【2007年4月2日〜4月8日】


密偵犬が旅に出ていたため、先週と今週前半は休載しました。


■タリバン、アフガン人記者を殺害[070408 BBC]

タリバンが、先月イタリア人ジャーナリストと一緒に誘拐されたアフガン人記者を殺害した。タリバンによると、政府が仲間を釈放することを拒んだために、アジュマル・ナクシュバンディを殺害したという。(中略)

アフガン政府諜報局報道官のサイード・アスナリが、ナクシュバンディが殺害されたことを確認した。(中略)ナクシュバンディ氏は、外国人のガイド兼通訳として、仕事をしていた。(後略)

garrTaleban kill Afghanistan reporter

■ラシュカルの前進とともに陸軍、避難壕を確保[070408 News]

部族民ラシュカルが南ワジリスタンのアザムワルサック、カローシャ、ワチャダナに進むとともに、陸軍は外国人が放棄した壕を確保した。ただし軍は、戦闘には参加していないという。

(中略)ウズベク人戦闘員たちは、ナンドルーンのようなアフガン国境に近い山中に移動しているようだ(中略)。

土曜日に開催されたジルガで、部族民たちは再度政府に、ウズベク人たちを追い払うための協力、特に空からの援助を要求した。

(中略)ウズベク人たちが、外部から支援物資を受け取っているという報告もある。重・軽機関銃や洗練された大砲、短距離ミサイル発射機などを所有しているという。

hoonArmy secures more bunkers as Lashkar advances
Nisar Mahmood、PESHAWAR

■NATO軍、タリバン拠点を奪回[070407 AP]

NATO軍とアフガン軍がタリバンと衝突し、戦闘員たちが長期間占拠していた、アフガニスタン南部にある地区の中心を奪回した。

ヘリコプターや装甲車などを用いた軍が、ヘルマンド州のサンギンに向かったと、NATO軍が声明を発表した。「軍がタリバンの拠点多数を奪回し、大量の武器を発見した」という。

戦闘員たちからサンギンを奪回する作戦は、「アキレス作戦」の一部として、水曜日から開始された。(中略)「サンギンでは2晩にわたり、外国軍・アフガン軍とタリバンとの間で激しい戦いがあった」と、サンギンに住むハッジ・アフタル・ムハンマドが語った。

NATO軍とアフガン軍がサンギンの中心を支配しており、タリバンは、いまだに彼らの支配下にある隣のムサカーラに向かっているようだと、ムハンマドが述べた(後略)。

hoonNATO troops take over Taliban stronghold
FISNIK ABRASHI、KABUL

■アフガニスタンでフランス人2人の誘拐が確認される[070407 AFP]

先週から行方不明になっている2人のフランス人援助活動家がタリバンによって誘拐され、ヘルマンド州に連れて行かれたことが確認された。

「諜報情報から、2人はニムローズ州のハーテュ・ロッド地区のハイウェイで誘拐され、隣のヘルマンドに連れて行かれたようだ」と、ニムローズ州知事のハーラム・ダストギール・アザドが述べた。

2人の援助活動家はTerre d'Enfance(A World for Our Children)に所属し、同僚のアフガン人3人とともに、ニムローズから西部のファラ州に向かっていた。

hoonTwo French confirmed kidnapped in Afghanistan
KABUL

■ウズベク人の排除[070407 News]

南ワジリスタンにおける戦闘司令官が率いる地元部族民とウズベク人の戦闘がいまだに続き、政府は220人の犠牲者が出たと主張している(中略)。

政府報道官によると、部族民たちはウズベク人たちを排除するために結束したと主張しているが、情報源によると、彼らの動機はそれほど単純なものではないようだ。外国人の中には、2つのグループが戦う様子を静観している者もあり、地元の司令官、モーラビ・ナジールに味方する者もいる。さらにウズベク人が一掃されたからと言って、この地域からタリバンや地元協力者がいなくなるわけではない。特にウズベク人戦闘員と戦っている地元司令官自身が、タリバンによってその地位を与えられているから、なおさらだ。ウズベク人に協力している地元部族民との間の、部族間の戦いだという報告もある。さらにパキスタン軍が、ウズベク人と戦って負傷した部族民を治療している(北西辺境州の軍関係者の病院に移送されたともいわれる)という事実もある。ウズベク人排除のために、空からの援助を求めた部族民に政府が協力している様子もある。このようなことから考えると、これまでパキスタン政府ができなかったことを、部族民たちがしているようだ。

しかしウズベク人たちは、パキスタンで何をしていたのだろう。なぜここにやってきて、なぜ政府はこれまで何もしなかったのか? さらになぜ誰も知らないうちに、これほど多数のウズベク人がここにいるのか?(後略)

smellEjecting the Uzbeks

■パキスタン軍、アルカイダの拠点を確保[070406 AFP]

