【2007年12月31日〜1月6日】


■アメリカ、パキスタン内で新たな極秘作戦を検討[080106 New York Times]

ブッシュ大統領の国家安全アドバイザーたちが、CIAと軍の権限を広げ、パキスタンの部族地帯で攻撃的な極秘作戦を実施するかどうかを考慮している。

アルカイダとタリバンが部族地帯で、パキスタン政府を不安定にさせる計画を立てているという諜報報告を受けて話し合いが行なわれたと、何人かの政府幹部が述べた。

金曜日に副大統領のチェイニーと国務省長官のライスを含めたブッシュ政権の国家安全アドバイザー数人がホワイトハウスに集り、この議題を話し合った。2月18日の総選挙や、その後のことに対しても、話し合ったという。

ムシャラフ政権に対する脅威はそれほど深刻ではなく、ムシャラフもパキスタン軍の新しい長官も、アメリカに対して柔軟な姿勢をとりそうだと述べる者もいた。しかし、結論には至らなかった。

会談の内容のほとんどは極秘で、明らかになっていない。しかし関係者は、軍の特殊部隊と一緒に行動しているCIAに関する内容のようだと述べた。

ブッシュ政権はムシャラフに、新たな提案はしていない。(中略)しかしホワイトハウスとペンタゴンは、今が権力構造を変える時と考え、パキスタンにおけるアメリカの権限を拡大しようとしている(中略)。

極秘作戦の実施とは、CIAに対する制限を緩和し、パキスタンで狙った標的を攻撃できるようにすることである。パキスタンの情報源から得た諜報情報を使用して、攻撃を実施する場合も考えられる。パキスタンにおける対テロ作戦の大半が、CIAの指揮で実施された(中略)。

ブッシュ政権がこれまで以上に攻撃的に行動することにしても、法的地位は変わらない。しかしCIAにこれまで以上の権限が与えられた場合、軍や特殊部隊に協力を仰ぎ、CIAの権限のもとで行動することになる。

現在アメリカは、パキスタンに兵士50人を駐屯させている。CIA工作員や特殊部隊、例えばNavy Sealsを使用して作戦を実施した場合、それは小隊からなり、特殊任務に就くことになると、軍関係者が述べた。

(中略)これまでブッシュ政権は、部族地帯で活動していなかった。アメリカ主導の作戦が明るみに出れば、ムシャラフ政権を侮辱することになり、批判が強まる(中略)。

今でさえ、アメリカ人外交官や軍関係者、またその他の専門家たちは、パキスタンにおけるアメリカ主導の軍事作戦を実施は芳しくなく、最終的には悪い結果を招くことになると主張する。アメリカ人がパキスタン国内で逮捕されたり、殺害されたりすれば、なおさらだ。

(中略)これまでもCIAは部族地帯で、無人偵察機を使用して攻撃を実施している(中略)。批評家たちは、米軍がもっと直接的に行動することは効果的ではなく、パキスタン軍を怒らせ、武装勢力たちへの支持が増すだけだという(後略)。

smellU.S. Considers New Covert Push Within Pakistan
STEVEN LEE MYERS, DAVID E. SANGER and ERIC SCHMITT、WASHINGTON

■パキスタンの知事、辞任[080106 BBC]

パキスタンの北西辺境州知事のアリ・ムハンマド・ジャン・オラクザイが、辞任した。アフガニスタンとの国境沿いの山中の村に隠れる、イスラーム主義のゲリラと関連した武力衝突が続く中での展開である。

辞任の理由は、個人的なものだという。しかし部族地帯の武力衝突が、原因と思われる。

《国境での取り引き》

オラクザイは北西辺境州の治安を改善することを掲げ、知事になった。彼の最大の駆け引きは、2006年9月にイスラーム武装勢力と交わした和平協定を仲介したことである。この取り引きと引き換えに、長老たちは自分たちの村からアフガニスタンに入って攻撃したり、外国人武装勢力を匿わないことに同意した。

