【2008年2月18日〜2月24日】


■パキスタン連立政権、ムシャラフの仲間に言い寄る[080224 AFP]

PPPが日曜日、ムシャラフ大統領の同盟者に連立政権に参加するように説得して、元将軍を権力の座から失墜させるという。

元首相のナワーズ・シャリーフの政党と組んだPPPは、カラチを拠点とするMuttahida Qaumi Movement(MQM)と協力することを考慮していると述べた。

もしPPP主導の連立政権が国会議席の3分の2を占めれば、ムシャラフを弾劾するか、あるいは去年の選挙を違法として、再選挙を実施してムシャラフを排除することができる。

PPP報道官のファルハトゥッラー・ババールが語ったところによると、PPPは親ムシャラフの立場をとるMQMと話し合いを実施しているという(中略)。「PPPは政党すべてが政府に参加することを望んでいるために、MQMと協力する可能性を模索している」という(中略)。

いっぽうシャリーフはアメリカのムシャラフに対する協力を非難し、彼の党の報道官のスィディーキ・ウル・ファルークが、ワシントンはPPPにムシャラフを排除しないように説得していると述べた。「PPPにPML-Qと協力するように、背後で外交圧力をかけている。ブッシュ政権は、ムシャラフが排除されることを望んでないからだ」。「しかしパキスタンの人間は、自分たちの意見が無視されることは許さない」(後略)。

hoonPakistan coalition may woo Musharraf allies
Masroor Gilani、ISLAMABAD

■パキスタンタリバン、新政府に介入しないように警告[080224 Reuters]

アルカイダ系パキスタン武装勢力が日曜日に、ムシャラフのテロとの戦争が部族地帯で続行されれば、これまで以上に激しく攻撃すると、新たな文民政府に警告した。

(中略)パキスタンタリバンの報道官のモーラビ・オマルが『ロイター』に、部族地帯で新たな作戦を実施したら武力衝突が発生するだろうと、電話で語った。「新政府に言いたい。我々は戦いを望んでない。平和を望んでいる。しかし彼らが戦争をしかけてくれば、容赦はしない」という。「アメリカに従ったムシャラフが犯した過ちを、繰り返してほしくない」。

(中略)オマルによると、いくつかの武装勢力で形成されるテヘリーケ・タリバンの話し合いで、部族地帯で作戦を実施すれば対処することを決めたという。また部族地帯には外国人武装勢力はいないと宣言し、パキスタンタリバンはこのことを証明するために政府軍に協力するという。「話し合い、協力する」という(後略)。

hoonPakistan Taliban warn new government to keep clear
Kamran Haider、ISLAMABAD

■パキスタンの北西部の検問所襲撃。4人死亡[080224 AFP]

日曜日の早朝、武装勢力数十人がパキスタン北西部の治安部隊検問所を襲撃し、治安関係者3人と戦闘員1人が死亡したと、警察が発表した。

ロケット砲や機関銃で武装した抵抗運動約60人が、ペシャワル郊外のマッタニ村の検問所を襲撃した。「激しい戦闘で、準軍隊兵士2人と警察官1人が殉教し、6人が負傷した」という。約90分にわたって続いた戦いで、武装勢力1人も死亡し、数人が負傷した。武装勢力は仲間の遺体とともに、カイバル部族地帯に逃走した。

衝突があった現場は、先月武装勢力が占拠した、日本が建設したトンネルがあるダラ・アダム・ヘールに近い(後略)。

hoonFour die in checkpost ambush in northwest Pakistan
PESHAWAR

■武装勢力、時期を狙う[080223 Asia Times]

(前略)雪山の中で、タリバンとアルカイダ系武装勢力が待ち構えている。これまでも武装勢力は、パキスタンが混乱している時期は鳴りを潜めてきた。彼らは欧米が支持する「連立政権」が仲違いするのを待っている(中略)。

欧米外交関係者たちは、今週忙しかった。火曜日以来、関係者たちがPPPのアシーフ・ザルダリと話し合いを行なっている。水曜日には米政府幹部が、PML-Nナワーズ・シャリーフの弟、シェバーズ・シャリーフと会談した。そして木曜日にはサウジ大使が、ナワーズ・シャリーフと会っている。

その日シャリーフとザルダリは、PPPが率いる連立政権を組織することを発表した。両者とも協力することを約束したが、現在存在する多くの問題点には触れなかった。司法の回復、国会の宣誓をするかどうか、新政府における現政権の役割などである。

(中略)選挙の前日まで自爆攻撃を各地で行なっていた武装勢力たちは、急に静かになった(中略)。アシュファク・パルヴェーズ・キアニ軍参謀長は、木曜日に南ワジリスタンを訪問した。情報源によると、米軍主導の合同作戦が近々ワジリスタンの山中で実施される。水曜日にNATO軍が北ワジリスタンの武装勢力のキャンプを攻撃したが、選挙後の混乱の中で、報道されなかった。