パキスタン軍が金曜日、部族民戦闘員たちによって外国人アルカイダが一掃された地域に入った。

3日間に及んだ部族民と外国人アルカイダ系の戦闘員の衝突のあと、南ワジリスタンの近くのシーンワルサックに軍が入ったと、関係者が述べた。「陸軍がシーンワルサックに入り、地域を確保した」と、治安関係者が述べた。

当局と合意を交わした部族民たちが、ウズベク人やチェチェン人戦闘員を一掃するために武器を取ったが、政府はこの戦いに軍は関与していないと述べた。

シェルパオ内相は、3月19日以来、外国人戦闘員200人以上と部族民50人以上が死亡したと発表している(中略)。

住民によると、昨晩からの戦闘で部族民7人が死亡したという。その中には、元タリバンリーダーで部族民司令官であるムッラー・ナジールの運転手も含まれている(中略)。

部族民たちは、中央アジア出身の抵抗勢力が立てこもっていた避難用の壕を占拠した(中略)。部族民たちが木曜日に、この壕を占拠するために政府に軍のヘリコプターや重兵器を要求した。

ウズベク人戦闘員たちはその後ワナ西部のダナ村にあるシェール・ジャンの家に放火した。ジャンは、部族民の軍隊をまとめるために尽力していた。その後戦闘が勃発し、ジャンの弟が殺害され、息子と甥が負傷したという。

hoonPakistan troops secure area seized from Al-Qaeda
WANA

■パキスタンの首都のモスク、イスラーム法廷を設置[070406 AFP]

パキスタンの首都でタリバン式の道徳法を率先している原理主義宗教者が、自分のモスクに「シャリア」法廷を設置すると述べた。

1週間前、イスラマバードのラールマスジッド@またの名を「赤のモスク」の学生たちが、売春宿を運営していた女性を誘拐したり、音楽やDVD店を標的に、道徳パトロールを行なった。

「モスクにイスラーム法廷が設置される。このシステムが軌道にのれば、他の地域でも開始する」と、祈祷を主導するアブドゥル・アジーズが述べた。「もし政府がシャリア法廷を設置できないのなら、我々がラールモスクでそれを行ない、イスラーム法を用いて問題を解決することを望む者たちに、正義を与える」。モスクが機能し始めれば、他の地域にもこのシステムを広げるという。「裸や不道徳、賭博と戦う」と述べた(中略)。

木曜日にはイスラマバードで、約600人の人権団体活動家たちが行進して、モスクやその学生たちに「イスラームの名の下にパキスタンの一般市民にいやがらせや脅迫を行なわせない」ように、政府に促した。

先週、アジーズのモスクに付随するマドラッサに通うブルカをまとった女子学生たちが、売春宿を経営する地元の女性と女性の親戚2人をを拉致し、いっぽうで男子学生がそばを通りかかった警察官2人を拉致した。

警察官たちは数時間後、当局に逮捕されたマドラッサの教師2人と引き換えに、解放された。

その後学生たちは誘拐した女性(ブルカを被った)を連れ回し、メディアの前で罪を告白させた。この女性はその後、町から逃げ出した。

先週、イスラマバードで音楽店やDVD店を運営するオーナーによると、モスク出身の学生たちに閉店するように脅迫されたという。モスクは、自分たちの学生が脅迫行為をした事実はないと、発表した。

garrMosque in Pakistan capital to set up Islamic court
ISLAMABAD

■ジルガ、軍に援助を要請[070406 News]

南ワジリスタンにおける外国人戦闘員と部族民ラシュカルの戦いは2日目を迎え、死者の数は70人に達するとともに、外国人戦闘員を追い出すために、地元の部族民リーダーたちが陸軍と政府に援助を要請した。

カローシャ、シェンワルサック、アザムワルサックでは、木曜日になっても外国人と部族民の衝突が続いた。ラシュカルは親外国人派の長老、サルダル・ハルーン・ヤルグルヘールを逮捕し、3人の外国人の遺体を回収したという報告もある。

いっぽうアフマッドザイ・ワジール族のゼーリヘール氏族がジルガを開催して、外国人たちを一掃するために、陸軍と行政当局に援助を求めたという(後略)。

hoonJirga seeks Army help against foreigners
Nisar Mahmood、PESHAWAR

■パキスタンの部族民、誰が誰を殺しているのか?[070405 BBC]

パキスタンの南ワジリスタンが、再び混乱している。

政府によると、地元の部族民たちが、アフガニスタンにいる外国軍を攻撃している外国人戦闘員たちを一掃するために、武力キャンベーンを開始したと主張している。3月以来、外国人戦闘員を中心に、250人以上が死亡したといわれる。

