【2007年8月20日〜8月26日】
●米軍とアフガン軍が、アフガニスタン東部の基地から攻撃してきた過激派12人を殺害したと、米軍主導同盟軍が日曜日に発表した。
●同盟軍によると、パキスタン軍がアフガン軍に、シキン周辺を迫撃砲で攻撃したパキスタン側にいる過激派の陣地を攻撃する許可を出したという。「同盟軍は、それぞれ国境の両側3ヵ所から攻撃していた過激派の拠点を破壊した」と述べ、国境の両側で過激派12人が死亡したと付け加えた。
●(中略)「パキスタン軍はアフガン国軍に、パキスタン領内を攻撃することを許可した」と同盟軍が述べたが、パキスタン軍報道官のワヒード・アルシャッドは、同盟軍の声明を否定した。「間違った声明だ。攻撃はなかった。パキスタン側から発砲があった事実はない。彼らが我々に攻撃の許可を求めた事実も、我々が許可を与えたという事実もない」。「事実に全く反する」という(後略)。
Militants killed along Afghan-Pakistan border●日曜日に、アフガニスタン南部における同盟軍とタリバン戦闘員との間の戦いで一般市民18人が死亡したと、目撃者が語った。いっぽうNATO軍は、非戦闘員の死者はいないと発表した。
●ヘルマンド州で、一般市民が死亡したと言われる。同盟軍とアフガン軍が土曜日、タリバンに占拠されているムサ・カーラの近くで、過激派と衝突した。
●NATO軍報道官によると、夜間の衝突で過激派12人が死亡したという。しかしこの地域の長老ハッジ・アブドゥル・マナン・アガが、土曜日の夜遅くに同盟軍が2軒の家を空爆したと述べた。「1軒の家ではパーティが行なわれていたが、女性や子供、男性を含む18人が殺害された」という。また2軒目では、タリバン8人が死亡し、両方の家で、30人以上が負傷した。
●負傷者6人を病院に運んだタクシー運転手ムハンマド・グルによると、一般市民18人が死亡した。親戚が負傷したというムハンマド・ナビは、数十人が死亡したと主張し、「タリバンがNATO軍や米軍車列を攻撃すると、NATOやアメリカ人がやってきな空爆する。我々が病院に負傷者を運ぶと、タリバンだと言う」と述べた(中略)。
●いっぽう、過激派によって軍の監視ポストがロケット弾や迫撃法で攻撃されたあと、国境沿いでタリバン戦闘員12人が砲撃されて死亡した。
●パクティア州の同盟軍とアフガン軍が、同盟軍の監視ポストがパキスタン国内からのロケット弾や迫撃砲で攻撃されたと発表した。パキスタン当局が隊に、応戦する許可を出したという。「同盟軍の砲撃で、抵抗勢力の拠点6ヵ所を破壊した。国境の両側で3ヵ所が破壊されたことを確認した」と述べ、タリバン12人が死亡した(後略)。
18 Afghan civilians killed●親タリバン系過激派が、陸軍基地から軍関係者と警備員2人、政府関係者を拉致したと関係者か述べた。
●4人は金曜日に、南ワジリスタンのラダで拉致されたという。また軍関係者が、北ワジリスタンで過激派3人を殺害したと発表したが、村人によると、全員一般市民だったという。
●(中略)拉致されたのはムハンマド・シャヒード中佐だというが、詳細は不明である。
●また地元の長老や政府関係者が、2週間前に抵抗勢力が拉致した兵士15人の解放を求めていまだに交渉中である。
●金曜日に北ワジリスタンで4件の過激派の攻撃があり、兵士7人死亡、18人が負傷した。このうち2件は、パキスタン陸軍の車列を狙った自爆攻撃だった。
●治安関係者や部族民によると、ミールアリ近くの丘にあるクマール見張台で、自爆犯が爆発物を搭載した車を軍の車列に激突させた。犯人は道路近くの茂みに車を駐車して、待ち伏せしていたという。強力な爆発で軍の車が大破し、兵士5人が死亡、10人が負傷した。
●軍報道官のワヒード・アルシャッドは当初、自爆事件で兵士2人が死亡、3人が負傷したと発表した(中略)。
●自爆攻撃を受けた車列はバヌーからラムザックに向かっていたが、再び動き始めると、再度自爆攻撃を受けた。アサッドヘール村にさしかかったあたりで、自爆犯が車を激突させ、兵士2人が死亡、2人が負傷した。
