【2008年3月24日〜 3月30日】


■パキスタンタリバン、首相の話し合いの申し出を歓迎[080330 AFP]

パキスタンのタリバン運動は、新たに就任した首相の話し合いの申し出を歓迎したが、米主導の「テロとの戦争」を放棄するように、イスラマバードに促した。

ギラニ首相が武装勢力たちに暴力を放棄するように促し、武器を放棄した者とは話し合いを行ない、新しい民主主義時代の一員になるようにと申し出た(中略)。

パキスタン人タリバンは土曜日の夜、政府の新たな方針を歓迎した。「我々はタリバン運動と話し合い、国家の法と秩序を回復させるという連邦政府の申し出を歓迎する」と、タリバン報道官のモーラビ・オマルが電話で記者団に述べた。「政府の声明は、法と秩序のためには大きなインパクトを持つだろう。連邦政府は米国の利害のための戦争を、直ちに中止するべきだ」。

またオマルは、首相が発表した植民地時代に課されていまだに続いていた部族地帯に対する規制の見直しを歓迎したが、その代案としてイスラーム法施行を要求した(後略)。

hoonPakistan Taliban welcome talks offer by new PM
KHAR

■パキスタン・アフガニスタン・NATOの「対テロ」国境センター、開設[080329 AFP]

土曜日にアフガン、NATO、パキスタンの関係者が、国境地帯に沿って6ヵ所の諜報共有センターを開設して、対テロ活動を強化する。

アフガニスタンとの国境地帯の町のトルハムが中心となり、その他の地域でもアフガン軍・パキスタン軍・NATOのISAF軍が、過激派と戦うための協力態勢を強化していくという(後略)。

hoonFirst Pakistan-Afghan-NATO 'anti-terror' border centre opens
TORKHAM,

■タリバンと話し合わなければいけない、とデス・ブラウン[080329 Daily Telegraph]

イギリスは世界を安定させるために、タリバンなどの過激派と話し合う必要があると、国防省が今日述べた。

『Daily Telegraph』とのインタビューでデス・ブラウンは、イギリスや他の民主主義国家は、暴力を行なっている組織−−タリバンとヒズボラを含め−−と話し合い、テロの拡大を防ぐ必要があると述べた(中略)。

ゴードン・ブラウン首相が去年、イギリスはテロリストと話し合わないと宣言していたが、デス・ブラウンの発言はこれに反するものである(中略)。

『Daily Telegraph』首相がタリバンと話し合わないと述べた2週間後、MI6がタリバンと極秘の話し合いを行なったことをつきとめた。

hoonWe must talk to the Taliban, says Des Browne
Rachel Sylvester

■ムスリム軍、アフガン人の信頼を勝ち取るために協力[080328 BBC]

『BBC』特派員のフランク・ガードナーによると、アフガニスタンの米軍と一緒にアラブ兵が重要な任務に就いているという。

アラブ首長国連邦から派遣された軍が、仲間のムスリムたちに人道援助を与えるとともに、タリバンとも戦っている。ヨルダン軍も基本的な警備関係の任務に就いているが、アフガニスタン国内で正式な作戦に従事しているアラブ兵は、首長国連邦軍だけである。

これまで彼らが派遣されていることは伏せられてきて、自国民さえ知らなかった。

砂袋に囲まれた窓のない部屋の中で、首長国連邦軍のパトロール司令官たちが、翌日の作戦を説明する。アフガンの村を訪れ、人々の信頼を勝ち取る作戦である。

兵士たちは迷彩服を着て、頭には湾岸地域で一般的な砂色のシェマー(頭巾)を被っている。パトロール隊が谷から出てくるところを見ると、米軍主導同盟軍の車列とかわらない。

最後の段階になって、首長国軍が当初訪問を計画していた村は、危険すぎて米軍が空からの援護が期待できないということになった。したがって、以前訪問した村をもう一度訪れて贈り物をして、どのようなプロジェクトが必要かを話し合うという。

同朋のムスリムとして、彼らは村人からは暖かく迎えられる。「当初米兵だと思った。出て行ってほしかったが、自分たちはムスリムだと言ったものだから、兄弟だということがわかった」と、若いアフガン人が述べた。別の村の住民ハッジ・ファズルッラーが、「アラブ軍が我々の国にくれば、我々はとてもうれしい」と語る。

もちろん首長国軍だけが、アフガン人を援助しているのではない。しかし、彼らが人々の信頼を勝ち取ることができるのは、彼らがイスラーム教徒であるためだ。

中庭の日差しの中で少年がクルアーンを暗唱する様子を、父親と首長国軍中佐のガニム・アル・マズロイが見守る。他の軍事関係者と異なり、彼は村人と2年間も付き合い、一緒に食事をして祈ってきた。