別の情報源によると、死者の数はもっと少なく、地元戦闘員と外国人戦闘員が互いに戦い、権力闘争を繰り広げているという。

どちらの主張も確認できない。ジャーナリストたちは現場に入ることが許されず、この地域では携帯電話も機能しない。2ヵ月前に電話交換局が強奪されて以来、地上電話も通じない。

しかし、現場を行き来している住民や行商人たちによると、上記の2つの説に信憑性があったとしても、もうひとつ別の説が存在することがわかる。

《権力抗争》

南ワジリスタンでは、アフマドザイ・ワジールが主要部族民だ。彼らがこの地域の経済を牛耳っており、アフガニスタンとパキスタンの交易路をコントロールしている。

アフマドザイを構成する9つの氏族のうち、ワナを支配しているザリヘールが支配権をもっていた。ザリヘールの中には3つの枝族があり、実際にワナで外国人戦闘員たちを匿っているのは、そのうちの最大枝族であるヤルグルヘールがである。

ヤルグルヘールは、多数のタリバン司令官を生み出して来た。なかでも有名なのはネック・ムハンマドで、2002〜3年、ワナに数千人の外国人戦闘員を招き、その結果パキスタン軍は2004年3月に大敗した。

彼は2004年3月に米軍の空爆で殺害され、その語、彼の兄であるハッジ・オマルを含むヤルグルヘール司令官たちが、ワナでそれぞれ派閥を作り始めた。

現在の抗争は、これらのヤルグルヘール司令官と、2006年11月にアフマドザイ・ワジールの最高司令官として、タリバンのリーダーシップに任命されたムッラー・ナジールとの間の抗争といえる。

ムッラー・ナジールはザリヘールのうち最弱枝族の出身であるために、ヤルグルヘールはおもしろくない。最近の暴力沙汰の原因は、ここにあるようだ。

《標的》

もしこれが真実としたら、外国人戦闘員たちは、いったいどういう位置づけにあるのだろう。

政府によると、地元部族民たちが、彼らを掃討しようとしているという。しかしワナからの報告によると、ムッラー・ナジールの部下が標的としているるは、ウズベク人だけだという。本当のアルカイダ、つまりアラブ人たちについて言及する者は誰もいない。

さらに鳴りを潜めているのが、チェチェン人、ウイグル系中国人、そしてアフガニスタンやパキスタンでは「パンジャーブ人」ムジャヒディンと呼ばれるカシミールやパキスタンの過激派たちだ。

つい最近まで、ウズベク人たちは内輪で、2つの敵対するグループに分かれていたといわれる。1つはカリ・タヒール・ユルダシェフが率いるワナのグループで、もうひとつがミールアリを拠点とするナシール・ソヘイルのグループである。

関係者によると、ワナには3番目のグループがあり、これはユルダシェフの部下の「悪い奴ら」を一掃するために地元部族民に協力している「いい奴ら」だである。

ムッラー・ナジールは、ここ2年の間にユルダシェフの部下が、アメリカ人スパイやパキスタン人工作員だと決めつけて、200人以上の部族民長老を殺害していると非難する。

地元の人間たちの多くは、これはウズベク人だけの問題ではなく、部族民たちが自分の敵を排除するために、彼らを雇っていると信じている。

問題は2007年3月に、銃を持ったウズベク人が、アザムワルサックの長老を殺害しようとてウズベク人戦闘員12人を含む19人が死亡した事件が発端となった。3月20日にアラブ人戦闘司令官が暗殺されたために、再び衝突が起きた。ムッラー・ナジールによると、ウズベク人の仕業だという。

それ以来両者は対立し、軍関係者10人以上を含む、100人近くが死亡している。

ただし疑問は、強力なヤルグルヘールの司令官たちでさえ失敗しているというのに、ムッラー・ナジールのような部族的な弱者が、どうやって成功できたかという点だ。

その答えを考えると、別の局面が見えてくる。

去年の9月、これまであまり名を知られていない多数のムジャヒディンたちがワナに入り、巨額な賃料を支払って家を借り始めた。当初地元の人間たちは、彼らがトルクメニスタンから入って来たと信じていたが、今になって、彼らとパキスタン軍との関係がささやかれている。

