【2007年6月4日〜6月10日】
●アフガニスタン西部におけるタリバン抵抗勢力の攻撃で、14時間にわたって戦闘が続き、戦闘員30人と警察官2人が死亡した。
●戦闘員約200人が土曜日にバドギス州を攻撃し、戦いは日曜日の朝まで続いたと、州警察長官のムハンマド・アヨーブ・ニアザールが述べた。「タリバン30人が戦いで死亡し、遺体が現場にある。不幸なことに、警察官2人も殉教した」。
●戦闘は、トルクメニスタンとの国境から15キロ離れたムルガブ地区で起きた。この地区では、2003年にも抵抗勢力たちが地区を占拠しようとして、戦闘員150人が死亡している。
●土曜日に抵抗勢力たちが地区政府本部や自治体の建物に放火したと、警察長官が述べた。「現在我々は地区を完全に制御している。戦闘は終わり、平和が戻った」という。
●これまでアフガニスタン西部は、南部や南西部と比べると比較的安定していた。しかし最近、北部や西部も攻撃され、自爆や戦闘が起きて数十人が死亡している。
●土曜日にヘルマンド州で英軍のパトロール隊が攻撃され、英兵1人が死亡したと、英政府が発表した。その他、英兵4人が負傷した(後略)。
Taliban attack leaves 30 militants, two police dead●これまでアフガニスタンの抵抗運動は、アフガニスタン南西部と南東部に集中していた。しかし今やイランとの国境沿いの北西部でも問題が起きている。この地域においてカブール政権やNATO軍が攻撃されるのは、他の地域とは異なる理由のためだ。
●(中略)ヘラートのシンダンド地区の行政本部は、4月の末にNATO軍がバフト村を爆撃して136人が死亡したことに腹を立てた群衆により、放火された。NATOはタリバンが死亡したと主張しているが、その他のすべての報告は、死亡したのは単なる一般市民であることを示している。アフガン政府でさえ、死者の57人は一般市民だったと発表した。
●抵抗勢力の問題と絡んでここで事件が起きたのは、2度目だ。1度目は、イランがアフガン人難民数万人を追放したために、彼らを抵抗運動の手の中に送り込んでしまう結果となった。
●ハッジ・ムハンマド・アラムは、この地区の行政官だ。ロシアで教育を受けたこのパシュトゥーンは、4月の空爆を憂慮する。「シンダンドには、アルカイダもタリバンもいない。部族間の復讐で、NATO軍に偽情報が流された。NATOは詳しく調べもしないで、一般市民を爆撃した」と、アラムは語る。
●その後アラムはシンダンド地区の有力者で、殺害されたパシュトゥーンの軍閥、アマヌッラー・ナスルに電話をかけた。我々は、ナスルが支配するゼーリ・コー地区に車で向かった。カルザイによって任命された行政官は、警備員1人を同行することだけを許された。ナスルの支配地域には、アフガン警察も軍も入ることを許されていない。平服の武装した男たちが、山の頂上で見張っている。ジープに乗った武装した警備員たちが、我々をエスコートしてくれた。
●ゼーリ・コーの人々は、アフガンの司法システムを信用していない。ここ数ヵ月の間に、宗教学者たちが村々に拠点を築いた。「各村には、宗教指導者が最低4人いる。彼がほとんどの問題を解決する」と、アラム語った。
●ヘラート州は電力供給の中断がない唯一の州であるにもかかわらず、この地域の緊張を緩和するために、シンダンドには電気がない。その理由は、ヘラート州知事の座を追われたタジーク族の軍閥イスマイル・ハーンが、州知事の座と引き換えにエネルギー大臣になったからだ。彼はシンダンドにいるパシュトゥーンの敵を、暗闇の中に閉じ込めている。
●1時間ほど車に乗ると、我々はナスルの住処についた(中略)。たまたまジルガが行なわれていて、長老やNATOの空爆で死亡した者たちの親戚が集まってごった返していた。
●「我々の敵、特にイスマイル・ハーンは、シンダンドにはパキスタン人やチェチェン人があふれていると嘘をつく。そして証拠もないのに、NATOは空爆を行ない、アフガン人が殺される」。「隣のファラー州の知事は、自分の支配地域をコントロールできず、シンダンドがタリバンやアルカイダの根拠地だと訴える。しかし我々はいつも言うのだ。『もしシンダンドにアルカイダやパキスタン人がいるのなら、なぜNATO軍は彼らの遺体を見せないのだ?』と」。
