【2007年11月19日〜11月25日】


■タリバン数十人、殺害か[071125 AP]

日曜日に州警察関係者が、アフガニスタン東部の空爆でタリバン抵抗勢力70人が死亡したと述べた。米軍主導軍もNATOのISAF軍も、犠牲者の数を確認していない。

パクティア州警察長官のエスマトゥッラー・アリザイが、武装勢力が土曜日の夜にパターン地区の警察を攻撃し、その後NATO軍とヘリコプターに空爆されたと述べた。69人の遺体が現場に残されていたという。爆発物を搭載した2台の車で移動していたタリバン4人も、含まれていた。アフガニスタンの内務省によると、戦闘員に武器を運んでいた車2台、馬2頭、ラクダが攻撃されたという。

NATOのISAF軍が、近くのガルデズで地雷を設置していたタリバン3人を空爆で殺害したと述べたが、69人が死亡したというような情報はないという(後略)。

hoonDozens of Taliban said killed
KABUL

■アメリカ、アフガン戦争に進展がなかったことを認める[071125 Washington Post]

アフガン戦争に対するホワイトハウスの評価によると、米軍とNATO軍がタリバン戦闘員に対して軍事的に成功していると主張しているにも関わらず、2007年にブッシュ政権が目標とした戦略を達成することができなかったと関係者が述べた。

(中略)国家安全委員会が今月出した評価は、「動的部分」−−タリバン戦闘員に対する個々の戦い−−だけが進捗を見せ、他の地域では改良点はなく、いまだに停滞しているという。

米軍と諜報組織関係者の間では、アフガン戦争の行く末に関して、大きな見解の違いがある。諜報アナリストは戦場での勝利を認めたが、タリバンが新たな地域で活動し始めていること、ケシ栽培が増加していること、カルザイ政権の弱さを挙げ、戦いが混迷していると指摘する。

(中略)外国人、特にパキスタン人がタリバンに参加しているが、政府に失望したりタリバンに対抗することを恐れるアフガン人が、メンバーに加わっているという。

全体的には「大きな進展はない。タリバンの立場から言ったら、すべてがうまくいっていると言えよう」と、ある諜報関係者が述べた。

ホワイトハウス関係者は、個人的にはアフガニスタンに悲観的だ。タリバンとアルカイダの本部があるパキスタンで武装勢力の活動が活発になってきたことが、案じられている。「アフガン国境沿いには、戦略的なサポート体制や訓練所がある。しかし、パキスタンの政情不安定によって状況が悪くなるかどうか判断するのは、まだ時期尚早だ」という。すでにアメリカは、パキスタンは抵抗勢力たちを取り締まる気がないと見ている。

今のところ関係者は、アフガニスタンの国内政情に関心が向いている。カルザイ政府は、急速に人気をなくしている。国民の79%が、政府は自分たちの考えを無視している見ているという結果が出た(中略)。

米軍とNATO軍は主要都市を監視下においているが、アフガン人の75%が住む農村部をコントロールすることはできない。戦いで手に入れた地域も手放され、タリバンが再び占拠して地方政府を牛耳っている。

タリバンは今年になって、大きな打撃を受けたと見られている。しかし、米軍も犠牲者を出した。アフガニスタンに米軍にとって、今年は最悪の年だった(中略)。

戦略は「一掃し、保持し、立て直す」ことだと、ランド研究所のアフガニスタン専門家、セス・ジョーンズが語る。「タリバンを一掃し、一定期間その場所を保持する。アフガン軍を含む隊を置く。それから立て直す。そして隣りの地域に広げている。問題は隣りに移動すると、せっかく確保した場所を保持できないことだ」(中略)。

専門家の中には、米軍は、国境の反対側の制御をもはやパキスタン軍に任せることはできない、と見る者が多い。「隠れ家の問題を解決しなければ、成功しない」と、元CIAのベテランのヘンリー・クランプトンが語った。「状況は悪化している」。

しかし他の者たちは、パキスタンやアフガニスタンにおける軍事力の欠如や資金の問題ではないと見る。米軍の戦略には、開発や政府に対する青写真がない。「以前よりお金もたくさんあるし、軍人もたくさんいる」と、元司令官が語る。問題は、「誰がアフガニスタンに対する包括的なキャンペーンを指揮するか。そしてそれはいったいどういうものか、ということだ」。

hoonU.S. Notes Limited Progress in Afghan War
Karen DeYoung

■軍、パキスタンの谷の武装勢力を攻撃[071125 AFP]

パキスタン軍がスワートの武装勢力の隠れ家を攻撃し、抵抗勢力が死亡した。犠牲者の数は明らかではない。

(中略)「軍が大砲と迫撃砲を用い、夜通し攻撃した」。「武装勢力数人が死亡したが、犠牲者の数はわからない」と、関係者が述べた。カーバルとシャンガラの武装勢力の基地が、標的となったという。

(中略)24時間の戒厳令が発令されている間、軍がスワートに入った。戒厳令は日曜日の夜に解除になる。住民は戦闘現場から避難を続け、政府は避難民のために、4ヵ所にテント村を設営した。またミンゴラには、難民の子供のための学校も作られた。戦闘現場に入る道は封鎖され、食料の供給が途絶えている(後略)。

hoonTroops pound militants in Pakistan valley
PESHAWAR

■アフガニスタンの自爆で7人死亡[071124 AP]

土曜日にアフガニスタンで橋を建設中のイタリア兵を狙った自爆攻撃があり、イタリア兵士1人とアフガン人6人が死亡した。犠牲者の中には、建設の様子を見守っていた子供3人も含まれている。

目撃者によると、爆発のあとに兵士たちが銃を発砲したというが、警察はこれを否定している。犠牲者の中には銃撃で死亡した者もいたと、医師が述べた。

兵士3人を含む9人が、カブールから5マイル離れた現場で負傷したと、内務省報道官のゼメリ・バシャーリが述べた。子供3人が死亡し、5人が負傷したと、爆発現場のパグマン地区の警察長官アブドゥル・ラザクが述べた(中略)。

多数が銃の発砲で死亡したという報告に対して州警察司令官のザレイ・オルヤヘールは、爆弾に入っていたベアリングで死亡したと述べた。しかし医師が、死者1人と負傷者3人は、銃で死亡したと述べた(後略)。


Afghan suicide attack leaves 7 dead
RAHIM FAIEZ、KABUL

■パキスタンの爆発で数十人死亡[071124BBC]

パキスタンのラワルピンディで、2件の車による自爆が発生した。最初の攻撃は、治安部隊の兵士たちが乗ったバスが狙われた。また検問所でも爆発があり、関係者が重傷を負った。死者の数は増える可能性がある。

