』に語ったところによると、政府がタリバンのラティフ・ハキーミとウスタッド・ヤサールを釈放したために、マストロジャコモとアフガン人通訳がヘルマンド州の長老に引き渡したという。しかしもう1人りの報道官のムハンマド・ハニーフも、釈放しなければならないという。

「今日ハキーミとヤサールが釈放され、我々はジャーナリストと彼のアフガン人の友人を部族民の長老に引き渡した」とアフマディが述べた。「もしハニーフが釈放されなければ、ジャーナリストを再び拘束する」。「ハニーフが釈放されれば、長老たちはイタリア人を好きな所に連れて行っていい。解放する」。

内務省報道官は日曜日に、拘束しているタリバンの釈放に関して何も聞いていないと述べた。イタリア大使館も、何も聞いていないと発表している。

hoonTaliban says Italian journalist handed to Afghan elders
KANDAHAR

■NATO軍が、アフガン警察5人を射殺[070316 AFP]

NATO軍がアフガニスタン南部で、パトロールをしていた警察官を敵と間違えて発砲して警察官5人を殺害したと、警察関係者が金曜日に述べた。木曜日の夜遅く、ヘルマンド州のゲレシュク地区で起きたこの発砲騒ぎのあと、さらに6人の警察官が行方不明になっているという。警察官たちは、通常の警察の車とは違う車種に乗っていた。

(中略)今年になって、ISAF軍や米軍主導軍が、敵と誤って一般市民を殺害するケースが急増している。水曜日にカンダハルでは、車列から遠ざかるように注意されたアフガン人トラック運転手が、命令に従わなかったために殺害された(後略)。

garrAfghan police say five shot dead by NATO troops
KANDAHAR

■イタリア人捕虜の運転手、処刑される[070316 AFP]

誘拐されたイタリア人ジャーナリストの運転手がスパイ容疑で有罪となっため処刑されたと、タリバン司令官の報道官が金曜日にアフガニスタンの報道機関に述べた。

『Pajhwok Afghan News』によると、報道官のシャーブッディン・アタルが、イタリア人のダニエル・マストロジャコモともう1人のアフガン人の運命は金曜日の夜決まることになると述べたと報道した。アタルは、タリバン報道官だという。

(中略)タリバンのためにメディアに頻繁に登場するユースフ・アフマディが金曜日に語ったところによると、現在話し合いを行なっているイタリア人の要求にしたがって、処刑のデッドラインを引き延ばすことにしたという。話し合いには、進展があったという。

『Pajhwok Afghan News』は、アフガン人運転手は外国軍のためにスパイ行為をしていたことが明らかになったために処刑されたと、報道した。またタリバンは、仲間6人の釈放を求めているという。

hoonAfghan driver of Italian hostage executed: report
KABUL

■9.11首謀者の告白、他のアルカイダ容疑者に利用される恐れ[070316 New York Times]

(前略)先週の土曜日に行なわれた公聴会で、ハリッド・シェイク・ムハンマドは自分の罪をはっきり認めたために、軍事裁判が行なわれた場合、死刑への道を自分で決めてしまったといえる。

しかし、ペンタゴンが水曜日に発表したこの陳述記録は、彼の元仲間たちの裁判を複雑なものにしてしまう恐れが出てきた。

グアンタナモに収容されていた容疑者たちが、敵戦闘員であるかどうかを判断するための公聴会で、ムハンマド氏は自分の責任をすべて認めたために、他の容疑者たちは自分たちの弁護に、彼の陳述を利用する可能性がある。

公聴会の記録のなかで、ムハンマド氏はCIAに自分の仲間に関して与えた情報についても明らかにしており、これも他の容疑者たちに利用されそうだ。

木曜日に追加発表された記録によると、ムハンマド氏はダニエル・パール記者殺害も自分が行なったと、認めている(中略)。この告白により、パキスタンで死刑を宣告されている、アフマッド・オマル・シェイクに影響も出てくる。

(中略)これまでの公聴会と違って、関係者はムハンマドを今年中に起訴し、来年裁判を始めたいという。リーダー格の14人に入らない別の刑の軽い容疑者の裁判が、近々開始される予定である。