いっぽうパキスタン軍は、部族地帯の村に隠れる武装勢力を逮捕することを目的とした軍事作戦を中止することに同意した。

しかしうまくいかなかった。

1年後、部族地帯の親タリバンは、パキスタン軍が検問所を撤去せず約束を守っていないとして、取り引きを無効にした。しかしオブザーバーたちによると、パキスタン軍がイスラマバードのラール・マスジッドを襲撃した数ヵ月後に、取り引きが無効になったという。

理由はともあれ、部族地帯の武力衝突は続き、そのためにオラクザイは辞任した。

新知事のオワイス・アフマッド・ガニは、荒っぽい行動で知られている。パローチ・ナショナリストに対しては、残虐に武力を使用している。彼の着任により、パキスタン政府は部族地帯の武装勢力を扱うためには、武力を使用するつもりでいることが明らかになったといえる。

hoonKey Pakistan governor steps down
Sanjay Dasgupt

■「グレートゲーム」か、それとも単なる誤解か[080105 BBC]

クリスマスの日、アフガニスタン政府は2人の重要な外交官、イギリス人の国連政治問題専門家と、EUの実質的な責任者であるアイルランド人を国外追放にした。

国家が、友好国のために仕事をする者を国外追放にするのは非常に稀なケースで、その理由はタリバンと話し合い、協力したからだという。国連もEUもこれを「誤解」だと述べている。

しかし今回のケースは、19世紀の「グレート・ゲーム」の名残りがあるようだ。中央アジアにおける、イギリスとロシアの諜報官たちの競い合いである。

アイルランド人のマイケル・センプルは、EUの職員だった。彼は19世紀の植民地アフガニスタンからそのまま出て来たような風貌をしている。髭を生やし、ダリ語を話し、地元の服を着る。アフガニスタンで18年間暮らして仕事をしており、多くの友人と、同時に敵も持っていた。

イギリス国籍のメルビン・パターソンは北アイルランド出身で、UNの職員である。彼は北アフガニスタンの専門家、特にウズベクの専門家で、スパイや軍閥、欧米人やアフガン人などと仕事をしていた。

《非常に尊敬されていた》

2人とも12月27日に国外追放になり、彼らがいなくなったことで、「アフガニスタンに関する知識を持っていた国際社会の半分がいなくなったも同然」と、彼らの仲間が述べた。彼らは非常に尊敬されていたが、悪事を働いていたと、カルザイ大統領報道官のハマユン・ハミッドザダが述べた。

「アフガニスタン政府は、2人が自分たちの仕事とは関係のない行動や非公式な活動をしていた」ことを知っているという。「その結果アフガニスタン政府は2人をアフガニスタンから追放し、同時にアフガニスタン政府は非公式な活動をしている人間すべてを監視しているというメッセージを送った。そのような人間は、かならず阻止される」という。

アフガニスタンの諜報組織工作員たちちは、「非公式な活動」を次のように語る。マイケル・センプルは、タリバンたちと、広範囲に接触していた。「グレート・ゲーム時代の策略家のように、傲慢に振る舞っていた」。

ある諜報関係者が語った。「EUの副責任者はなぜ野戦司令官のように振る舞い、誰のために行動しているのか?」

カブールのEU特使のフランシス・ベンドレルに、マイケル・センプルが何をしていたのか尋ねた。「よくわからない、というのが正直な所だ。マイケルにヘルマンドに行くことは、許した。タリバンとの和解工作をしようとしていたことは、なんとなくわかっていた。彼が何をしようとしていたのか、それ以上のことは、まったくわからない」。

しかし彼の部下として、マイケルが何をしていたのか、知るべきではなかったのか?

《矛盾》

「そうだとも言えるし、そうではないとも言える。マイケルのような背景を持つ人間は、手綱をつけておくことはできない」。

ということは、マイケルはタリバンと話していたことになる。しかし、アフガン人の諜報員たちが主張するように、彼は開発という見返りや現金を彼らに提供していたのだろうか?