(中略)目撃者によると、バスがISIの建物がある敷地に入ったところ、後から続いて来た小さな車が爆発した。「燃え上がるバスを見た。軍関係者たちが火を消そうとしていた。生存者がいるとは思えない」と、近くのホテルにいたショアイブ・アバッシが述べた。

兵士や警察が、すぐに現場を封鎖した。

どちらの爆発でも車が大破し、周囲の建物も被害を受けた。

諜報組織関係者が『AP』に語ったところによると、被害を受けたバスには72席あり、それ以上の人間が乗っていたという。

また爆発現場から19キロ離れたところでも、車に乗った自爆犯が検問所を攻撃した。治安関係者によると、この攻撃で少なくとも1人が死亡した。「両方とも自爆攻撃だった」と、ワヒード・アルシャッド軍報道官が述べた。

(中略)今のところ、犯行声明は出ていない(後略)。

garrDozens killed in Pakistan blasts

■バラーチ殺害、謎に包まれる[071124 Daily Times]

バローチスタン独立運動BLAのバラーチ・マルリの死は、謎に包まれている。なぜ、どこで殺害されたかは、いまだに明らかになっていない。

ある者は、バラーチがカハン地域のコール地区の隠れ家で就寝中に何者かの通報にされ、治安部隊により襲撃されたと述べる。ナシャキで殺害されたという説もある。

アフガニスタンに隠れていたという報道もある。NATOが、彼が乗った車をタリバンのものと勘違いして爆撃したという説だ。

別の報告によると、見解の違いにより、ナワーブ・アクバル・ブグティの孫のブラハマダガ・ブグティに殺害された。

しかし、いまだに結論は出ていない。政府は、ナワーブ・アクバル・ブグティを殺害したときと違い、今回は情報を隠している(中略)。

いっぽう、バラーチの父親のナワーブ・ヘール・バクシュ・マルリは息子の死をいまだに信じず、遺体を見るまでは弔辞を受けないと述べた。しかしBLAは彼の死を確認し、遺体が手元にあると述べている(後略)。

hoonMystery shrouds Balach's killing
Malik Siraj Akba、QUETTA

■ワジリスタンの攻撃で兵士3人負傷[071124 News]

金曜日に北ワジリスタンでいくつかの出来事があり、兵士3人が負傷したと情報源が述べた。

金曜日にミール・アリで、遠隔操作爆弾が2ヵ所で爆発して軍の車列が攻撃された。兵士1人が負傷し、軍の車輛2台が破壊された。車列はラズマックに向かっていたところ、タールの検問所で攻撃された。

また治安部隊は、ミルプールの3つの村の住民に、避難するよう命令した。命令に従わなかったために、治安部隊が大砲を威嚇射撃した。犠牲者がいたかどうかは、わからないう。

別の車列がシャーワル地域で攻撃された。兵士2人が負傷した。

hoonThree soldiers injured in attacks in Waziristan
MIRANSHAH

■兵士、ディールで作戦実施のために集結[071124 News]

アフガニスタンのクナール州と接するディールにいる武装勢力に対して作戦を実施するために、スワートに新たに補強部隊が入ったと、政府関係者と目撃者が語った。

政府は軍が活動する間、武装勢力が携帯電話を使用して到着する兵士たちを攻撃できないように、携帯電話の回線を妨害した。店員のジェハンゼーブが、「携帯電話サービスは、4時に再び開通した」と述べた。

「兵士たちがロワー・ディールのティマルガラで出動準備をしている。この地域は武装勢力が隠れていると言われ、外国人もいる可能性もある」と、ペシャワルの情報源が述べた。軍報道官のワヒード・アルシャッドは、ロワー・ディールで兵士が活動していることに関して、特に重要なことではないと述べた。「以前からあそこにいる」と述べただけで、軍事作戦が必要であるかどうかには触れなかった。

軍のヘリコプターが、治安部隊が攻撃されないように監視していたと、住民が述べた(後略)。

hoonTroops amassing for Dir operation
Saleem Athar、MINGORA

■スワートとシャンガラで15人死亡、武装勢力アルプリから撤退[071124 News]

スワートとシャンガラ地区で金曜日、治安部隊と武装勢力との間の戦いでさらに15人の死者が発生した。いっぽうマフスード・スカウトがスワートのフィザ・ガット検問所で、女装して負傷したウズベク人戦闘員2人を逮捕した。

スワートとマラカンド行政区では、戒厳令が発令されている。いっぽう政府はシャンガラ地区のアルプリからベシャムに、本部を移すことにした。

情報源が語ったところによると、武装勢力と治安部隊の間で金曜日も激しい衝突が続いている。両方とも、重火器を使用している。住民によると、パキスタン陸軍のコブラヘリコプターが、コットキ、デーライ、ヤフ・タンギ、ゴルバンドなどにいる武装勢力の位置を攻撃しているのが見えるという。ほとんどが丘の上の町である。

情報源は、武装勢力たちはアルプリから撤退し、近くの山の上を陣取っているという。治安部隊はまだアルプリには入っていない。

ワヒード・アルシャッド軍報道官は、戦闘ヘリコプターと大砲、迫撃砲を用いて、シャンガラ各地の武装勢力を攻撃していると述べた。多数の犠牲者が出た模様である。

彼によると、金曜日に武装勢力15人が死亡した。治安部隊側には、犠牲者はいない。武装勢力たちは、アルプリを撤退して近くの山に移ったという。地雷が仕掛けてある可能性があるので、まだアルプリには入っていない。

しかし、武装勢力報道官のシラージュッディンは、軍に攻撃されるから出て行ってほしいと住民から要求されたために、撤退することにしたと述べた。

また情報源によると、ブルカを被った男性2人が治安部隊との戦いで重傷を負った。病院に向かっていいるところを、逮捕されたという。2人はブネール地域のゴーカン村の住民だと述べている。しかし2人が熟練したウズベク人戦闘員であることは確かで、北ワジリスタンから来たに違いないと見られている。

このウズベク人と一緒に車に乗っていた5人の地元の男と、女性5人、8歳の女児も一緒に拘束された。全員スワートのチャルバガ出身で、2人を病院に連れて行くところだったという。

いっぽうシャンガラのコットキ村で、戦闘員3人と地元の人間1人が、治安部隊の迫撃砲で死亡したと住民が述べた。ほとんどの住民が、すでにこの地域からは避難している。

住民たちが、シャンガラでは食料が不足していると訴えている(後略)。

hoon15 die in Swat, Shangla as militants pull out of Alpuri
Mushtaq Yusufzai & Musa Khankhel、MINGORA

■アフガニスタンで警察官7人斬首[071123 AP]

