【2007年7月9日〜7月15日】


■部族民戦闘員、パキスタン政府との和平協定を破棄[070715 AFP]

パキスタンの部族地帯にいる親タリバン系戦闘員が、去年政府との間で交わした和平協定を破棄した。

タリバン議会は、「本日、和平協定を破棄する」と宣言したチラシを、ミランシャーで配布した(中略)。日曜日にジルガのリーダーたちが、最近の軍の動きに抗議する声明を発表した。

日曜日に配布されたチラシによると、政府は25ヵ所に設置された検問所を取り払わなかったために、部族民の長老たちは今後政府との対話を拒否するという。「我々は国民の命と財産の安全と保護のために和平協定に調印したが、政府はタリバンを攻撃し続け、多数の人間を殺害した」。「今日の決議は、国民のためのものだ」。

さらに部族の警察や民兵には、今後軍や準軍隊に協力して政府関係の仕事はしてはならないと警告し、「これに違反したら対処する」と述べた(後略)。

garrTribal militants scrap peace accord with Pakistan government
MIRANSHAH

■パキスタン北西部で戦闘員が38人を殺害[070715 AP]

日曜日に自爆犯が警察本部と軍の車列を攻撃して、38人が死亡した。

(中略)政府は、先週軍がラール・マスジッドに強行突入したことに対して報復を呼びかけている過激派たちがいる地域に、数千人の隊を派遣した。

南ワジリスタンの近くのデーラ・イスマイル・ハーンでは、警察本部で警察官志願者たちが試験を受けていたところで、自爆犯が攻撃した。「自爆攻撃だった。犯人が入隊試験を受けるために集った志願者の中に紛れ込んだ」と、警察官のグル・アフザル・アフリディが述べた。

自爆攻撃があったときに、150人以上がグラウンドに出ていた。爆発で20人が死亡して、35人が負傷したと、警察官のムハンマド・アスラムが述べた。自爆犯の頭部と自爆ベストが発見されたという。

これとは別に北西辺境州のアフガニスタンとの国境付近で、軍と準軍隊の車列が戦闘員たちに襲撃されたと、ワヒード・アルシャッド報道官が述べた。18人が死亡して47人が負傷したという。アルシャッドによると、兵士11人と市民3人が死亡したという。

「青い2台のスズキが、自爆に用いられた。簡易爆弾も用いられた」と、アルシャッドが述べた。兵士39人が爆発で負傷した。

土曜日にはミランシャーから30マイル離れたダズナレイ村付近の道路で、少なくとも兵士24人が死亡し、29人が負傷した(中略)。運転者が、爆発物を搭載した車を軍の車列に激突させた。

(中略)日曜日にイスラマバードは、ラール・マスジッドの騒動の最中に人々を煽動して政府に対立させたとして、宗教政党の国会議員シャー・アブドゥル・アジズを逮捕した。30日間拘束されるという。

地元テレビに出演して、間違ったことは何もしていないと述べたアジズは、平和的解決を促すためにマドラッサに派遣された説得団の一員だった。

garrMilitants kill 38 in northwest Pakistan
RIAZ KHAN、PESHAWAR

■ビンラディンの副官、ラール・マスジッドの仕掛人[070715 Sunday Times]

先週のイスラマバードのラール・マスジッドの騒動で、イスラーム戦闘員たちを密かに操っていたのは、アルカイダのリーダーだった。

諜報関係者によると、ラール・マスジッドを制圧した軍が、ビンラディンの副官であるザワヒリの手紙を発見したという。手紙はアブドゥル・ラシッド・ガジとアブドゥル・アジズに宛てたものだった。

政府関係者によると、ウズベク人、エジプト人、アフガン人を含む外国人戦闘員18人が、政府との対戦が始まる数週間前にモスクに到着して、子供たちを含めた学生たちに、武器の使用法を訓練したという。

(中略)外交関係者たちは、ムシャラフに対して抵抗するようパキスタン人に呼びかけるザワヒリのメッセージが登場したスピードの速さに、驚いているという。

彼の呼びかけはすぐに応じられ、昨日アフガニスタンの国境付近では軍の車列に対して自爆攻撃があり、兵士27人が死亡した。12日前にラール・マスジッドの騒動が始まって以来、少なくとも58人が死亡している。

今週末、宗教政党が組織した抗議運動が各地で実施され、政府は北西辺境州に数千人の兵士を送り出した。

木曜日に警察官3人が自爆攻撃で死亡したスワートにも、軍が派遣された。モーラナ・ファズルッラーのマドラッサが、次の標的だと言われている。ファズルッラーはラジオ局を用いて、アルカイダ支持をうたいかけ、戦いに備えるよう、支持者たちを促している。

政府関係者たちは、ラール・マスジッドの話し合いが今にも折り合いがつきそうだったにもかかわらず、外国人戦闘員のためにそれが決裂したと述べる。

政府の情報源や欧米の外交関係者たちによると、アルカイダは平和的解決ではなく、殉教を選んだという。「パキスタンの広告塔が必要で、ガジがその適任者だった」と、ある欧米の外交関係者が述べた。ガジはモスクに突入した軍に、銃殺された。

ムシャラフが戦闘員たちを排除するために圧倒的に武力を用いたことは、海外の盟友だけでなく、パキスタン都市部の中流階級の人間に歓迎された。戦闘員に対して彼が宣戦を布告したことが、政治的に彼にとって有利になるかどうかは、まだわからない。

(中略)外交関係者たちは、彼に対する当初の支持は、モスクで殺害された女性や子供の数が増えるとともに、すぐに失われてしまったという。

政府関係者は、女性や子供の死者は1人もいないと述べていたが、その後軍は、「判別のつかない」19人の遺体があったことを認めた。「誰だか全くわからない」という。

内務省はモスクで女性と子供25人が死亡したと後に発表したが、生存者の話によると、その数はもっと多い可能性がある。

15歳のアスマ・ハヤットは、友人数名が射殺されるのを目撃し、その他に女の子15人が死亡したと述べた。12〜13歳の男の子「数十人」が死んでいるのも見たという。「誰だかわからないほど顔が損傷していた」と語った。

アスマによると、正面玄関の前で催涙弾の被害を受けた子供たちに水をあげていると、隣にいた友人の17歳のナスミーンが撃たれたという。彼女を助けようとすると、ナスミーンが彼女を追い払い、「いい気分だ。これが殉教だ」と言ったという。怪我の手当のために運ばれていったが、数日後に彼女の父親から、彼女が死んだと告げられた。

11歳のビルール・サビール・ハーンは、自分の友人1人が足を撃たれ、「たくさんの殉教者や負傷した学生が図書館の屋根の上やモスクの前の芝生にいた」と主張した。

ジンナー・スタジアムでは、行方不明になっている子供の親戚たちが学校や死体安置所に連れ行かれた人々の名前が張り出されるのを、待ち構えていた。(中略)このリストには、死亡が確認された15〜16歳の子供たち23人の名前が記載されていた(中略)。

パキスタンの元ISI会長のハミッド・グルは、このような数字や子供たちが死んだり負傷したというような話題は、ムシャラフを失墜させるものだと述べた。「政府は死亡した子供の数を隠そうとしている」。「小さな女の子たちが催涙弾で攻撃されたり銃弾を受けて死亡したという真実が明るみに出てくれば、ムシャラフにとっては大きな打撃となる」。

smellBin Laden's deputy behind the Red Mosque bloodbath
Dean Nelson、Islamabad and Ghulam Hasnain

■パキスタン軍に対する新たな自爆攻撃で、16人死亡[070715 AFP]

日曜日、パキスタンの陸軍車列に対する2件目の自爆攻撃があり、少なくとも16人が死亡した(中略)。これに先立ち自爆犯が24人を自爆攻撃て殺害している(中略)。

爆発物を搭載した2台の車がスワートで軍の車列に激突したと、軍報道官のワヒード・アルシャッド少将が発表した。「少なくとも治安関係者12人と一般市民4人が死亡した」と、地元の警察官が述べた。「犯人2人も、ばらばらになった」という。兵士40人が負傷した。

1人目の犯人が車列に突っ込み、その数分後に2台目の車が突っ込んだと、現場であるマッタの警察官が語った。ラール・マスジッドの騒動に対する、報復の可能性が高い。

(中略)MMA会長のカジ・フセイン・アフマッドが、ラール・マスジッドの作戦や部族地帯に派遣されている軍に抗議して、辞職するいう(後略)。

hoonNew suicide attack on Pakistan troops kills 16
Saad Khan、PESHAWAR

■ビンラディンのメッセージ、ウェブサイトに登場[070715 BBC]