●「こないだ我々の村を爆撃したとき、我々は理由を尋ねた。彼らはムッラー・アフタル・ムハンマドをこの地域で活動しているタリバンだと主張した。しかしムッラー・アフタルはただの男で、タリバンと何の関係もない。もちろんこの地域にも、以前はタリバンが多数住んでいた。しかし、今はもうタリバン運動とは離れている。彼らをタリバンと呼んで爆撃しても、何にもならない。状況が混乱するだけだ」。
●空爆されたバフト村から7キロは離れるナスルが住むコシュ村も、空爆された。彼の家と、イタリアの再建計画チームが建設した学校が攻撃された。「政府は、死者のうち57人が一般市民だったことを今は認めている。しかし、家族を補償することを拒否している。赤十字だけが、わずかな援助をしてくれた」と、ナスルが語る。
●ここで老人が立ち上がり、アフガニスタンの選挙委員会が発行した身分証明所を2つ見せた。「彼らは私の親戚だった。今回の空爆で死亡したが、タリバンだと言われた。しかし、もしタリバンだったなら、選挙に登録されたはずがない。タリバンには選挙権がなかった」。
●ナスルは続ける。「我々はカルザイ政権に忠実だ。しかし我々の敵はNATOを通して、我々に復讐しようとしている。芥子を栽培していると訴える者もいる。でも見てのとおり、芥子などない。パキスタン人やチェチェン人戦闘員を匿っていると訴えられることもある。しかし、その証拠を提供できた者は、誰もいない」。
●(中略)タリバン政権時代、シンダンドの人間多数がタリバンに参加したが、結局イランに亡命した。今彼らは、強制的に帰国させられている。そしてバフトの空爆のような事件が起きれば、タリバン運動と関係がなくても、アフガニスタン南西部でも反外国感情が高まる。
An insurgency beyond the Taliban●タリバンの元放送局責任者がカブールを訪れたが、今後欧米に支持された政府に参加する可能性がある。
●政府からの直接のコメントはなかったが、取り引きを仲介したタリバンと元ムジャヒディン司令官が、イシャーク・ニザミの離脱を認めた。
●1996〜2001年まで、イシャーク・ニザミはテレビ局とラジオ局の総監督を勤めていた。実際にはラジオ放送しかなかったが、軍と直接関わった経験がないニザミは、イスラーム運動責任者であるオマール師を支持する放送を、定期的に行なっていた。
●アフガニスタンにアメリカが侵攻してタリバン政権が崩壊すると、ニザミは公衆の前から姿を消し、タリバンのメディアに協力することをやめた。
●仲介者となった元ムジャヒディン司令官であるサディーク・ムハンマドによると、ニザミは今、カブールに再び姿を表わしたという。
●地元のメディアによると、イシャーク・ニザミはアフガニスタンの新憲法を尊重し、タリバンがカルザイ政権に参加することを促していくという。
●タリバン報道官が、ニザミが離脱したことを認め、洗脳されたと非難した。元外務大臣を含む元タリバン指導者数十人がこれまでカブールに戻り、政府と和解している。ニザミが他のタリバンの離脱を促すことにどの程度の影響力を持つかは、まだ明らかではない。
●タリバン政権時代にメディア関係の仕事をしていた人々によると、ニザミは音楽や映画が禁じられていた時代に、これらを守るために尽力していたと述べている。
Ex-Taleban media leader defects●アフガニスタンにおける戦闘で、土曜日にNATO軍兵士1人が死亡するとともに、将軍職の警察官が暗殺され、さらに一般警察官11人とタリバン12人か死亡した。
●アフガニスタン南部における「敵と戦闘員」との戦いで、ISAFの兵士1人が死亡して4人が負傷したと、ISAFが発表した。詳細は明らかにされていない。これで、今年になって死亡した外国軍兵士は、80人にのぼる。
●(中略)いっぽうカンダハルでは、床屋から出てきた将軍職の警察官が射殺された。ムハンマド・ダウード・サレー将軍がカンダハルで、バイクに乗った銃を持った男たちに襲撃されたと、州警察長官のイスマットゥッラー・アリザイ将軍が述べた。
●(中略)タリバン戦闘員が、金曜日にカンダハルのゴーラックにある地区警察本部を襲撃して、警察官5人が死亡した。攻撃者12人も死亡したという。
●さらに土曜日の早朝カンダハルの別の場所で、抵抗勢力の戦闘員たちがロケット推進手榴弾や銃を用いて警察の車輛を攻撃したという。「警察官5人が殺害され、4人が負傷した」とアリザイ将軍が述べた。
●タリバン報道官が、両方の攻撃に対して犯行声明を出した。
●さらにこれとは別に、金曜日ラグマン州で、リモートコントロール爆弾により警察官1人が死亡し、3人が負傷した。