一方ファズルッラー師が率いるスワート谷の武装瀬力は、再びパキスタン軍に対するゲリラ攻撃を開始した。3月末になれば、武装勢力は再び活動を開始するだろう。

hoonMilitants bide for time and turmoil
Syed Saleem Shahzad

■政府、行方不明の大使を依然捜索[080223 News]

パキスタンの駐アフガニスタン大使がいまだに行方がわからず、地元武装勢力のラシュカレ・イスラームの責任者が、カイバル行政区に大使を監禁している者に対して警告を発した。

カブール駐在のタリーク・アジーズッディン大使が2月11日以来行方不明になっている。大使の運転手と警備員1人も、ともに行方がわからない。

情報源によると、カイバル行政区行政官が部族民数十人を逮捕している(中略)。

ラシュカレ・イスラーム責任者のマンガル・バガが地元のFMラジオ局を通じて、カイバル行政区にアジーズッディン大使はないと述べた。カイバル行政区出身者が大使を監禁していた場合、厳しく処分するという(後略)。

hoonGovt still in limbo over missing envoy
Javed Aziz Khan、PESHAWAR

■パキスタンの政局変化で、偵察機による攻撃に障害[080222 New York Times]

先月、アメリカ政府関係者はパキスタンの責任者と、パキスタンにおいて無人偵察機を使用してこれまで以上にテロリストを極秘に攻撃していく、という極秘の合意を交わしていたと、両政府の幹部関係者が述べた。しかしパキスタンの政局変化で、新たな作戦の実施が困難になるのではないかと、ブッシュ大統領は危ぶんでいる。

取り交わされた合意により、パキスタンにある秘密基地から武器を搭載した無人偵察機を飛ばして、抗勢力の監視や攻撃を増やすことが許される。これまで以上にアルカイダやタリバンに対する攻撃的な作戦が、実施される予定だった。

しかし今回の選挙で野党が勝利したことで、アメリカの関係者はこの新たな合意が開始されようとしていた時点で、暗礁に乗り上げることを恐れている。

月曜日の選挙に数週間先立ち、ブッシュ大統領の国家安全アドバイザーが、アフガニスタンと国境を接するパキスタンの部族地帯に潜むアルカイダやタリバン戦闘員に対して、これまでの規制を緩和し、攻撃することを可能にさせた。この政策の変化によって米軍司令官たちは、これまで以上に大胆な攻撃ができることになる。

一般市民の巻き添えがないことが確認できれば、アルカイダやタリバン責任者が乗っていると思われる車列を、誰が乗っているかを確認しなくても素早く攻撃することができる。

今回の比較的寛容な取り決めは、パキスタンを拠点とする極秘CIA基地に大きな恩恵を与える。米国人とパキスタン人関係者は、ムシャラフの面子をつぶさないために、これまでCIA基地の存在を極秘にしてきた(中略)。

パキスタンの基地には、偵察機が何機かある。アメリカからコントロールされている無人偵察機である。先月、これらの偵察機から発射されたヘルファイアー・ミサイル2発が、アブ・ライス・アル・リビを殺害した(中略)。

パキスタンとの新たな合意は、1月9日に国家諜報責任者のマイク・マッコーネルとCIA長官のマイケル・ハイデン将軍がパキスタンを訪問して交わした。アメリカの関係者たちが、ムシャラフ大統領と新たな軍参謀長のアシュファク・パルヴェーズ・キアニ将軍と会って、アルカイダやタリバンに対する極秘作戦を実施することを決めた。

しかし、ブッシュ大統領をはじめアメリカの対テロ専門家は、パキスタンの国会選挙の勝利者たちにより、今回の新たな合意が後退することを恐れている。勝利した2党はパシュトゥの部族民リーダーたちとの対話を求めている(中略)。

「新政府は武装勢力たちと合意を交わし、それにより政府は一時休止ができる」と、CIAの対テロセンターの元責任者のロバート・グレニエルが語る。「しかしその結果武装勢力たちは、アルカイダや過激派たちに隠れ家を与える余裕が生まれる」。

国家安全委員会で南アジアを2005年まで担当していたクセニア・ドルマンディーは、もし話し合いである種の和解が交わされて軍が撤退したら、2年前にムシャラフが行なった時と同様に、武装勢力たちは再び力をつけてくるはずだと語る。「我々が既に経験したことを繰り返すのであれば、結果もまた同じだ」。しかし、パキスタン軍が部族地帯に留まれば、政府は何らかの影響力を与えることができよう。

(中略)野党は、米軍がアフガニスタンやイラクで実施するような、新たな対抵抗運動の政策を採用しようとしている。アメリカは軍事作戦と再建計画、政治的対話により、地元の人間を抵抗勢力と切り離そうとするものだ。

(中略)「とりあえず混乱や挫折はあるだろう」と、国務省の元対テロ関係のヘンリー・クランプトンが語る。「しかし中期的、長期的には、相互利益から、これまで以上の協力があるかもしれない」。

hoonPakistan Shift Could Curtail Drone Strikes
ERIC SCHMITT and DAVID E. SANGER、WASHINGTON