アルカイダ責任者のビンラディンが、1年以上ぶりに、戦闘員のウェブサイトのビデオクリップに登場した。1分にも満たないこのクリップには日付がなく、古いものである可能性が高いという。

軍服を着たビンラディンは戸外で、「聖戦」の死者を賞賛する。

アルカイダの最高責任者は、戦闘員のウェブサイトで、アルカイダのメディア部門のロゴが入った約40分間のビデオの中に登場する(中略)。ビンラディンは「この幸せな男は神に選ばれた殉教者だ」と語り、預言者ムハンマドが「この地位を彼に与えた」と賞賛する(中略)。ビデオは死亡した戦闘員たちを賛美し、アフガニスタンのアルカイダリーダーだと名乗るムスタファ・アブ・アルヤジードが、「アフガニスタンの侵略者たちを追い払うために、神の呼びかけに応えた勇敢な騎士」だと述べた。また2年前にアフガニスタンのバグラム収容所から脱獄したアブ・ヤハヤ・アル・リビも、ビデオに登場した(後略)。

hoonBin Laden message in website film

■ラール・マスジッドで死亡した10人、外国人と判明[070715 News]

内務省報道官のジャビッド・イクバル・チーマが土曜日に、ラール・マスジッドの死傷者の数を誇張している人々がいると述べた。彼によると、7月3日に作戦が開始して以来、アブドゥル・ラシッド・ガジと通行人、店員を含む103人が死亡したと述べ、数を誇張している人々は、それを証明するべきだと主張した。

チーマによると、7月11日に作戦が終了したあと、黒焦げになった22人の遺体がモスクの2部屋から発見されたという。黒こげになった7人の遺体がモスクの中庭で発見され、また女性のためのマドラッサからは、女性9人の遺体が見つかった。さらにガジの家から、ガジの母親と見られる女性の遺体も発見されている。これらの他には、死者はいないという。

報道官によると、71人の遺体が墓地に埋葬され、そのうちの13人の身元が確認されたという。また10人の外国人の遺体もモスクの敷地内から発見され、その写真は後にメディアに公開すると述べた。

女性と子供たちはすべて家に帰宅し、男性628人のうちの472人も解放されたという。156人の学生が拘束され、別件で告訴されている。

行方不明者に関しては、これを扱う専門部門が設けられ、学生36人の親戚が行方不明者として登録している。そのうちの32人が、その後子供たちと再会した。

hoon10 Lal Masjid deceased identified as foreigners
ISLAMABAD

■パキスタンのモスク襲撃のあと、自爆犯が兵士18人殺害[070715 AFP]

土曜日に自爆犯が兵士18人を殺害した。

北ワジリスタンのアフガニスタンとの国境付近で、自爆犯が爆発物を搭載した車を軍の車列に激突させて兵士18人が死亡したほか、28人が負傷したと、軍報道官のワヒード・アルシャーッドが述べた。

「今回の攻撃で殉教した兵士の数は、18人になった」という。「さらに兵士28人が負傷した」。「自爆攻撃の標的となった車輛から、さらに遺体が回収されている」(中略)。

民主主義支持者の活動家たちが土曜日の午後に、最高裁判所の更迭問題をめぐりムシャラフに対して大掛かりな抗議運動を予定しており、彼は別の方面からも圧力を受けることになる。

ムシャラフは国際社会からイスラーム過激派たちを一掃するように圧力をかけられており、北西辺境州に数千人の部隊を派遣している。「軍隊がスワートとデーラ・イスマイル・ハーンに派遣され、この地域の過激派たちの脅威と対戦するために、治安を強化するようムシャラフに指示された」と、軍関係者が述べた(中略)。

北ワジリスタンでは土曜日に、攻撃により兵士3人がさらに負傷している。親タリバン系戦闘員司令官が、軍が土曜日までに新たに封鎖した道路から撤退しなければ、「ゲリラ戦を実施する」と脅迫した。

「政府が7月15日までに検問所から撤退しなければ、和平協定を無効にしてゲリラ戦を実施する」と、アブドゥッラー・ファルハッド司令官が述べた。

地元の住民たちは、親タリバン系グループたちから、パキスタン軍に協力したり政府の代表と接触してはならないと言われたために、安全な場所に移動したと報告されている(後略)。

garrSuicide bomber kills 18 troops after Pakistan mosque raid
Frank Zeller、ISLAMABAD

■パキスタンの自爆攻撃で兵士18人死亡[070714 AP]

パキスタン軍数千人が北西辺境州に派遣されたのを受けて、土曜日にイスラーム過激派たちが自爆攻撃を実施したり、道路脇に仕掛けられた爆弾を爆発させた。また、ロケット弾も発射された。アフガニスタンとの国境に沿って、武力行為が続いている。

「地元の部族民長老たちの協力を得て、戦闘員たちに武器を捨て、政府に対してジハードを呼びかけないように説得している」と、ある軍関係者が述べた。

過激派宗教指導者のモーラナ・ファズルッラーが支持者たちに、ムシャラフに対してジハードを行なう準備をするように呼びかけた(中略)。ファズルッラーはラール・モスクの責任者たちと同じような、タリバン式支配を強要している。

軍が北西辺境州の5つの地域に入るとともに、自爆犯がワジリスタンの国境付近で爆発物を搭載した車を軍の車列に激突させ、兵士18人が死亡して28人が負傷したと、軍報道官のワヒード・アルシャッドが発表した。

さらにバヌーでは、兵士たちが乗った車輛が爆発し、兵士2人が負傷した。また、軍検問所にロケット弾2発が撃ち込まれたが、負傷者はいない模様である。

警察はペシャワルのダウンタウンに駐車した車の中から、時限装置につなげられた11ポンドの対戦車爆弾を発見したという。車は軍と関係があるアスカリ銀行の正面に止められ、小さな爆発音とともに火が上がったために、発見されたという。時限爆弾が、誤って作動したらしい。

スワートには、軍の師団が派遣されている(中略)。北ワジリスタンには軍は派遣されていないが、戦闘員たちが、すべての検問所を日曜日までに取り払わなければならないと要求している。親タリバン系戦闘員のアブドゥッラー・ファルハッドが、検問所は2006年に政府との間で締結した和平協定に反していると主張している。

和平協定はまだ保たれているが、戦闘員たちはこの地域の政府軍を攻撃しはじめている。また政府は、戦闘員の隠れ家の一部を攻撃している。

garr18 troops die in Pakistan suicide attack
DENIS D. GRAY、ISLAMABAD

■北ワジリスタンの戦闘員、和平協定を無効にすると再び脅迫[070714 News]

金曜日に北ワジリスタンの戦闘員たちが、最近になって軍が設置した検問所から撤退しなければ、去年の9月に政府との間で締結した和平協定を無効にすると警告した。

戦闘員の報道官のアブドゥッラー・ファルハッドが語ったところによると、2日前に警告したにもかかわらず、政府は行動を起こしていないと述べた。「我々が提示した最終期限は、あと2日間だ。政府が15日までに兵士たちを撤退させなければ、和平協定は無効にするしか選択肢はなく、ゲリラ戦を再開する」(中略)。

アブドゥッラー・ファルハッドは、7月15日の最終期限を過ぎたら、「ゲリラ攻撃を再開するだけでなく、部族の長老や宗教学者たちに、今後は政府関係者と会わないように依頼するという。この決議に従わない者たちは政府側の人間と考え、対処する」と脅迫した。

また戦闘員たちは、カサダール(部族民警察)や最近準軍隊に入隊した部族民たちに、仕事を止めるように依頼するという。またパキスタン軍に補給物資を運搬する車はすぐにそれを中止しなければ、それなりの対処を受けるという(中略)。

前日北ワジリスタン行政官のピールザーダ・ハーンが、ミランシャーの事務所で自爆犯に狙われた。事務所の職員2人がこれに気づいたために命拾いしたが、2人は爆発で死亡した(後略)。

hoonN Waziristan militants renew threat to scrap peace accord
Rahimullah Yusufzai、PESHAWAR

■ミランシャーで親政府部族民リーダー3人殺害される[070714 Daily Times]