ムハンマド氏が実際に告白しているように、すべての事件に関わったかどうかは、明らかではない。彼はドラマの主人になることを望み、誇張癖があるようだ。それでも彼の告白は、重要な影響力を持つ。彼の弁護士によると、彼の陳述は他の事件に対しても利用される可能性があるという。

(中略)「彼が用いた言葉自体、英語の翻訳と照らし合わせても、彼のためにお膳立てされたものであることがわかる」と、人権断定のジョン・シフトンが語る。「私には、ホワイトハウスが、彼のためにプリントアウトしたように見えた」。

しかしムハンマド氏は、告白は強制されたものではないと述べ、さらに自分のテロ活動について、詳しく話している(後略)。

hoonConfession at Guant namo by 9/11 Mastermind May Aid Other Qaeda Defendants
ADAM LIPTAK

■誘拐されたイタリア人レポーター、解放を乞う[070315 AFP]

アフガニスタンで誘拐されたイタリア人ジャーナリストが、タリバンによって発信されたメッセージのなかで、タリバンと話し合ってもらえなければ、数日後に殺されてしまうと懇願した。

アフガニスタン南部で11日前に誘拐されたダニエル・マストロジャコモが、イタリア政府に話し合いを始めてほしいと、テープの中で懇願した。「2日のうちに何かしてほしい。その後、私は殺される。2日だ」。前日にイタリアの外務大臣のマシモ・タレマが、政府はタリバンとの話し合いには応じないと発表している。

テープの中ではパシュトゥ語で、マストロジャコモに話ように命令する声が録音されていた。「まだ生きていると言え。今日は13日だ。16日までに何かしなければ、私は窮地に陥ると言え」。命令している声は、ダドゥッラー師の声と思われる。テープを発表した『Pajhwko通信」は、その入手経緯については語っていないが、ダドゥッラー師が背後にいると発表している(後略)。

hoonKidnapped Italian reporter pleads for release in Afghanistan: report
KABUL

■タリバン幹部、警告を発する[070315 BBC]

タリバンによると、アフガニスタンの外国軍を攻撃する準備は「すべて整っている」という。タリバン幹部司令官のダドッゥラー師が『BBC』に、自爆志願者1800人が、いつでも行動できる状態にあると述べた。資金も、去年よりも豊富にあるという。

《イラクの武器》

ダドゥッラー師が電話で、パキスタン政府はパキスタンの部族地帯にいる親タリバン勢力との和平協定に従っていない、と非難した。(中略)ムシャラフがアメリカに協力し続ければ、タリバンはパキスタン国内で自爆を行なうと、脅迫した。「これは部族地帯に対する裏切りだ」。

ダドゥッラー師は、パキスタンの部族地帯にアルカイダはいないと主張した。「私がアフガニスタン南部にいるアルカイダを強化した」という。入手した現金で、戦闘員たちは洗練された重兵器を買うことができた。兵器の一部は、イラクから入ってきたと述べた。資金源については、語らなかった。

さらにタドゥッラーは、最近のヘクマチアルの声明を否定した。ヘクマチアルはタリバンとの関係を絶ち、カルザイ政権に協力する意志があることをほのめかしていた。「ヘクマチアルは、誰かに協力することはない。金さえもらえれば、そいつと協力する」(後略)。

hoonTop Taleban leader sounds warning

■9.11首謀者、「パールを斬首」[060315 BBC]

アルカイダのハリッド・シェイク・ムハンマドが、2002年に誘拐されたダニエル・バールを殺害したことを認めたと、ベンタゴンが発表した。「私は私の右手でアメリカ系ユダヤ人のダニエル・バールの頭を切り落とした」と、グアンタナモで開かれた公聴会の記録が引用された。(中略)

しかし国際人権団体は、ムハンマドは通常の手続きを経ないで、法的な権利を剥奪された状態で尋問されていると述べた(中略)。以前発表された公聴会の記録から、バール殺害の部分は削除されていた(後略)。

hoonKey 9/11 figure 'beheaded Pearl'

■9.11首謀者、「罪を認める」[070315 BBC]