■タリバン司令官2人死亡[080222 BBC]

アフガニスタン南部で有名なタリバン司令官2人が、アフガニスタンの国際平和維持軍に殺害された。

ヘルマンド州のバグラン地区のムッラー・マティーン司令官が殺害されたと、報道官が述べた。彼の部下のムッラー・カリーム・アガも2月18日に実施された作戦で死亡したと、木曜日にISAFが述べた。さらに、南部ではヘルマンド州でタリバン戦闘員30人が殺害されたと、国防省が発表した。

ムッラー・マキーンは、ムサ・カーラの地区行政官だった。ヘルマンド州で発生したいくつかの自爆事件の首謀者だという。

水曜日にムサ・カーラの北部で、アフガン軍と米軍主導同盟軍の合同作戦により、タリバン30人が殺害された。同盟軍の空軍機が武装勢力の拠点を爆撃し、5時間にわたって戦いが続いた。

hoon'Two Taleban commanders' killed

■パキスタンの「ワイルド・ウエスト」に変化[080221 BBC]

パキスタンの北西部は、親タリバン、親アルカイダ武装勢力の拠点である。しかし月曜日の選挙では、世俗主義あるいは政教分離を支持する政党が勝利した。

これは宗教連合政党だったMMAが北西部で勝利した2002年からの、大きな変化である。イスラームでは、宗教と国家を明確に分けず、パキスタンの宗教指導者たちは、モスクから政治的キャンペーンを行なう。

オブザーバーの中には、今回の変化は、MMA政府の政策の失敗が原因だと見る者がいる。また2002年にMMAが勝利したのは、他の選択肢がなかったからだと説明する者もいる。理由が何であれ、武装勢力の影響が拡大しつつあった国内では、今回の結果は喜びを持って迎えられた。

今回の選挙まで、この地域の人々はイスラーム主義の過激派たちにシンパシーを持っていると考えられていた。しかしパシュトゥーン・ナショナリストたちは、状況が変化することを期待している。「今回の選挙をとおして、パシュトゥーンは世界に、彼らが過激派でもテロリストでもないというメッセージを送った」と、Awami National Party(ANP)責任者のアスファンディヤール・ワリ・ハーンが語った。

月曜日の選挙で、ANPは北西辺境州で勝利した。その次にPPPが続く。部族地帯でもこの2つの政党が勝利し、MMAに支持された宗教指導者のほとんどが、排除された。アナリストたちは今回の選挙を、イスラーム主義者たちとの決別を意味すると見ている。

しかしANPは投票者たちの意思を、具体的な形にすることができるだろうか? アナリストたちは、手強いと見ている。

「新たな政府は、北西辺境州の娯楽産業を復活させること、そして『テロとの戦争』に成功してこの地域の平和を回復させるという、2つの大きな課題に挑戦しなければならないと、『Dawn』紙のペシャワル特派員のズリフィカール・アリが書く。

(中略)武装勢力たちを排除することは、難しいだろう。部族地帯の行政は、州の行政府と人間が遂行するが、中央に支配される。従って武装勢力を取り締まりるパキスタンの政策は北西辺境州の状況に直接左右されるが、州は部族問題に関与することはできない。

ANP責任者のアスファンディヤール・ワリは、これを変えたい。「我々が連邦政府に代わって、この地域の武装勢力と戦いたい」。

しかし北西辺境州のオブザーバーたちは、別の考えだ。

この地域の大半の人々が、武装勢力とパキスタンの治安組織との間に取り引きがあると見ている。先月実施された南ワジリスタンの作戦がよい例だ。軍が武装勢力の拠点を空爆したが、最終段階に差しかかったときに、非公式の停戦協定が出されて、いまだにこれが有効である。

ペシャワル大学のファザル・ラヒーム・マルワット教授は、武装勢力に最終的に打撃を与えることができるのは、彼らを作り出し温存している権力だけだという。この権力は「連邦政府内の人間と、この地域にスンナ派過激派たちの影響力を拡大させようとしている外国の権力だ」という。

「もしこれらの権力がこの地域に政治的、経済的支持を与えれば、北西辺境州政府はそれを歓迎するのは確実だ」。

hoonAll change in Pakistan's 'wild west'

■ロイヤル・マリーン、アフガニスタンの爆発で死亡[080220 BBC]

アフガニスタン南部の爆発で、ロイヤル・マリーン奇襲隊の兵士1人が死亡した。

爆発はヘルマンド州のサンギンで起きた。別の兵士1人も負傷したという(中略)。兵士たちはタリバンの活動を妨害するのパトロールの最中だった。(後略)。

hoonRoyal Marine dies in Afghan blast

■パキスタンの勝利者、武装勢力との対話を望む[080220 New York Times]

火曜日にパキスタンの国会選挙の勝利者たちは、イスラーム過激派との戦いに新たな方針をとり、軍事作戦ではなく対話をしていくと述べた。メディアに敷かれた規制を解除し、司法を再び回復させる。