金曜日にミランシャーで3人の親政府系部族民リーダーたちが殺害され、またデーラ・イスラマル・ハーンでは、警察が自爆しようとしていた3人の男を逮捕し、爆発物が搭載された車を押収した。

ミランシャーのバザールで、部族民リーダーたちが射殺された。

また警察は、自爆しようとしていた3人の男を逮捕し、爆発物を搭載した車を押収した(中略)。車の中には「自爆ベスト」と、迫撃弾100発、ロケット弾2発と地雷があった。犯人たちのうち2人は北ワジリスタンの出身で、3人はタンクの人間だという。

hoon3 pro-govt tribal leaders killed in Miranshah
PESHAWAR

■テープがラール・マスジッドに外国人いたことを証明する[070714 Daily Times]

モスクに立てこもっていたアブドゥル・ラシッド・ガジとタリーク・アジム情報相との会話が録音されていたテープにより、外国人がモスクにいたことを証明している。金曜日に『Geo』テレビが放送した録音で、ガジがモスクにいる外国人の運命について尋ねていた。これに対してアジムは、外国人は取り調べのために拘束されると述べた。ガジは、学生たちが拘束されないという条件のもとで、これを受け入れている。録音により、最終的にどちらも互いに要求を受け入れたことがわかる。

hoonTape proves foreigners in Lal Masjid
LAHORE

■アフガン人、斬首される[070713 BBC]

アフガニスタンのタリバン抵抗勢力たちが、スパイ行為をしたとして、アフガニスタン東部で男を斬首した。アフガニスタン南部と東部でここ数週間の間に、7人の男が斬首されている。カンダハル、ガズニ、ヘルマンドなどで、犠牲者が出ている。

タリバン報道官が、アフガン政府がスパイを送り込んでいると述べ、レーザー機器を持っていた者もいたという。これらのスパイのために、タリバンが空爆されているという。

アフガン政府は、斬首されたのは一般市民で、政府や外国軍とは関係がないという。「タリバンたちは無実の者たちを殺害している。村人たちの間に、恐怖を植えつけようとしている」と、ガズニ州の諜報組織関係者が述べた(中略)。

国際軍は今年になって、ダドゥッラー師やアフタル・ウスマニなど、タリバン司令官40人を殺害している。今年の始めにNATO軍は、これからの作戦では、タリバン司令官を標的にすると述べていた。

hoonAnother Afghan man is beheaded

■パキスタンに新たな前線[070713 Asia Times]

(前略)ラール・マスジッドのサーガが終わった今、「イスラーム改革」に対する戦いの第2弾がスワートで開始された。

スワートでは、ラール・マスジッドの騒動の反動が大きい。この地域はシャリア法施行運動(TNSM)の拠点である。金曜日にパキスタン陸軍は数千人の軍隊を、スワートに派遣した(中略)。

《不気味な静けさ》

木曜日の夕方、スワートのミンゴーラでは、軍の存在がすでに顕著になっている。飛行場やその他の施設は、国境警察やスワート・スカウトが警備している。政府の建物は、砂袋で作った避難壕で守られている。

これに先立ち、戦車や大砲を積んだトラックが橋を渡ったあと、橋が爆発した。軍の車がスピードを上げると一般車輛に追跡され、その後この車は警察の車に激突した。警察官3人と通行人3人が死亡した(中略)。

橋に仕掛けられた爆弾や自爆攻撃を見ても、スワートでの軍事作戦は避けられないようだ。少なくとも数週間のうちには、実施されそうだ(中略)。

《現代的なリーダー》

イマーム・ダリは、スワートにある小さな町で、ここにTNSMのモーラナ・ファズッルッラーが住む。(中略)ファズゥルッラーは長い髭を生やして黒いターバンを巻いた、28歳の男だ。「あなたのために時間が取れなくて残念だ。しかし、来ることを前もって予告してくれませんでしたね。私もメディアを避けています。現在デリケートな状況なので」。

「これから私のFMラジオ局に行って、最近の攻撃とは、私は関係がないということを表明しなければならない。さらに人々は軍がいるからといって、激怒してはならない。この地域の人々とは常にコンタクトをとり、暴力に走ってはならないと言い聞かせなければならない」と、ファズルッラーが語った。

ファズルッラー別名、モーラナ・ラジオは、とても有名だ。彼はFMラジオ局多数を持っているが、これは地元政府から禁じられている。彼の関心の的は、電気製品だ。彼はテレビなどを壊したがっている。

「パキスタン軍がここにいるのは、彼らがパキスタン・アメリカ軍だからだ。彼らは我々を守るためではなく、英国の法律を守るために来た。我々はイスラームのシャリア法施行を支持している。だから彼らはここに来たのだ。我々がシャリア法を施行することを妨害するためだ」。

ファズルッラーは、FMラジオ局を持っていることやタリバンに協力していることなど、さまざまな罪で指名手配になっている。しかし、彼には支持者が多数いるために、政府はこれまで行動していない。

「政府は、私のFMラジオ局に反対している。でも、私はそのことに反対だ。これは、私がイスラームの番組を放送する、非営利的な放送局だ。他にも違法FMラジオ局もあるが、音楽を演奏しているために、政府は気に止めていない」。

この地域から中国に続くすべての道路を、TNSMが封鎖している。ファズルッラーは、自分はこれらのこととは何の関係もないと述べた。ラール・マスジッド事件に対する、反動だという。

「この地域で活動しているのは、TNSMだけではない。ジャイシェ・ムハンマドやハラカトゥル・ムジャヒディン、イスラーム神学者協会など、さまざまな組織がある。彼らがやることなすことが、我々のせいになる」。

「今日でさえ、軍に対する攻撃は我々の仕業だと言われた。私はモーラナ・アブドゥル・アジズを支持しており、今だってそうだ。しかしシャリア法施行は政府のやるべき仕事で、個人がやるべきことではない。私は政府に、シャリア法を施行させようとしている」(中略)。

「ラール・マスジッドに関しては、もし資金さえあれば、我々も一緒に戦いたかった。ラールマスジッドは、自身の目的があった」。

ファズルッラーは、自分がタリバン運動の一員であると政府に非難されていることを否定した。「これは非難ではない。名誉だ。私はタリバンを支持しているし、タリバンのオマール師を、私のアミールだと考えている」。

TNSMは1990年代に、ファズルッラーの義理の父であるスーフィー・ムハンマドによって設立された。彼は約1万人の若者を、アフガニスタンに送り込んでアメリカと戦わせた(中略)。

スーフィー・ムハンマドはアフガニスタンから戻ると逮捕され、投獄された。いまでも拘束されている。TNSMは消滅しそうになったが、ここ数年間でファズルッラーの尽力で強力になってきた。彼はスワートとバジョールに、107のFMラジオ局を持っている。

若者から年寄りまで、数千人がTNSMのメンバーだ。ファズルッラーはこれを、道徳法のための平和的な運動と呼んでいる。欧米はこれをパキスタンにおけるタリバン運動と呼んでいる。パキスタンは、国家安全のための脅威と呼んでいる。

それが何であろうと、パキスタン軍とTNSMの間で何かか始まりそうだ。1つだけ確かなことがある。戦いは国境を越える。

garrA new battle front opens in Pakistan
Syed Saleem Shahzad、SWAT VALLEY

■部族地帯で作戦か?[070713 Dawn]

陸軍が、ワジリスタンと接する北西辺境州の南部に軍を派遣し始めたという。

情報源が語ったところによると、砲撃隊を伴った兵士1万2000人が、オカラからタンクとデーラ・イスマイル・ハーンに移ったという。さらにスワートやロワー・ディールにも軍が配置され、北西辺境州と部族地域には、2つの陸軍師団が送られている。

地元のタリバンが、北ワジリスタンに軍が再び配置されたことに対して、不満を表明した。7月15日までに軍を撤退させなければ、政府と交わした和平協定を無効にするという。

戦闘員報道官のアブドゥッラー・ファルハッドが、政府は2006年9月に締結した和平協定に違反していると非難した。

情報源によると、兵士たちはミランシャーの周りに配置され、通行車の検問を開始したという。

hoonOperation likely in tribal areas
Alamgier Bhittani and Zulfiqar Ali、TANK/PESHAWAR

■戦闘員、仲間を埋葬。パキスタンにイスラーム革命を約束[070713 Guardian]