タリバンが金曜日にアフガニスタン南部の警察の検問所を襲撃し、警察官7人を斬首した。またこれとは別に、オーストラリア兵1人と一般市民3人が死亡した。

タリバンがカンダハルのアルガンダブ地区の警察検問所を襲撃し、この他に警察官6人が行方不明になっていると、警察官のアブドゥル・ハキーム・ジャンが述べた。

(中略)金曜日に、町にタリバンが入らないように監視していた警察の検問所を武装勢力が襲撃して警察官を斬首したと、この地域のタリバン司令官のムッラー・ムハンマド・ナビが述べた。

さらに隣のウルズガン州では、オーストラリア兵1人と一般市民が殺害された(中略)。この地域では、タリバンのリーダーやタリバンの爆弾製造者たちを攻撃するための作戦が、実施されていた。

作戦のあと、武装勢力が立て籠っていた建物から女性2人と子供の遺体が発見されたと、NATO軍関係者が述べた。死亡した原因はわからないが、建物から武装勢力がISAF軍に向かって発砲し、その後の戦いのあとに遺体が発見されたという。

これとは別に木曜日、米軍主導軍が抵抗勢力数人を殺害し、同盟軍兵士1人が負傷した。戦闘はガズニ州のナウール地区で起きた。武装勢力か建物の中から発砲してきたために、応戦したという(後略)。

hoon7 police beheaded in Afghanistan、KANDAHAR

■タリバン、警察官7人殺害[071123 AFP]

金曜日の早朝、アフガニスタン南部でタリバンが警察の検問所を襲撃、警察官7人を殺害、6人を拉致したと警察司令官が述べた。

武装勢力がカンダハルで警察官13人を攻撃したと、警察司令官のアブドゥル・ハキーム・ジャンが述べた。「警察官7人を殺害し、残りの6人を拉致した」。拉致された警察官の中には、武装勢力と関係があった者がいた可能性がある。

タリバン報道官のユースフ・アフマディが、タリバンが攻撃を実施したことを認めたが、生存者はいないという。「警察官12人すべてを殺害した」という。

事件があったアルガンダブ地区出身のタリバンと名乗る別の男も、警察官12人が死亡したと述べた。「検問所にいた警察官12人を殺害した」。

これとは別に、クナール州知事の事務所の近くにロケット弾が撃ち込まれ、子供5人と女性2人が負傷した。「明らかに知事を狙った犯行だった」と、州警察長官が述べた(後略)。

hoonSeven policemen killed by Taliban: police
KANDAHAR

■服役中の宗教指導者、スワートの武装勢力平定のために協力を要請される[071123 News]

北西辺境州政府は、木曜日にペシャワルの病院に2人の大臣と警察の監察官と内務省関係者からなる使節団を派遣して、 スワートとシャンガラ地域の武力衝突に関して、TNSM責任者のモーラナ・スーフィー・ムハンマドと話し合った。

政府関係者によると、この使節団のメンバーであるスワート出身の州大臣でPML-Qのムハンマド・アリ・シャー、別名バッチャ・ララとロワー・ディール出身でPPP-Sのバフト・バアイダルが、ハヤタバードにある病院でモーラナと2時間にわたって話し合った。(中略)政府関係者によると、モーラナの助言を参考にしながら、スワートとシャンガラに平和を取り戻すための政策を考えるという。

モーラナは1週間前に、デーラ・イスマイル・ハーンにある中央刑務所から病院に移された。彼は2001年12月にアフガニスタンとの国境付近で逮捕されて以来、拘束されていた(中略)。

モーラナ・スーフィー・ムハンマドの釈放は、武装勢力、特に義理の息子であるモーラナ・ファズルッラーに対して影響力を発するのではないかと見られていた。

政府関係者によると、モーラナはスワートとシャンガラの状況を好転させるために協力すると述べたという。しかしまずは政府が、この2つの地域とマラカンド地域に、シャリア法を施行することを表明しなければならない。さらに1994年に当時のアフタブ・シェルパオ北西辺境州大臣が宣言したこのシャリア法と、その後1999年に作られたNizam-i-Adl、つまり法制度を施行することを文章で約束しなければならないという。政府がこれらを約束しなければ、武装勢力やその支持者たちに戦いを止めることを促さないという。

さらにモーラナ・スーフィー・ムハンマドは、即時停戦を求めた。スーフィー・ムハンマドは、スワートにシャリア法を施行するために暴力的手段をとったとして、モーラナ・ファズルッラーをTNSMから追放したという。ファズルッラーは、イスラマバードのラール・マスジッド襲撃に報復するために、TNSMの方針から離れて暴力に走ったと述べた。ファズルッラーから連絡は、しばらく途絶えているという。

またスーフィーは、TNSMだけがこの地域にシャリア法を施行するために関与するという。

いっぽうモーマンド行政区のモーラナ・ムハンマド・アスラムやロワー・ディールのグラン・マリックなどが木曜日にペシャワルを訪れ、病院でスーフィーと会った。

政府関係者によると、モーラナは病院から政府のゲストハウスに移される可能性があるという。「空を見上げ、太陽の暖かさに触れ、散歩ができる場所」に住みたいと言ったからだという。

政府は警備のために、病院の個室を彼にあてがっている。政府は、アフガニスタンに連れて行かれて行方不明になったり死亡した者たちの家族が、彼に復讐するのではないかと心配している。

smellJailed cleric痴help sought to pacify Swat militants
Rahimullah Yusufzai、PESHAWAR:

■武装勢力30人と一般市民13人、シャンガラの衝突で死亡[071123 News]

スワートのシャンガラ地区で木曜日、武装勢力25〜30人と一般市民13人が死亡した。

いっぽう武装勢力は、ファズルッラー師の本部があるマンデレイ村の報道陣の前で、準軍隊兵士2人を解放した。2人はスワビ地区に住む国境警察隊員と、コハート出身の国境警察官である。

2人はマングラワル近くのサランダ村でタリバンに拉致され、日の当たらない暗い部屋に監禁されていた。彼らの村の親タリバン系の人間がファズルラー師と話し合い、2人の解放が決まった。2人は、髭を生やした陸軍少佐と兵士6人が、シャマザイ地区で武装勢力に捕まるのを目撃したという。

地元タリバンは2人に帰るための交通費として2000ルピーずつ支給し、家族に電話をするために500ルピーを与えた。シラージュッディンによると、スワートで準軍隊は武装勢力ともはや戦っていないために、解放したという。パキスタン陸軍は無実の住民の村を爆撃しているために、陸軍兵士は解放しないと述べた。

軍報道官のワヒード・アルシャッド少将によると、木曜日にシャンガラの戦いで武装勢力30人が死亡した。陸軍がヘリコプターや大砲、迫撃砲を使用して、武装勢力をシャンガラから追い出した。シャンガラの戦いでは兵士6〜7人が負傷し、スワートでも何人かが負傷した。