●クタブヘール村の住民によると、戦闘ヘリコプターが飛来して攻撃したという。この攻撃で死傷者がいたかどうかは不明である。軍関係者によると、戦闘員2人が死亡した。
●3たび北ワジリスタンでは車列が襲撃された。クタブヘールからミランシャーに国境警察隊兵士を運んでいた車列が、簡易爆弾で攻撃された。兵士3人が負傷し、車輛数台が破壊された。
●ミランシャー郊外のバンダ検問所に配置された国境警察隊兵士が、沢に水を組みに行ったところ、遠隔操作による簡易爆弾で攻撃された。この攻撃で、兵士3人が負傷した。
●さらにミランシャーで、国境警察隊兵士1人が、過激派に拉致された。夕方になっても行方がわからず、過激派からの連絡もない。
●その後金曜日にワヒード・アルシャッドがテレビに出演し、北ワジリスタンで軍の車列が過激派に襲撃され、治安関係者6人が殉教し、6人が負傷したと述べた(後略)。
Two suicide attacks kill seven soldiers●先月アッパラ・マーケットとF-8で自爆した2人犯人の身元が、判明した。
●1人はハナン・ディン、もう1人がヤール・ムハンマドで、2人ともワジリスタンのマフスード族である。
●情報源によるとハナン・ディンは狂信者で、F-8のPPPの受付で自爆。17人が死亡した。ヤール・ムハンマドはアッパラのレストランを攻撃し、16人を殺害した(後略)。
Islamabad suicide bombers identified●自爆犯がパキスタンの北西部で、少なくとも兵士4人を殺害したと関係者が述べた。
●爆発物を車に搭載した犯人が、北ワジリスタンのミランシャーの近くで軍の車列に激突した。この他に多数が負傷し、軍の車は大破した(後略)。
Troops killed in Pakistan attack●ムシャラフ大統領が、政治的和解と国内における対話を求めた。
●この発言に先立ち木曜日の夜、最高裁判所が、現在国外追放になっている元ナワーズ・シャリーフ首相の帰国を許した。
●ムシャラフ大統領は1999年にクーデターを起こして、シャリーフ首相を追放。2000年にシャリーフと彼の家族を海外追放に処した。
●(中略)「政治的和解と国家的合意が必要になってきた」と、ムシャラフがテレビに出演して語った(中略)。
●ムシャラフの発言の数時間前に、ムシャラフが更迭しようとした最高裁判所長官が、シャリーフとその家族がパキスタンに帰国することを認めた。
●最高裁判所のイフティハール・チョードリーの更迭は、独断的と見られていた司法を緩和するためだったといわれる。しかしチョードリーが法廷で勝利したために、ムシャラフは窮地に追いやられた(中略)。チョードリーを支持する抗議運動が全国的に拡大したために、ムシャラフが非常事態宣言を出すのではないかと危ぶまれた。発令されれば、法廷の権力に規制がかけられることになる。
●いっぽうで司法は、政府の権力の乱用が指摘される訴訟を追求し続けている。オブザーバーによると、政府がもっとも恐れているのは、シャリーフ氏の帰国だという。
●テレビに出演したムシャラフは、政府の立場を説明した。「シャリーフは犯罪人で、終身刑を言い渡された」。「彼自身の希望で、10年間国外に出ることになった」と語った。しかし最高裁判所は、大統領の最大の敵であるシャリーフを擁護した。
●(中略)ムシャラフは「過去を許し、忘れ、先に進む必要がある」と述べ、追放された政治家たちの帰国を妨害しようとした数週間前の発言を大きく修正した。(中略)ムシャラフは、風向きが変わろうとしていることを察知したようだ。「自由で透明な選挙を行ない、国家的、政治的和解に向かって進もう」と語った。
Musharraf seeks 'reconciliation'●アフガニスタンで英軍3人が、いわゆる「味方の攻撃」で死亡したと、国防省が発表した。
●国防省によると、英軍兵士3人が木曜日に殺害された。兵士たちは、救援に飛来した米軍機がヘルマンド州にいたパトロール隊の近くに爆弾を投下したために、殺害されたという。このほか2人の兵士が負傷した。