ムシャラフが昨日、武装した原理主義者たちとの戦いを今後強化することを約束。またラール・マスジッドで死亡した戦闘員たちの葬儀が行なわれた。

「過激派はいなくなったわけではない。我々はまだ戦わなければならず、勝利しなければならない」とムシャラフが語り、国境地帯の治安部隊に新しい武器や訓練を与えることを約束した。

ムシャラフは黒いスーツを身に着け沈鬱な表情で、8日に及んだ戦いに衝撃を受けている国民に向かって、団結を呼びかけた。「目的は人々を殺すことではなかった。子供たちを救出することだった」という。

しかし、政府は一般市民の死傷者の数を伏せているのではないかという疑惑が、残った。

イスラマバード郊外に作られた墓地にマドラッサの学生たちの親戚が集り、封をした棺桶が埋葬されるのを見守った。軍は棺桶に1人以上の遺体を入れていると、主張する者もいた。MMAは記者会見で、死者の数は400〜1000人にのぼると主張した。

アジズ首相は水曜日に、死者の中には女性や子供は1人もいなかったと述べた。しかし軍は、焼けただれた19人の遺体を発見し、身元の特定はできないという。おそらく自爆か爆発事故で死亡したらしい。

パンシャーブ州では、ラール・マスジッドから逃げ出して逮捕されたモーラナ・アブドゥル・アジズが、弟の葬儀に出席した。「我々は首を切り落とされても、圧政を行なう支配者に屈服することはできない。我々の戦いは続く。殉教を待つガジが、まだたくさんいる」。「パキスタンにイスラーム革命が起こることを、神が望んでいる」と述べた。

軍事作戦が終了して24時間経ったあと、記者たちは初めて現場に案内された。

戦闘員たちは女性のマドラッサであるジャミア・ハフサで、最後の抵抗を行なった。(中略)自爆犯が自爆した部屋では、壁が真っ黒になっていた。「彼の頭が中庭にあった」と、ある軍関係者が語った。

ミナレットの壁が壊れていた。ガジが死亡した場所には、印がつけられていた。ライフルやガスマスク、弾薬の山が、戦闘員の持っていた武器の量を証明する。パキスタンをシャリア法施行国家にしようとする努力のあとに残されたのは、ジハードCDの山だけだ。

しかし注目するべき点は、多数の人間が死亡したことを証明する証拠が何ひとつないことだ。血痕はすべて洗い流されていた。英字紙は、「数百人の遺体が腐敗し始め、悪臭が漂っている」と報道している。軍はジャーナリストたちを現場に入れる前にモスクを「消毒」したことは認めているが、死者の数は誤りだという。「一般市民の死者に関するメディアの報道は、すべて間違いだ」と、軍報道官のワヒード・アルシャッドが述べた。

驚いたことに、ラール・マスジッドの白いドーム自体を貫通した銃弾は、わずかだった(中略)。

ムシャラフの治安部隊は、報復を受ける可能性がある。すでに不安定な状況になってきた(中略)。

しかしムシャラフは、アメリカ政府からの協力が期待できる。モスクの騒動が最高潮に達した火曜日、ブッシュはムシャラフを「過激派排除のための貴重な盟友」と賞賛した。

さらに同じ日、F-16戦闘機2機がパキスタンに贈られ、アメリカ空軍長官が個人的にこれに同行した。パキスタンに贈られる予定の12機の、最初の2機である。

hoonIslamic revolution will come in Pakistan, warns cleric, as militants bury their dead
Declan Walsh、Islamabad

■アフガニスタンで英兵死亡[070712 AFP]

木曜日にアフガニスタンで、英兵が「敵との接触」で受けた銃弾のために死亡したと、国防省が発表した。

ヘルマンド州で実施された同作戦で、別の兵士2人も負傷したという(後略)。

hoonBritish soldier killed in Afghanistan
LONDON

■パキスタンで爆発[070712 Reuters]

木曜日にパキスタン北西部で2つの爆発があり、警察官3人を含む、少なくとも7人が死亡した。そのうちの1件は、政府関係者に対する自爆だった。

ラール・モスクで治安部隊が、原理主義聖職者を殺害した2日後のことである(中略)。

木曜日に、北ワジリスタンの政府幹部の事務所で自爆攻撃があり、2人が死亡したという。北ワジリスタンの行政官、ピザダ・ハーンは無事だった。しかし病院の医師によると、ハーンのスタッフ2人が殺害され、客人と職員2人が負傷した。

「黒い服を着た男がハーンの事務所にいた関係者に止められると、自爆した」と、ミランシャーの病院のベッドでシェール・ザマンが語った。

スワートで警察の車輛を狙った攻撃も、自爆だったかどうか、現在捜査中である。この爆発で、警察官3人を含む5人が死亡したと、スワートの警察コントロール・ルームのシャムスル・カマールが述べた(中略)。ラール・マスジッドの学生の多数が、ワジリスタンやスワートの出身である。

garrBomb blasts in Pakistan in wake of mosque assault
MIRANSHAH

■戦闘員、和平協定を無効にすると警告[070712 News]

水曜日に北ワジリスタンの戦闘員たちが、2006年に締結した和平協定に従わなければ、新たなゲリラ攻撃を開始すると警告した。

戦闘員報道官のアブドゥッラー・ファルハッドが、警告を発した。北ワジリスタンから電話をかけてきたファルハッドは、パキスタンは、最近道路に設置した検問所を取り払うべきだと述べた。政府と軍がこれを無視すれば、これまで遵守してきた和平協定を無効にして、戦闘員たちは北ワジリスタンでゲリラ攻撃を再開するという。

これまでアブドゥッラー・ファルハッドは、戦闘員とメディアの間の仲介役を果たして来た。偽名と思われる。

アブドゥッラー・ファルハッドによると、軍はここ数日のうちに、シシャなど、ミランシャ〜ダッタヘール、ミランシャー〜ラムザック、バヌー〜ミランシャー間の道路に、検問所を設置しているという。これは和平協定に明らかに反する。これまでも政府は和平協定に違反しており、今回検問所に兵士を派遣したことにより、さらに協定の約束に反したという。このことから軍は、和平協定を遵守する気がなくなったことは、確かだという。

また政府はラムザック、ダッタヘール、サイドギなど、北ワジリスタン各地で軍事作戦や空爆を実施しており、これも和平協定に反するという。さらに、以前の軍事作戦で肉親を失い、財産を失った部族民たちを補償することを拒否した、と訴えた。政府は、道路に設置された検問所を完全に取り払うことを約束したにもかかわらず、これを行なっていないという。

「我々は、和平協定を100%遵守している。政府は組織的に協定に違反している。我々は協定を守っていたが、もう限界だ」と訴えた(中略)。

彼は、南北ワジリスタンの戦闘員たちが初めて協力して行動することにしたと語った。これまでは連絡を取り合っていたが、今は関係を強化した。北ワジリスタンが攻撃されれば、南ワジリスタンの仲間が我々の土地を守るために協力する。同じように北ワジリスタンの人間は、必要な時がくれば、南ワジリスタンのタリバンを助けると、説明した。

政府が協定を無効にしようとしていることの証明として、ペシャワルで開催された、北ワジリスタンの長老が集ったジルガで、北西辺境州知事のアリ・ムハンマド・ジャン・オラクザイが述べた言葉を引き合いに出した。彼によると、知事は和平協定は70%しか守られていないと述べたという。これは政府が、和平協定から後退しようとしていることの証明だと強調した。

知事や政府関係者は北ワジリスタンの部族の長老や宗教指導者たちに、隠れている外国人戦闘員を追い払って、和平協定に従うことを強調していた。戦闘員たちは、協定の約束を守っていない部分があると訴えている(後略)。

hoonMilitants threaten to end peace accord
Rahimullah Yusufzai、PESHAWAR

■19人の遺体は、女性と子供の可能性があるとパキスタン[070712 AFP]

木曜日にパキスタン軍が、ラール・マスジッドに残っていた焼け焦げた19人の遺体のうち、女性や子供の者がある可能性があると述べ、死者の数は89人になった。

ジャーナリストたちを初めてモスク内に案内した軍は、自爆ベストや地雷など、戦闘員の多数の武器を開示した。「75人の遺体を回収した」と、軍報道官のワヒード・アルシャッドが述べた。「75人のうち、19人は損傷が激しく、性別も年齢もわからない」。いっぽう軍のほうは、11人死亡して44人が負傷したという(中略)。