(中略)いっぽうカンジュバザールでアブドゥッラーという男が、治安部隊に車を銃撃されて死亡した。さらにカーバルでは、大砲が一般家屋に当たり、子供2人が死亡した。カーバル、ハザラ、バンディ村も、戦闘ヘリコプターや大砲、迫撃砲で攻撃された。

シャンガラでは、スワートよりも一般市民の犠牲者数が大きい。村人によると、バザルコット村で市民7人が殺害され、ゴールバンド村でも3人の犠牲者が出たと報告されている(後略)。

hoon30 militants, 13 civilians die in Shangla clashes
MINGORA

■ムシャラフのライバル、パキスタン帰国の準備[071122 New York Times]

パキスタンの野党の責任者で元首相のナワーズ・シャリーフが、木曜日にサウジ王家に会うためにジェッダからリヤドに飛び、パキスタンに帰国する最終準備を行なう模様である。これとは別にパキスタンの最高裁判所は木曜日に、先月の大統領選挙を違法とする告訴を、無効として却下した。これでムシャラフは大統領の座に、再び着任することになる。

シャリーフは、ムシャラフの無血クーデタで権力の座から追い出され、サウジに亡命していた。シャリーフの帰国により、大統領を支持する党と野党責任者のベナジール・ブットの党は、最大の競争相手を迎えることになる。

シャリーフの政党であるパキスタンムスリム連合会長のラジャ・アシュファクによると、シャリーフのパキスタンへの帰国に関して、サウジ政府は大旨同意しているという。シャリーフが1月8日の選挙に出馬するために帰国を予定しているという「印象」を受けたという。

(中略)アメリカに支持されたブットの帰国以来、サウジはパキスタンに、シャリーフの帰国を許可するように促していた。シャリーフは世俗的な女性リーダーであるブットよりも保守的で、宗教色が濃いリーダーと見られている。

(中略)ムシャラフに忠実な裁判官たちが、11月3日の大統領選挙を合法と認めた。金曜日に選挙委員会がこれを承認する予定で、大統領の座が最終的に認められることになる。

ムシャラフはすべての形式上の手続きが終われば、就任の宣誓を行なうと述べているが、その時期は未定である。

ある欧米外交関係者は、ムシャラフは陸軍長官の座に留まったまま大統領に就任する可能性があるという。軍の地位から退けば、彼はそれほど権力を持たないことになる。

hoonMusharraf rival prepares for return to Pakistan
Jane Perlez、ISLAMABAD

■スワートとシャンガラの戦闘で52人死亡[071122 News]

水曜日にスワートとシャングラ地区で新たな戦いがあり、武装勢力30人と一般市民10人を含む52人が死亡した。軍とタリバンはいまだに戦闘を続け、住民たちは避難を続けている。

水曜日にカーバル地区に戒厳令が発令された。一般市民はマラカンドやマルダンに避難しようとしているが、道路が封鎖されている。

ワヒード・アルシャッド軍報道官は、カーバルとスワートで兵士3人が死亡し、5〜6人が負傷したと発表したが、シャンガラ地区の戦いについてはわからないという。

シャンガラでは、兵士7人が死亡したといわれる。また一般市民7人とタリバン30人が死亡したという報告もある。

水曜日の夜10時頃、サイド・シャリーフ空港で巨大な爆発音が聞こえた。治安関係者によると、爆発物を搭載した車が検問所の制止を振り切ったために、軍に発砲された。運転手が自爆を試みようとしていたという。

ミンゴラに近いマンデーレイ村にいると思われる抵抗勢力報道官のシラージュッディンが、爆発したといわれる車が自爆のために使用されたことを認めた。これは一般市民を攻撃している軍に対する、最初の自爆攻撃だという。時期尚早に自爆したために、目的地に達することができなかったようだと述べた(中略)。

シラージュッディンは、軍が居住地区を攻撃し続ければ、拘束している兵士たちを殺害し始めると脅迫した。拘束している兵士たちの運命を、現在タリバン議会が話し合っている。20人以上の兵士たちを拘束しており、中にはスワートのシャモザイから数日前に拉致した、少佐と中尉がいる。

(中略)軍はベシャム地区のクンド村とマニ・サールの頂上を占拠し、アルブライとコットキにいる武装勢力を大砲や迫撃砲で攻撃している。軍はカルーラに基地を作り、シャンガラの本部があるアルブライに入ろうとしている。治安関係者は、武装勢力たちは一般市民の間に紛れ込もうとしているという。

いっぽう武装勢力報道官のシラージュッディンは、戦闘員たちはシャンガラで殺害された兵士たちの身分証明所を入手したと述べた。兵士たちはパンジャーブやアザドカシミール出身だったとし、名前を挙げた(後略)。

hoon52 more killed in Swat, Shangla fighting
Mushtaq Yusufzai、MINGORA


■シャリーフ家、26日前に帰国[071122 News]

シャリーフ家は、11月26日の前に帰国し選挙に立候補するという。

党関係者か語ったところによると、ナワーズ・シャリーフ元首相とPML-N責任者のシャッバーズ・シャリーフとクルスーム・ナワーズが国際社会の後押しで、亡命生活に終止符を打ち、PML-Nを統率していくと述べた。いっぽうムシャラフ主導政府は、シャリーフ一家のこのような動きを妨害しようとしている。最近ムシャラフはサウジ王のアブドゥッラーと会談し、ナワーズを帰国させないように申し入れた。

ムシャラフはサウジ王にパキスタン政府に協力することを促し、ナワーズが帰国しないようにしてほしいと頼んだ。彼の帰国で、民主主義へ移行する計画が妨害されるという。しかしナワーズの帰国は、イギリスやアメリカが支持している。

アメリカ国務省のネグロポンティも、今回同じメッセージをムシャラフに送り、ナワーズの帰国を許可するように促した。その結果ムシャラフはサウジを急遽訪問した(中略)。

サウジ政府もパキスタンに、ナワーズの帰国を許可するように促している。パキスタン政府が9月にナワーズが帰国しようとした際再び彼を追放したが、サウジはこれを受け入れたとの批判を受けている(後略)。

hoonSharifs poised to return before 26th
Faizan Bangash、LAHORE

■スワートの戦い、パキスタンの決意が試される[071121 BBC]

パキスタンに住む数千万人の人々にとって、非常事態宣言は何の意味ももたない。生活は続く。店は開いては閉まる。子供たちは学校にいく。そして支配者階級には失望している。制服を着ていようが着てまいが、関係ない。

将軍や首相が着任しては去っていく。民主主義と軍事時政権も同じだ。ほとんど変化はないだろう。苦い経験から、表面的にはそんなものだと感じている。

しかしひとつだけ大きな変化があることを、パキスタンの大半を占める穏健派が感じている。イスラーム過激主義の脅威だ。国家に対して武器を向ける人々の脅威は、これまで以上に深刻になってきた。