しかしアフガニスタンで人道援助を行なうことは、想像する以上に難しい。すぐに人だかりとなり、支給物資が足りないという噂がたつと奪い合いになる。そうするとアフガン警察がやってきて、村人を叩く。

ガニム中佐は、何度も彼らを制御しなければならなかった。うまく対処しないと、暴動になってしまう。空き箱でさえ、奪い合いになる。しかしアラブ軍はなんとか秩序を保つことに成功し、発砲を防ぐことができた。

5年ものあいだ、アラブ人ムスリムが同盟軍と協力してアフガニスタンで作戦を行なっていたということは、驚きだった。ガニム中佐に、アラブ世界でこれがどう受け取られるか心配ではないかと、尋ねてみた。

「答えはある。あなたがその質問をどこでしようとも、首長国あるいは湾外地域にいたとしても、同じ答えだ」。「米軍とは取り引きした。人々を援助するためにやってきたのであり、戦うためではない」。

しかし、彼の軍は援助物資の配給だけでなく、タリバンとも戦っていることを指摘した。「個人的に攻撃されれば、戦う。そのあと長老のところに行って、『なんで我々を撃つのだ、助けに来たのに』と尋ねる」。『我々を同盟軍と同じだと考えているのなら、我々は違う。我々はあなたを助けに来たのだ』と言う」。「そして人々に、アメリカやイギリス人についても説明する。彼らは平和のためにやってきたのだと」。

5年前にアフガニスタンでアラブの人道活動を開始したのは、首長国連邦の人道援助活動家のハマド・アル・シャムシである。敬虔なムスリムで、10歳の息子がいる。元パイロットで、危険覚悟でアフガニスタン国内を旅した。自分の国が協力することによって、他の同盟軍のためになると信じている。(中略)。

「人々は、首長国の人間が自分たちの宗教を妨害したりモスクに放火するなど、妨害行為をしないことを知っている」と、コースト州知事のパタンが語る。「人々は彼らとすぐ親しくなる。昼食や夕食に誘いこもうとする」。これが人々の信頼を勝ち取るための、最大の作戦だ。彼らは同朋ムスリムとして、まず宗教的に何が必要なのかを話し合う。その後学校を作ったり診療所を建設する。

しかしこれを国家規模に広げるためには、何度も同じことを繰り返していかなければならい。また他の人々もこれに続き、アフガニスタン中に広げる必要がある。それはすぐにはできないことだ。

ohMuslim troops help win Afghan minds

■パキスタンの秘密工作員、射殺される[080328 BBC]

アルカイダ容疑者を追跡していたパキスタン人諜報工作員2人がカラチで射殺されたと、警察が発表した。

ムハンマド・イブラヒム警部と部下のファズール・レーマンは、パキスタンの文民スパイ組織の職員だった。

2人は木曜日に、車のショールームで攻撃された(中略)。男たちは「ターゲット殺人」の犠牲者だったようだと、警察の報道官の『AP』に語った。

ある諜報関係者の話として『AFP』が、2人は「カラチの対アルカイダ作戦に従事していた」と述べた。「2ヵ月間、テロ組織の人間多数を逮捕していた」。

2人はパキスタンにある3つのスパイ組織のうち、内務省が管轄する唯一の文民組織であるIntelligence Bureauの職員だった。他の2つは軍の組織である。

hoonPakistani secret agents shot dead

■パキスタンの新指導者、「町には新しい保安官」とアメリカに[080328 New York Times]

アメリカ国務省幹部が火曜日にパキスタンの新政府責任者たちと会談し、そのうちの1人から公的な非難を受けるとともに、パキスタンとアメリカの関係が変更されることが初めて示された。

ユーサフ・ラザ・ギラニが新首相に就任した初日に、国務所副長官のネグロポンティと南アジア問題担当の国務省書記長のリチャード・バウチャーはムシャラフ大統領とも会った(中略)。

新議会の第2党の責任者、ナワーズ・シャリーフが2人の外交官と会ったあと、パキスタンが「殺戮の場」になっていることは受け入れがたいと述べたと語った。「もしアメリカがテロリストを一掃したいと思うなら、我々の村や町も爆撃されるべきではない」と述べた。ネグロポンティに、テロとの戦いに「参加する約束」はできないとも付け加えた。