これらの新参者たちがウズベク人たちと争いを始めて緊張が高まり、2006年11月以来、ワナの支配を巡って権力抗争が始まった。

アフガニスタンから入ってきたタリバン幹部司令官が、アフマディ・ワジール族の総司令官としてムッラー・ナジールを使命したために、一時問題は沈静化した。

新参者とともに、パンジャーブ人ムジャヒディンたちはムッラー・ナジールに味方したために、彼はザリヘールやヤルグルヘール司令官たちを押さえ込むことができた。

最近はタリバンの幹部特使たちでさえ、彼にウズベク人や彼らを支援する地元協力者と和解させることができない。

水曜日、彼の部下たちがワナの西部にあるシンワルサックから敵を追い払うことに成功し、数日のうちにウズベク人たちは投降すると噂されている。

《2つの道》

パキスタン政府は、戦闘員間の派閥を利用して、ウズベク人を孤立させることに成功したように見える。この先には、2つの道がある。

まず、政府はさらにアラブ人や他の戦闘員たちをこの地域で孤立さ、北ワジリスタンでも、同じことができるかもしれない。もし政府がタリバンと永遠に決別することを決意したのなら、このような道を取るだろう。

別の道は、これ以上タリバン戦闘員たちに犠牲を出さないようにしながら、多数の外国人戦闘員の犠牲者を出したことを理由に、国際社会の圧力を一時的にかわすことである。

これまでイスラマバードは、2番目のオブションを選んできた。今回はどうだろう。

smellPakistan's tribals - who is killing who?
M Ilyas Khan、Karach

■ワジリスタンからの外国人戦闘員一掃を説明する手紙[070405 News]

南ワジリスタン行政区のムジャヒディン・アハレ・ハクと自称する部族民戦闘員たちが、地域のウズベク人たちに対する武力キャンベーンを開始した理由を説明する手紙を水曜日に公開した。

手紙は、南ワジリスタンの居住者たちに、平和だった地域を地獄に変えてしまった外国人たちに対してジハードを戦うよう、呼びかけた。ウルドゥー語で書かれた2枚からなる手紙で、パンジャーブ人タリバンとして知られているムッラー・ナジールが、ウズベク人とその指導者であるカリ・タヒール・ユルダシェフが、無実の部族民200人を殺害したとして非難している。

さらにウズベク人たちは、タリバン政権崩壊後にアフガニスタンでジハードを行なうために南ワジリスタンに入ってきた、トルクメン人80人を殺害したという。カリ・タヒールの部下たちは、これらの無実な人間を誘拐し、ワナにある秘密の拷問所で処刑した。

ムッラー・ナジールは、ワジール族とマフスード族が、アフガニスタンから逃げてきたウズベク人とその家族を匿ったことを世界は知るべきだと述べた。ワジールとマフスード族はかれらをムジャヒディンと考えたために、自分たちの家を提供した。しかし、これらの外国人には、欺かれたと非難した。

ムッラー・ナジールによると、ウズベク人たちは、重要な宗教学者であるハーフィズ・イドレーズも誘拐・処刑したという。ハーフィズ・イドレースはパンジャーブ人で、南ワジリスタンのムジャヒディンに精力的に協力していた。シンワルサックの拷問所から発見されたビデオに、彼が処刑される前に拷問される様子が映されていたという。「ビデオで、ムフティ・アブ・バカールが出したファトアにより、パンジャーブ人だという理由で彼を処刑することが述べられていた」(中略)。

これらの状況から、ムッラー・ナシールは、これらの人間の悪事に黙っていることはできないという。外国人たちにこれらの所業を中止するよう要求したが、反応がなかったために、武器を取ってジハードを行なうしかなかったという。

hoonLetter explains drive against foreign militants in Waziristan
Mushtaq Yusufzai、PESHAWAR

■ワジリスタンの衝突で、60人死亡[070405 News]

水曜日に南ワジリスタンの地元部族民と外国人戦闘員が衝突し、戦闘員、主に外国人60人が死亡した。いっぼう治安関係者によると、外国人44人と部族民7人が死亡したという。

最近結成された部族民ラシュカル(警察)が、ワナ西部のシンワルサックの丘を占拠したという。外国人戦闘員と地元協力者40人が逮捕された。部族民5人も戦闘で死亡したという。ラシャカルはモーラビ・ナジール司令官が指揮している(中略)。

目撃者によると、ラシュカルはアフマディ・ワジール族数百人で構成され、火曜日にウズベク人6人を殺害、2人を逮捕したという。水曜日に戦いはさらに激しくなり、外国人60人が死亡したといわれる(中略)。

アフマディ・ワジール族のザリヘール氏族が、外国人に対してジハードを宣言した。モーラビ・ナジールによると、地元の部族民約3000人が戦いに参加したという。地元司令官のナジールとシェール・ハーンは、部族地帯から外国人がいなくなるまで戦いを続けると誓った(中略)。

朝の祈りの後、戦いの太鼓が鳴り響き、部族民たちが「アッラー・アクバル」と叫びながら各方面に散っていったという。それ以来激しい戦闘の音が聞こえている。パシュトゥーン族が太鼓の音に合わせて歌を歌ったのは、3年ぶりのことである(後略)。

hoon60 killed in fresh Waziristan clashes
Nisar Mahmood、PESHAWAR

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2007.