●いっぽう米軍主導同盟軍が、土曜日にザーブルで、アルカイダとタリバン戦闘員数人を銃撃戦の末に殺害した、と述べた。諜報情報により、アフガン軍と外国兵が、イスラーム運動に関わる戦闘員を匿っていた家を襲撃したという。家に近づくと、小火器や機関銃、ロケット推進手榴弾で攻撃された。
●2時間に及ぶ戦いで「アルカイダとタリバン戦闘員数人を殺害し、戦闘員5人を逮捕した」という。武器庫が発見され、始末されたと付け加えた。
Afghanistan attacks kill NATO soldier, a dozen police●パキスタンの最高裁判所長官は、更迭される数ヵ月前に、ムシャラフが政府を解散させ、自分が暫定政権の責任者になることを希望していたと、諜報機関責任者が木曜日に述べた。
●3月9日にイフティハール・ムハンマド・チョードリーがムシャラフに更迭されたために国内各地で暴動が起きたが、チョードリーは他の裁判官に関する情報提供を諜報組織に求めていたと、軍諜報局長官のナディーム・イジャーズ中将が述べた。
●チョードリーの、ムシャラフを始めとする将軍たちから脅かされていたとする彼の主張に対して、政府は上述の陳述書を最高裁判所に提出した。
●イジャーズが属する軍諜報局は、パキスタンに存在する3つの諜報組織の1つで、チョードリーは数ヵ月前にイジャーズを呼び寄せて、内政に関して相談をしてきたという。「大統領は議会を解散させて、CJP(Chief Justice of Pakistan)のもとで選挙を行なうべきだ、と主張していた」という口述書をイジャーズは提出している。
●パキスタンでは、上院と下院を解散してから、暫定政権のもとで選挙が実施される。「彼は私に、彼が権力の座に着いた場合、問題をすべて解決できる能力があることを他の人々に確信させるよう、要求していた」という。また「他の裁判官に関する情報」提供を、求めていた。
●ムシャラフの陸軍参謀長官のハミッド・ジャヴィッド准将と諜報部部長のイジャーズ・シャー准将も木曜日に陳述書を提出し、自分たちはチョードリーに圧力をかけていないと述べた。
●最高裁判官の弁護士は「すべてでたらめ」と述べている。
●(中略)いっぽうムシャラフは、自分が1999年のクーデター以来最大の危機に陥った今回、パキスタンムスリム連合が率いる連立政権の誰からも擁護されなかったことを非難した。
●(中略)6月13日に、チョードリーがカラチで演説しようとしたところ、40人の死者を出したカラチの暴動に関して政府を告訴していた男が行方不明になったと、男の妻が述べた。
●(中略)イスラマバード警察は、チョードリーに近い裁判所高官殺害と関連して、2人の容疑者を逮捕した。先週4人が、すでに逮捕されている。
●最高裁判所の副書記のサイード・ヘマド・ラザが、6月14日にイスラマバードで銃を持った男たちに殺害された。
●野党は、2007年末まで陸軍長官として留まるために、ムシャラフがチョードリーを更迭したと主張している。大統領と国会選挙が、今年度末に予定されている。
Spy chief says Pakistan judge wanted to head government●人質と引き換えに、アフガン政府関係者がダドゥッラー師の遺体を引き渡したと、タリバン抵抗勢力が、述べた。
●抵抗勢力によると、拘束していた人質多数を解放したという。今週、人質1人が殺害された(中略)。
●タリバン報道官によると、ダドゥッラー師の家族がカンダハルで遺体を引き取り、町の墓地に埋葬し直したという。タリバンは保健省のために仕事をしていたアフガン人3人と、斬首した同グループの医師を引き渡したと述べた。
●別のタリバン報道官だという男が、解放した人質は4人だと述べた。これは、3月以来拉致されていた人質全員の数である(後略)。
Taleban 'given commander's body'●南ワジリスタンの部族民戦闘員の報道官が、ウズベク人戦闘員を殺害したためにムッラー・ナジール・アフマッドがタリバン運動から「追放」されたという報道を、否定した。
●「司令官に対するプロパガンダだ。彼はタリバンの支持をいまだに受けている」と、外国のラジオやパキスタンのウルドゥー語新聞が、ムッラー・ナジールがタリバン運動から追放されたと報道したことに対して、報道官が反論した。ウズベク人戦闘員に対する行動は、自分たちの客人の「不相応な態度」によって、アフマドザイ・ワジール族の堪忍袋が切れたためで、タリバン運動とは関係がないという(後略)。