シャリーフの声明や、テレビに放映されたネグロポンティと会った際の冷たい態度は、パキスタンの政策が変化したことを暗示し、パキスタンの国境付近で武装勢力と戦うワシントンに新たな規制が与えられることが受け取られた(中略)。

PPP責任者のアシーフ・アリ・ザルダリもアメリカ人と会ったが、その後の記者会見では発言しなかった。しかし、これまでの関係は終わったことを忠告したという。「アメリカ人の表現を借りれば、町に新しい保安官がやってきた」と、ザルダリ氏と一緒にアメリカ人と会ったフセイン・ハッカーニ氏が述べた。「アメリカ人たちは、1人の人間と長く話しすぎたことに気づいたようだ」(中略)。

シャリーフとザルダリは、大統領官邸で実施されたギラニ氏の就任式をボイコットして、ムシャラフと距離を置いた(後略)。

hoonNew Pakistani Leaders Tell Americans There's‘a New Sheriff in Town’
JANE PERLEZ、ISLAMABAD

■アフガン人に古い武器を提供したとして供給源調査[080227 New York Times]

2006年以来、アフガニスタン政府はアルカイダやタリバンとの戦闘において、アメリカの兵站学や軍事協力に頼っている。

しかしアフガン軍を武装するために、米軍は昨年以来、マッサージ師を副会長に持つ、22歳の男が率いる創設されたばかりの会社に依存している。

マイアミ・ビーチにあるこの会社AEY Inc.は、2006年以来、アフガン軍と警察に武器を供給している。会社は40年以上前の古い武器を、腐った箱に入れたままアフガニスタンに送っていることが『ニューヨーク・タイムズ』の調査で明らかになった。武器のほとんどが古い共産圏製で使い物にならないために、数百万ドルが無駄に使われているといえる。

武器購入のためのこの請負会社は、連邦政府が武器密輸業者としてブラックリストに入れている会社や仲介人を使用している。

さらにライフルや機関銃の弾薬数千万個がアメリカの法をすりぬけ、中国で生産されている。会社の代表者エフレイム・ディベロリの盗聴された会話から、弾薬数億個がアルバニアで購入されていることがわかった。

「タイムズ」が陸軍に繰り返しAEYについて質問した結果、陸軍はこの会社との取り引きを中止した。中国製の弾薬の輸送や、ディベロリ氏が弾薬をハンガリー製と偽ったことが理由に挙げられている。

ディベロリは、これらについては何も知らないと電話で語った(中略)。

しかし去年の秋、アフガニスタンのナワで、弾薬の問題が露になった。パキスタンとの国境付近にあるこの前哨地で、アフガン人中佐が警察のライフルの弾薬を調べたところ、弾薬の入った段ボール箱が破れて中身がこぼれた落ちた。弾薬は、1996年に製造された中国製だった。

AEYは2003年に出現した防衛会社で、ペンタゴンがアフガニスタンとイラク独自の軍を訓練したり武装化するために、数億ドルをばらまき始めた時期である(中略)。AEYの背景を捜査していくと、軍内部の関係者がアフガン軍を武装するために圧力をかけたために、未熟な会社が、ペンタゴンのために商売をする不透明な国際的な武器商売の世界に入っていく様子が浮き彫りになる。文章による契約書もなく、ほとんど規制のない、闇の世界である(後略)。

smellSupplier Under Scrutiny on Aging Arms for Afghans
J. CHIVERS

■過激派、スパイ容疑でアフガン人を殺害[080327 Washington Post]

パキスタン西部の部族地帯の過激派は、アメリカに諜報情報を提供しているとして、数十人を殺害している。これらの処刑は残虐で、殺害の様子はビデオテープに撮られて警告として配布される。

関係者や部族民長老によると、犠牲者の大半がアフガン人難民だという。最近特に犠牲者が多くなって来た。

「本当にスパイかどうかはわからない。しかし犠牲者が増加してきたことから、アメリカ人がこの地域にいる難民を利用して、地元や外国人戦闘員に関する情報を入手しているようだ」と、ある関係者が語った。

難民は、アメリカとは別に、アフガン政府のために働いている可能性もあるという。しかし「アフガン政府の手先であっても、この地域ではアメリカ人の手先ということになる」。

火曜日に、ミランシャーの地元関係者が、アフガン人難民アブドゥッラー・ジャンの遺体を発見した。遺体には、「アメリカのスパイは同じ運命に遭う」というメモが残されていた。

最近過激派が、「偽善者の運命」という題名の、男が斬首されるDVDを発信した。男がアメリカのためにスパイ行為を行なって1000ドルをもらったと告白すると、覆面をした数人の男が笑い、スパイ行為に対する罰は死だと語る。そして十代の少年が出て来て、ナイフで男の首を斬る。