「それは矛盾しているように思う」。とフランシスが語る。「マイケルはこちら側には来ていないタリバンには、訓練する機会を与えたり協力していたとは思えない」。「この事務所は、大使館やEUのように、プロジェクトを実施するための金はない」。

しかしマイケルは、別の人間のために動いていた可能性はないか? 「マイケルは、いろいろな繋がりを持っていた人間だたと思う。それ以上のことはわからない」。

英国大使のシェラード・コウパー・コールズは休暇から戻り、少なくとも2度カルザイと会った。

《説得》

英国首相のゴードン・ブラウンは下院で、「タリバンの指導部を孤立化させ、排除している。彼らと話し合ってはいない」と述べた。しかし、ヘルマンドではタリバンを「説得」して、こちらの味方になるような交渉が続いている。ということは、タリバンの幹部高官ではないとしても、少なくともタリバン支持者たちと話し合うことを意味する。

アメリカはこれまであまり積極的ではかったが、米大使のビル・ウッドによれば、最近ではこれを認めているという。「アメリカはタリバン要員との和解計画を、真剣に考えている(中略)」。つまり、戦いだけでは平穏はもたらされないということだ。

英外務省は、工作員たちをこれまで以上にアフガニスタンに送り込み、ヘルマンドで活動させるために、パシュトゥ語の訓練を行なっている。グレート・ゲーム時代と、似た状況である。「19世紀にイギリスの工作員たちは北西辺境州にでかけ、約16年間も留まった」と、英大使が語った。

《衝突》

「彼らは全員パシュトゥを話したが、我々はそれができない。また我々は国を理解するのは、アフガニスタン政府のためだということを忘れてはならない。アフガニスタン政府が中心になければならない」。「しかし、もし諜報情報を提供しなければならないのなら、我々が活動している環境に関して、広い意味での政治的諜報情報が必要である」。

英大使館からは、マイケル・センプルに関するコメントはなかった。

アフガン諜報関係者によると、彼が何をしていて、誰のために動いていたかは、いまだにわからないという。しかし少なくとも、自分たちの和解計画と対立していたという。

しかし、アフガン世界では陰謀が渦巻き、個人的にタリバンと取り引きすれば、カルザイに対立していると見られる。外交的交渉が続いているが、マイケル・センプルがアフガニスタンにすぐ戻ることは、難しそうだ。

smell'Great Game' or just misunderstanding?
Alastair Leithead、Kabul

■キリスト教徒5人、南ワジリスタンで誘拐される[080105 News]

金曜日にバイトッゥラー・マフスードの追随者たちが、南ワジリスタンでキリスト教徒5人を誘拐した。

武装勢力たちは、ワナ〜ジャンドーラ間の道路を封鎖して、治安関係者や政府関係者がいないか、車を捜索した(中略)。

武装勢力たちは乗客のうちキリスト教徒5人を拉致し、どこかに連れて行った。そのうちの3人はグジュルワラの人間で、ワナで仕事をしていた。残りの2人はその親戚で、グジュルワナからワナを訪れていたという。

(中略)武装勢力は、キリスト教徒たちと引き換えに、政府が拘束している仲間6人の釈放を求めている。そのうちの1人は有名な司令官であるライース・ハーン・ムハンマドで、残りの5人も、バイトゥッラー・マフスードの司令官だという(後略)。

hoonFive Christians kidnapped in SWA
Mushtaq Yusufzai & Irfan Burki、PESHAWAR / TANK

■アメリカ、シャリーフに用心深く接近[080103 Christian Science Monitor]

パキスタンの総選挙が延期されて混乱が続くなか、アメリカは暗殺されたベナジール・ブットの代わりになる選択肢を考え直している。野党責任者のナワーズ・シャリーフ元首相が、その筆頭である。

ブッシュ大統領はパキスタンの民主化を実現する者として、ナワーズ氏ではなくブットを選んだ。ブットはムシャラフと権力の座を分かち合うことに同意する可能性があると思われたが、シャリーフ氏の場合は難しい。