'Mulla Nazir not expelled from Taliban'●アフガニスタン南部で発生した新たな衝突で、NATO軍兵士2人が死亡したと同盟軍が発表した。またタリバンが設置した爆弾を取り外している最中に、地区警察長官が死亡した。
●ISAFは死亡者に関する情報を発表していないが、火曜日にクナール州でも、別の兵士が死亡している。「アフガニスタン南部で水曜日、敵の戦闘員との対戦でISAF兵士2人が死亡した」という。
●これとは別に、英軍が5200兵を派遣しているヘルマンド州で、少なくとも1人が死亡したと、米軍主導軍が発表した(中略)。
●さらに、地区警察長官が地区警察本部のそばで爆発によって死亡したと、パクティア州知事が発表した。警察長官のジャラード・ハーンの一行が爆弾を取り外そうとしていた所、爆発したという。「ハーンは頭に重傷を負い、後に病院で死亡した」と、州知事が述べた。
●(中略)タリバン報道官のザビフッラー・ムジャーヒッドが、自分たちの組織が爆弾を設置したと述べた。
●またウルズガン州におけるアフガン軍と同盟軍の作戦で、抵抗勢力3人が死亡して10人が逮捕されたと、国防省が発表した(後略)。
Two NATO soldiers killed in Afghanistan●火曜日に警察が発表したところによると、ダニエル・パール殺人と関連して、容疑者の男2人を逮捕したという。
●アサウル・レーマンとファイサル・バティが、カラチから300マイル離れたカシュモルで月曜日に逮捕されたと、地区警察官のサンギール・ムゲリが述べた。
●ムゲリによると、2人ともアルカイダと関係がある、ラシュカレ・ジャングヴィ軍団のメンバーだという。レーマンは、パールをカラチで誘拐した一味を統率していた疑いがかけられている。レーマン、別名ナイーム・ブハリは、パールの監禁を取り仕切っていたという。
●ムゲリによると、2人はバローチスタン州に向かっていたところを逮捕され、車の中から爆発物や武器が押収されたという(中略)。いっぼう人権団体によると、2人は2003年に逮捕され、それ以来ずっと拘束されているという。家族は彼らと接触することができず、この件に関して裁判所に陳述書を提出したという(後略)。
Pakistan police arrest 2 in Pearl murder●船に乗って攻撃から逃走しようとしていたタリバンをアフガン軍が攻撃し、20人以上が溺死したと、関係者が火曜日に述べた。これとは別にアフガニスタン南部における銃撃戦で、タリバン24人が死亡した。
●カンダハルのシャー・ワリ・コットで、月曜日にタリバンがアフガン軍と米軍主導軍を攻撃して、4時間にわたる銃撃線が続いたために、同盟軍がタリバンの拠点3ヵ所を空爆した。戦闘で「約24人のタリバンを殺害した」というが、詳細はわからない。
●隣接するヘルマンドでは、アフガン軍と外国軍から逃走するために、サンギンからムサ・カーラに流れるヘルマンド川を渡ろうとしていたタリバン兵20〜30人が溺死した。治安部隊がタリバンたちが乗った船を攻撃して、船が沈没したという。「敵が船から治安部隊を攻撃したために、応戦した。その結果、船が沈没した」と国防省が発表した。
●金曜日には、急ごしらえの船で逃走していたタリバン約60人も溺死している。
●いっぽうタリバン報道官が、政府が約束した火曜日という期限を過ぎてもダドゥッラー師の遺体を引き渡さなかったために、拉致したアフガン保健医を殺害したと述べた(後略)。
20 Taliban drown in Afghan river sinking●アフガニスタン政府は、タリバンの捕虜との交換として、司令官のダドゥッラー師の遺体を引き渡すことに合意した。
●ダドゥッラー師の遺体は、家族が指名した人間に引き渡すことになったと、関係者が述べた。
●3月にカンダハルで、5人の男性−−医師と看護士3人と運転手が拉致された。当初は逮捕されたタリバンとの交換が要求されていたが、ダドゥッラー師の遺体と交換することで、合意が交わされたという。
●「昨日合意が交わされた」と、保健省アドバイザーのアブドゥッラー・ファヒームが語った。タリバンは、遺体が引き渡されなければ、捕虜を殺害すると述べている(後略)。
Karzai orders Taleban body swap