グアンタナモで行なわれた公聴会で、9.11攻撃を計画した首謀者が事件への関与を認め、このほか30の別の計画があったことを認めた。密室で行なわれた公聴会の記録の一部のなかで、「9.11に、AからZまで関わった」とハリッド・シェイク・ムハンマドが語ったことがわかった。ビッグ・ベンやヒースロー空港の攻撃も、計画したという。

公聴会は、「敵の戦闘員」であるかどうかを決定するためのもので、結果により、軍事裁判が行なわれる。起訴されれば、グアンタナモで軍事裁判が行なわれることになる。

「私はビンラディンの作戦責任者で、9.11作戦を計画して実行させた」と、ムハンマドが公聴会で陳述した。靴爆弾犯と呼ばれているリチャード・リードの事件も計画するとともに、1993年にニューヨークで起きた世界貿易センタービルの爆発事件、2002年のバリ島のナイトクラブ爆弾事件、同年のケニアのホテル爆弾事件にも関わったという。

さらにヒースロー空港爆発計画、ロンドンのカナリー・ハーフやビッグ・ベン、イスラエルやパナマ運河を攻撃する未遂計画もあった。

9.11のあとには、ロサンジェルス、シアトル、シカゴなどにあるタワーや、ニューヨークのエンバイアステート・ビル、アメリカの原子力発電所などを攻撃する計画もあった。さらに、ローマ教皇のパオロ2世やクリントン元大統領暗殺計画もあった。

アメリカ人ジャーナリストで誘拐された、ダニエル・パールの殺人についても言及した。『AP』によると、ムハンマドは記録から削除された部分で、彼を斬首したことを陳述したという。

《後悔》

ムハンマドは、9.11攻撃に対して、後悔の念も表した。「アメリカで3000人を殺害したことをうれしく思うと言っても、後悔している部分もある。子供たちを殺すことは好きではない」と語ったという。

ムハンマドの陳述の記録はアラビア語から英語に訳され、米国防省によって編集された。

裁判官の質問から、ムハンマドがアメリカに拘束されていた際に拷問を受けたことが伺えた。しかし拷問の末に告白したのかと尋ねられると、そうではないと答えた。

(中略)アブ・ファラービ・アルリビと、ラムジ・ビナルシブの公聴会の記録も発表された。

ビナルシブは9.11の協力者だと説明されているが、公聴会に参加することを拒否し、「非協力的な無責任」と説明された。

リビは公聴会には現れなかったが、弁護士と証人を与えられれば、協力する意志があると述べたという。(後略)

garrKey 9/11 suspect 'admits guilt'

■貫通罪で3人、石投げと銃で処刑[070315 AFP]

部族地帯の親タリバン勢力により、姦通罪を犯したとして1人が石投げの刑に、また男女が銃で射殺されたと、関係者と目撃者が木曜日に語った。

カイバル行政区で部族民約800人が、過激派組織ラシュカリ・イスラミによるこの処刑を見物した。

3人はロープで縛られ、長老たちが石を投げつけた。覆面をした原理主義組織のメンバー2人が、カラシニコフで彼らを射殺したという。最近話題になっているパキスタンのタリバン化についての問題が、再燃しそうだ。

(中略)「ラシュカリ・イスラーム」の関係者が彼らをつかまえ、貫通で有罪が証明されたために処刑された」と、組織のメンバーが語った。

地元の行政によると、パキスタンの法が適応されないこの部族地帯に関しては干渉しないという。「処刑に関する報告は受けているが、部族民の習慣や伝統に干渉しない」と述べた。(後略)

hoonThree stoned, shot dead for adultery in Pakistan
Saad Khan、PESHAWAR

■武装したタリバンの兄弟[070314 Asia Times]

(前略)最近、女子学生たちがイスラマバードのマドラッサで抗議を続け、これに政府が屈したが、これはパキスタン国内における原理主義の聖職者たちが、その力を見せつけた出来事だった。

《普通のモスクではない》

先月以来、イスラマバードのジャミア・ハフサ・マドラッサの女子学生たちが公共の子供図書館を占拠し、不正に建設されたとして2校のマドラッサが取り壊されたことに抗議した(政府によると、ジャミア・ハフサ自体も、国有地に建てられた違法建築としている)。