●(中略)国防省によると、パトロール隊の兵士たちは、ヘルマンド州のカジャキで活動していたタリバンを追い払うために戦っていたという。タリバン戦闘員の攻撃を受けて銃撃戦となったために、近接支援機を求めた。米軍のF15戦闘機2機のうちの1機が投下した爆弾で、兵士3人が即死した。負傷した兵士たちは、キャンプ・バスションに運ばれ、そのうちの1人は非常に重傷で、別の1人は重傷だという(後略)。
'Friendly fire' kills UK soldiers●アフガニスタンとパキスタンの両方で、タリバンとの和解計画が進んでいる。元タリバン司令官で現在はアフガニスタンの国会議員であるアブドゥス・サラーム・ロケッティ師と駐パキスタン元タリバン大使のアブドゥル・サラーム・ザイーフ師が、アフガニスタン南西部のタリバンの長老たちと話し合い、欧米の同盟軍のために、政治的解決法を模索している。
●パキスタン側では、国会野党のモーラナ・ファズール・レーマンが最近クエッタを訪問し、マンスール師(ダドゥッラー師の弟)配下の地元タリバン司令官と会った。レーマンのほうにも、大きな進展があったようだ。
●クエッタにいる情報源によると、レーマンはマンスール師の代理人と話し合い、レーマンのメッセージを承認するよう伝えると約束したという。パキスタンとアフガニスタンで、レーマンが仲介役となって、タリバンや関連組織と小さなジルガを開催する。レーマンの役割はすでにカルザイ政権に承認されている。残るはタリバン側の承認だ。
●小さなジルガを開催することの重要性は、タリバンが最近ボイコットしたカブールの平和ジルガとは異なり、タリバンが参加していることだ。
●「もしタリバンから肯定的な反応があれば、近々少なくともカンダハルとヘルマンドでは、停戦が実現するはずだ。これがうまく運べば、国家的な平和も保証される」とあるパキスタン人関係者が語った。
●今回の件の主役はパキスタンだ。パキスタンのリーダーシップは、タリバンとの和平協定が唯一、この地域の問題の解決策だと語る(中略)。
●カブールを拠点とする欧州組織で、タリバンと同盟軍との間の話し合いを仲介した関係者によると、タリバン司令官と同盟軍との話し合いは、ロケッティとザイーフを通じて行なわれており、政治的な解決策を模索しているという。事実これらの話し合いの結果、クエッタにいるタリバンの安全が保証され、クエッタで話し合うための段取りがついた。
●停戦が実現すれば、パキスタンとアフガニスタンとトルクメニスタンによる100億ドル相当のパイブライン計画(TAP)が、着手される(中略)。パイプラインはカンダハルを通り、パキスタンのグワダール港につながる。アメリカはこの計画で、ロシアとイランをエネルギー・ゲームから除外しようとしている。イラン、パキスタン、インドは、この3つの国をつなぐパイプラインを計画していたが、ワシントンがこれに反対した。TAPが軌道に乗れば、この計画は必要なくなる。
●タリバンが欧米との話し合いに応じたのは、これが最初ではない。2003年の6月、パキスタンとアメリカの諜報組織とタリバンが、初めて話し合ったことは既に報告した。最近はドイツのメディアが、タリバンとドイツの諜報組織が2005年にドイツで会談したと報道し、イギリス関係者も去年ヘルマンドでタリバンと会っている。
●しかしどれも、話し合いは決裂した。ワシントンがタリバンに対して、強行姿勢を貫いているからだ。タリバンは外国軍が完全撤退し、権力をすべて引き渡して「完全なる勝利」のみを求めている。
●アメリカの場合、タリバン責任者のオマール師を排除したあと、初めてタリバンに政治的役割を与えようとしている。これはタリバンにとっては、論外だ。その結果ワシントンは対話を放棄して、軍事作戦を実施している。
●ISI元長官で軍の諜報組織長官でもあるのアサド・デュラニは、(中略)「テロリストのレッテルを張られている者と話し合うことは、国家にとっては簡単ではない。しかし諜報組織は、いつもその可能性を残している」と、元駐ドイツとサウジ大使のデュラニが語る。「MI6はいつもそうだ。ワシントンは、タリバンに対して強硬姿勢を取っている。しかし今話題に挙がっている話し合いをみると、話のわかる者たちがやっと出て来たようだ。これを続けるべきだ」。