しかしムシャラフは弱体化し、孤立化しつつあるために、アメリカはもう1人の勝利する可能性のある者に、注意深く接近し始めた。

アメリカは「近い将来野党の中でリーダーと成り得る者がいるとしたら、ナワーズ・シャリーフだと思っている」と米国務省情報調査局の元パキスタンアナリスト、マービン・ワインバウムが語った。

シャリーフは保守的なイスラーム主義の政治家で、親米主義の政治家ではない。彼はサウジアラビアと近い関係にあり、11月にパキスタンに帰国するまでは、サウジに亡命していた。

もしシャリーフ氏がパキスタンで権力機座につけば、サウジの重要な協力者となり、サウジ寄りのムスリム世界をこの地域に広げることになる。アメリカは、これに対立するつもりはない。なぜなら、ブッシュ政権はサウジのライバル、イランを押さえることに関心があるからだ。

サウジは「パキスタンに大きな影響力を与えて来た」と、ワシントンの中東研究所の学者、ワインバウムは語る。「シャリーフが権力を持ち、サウジの影響力が拡大することを恐れる者はいる。しかし、サウジは我々の同盟国であることを忘れてはならない」。シャリーフは、サウジ王家といい関係にあるかもしれない。しかし「確かなことは、彼はイランの言いなりにはならないということだ」。

アメリカはブットが暗殺された直後から、シャリーフと彼の政党に接触し始めた。シャリーフに総選挙のボイコットを止めるよう、説得している。しかしムシャラフが選挙を2月18日まで延期したことで、問題は複雑になってきた。

アメリカは、選挙を予定通り実施するよう要求しているが、体制を立て直すためのある程度の延期なら、認めようともしている。しかしシャリーフのパキスタンムスリム連盟やブットのPPPは延期を認めず、政府はブット暗殺で野党の力が増しているのを押さえ込もうとしていると主張している(後略)。

hoonGingerly, U.S. reaches out to Sharif in Pakistan
Howard LaFranchi、Washington

■スワートとファタで軍事作戦[080103 News]

水曜日にファタ(FATA)の武装勢力連合体のテヘリーケ・タリバン・パキスタン(TTP)は、政府にスワートや部族地帯で軍事作戦を中止するまでに2日の猶予を与え、それ以後は治安軍や政府関係の建物を再び攻撃し始めると述べた。

南ワジリスタンのラッダでジルガが開催され、火曜日に国境警察隊員を拉致したあとに武装勢力と準軍隊の間で発生した衝突を、中断させることに成功した。

TTPとバイトゥッラー・マフスード司令官の報道官であるモーラビ・オマルが、部族の会議で政府に最終期限を通告することに決めたと述べた。

国境地域の7つの部族地帯の武装勢力幹部司令官たちが、会議に出席した。政府は、スワートや北ワジリスタン、その他の部族地帯で軍事作戦を中止し、拘束した武装勢力全員を解放しなければならないという。

最終期限は木曜日に失効する。「これらの要求に答えなければ、攻撃を開始する」。北ワジリスタンでは停戦協定を1月20日まで最終期限延長したことに関して尋ねると、モーラビ・オマルは、「その件はよく話し合った。我々は北ワジリスタンの武装勢力司令官と連絡をとりあっており、我々に協力することを約束してくれた」と述べた。

組織をTTPに統合することで、武装勢力司令官たちは、独自に政府と停戦協定を結ばないことにしたという。政府との話し合いは、すべてTTPを通して行なわれる。

この運動の全責任者はバイトゥッラー・マフスードで、モーラナ・ハーフィズ・グル・バハダールが北ワジリスタンの責任者、ナイーブ・アミールとモーラナ・ファキール・ムハンマドがバジョールの責任者兼司令官である(後略)。

hoonMilitary operations in Swat, Fata
Taliban movement gives two-day deadline to govtMushtaq Yusufzai、PESHAWAR

■アメリカ、パキスタンの捜索で後部席に[080102 Reuters]