ジャミア・ハフサはラール・マスジッド(赤いマスジッド)に付属し、ISI本部のすぐそばの、イスラマバード中心部にある(中略)。

モスクと女性マドラッサは、2人の有名な宗教者によって運営されている。ガジ・アブドゥル・ラシードとモーラナ・アブドゥル・アジズである。2人とも、暗殺された宗教指導者のモーラナ・アブドゥッラーの息子である。アブドゥッラーは、故ジアウル・ハク大統領に近い人間だ。ジハードを説く彼の過激な宣教は、過激派たちの間で有名である。

アブドゥッラーの息子たちも、彼のジハードに対する呼びかけや神秘主義の両方を受け継いでいる。南ワジリスタンで死亡した軍関係者に対してムスリムの葬儀を行なってはならないというファトゥアを出したのも、彼らである(中略)

欧米の圧力を受け、パキスタン内務省は兄弟を「指名手配」に処したが、逮捕に踏み切っていない(中略)。

女子学生による図書館占拠−−兄弟の協力を得て−−により、政府はラール・マスジットを襲撃するために数週間女学生たちを包囲したが、最近これが解除された。当初報道されていた数百人とという数よりは少なかったが、女子学生はいまだに図書館を占拠し、2つのモスクが再建されるまで引き下がらないと主張。政府はこれに同意した。

《武装した兄弟》

(中略)私がラール・マスジットに着くと、ラシードはテレビインタビューを受けている最中だった。実際に私に会ってくれたのは、弟のアジズのほうだった。(中略)

「モーラナ、あなたはタリバン運動を行なおうとしているのではないのですか」と、私はアジズに尋ねると、彼は笑顔を見せた。

そのころになるとラシードもインタビューを終えていた。治安組織が『Asia Times』に語ったところによると、図書館占拠が始まったとき、ムシャラフは兄弟の逮捕を命じたという。しかし治安部隊はこれを拒否し、そのようなことを行なったら、イスラマバードをはじめ、さらに他の地域でも大混乱が起きるだろうとして、これを拒否した。

ムシャラフは、ラール・マスジッドを爆撃することさえ考えたという。しかし結果として、政府は図書館の包囲を解いて引き上げ、話し合うことに同意さぜるをえなかった(中略)。

「私のマドラッサの女子学生たちは子供図書館を占拠したが、平和的にこれを実施した。何かを壊したわけではない。悪と見てはいるものの、テレビやCDプレイヤーを壊したわけでもない。しかし女学生たちはテロリストと呼ばれ、我々兄弟2人と女子学生に対して厳しい態度を取ることが約束された」とラシードが語る。

ラシードは携帯電話をポケットから取り出し、最近受け取った、ISI関係者でビンラディンの古い友人からのメッセージを見せてくれた。メッセージには、政府が兄弟を暗殺することを計画していることが書かれていた。「我々の友人のハリッド・ハワジャが、脅威について我々を警告してくれている」(中略)。

「宗教問題のための連邦大臣、イジャーズ・ウル・ハク(ジア元大統領の息子)が、我々に会いに来た」。「不思議な会見だった。イジャーズは状況について良く知っていて、モーラナ・アブドゥル・アジズに、『お願いだからこの問題を引き下げてくれ。そうしないとムシャラフが強行的手段にでる』」。

「モーラナ・アブドゥル・アジーズは逆にハジに、「お願いだ。パキスタンのイスラーム法を施行してほしい。それまで我々は撤退しない」と述べた。

女子学生のほとんどが南北ワジリスタンの出身だったため、彼女らの親戚が南北ワジリスタンからイスラマバードにやってきて、2つのモスクに集まった。これは、政府にとって大きな試練となった。ある意味で、政府が軍事作戦をもって制圧することができなかったワジリスタンが、連邦首都に侵入してきたことになる。

