【2008年2月4日〜2月10日】
●パキスタン北西辺境州で行なわれていた野党の選挙活動の最中に爆発があり、少なくとも14人が死亡したと内務省が発表した。
●自爆攻撃が、北西辺境州のチャルサッダで起きた。パシュトゥーンの世俗政党Awami National Party(ANP)が選挙活動を行なっていた際に、爆発が起きた。「14人が死亡し、24人が負傷したと報告されている」と、内務省報道官のジャヴィッド・チーマが述べた。「明らかに自爆攻撃だ」。
●ANPは反イスラーム主義と見られており、アルカイダやジハード組織の犯行と疑われている(後略)。
Blast at Pakistan election rally●パキスタンの治安部隊とアルカイダ系パキスタン人タリバン、バイトゥッラー・マフスードとの間の停戦は、2人のアフガニスタン人司令官によって調停された。彼らはマフスードにアフガニスタンに留まるように助言したが、これは大きな嵐が吹き荒れる前の凪で、パキスタンの抵抗運動の新たな章の開幕である。
●木曜日に政府は、南ワジリスタンで公式に停戦が結ばれたことを発表した。同時にマフスードの報道官は、国内全てで停戦すると宣言した。「停戦に合意した。ここ数日間、大きな戦いがないのはそのためだ」と、パキスタン幹部が木曜日に述べた。
●数ヵ月前から原理主義者タクフィーリであるマフスードは孤立し、オマール師にはパキスタン国家と戦っているとして「更迭」されていた。
●停戦協定は、タリバン司令官のシラージュッディン・ハッカーニとモーラビ・バハサ・ジャンが仲介した。これで武装勢力も治安部隊も面子を保つことができる。
●武装勢力はラムザック城とラッダ城にいる軍事キャンプを襲撃して、3方向からミサイルや迫撃砲を撃ち込み、補給路を遮断した。これに先立ち、パキスタンの奇襲隊がマフスードを捉えようとして作戦を実施したが、兵士数十人と武装勢力12人が死亡した。
●この時点でイスラマバードは、武装勢力の基地を空爆するしかないと結論づけた。しかし地元の長老たちが仲介して、マフスードに撤退するよう説得すると約束した。政府はこれを受け入れた。2月18日には選挙が予定され、またこの地域には厳しい冬が訪れた。
●アフガンタリバンは今回の停戦を、春の攻撃には絶好の機会と見ている。もちろんアメリカはこれに気づいており、停戦に反対した(中略)。木曜日に停戦が結ばれる前にすでに、タリバンは準備を行なっている。マフスードを孤立させたあと、パキスタンの部族地帯には新たな司令官を任命した。ほとんどがアフガン人だ。そのうちの中心となる2人の司令官が、バジョール行政区のアブドゥル・ワリと、カイバル行政区のウスタッド・ヤシールである。
●今年のタリバンの攻撃は、自分たちやアルカイダを攻撃しているNATOに対するものである。
●昨年『ニューヨーク・タイムズ」は、アメリカがパキスタンの部族民リーダたちをアルカイダやタリバンと戦わせうとしていると、暴露した。これはパキスタンで拡大している過激主義を、なんとか食い止めるためのものである。パキスタンに軍事訓練を提供する人間を送り込み、部族地帯の準軍隊に資金援助も行なう。ペンタゴンによると、現在アメリカはパキスタン国内に兵士50人を送り込んでいる。新たな計画では、さらに数十人が増える予定である。
●アルカイダと関係ある情報源によると、「パキスタンはすでに部族のシステムを復活させて、タリバンと対抗させようとした。しかしタリバンはワジリスタンの長老たちを殺害して、この計画は中止ささせた。今アメリカとパキスタン政府は協力して、カイバル行政区のシンワリ族とアフリディ族に働きかけている」という。アフガニスタンのNATO軍に対する補給物資は、80%がこのルートを通って入ってくる。
●「しかし、タリバンがNATO軍への補給路を遮断したいために、パキスタン人タリバンはこの地域の部族の長老たちに、問題に巻き込まれないように警告した。しかし長老たちはNATOから巨額の資金を受け取っているために、補給物資を運ぶ車列を守ろうとしている。そのため、タリバンはカイバル行政区での活動を今後活発にしてくるはずた。したがって、シンワリとアフリディの長老との戦いになる」。
●もうひとつのタリバンの活動の場は、ヌーリスタンとクナールになる。米軍はここで大掛かりな抵抗勢力の掃討作戦を実施している。
●「今年タリバンは、クナールとヌーリスタンを攻撃してくる。詳細は語れない」と情報源は語った。
●情報源によると、パキスタンのアルカイダ陣は、アメリカの圧力のために停戦は長くは続かないだろうと見ているという。そのひとつの証拠として、南ワジリスタンと北ワジリスタンの仮設滑走路に、補給物資が運び込まれているという。強力な空からの攻撃に備えているようだ。