アルシャッドによると、自爆者2人が自爆し、爆発物が詰まった、爆発しなかった自爆ジャケットが2つ見つかったという。また軍が入ろうとしたところで自爆があったという、焼け焦げた部屋に案内した。軍は、犯人の頭部と焼けただれた遺体を発見したという。

hoonPakistan says 19 mosque bodies could be women, children
ISLAMABAD

■ラール・マスジッドの死者を埋葬[070712 BBC]

パキスタン軍がモスクに突入したあと、殺害された数十人の遺体がイスラマバードの急ごしらえの墓に、埋葬された。

政府によると、死亡した73人は戦闘員だという(中略)。アブドゥル・ラシッド・ガジの葬儀も、彼の故郷で行なわれた(中略)。

女性や子供たちが犠牲になるのではないかと危ぶまれていたが、ワヒード・アルシャッド軍報道官によると、遺体の中には女性や子供はいないという。

『BBC』のバーバラ・プレットによると、モスク内で何があったのかは、依然わからないままだという(中略)。

名前のついていない、数十の棺桶が、木曜日にイスラマバードの墓地に埋められた。葬儀に参加した親戚縁者はいなかった。

パンジャーブ州のバスティ・アブドゥッラ村では、アブドゥル・ラシッド・ガジの葬儀に、数百人が集った。兄のアブドゥル・アジズが祈りを主導して、神は偉大なりと祈り、聖戦を呼びかけた(中略)。「私は、弟と生徒たちをシャリア法施行のために失った」と、弔いに集った者たちに語った。「ガジをはじめとして、モスクで亡くなった者たちは殉教者だ」。「妻と娘は拘束されている。それでも我々は、イスラーム法のための戦いをやめない」。葬儀が終わると、アジズは再び拘束された(後略)。

hoonPakistan buries Red Mosque dead

■アルカイダ、パキスタンに聖戦を布告[070711 AFP]

アルカイダのナンバー2が、パキスタン軍による原理主義モスクに対する攻撃の報復として聖戦に加わるように、水曜日にパキスタン人たちに呼びかけた。

ザワヒリが、パキスタン軍とモスクの学生たちとの間の衝突だけに焦点を絞った、「ラール・マスジッドに対する攻撃」と題した4分24秒の声明を発表した。ビデオは、アルカイダのマルチメディア部門の「as-Sahab」によって制作されている。

「パキスタンのムスリムよ。あなたがたはジハードによってのみ、救われる」と、ザワヒリがビデオで呼びかけた(中略)。

ザワヒリはこの1週間で2本のビデオを発表して、今年に入ってからは10本目であると、アメリカの諜報組織Intel Centerのベン・ベンツェが述べた。ベンツェによると、アルカイダのメディア部門の「as-Sahab」は、平均週に2本ビデオを発信しており、その頻度はだんだん早まっているという(後略)。

hoonAl-Qaida: Wage holy war against Pakistan
CAIRO

■パキスタンのポストモダン[070711 Asia Times]

(前略)テレビでの討論に参加したMMAの国会議員のシャー・アブドゥル・アジズと宗教相のアジャーズ・ウル・ハクは非常に感情的になり、涙さえも浮かべていた。2人とも、ガジを説得するために結成された代表団に参加していた。

「作戦の実施は、望んでいなかった。最後まで、命を救おうとした。ガジに信念を曲げるな、武器を捨てるなと電話で言ったのは、あなただ」と、ウル・ハクがアジズを非難した。アジズは、ウル・ハクとムシャラフを「偽善者」と呼んだが、ガジに屈辱的に降伏してはならないと言ったことは認めた。

火曜日に軍事作戦が開始された直後、ガジはメディアと最後の話をした。「部屋は煙でいっぱいで、話すのも苦しい。国民にはこのプロパガンダのシステムに対抗して、イスラーム的な生活に従うよう、呼びかけたい。政府は、我々が重兵器を用いていると言う。メディアにはぜひここに来て、どこにそんな兵器があるか見てもらいたい。そのような兵器を用いて、どこが被害を受けたというのだろう。我々が持っているのはAK-47だけだ。そのほとんどは、許可を得て持っているものだ」。

「私の殉教が近いことはわかっている。政府は一度たりとも、我々と真剣に話し合おうとしなかった。交渉の時でさえ、我々を常に脅迫した。彼らは話し合いなど望んでいない。我々をだめにして、辱めたいだけだ。だから私は死を選ぶ」。

「積極的に動こうとしなかった宗教リーダー、政治リーダーたちがいた。私に電話をかけて、政府の怒りをただ伝えることで我々を脅かし、我々に投降を要求した。これまで私と親しくしてくれて、私のメッセージを届けてくれたメディアにいる友人たちに、お礼を言いたい」と、ガジのメッセージは締めくくられた。

43歳のガジは、パキスタンでは人気があった。彼はムッラーではなかったが、カイディアザーム大学で、国際情勢と政治学のMAを取得した。ユニセフの副会長をしていたが、1988年に父親が殺害されると、モスクの副祈祷リーダーになった。彼の父親のアブドゥッラー・アジズがラール・マスジッドを創設し、父親の死は、兄弟に大きな影響を与えた。ガジは1980年代に、アフガニスタンのソ連軍とも戦っている。

(中略)パキスタンのメディアは、モスクから解放された女性たち多数にインタビューをしたが、その多数が、自分たちの教師だったガジとともに殉教できなかったことが残念だったと述べた。

ガジは兄のアジズよりも、もっと抑制されていた。ウル・ハクでさえ、ガジを穏健だと述べた。モスクに過激なイメージを与えていたのは、兄のアジズのほうだった。

《変更と再変更》

ムシャラフは今回の作戦を行なうお膳立てとして、国際的に指名手配になっているテロリスト数人がモスク内にいるという情報を政府が得ているということを、ウル・ハクにメディアに流させたと、『Inter Press Service』のゾフィーン・イブラヒムが書いている。

名前を特定することは拒否したが、「アルカイダやタリバンよりももっと凶悪な9人の容疑者が、モスク内に隠れている」と、ウル・ハクが日曜日に記者会見で述べた。ウル・ハクによると、「最重要テロリスト」たちがモスクをコントロールしており、モスクの宗教指導者が、女性や子供たちと一緒に捕虜になっているという。

(中略)「イスラマバードでは、宗教指導者とその弟が、諜報組織に操られているという印象をみんなが持っている。これを計画した者は、これほどの命が失われるとは思わなかったようだ」と、イスラマバードを拠点としているあるジャーナリストが述べた。

軍事作戦のタイミングにも、疑問が湧く。パキスタンの軍事政権の本当の動機は、何だったのだろう。

『ジオ・テレビ』のニュース・エディターのイシュタィアークアリ・メフクリによると、ラール・マスジッドの騒動は「諜報組織の最高傑作」で、国家的な重要事項、特にムシャラフが更迭した最高裁判官イフティカール・ムハンマド・チョードリーの陳述から、国民の関心を反らせるための「目薬」だったという。

メフクリの見解を、同じ『ジオ・テレビ』の政治アナリスト、ハミッド・ミールも支持する。「ムシャラフは、ロンドンで開催されるパキスタン人政治家たちの会議から、注意をそらせたかった。その前はラール・マスジッドを用いて、法曹界から目を反らせようそしていた」。

ミールによると、パキスタンムスリム連盟責任者で、モスクとの交渉を行ない、4月には問題を解決する直前まで辿りいたチョードリー・シュジャート・フセインは、「ある重要な人物に、解決を先延ばしにするよう頼まれた」という。

しかしメフクリは、ムシャラフ政府にはもっと大きな目論みがあると信じている。「このことで、ムシャラフはアメリカから、彼が制服を着用し続けることを許される」。

Communist Party of Pakistan会長のシャミール・アフマッド・マリックは、「パキスタンの宗教原理主義は、ISI、軍超総組織、アメリカの帝国主義の申し子だ」と語った(中略)。

パキスタンの野党は、ムシャラフがイスラーム原理主義を密かに奨励することで、世俗政党を求める声や民主主義、選挙実施に対する要求に、対抗しようとしていると非難している。

smellPakistan's post-mortem
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■モスク責任者、故郷に埋葬される予定[070711 AFP]