「政府は我々を取り締まろうとした。しかし、そのためには我々に、ワジリスタンの戦闘員をモスクから追い出すように頼まなければならなかった。我々は政府に、まずモスクに対する包囲を解かなければならないと述べた。そうすれば、かれらに退去してもらえる。ムシャラフは強行的な態度に出た。しかしパキスタンのレンジャー隊を含めとする他の組織は、ワジリスタンの戦闘員と対戦する心構えはなかった」。

「ワジリスタンのタリバン司令官のハッジ・オマルが、政府がラール・マスジットを攻撃したら、復讐すると述べた。政府はこれを望んでなかったために、包囲を解いた。そこで我々は、戦闘員たちに帰ってもらった。しかしワジールたちは親戚とともに、まだイスラマバードにいる。だから、もし政府が動けば、すぐに助けにやってくる」と、ラシードが述べた。

包囲の最中、イスラマバードは何度も自爆攻撃を受けた。そのために恐れをなした政府は、ワジリスタンにいるパキスタン人タリバンと取り引きを交わした。

ラール・マスジットの兄弟は、これまで以上に反抗的だ。彼らの影響力が国内に広がり、本当の政治家の欠如のためにぽっかりあいた穴が、原理主義思想で埋まりつつある。

これも、タリバンに好都合だ。アフガニスタンでの行動がうまくいかなくようになったら、パキスタン国内のどこに助けを求めればいいのかがわかるはずだ。

hoonThe Taliban's brothers in alms
Syed Saleem Shahzad、ISLAMABAD

■パキスタンのイスラーム過激派、国内を狙う[070314 New York Times]

アフガニスタンの国境に沿って、アフガニスタンにいる米軍やNATO軍に対して自爆志願者たちを送り出すために、イスラーム過激派はここ数年来拠点を築いてきた。

パキスタンの部族地帯は、タリバンとアルカイダの両方の拠点である。しかし、最近自爆犯たちは国内をも攻撃し始めた(中略)。

何よりも標的になているのが警察官である。彼らはおじけづき、そのことで過激行為はさらに広まってきた。

南ワジリスタンの近くのタンクでは、過激派たちは自身のミニタリバン国家を持ち、警察官は制服を脱いで過激派たちに従い、過激派たちは町を補給基地として用いている。「いいことではない。政府の権限が及ばない場所があり、これにより、さらにこのような地域が広がっていく」と、ある欧米外交関係者が語る。

パキスタンの自爆事件は今に始まったことではないが(中略)、自爆犯がたった1人で胸に爆発物を巻き付けて群衆の中をうろつく現象はこれまでになかったことで、人々にショックと怒りを与えている。

(中略)これらの攻撃は、すべてワジリスタンから始まる。そこではカシミール、アフガニスタン、宗教抗争組織、過激派組織がすべてひとつになっている。「全員が南ワジリスタンのワナにいる」と、ある関係者が語った。「アフガンだけの問題ではない。パキスタンの問題にもなってしまった」。

しかし自爆攻撃の背後にあるのは単一の組織なのかどうかは、わからない。スンナ派とシーア派間の、宗教抗争の性格が強いものもある。(中略)しかし最近の攻撃の背後には、部族地帯を空爆したパキスタン軍への報復として、タリバンとアルカイダに関係する過激派が存在することは確かだ。

それらのうち少なくとも3つの攻撃に、南ワジリスタンを拠点とするバイトゥッラー・マフスードが関わっていると見られている。マフスードはタリバンとともに戦ったことのある元戦闘員で、彼はアフガニスタンから米軍やNATO軍を追い払うことを望んでいる。2005年にパキスタン政府と和平協定を結んだ際に、アフガニスタンに入ってジハードを続けることができるかぎり、パキスタン軍を攻撃しないことに同意したことで、注目を浴びた。

しかしパキスタンはアメリカから圧力を受け、1月6日に、アメリカの諜報情報をもとに、彼の部下の隠れ家を空爆して仲間8人を殺害した。マフスードは復讐を約束した。最近の自爆事件は、彼の報復だと言われる。 

ムシャラフは2月2日に記者会見を開き、マフスードを取り締まることを約束した。しかし北西辺境州知事のアリ・ムハンマド・ジャン・オラクザイは、彼のもとに長老たちからなる使節団を送ることを選んだ。過激派の司令官は事件との関与を否定したが、その後爆弾事件は下火になった。