事態の深刻さを正確に判断することは難しく、問題を誇張しすぎてもならない。しかし深刻な問題だ。

《危うい地域》

ワジリスタンやアフガニスタンとの国境付近の部族地帯では、武装勢力との和平協定が崩壊した。文民政府はなくなった。もともとなかった。そしていくつかの地域で武装勢力グループが、暴動を起こしている。

スワートが最も注目されている(中略)。スワートでは原理主義宗教指導者のモーラナ・ファズルッラーの追随者たちが、政府に対して聖戦を宣言した。数百人がこれまで死亡している。

パキスタンの部族地帯以外でも戦いが起きたということで、今回の衝突は重要な意味を持つ。治安関係者が斬首され、欧米やインド映画を売る店は放火され、女学校が閉鎖された。

ウズベク人やワジール族が地元の人間に混じり、抵抗運動が他の無防備な地域に拡大してきた。武装勢力たちがスワートからさらに東に進めば、カラコルム・ハイウェイを脅かすことになる。中国に通じる幹線道路だ。

今の時点ではタリバン式のイスラーム法が、エリートや一般家庭が休暇で訪れる避暑地で宣言された。これが人々を震撼させている。

《危険な地》

スワートまでは長い、曲がりくねった道が続く。しかしイスラマバードからは、100マイルしか離れていない。軍関係者は、治安の空白につけこんで地元の人間を恐怖に陥れている抵抗勢力たちは、「ギャング」に過ぎないと主張している。しかし外国人戦闘員たちがいることを認め、大きな戦いに備えて1万5000兵が配置された。

批評家たちは、軍はもっと早く行動するべきだったと批判する。ファズルッラーはいまだに不法FMラジオ局を運営している。それなのに国営テレビは、非常事態宣言のために放送を妨害された。

戦いが続いている。しかし欧米やパキスタンの治安アナリストに言わせると、ここ数ヵ月間、パキスタンは敗北している。勝者は、アルカイダやタリバンと協力している。対処しなければ、彼らは訓練所などを各地で運営しはじめ、世界各地で攻撃することを計画してくるだろう(後略)。

hoonSwat battle tests Pakistan's resolve
Chris Morris、Islamabad

■ナワーズとの合意がいかに達成されたか[071121 News]

ムシャラフとリヤドに同行した治安関係者幹部がリヤドに留まり、サウジ王家の同席のもとでナワーズ・シャリーフ元首相と会談したと、ある信頼のおける情報源が語った。

サウジ王家は、両者の間に程度の平和的解決策を見いだすことに成功したという。これにより数日中にシャリーフ氏はサウジを出て、パキスタンに帰国する可能性がある。彼が先に帰国するか、あるいは兄弟や家族を先に帰国させるかは、シャリーフ一家が決める。

パキスタンにおけるるサウジ特使のアリ・サイード・アワド・アシリが、今回の話し合いを仲介したが、彼はまだジェッダに留まっている(中略)。

今回の合意は、ムシャラフがブット女史と交わした時のように、両党がそれぞれ妥協し合うようなものではない。PML-Nの情報担当者のアシャン・イクバルによると、ナワーズ・シャリーフはまだ政府側の人間とは会っていないと述べ、ムシャラフ政権からのいかなる申し入れにも同意しないという。

リシッド・クレイシー元将軍は、ムシャラフとナワーズ・シャリーフの間に会談があったことを否定している。ムシャラフは火曜日の夕方遅くにリヤドからジェッダに到着し、メッカに直行した。報告によると、ムシャラフがジェッダに戻ったとき、シャリーフは家族とモスクで夜の祈祷をしていた(中略)。

ムシャラフはサウジに16時間滞在した。リヤドではアブドゥッラー王とスルタン・ビン・アブドゥル・アジズ王子とそれぞれ会談した。興味深いことに、駐米サウジ大使のアデル・アル・ジュベールと駐パキスタンサウジ大使のアリ・サイード・アマド・アシリが、サウジ王との会談に同席した。駐米大使が同席したことは、アメリカがナワーズとパキスタン政府との間を仲介していることが伺われる。

ナワーズ・シャリーフ元首相は水曜日に、ムシャラフはサウジを訪問して自分を拘束しようとしたが計画は失敗し、自分はパキスタンに帰国すると述べた(中略)。

情報源によると、ナワーズは数日間のうちにサウジ政府と会い、その後自分の計画を決める。またサウジ王家は、ムシャラフの要求を受け入れなかったことを、ナワーズに今日伝えることになっているという。

ohHow understanding with Nawaz was reached
Muhammad Saleh Zaafir、ISLAMABAD

■バローチ抵抗勢力幹部責任者「殺害」[071121 BBC]

パキスタンのバローチスタン州の抵抗勢力幹部責任者が殺害されたと、家族が発表した。

バローチ解放運動(BLA)の責任者、ミール・バラーチ・マルリがアフガニスタンで殺害されたと、パキスタンの諜報機関関係者が述べた。2000年以来、BLAと部族民の抵抗勢力は、パキスタンの治安部隊と州の独立をめぐって戦ってきた。ナショナリストたちは、州の鉱物資源が自分たちの権利を無視して不当に奪われていると訴えている。

《極秘作戦》

バラーチの弟のサルダル・ガゼイン・マルリが、抵抗勢力責任者の死を、火曜日の夜に知らされたと述べた。「彼の仲間が、彼が殉教したことを知らせてきた」と、『BBC』に述べた。「一緒にいる者たちの命にかかわるので、場所に関しては言えない」。

サルダル・マルリは、兄はバローチスタン州における軍事作戦で死亡したという。「火曜日にバローチスタンで衝突があり、このときにミール・バラーチが死亡したようだ」。

しかしパキスタンの諜報組織が語ったところによると、抵抗勢力責任者はアフガニスタンで死亡したという。彼の死に関する詳細を語ることを拒否した。

アナリストたちは、極秘作戦が実施された可能性があるという。

《戦闘と逃走》

ミール・バラーチ・ハーン・マルリは、バローチ抵抗勢力の軍事作戦首謀者だったといわれる。バローチスタン州の有力な部族民長老、サルダル・ハイール・ブックス・マルリの次男で、生まれながらのナショナリストである。

バローチスタンはいまだに権利を剥奪されているとして、2003年に州議会議員を辞職した。バローチスタンは天然資源が豊富で、中でも天然ガスは世界的にも有名である。金、銅などの資源も豊富である。抵抗勢力たちは、連邦政府がこれらの資源を独占し、自分たちは州開発プロジェクトなどからも除外されていると訴えている(中略)。

2000年にナショナリストたちは、州の自治を巡って抵抗運動を開始した。その後2年間、抵抗勢力と治安部隊の間の衝突で、数百人が命を落としている。戦いが最も激しくなったのは、2006年8月に治安部隊がバローチ抵抗勢力責任者たちを包囲したときだ。この中にミール・バラーチ・マルリと、元州知事のサルダル・アクバル・ハーン・ブクティがいた。バラーチ氏は仲間数人と逃走したが、ナワーブ・ブグティはこのときに死亡した。軍関係者数十人も、死亡している。