パキスタンがベナジール・ブット暗殺の調査に、アメリカではなくイギリスのスコットランド・ヤードを選んだことから、パキスタンがアメリカを信頼していないことが伺える。

ムシャラフは水曜日に、ブット暗殺を巡ってイギリスの警察の助けを借りると発表した。

ホワイトハウスは、もし依頼されればFBIを派遣すると述べてきたが、パキスタンはFBIに調査を依頼していない。ワシントンの大使館報道官は、パキスタンは調査に関する情報を、アメリカと共有する可能性はあると述べた。

アメリカの司法関係者は、なぜパキスタンはFBIではなくスコットランド・ヤードを選んだかは、わからないと述べた。

しかしアナリストが語ることによると、ムシャラフはアメリカの役割を制限せざるを得なかったという。パキスタンではアメリカに対する不信感が強く、一般民衆はムシャラフをアメリカの駒と見ているからだ。スコットランド・ヤードは、アメリカよりも中立的と見られている。アメリカがブットの警備に何らかの関与をしていたことから、焦点をはずすこともできる。

「アメリカはパキスタンでは信頼がない」と、元ホワイトハウスの国家安全委員会関係者のP・L・クロウリーが述べた。「アメリカに協力を求めれは、ムシャラフはさらに弱い立場に立つことになる」。

(中略)スコットランド・ヤードがどの程度捜査の自由が許されるかは、明らかではない。暗殺現場は事件直後に放水され、パキスタン政府はブットの怪我の手当をした医者たちに、傷に関する情報を口外しないように圧力をかけている(後略)。

hoonU.S. given back seat in Pakistan investigation
Randall Mikkelsen、WASHINGTON

■スワートで容疑者27人逮捕[080102 News]

スワートとチャックダラに戒厳令が発令され、治安部隊が容疑者27人を逮捕した。そのうちの4人はモーラナ・ファズルッラーの側近である。

地元タリバン司令官のナイームとトティ・ハーンが、コザ・バマ・ヘーラ地区で逮捕された。この作戦でタリバンの拠点から、膨大な量の武器や爆発物、通信機器が発見された。さらに月曜日の夜に実施された作戦で、治安部隊はフィザ・ガートとカンジュー検問所で、武装勢力8人を逮捕した。シャカール・ダラ出身の武装勢力司令官マタィーン・ハーンと、自爆しようとしていた男が逮捕された。

スワートとチャックダラでは戒厳令が発令された。治安部隊がスワートのマッタ、マイディアン、ベーレイン、ピオチャールハワーズヘーラで作戦を開始する準備をしている。スワートの作戦は、2段階で実施される予定だという。

第1段階はすでに終了し、抵抗勢力たちはカーバル、バラ・バンディ、クーザ・バンディ、チャルバガ、マングロール地区から一掃された。第2段階は数日後に実施予定である(後略)。

hoon27 suspects held in Swat
MINGORA

■パキスタンで武装勢力少なくとも27人が死亡[080102 AFP]

パキスタン北西部で、武装勢力27人が2日に渡って死亡したと、軍関係者が水曜日に発表した。

親タリバン系武装勢力が南ワジリスタンでパキスタン兵4人を拉致したことから、衝突が派生した。「武装勢力5人が昨日殺害され、夜間に22人が殺害された」という。

(中略)関係者によると、兵士たちは別の検問所に食料を運んでいたところ、武装勢力に拉致されたという。兵士たちの安否は不明である。

パキスタン軍が武装勢力に発砲し、5人が殺害され、20人が逮捕された。その後停戦協定を結ぼうとしたが、失敗した。両陣営とも重火器を使用し、その結果武装勢力22人が死亡した。軍側の死傷者はいない(後略)。

hoonAt least 27 militants killed in Pakistan: military
ISLAMABAD

■アルカイダ、パキスタンの心臓部を狙う[080101 Asia Times]