ラール・マスジッドで殺害された過激派の宗教指導者は、水曜日にパキスタン中部にある故郷に埋葬される予定である。

アブドゥル・ラシッド・ガジとその母親を、モスクで殺害された別の2人の人間とともに埋葬するための墓穴が、パンジャーブ州のサドワニに準備されていると、警察幹部のカユーム・ナワーズ・カイサラニが述べた。

「遺体は飛行機で運ばれると聞いているが、いつ到着するかはわからない」という。村は、ムルタン南西部にある。「葬儀に参加したい者たちは、自由に参加できる」という(後略)。

hoonMilitant mosque leader to be buried in Pakistani hometown
MULTAN

■パキスタン軍、ラール・マスジッドの最後の戦闘員を追いつめる[070711 AFP]

水曜日にパキスタン軍が、ラール・マスジッドの下に掘られたトンネルに、最後まで抵抗している過激派たちを追い詰めた。戦闘でこれまで62人ほどが死亡しており、死者の数はさらに増える可能性がある。

戦闘は2日目を迎え、激しい爆発音や銃撃音が続いた(中略)。アルカイダやタリバンと関係があると見られる戦闘員たちが、建物の下に掘られたトンネルや壕の中に追い詰められている。軍によると、さらに3人の戦闘員が夜間の激しい戦いで死亡した。

いっぽう関係者たちは、建物内の女性や子供たちの数は、思っていたより少なかったという。ほとんどすべてが逃げたか救出されたと、軍報道官のワヒード・アルシャッドが語った。「作戦の第2局面が始まっており、敷地全体をしらみつぶしに調べている」。地雷や手榴弾などで、罠が多数仕掛けられているという。

(中略)マドラッサの地下の通気口からは、いまだに戦闘員たちが発砲していると、現場の治安関係者が述べた。自動兵器や爆発音が聞こえる。「穴のなかのネズミみたいだ」と付け加え、まだ12人ほどが残っているという。

(中略)政府は、建物の中には一般市民300人が、戦闘員によって人間の盾として閉じ込められていると述べていた。しかし水曜日に関係者は、この数は、政府が中にいた市民たちに食べ物を供給しようとしたときにガジが出して来た数字で、数は水増しされていたようだと述べた(後略)。

hoonPakistani troops corner last Red Mosque militants
Masroor Gilani and Sami Zubeiri、ISLAMABAD

■北西辺境州と部族地帯で兵士1人死亡、19人負傷[070711 Dawn]

火曜日に北西辺境州と部族地帯で襲撃があり、兵士1人が死亡、19人が負傷した。そのうちの13人が治安関係者である。

コハートの軍検問所で何者かが手榴弾を盗もうとし、兵士1人が死亡した。

バッタグラム地区では、暴徒たちが2つの国際救援組織の事務所に放火した。ラール・マスジッドの騒動が飛び火することを恐れ、月曜日に各地に軍の検問所が暫定的に設営された。

コトート行政官のムハンマド・イクバルが語ったところによると、検問所から手榴弾が盗まれ、兵士1人が死亡した。さらに2人が負傷した(中略)。

カラ・ダカとバッタグラム出身の武装した部族民たちが、自身のための救援活動をしていたアメリカのCare Internationalとフランスの赤十字の事務所を襲撃して炎上させ、カラコルム・ハイウェイのカス・ブルで道路を封鎖した。部族民たちは丘の上に陣取り、通行する車に発砲しているという(中略)。武装した男たちが4時半頃に立ち去ったために、封鎖が解除された(中略)。

ロワー・ディールでは2件の爆発があり、警察官10人が負傷した。地区本部があるティメルガラは、緊迫した雰囲気にある(後略)。

hoonSoldier killed, 19 injured in NWFP, tribal areas
KOHAT/PESHAWAR

■ハリル師、軟禁[070711 Daily Times]

政府はアブドゥル・ラシッド・ガジが死亡したあと、活動を禁止されている過激派組織ハラカトゥル・ムジャヒディン責任者のモーラナ・ファズルール・レーマン・ハリルを、軟禁したという。

「ファズルール・レーマン・ハリルは安全のために、イスラマバードの自宅に併設されたマドラッサで軟禁されている」と、情報源が述べた。ハリルはガジの協力者で、月曜日の夜に政府とラール・マスジッドの間の話し合いの仲介役を行なっていた。情報源によると、ガジの死後に暴動が起きることを防止するために、自宅軟禁となったという。

2日前に、アザド・カシミールから彼のもとを訪れていたファルーク・カシミーリと別の司令官も、すでに拘束されている。

hoonMullah Khalil in custody
Azaz Syed、ISLAMABAD

■宗教指導者、モスクで殺害される[070710 AP]

パキスタンの首都に厳格なイスラーム法を施行していたモスクの原理主義宗教指導者が、火曜日にモスクに突入した軍に殺害されたと政府報道官が述べた。

(中略)投降するより死を選ぶことを誓った宗教指導者のアブドゥル・ラシッド・ガジが攻撃の際に殺害されたと、内務省報道官のジャビッド・イクバル・チーマが述べた。「彼は死んだ」とチーマが語った。

治安関係者によると、ガジの遺体は地下階で発見されたという。

(中略)地元アージ・テレビ局のムハンマド・ハリッド・ジャミールによると、モスクから出てくる道路に、数十人の女性や女の子が歩いているという。全員ブルカを被っている。軍関係者が、女性の中には既に逮捕されているモスク責任者のアブドゥル・アジズの妻と娘が含まれていると述べた。

(中略)軍報道官のワヒード・アルシャッドによると、人質がまだ残され、激しい戦闘が続いているという。「部屋から部屋に移動して戦っている」。

エディ基金責任者のアブドゥル・サッタール・エディが語ったところによると、軍は遺体を覆うために、400枚の白い布を要求したという。

(中略)今回の衝突に抗議するために、武装した100人の部族民やマドラッサの学生が、北西辺境州のバトグラム町で、中国に通じるハイウェイを封鎖した。さらにムルタンでは、マドラッサの学生500人が、「ムシャラフに死を」と叫んで幹線道路を封鎖し、タイヤを燃やした。またアメリカ大使館は、ペシャワル地域でのアメリカ人の活動を控えるよう、呼びかけている。

(中略)ガジは作戦が始まる2時間前にテレビの電話インタビューに応じ、自分の母親が銃撃を受けて負傷したと述べた。後に彼の部下のアブドゥル・レーマンが、彼女の死亡を伝えた(後略)。

garrChief cleric killed at Pakistan mosque
ZARAR KHAN、ISLAMABAD

■ムシャラフの鉄の拳は、アメリカ好み[070710 Asia Times]

ムシャラフが最後の最後にラール・マスジッド問題の平和的解決に介入したたために、話し合いが決裂した。

「同盟諸国からの圧力」をかけられていると述べたムシャラフは、火曜日早朝、軍にモスク突入を命じた。ムシャラフ自身が警察司令官のタリーク・マジッド中将とともに、作戦を指揮をしたとも言われる。

(中略)モスク突入は、パキスタンにおけるタリバンの拠点に対する初めての行動である(中略)。疑問は残る。このドラマを操っているのは誰なのか。ラール・マスジッド内で操っている者と、外から操っている者がいるのか。とすれば、簡単に問題は解決しない。

すでに次のステージが始まっている。パキスタンの北西辺境州のバットヘイラでは、タリバン系の過激派組織のシャリア法施行運動が軍と衝突して、中国に通じるハイウェイを占拠した。

アメリカ主導の「テロとの戦争」が国境を越えるのも、時間の問題だ。

《話し合いが決裂したとき》

軍事作戦が実施される前の午前2時頃、政府と過激派との間で合意が交わされた。ガジは無条件にモスクから出られることになり、これは「名誉ある逮捕」、つまり短期間の軟禁という言葉で表わされた。

パキスタンの大ムフティのムフティ・ラフィ・ウスマニと宗教相のエジャーズ・ウル・ハク、そして元首相でパキスタンムスリム連盟のチョードリー・シャジャート・フサインを含む使節団が、ガジとの交渉に臨んだ。

この時点でガジは仲間と話し合うと答え、フセインはムシャラフの最終的な許可を得るために引き返した。ムシャラフはこれに先立ち、無条件の解放を認めていた。

両者が再び接触すると−−ラウドスピーカーや携帯電話を通して−−ガジはモスク内にいる「外国人戦闘員」がどうなるか、聞きたがった。そしてこの時ムシャラフのほうは、草案のほとんどを変更していた。政府は交渉団に戻るように命じた。4時半に、軍事作戦が開始された。