その後抵抗勢力責任者たちは、アフガニスタンに潜入したと言われていた。しかしその後もバローチスタンの抵抗運動を指揮し、最近再び衝突が激しくなっていた。しかし抵抗勢力の作戦司令官が死亡したために、今後の運動は難しくなってくる可能性がある。

ohTop Baloch rebel leader 'killed'
Syed Shoaib Hasan、Islamabad

■パキスタン北西部で武装勢力40人死亡[071121 AP]

パキスタン北西部で治安部隊が山の頂上に陣取った親タリバン系武装勢力を攻撃し、戦闘員40人を殺害したしたと、軍が発表した。

これでスワートでは火曜日と水曜日に、武装勢力合わせて180人がスワートで死亡したことになる。軍のほうに死傷者がいるかどうかは、わからない。

(中略)軍はアルプリに続く道路を見下ろす、「高見に陣取っていた武装勢力を一掃した」。

またこれとは別に、武装勢力がミンゴラ近くの軍の基地に、ロケット弾18発を撃ち込んだ。死傷者の報告はない。軍は「報復した」としか発表していない(後略)。

hoon40 militants killed in NW Pakistan
ISLAMABAD

■パキスタンのタリバン、すぐそこに[071120 Time]

マッタ村の警察署には、新しい看板がかかっている。「タリバン・ステーション」。カーバルでも同じである。スワート谷の12地域のうちの9つも、同様だ。パキスタンの首都からたった100マイル離れた場所が、武装勢力に占拠された。彼らはミュージック・ショップに放火し、女の子が学校に行くのを妨害し、女性にブルカを強要。男は髭を生やさなければならない。新たな支配者は、仏像を破壊しようとさえした。

しかし、これはアフガニスタンでも、辺境の地にある部族地帯のことでもない。スワートは、パキスタンの最大の観光地だ(中略)。「FMムッラー」と呼ばれるカリスマ的なラジオ説教師のモーラナ・ファズルッラーが、部族地帯に広まった原理主義をパキスタンの居住地に持ち込んだ。ムシャラフには、これに対処する策はないようだ。

ムシャラフが3週間前に非常事態宣言を出したとき、スワートで広がっている武力沙汰を引き合いにだした。しかし、今のところ彼が押さえ込んだのは、ジャーナリストや法である。「軍にやる気がないのではない」と、イスラマバードの欧米軍事関係者が述べた。「その能力があるかどうかだ」。治安関係者は、パキスタンの治安軍には、国内の過激派たちを押さえ込むための訓練も備品も経験もないという(中略)。

軍はすでに数百人の武装勢力を殺害したと主張している。しかし武装勢力報道官のシラージュッディンは、「事実無根だ。仲間10人だけが死亡した」。ワジリスタンで兵士250人が数十人の武装勢力に投降したことを考えれば、数が問題でないことは明白だ。武装勢力によると、スワートでは村全体が武装勢力に投降しており、ある例では、たった9人のグループに投降した場合もあったという。欧米関係者によると、パキスタン人兵士は訓練に乏しく、銃も不足している。彼は兵士の立場になって語る。「月20ドルもらう。銃には5発の銃弾。AKを持った何人かがやってくる。問題は、死にたいかどうかだ。彼らは自分の家族のメンバーさえ知っている」。

パキスタン軍は、古典的なゲリラ戦と戦うことができない。スワートの戦闘員の何人かは外国人だが、大半は地元の人間で、自分たちの意向を全く無視している政府に共感はない。「人々は暴力沙汰に終止符を打ちたいと思っている」と、スワート王の孫で元国会議員のアダン・オーランガゼブが語る。「武装勢力は観光を妨害し、彼らの生活を邪魔している。しかし政府に対する共感もない」。軍事作戦を実施すれば一般市民の犠牲者がでることは避けられず、そうなればますます人々の怒りを買う(中略)。「ファズルッラーがFM局を持っているって? そんなの妨害すればいい。イスラマバードの放送局が妨害されているのに、なぜそんなこともスワートでできない」と、ある欧米軍関係者が述べた。

ファズルッラーは、スワート川を船で人々や物資を運ぶ仕事をして稼いでいた。その後、テヘリーキ・ニファズ・シャリアティ・ムハンマドを創設したモーラナ・スーフィー・ムハンマドの下で学ぶ。ムハンマドはアフガニスタンの米軍と戦うために数千人の男たちを動員したとして、逮捕された。彼の婿にあたるファズルッラーが、ムハンマドを引き継いだ(中略)。今パキスタン政府は、ムハンマドを釈放した。彼が状況回復のために協力してくれることを、期待している。「政治的努力」と、軍事作戦責任者のシュジャ・パシャ将軍が語る。「残虐な軍事力を使用するだけでは、うまくいかない」。そうかもしれないが、政府がすでに敗北しているこの時期に、有名な反政府リーダーを釈放することは、大きな賭けである。「彼は我々のリーダーで、我々にとっては最も重要な人間だ。しかしイスラーム法施行という我々の目的に影響はない」と、シラージュッディンが語る。「モーラナ・スーフィーも同じことを要求している。政府が彼を釈放したというのは、いいことだ。これからはシャリア法施行に向けて、影響力があるはずだ」。

政府が強硬手段に出るとは思えないが、陸軍副長官のアシュファク・キヤニが、スワートを訪れた(中略)。パキスタンも対抵抗運動の技法を学ばなければならない。「長期戦になる。しかし我々には長期戦をやるための時間はない」と、ある欧米軍関係者が語る。パキスタンの武装勢力も、待ってはいない。

garrPakistan's Taliban at the Gates
ARYN BAKER、PESHAWAR

■パキスタン、身のほどを知る[071120 Asia Times]

(前略)ブッシュ政権は、いまだにムシャラフを「テロとの戦争」と戦える唯一の人間と見ている。

ムシャラフの協力者として期待されていたブットさえも、彼に反旗を翻し、イスラーム神学者協会のカジ・フセイン・アフマッドのような「過激派」やイムラン・ハーンのような野党の人間と、反ムシャラフの同盟を結ぼうとしている。ブットは親米路線から一時的に退いた。

軍事面では、キアニはムシャラフよりも親米派と見られている。ワシントンは彼を優れた司令官の下で動く優れた兵士と見ているが、政治的に影響力がある作戦を1人で計画する能力はない(中略)。

長期的な目で見ると、テロとの戦争はパキスタンにとって不利である。

今やアフガニスタンと接する北ワジリスタンや南ワジリスタンから、スワートに関心が移った(中略)。パキスタン人タリバンは、成り行きを黙って見ていたりしないと主張した。バジョールのモーラナ・ファキール・ムハンマドは、バジョールとモーマンド、ディールから1万人の部族民民兵を組織し、軍と戦うという。