●米軍が北ワジリスタンの反対側のロワリ・マンディやグルマン・ハーン検問所に派遣されていること、北ワジリスタンのシャーワルの近くにも新たな軍事基地が設置されていることも、アメリカは何か始めようとしている証拠だ。問題はどちらが先に攻撃してくるか、どこを攻撃してくるかだ。
REVOLT IN PAKISTAN'S TRIBAL AREAS, Part 1●スコットランド・ヤードの捜査官が、パキスタンのベナジール・ブット大統領は、自爆の威力で頭を強打した死亡し、暗殺犯に銃撃されたのではないと発表した。
●ブット女史支持者や他の医療専門家たちは、パキスタン政府が発表したブットの死因に納得しなかったが、今回の報告は、政府の見解を支持する結果となった。
●また木曜日にパキスタン政府は、暗殺に関与したとされる容疑者2人を逮捕したが、詳細は語っていない。
●(中略)スコットランド・ヤードがなぜこのような結論に達したのかは、明らかではない。検死解剖は行なわれず、事件現場は爆発直後に清掃された。
●またイギリスの捜査では、現場の写真として出回っている狙撃犯が爆発を起こしたと結論づけた。パキスタン政府は、一般に出回っている新聞の一面を飾った写真をもとに、犯人は2人いると発表している(後略)。
Injury From Blast Killed Bhutto, Report Says●武装勢力と治安部隊の間で「事実上」の停戦が結ばれ、パキスタン政府はタリバン武装勢力と話し合う予定だと内務省が発表した。
●南ワジリスタンのタリバン報道官が昨日、バイトゥッラー・マフスードがこの地域で無期限の和平協定を結ぶことを命じた、と伝えた。
●内務省のハミッド・ナワーズが語ったところによると、「停戦宣言されていないが、武装勢力と政府軍の間で事実上の停戦が結ばれた。両サイドとも現在攻撃をしていない」という。
●ナワーズによると、「政府と部族民長老からなる代表者でジルガが形成され、平和について話し合う予定だが、この件に関して今後の予定についてはまだわからない」という。
●今回の動きは、パキスタンの欧米同盟国からは疑問視されそうだ。これまでもパキスタンは和平協定を結んで武装勢力たちに再結成する猶予を与え、その後協定が無効になり、武装勢力たちは勢力を拡大している。
●ナワーズによると、問題化しているこの地域では、話し合いしか平和を取り戻す方法がないと述べた。「部族民長老や影響力の大きい人間、政府代表に参加してもらい、ジルガを形成する」という。「さまざまな問題が絡んでいる。過去を振り返ると、これまでも武装勢力たちと和平協定を結んで来た。しかし、彼らはすべてこれを侵害している」。「それでも彼らに武器を放棄してもらうためには、話し合いしか道がない」(後略)。
Pakistan to hold talks with militants: minister●水曜日にパキスタン北西部にいるタリバン戦闘員の合同軍が、パキスタンの治安部隊に対して「無期限」の停戦を宣言した。
●テヘリーケ・タリバン・パキスタン報道官だと主張するモーラビ・ムハンマド・オマルが、政府との話し合いの結果、停戦が宣言されたと述べた。
●政府からの発表はない。ここのところ戦闘は中断しているが、パキスタン軍は停戦が結ばれたことを否定している。
Militants declare cease-fire●南ワジリスタンでヘリコプターが墜落し、パキスタン軍幹部高官を含む8人が死亡したと、軍が発表した。
●ジャヴィッド・スルタン少将を乗せた軍のヘリコプターが、アフガニスタンの国境近くで技術的なトラブルのために墜落したと、軍報道官が述べた。
●スルタン少将は、南北ワジリスタンの親タリバン系武装勢力との戦いの責任者だった。軍によると准将2人も死亡したという。
●軍によると、通常の偵察飛行をしていたヘリコプターが、地元時間の14時40分頃にジャンドーラとワナの間で墜落した。搭乗者全員が死亡したという。
●イスラマバードにいる『BBC』のサイード・ショウイブ・ハッサンによると、スルタン少将の死により、すでにこの地域で大きな犠牲者を出しているパキスタン軍の意気が消沈する可能性があるという。スルタンは、この地域で実施されている軍事作戦での犠牲者としては、最も地位の高いパキスタン軍関係者である。
●墜落が報告される数時間前に、パキスタンのタリバン戦闘員たちは軍に対する攻撃を縮小すると主張していた。治安軍がこの地域における作戦を「自制する動きを見せている」ために、攻撃を縮小することを決めたという。