過激派に近い情報源によると、男は「敵」に情報を与えたために、その後空爆でタリバンが殺害されたという。

過激派たちは「すべての村や町に情報源のネットワーク」を持ち、スパイを探し出しているという。「そのうちアブドゥッラー・ジャンが殺害されるDVDも出てくるだろう」と、ミランシャーの長老、マリーク・ムムターズが述べた。

hoonExtremists Killing Afghans They Suspect Are Spying
Imtiaz Ali、PESHAWAR

■アメリカ、パキスタンで一方的な攻撃を強化[080327 Washington Post]

アメリカは、パキスタンの部族地帯にいるアルカイダや戦闘員に対する一方的な攻撃を強化し始めた。パキスタンの新たな指導者たちが、パキスタン国内の武装勢力に対する作戦を縮小する恐れがあるからだと、アメリカの関係者が述べた。

ワシントンは、親米主義の大統領ムシャラフの権力が今後削減され、アルカイダネットワークを壊滅させるだけの力がなくなることを恐れている。

ここ2カ月の間に、アメリカの無人偵察機は少なくとも3回、アルカイダ工作員の拠点を攻撃している。ムシャラフ大統領と陸軍参謀長官キヤニ将軍は、アメリカがパキスタンで活動する外国人戦闘員を攻撃することを承認したが、パキスタン人タリバンを攻撃してはならないことになっている。

この攻撃でアラブ人、アフガン人、その他の外国人戦闘員45人が、アフガニスタンとの国境付近で殺害された。目的はビンラディンとその腹心を含むアルカイダ幹部責任者に揺さぶりをかけ、アメリカの諜報アナリストたちが待ち構える所に彼らを追い詰めることだ。地元の情報源が、これまで以上に信頼性のある情報を提供するようになった。

アメリカ幹部関係者によると、これは「揺さぶり」作戦だという。反対意見もある。何人かの軍事関係者は、空爆だけではアルカイダ幹部責任者を捕まえることはできず、米軍特殊部隊が地上にいなければ難しいと警告する。

この作戦は、ブッシュ大統領が大統領の座を去る前に、ビンラディンを捕まえるためのものではない。「この章を終えるための作戦ではない」と、ある関係者が述べた。「責任者を探し出せば、追跡する。しかし9〜10ヵ月の間にできることはない。長期戦だ。政権が代わっても続く」。

ムシャラフ大統領は、米軍がパキスタン国内を攻撃することを許してきた。しかしパキスタンの第一党は、このような空爆に対して警告している。イスラマバードやジャコババードにある基地から無人偵察機が出発することに対しても、警告を発している。

「空爆をするかどうかは、パキスタン軍が関与することで、パキスタン政府が決議することだ。外国人がパキスタン国内に入り、自分たちの標的を追跡することは許さない」と、PPPのファルハトゥッラー・ババールが述べた。「このテロとの戦争は、我々の戦争だ」。

新しい首相であるギラニの政党は、地元のタリバンとの話し合いを開始し、パキスタンの部族地帯に住む数百人に、政治的発言権を与えようとしている。米国務省副長官のネグロポンティとリチャード・バウチャー書記長は、昨日カイバル行政区のランディ・コタルの部族民長老から、直接メッセージを受けた。

「アメリカ人の客人たちに、伝統的なジルガのシステムを用いて部族地域の過激主義やその他の問題を解決するべきだと伝えた」と、長老の1人、マリーク・ダルヤ・ハーンが述べた。「我々の中には、不満を持つ兄弟(地元のタリバンや武装勢力)がおり」、対話を通じて彼らを主流に引っ張りだすことが必要だという。

「部族的な問題は、話し合いを通じてのみ解決できるのであり、軍事作戦ではない」とハーンは付け加える。しかし彼を始め他の長老たちは、新政府が外国人戦闘員をどう扱うべきかに関しては触れなかった。

火曜日にブッシュ大統領はギラニに電話をかけ、アメリカとパキスタンの協力の必要性を説き、「過激派と戦うことにみんなが関心を持っている」ことを強調した(中略)。

3月16日にシャーメワーズ・コットで実施された無人偵察機による攻撃で、20人ほどが殺害された。また2月28日のカルーシャ村に対する攻撃では12人の外国人戦闘員が、そして1月29日には、アルカイダ幹部司令官のアブ・ライス・アル・リビを含むアルカイダ幹部司令官が殺害された(中略)。