軍はスワートの武装勢力との戦いに失敗しており、モーラナ・ファズルッラーの戦闘員たちがスワートの大半を支配し、パキスタン政府や警察を追い出した(中略)。

ISIはスワートの戦火が広がることを恐れ、テヘリーキ・ニファジ・シャリアティ・ムハンマド(イスラーム法施行運動)創設者であるモーラナ・スーフィー・ムハンマドを刑務所から病院に移した。スーフィー・ムハンマドはファズルッラー師の義父である。彼はファズルッラーが野望を燃やすシャリア法施行に、反対している。スーフィー・ムハンマドは、谷を平定する最後の駒となる可能性がある。

しかしワシントンは、ファズルッラー師の組織を完全に排除したがっている。彼がアフガニスタンのタリバン運動に、資金や人材を供給しているからだ。

アメリカは政治的な駆け引きには興味がない。ムシャラフに期待するのも、この点にある。

hoonPakistan put in its real place
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■スワートの戦闘で35人死亡、うちタリバン16人[071120 News]

月曜日にスワートにおける治安部隊と武装勢力の戦いで、タリバン16人と兵士7人を含む35人が死亡し、数千人の住民が安全な場所に避難した。

月曜日に治安部隊がカーバル村の住民に避難するように呼びかけたために、数千人の住民が避難を始めた。また軍はこの地域に隠れている武装勢力に対して、大掛かりな作戦を行なう準備を始めた。

(中略)情報源によると、軍は問題になっている地域に重火器を運び始めた。(中略)興味深いことに、武装勢力たちも住民たちに避難を呼びかけ、基地から出て来た治安部隊が攻撃するために、自爆者たちの手配を始めた。

(中略)軍報道官のワヒード・アルシャッドは、戦闘ヘリコプターや迫撃砲、大砲で攻撃され、武装勢力側に多数の死者が出ていると述べた。作戦はまだ続いているために、実際の死者の数はわからないという。スワートとシャングラ地域における治安部隊の犠牲者はいないと、主張した。

しかし信頼のおける情報源によると、治安部隊の迫撃砲がカーバル地区のハザラ村に着弾し、住民12人が死亡、15人が負傷した。またカーバルの地元警察署に手榴弾が投げ込まれたが、犠牲者はいない。この警察署は、タリバン警察署と改名されている。

また武装勢力が住民3人を拉致した。そのうちの1人のムフティアール・ハーンは、有力者の息子である。

いっぽう治安部隊が戦闘ヘリコプターに援護され、スワートとシャンガラを攻撃した。抵抗勢力多数が死亡、あるいは負傷した(中略)。シャンガラからの報告によると、軍と武装勢力がカローラで激しい銃撃戦を行ない、タリバン16人と兵士7人が死亡した。しかし両方とも、死亡者がいたことを否定している。軍は武装勢力をベレイ・ババからアルプリに撤退させた(後略)

hoon16 Taliban among 35 killed in fresh Swat fighting
Mushtaq Yusufzai & Musa Khankhel、PESHAWAR/MINGORA

■アフガニスタンの児童、銃で「殺害」[071119 AP]

月曜日に入手した国連の報告によると、自爆のあとにアフガニスタンの政治家のボディーガードが無差別に群衆に発砲したために、子供たちが犠牲になった。報告によると発砲は意図的で、犯罪行為だという。

アフガニスタンの国連組織は、この報告はまだ内輪のもので、公式に発表されたものではないと述べた。

国連は11月6日に発生したバグラーン州の事件に関して、自爆で死亡した人間と銃撃で死亡した人間の内訳は明らかになっていないと述べた。学生61人と政治家6人がこの攻撃で死亡している。

死亡した77人のうちの3分の2と負傷した100人が、銃撃された。しかし、銃撃された人の数はもっと少ない可能性もある。銃撃行為は犯罪だと説明した(中略)。

報告によると、自爆攻撃のあとに政治家たちを警備していたボディーガードが、群衆に向かって数分間銃を乱射した。「学生たちを引率していた教員のうち8人が多数の銃弾を受け、そのうち5人が死亡したことが確認されている」。

報告によると、目撃者や政府関係者から話を聞くなどの捜査は自由に行なえない状態にあり、何人か逮捕されたにもかかわらず、責任が誰にあるのかがいまだにわからない。「特に児童たちに発砲した者たちを特定し、裁く必要がある」という。

garrUN: Gunfire 'onslaught' hit Afghan kids
JASON STRAZIUSO、KABUL

■アメリカ、パキスタンの部族民をアルカイダに対して武装する計画[071119 New York Times]

米軍の新たな極秘計画によると、パキスタンの国境地帯の部族民リーダーたちをアルカイダやタリバンとの戦いのために組み込み、拡大しつつある武力衝突と対抗するパキスタン軍を強化しようとしている。

この計画が採用されれば戦略の変更となり、パキスタンに米軍訓練員が派遣され、これまで効力がなかった部族民の準軍隊に直接資金を提供し、アルカイダやタリバンと戦うことに合意した民兵に資金を提供することになる。現在アメリカは、パキスタンに50兵しか存在しないが、ペンタゴン報道官によると、この新たな計画が採用されれば、数十人に膨らみそうだ。

この計画は、イラクのアンバー州の米軍の計画と同じもので、外国人武装勢力との戦いに関して、大きな成功を収めている。しかしパキスタンに米軍の存在がないまま、このような協力体制がとれるかどうかは疑問である。また部族民から協力が得られるかどうかも、明らかではない。

パキスタン政府の弱さや、最近部族地帯で過激派が力をつけていることを憂慮して、地元の協力を仰ぐこのような戦略が計画されている。最近アルカイダやタリバンに共鳴している武装勢力が、辺境地帯から居住地帯のスワートに入り込んだ。

アメリカの特殊部隊関係者が準備した部族民の協力を仰ぐ戦略は対テロ専門家に配布されたが、今のところタンバの指令本部には正式に承認されていない。計画の他の部分は、アメリカとパキスタンの両国の承認を得ている。例えば国境警察隊を数年官訓練・装備するために、3億5000万ドルが提供される。

(中略)9.11以来、ムシャラフ大統領に部族地帯で軍事作戦を行なせるために、ブッシュ政権は数十億ドルを費やしてきた。しかし、これまでのパキスタン軍の単発的な作戦は効果がなく、パキスタン軍の被害のほうが大きい。イスラマバードの支配を受けずにきた地元住民の間で、怒りも買った。