「話し合いは成功していた。草案が完成した。アブドゥル・ラシッド・ガジは、無条件解放を約束された。しかし、この草案をムシャラフは変更した。そのためにまったく1からの出直しとなり、決裂した」と、大ムフティのムフティ・ウスマニが語った。彼はカラチのマドラッサを出ることはほとんどないが、今回の話し合いのために、政府から特別にイスラマバードに招かれたのだ。

ウル・ハクも、ガジが無条件解放を約束されたことを認めた。しかし急に「外国人戦闘員」を心配したしたために、状況が変わってしまった。『Asia Times』は使節団のメンバー数人に聞いたが、ガジは「外国人戦闘員」を特に話題には出さなかったと述べた。「自分や一緒に立てこもっている人間の安全の保証を話題にしたが、『外国人戦闘員』を指摘したことはない」と、Federal Board of Islamic Seminariesのモーラナ・ハニーフ・ジャランダリが語った。

情報源によると、政府の同盟側であるMuttahida Quami Movementの国会議員からの使節団が急に現われたことで、状況が複雑になったという。彼らはアメリカの関係者と会ったと言われ、その数時間後に状況が変わった。

《長いサーガの終結》

ラール・マスジッドは、2004年に祈祷リーダーだったガジの兄のアジズが、南ワジリスタンで死亡したパキスタン軍兵士にはイスラーム教徒としての葬儀を行なってはならないというファトウアを出したことで、急に注目された。軍は当時、ワジリスタンでアルカイダや外国人戦闘員と対戦していた。

(中略)その後、武器や爆発物を搭載したガジの車が、ウスマンという名前の人間のもとから出てきたために、政府はラール・マスジッドの兄弟とアルカイダの間に関係があると主張した。

宗教団体が介入して、証拠を求めた。宗教相のウル・ハクが仲介し、軍の諜報組織の捜査を行なうことを約束した。ガジは数週間拘束されたが、ビンラディンやオマール師などを知っているというだけで、テロとの直接的な関係は何も出てこなかった。

2005年のロンドンの自爆事件のあと、犯人の中にラール・マスジッドを訪れた者がいるという報告があったために、再びモスクが注目された。しかし、取り締まりはなかった。その後、兄弟は犯罪者ということになったが、逮捕はなかった。

(中略)今やっと政府は動き出した。しかしモスクがジハード者たちにとって大きなステータスであることを考えれば、大きな影響力があることは確実だ。

smellPakistan's iron fist is to the US's liking
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■アフガニスタンの自爆で17人死亡[070710 AP]

火曜日にウルズガン州で、学校に通う児童であふれたバザールをパトロールしていたNATO軍を狙った自爆があり、児童12人を含む17人が死亡した。

今年に入って最も大きな惨事となったこの攻撃で、50人以上が負傷した。そのほとんどが子供だったという。また犯人が狙ったと思われる、オランダ軍兵士7人も負傷した。

(中略)NATO軍がバザールに入ってくると、犯人が薬屋の前で自爆して、店を7件破壊した。ディラウッドにあるバザールは、この地域の中心となるショッピングエリアだった。

garr17 people killed in Afghan suicide blast
NOOR KHAN、KANDAHAR

■モスクに軍突入[070710 AP]

火曜日にパキスタン軍がラール・マスジッドの敷地内に突入し、女性のマドラッサに立てこもっている残りの戦闘員たちを一掃しようとしている。激しい戦闘で戦闘員50人と兵士8人が死亡したと、軍が発表した。

夜明け前に、軍がモスクに突入した。12時間以上たった今も、捕虜とともに篭城している抵抗勢力たちを一掃しようとしている。関係者によると、少なくとも女性50人が、無条件で建物から出ることを許されたという。すでに子供25人が逃げ出している。

今回の衝突で、7月3日以来、80人が死亡した。

(中略)火曜日に戦闘が開始されて以来、女性たちに加えて若者を含む戦闘員50人が逮捕されたり、モスクの中から出て来た。

軍報道官のワヒード・アルシャッドによると、現在は女性のためのマドラッサに焦点が移っているというが、戦闘員たちがモスクのミナレットから発砲しているという。建物には全部で75部屋あり、大きな地下室や中庭もある。

ある関係者によると、軍はモスクの責任者のアブドゥル・ラシッド・ガジを地下に追いつめたが、彼は多数の子供を人質に、抵抗しているという。軍は4度投降するように彼に呼びかけたが、支持者たちが発砲してきた。ガジは投降するぐらいなら、死んだほうがいいと言っているらしい。

(中略)アルシャッドによると、モスク自体からは戦闘員たちを一掃したが、地下で激しくて抵抗しているという。

(中略)月曜日にムシャラフに仲介役を任命された元首相のチョードリー・シュジャット・フセインが、平和的解決を模索するためにモスクを訪れたが、9時間に渡ってラウドスピーカーや携帯電話を用いて交渉したものの説得は失敗に終わり、疲れ切って戻ってきた。

この使節団の一員だった宗教指導者のラハマットゥッラー・ハリールは、ムシャラフは解決策を妨害したと非難した。彼によると、ガジは一時的に軟禁されるが、政府は学生たちは無条件に解放されるという草案が作られ、警察に指名手配されている者だけが、逮捕されることになっていた。「我々は、じきに国民が良いニュースが聞けるだろうと期待していた。しかしこの草案に大きな変更があるのを見て、びっくりした。政府がなぜそのようなことをしたのか、わからない」。「今日の流血は、政府に責任がある」。

フセインは、大統領の事務所が草案に変更を加えたという主張を否定した。「それは正しくない」と述べた。

宗教相のウル・ハクによると、話し合いは、建物内にいる外国人戦闘員の扱いに関して衝突したという。ハクによると、話し合いの際、外国人戦闘員はどうなるのかとガジが突然聞いたという。これに対して政府は、法に従うことになると答えた。「これを聞くや否や、ガジは電話での話し合いを中止した」。ガジがモスク内に外国人がいることを認めたのは、初めてのことだという(後略)。

garrTroops storm Pakistan mosque compound
ZARAR KHAN、ISLAMABAD

■攻撃のあとワジリスタンに軍、再び配置される[070710 Daily Times]

道路脇に爆弾が仕掛けられたり自爆攻撃があったために、北ワジリスタンでタリバン系の戦闘員たちと和平協定を締結したあと撤退していたパキスタン陸軍が、再び検問所に派遣された。

軍報道官のワヒード・アルシャッドが、通常30兵ぐらいからなる準軍隊小隊を部族地帯の4〜5の検問所−−ほとんどが、ミランシャーとミール・アリ周辺−−に派遣したという。

これは9月の和平協定に違反するものではなく、「治安を強化して、状況を平定するためだ。和平協定とは関係ない」という(中略)。さらに、隊がスワートにも派遣されたと、アルシャッドが述べた。

hoonTroops re-deployed in Waziristan after attacks
ISLAMABAD

■TNSMの取り締まり実施の可能性強くなる[070710 Daily Times]

軍車輛が襲撃されて兵士4人が殺害された出来事に引き続いて、陸軍がスワートに入ったため、活動を禁止されているシャリア法施行運動(TNSM)に対して、軍事作戦が実施されるのではないかと見られている。

軍は「戦闘員」を探しながら、避難壕から避難壕へと移動していると、情報源が述べた。「2日以内に陸軍の派遣が完了し、1週間以内にTNSMに対する作戦が開始される」という。

「スワートにこれほど大勢の軍が派遣されたのは、初めてのことだ」と、チャックダーラの住民が述べた。ディール地区の住民は、みんな不安になっているという。

スワート地区の行政官のサイード・ムハンマド・ジャヴィッドによると、法と秩序を保つために陸軍を呼んだという。「戦闘員が政府関係者を攻撃しているために、軍の協力を依頼するしか術がなかった」とジャヴィッドが語った。「軍は空港、橋、政府関係の建物に配置されている」。TNSMの活動家であるアミール・モーラナ・ファズッラーは、軍の配置は、2007年にMMAが仲介となって政府とTNSMとの間で交わした協定に違反する、と述べた。

政府は、ファズッラーにFMラジオ局を放送し続けることを許可している。その引き換えとして、ファズッラーはポリオワクチン接種のキャンベーンや女性の教育、政府が法と秩序を保つことに協力すると同意した。武器製造工場や戦闘員のための訓練所の閉鎖にも、同意している。