●(中略)元中将のジャムシェッド・アヨーズ・ハーンは、「タリバンがアフガニスタンから去ることはない。アルカイダは外国の組織だ。アルカイダはテロリストだ。タリバンは単なる犯罪人で、アルカイダを匿っていたにすぎない。だから標的にされている。しかし今や世界は、柔軟にならなければならない」。
●「(中略)ワシントンは、あることを気づかなければいけない。このゲームの最大の目的は、アフガニスタンからグワダールに安全なルートを引くことだ。ロシアは同じことのために、アフガニスタンを攻撃した。(中略)ワシントンは教訓をふまえ、友好的な態度を示すべきた。そうすればアメリカにとって情勢がよくなってくる」。
Talks with the Taliban gain ground●最近明らかになった米軍の「交戦規則」によると、エリート部隊は3年前、パキスタンに知らせることなしにパキスタン領内に侵入してテロリストを追跡する許可を出した。
●『AP』が入手した記録によると、レンジャー隊や他のテロ追跡隊がテロとの戦争において何をしていたかを、垣間見ることができる。また、軍関係者とのインタビューから、国境を越えて「緊急追跡」する権利などがいまだに残っていることがわかった。
●パキスタンはこのような越境を、主権に対する脅威ととらえている(中略)。ワシントンは越境がある場合は必ず事前に報告すると、繰り返し主張してきた。
●しかし2004年4月において、アルカイダ責任者を追跡するために越境することは、違反ではなかったことがわかる。
●「パキスタン国内への侵入は」、次のような理由から合法だという。「米中東指令部がビンラディン、ザワヒリ、オマールの『ビッグ3』に対して直接行動することを認めたとき」。「国防長官が越境を認めたとき」である。
●さらに航空機の墜落などで隊を救出する時と、敵と「対戦している」隊の「個人救出」のためには、越境が許される。「地形的制限」は、「原則として、10キロ以内」だという。
●このガイドラインに関してパキスタン軍報道官のワヒード・アルシャッドは、「ばかばかしい。パキスタンは、同盟軍が過激派追跡のために国内に越境することを許していない。このような合意は交わされていない。そのような認識はない」と語った。
●ペンタゴン報道官のトッド・ビシャン中佐は今週、このことに関してはコメントできないと述べた。「交戦規則は、口外しないのが決まりだ。アフガニスタン、イラクなどの現在実施されている作戦なら、論外だ」。
●2004年の記録は、元ブロフットボール選手のパット・ティルマンの死に関する軍の約1100ページの捜査記録の中に含まれていた。
●この記録に出てくるレンジャー隊関係者のEメールには、パキスタン国内を攻撃する際、パキスタンに通告する必要があるとは述べていない。しかし作戦終了後は、パキスタンへの報告が必要となる場合もあった。「合同作戦司令官は、すぐさま中東司令部に報告し、イスラマバードの『Mil Liaison team』への報告を確認しなければならない」という。
●作戦関係者たちはリエゾン・オフィスに報告し、その後パキスタン関係者に報告するという。パキスタンが地上・上空越境に気づき、アメリカに説明を求めてきた場合もある。
●現場関係者や米軍幹部司令官たちは、同じようなガイドラインがいまだに用いられていることをほのめかしている。
●3月に開催された上院軍事委員会の公聴会で、ビル・ネルソン議員がダクラス・リュート中将に質問した。「緊急追跡をするときに、パキスタンの許可を得る必要があるのか」。それに対してリュートは否と答えた。もし米軍がそのような「敵意」を発見したら、国境まで追跡する。「追跡するためのすべての権限を持ち、銃撃しても越境してもいい」。敵がアフガニスタンに向けてロケット攻撃をしようとしているという偵察による情報があれば、軍は攻撃できるという(後略)。
U.S. OK'd troop terror hunts in Pakistan●アフガニスタンの民放テレビが、タリバンに拉致されたドイツ人技師が登場するビデオを放映した。ルドルフ・ベレシュミットが、地面に広げられた布の上に横たわり、胸を抱えて咳をしている様子が映し出された。彼は7月18日にワルダックで拉致された。