(前略)2003年以前、南北ワジリスタンのアルカイダキャンプは、アフガニスタンの外国軍と戦うことに従事し、パキスタンのムスリム軍と戦うことは考えていなかった。

しかしエブプト人の学者、シェイク・エッサが北ワジリスタンに住むようになってからは変わった。彼はタクフィーリ(敬虔なムスリム教徒以外を異教徒と考える人間)の軍隊を組織した。パキスタンがタリバン(とアルカイダ)の戦略的な拠点にならなければ、アフガニスタンの戦いは勝利できないと信じている。

数年のうちに彼のイデオロギーは浸透し、パキスタンにいるアメリカの協力者たちが標的となった。サディーク・ヌールやアブドゥル・カリークのような地元のタクフィーリのイデオロギーを持った者たちが強力になり、北ワジリスタンでその教えを広めた。ジャイシェ・ムハンマドやラシュカレ・トイバ、ラシュカレ・ジャングヴィなどのジハード組織が北ワジリスタンに集まり、シェイク・エッサの考えを自分たちのイデオロギーにした。

これはタクフィリの新たな世界の始まりだ。1960年代にエジプトで生まれたこの思想が、北ワジリスタンで生まれ変わった。シェイク・エッサの助言に基づき、武装勢力たちはムシャラフを数回暗殺しようとし、パキスタン陸軍も攻撃した。そしてブットも標的になった。

タクフィリの拠点と陰謀を、CIAはつかんでいた。そしてブットが殺害された翌日、北ワジリスタンのシェイク・エッサの家がCIAの無人偵察機で攻撃された。情報源によると、彼は生き延びた。しかし、重傷を負った。最近やっと回復したところだ。

このためにジハードのキャンプは、ブットが殺害されてもお祭り気分ではなく、アルカイダたちは隠れ家に逃げなければならなかった。しかし、今後も攻撃を続けようという決意は、これまで以上強くなった。

アルカイダは10月18日にブットを暗殺しようとしたが、失敗した。この自爆事件で200人近くが死亡した。11月にムシャラフの側近でムスリム連盟会長のアミール・ムカームが自爆攻撃を受けた。彼の弟が死亡したが、アミール自身は無事だった。今月は元内相のアフタブ・シェルパオが攻撃された。彼自身は無事だったが、息子と甥が負傷した。さらに日曜日には元宗教相のエジャーズ・ウル・ハクが自爆攻撃を受けた。彼も無事だった。

次は、モーラナ・ファズルール・レーマンが狙われる可能性がある。イスラーム神学者協会会長で、野党の元責任者だが、今回の総選挙においては、アメリカの重要な駒と考えられている。ムシャラフに協力し、アメリカの「テロとの戦争」に有利になるように取り計うと思われる。

(中略)アルカイダのイデオロギーのもとで成長したパキスタンのタリバンは、「イスラーム首長国」を創設しようとしている。ワジリスタンではすでにこれを宣言している。

南ワジリスタンの軍閥で首長国の長であるバイトゥッラー・マフスードは、1月の選挙をボイコットすると主張している。宗教学者や地元の政治リーダーに促されたために、一応この主張は引き下げたが、それは表面的なものにすぎない。彼はシェイク・エッサ同様、パキスタンの政治システムを妨害したがっている。

その結果、パキスタン人タリバンは北西辺境州のダラ・アダム・ヘールの選挙運動を中止した。

アルカイダのタクフィールのイデオロギーは、だんだん拡大していくだろう。そしてそれは、アメリカをいらいらさせるだろう。

smellAl-Qaeda aims at Pakistan's heart
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■ブットに関して黙秘するよう圧力がかけられたと医師[080101 Washington Post]

パキスタン政府は、ブット女史の最期の様子を黙秘し、医療手当の記録を削除するよう、救命に関わった医師たちに指示したと、医師が述べた。

インタビューに答えた医師によると、ブットの傷に関する情報を口外しないよう、強い圧力をかけられた。「政府はブットの死後すぐに医療記録を持ち去った」と、動揺を隠せない様子の医師が述べた。「政府に話してはならないと言われた。仲間はみんな侮辱されたと感じている」。