アメリカの関係者によると、数ヵ月間に及ぶ話し合いの結果、ブッシュ政権とムシャラフの政府は、ワシントンが国境地帯でアルカイダとその仲間に対して精密爆弾を用いた攻撃を自由に実施することに合意したという。非常にデリケートな問題であるために、両政府ともこれを公言していない(中略)。

カリフォルニアのモントレーの海軍大学の教授、トマス・ジョンソンによると、「ムシャラフの日々は残り少なくなったようで、これができるのもあと数ヵ月間だ。ムシャラフには友人が少ない。おそらくパキスタンより、アメリカに友人が多い」。

アメリカがアルカイダに対する攻撃を強化したために、国境地帯の住民が寝返りはじめた。これまでアルカイダを擁護していた部族民や宗教者たちの中には、彼らの動きに対する情報を提供する者もいる。

「外国人と関係のある部族民リーダーの家から車が行き来するのが目撃されると、情報を提供する」と、ワシントンにいるパキスタン人ジャーナリストのシュジャ・ナワーズが語る。「すぐに偵察機が飛び、数百ポンドの爆弾が家に投下される」。

しかし一連の空爆が実施されても、米軍関係者や専門家は、政治的な犠牲を払ってもこの戦略を行なうことが効果的かどうか疑問視する。

「情報に揺さぶりをかけるこは1つの手だが、最も効果的な手だろうか。地上軍が必要だし、ストレスにもなる。幹部責任者を捕らえることもできないだろう」と、この地域に詳しい軍事関係者が述べた。

地元の政治家たちは、空爆を行なえば、武装勢力が市街地で報復攻撃をするだけだと不満を表す(中略)。ミサイル攻撃で無実な人間を殺害すれば、逆効果だ。「地元のパシュトゥーンは、『1人を殺害すれば、10人の敵を作る』という格言を持つ」とジョンソンが語る。「空爆で悪者1人をやっつけるかもしれない。しかし歩兵をもっと作り出すことになる。この戦争は、殺せば殺すほど、負けてしまう戦争だ」。

hoonU.S. Steps Up Unilateral Strikes in Pakistan
Robin Wright and Joby Warrick

■米国人援助活動家の行方、2カ月経っても謎[080326 AFP]

2ヵ月前にアフガン人の運転手とともに拉致された米国人援助活動家の行方が、いまだに謎だという。犯人からの連絡もない。

Asian Rural Life Development Foundation(ARDLF)の活動家シド・ミッツェルが、1月26日にアブドゥル・ハディ運転手とともに拉致された。

ARDLFは先月、「我々の職員2人が死亡したことを示唆する情報を入手した」という声明を発表した。しかしこれは確認されず、カンダハルに事務所があるARDLFは、「噂」にすぎないと語った。「まだ捜査中だ」という。

カンダハル州知事のアサドゥッラー・ハリッドは、犯人からの連絡はないと語った。「取り引きは行なわれていない」という。

タリバンの報道官ザビフッラー・ムジャーヒッドは、タリバンは拉致事件に関わっていないと繰り返し主張している。「我々の仲間は、米国人女性を拉致していない」。

流暢なパシュトゥを話すミッツェルは、拉致された当時ブルカを被っていた。しかしハリッドによると、外国人であるにもかかわらず、十分な警備をつけていなかったという。「十分注意を払っていなかった。1人で家に住み、警備をつけることを拒否した。町の中にさえ住んでいなかった」。

州警察長官のサイード・アカ・サキーブによると、「カンダハルの町中にいるとは思えない。どこか遠くに連れて行かれたようだ」(後略)。

hoonFate of US aid worker a mystery two months on, say officials
Beatrice Khadige、KANDAHAR

■タリバン、春の攻撃を予告[080325 AP]

タリバンが、今年の春は新たなテクニックを使用して攻撃を行なうと述べた。

タリバン幹部司令官のムッラー・ブラダールが、政府のために仕事をしているアフガン人たちは、狙われたくなければ仕事をやめるべきだとも警告した。ブラタールは、タリバンはカルザイ政権崩壊を企てているという。政府を失墜させ、米軍とNATO軍が撤退するまで攻撃を続けると述べた。

米軍とNATO軍は、タリバンがこの春攻撃しかけてくることはあり得ないと述べ、アフガニスタンで行なわれる戦いは、欧米とアフガン軍による攻撃だけだという。「いつもの話だ。ばかばかしい話だ」と、NATO報道官のマーク・レイティがカブールで述べた(後略)。

hoonTaliban again threaten spring offensive
AMIR SHAH、KABUL

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2008.