●(中略)「私はタリバンと一緒に約3000メートルの山中で暮らしている。タリバンはアフガニスタン政府と交渉したかっているが、政府はタリバンと接触しない。タリバンは釈放のために大使館と接触しようとしているが、時間切れになれば、私を殺したがっている」と、ビデオで訴えた(後略)。
German hostage appeals for help●水曜日にアフガニスタン南部で爆発があり、カナダ兵2人とアフガン人通訳が死亡、ジャーナリスト2人が負傷した。
●ラジオ・カナダの看板レポーターのパトリス・ロイとカメラマンのチャールス・ドゥボアが、通訳と兵士と一緒に移動していたところ、軍の車が爆発した。
Afghanistan blast kills Canadian troops, interpreter●パキスタンのスパイ組織に拘束されていた、アメリカやイギリス攻撃計画に関わっていたアルカイダ容疑者が2年ぶりに釈放されと、火曜日に人権団体が発表した。
●アルカイダのコンピュータ担当者として、訓練された技師だったムハンマド・ナイード・ヌール・ハーンが、最近パキスタン関係者により極秘に釈放された。ハーンには刑事責任がないまま、パキスタンの諜報組織が運営するラホールの極秘収容所で拘束されていたようだと、人権団体のアリ・ダヤン・ハサンが語った。
●ハーンが拘束されていた独房の隣にいた元囚人にハサンがインタビューしたところ、ハーンは2004年以来、ここで拘束されていたという。元囚人たちはアメリカ関係者の取り調べを受けたというが、ハーンも取り調べを受けたかどうかはわからない。
●パキスタン政府関係者は、ハーンの釈放に関しては語っていない。しかしパキスタンの最高裁判所が行なっている、軍や諜報組織が拘束していると思われる、行方不明テロ容疑者数百人の居場所を明らかにすることを要求しているのキャンベーンと、何らかの関係があると思われる。
●最高裁判所長官のイフティハール・ムハンマド・チョドリーは以前、政府が協力しなければ幹部関係者を投獄すると脅迫したが、裁判所は火曜日に、さらに2人の囚人の釈放を命じた。
●いっぽうアメリカ政府関係者は、ハーンの釈放は、パキスタンの捜査官に協力したための見返りだと述べた。ハーンの提供した情報により、ロンドンのヒースロー空港に対するテロ攻撃を未然に防ぐことができた。
●(中略)ハーンの釈放は月曜日に最高裁判所によって明らかにされたが、政府は彼がどこに拘束され、いつ釈放されたかは明らかにしていない。
●(中略)ハーンの弁護士ババール・アワンによると、7月の中旬、パキスタン政府関係者が極秘にハーンが両親に会うことを許したために、彼が生存していることが初めて明らかになったという。アワンはこの再開についてあまり詳しく語らなかったが、「軍によってコントロールされた出来事だった」。「みんなとても喜んだ。ついに若者に会えたのだ」と語った。「監視され、これに関して話してはならないと言われた」。
●ハーンの釈放は、裁判所の決議で実現されたのではないが、ムシャラフの権力の座を危うくしている最高裁判所長官のチョードリーのご機嫌をとる方法を、政府は模索していた(中略)。
●チョードリーは更迭される前、行方不明者についての情報を提供するよう、政府に圧力をかけていた。4ヵ月にわたった抗議運動の末、チョードリーは7月に復職し、再び精力的に活動している。
●火曜日にチョードリーは、ファイサラバードで拘束された24歳のパキスタン人ハーフィズ・アブドゥル・バシートと、ドイツに帰国しようとしていた際に夏に逮捕されたパキスタン系ドイツ人のアリーム・ナジールの情報提供をするよう、政府に圧力をかけた。
●ナジールに関して、「彼に対する嫌疑は何もないはずだ」と、チョードリーは怒りを露にした。関係者が否、と言うと、チョードリーはナシールの釈放を命じた。
●ナジールは拘束中、肉体的な拷問を受けたと述べた。腕には生々しい火傷の跡が残っていたが、検事は彼に、そのことに関して記者に何もいってはならないと怒鳴りつけた。
●「ドイツに向かう飛行機に乗ったら、私は自由になる」と、ナシールは法廷を出る際に語った。「パキスタンに留まる限り、自由ではない」。