最近ファズッラーは違法FMラジオ局を通じて、「私が軍事作戦で死亡した場合、私の使命を果たしてほしい」。「我々は、スワートの戦闘員たちを支持していない。軍が我々を攻撃すれば、報復する」。

hoonCrackdown on TNSM likely
Akhtar Amin、PESHAWAR

■軍、モスクに突入[070710 AP]

火曜日の明け方、軍がラール・マスジッドの敷地内に突入し、戦闘員たちのとの間で激しい戦闘が展開した。少なくとも抵抗勢力20人と兵士3人が死亡した。

爆発音の中で、奇襲隊が3方向から攻撃してモスクの1階を確保したと、ワヒード・アルシャッド軍報道官が述べた。子供たち20人が軍の方向に向かって逃げてきたために、無事保護されたという。

機関銃やロケット砲、火炎瓶で武装した熟練した戦闘員たちが、地下で抵抗しているという。ミナレットからも攻撃されており、各所に罠が仕掛けられている。

元首相が率いる使節団との話し合いが決裂した数分後に、攻撃が開始された(中略)。爆発音や銃撃音とともに始まった攻撃で、3時間半後に建物の50〜60%は制圧されたが、抵抗勢力はまだ「さまざまな場所」にいると、アルシャッドが語った。

戦闘員20人近くが殺害され、15〜20人が負傷したという。また特殊部隊兵士3人が死亡して15人が負傷したと、アルシャッドが述べた。

抵抗勢力責任者のアブドゥル・ラシッド・ガジが『Geo』テレビに、自分の母親が銃撃で負傷したと述べたが、事実は確認できていない。「政府は武力を用いている。これは攻撃だ。私が殉教することは決定的だ」。彼によると、戦闘員30人が治安部隊に抵抗しており、14丁のAK-47で武装しているという。

(中略)ある関係者によると、隊はモスク内の人間数十人を逮捕し、マドラッサの一部が燃えているという。

月曜日にムシャラフは、元首相のチョードリー・シュジャート・フサインを平和的解決のための使節団責任者に任命した。しかし火曜日早朝まで、約9時間にわたってラウドヒピーカーや携帯電話を用いてアブドゥル・ラシッド・ガジを説得したが、話し合いは失敗に終わった。「たくさんの申し出をしたが、彼は我々に同意しなかった」という。

疲れ切った使節団が車に乗り込むと同時に、大きな爆発音が聞こえた(後略)。

garrTroops storm Pakistan mosque compound
ZARAR KHAN、ISLAMABAD

■パキスタンの正念場[070710 Asia Times]

ラール・マスジッドの騒動が6日目に入った月曜日、ムシャラフは犠牲者の数を最小に押さえながら問題を解決する方法を模索している。

モスクとの対立は続き、政府軍がパキスタンの北西辺境州や部族地帯に派遣された。陸軍師団がスワートに派遣されて、ラール・マスジッドの協力者たちや親タリバン系の過激派組織、イスラーム法施行運動(TNSM)の戦闘員たちと、対戦しようとしている。北ワジリスタンでも、陸軍の作戦を実施する準備が行なわれている。

バジョールでは、2万人以上の部族民たちがライフルを掲げ、集会を開いた。バジョールでは治安部隊関係者4人が拉致され、ラール・マスジッド内に立てこもっている人々の無条件解放と引き換えに、人質となっている。

(中略)TNSMの情報源によると、土曜日に治安部隊と衝突したあと、自分たちに対して大きな作戦が実施されることを察知して、仲間たちを動員し始めたという。陸軍師団であっても、自分たちを打ち負かせないという。「ディール、マラカンド、スワート、ミンゴーラの活動家たちを動員した。国内各地で政府と対戦する準備が整っている」と語る。

(中略)「ラール・マスジッドの問題において、それがジハード組織であろうがワシントンであろうが、政府は利益を狙っている組織に踊らされている」と、元ISI長官のハミッド・グルが語る(中略)。

「ラール・マスジッドの人間はこれまでパキスタン政府と通じており、これまで通り好き勝手ができると信じていた。しかし、今やジハード組織の手の中にある。アブドゥル・ラシッド・ガジも政府も、ラール・マスジッドをコントロールしていない」。「戦闘員たちを無条件で解放するしか、解決法はないと思う。そうでなければ、政府が状況を収拾できなくなる」(中略)「ラール・マスジッドに対して作戦が実施されれば、国内の宗教組織が過激派化してしまう。これらの中心地が過激派化したらどうなるか、想像してほしい」。「ジハード者たちは、このような状況を望んでいるのだ。そうすれば欧米軍はパキスタン国内に侵攻し、タリバンやアルカイダを攻撃する。政府はこの先何が待っているか、認識するべきた(中略)」。

ラール・マスジッドの作戦は、日曜日の早朝に奇襲攻撃をかけようとして、失敗した。奇襲隊がモスクの塀を取り壊そうとたところ、罠にはまった。その後責任者のハルーン・ウル・イスラーム中佐が、銃撃戦で死亡した。

パキスタン政府関係者が語ったところによると、「モスク内にいるのは、普通の学生やジハード者たちではない。よく訓練された戦闘員たちだ。奇襲隊を罠に陥れたその方法を見れば、パキスタンのジハード者たちの仕業ではないことがわかる。アラブ人が中にいることは確かだ。重要人物が、彼らを指揮している可能性がある」。

政府の後にモスク内にいるアルカイダのアラブ人司令官2人の名前を挙げた。アブ・ザールとアブ・マンスールだという。事実の確認は、とれていない。

日曜日にガジは携帯電話で、ジャーナリストたちにメールを送って来た。「我々は全員体に爆弾を巻き付けている。最後の最後まで戦い、仲間たちを辱めない」。

北西辺境州の有名なマドラッサの校長であり「タリバンの父」であるモーラナ・サミ・ウル・ハクは、もしラール・マスジッドが破壊されたら、国内各地で自爆攻撃が実施されるだろうと警告した。

garrA moment of truth for Pakistan
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■バジョールで兵士殺害、4人誘拐される[070709 News]

日曜日にバジョールで兵士が乗った車が爆破され、兵士1人が死亡、8人が負傷した。そのうち2人が重傷である。いっぽう同じバジョールで武装した男たちに、兵士4人が誘拐された。また月曜日に戦闘員たちが、ラール・マスジッドに対する軍事作戦に対して、抗議デモを行なうことを表明した。

情報源によると、バジョールの兵士が通常のパトロールを行なっていた際に、即席爆弾の被害を受けた。兵士1人が即死し、8人が負傷した。車は大破したという。

また情報源によると、戦闘員たちが日曜日の夜にモーマンドとバジョールの境界にあるダルバンロの検問所をロケット弾や小火器で攻撃して、兵士4人を誘拐した。4人はモーマンド行政区に連れて行かれたようで、長老たちがジルガを開催して、問題解決のために話し合いを行なった(後略)。

hoonLevies man killed; four kidnapped in Bajaur
Mushtaq Yusufzai、PESHAWAR

■戦闘員、パキスタン北西部で中国人3人を殺害[070709 AFP]

イスラーム過激派がパキスタン北西部で、中国人3人を射殺した。情報源によると、イスラマバードのモスクの報復の可能性があるという。

日曜日に、自宅で襲撃された4人目の中国人が重傷を負った。

目撃者によると、髭を生やした多数の男たちが3台のジーブでやってきて、中国人たちが作ったオート・リキシャ製造工場に押し入ったという。負傷した中国人によると、知らない男たちが家の中に入って来て、銃撃されたという。「息子と2人の甥が殺害された。何もかもおしまいだ」。「彼らの目的が何だったのかわからない」と語った。

イスラマバードの治安関係者によると、ラール・マスジッドの騒動の報復のようだという(後略)。

garrSuspected militants kill three Chinese in northwest Pakistan
PESHAWAR

■パキスタン北西部で、銃を持った男に警察官殺害される[070709 AFP]

月曜日の早朝、銃を持った何者かがパキスタン北西部で警察官を射殺し、3人を負傷させた。

車に乗った銃を持った男たらが、バヌー郊外のムンダンで警察官の車に発砲して逃走した。「襲撃で警察官が死亡し、3人が負傷した」という。

hoonGunmen kill policeman in northwest Pakistan
PESHAWAR

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