アメリカの関係者はこれらの失敗を認識しているが、部族民の民兵をリクルートして国境警察に投資するという計画は、パキスタンのイスラーム過激派たちへの対処をいかにアメリカが真剣に望んでいるかを反映するものだと語る。この新たな対抵抗勢力キャンペーンは、パキスタンにおける米軍の役割を主張するものである。9.11以後は、CIAが単独でパキスタンで行動してきた。

部族地帯では、パキスタン軍のアドバイザーとして米軍関係者数人が活動していると、この地域で長期間活動してきたアメリカ人関係者が述べた。作戦のアドバイスを行なったり、アメリカの諜報情報を提供したりしてきた。

歴史的にアメリカの特殊部隊は、アメリカの利益に役立たせるために、外国で地元の軍隊と協力したり治安の改善に努めてきた。この新たな計画が実行されればアドバイザーの数も増えると、関係者が語った。

アメリカの関係者によると、これらの治安改良計画は、国際開発局や国防省による、7つの部族地帯に対する援助の一環だという。これは5年間で7億5000万ドルにのぼる。国務省のInternational Narcotics and Law Enforcement Affairsは、対麻薬活動として、国境警察の援助も行なっている。

これまでも治安開眼に関する報告は『ロサンジェルス・タイムズ』や『ワシントン・ポスト』が報道しているが、部族民リーダーたちをこれに加えるという極秘計画は、新たなものである。

「国務省は国境警察を支援し始めるところだ」。「要求した資金の一部しかまだもらっていないが、始めるには十分だ」と、ある軍関係者が述べた。

これまで国境警察は、米軍の支援は受けていない。国境警察はパキスタン内務省の管轄であり、ペンタゴンは非軍隊組織とは関わっていない。しかし国境警察は、抵抗勢力と戦うために最も適していると、アメリカの関係者は語る。国境警察は2001年以来、パキスタン陸軍の指揮下にあり、現在アメリカ人アドバイザーによって訓練を受けていると、ある外交関係者が述べた。

国境警察の訓練に関しては、議論がある。アフガニスタンのNATO軍や米軍は、国境警察がタリバンに協力して越境させていると主張している。「彼らを専門的な部隊にするためには、数年かかる」と、ある欧米軍事関係者が語る。「今それをするだけの価値があるのか?」

同時に、対抵抗勢力軍を改良するための援助は、もうすでに遅すぎると主張する者もいる。「すでに敵の方が有利だ」と、ある欧米軍関係者が語る。ワジリスタンで戦う地元タリバンと外国人戦闘員は、2005年と2006年に政府と和平協定を結んで以来、再結成した。武装勢力は、今やスワートにも出現した。

(中略)この計画について話を聞いたある人物によると、約24のスライドからなる報告だったという(中略)。あるスライドは、南北ワジリスタンの約24の部族民の居住地とその場所の説明、またアルカイダとタリバンとの関係、人数、軍事能力などが詳述されていた。

報告によると、アメリカはパキスタンの戦いには関与しないという。しかし軍幹部やペンタゴン関係者によると、エリート対テロユニットであるJoint Special Operations Commandのメンバーが、武装勢力幹部責任者に対する攻撃には参加する可能性がある。

(中略)パキスタンの専門家は、部族民リーダーの力を増すことは、イスラーム主義の宗教指導者の影響力に対処し、アルカイダを弱体化させることに効果があるかもしれないという。しかし「特にバジョールや南北ワジリスタンでは難しいだろう」という。この計画を相談されたある人間は、パキスタン軍によって実行されるアメリカ支援の計画に多数の部族民リーダーが参加するかは、「$64,000 question(難しい問題)」だと警告した。

smellU.S. Hopes to Arm Pakistani Tribes Against Al Qaeda
ERIC SCHMITT, MARK MAZZETTI and CARLOTTA GALL、WASHINGTON

■アフガニスタンの自爆で7人死亡[061119 BBC]

アフガン州知事を狙った自爆攻撃があり、彼の息子とボディーガード6人が死亡した。

ニムローズ州知事のザーラム・ダスタギールが事務所に向かっていたことろを攻撃されたが、無事だった。

(中略)犯人が体に巻き付けた爆発物を爆発されたという。ダスタギール知事は、爆発の直前に建物の中に入った。「事務所に入るやいなや、爆発があった。私が狙われたことは明らかだ」と述べた(後略)。

hoonAfghan suicide attack kills seven

■スワートとシャンガラで40人死亡、うち一般市民10人[071119 News]

スワートとシャンガラで戦闘ヘリコプターと治安部隊による攻撃があり、一般市民10人を含む40人が死亡した。

(中略)軍報道官のワヒード・アルシャッド少将が語ったところによると、治安部隊が両地域における武装勢力の陣地を攻撃し続け、日曜日に武装勢力側の死者が多数出たという。

ワヒード少将は、武装勢力報道官のシラージュッディンが、シャンガラ地区のベライ・ババでパキスタン軍兵士45人が死亡したと発表したことに対して、事実無根だと否定した。

いっぽうミンゴラのメディア・インフォメーション・センターからの発表によると、ラッダキ検問所の近くで、武装勢力4人が逮捕された(中略)。

シャンガラの住民によると、軍の戦闘ヘリコプターと大砲が、スワートとシャンガラ地区の間に位置するシャンガラ・トップにある武装勢力の拠点を攻撃した。ここに武装勢力400人ほどが、スワートのハワザヘーラから土曜日に30台の車に分乗してやってきた。

村人によると、朝の1時から治安部隊が迫撃砲と大砲を用いて武装勢力の位置を攻撃し始め、朝の5時まで続いたという。クーザ・アルプリ村も砲撃されたために、村人多数が負傷した。

シャンガラの地元ジャーナリストのサルファラーズ・ハーンによると、戦闘ヘリコプターと大砲がタンダル、バンデイサル、ペザ、カクバシを攻撃した。武装勢力12人以上が死亡したと報告されている。武装勢力が仲間の遺体を、3台の車に乗せて運んでいるのが目撃されている。

また武装勢力200人ほどが、プラン道路の森林局のレストハウスに設置された警察の検問所を占拠した。後に自分たちの検問所を設置して、地元のバザールをうろついたり買い物をしているのが目撃されている。

ハーンによると、パキスタン陸軍はベレイ・ババの近くのデレイに到着し、丘の上に陣取っているという。スワートでは戦闘ヘリコプターと大砲を用いて、モーラナ・ファズルッラーが率いる戦闘員を攻撃しており、住民6人を含む16人が新たに殺害された(中略)。

いっぽうで武装勢力報道官のシラージュッディンが、いつものように仲間の死者はいないと述べた。自分たちに対する攻撃は、アメリカが権力を拡大しつつある中国と対決するためのものだと主張した。

hoon10 civilians among 40 killed in Swat, Shangla
Mushtaq Yusufzai & Musa Khankhel、PESHAWAR/MINGOR

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2007.