(中略)ブットが至近距離から撃たれたとすれば、犯人は、パキスタン陸軍本部がある町で、政府の警備をくぐって現場に入り込んだことになる(中略)。

もし銃を持った男の犯行とすれば、政府はなぜ何日間も別の説を主張していたのか、疑問が湧く(中略)。政府は何度も、話を捏造したことを否定している。月曜日にアメリカ人医療専門家に、政府が発表している死因に関する病院の報告を見てもらったところ、銃弾ではなく、頭蓋骨損傷による傷が死因だと述べた。

ラワルビンディの医療関係者は、ほとんど黙秘している。

(中略)報告によると、傷には「異物」はなかったという。射出口もない。しかしブットの頭蓋骨のX線写真によると、「2〜3の小さな放射線濃度のある物質があった」という。銃弾の破片ではないかといわれる。

しかしアメリカの医療専門家は、「放射線濃度のある物質」とは、銃弾ではない可能性が高いという。メリーランド大学の医療センターの責任者、トーマス・スカリアは、死因は銃弾による傷と言える証拠はないが、頭部を何かにぶつけたような鈍い力により、脳障害を起こし、しかもこれほど早く死亡するとは考えにくいと述べた。「すべてが不自然に思われる」(後略)。

smellDoctors Cite Pressure to Keep Silent On Bhutto
Emily Wax and Griff Witte、RAWALPINDI

■ベナジール・ブット調査報告・秘密組織が武装勢力と戦うための援助金を横取り[080101 Times]

ベナジール・ブットが暗殺された日、パキスタンの諜報組織がアメリカの金を総選挙のために横流ししていた証拠を、アメリカ人政治家2人に会って提供する計画だったと、党関係者が昨日述べた。

ブットが警備組織内の情報源から入手したこの報告書には、ISIがイスラマバードの隠れ家から選挙の操作を行なっていた疑いが明らかにされている。PPPに打撃を与え、ムシャラフを支持するパキスタンムスリム連合(Q)を勝利させようとするものである。

ロード島出身の民主党議員パトリック・ケネディと、共和党の上院議員アーレン・スペクターが、木曜日にブット女史と夕食を共にする約束だったと述べたが、コメントを得ることはできなかった。

PPPのサルファーズ・アリ・ラシャリが語ったところによると、政府の選挙妨害計画に関して200ベージからなる報告書を作成し、ブットは殺害された日にアメリカ人と報道関係者に提供する予定だった。

「しかしISIに関する別の報告もあり、それを一緒に話し合う計画だった」と、環境経済学者のラシャリが述べた。

ブットがメディアに公開する意図のなかった2つ目の報告書は、ISIが、パキスタンが2001年以来アメリカから受け取っていた援助金100億ドルを、G5にある隠れ家で、選挙活動のために使用していたことを明らかにしたものだという。

「我々の仲間が報告書を制作した。ベナジール・ブットと、直接話し合っていた」と述べ、ブットがこの報告書を、英国大使とアメリカ法関係者たちに提供しようとしていたと付け加えた。

ブットの夫のアシーフ・ザルダリはこの報告書の存在やその内容、ブットがアメリカの法関係者と会おうとしていることを認めた。この報告書を持っているか尋ねると、「関係書類は」と述べた。ブットがその内容をアメリカの立法関係者に提供するつもりだったか尋ねると、「それに答える立場にはない」という。また報告書にはISIが選挙に有利になるためにアメリカの資金を流用しているかどうか尋ねると、「おそらく」と答えた。それ以上は答えなかったが、ブット暗殺の背景にはいくつもの動機があるという。「これらすべてが関係していた」(中略)。

ブット女史はムシャラフを非難し続けてきた(中略)。しかしブットがアメリカの政治家にこの報告書を提供しようとしていたことは、ISIが総選挙を操作しているという疑惑を、さらに深めるものになる。しかも、アメリカの資金を使用している。