マフスードは、1月27日にベシャワルで発生した自爆事件にも関わった可能性がある。(中略)攻撃法や用いられた爆発物の製造番号などから、以前の爆弾事件で用いられたものと同じであることがわかっている。DNA検査から、犯人は全員17〜20歳だったという。

しかし、他の観点から調べると別の過激派組織との関係が明るみに出たと、治安関係者はいう。部族地帯にシャリア法を導入することを掲げた過激派組織、タヘリーク・ニファーゼ・シャリアット・ムハンマドである。

この組織はタリバンを支持し、アルカイダと関係がある。バジョールにあったマドラッサに対する空爆の報復として、11月にダルガイで発生した陸軍訓令兵44人を殺害した自爆事件の背後にこの組織があることは、確かである。

バジョールの攻撃のあと、この組織は自爆犯たちを訓練していたと、内務大臣のシェルパオが発表した。

訓練兵に対するこの攻撃は、過激派が攻撃を拡大し始めるきっかけとなった。親米路線を行く陸軍の最高指導者を狙ったものではなく、組織としての陸軍を狙ったものである。狙いやすい標的でもあった。訓練兵士たちは、開けた場所で武器を持たずにいた。

「パキスタンの治安当局に、自分たちの力を誇示するためのものだった」と、アメリカのStrategic Forecasting Incの関係者が語る。

(中略)最近マルダンの女子高校が、女学生たちはベールをかぶるか、家にいるべきだという脅迫を受けた。これはタヘリーク・ナフィーゼ・シャリアット・ムハンマド特有の考え方だ。4つの英語学校が4日間休校になった。

(中略)問題を解決するためには、これまで実施してきたような大掛かりな軍事作戦は効果的ではないと見られる。外交関係者の中には、最近政府が長老や過激派の間で交わした和平協定も役に立っていないと語る向きもある。

例えば別の外交関係者によると、ムシャラフは北ワジリスタンの和平協定は20〜30%しか効力がないことを知っているが、他に策がないためにこれに従っているという。

この協定のために、ミランシャーではある程度秩序がもたらされた。過激派同士に亀裂も生まれ、攻撃的な人間はマフスードやアルカイダに従い、ミールアリに移った。

関係者のなかには、政府はミールアリの戦闘員をもっと取り締まり、もう少し穏健なグループのほうを支持するべきたという意見もある。

ひとつの解決策として、地元の部族民たちを訓練して国境警察官と交代させ、近隣の居住区を守るための緩衝として用いることだ。

ワジリスタン出身の数百人の志願者たちが、アメリカによって支援されたブログラムのもとで、国境地帯ですでに訓練を受けている。しかしこの計画が成功するかどうかは、まだわからない。

部族民たちは地元民に対してある程度共感を持つだろうが、それでも過激派に対する支持のほうが強いと思われる。国境警察官も、過激派たちの越境を、見て見ぬふりをしている。

いっぽうこの計画は、部族地帯の他の地域や、さらに別の地域でも進められるという。「タリバンたちは、クラム行政区やオラクザイ行政区に拡大してきた」と、野党政治家のアフリディ氏は語る。「モーマンドにも入ろうとしている」。「私の住む地域でも、タリバンと市民との間の戦争が始まりそうだ。非常に心配している」。

garrIslamic Militants in Pakistan Bomb Targets Close to Home
CARLOTTA GALL

■アフンドは自由だ、と新聞[070312 Daily Times]

スイスの新聞が日曜日、タリバンの元国防大臣がパキスタンの治安軍に逮捕された2日後に釈放された、と主張した。

スイス紙の『SonntagsBlick』によると、レポーターが2月28日にクエッタの宗教学校に隠れていたオバイドゥッラー・アフンドと話したという。

(中略)パキスタン関係者は、日曜日のスイス紙の主張に関してコメントしなかった。

「報道は本当ではない」と『SonntagsBlick』が書いた。「世界が、タリバン幹部が逮捕されたと報道した。しかしその時彼は『SonntagsBlick』のレボーターと、コーヒーを飲んでいた」。

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GENEVA

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2007.