●行方不明になっている人々の親戚たちが、愛する者たちの写真を持って、火曜日に裁判者に詰めかけた(中略)。「アッラーにすべてを任せている」と、突如逮捕され、その後行方不明になった甥を持つザフィール・ハーンが語る。「次に頼りになるのが、イフティハール・チョードリーだ」。
Al-Qaeda Suspect Released by Pakistan●タリバン最高司令官が、アルカイダ責任者のビンラディンは生存していて元気だと語ったと、アメリカを拠点としたアメリカのアナリスト団体が述べた。
●インテル・センターが火曜日に発表したビデオの吹き替え文字によると、「アラーのおかげで彼は非常に元気で活動している」と、マンスール・ダドゥッラー司令官がビデオインタビューで語った。「彼からもらったメッセージで、『ムジャヒディンが強力でいられるように、ダドゥッラー師と同じ道を歩むべきだ』と助言された」という。インテル・センターによると、ビデオは2007年6月15日の日付になっていた。
Taliban chief says Bin Laden alive: video●水曜日の夜明け前、過激派がパキスタンの北西部の部族地帯の軍検問所を攻撃したために銃撃戦となり、兵士3人が殺害された。
●バヌーで攻撃されたと、地元警察関係者のムハンマド・ヌールが述べた。ヌールによると、治安部隊が応戦したために過激派数人も死亡したというが、それ以上のことは語らなかった。
●地元の諜報組織関係者によると、過激派たちはロケット弾やライフルを用い、銃撃戦は30分ほど続いたという。「相手側にも死傷者がいるはずだが、何人かはわからない」という。
Militants kill 3 Pakistani soldiers●パキスタンに拘束されていたムハンマド・ナイーム・ハーンが釈放されたというニュースは、人々の大きな関心を引いた。そもそもハーンは普通の囚人ではなかった。
●3年前に彼が逮捕された際、彼はアルカイダの責任者と過激派の仲介者だと言われた。「しかし彼に対するすべての疑惑が晴れた」と、彼の弁護士のババール・アワンが語る。
●2004年7月にハーン氏が逮捕されると、「パキスタンのアルカイダの情報テクノロジー責任者」と言われた。ムシャラフ自身が、彼について自伝に書いている。自伝によると、ハーンはカラチで生まれ、地元の技術系大学を卒業し、コンピュータ技師の資格を取得したという。さらにハリッド・シェイク・ムハンマドにリクルートされ、アルカイダの情報テクノロジー部門を担当していた。
●(中略)ハーンが実際にアルカイダとどのような関係があったのかは、いまだに疑問だ。
●諜報関係者によると、ハーンから回収したラップトップから、いくつかのテロ計画が明らかになったという(中略)。アフマッド・ハルファン・ギラニの逮捕にもつながった(中略)。ハーンが提供した情報から、イギリスで13人のアルカイダ容疑者が逮捕された(中略)。
●これだけの背景がありながら、彼についてはいつも謎だった。ハーンが外国やパキスタンの諜報組織と関係があったという陰謀説が、盛んに浮上した。
●(中略)また彼が今現在どこにいるかも、明らかではない。月曜日に彼が釈放されたというニュースが流れたが、実際に彼が釈放されたのは、1ヵ月も前だ。
●彼の居場所に関しては、海外に移されたという説が有力だ。ハーンが釈放されたということは、彼がISIに協力していたために、身の安全のために保護されていたとも言われる。
●古いアルカイダのネットワークは、スィンドやパンジャーブでは崩壊したという。「特にカラチでは、最後のアルカイダが2005年に逮捕された」と、元諜報組織関係者が語る。「この点に関して、ハーンが重要な役目を果たした」。
●しかし最近では、諜報組織も把握していない過激派が、多数いるという。「重要な疑惑に対する明確な答えは何もなく、非常に不透明な話だ」と、関係者が語った。
Pakistan's 'extraordinary prisoner'●アルカイダと関連があるとして3年前に逮捕されていたパキスタン人コンピュータ技師が、起訴されないまま釈放された。
●ムハンマド・ニーム・ヌール・ハーンはカラチの家族のもとに帰されたと、関係者と弁護士が述べた。ハーン氏は、アルカイダ責任者や過激派と関係があると疑われていた。