(中略)今月、アメリカの議会は政府に、ムシャラフが民主主義の道を歩み、武装勢力に対する作戦を確実に行なっていることが確かめられるまで、パキスタンに対する軍事援助を保留するように命令した。

ラシャリによると、ブットはムシャラフ政府を支持し続ける米政府を完全には信用していないために、この報告書を提供したがっていた。「国際的な利害関係者、特にイギリスとアメリカと、この件を話し合いたがっていた。我々に不利になるような者には、提供したくなかった」。

「ムシャラフや国際的な利害関係者を怒らせることは、賢明ではない。陸軍が、自分たちに不利な点があると知れば、すべてが崩壊する」。パキスタンのメディアは、ISIの隠れ家が存在し、文民諜報組織であるIntelligence Bureauの責任者、イガヤーズ・フセイン・シャーが、選挙の操作に関わっていると報道している。

ラシャリは、ブット女史はこの報告書を英国大使ロバート・ブリンキレイにも提供することを考えていたという。英大使館は、報告書の存在を知っていたことを否定した。政府関係者も、このような話は事実無根だと述べた。

smellThe Benazir Bhutto dossier: 'secret service was diverting US aid for fighting militants to rig the elections'
Jeremy Page、Naudero

■ブットのビデオにより報告に疑惑[071231 AP]

ベナジール・ブットの側近が、暗殺者がブットから数ヤードまで近づけたのは、警備の不手際のためと述べた。しかし政府は、爆弾を防ぐようにできた特別車のサンルーフを開き、支持者たちと対話をしたのはブット自身の責任で、そのために狙われたと主張した。

新たに出現した攻撃のビデオやあいまいな医療報告により、政府が発表しているブットの死因に疑惑が高まり、独立した国際機関による捜査を求める声があがっている。

イギリスのテレビ『Channel 4』が入手したビデオによると、サンルーフから頭を出したブットから数フィートしか離れていない場所から、ピストルを持った男が発砲している様子が写っている。彼女の髪とショールが翻り、爆発音の直前に車の中に崩れた。爆弾は、別の男が爆発させたようで、車が揺れた。

警察が群衆を押し戻す様子は見られない。

(中略)ブットが暗殺されたラワルピンディの集会では、警察数百人が彼女が演説をする公園の周りを取り巻き、金属探査機で中に入る人をチェックしていた。警察の狙撃班が、周囲の建物4ヵ所に待機していた。ステージから10ヤード周囲が立ち入り禁止となり、警備関係者たちが厳重にチェックし、犬を用いて爆弾を取り締まり、私服警備員に取り囲まれていた。

ラワルビンディ警察長官のサウード・アジズによると、「厳戒に警備されていた」という。

攻撃は、ブットが選挙演説を終えて公園から車で外に出た時に起きた。車は4台の警察の車で警備され、25〜26人の警察官により守られていた。

ブットの警備を担当していた党の関係者アシャシラージュ・デュラニは、「なぜブットが外に出てくる時に道路は封鎖されず、人々が追い払われなかったのか。なぜ警備がこれほど手薄だったのか」と述べた。

(中略)政府は、彼女が死亡した病院の医師の報告として、銃撃を受けたのではなく、サンルーフのレバーに頭を強打したのが死因だと述べた。しかし報道陣に配られた医療報告で医師は、彼女が撃たれたのか撃たれなかったのか、明確に報告していない。死因は「頭部の傷で頭蓋骨に損傷を与え、そのために心肺停止状態となった」としか記載されていない。

報告書は病院の7人の医師によりサインされており、頭部の傷の周囲には他の傷はなかったと述べている。「傷には異物はなかった。それ以上、傷を調べていない」という。

ブットの夫のアシーフ・アリ・ザルダリは日曜日、ムシャラフ政府が信頼のある調査をするはずがないために、検死解剖を拒否したと述べた(後略)。

smellBhutto video, medical report raise doubt
RAVI NESSMAN、ISLAMABAD

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2007.