●武装勢力の報道官は、両者の間で極秘取り引きをしたことを否定した。
General killed in Pakistan crash●南ワジリスタンで火曜日に、軍と武装勢力との間で非公式の停戦協定が交わされている最中、軍は数週間前にラッダのナドラ事務所で逮捕された部族民数十人を釈放した。
●部族民情報源によると、ナドラ事務所から部族民が逮捕されるより以前にバイトゥッラー・マフスードが主導するタリバン武装勢力が拉致した、国境警察隊員4人が解放される望みが高まって来たという。準軍隊兵士が拉致されたことがきっかけで、今回の南ワジリスタンのマフスード族の居住地区での戦闘が開まった。
●国境警察隊員4人が拉致されたために、ラッダ城を拠点としていた軍がラッダ町のナドラ事務所を襲撃して、ナドラの職員や身分証明所を偽造するために集まっていた若い部族民たちを含む25人を逮捕した。政府は、逮捕された男たちは戦闘員だったと主張している。全員ラッダ城に拘束されていた。ラッダ城では兵士243人がタリバン戦闘員数百人に攻撃され、篭城を強いられていた。
●情報源によると、火曜日に部族民25人が釈放され、残りは今日釈放される。もし武装勢力たちが兵士4人を解放すれば、和平協定が一歩前進し、南ワジリスタンで交わされている非公式の停戦が確実なものになると思われる。
●しかしながら政府は、南ワジリスタンで停戦協定は結ばれていないと主張した。軍報道官のアサール・アッバス少将によると、雪のあとの荒れた天候のために、軍事作戦が実施できないと述べた。
●部族民の情報源によると、武装勢力たちがサラローガ城を占拠、破壊したあとに拉致した国境警察隊員兵士を解放すれば、さらに状況は好転するだろうという。サラローガ城にいた兵士38人と一般労働者5人のうち多数が殺害され、ごく一部が逃走した。残りの兵士たちは拘束されている。
Tribesmen freed as unannounced ceasefire holds in S Waziristan●火曜日に武装勢力がダラ・アダムヘールの住民に脅迫状を配布し、治安部隊を支持するのを中止しなければ、それなりに対処すると脅迫した。
●今日から、軍や軍のためにスパイ行為をした者たちは殺害される。部族民警察も、軍をエスコートしたり通行車や通行者の検問を止めなければ殺害されるというビラを、テヘリーケ・タリバンとイスラミ・タリバン・ダラ・アダムヘールが配布した。
●いっぽうアダムヘール族の全5枝族、ザルグンヘール、アフルワール、ボスティヘール、タルチャッパル、ジラキ、ジャワキ枝族からなる大ジルガが開催され、この地域で軍事作戦が実施されたあとの状況に関して話し合った。
●(中略)配布されたパンフレットによると、タリバンはダラにおける平和維持を主張し、麻薬、強盗や誘拐、賭博を禁じた(中略)。音楽、ディシュ・アンテナ、ケーブルなどの禁止事項は、そのままである。これらの禁止事項を犯した場合、処罰されるという。また長老たちには、平和委員会を組織すれば、政府の工作員と見なすと警告した。地元の人間で軍や国境警察隊に属するものは、ただちに仕事を止めなければ殺害される。タリバンはシャリア法を持って、すぐに戻ってくるという(後略)。
Militants threaten people in Darra●イギリスはタリバンを寝返らせるための極秘取り引きとして、アフガニスタン南部に戦闘員2000人のためのタリバン訓練所の建設を計画していたことを、カブールの諜報組織情報源が暴露した。この計画は12月、アフガニスタンの秘密警察が押収したメモリー・スティックから明らかになった。
●アフガン政府は、イギリスの工作員たちがカルザイ政府の許可なくしてタリバンと話し合っていたと主張している。ゴードン・ブラウン首相は、タリバンとは交渉しないと表明し、12月12日の議会では、「我々の目的は敵の責任者を孤立化または排除することで、抵抗運動に勝利することだ。我々はこれらの人間とは取り引きしない」と語った。
●イギリスは、カルザイ政府は計画を知っていたと主張している。しかしカルザイは、抵抗勢力たちを買収しようとしていたと非難して、外交官幹部2人を国外追放にした。
●今回の問題で、イギリスとアフガンの関係が悪化してきている。パディー・アッシュダウンがカブールの国連責任者に就任することが予定されていたが、カルザイ大統領は12月にこれを妨害し、さらに英軍がヘルマンドを制御できないでいると非難した。
●さらにカブールとワシントンの関係にも悪影響が出ている。米国務省は、アッシュダウン卿が国連責任者になることを強く推していた。