●彼が逮捕されたことで、1988年の東アフリカにおける米大使館事件容疑者の逮捕につながり、イギリスやアメリカのテロ計画に関する情報が明らかになった。
●ハーンの弁護士のババール・アワンが、ハーンが家族のもとに帰ったことを確認した。ハーンは起訴されることなく拘束され、1度も法廷に立っていないことを指摘した。
●治安関係者によると、ハーンは数週間前に極秘に釈放され、カラチの自宅は現在監視されている。
●最高裁判所は、ここ数年間諜報組織により逮捕された数百人に関する情報を政府に提供するよう、求めている。ハーンは2004年7月にラホールで逮捕された。
●捜査に関わったパキスタン人によると、ハーンはアルカイダ工作員たちがインターネットでメッセージを送信できるような暗号を考えだしたという。警察によると逮捕の直後彼のコンピュータのファイルを調べたところ、イギリス、パキスタン、アメリカでアルカイダが攻撃を計画していた事実を暴露するeメールが発見された。
Pakistan frees 'al-Qaeda suspect'●米国務省副長官のリチャード・ボウシャーが先週パキスタンを訪れ、9月にはジョン・ネグロポンティが来る予定である。この間の数週間に、アフガニスタンの運命は決まるはずだ。
●この期間に、アフガニスタンの欧米軍とアフガニスタン政府、アフガニスタンの抵抗勢力との間で、和平協定が極秘に話し合われる。第1回目は既にパキスタンのクエッタで始まった。話し合いの結果は、ネグロボンティの訪問の目的を、大きく左右するだろう。
●パキスタンの尽力で実現したこの会談は、抵抗勢力と欧米軍との間で和平協定を締結させ、タリバンをカブールや地方政府の政策に組み込むものである。
●去年同じような取り引きが、カンダハル、ヘルマンド、ザーブル、ウルズガンで締結されたが、失敗に終わった。これを再び復活させると同時に、クナールやコーストでも和平協定を結ぼうとするものだ。話し合いに加わっているのはタリバン司令官、パキスタン人・アメリカ人諜報関係者、そしてアフガン政府である。
●マンスール師(ダドゥッラー師の弟)に従うタリバンは、話し合いのためにクエッタにいる。次の話し合いは、ペシャワルとワジリスタンで行なわれる予定だ。
●特に今回の和平協定は、特定の地域における武力行為を止め、タリバンにある程度の支配権を与え、国境地帯の安全を確保しタリバンを政府に何らかの形で組み込むことを目的とする。
●去年タリバンと同盟軍は、カンダハルとヘルマンドで停戦協定を結んだ。これらの中には、ムサ・カーラ、バグラーン、ナウザッド、サンギン、カジャキ、パンジャワイが含まれる。しかし今年のタリバンの攻撃を予測した同盟軍は、去年の12月に和平協定を破棄してタリバンに戦いを挑んだ。
●その結果タリバンは計画を変更して、ファラとバドギスなどの北西部を攻撃し、ガズニ、クナール、ガルデズ、コースト、ナンガルハルでの活動を激化した。また面と向かって対戦するかわりに変則的な作戦を実施し、開発計画などに標的をしぼって攻撃した。
●アフガニスタンの同盟軍は、開発や再建プロジェクトにも従事しているが、抵抗運動に妨害されている。今回100億ドルのトルクメニスタン〜アフガニスタン〜パキスタンの石油パイプライン計画TAPを、アメリカの会社International Oil Co(IOC)が請け負うことになった(中略)。タリバンと和平協定を結べば、このようなプロジェクトもうまくいく。しかし和平協定が継続されるかどうかは、別問題だ。オマール師はこれには関わっていない。またアルカイダが介入してくる可能性もある。(中略)TAPはイラン〜パキスタン〜インドのパイブライン計画に代わるものである。
●(中略)アメリカは、パキスタンはアフガニスタンと違って、いまだにタリバンに影響力を持つと思っている。そのためにワシントンはカブールにおけるパキスタン・アフガニスタンの平和ジルガを後押しし、「テロとの戦争」が新たな局面に入る前に、新たなプレイヤーたちに脚光を当てようとした。今後はアフガニスタンだけでなく、パキスタンとアフガニスタンの両方が戦場になる。
Taliban, US in new round of peace talks